JP4196537B2 - リニアサーボアクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクトリーオートメーション(FA)分野や半導体デバイスのハンドラ等において用いられるリニアサーボアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体部品の搬送装置等では、ストッカから半導体部品を取出すときに上下移動の動作が行われる。それには通常リニアアクチュエータが使用されるが、小型であることが条件となっているため、リニアアクチュエータとして通常エアシリンダが用いられていた。
【0003】
図12にエアシリンダを用いたリニアアクチュエータの構成例を示す。ピストン1はシリンダ2に供給される圧縮空気によりA−A’方向に上下移動を行なう。例えば、シリンダ2に圧縮空気を供給したときは、ピストン1がシリンダ2から押し出されて下方へ移動し、圧縮空気の供給を停止したときはシリンダ2内にあるばね(図示せず)の復元力によりピストン1がシリンダ2内に引き込まれる。
【0004】
空気供給手段3はシリンダ2に圧縮空気を供給する。レール4はシリンダ2に固定されていて、上下方向に延びている。スライダ5はレール4に移動自在に取り付けられていて、ピストン1と連結されている。レール4およびガイド5はピストン1の移動方向が上下方向になるようにガイドするために設けられている。
【0005】
吸着手段6は、ピストン1の下端に取り付けられており、ピストン1が下方に移動してストッカ7にある部品8に押し付けられると、部品8を吸着する。吸着した状態でピストン1が上方に移動すると、部品8がストッカ7から取出される。吸着手段6の上記吸着動作は空気供給手段3の供給空気圧を利用して行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のリニアアクチュエータでは次のような課題があった。
(1)ピストン1の上下方向の位置決めは機械的ストッパによって実現しているため、任意の位置に位置決めできない。
(2)ピストン1とシリンダ2、およびレール4とスライダ5の部分が接触しているため、摩耗により寿命が短くなる。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、プラテン部にリニアパルスモータを形成すると共にこのリニアパルスモータ部に空気軸受けを設けてスライダがプラテン上をある空隙をもって浮上して移動するようにし、かつ位置センサとして磁歪ポテンショを用いることにより、長寿命で信頼性が高く、高精度で位置決めすることのできるリニアサーボアクチュエータを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な構造によりリニアパルスモータが可動範囲を越えたとき自動的に制動してリニアパルスモータの動きを停止することのできるリニアサーボアクチュエータを提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、前記空気軸受けの構造をV字型にすることによりスライダのスライド方向に対して直角な方向の動きを拘束することができるようにしたリニアサーボアクチュエータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1の発明では、プラテン上に載置されたスライダに対象物を取り付け、プラテンの長手方向に対象物を移動させるリニアサーボアクチュエータであって、前記スライダは前記プラテンとの間で吸引力を生じるバイアスマグネットを備え、空気軸受けにより支持されて前記プラテンの長手方向に移動自在に形成され、前記プラテンは前記スライダの位置を検出する磁歪ポテンショ部を備え、前記スライダの可動範囲を越える箇所に前記空気軸受けの空気が抜ける通気孔が形成され、前記スライダの位置と指令位置との偏差をもとにそのスライダの位置をフィードバック制御する位置制御部を具備したことを特徴とする。
【0011】
スライダはプラテンに対して空気軸受けにより支持されているため、摩擦の影響がなく、長寿命で信頼性が高く、また負荷が少ないので制御性が高められる。
また、従来のエアシリンダ方式では機械的ストッパで位置決めしていたため任意の位置に位置決めできなかったが、本発明では磁歪ポテンショ部を備え、その検出信号をもとにリニアパルスモータの位置をフィードバック制御するため、高精度で任意の位置に位置決めできる。
【0012】
