JP4198364B2 - 遊技球発射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技球発射装置に関し、特に、遊技球を遊技領域へ打ち出すための槌部材の構造改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ遊技機等では、遊技球を遊技盤の遊技領域へ送り出すのに、棒状の槌部材の先端で遊技球を打っている。この槌部材は通常金属製で、防錆用の油を塗布しているが、使用期間が長くなると油が消失して錆が発生し、これが遊技球を打ち出す際の弾発力に影響して打ち出し性能が劣化することがあった。そこで、槌部材の先端部を、所定の弾発力を有するコイルバネとしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、コイルバネは遊技球との芯出し調整を正確に行わないと所望の打ち出し性能が得られないため、この調整に多大の手間を要するという問題があった。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、芯出し等の調整の手間を要することなく所望の打ち出し性能を容易に得ることができるとともに、錆等による打ち出し性能の低下を来すことなく所望の打ち出し性能を長く維持できる遊技球発射装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、先端面で遊技球(M)を打ってこれを遊技盤の遊技領域に送り出す棒状の槌部材(3)を備えた遊技球発射装置において、槌部材(3)の少なくとも先端(32)部に、先端閉鎖の樹脂製鞘部材(4)を覆着するとともに、槌部材(3)ないし鞘部材(4)のいずれかに、鞘部材(4)覆着時に槌部材(3)の先端(32)により閉鎖される鞘部材内空間(S)を外気に連通させるための空気抜き手段(31)を設け、空気抜き手段を、鞘部材(4)の内周面が接する槌部材(3)の外周面にその先端から基端へ向け螺旋状に形成された溝(31)で構成する。ここで「樹脂」にはエラストマーが含まれる。
【0006】
本発明においては、槌部材に鞘部材を覆着する際に鞘部材内空間が槌部材の先端によって閉鎖されても、空気抜き手段によって鞘部材内空間は外気に連通させられているから、槌部材の相対的進入による鞘部材内空間の容積縮小に伴って、当該鞘部材内空間の空気が外方へ流出させられる。これにより、槌部材に覆着された鞘部材内に空気が残留することはないから、遊技球と衝突した鞘部材は所望の弾発力を発揮して遊技球を良好に打ち出すことができる。本発明によれば、従来のコイルバネを使用した場合のような調整の手間を要しないとともに、錆を生じることがないから、良好な打ち出し性能を長く維持することができる。螺旋状の溝の形成は旋盤等を使用して容易に行うことができるとともに、上記溝は鞘部材の抜け方向、すなわち槌部材の軸方向に対して交差する方向へ延びているから、鞘部材の抜けを有効に防止することができる。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
パチンコ遊技機等においては、調整が容易、ストロークが十分確保できる、発生トルクが大きい等の利点に鑑みてスイングアーム式の遊技球発射装置が多用されており、その一例を図1に示す。図1において、遊技球発射装置1は略四角形の板状取付ブラケット11上に設けられており、取付ブラケット11は外周部の複数箇所で遊技盤の保持枠前面等に固定される。取付ブラケット11の裏面にはロータリソレノイド(図示略)が取り付けられており、その出力軸12が取付ブラケット11を貫通して前方へ突出して、これにスイングアーム2の基端が固定されている。スイングアーム2は自重によって取付ブラケット11の板面に平行に下方へ延びており、側方へやや屈曲するアーム先端部21の背面(下面)が、取付ブラケット11上に設けられたストッパ部材13に当接して待機位置に保持されている。アーム先端部21の前面(上面)にはこれに対し略直角に斜め上方へ突出して、詳細を後述する槌部材3が設けられており、槌部材3には鞘部材4が覆着されている。
【0011】
取付ブラケット11上には斜め上方へ向けて発射レール5とこれと平行に球受け部材6とが設けられており、遊技球Bは紙面手前側から供給されて球受け部材6の凹所61から発射レール3上へ転動し、球受け部材6の喉突起62の部分で公知の構造によって位置決めされる。スイングアーム2はロータリソレノイドにより上方へ旋回駆動されて、鎖線で示すように基端凸部22がストッパ部材14に当接する進出位置へ至り、この進出位置にて、スイングアーム2の槌部材3、すなわちこれに覆着された鞘部材4の先端面42が上記遊技球Bに衝突させられる。これにより、遊技球Bは発射レール3に沿って斜め上方へ打ち出されて遊技盤の図略の遊技領域へ送り出される。
