JP4198479B2 - 粉体成形用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体成形用樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリウレタン発泡体との接着性に優れ、耐フォギング性を有する粉体成形品を与える粉体成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のインストルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリム、グローブボックスなどの内装品の表皮材は、従来ほとんど軟質塩化ビニル樹脂成形品が使用されてきた。
ところが、最近は、廃品の焼却時に塩化水素を発生することがなく、しかもリサイクル利用の容易なオレフィン系樹脂材料による成形品が望まれるようになっている。そのため各種のオレフィン系樹脂組成物が粉体成形用材料として提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかし、これらによると、得られる成形品は、概して耐光性が悪く、また、従来の軟質塩化ビニル樹脂ほどの柔軟性がなく、軟化剤を添加すると成形品表面にブリードが生じてべたつき易い。また、この成形品を装着した車輛の室内温度が高くなると、軟化剤などが揮散して窓ガラスを曇らせるフォギングを生じるという問題があった。
【0003】
一方、結合スチレン量が20〜50重量%で特定範囲の数平均分子量を有するスチレンとブタジエンのSBS型ブロック共重合体(S:ポリスチレン、B:ポリブタジエン)の水素化物(SEBS)を含む組成物が、自動車の内装品の表皮などの粉体成形用材料として好適であることが報告されている(特許文献3参照)。さらに、上記の水素化物を用いた成形品の耐熱性を改良するためにポリプロピレン樹脂(PP)を配合する方法(特許文献4参照)が提案されている。
【0004】
ところで、かかる粉体成形用樹脂組成物を粉体成形してなる成形品を自動車のインストルメントパネルなどの内装品の表皮材として使用する場合には、該成形品はポリウレタン発泡体で裏打ちされた積層体として一般的に使用されている。しかしながら、従来の粉体成形用樹脂組成物を用いると、ポリウレタン発泡体と表皮材との接着性に難があり、接着性を高める必要があった。
【0005】
そこで、ポリウレタン発泡体と表皮材との接着性を高めるために、粉体成形品(表皮材)の裏面に塩素化ポリプロピレンなどのプライマーを塗布した後、ポリウレタン発泡体を形成する方法がしばしば採用されているが、表皮材とポリウレタン発泡体との接着性は満足できるものではなかった。また、ポリウレタン発泡体との接着性が改善された、ポリプロピレン樹脂、水素添加スチレン・ブタジエンランダム共重合体、エチレン・オクテン共重合体、活性水素を有するオレフィン系ポリマー、相溶化剤としての特定なオレフィン系ブロック共重合体、可塑剤および活性水素とイソシアネートとの反応を促進する触媒からなる粉体成形用エラストマー組成物が提案されている(特許文献5参照)。
【0006】
しかしながら、上記の粉体成形用エラストマー組成物を用いた成形品は、成形品が小さい場合にはポリウレタン発泡体との接着性には問題がないが、自動車のインストルメントパネルのような大型の成形品の場合にはポリウレタン発泡体形成用の金型は大型となり、発泡体形成原料注入口から金型末端までの距離が遠くなり、金型末端部においてはポリウレタン発泡体と予め成形してある粉体成形品との接着が不充分となり、界面で剥離する場合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−1183号公報
【特許文献2】
特開平6−226763号公報
【特許文献3】
特開平5−279484号公報
【特許文献4】
特開平7−82433号公報)
【特許文献5】
特開2001−226542号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、製造が容易で、ポリウレタン発泡体の形成に大型の金型を使用する場合にも該発泡体と粉体成形品(表皮層)との接着性に優れ、しかも耐フォギング性を有する成形品(積層体)を与える粉体成形用樹脂組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討した結果、ポリプロピレン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物、水酸基含有炭化水素系重合体および水酸基とイソシアネート基との反応を促進する触媒とからなる粉体成形用樹脂組成物を用いて表皮層を形成すると、発泡体形成用に大型の金型を使用する場合にも、ポリウレタン発泡体と表皮層との充分な接着が得られ、しかも該表皮層は優れた耐フォギング性を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0010】