また、前記プラテンにスライダの可動範囲を越える箇所に空気軸受け用の空気を排出するための通気孔を設けているので、前記スライダの可動範囲を越える移動を簡単な機構で容易に制動することができる。
【0013】
更に、前記プラテンには請求項2のように前記通気孔から流出する空気を検出する空気流検出センサを備えれば、スライダのオーバーランを容易に検出することができる。
【0014】
また、前記プラテンに請求項3のように通気孔を塞ぐかまたは通気孔に逆から空気を吹き込む機構を備えると、オーバーランした後の復旧作業が簡単になる。
【0015】
プラテンとスライダの対向面は請求項4のように平面または曲面またはV字型または台形状のいずれでもよく、特にV字型または台形状にした場合は改めてガイドを用いなくてもスライダの移動方向に対して直角な方向の動きを容易に拘束することができる。
【0016】
また、フィードバック制御する位置制御部は、請求項5のように、転流制御、位置制御および速度制御を行うように構成することができる。
【0017】
そして、フィードバック制御する位置制御部を、請求項6のように、スライダの位置の検出信号を微分してスライダの移動速度を検出する速度検出手段と、スライダの位置と指令位置との偏差の信号とこの速度検出手段の出力信号との偏差をもとにスライダの速度をフィードバック制御する速度制御部を備えるように構成することもできる。
【0018】
また、請求項7のように、フィードバック制御する位置制御部には、N=(Sn−So)/ΔSによりNを求め、更にこの演算値Nの小数部分に360を掛けて前記プラテンの歯とリニアパルスモータの歯の位相ずれを求める位相ずれ検出手段と、この位相ずれ検出手段で検出した位相ずれをもとにリニアパルスモータを転流制御する転流制御部を設けることもできる。
【0019】
また、請求項8のように、フィードバック制御する位置制御部には、入力されるアナログ位置指令信号に対応してリニアパルスモータ部30の動作特性に見合った指令値パターンを生成する加減速パターン制御部を備えることもできる。このようなパターン制御を行うと、リニアパルスモータの最適駆動が可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係るリニアサーボアクチュエータの一実施例を示す構成図である。図において、10は加減速パターン制御部、20はデジタルサーボ制御部、30はリニアパルスモータ部である。
【0021】
加減速パターン制御部10は、入力されるアナログ位置指令信号に対応して、リニアパルスモータ部30の動作特性に見合った指令値パターンを生成する。指令値パターンの例を図2に示す。アナログ位置指令信号の0〜5Vがリニアアクチュエータの0〜フルスケールに対応するが、アナログ位置指令がVAのときは波形Aのようなパターンを、アナログ位置指令がVBのときは波形Bのようなパターンを生成する。
【0022】
なお、この加減速パターン制御部10は、デジタルサーボ制御部20の入力段に含めてもよい。
【0023】
デジタルサーボ制御部20は、加減速パターン制御部10の出力を目標値として受け、この目標値の信号とリニアパルスモータ部30から帰還されるポテンショ信号との偏差が0となるようにリニアパルスモータを駆動制御するフィードバック制御を行なう。
なお、デジタルサーボ制御部20の構成については後で詳述する。
【0024】
リニアパルスモータ部30は、パルスモータ部に空気軸受けを設けプラテン上をある空隙をもって浮上し自在に移動できるように構成されると共に磁歪ポテンショが取り付けられパルスモータの位置が検出できるように構成されている。
【0025】
図3にリニアパルスモータ部30の機械的構成を示す。リニアパルスモータ部30は、プラテン301、スライダ303、磁歪ポテンショ部310から構成される。
スライダ303には対象物(図示せず)が取り付けられるが、プラテン301の長手方向に移動自在に取り付けられている。
【0026】
スライダ303にはリニアパルスモータ304が一体に形成されている。そのリニアパルスモータ304には歯(図示せず)が設けられていて、プラテン301の歯302(一部を図示)と対向するように配置されている。プラテン301の歯302は、図示のようにV字型(図示の場合は逆V字型)の斜面にプラテンの長手方向へ一定のピッチで形成されたものである。
【0027】
図4はリニアパルスモータ304に取り付けられた歯305の1ブロックの斜視図である。このような歯305はプラテン301の歯302と同じピッチに形成され、プラテン301の斜面に対向するように配置されている。この歯305と302の間に磁気吸引力を生じさせることにより、スライダ303をプラテン301に沿って移動させることができる。
