JP4198557B2 - ヘッドスライダ及びそれを備えた磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
本発明の磁気ディスク装置は、本発明の前記ヘッドスライダを少なくとも有してなることを特徴とする。このため、該磁気ディスク装置は、大気圧が変化しても(高度3000mでも)使用可能であり、該負圧部の負圧力が適切に制御され、回転する磁気ディスクと接触する可能性が低い。
本発明のヘッドスライダは、流入端と、流出端と、流入端側レールと、負圧部と、2以上の延設レールとを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、サイドレール、流入端側正圧部、流出端側正圧部、流出端側レール、などを有してなる。なお、これらは、磁気ディスクとの対向面、即ち空気の流出入面(ABS(Air Bearing Surface))上に設けられる。
前記流出端は、回転する磁気ディスク上に生ずる気流の出口、即ち空気が流出する端部として機能する。該流出端の形状、構造、大きさ等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のもの中から適宜選択することができる。
本発明の磁気ディスク装置は、本発明の前記ヘッドスライダを備えてなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段乃至部材、等を有してなる。
前記その他の手段乃至部材としては、例えば、磁気ディスク、該磁気ディスクを回転。させる磁気ディスク回転手段、前記ヘッドスライダを先端部に装備し、該ヘッドスライダを、回転する前記磁気ディスクの表面上に浮上させた状態で対向配置可能なキャリッジアーム、該キャリッジアームを回動可能に軸支するシャフト、該キャリッジアームを回動させるアクチュエータ、これらを収容するハウジング、などが挙げられる。
前記磁気ディスクに記録を行うための磁気ヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水平磁気記録用ヘッド、垂直磁気記録用ヘッドなどが挙げられる。これらの中でも、前記垂直磁気記録用ヘッドが好ましく、該垂直磁気記録用ヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単磁極ヘッド等が好適に挙げられる。また、該垂直磁気記録用ヘッドは、書込専用であってもよいし、GMRヘッド等の読取用ヘッドと一体の書込兼読込用であってもよい。
磁気ディスク5は、スピンドルモータ120により回転可能であり、記録時等においてスピンドルモータ120により回転される。ヘッドスライダ1は、本発明の前記ヘッドスライダであり、シャフト150により回動可能に支持され、アクチュエータ170により回動されるキャリッジアーム160の先端に装備される。
本発明の磁気ディスク装置は、例えば、ハードディスク装置(HDD)などの各種記録再生装置等として使用することができる。
流入端側レール11は、前記流入端に接して、ヘッドスライダ1の幅方向に延設されており、幅が一定の帯状である。流入端側レール11は、負圧部10よりも突出して形成されており、その結果、流入端側レール11と負圧部10との境界には段差が形成されている。
流入端側正圧部12は、前記流入端側レール11に接して、流入端側レール11よりも前記流出端側に、かつヘッドスライダ1の幅方向に延設されており、幅が一定の帯状である。流入端側正圧部12は、流入端側レール11よりも突出して形成されており、その結果、流入端側正圧部12と流入端側レール11との境界には段差が形成されている。
3つの延設レール13は、前記流入端側から前記流出端側に向ってそれぞれ延設されており、幅が一定の帯状である。延設レール13における、一端は流入端側正圧部12に接し連続しており、他端はヘッドスライダ1の幅方向と平行な形状の端部形状を有する。延設レール13は、負圧部10よりも突出して、かつ流入端側正圧部12よりも低く形成されており、その結果、流入端側正圧部12と延設レール13との境界、延設レール13と負圧部10との境界には、段差が形成されている。なお、3つの延設レール13と、一対のサイドレール14とは、いずれも幅(L)が30μmであり、隣接するものどうしの間隔(S)がいずれも互いに150μmである。実施例1のヘッドスライダ1においては、3つの延設レール13と、一対のサイドレール14とは、いずれも前記流出端側に同じ長さだけ突出して形成されており、これらが5つの櫛歯を構成し「櫛歯型レール」を形成する。
流出端側レール17は、流出端側正圧部16に接して、流出端側正圧部16よりも前記流入端側に、かつ延設レール13及びサイドレール14の前記流出端側の端部よりも該流出端側に、3つ配置されており、帯状である。流出端側レール17においては、ヘッドスライダ1の幅方向における両端に位置するものどうしの幅が互いに同等である。流出端側レール17は、ヘッドスライダ1の幅方向に延設されており、負圧部10よりも突出して流出端側正圧部16よりも低く形成されており、その結果、流出端側正圧部16と流出端側レール17との境界、流出端側レール17と負圧部10との境界には、段差が形成されている。なお、流出端側正圧部16及び流出端側レール17を「流出端側ブロック15」と称することがある。
以上は、負圧部10を基準面として、他のものが負圧部10よりもどれだけ突出しているかを述べたが、ここでは逆に、流入端側正圧部12及び流出端側正圧部16を基準面として、他のものがこれらよりもどれだけ深い溝となっているかを述べると、以下の通りである。即ち、流入端側正圧部12及び流出端側正圧部16よりも、流入端側レール11、3つの延設レール13、一対のサイドレール14又は流出端側レール17が低く「浅溝」として形成されており、流入端側レール11、3つの延設レール13、一対のサイドレール14又は流出端側レール17よりも負圧部10が更に低く「深溝」として形成されている。