かくして本発明によれば、(1)(a)ポリプロピレン樹脂20〜80重量%と、(b)エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分(EPR成分)とポリプロピレンブロック成分(PP成分)からなり、その割合は、PP成分が1〜40重量%、EPR成分が60〜99重量%であり、かつ、EPR成分はエチレンとプロピレンのランダム共重合体からなり、エチレンに基づく単量体単位の割合が10〜40モル%であるオレフィン系熱可塑性エラストマー80〜20重量%とからなるポリプロピレン樹脂組成物20〜80重量部と、(2)芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物80〜20重量部((1)と(2)の合計は100重量部である。)と、(3)1分子当りの平均水酸基数が1〜8個、数平均分子量が500〜20000で、ヨウ素価が100以下である水酸基含有炭化水素系重合体を(1)と(2)の合計100重量部に対して1〜25重量部と、(4)水酸基とイソシアネート基との反応を促進する触媒を(1)と(2)と(3)の合計100重量部に対して0.05〜10重量部とを含んでなる粉体成形用樹脂組成物が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂組成物(1)は、(a)ポリプロピレン樹脂20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%と、(b)オレフィン系熱可塑性エラストマー80〜20重量%、好ましくは70〜30重量%(但し、(a)と(b)の合計は100重量%である。)からなるものである。ポリプロピレン樹脂が少なすぎると耐熱性が低下し、多すぎると脱型時に折れ皺が生じ易くなるので好ましくない。
【0012】
本発明で使用する(a)ポリプロピレン樹脂は、特に限定されないが、プロピレン単独重合体(結晶性)またはプロピレン50重量%以上と炭素数2〜12の他のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。ここで、プロピレンと炭素数2〜12のα−オレフィンとの共重合体には、ランダム共重合体、交互共重合体ならびにリニアおよびラジアルのブロック共重合体が含まれる。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1などが挙げられる。
【0013】
上記(a)ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと記す。)は特に限定されないが、JlS K7210によるMFR(荷重2.16kg、測定温度230℃、単位はg/10minである。)が5以上のものが好ましく、MFRが20以上のものがより好ましい。ポリプロピレン樹脂のMFRが小さすぎると、溶融性が低下して成形品にピンホールが発生する恐れがある。
【0014】
本発明で使用する(b)オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分(EPR成分)とポリプロピレンブロック成分(PP成分)からなり、その割合は、PP成分が1〜40重量%、EPR成分が60〜99重量%であり、かつ、EPR成分はエチレンとプロピレンのランダム共重合体からなり、エチレンに基づく単量体単位の割合が10〜40モル%であるものである(リアクターTPO)。
【0016】
前記プロピレン系ブロック共重合体(リアクターTPO)のエチレン/プロピレン共重合体ブロック成分(EPR成分)とポリプロピレンブロック成分(PP成分)の割合は、PP成分が1〜40重量%、好ましくは5〜20重量%であり、EPR成分が60〜99重量%、好ましくは80〜95重量%である。また、EPR成分はエチレンとプロピレンのランダム共重合体からなり、通常、エチレンに基づく単量体単位の割合が10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%である。さらに、プロピレン系ブロック共重合体の分子量は、135℃、テトラリン溶媒中で測定した極限粘度として6〜30dl/gが好ましく、さらに好ましくは10〜20dl/gである。プロピレン系ブロック共重合体の極限粘度が6dl/g未満では、弾性変形後の回復性が損なわれ、30dl/gを超えると溶融時の流動性が低下し、粉体成形が困難となる。
【0017】
本発明で使用する芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物(2)は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物の少なくとも1種と、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンの少なくとも1種を、ランダムあるいはブロック共重合させて得られるランダム共重合体またはブロック共重合体の共役ジエン単位を水素化して得られるものである。なかでも好ましいのは、ブロック共重合体の水素化物である。
【0018】
上記のランダム共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブロック共重合体としてはABA型のリニアおよびラジアルブロック共重合体(Aはポリスチレン、Bはポリブタジエンまたはポリイソプレン)が好ましい。