【0028】
スライダ303はプラテン301に支持されているが、摩擦を減らすために空気軸受けによりプラテン301に支持されている。306,307は空気送入口で、ここから空気を送入して、スライダ303をプラテン301から僅かに浮上させる。
【0029】
磁歪ポテンショ部310は、図3(b)に示すようにプラテン301の裏側に取り付けられていて、スライダ301の移動位置を検出するものである。
この磁歪ポテンショ部310は磁歪スケール311と磁歪ヘッド312を要部とするもので、磁歪スケール311は磁歪材料で形成されプラテン301と並行して配置されている。磁歪ヘッド312は、スライダ303に搭載され磁歪スケール311内に超音波信号を発生させ、この超音波信号が磁歪スケール311の両端に到達するまでに要した時間をもとにスライダ303の絶対位置を検出することができるように構成されている。
【0030】
図5は磁歪ポテンショ部310による位置検出原理の説明図である。磁歪ヘッド312中のパルス発生器313から励振コイル314に励振パルスを印加して磁歪スケール311内にパルス信号を発生させる。励振コイル314はスライダ303(図3参照)と一体的に移動する。
【0031】
受信コイル315,316は磁歪スケール311の両端に配置され、磁歪スケール311を伝播したパルス信号を検出する。比較増幅器317,318は、受信コイル315,316で受信したパルス波形を整形する。
位置検出手段319は励振コイル314でパルス信号を発生させてから受信コイル315,316でパルス信号を検出するまでの時間をもとにスライダ303の絶対位置を検出する。
【0032】
次に、位置の検出の仕方について説明する。励振コイル314の位置から磁歪スケール311の端までの距離をそれぞれL1,L2とし、その距離をパルス信号が伝播した時間をそれぞれT,T2とすると、次式が成立する。
L1=T1・v
L2=T2・v
ただし、vはパルスが磁歪スケール311を伝播する速度
【0033】
ここで、P=(T1−T2)/(T1+T2)とすると、
P=(2L1−L)/L
ただし、L=L1+L2
である。変形すると、
L1={L(P+1)}/2 ……(1)
となる。
【0034】
(1)式において、T1,T2が既知であり、したがってPも既知であり、またLも既知であるから、距離L1が求まる。
【0035】
図6はデジタルサーボ制御部20の詳細を示す構成ブロック図である。図6において、アナログ/デジタル変換器(以下A/D変換器という)200は加減速パターン制御部10(図1参照)からのアナログ電圧の位置指令信号をデジタル信号に変換する。
【0036】
磁歪インタフェイス部(以下磁歪I/F部という)202は磁歪ポテンショ部310とこの制御部とを接続するインタフェイスで、速度検出手段203と位相ずれ検出手段204を備え、リニアパルスモータ304(図3参照)の位置制御、速度制御および転流制御を行なうための信号を生成する。
【0037】
速度検出手段203は、位置検出手段319(図5参照)で得られた位置検出信号を微分してスライダ303(図3参照)の移動速度を検出する。
【0038】
位相ずれ検出手段204は次の演算を行ってリニアパルスモータの歯の位相ずれを求める。
N=(Sn−So)/ΔS ……(2)
ここに、So:プラテン301の歯302とリニアパルスモータの歯305の位相を合わせたときの位置検出手段319の検出値
Sn:位置決め動作において得られた位置検出手段319の検出値
ΔS:スライダ303がプラテン301の歯302の1ピッチ分だけ移動したときにおける位置検出手段319の検出値の変化量
上記(2)式の演算値Nの小数部分に360を掛けて歯302と305の位相ずれを求める。
【0039】
減算器201はA/D変換器200が出力した指令位置と位置検出手段319の検出位置の偏差を求める。位置制御部205はこの偏差をもとにリニアパルスモータ304を位置フィードバック制御するための制御信号を出力する。
減算器206は位置制御部205の制御信号と速度検出手段203の出力の偏差をとる。速度制御部207は減算器206でとった偏差をもとにリニアパルスモータ304を速度フィードバック制御するための制御信号を出力する。
【0040】
sinテーブル208には位相ずれ量と正弦値(sin値)が対応して格納されている。リニアパルスモータ304が3相モータである場合、位相ずれ検出手段204から位相ずれ量が与えられると、sinテーブル208からsin(θ+120゜)とsin(θ−120゜)の値が読み出される。θは位相ずれ量によって変わる角度である。