一方、実施例1のヘッドスライダにおいて前記延設レールを設けなかった従来のヘッドスライダについて、上記と同様に、高度0m及び3000mにおいて、磁気ディスクの半径位置と浮上量との関係をシュミレーションしたところ、図9(縦軸及び横軸は各々無次元化量)に示すように、高度0mに対し高度3000mでは浮上量は大幅に小さくなり、高度3000mで使用すると、磁気ディスクの半径位置によって浮上量が変動し、一定の浮上量を維持することができないことが判った。
一方、実施例1のヘッドスライダにおいて前記延設レールを設けなかった従来のヘッドスライダについて、上記と同様に、深溝深さ(前記流入端側正圧部又は前記流出端側正圧部を基準面としたときの前記負圧部の溝深さ)と、浮上量比(高度0m/高度3000m)との関係をシュミレーションしたところ、図11に示すように、深溝深さを変化させると、前記浮上量比は大きく変化し、従来のヘッドスライダでは、溝深さの気圧依存性が大きく、気圧(高度)の影響が大きいことが判った。
なお、実施例3のヘッドスライダにおいては、サイドレール14の前記流出端側の端部中点と、該サイドレール14に隣接して配置された延設レール13の前記流出端側の端部中点と、該延設レール13に隣接し、中央に配置された延設レール13の前記流出端側の端部中点とをそれぞれ結ぶと直線(端部中点連結直線)となる。
実施例5のヘッドスライダを高度0m及び3000mにおいて、磁気ディスクの半径位置と浮上量との関係をシュミレーションしたところ、図13(縦軸及び横軸は各々無次元化量)に示すように、高度0mに対し高度3000mでは浮上量は若干小さくなるものの、同じ高度(気圧)条件下で使用した場合には、高度0mであろうと高度3000mであろうと、磁気ディスクの半径位置のどの位置であっても一定の浮上量が維持可能であることが判った。
一方、実施例1のヘッドスライダにおいて前記延設レールを設けなかった従来のヘッドスライダについて、上記と同様に、高度0m及び3000mにおいて、磁気ディスクの半径位置と浮上量との関係をシュミレーションしたところ、図12(縦軸及び横軸は各々無次元化量)に示すように、高度0mに対し高度3000mでは浮上量は大幅に小さくなり、高度3000mで使用すると、磁気ディスクの半径位置によって浮上量が変動し、一定の浮上量を維持することができないことが判った。
(付記1) 空気が流入する流入端と、空気が流出する流出端と、該流入端に沿って延設された流入端側レールと、該流入端側レールよりも前記流出端側に位置しかつ使用時に負圧となる負圧部と、該負圧部においてかつ前記流入端側から前記流出端側に向けて延設された2以上の延設レールとを有することを特徴とするヘッドスライダ。
(付記2) 延設レールが3以上である付記1に記載のヘッドスライダ。
(付記3) 流入端側レールが、流入端に沿って連続して延設された付記1から2のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記4) 負圧部が、流入端側レールよりも流出端側に位置し、流入端側から流出端側に向けてかつ流入端に沿った幅方向における両端に延設されたサイドレールにより画成された付記1から3のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記5) 延設レールの少なくとも1つにおける流出端側の端部が、サイドレールにおける流出端側の端部よりも流出端側に突出した付記4に記載のヘッドスライダ。
(付記6) 延設レールにおける流出端側の端部が、サイドレールにおける流出端側の端部よりも流出端側に突出した付記4に記載のヘッドスライダ。
(付記7) 延設レールにおいて、幅方向における両端に位置するサイドレールから起算して等数番目にかつ該幅方向の中心付近に位置するものの流出端側の端部が、他の延設レールにおける流出端側の端部よりもよりも流出端側に突出した付記4から6のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記8) 延設レールにおける流出端側の端部が、サイドレール側に位置するものから中央付近に位置するものの順に、漸次、流出端側に突出した付記4から7のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記9) 延設レールにおける流出端側の端部が、幅方向に沿った形状を有する付記1から8のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記10) サイドレール及び延設レールの流出端側の端部における幅方向中点の互いに隣接するものどうしを結んでなる線が、サイドレール側から中央付近にかけて直線となる付記4から9のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記11) 流入端側レールよりも流出端側に、かつ延設レール及びサイドレールよりも流入端側に位置し、使用時に正圧となる流入端側正圧部を有する付記4から10のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記12) 流入端側正圧部が流入端側レールに沿ってかつ該流入端側レールに接して幅方向に延設され、延設レール及びサイドレールにおける流入端側の端部の少なくとも1つが該流入端側正圧部に接した付記4から11のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記13) 延設レール及びサイドレールにおける流入端側の端部の少なくとも2つが、幅方向に延設された連結レールにより互いに連結された付記4から12のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記14) 連結レールが2以上である付記13に記載のヘッドスライダ。