上記のブロック共重合体の水素化物としては、SEBS、SEPS(S:ポリスチレン、E:ポリエチレン、B:ポリブチレン、P:ポリプロピレン)と称されるものが挙げられる。これらの水素化物は、通常、重合体鎖中の不飽和二重結合の80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上が水素化されたものである。
芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物中の芳香族ビニル化合物単位の含有量(以下では結合芳香族ビニル量ということがある。)は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。結合芳香族ビニル量が少なすぎると粉体成形の際にブロッキングが生じ易く、多すぎると成形品の硬度が増大する恐れがある。
【0019】
上記のポリプロピレン樹脂組成物(1)と芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物(2)の使用割合は、(1)が20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部、(2)が80〜20重量部、好ましくは70〜30重量部(但し(1)と(2)の合計は100重量部である。)である。ポリプロピレン樹脂組成物(1)が少なすぎると溶融性が低下し、多すぎると折れ皺が生じ易く、また成形品の耐傷付性が低下する傾向がある。
【0020】
本発明の粉体成形用樹脂組成物には、上記の重合体成分(1)と(2)にさらに、(3)水酸基含有炭化水素系重合体が配合される。
本発明で使用する水酸基含有炭化水素系重合体(3)は、分子内に1分子当りの平均水酸基数(以下「水酸基数」という。)が1〜8個の水酸基を有し、数平均分子量が500〜20000の範囲、好ましくは1000〜15000の範囲であり、分子中に含まれる二重結合がヨウ素価で100以下の重合体である。
【0021】
このような水酸基含有炭化水素系重合体の製造方法は、特に制限されず、例えば、各種ビニルモノマー、ジエン系モノマーをラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの重合法で重合し、重合体鎖末端を水酸基化した上で、必要に応じて公知の手法で水素添加する方法が挙げられる。その他の方法としては、イソブチレン−ジエン系モノマー共重合体、あるいはオレフィン(たとえばエチレン、プロピレンなど)−非共役ジエン(または共役ジエン)共重合体を酸化分解した後、還元する方法などが挙げられる。なかでも、水酸基含有ジエン系重合体の水素添加物、例えばポリブタジエンポリオールの二重結合を水素添加して得られる重合体が好ましい。
【0022】
前記水酸基含有ジエン系重合体は、共役ジエンまたは、共役ジエンとビニルモノマーを公知の方法、例えば、ラジカル重合、アニオン重合などによって得ることができる。ラジカル重合による場合、過酸化水素を重合開始剤として重合すれば、直接、生成重合体末端に水酸基を有する共役ジエン系ポリマーまたはコポリマーが得られる。アニオン重合による場合、先ずアニオン重合触媒を用いて末端に、例えば、アルカリ金属が結合したリビングポリマーを重合し、次いでリビングポリマーとモノエポキシ化合物、ホルムアルデヒドなどを反応させた後、加水分解することにより末端に水酸基を有するポリマーを得ることができる。原料の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられるが、なかでも1,3−ブタジエンが好ましい。共重合成分としては、スチレン、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどのビニルモノマーが挙げられる。共重合成分の使用量は総モノマー量の30重量%以下が好ましい。
【0023】
前記水酸基含有ジエン系重合体は、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウなどの水素化触媒を単独であるいは担体に担持して、常法により、水素加圧下において水素添加することができる。その際、粉体成形品とポリウレタン発泡体との充分な密着性、耐候性を得るために、水酸基含有ジエン系重合体中に含まれる二重結合は、ヨウ素価が100以下、好ましくは50以下、さらに好ましくは20以下となるように水素添加することができる。
【0024】
上記の水酸基含有炭化水素系重合体(3)は、市販品(三菱化学社製ポリテール(低分子量ポリオレフィン系ポリオール))があり、入手して使用することができる。
水酸基含有炭化水素系重合体(3)は、前記の重合体成分(1)と(2)の合計100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは2〜15重量部の割合で使用される。この使用量が少なすぎると粉体成形品とポリウレタン発泡体との接着性が不充分となり、多すぎると水酸基含有炭化水素系重合体の分子量によっては成形品表面にブリードする恐れがある。
【0025】