【0041】
掛算噐209,210は、速度制御部207によって得られた信号を入力信号とすると共に、sinテーブル208から読み出したsin(θ+120゜)とsin(θ−120゜)の値をゲイン設定信号として、Isin(θ+120゜)とIsin(θ−120゜)なる電流指令値(Iは電流振幅)を出力する。
【0042】
上記2つの指令値の位相が120゜ずれているのは、モータが3相モータであるためである。相数が異なる場合は位相ずれは他の値になる。例えば、2相モータの場合、2つの指令値の位相は180゜ずれている。
【0043】
電流センサ211,212はリニアパルスモータ304のコイルL1,L2に流れるコイル電流を検出する。
減算器213,214では、2つの電流指令値Isin(θ+120゜)とIsin(θ−120゜)と、2つの電流センサ211と212の検出値のそれぞれの偏差をとる。
【0044】
パルス幅変調回路(以下パルス幅変調をPWMと略す)215,216は、減算器213,214の出力をもとにモータコイルの励磁電流をフィードバック制御するためのPWM信号を生成して出力する。
減算器217は、PWM回路215と216のPWM出力信号の差をとる。PWM回路218はその差に対応したPWM信号を生成する。
【0045】
駆動回路219は、ブリッジ型のインバータ回路であり、PWM回路215,216,218の3相のPWM信号をもとにリニアパルスモータ304を駆動する。
なお、sinテーブル208、掛算器209,210、減算器213,214,217、PWM回路215,216,218および駆動回路219からなる部分をここでは転流制御部と呼ぶ。
【0046】
このような構成における動作を次に説明する。プラテン301の歯302とリニアパルスモータ304の歯305の位相のずれ量とsin(θ+120゜)とsin(θ−120゜)の値をあらかじめ対応付けてsinテーブル208に格納しておく。スライダ303の移動に伴って位相ずれ検出手段204の検出値(位相ずれ)が変わるのに応じて電流指令値Isin(θ+120゜)およびIsin(θ−120゜)の値を変え、転流制御を行う。
【0047】
また、位置検出手段319の検出位置と指令位置の偏差をもとに位置制御部205はリニアパルスモータ304のスライダ303の位置をフィードバック制御する。位置制御部205の出力(指令速度)と速度検出手段203の検出速度の偏差をもとに速度制御部207はリニアパルスモータ304のスライダ303の移動速度をフィードバック制御する。
【0048】
このように磁歪I/F部202は、転流制御、位置制御および速度制御のための信号を生成し、生成した信号を用いてリニアパルスモータ304の転流制御、位置制御および速度制御を行う。
【0049】
このとき、リニアパルスモータ304は、空気送入口306,307から空気が送入されて空気軸受けが実現され、プラテン301上をある空隙をもって浮上して移動する。このような構造とすることにより、摩擦の影響が無く、長寿命で信頼性の高いリニアパルスモータが実現できる。また、負荷が少ないので制御性が高められる。
【0050】
更に、空気軸受けの構造がV字型に形成されているため、スライド方向に対して直角方向の動きが拘束される。ガイドを用いないで前記直角方向の動きを拘束できるので、リニアパルスモータ部のコストダウンが可能になるという利点もある。
【0051】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【0052】
例えば、磁歪ポテンショ部は図7のような構成とすることもできる。この磁歪ポテンショでは、励振コイル314を磁歪スケール311の端部に固定配置し、受信コイル315を磁歪ヘッド312に搭載する。
【0053】
図8は励振パルスおよび受信コイル315の受信パルスの信号波形のタイムチャートである。スライダ303の位置から磁歪スケール311の左端および右端までの距離をそれぞれYおよびXとし、磁歪スケール311の全長をLとする。
【0054】
受信コイル315は、励振コイル314が励振パルスを発生させてから時間T1(=X/v)後に最初のパルスを受信し、時間T2(=X+2Y)後に2番目のパルスを受信したとする。2番目のパルスは磁歪スケール311の端部で反射されたパルスである。
【0055】
ここで、P=(T1−T2)/(T1+T2)とすると、
P=(X/L)−1
である。変形すると、