(付記15) 延設レール及びサイドレールが、一定の幅を有する帯形状である付記4から14のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記16) 隣接する延設レール間の距離が、10〜120μmである付記1から15のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記17) 延設レールの幅が、5〜100μmである付記1から16のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記18) 延設レール及びサイドレールよりも流出端側に位置し、使用時に正圧となる流出端側正圧部を有する付記4から17のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記19) 流出端側正圧部を2〜4つ有する付記18に記載のヘッドスライダ。
(付記20) 流出端側正圧部が略ブロック状であり、幅方向の中心付近に位置する流出端側正圧部における流出端側の端部が、他の流出端側正圧部における流出端側の端部よりも流出端側に位置する付記17から19のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記21) 磁気ディスクに対向する面を下方に向けて配置させた際、負圧部よりも、流入端側レール、サイドレール及び延設レールが下方に突出し、該流入端側レール、該サイドレール及び該延設レールよりも、流入端側正圧部が下方に突出した付記4から20に記載のヘッドスライダ。
(付記22) 磁気ディスクに対向する面を下方に向けて配置させた際、負圧部よりも、流入端側レール、サイドレール及び延設レールが下方に突出し、該流入端側レール、該サイドレール及び該延設レールよりも、流入端側正圧部及び流出端側正圧部が下方に突出した付記18から21のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記23) 流出端側正圧部における流入端側に隣接し、かつ該流出端側正圧部よりも低く負圧部よりも突出した流出端側レールを有する付記22に記載のヘッドスライダ。
(付記24) 流出端側レールにおける負圧部との接触端と、サイドレール及び延設レールの流出端側の端部における幅方向中点の互いに隣接するものどうしを結んでなる線とが、互いに略平行である付記25に記載のヘッドスライダ。
(付記25) 流入端側から流出端側に伸びる中心軸を中心とした線対称形状を有する付記1から24のいずれかに記載のヘッドスライダ。
(付記26) 付記1から25のいずれかに記載のヘッドスライダを少なくとも有してなることを特徴とする磁気ディスク装置。
5 磁気ディスク
10 負圧部
11 流入端側レール
12 流入端側正圧部
13 延設レール
13a 連結レール
14 サイドレール
15 流出端側ブロック
16 流出端側正圧部
17 流出端側レール
17a 流出端側レール
100 磁気ディスク装置
110 ハウジング
120 スピンドルモータ
150 シャフト
160 キャリッジアーム
170 アクチュエータ
Claims (8)
- 空気が流入する流入端と、空気が流出する流出端と、該流入端に沿って延設された流入端側レールと、該流入端側レールよりも流出端側に位置し、流入端側から流出端側に向けてかつ流入端に沿った幅方向における両端に延設されたサイドレールと、該サイドレールにより画成されかつ使用時に負圧となる負圧部と、該負圧部においてかつ前記流入端側から前記流出端側に向けて直線状に延設された2以上の延設レールとを有してなり、
該2以上の延設レールが、互いに略等幅であり、
前記延設レールの少なくとも1つにおける流出端側の端部が、前記サイドレールにおける流出端側の端部よりも流出端側に突出したことを特徴とするヘッドスライダ。 - 延設レールにおける流出端側の端部が、サイドレール側に位置するものから中央付近に位置するものの順に、漸次、流出端側に突出した請求項1のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- サイドレール及び延設レールの流出端側の端部における幅方向中点の互いに隣接するものどうしを結んでなる線が、サイドレール側から中央付近にかけて直線となる請求項1から2のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- 流入端側レールよりも流出端側に、かつ延設レール及びサイドレールよりも流入端側に位置し、使用時に正圧となる流入端側正圧部を有する請求項1から3のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- 延設レール及びサイドレールにおける流入端側の端部の少なくとも2つが、幅方向に延設された連結レールにより互いに連結された請求項1から4のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- 延設レール及びサイドレールよりも流出端側に位置し、使用時に正圧となる流出端側正圧部を有する請求項1から5のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- 磁気ディスクに対向する面を下方に向けて配置させた際、負圧部よりも、流入端側レール、サイドレール及び延設レールが下方に突出し、該流入端側レール、該サイドレール及び該延設レールよりも、流入端側正圧部及び流出端側正圧部が下方に突出した請求項1から6のいずれかに記載のヘッドスライダ。
- 請求項1から7のいずれかに記載のヘッドスライダを少なくとも有してなることを特徴とする磁気ディスク装置。
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