また、本発明においては、水酸基含有炭化水素系重合体(3)とともに、(4)水酸基とイソシアネート基との反応を促進する触媒が配合される。すなわち、粉体成形品とポリウレタン発泡体との接着性を高めるために、ポリウレタン発泡体形成中および形成後に、ポリウレタン発泡体形成原料の一成分であるイソシアネート化合物と上記重合体(3)中の水酸基との反応を促進させる触媒(4)が配合される。
【0026】
この触媒(4)としては、有機スズ化合物、テトラアルキルエチレンジアミン、N,N′−ジアルキルベンジルアミンなどの第3級アミン化合物、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸塩、アルカリ金属のカルボン酸塩などが挙げられる。好ましい触媒は有機スズ化合物であり、なかでもアルキル基の炭素数が3〜10程度のジアルキルスズ脂肪酸塩がより好ましく、ジオクチルスズ脂肪酸塩が特に好ましい。これらの触媒(4)の使用量は、前記の成分(1)、(2)、(3)の合計100重量部当り0.05〜10重量部である。この触媒の使用量が少なすぎると接着性は改良されず、多すぎるとブリードする恐れがある。
【0027】
本発明の粉体成形用樹脂組成物には、所望により各種添加剤を配合することができる。例えば、成形時の脱型性向上および粉体貯蔵時のブロッキング防止のために、バリウムステアレート、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、亜鉛ステアレート、アルミニウムステアレートなどの金属石鹸類、多価アルコールの脂肪酸エステル類を添加することができる。その他の添加剤として、公知の各種安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料などを添加することができる。また、公知の可塑剤もべたついたり、フォギングしたり、成形性を損なわない範囲で添加することができる。
【0028】
さらに、本発明の趣旨が損なわれない範囲で、上記の重合体成分(1)、(2)以外の重合体を併用することもできる。このような重合体としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)、ノルボルネン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。さらに、スチレンなどの芳香族ビニル化合物とエチレン、プロピレンなどのα−オレフィンを特開平3−7705号公報、特開平7−70223号公報や特開平10−168112号公報などに記載の方法で共重合させて得られる芳香族ビニル化合物−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。これらの他の重合体の使用量は、本発明の粉体成形用樹脂組成物中40重量%以下、好ましくは30重量%以下の範囲である。
【0029】
本発明の粉体成形用樹脂組成物は、前記の各成分が前記の割合で含まれている限り、製造方法は特に限定されるものではない。また、使用する各重合体成分の形態や形状なども特に制限されない。製造方法としては、例えば、全重合体成分を一括して混合機に投入して混合し、次いで水酸基含有炭化水素系重合体および触媒と混合する方法;先ずポリプロピレン樹脂組成物を、ロール、一軸あるいは二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの通常の混合機を用いて調製し、これと芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物とを上記と同様にして混合し、さらに残りの成分と混合して製造する方法;などが挙げられる。
【0030】
本発明の粉体成形用樹脂組成物は、粉末状で使用される。粉体成形用樹脂組成物を粉末にするには、ターボミル、ローラミル、ボールミル、遠心力粉砕機、パルベライザーなどの従来公知の粉砕機を用いて粉砕することにより、粉体流動性に優れた粉末状樹脂組成物を調製することができる。粉末の平均粒径は、通常、50〜500μm、好ましくは100〜300μmの範囲である。この平均粒径が小さすぎると粉砕工程の効率が悪い上に貯蔵時に凝集しやすく、逆に大きすぎると、成形品のキメが荒くなり、厚さの薄い成形品の場合にはピンホールが発生し易くなる。
【0031】
このような本発明の粉体成形用樹脂組成物は、粉体スラッシュ成形、流動浸漬成形または粉体回転成形などの種々の粉体成形方法に適用でき、特にインストルメントパネル、ヘッドレスト、コンソールボックス、ドアトリム、アームレストなどの自動車内装品の表層用の成形品、とりわけポリウレタン発泡体と積層して使用される成形品用の粉体成形用材料として好適に使用することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部数および%は特に断りのない限り重量基準である。また、試験方法は下記のとおりである。
【0033】
(1)ポリウレタン発泡体との接着性