X=L(P+1) ……(3)
となる。PとLは既知であるから(3)式から距離Xすなわちスライダ303の位置が求められる。
【0056】
また、加減速パターン制御部10に与えるアナログ位置指令の入力は、図9に示すような構成により、連続的な位置指令の入力だけでなく離散的な位置指令での入力もできるようにして構わない。
【0057】
図9において、101は多点の選択接点(設定位置)に対応した位置指令信号を発生する離散的位置指令信号発生器である。102はこの離散的位置指令信号発生器からの位置指令信号かまたは連続的なアナログ位置指令信号かのいずれかを選択するスイッチで、選択した信号は加減速パターン制御部10に入力される。
【0058】
また、スライダ303の移動用の歯302と305は、必ずしもプラテン301のV字型の斜面およびその対向面に設ける必要はない。例えば、前記V字型を台形状に変え、台形の平面部に歯を設け、空気軸受けによりスライダ303が移動できるように構成してもよい。
【0059】
あるいはまた、プラテン301のスライダ303との対向面は、V字型や台形状に限らず、平面あるいは任意の曲面とすることもできる。
【0060】
また、プラテンを図10に示すような構成とすることもできる。スライダ303は、その位置が位置検出手段319(図5参照)で検出され可動範囲内を動くように制御されているが、リニアパルスモータの動作中に電源供給が停止(以下、単に停電という)した場合あるいは垂直運動で使用中に停電があった場合には、次のような不都合が生じる。
【0061】
停電と同時に空気軸受けの空気流量を制御している電磁弁(図示せず)を閉じて空気を遮断しリニアパルスモータを停止させようとしても、電磁弁内部の動作遅れのためにリニアパルスモータが可動範囲を越えて移動してしまうことがある。そのようなオーバーランがあると、作業中のワークを破壊したり、事故に繋がる恐れがある。
【0062】
図10に示す構成によれば、可動範囲を越えると自動的に空気軸受けが機能しなくなり、磁気吸着力によりスライダのリニアパルスモータはプラテンに吸着されて停止する。以下詳しく説明する。
【0063】
プラテン301aの可動範囲Aを越えたところに通気孔321を設ける。図10の例では、可動範囲の両側に2個ずつの通気孔が形成されている。両側の2つの通気孔321はそれぞれプラテン301aの側面に形成された孔322に通じている。
スライダ303が可動範囲を越えると空気軸受けの空気が通気孔321を通って側面の孔322から排除されるため、空気軸受けはその機能を失う。
【0064】
正常時のプラテン301aとスライダ303は、スライダに組み込まれたモータ内部にあるバイアスマグネット(図示せず)により吸引されていて空気軸受けの空気圧と釣り合っているが、空気軸受けの空気圧がなくなるとスライダ303はマグネットの吸引力によりプラテン301aに吸着され、その位置で停止する。
このように、スライダ303が可動範囲を越えて駆動されると、可動範囲を越えないように自動的に制動が加えられる。
【0065】
なお、プラテン301aの側面の孔322に図11に示すような空気流検出センサ323を取付けておくと、可動範囲を越えてスライダが止まったことを直ちに検知することができる。孔322に空気が流れると音が出る笛のような機構を装着すれば簡便なアラーム機構を実現することもできる。
【0066】
モータ停止の原因を除去した後再びスライダを動かそうとしても、そのままでは空気軸受けが機能しないため動かない。孔322を塞ぐか、あるいは孔322から逆に空気を送り込むかすると、空気軸受けが機能するようになる。その状態でスライダ303を適切な位置に移動させると復旧作業の完了となる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば次のような効果がある。
(1)任意の位置に高精度で位置決めすることができる。
(2)リニアパルスモータに空気軸受けを採用したため、摩擦の影響がなく、長寿命で、信頼性が高い。
(3)負荷が少ないため、制御性が高められる。
(4)空気軸受けの構造をV字型にした場合は、スライド方向に対して直角方向の動きが拘束されるためガイドが不要となり、コストダウンが図れる。
(5)プラテンに通気孔を設けると、簡単な機構でありながら容易にスライダの可動範囲を越えないように制動を加えることができる。また、異常停止したときは、空気排出用の孔を塞ぐか逆にこの孔から空気を送り込むかするだけで、簡単に正常動作への復旧作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリニアサーボアクチュエータの一実施例を示す構成図である。