【0012】
図2に槌部材3とこれに覆着された鞘部材4の詳細を示す。槌部材3は先端32を面取りした円形断面の金属製棒体で、その基端はスイングアーム2の先端部21に埋設固定されている。そして、槌部材3の外周面には先端から基端へ螺旋状に溝31が形成されている。
【0013】
槌部材3に覆着された鞘部材4は所定の弾性を有する樹脂材を図3、図4に示すように、先端閉鎖の円筒形に成形したもので、本実施形態では樹脂材としてポリエステルを使用している。鞘部材4の先端部41外周は先端へ向けて漸次縮径し、遊技球Mに衝突してこれを打ち出す先端面42は平面となっている。このような鞘部材4の内径D1は槌部材3の外径D2(図2)よりもやや小さくしてあり、鞘部材4を槌部材3に覆着する場合には図5に示すように、鞘部材4の開口43を槌部材3の先端に当ててエアシリンダ等を使用して鞘部材4を槌部材3に向けて押し込む。
【0014】
これにより、槌部材3は鞘部材4の開口43を押し拡げつつ相対的に鞘部材4の筒内へ圧入される。この時、鞘部材4の筒内空間Sは槌部材3の先端32によって閉鎖されるため当該筒内空間S内の空気が外へ逃げることができず、鞘部材4内に残留してしまうおそれがある。このように空気が残留すると、先端面42が遊技球Mに衝突した際に所望の弾発力が発揮されず、遊技球Mの打ち出しが良好に行われない。
【0015】
ここにおいて、本実施形態では既述のように槌部材3の外周に先端から基端へ螺旋状に溝31が形成してあるから、開口43内に槌部材3の先端32が圧入された際に当該先端32によって閉鎖される鞘部材4の筒内空間Sは上記溝31によって常に外気に連通させられている。したがって、槌部材3の進入に伴って筒内空間Sの容積が縮小すると、内部の空気は溝31を経て図5の矢印のように外方へ流出させられる。このようにして、槌部材3に覆着された鞘部材4内に空気が残留することはないから、遊技球Mと衝突した鞘部材4は所望の弾発力を発揮して遊技球Mを良好に打ち出すことができる。
【0016】
本実施形態では鞘部材4をポリエステル製としたから、錆を生じることがない上に温度変化による特性変化が少なく、かつ耐摩耗性にも優れているから、所望の弾発力を長期に亘って維持することができる。また、槌部材3外周へ螺旋状の溝31を形成するのは旋盤等を使用して容易に行うことができるとともに、螺旋状の溝31は鞘部材4の抜け方向、すなわち槌部材3の軸方向に対して交差する方向へ延びているから、鞘部材4の抜けを有効に防止できる。
【0017】
なお、空気抜きのための溝31は槌部材3の軸方向へ直線状に延びるものであっても良い。また、このような空気抜き用の溝を鞘部材4の内周面に形成することもできる。さらに、溝に代えて、鞘部材4の先端の一部に空気抜きのための穴を形成するようにしても良い。鞘部材4は必ずしも槌部材3の全体に覆着する必要はなく先端部のみに覆着しても良いが、槌部材3全体に覆着した方が鞘部材4の抜けを防止するには有利である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明の遊技球発射装置によれば、芯出し等の調整の手間を要することなく所望の打ち出し性能を容易に得ることができるとともに、錆等による打ち出し性能の低下を来すことなく所望の打ち出し性能を長く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す遊技球発射装置の全体側面図である。
【図2】 槌部材とこれに覆着された鞘部材を示す部分断面側面図である。
【図3】鞘部材の側面図である。
【図4】鞘部材の正面図である。
【図5】鞘部材覆着時の部分断面側面図である。
【符号の説明】
1…遊技球発射装置、2…スイングアーム、3…槌部材、31…溝、32…先端、4…鞘部材、M…遊技球。
Claims (1)
- 先端面で遊技球を打ってこれを遊技盤の遊技領域に送り出す棒状の槌部材を備えた遊技球発射装置において、前記槌部材の少なくとも先端部に、先端閉鎖の樹脂製鞘部材を覆着するとともに、前記槌部材ないし前記鞘部材のいずれかに、鞘部材覆着時に前記槌部材の先端により閉鎖される鞘部材内空間を外気に連通させるための空気抜き手段を設け、前記空気抜き手段を、前記鞘部材の内周面が接する前記槌部材の外周面にその先端から基端へ向け螺旋状に形成された溝で構成したことを特徴とする遊技球発射装置。
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