粉体成形用樹脂組成物を、常法に従ってスラッシュ成形して作製した厚さ1mmのシート状成形品から150×150mmの試験片を2枚切り取り、2枚の試験片を内寸800(縦)×150(横)×10(深さ)mmのアルミ製金型(蓋付き)に、発泡ポリウレタン形成液注入口(縦方向の一方の端部の中央部に設けた)から試験片の遠方端面までの距離が600mm、200mmとなるように置き、金型を40℃に保持した。発泡ポリウレタン形成液(ポリメリックMDI(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、官能基数2.7)173.2g、ポリエーテルポリオール(3官能性、水酸基価50)(トリエチレンジアミン1.0%、水1.6%を含む)352.0gの混合物)を注ぎ、金型を密閉する。金型を4分放置した後、金型からポリウレタン発泡層が積層した試験片を取り出し、試験片を発泡層から剥し、凝集破壊した発泡層の面積を測り、試験片の全面積に占める割合を求める。この割合が大きいほど接着性は良好である。接着性を下記のように表示する。
○:90〜100%
△:80%〜90%未満
×:80%未満
【0034】
(2)耐フォギング性
(1)のシート状成形品から切り取った直径80mmの円板を、内径80mm深さ200mmのガラス製円筒容器の底部に置き、容器の蓋を兼ねたガラス製板で容器を密閉する。ガラス製板を20℃に冷却しながら、この容器を100℃のオイルバスに浸漬、加熱する。3時間加熱後、ガラス製板を容器より外し、室温で1時間放置した後、グロスをグロスメータ(東京電色社製グロスメータGP−6)で60°反射率を測定し、下記式よりガラス製板の霞度を算出する。
耐フォギング性を以下のように表示する。霞度が高い程フォギングし難いことを示す。
○:90%以上
△:80%以上、90%未満
×:80%未満
【0035】
実施例1、2、比較例1、2
表1に示す種類および量の各成分を二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35B)により混練し、ペレット化した後、ターボミルにて粉砕し、粉末状の粉体成形用樹脂組成物をそれぞれ得た。得られた各粉末状樹脂組成物を用い、スラッシュ成形して得られたシート状成形品を用いてポリウレタン発泡体との接着性および耐フォギング性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
(注)(1)サンアロマー社製 PM940M(MFR=30)
(2)トクヤマ社製 P.E.R.M142E(リアクターTPO)
(3)旭化成社製 タフテックH1221(結合スチレン量12%)
(4)三菱化学社製 ポリテールH(水酸基価37〜53、ヨウ素価5以下、分子鎖両末端に水酸基を有する)
(5)三共有機合成社製 SCAT−46A
(6)三共有機合成社製 STANN SNT−1F
【0037】
表1からPP樹脂組成物とSEBSとの混合物に水酸基含有炭化水素系重合体および触媒を配合した場合は、金型の注入口からの距離によらずポリウレタン発泡体との接着性は良好であり、耐フォギング性にも優れる(実施例1、2)。
一方、水酸基含有炭化水素系重合体および触媒を用いない場合、水酸基含有炭化水素系重合体と触媒を併用しない場合は、ポリウレタン発泡体との接着性が劣った(比較例1、2)。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリウレタン発泡体の形成に大型金型を用いた場合でも、ポリウレタン発泡体との接着性に優れ、耐フォギング性を有する粉体成形品が得られる粉体成形用樹脂組成物が提供される。
Claims (4)
- (1)(a)ポリプロピレン樹脂20〜80重量%と、(b)エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分(EPR成分)とポリプロピレンブロック成分(PP成分)からなり、その割合は、PP成分が1〜40重量%、EPR成分が60〜99重量%であり、かつ、EPR成分はエチレンとプロピレンのランダム共重合体からなり、エチレンに基づく単量体単位の割合が10〜40モル%であるオレフィン系熱可塑性エラストマー80〜20重量%とからなるポリプロピレン樹脂組成物20〜80重量部と、(2)芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物80〜20重量部((1)と(2)の合計は100重量部である。)と、(3)1分子当りの平均水酸基数が1〜8個、数平均分子量が500〜20000で、ヨウ素価が100以下である水酸基含有炭化水素系重合体を(1)と(2)の合計100重量部に対して1〜25重量部と、(4)水酸基とイソシアネート基との反応を促進する触媒を(1)と(2)と(3)の合計100重量部に対して0.05〜10重量部とを含んでなる粉体成形用樹脂組成物。
- 芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物が、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素化物である請求項1に記載の粉体成形用樹脂組成物。
- 水酸基含有炭化水素系重合体が、両末端に水酸基を有するポリブタジエンの水素添加物である請求項1に記載の粉体成形用樹脂組成物。
- 上記の触媒が有機スズ化合物である請求項1に記載の粉体成形用樹脂組成物。
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