【図2】指令値パターン例を示す図である。
【図3】リニアパルスモータ部30の機械的構成を示す図である。
【図4】リニアパルスモータに取り付けられた歯の斜視図である。
【図5】磁歪ポテンショ部による位置検出原理の説明図である。
【図6】デジタルサーボ制御部の詳細を示す構成ブロック図である。
【図7】磁歪ポテンショ部の他の実施例図である。
【図8】図7の構成における信号波形のタイムチャートである。
【図9】位置指令入力部の実施例図である。
【図10】プラテンの他の実施例図である。
【図11】プラテンの更に他の実施例図である。
【図12】従来のリニアアクチュエータの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
10 加減速パターン制御部
20 デジタルサーボ制御部
30 リニアパルスモータ部
101 離散的位置指令信号発生器
102 スイッチ
200 A/D変換器
201,206,213,214,217 減算器
202 磁歪I/F部
203 速度検出手段
204 位相ずれ検出手段
205 位置制御部
207 速度制御部
208 sinテーブル
209,210 掛算噐
211,212 電流センサ
215,216,218 PWM回路
219 駆動回路
301,301a プラテン
302,305 歯
303 スライダ
304 リニアパルスモータ
306,307 空気送入口
310 磁歪ポテンショ部
311 磁歪スケール
312 磁歪ヘッド
313 パルス発生器
314 励振コイル
315,316 受信コイル
319 位置検出手段
321 通気孔
322 孔
323 空気流検出センサ
Claims (8)
- プラテン上に載置されたスライダに対象物を取り付け、プラテンの長手方向に対象物を移動させるリニアサーボアクチュエータであって、
前記スライダは前記プラテンとの間で吸引力を生じるバイアスマグネットを備え、空気軸受けにより支持されて前記プラテンの長手方向に移動自在に形成され、
前記プラテンは前記スライダの位置を検出する磁歪ポテンショ部を備え、前記スライダの可動範囲を越える箇所に前記空気軸受けの空気が抜ける通気孔が形成され、
前記スライダの位置と指令位置との偏差をもとにそのスライダの位置をフィードバック制御する位置制御部
を具備したことを特徴とするリニアサーボアクチュエータ。 - 前記プラテンは、前記通気孔からの空気の流出を検出する空気流検出センサを備えたことを特徴とする請求項1記載のリニアサーボアクチュエータ。
- 前記プラテンは、前記通気孔を塞ぐかまたは通気孔に逆から空気を吹き込む機構を備えたことを特徴とする請求項1記載のリニアサーボアクチュエータ。
- 前記プラテンとスライダは、その対向面が平面または曲面またはV字型または台形状にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリニアサーボアクチュエータ。
- 前記フィードバック制御する位置制御部は、転流制御、位置制御および速度制御を行うように構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のリニアサーボアクチュエータ。
- 前記フィードバック制御する位置制御部は、前記スライダの位置の検出信号を微分してスライダの移動速度を検出する速度検出手段と、前記指令位置とスライダの位置の偏差の信号と前記速度検出手段の出力信号との偏差をもとに前記スライダの速度をフィードバック制御する速度制御部
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のリニアサーボアクチュエータ。 - 前記フィードバック制御する位置制御部は、次式のN値を求め、
N=(Sn−So)/ΔS
ただし、So:プラテンの歯とリニアパルスモータの歯の位相を合わせたときの位置検出 手段の検出値
Sn:位置決め動作において得られた位置検出手段の検出値
ΔS:スライダがプラテンの歯の1ピッチ分だけ移動したときにおける位置検出手段の検出値の変化量
更にこの演算値Nの小数部分に360を掛けて前記プラテンの歯とリニアパルスモータの歯の位相ずれを求める位相ずれ検出手段と、
この位相ずれ検出手段で検出した位相ずれをもとにリニアパルスモータを転流制御する転流制御部
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のリニアサーボアクチュエータ。 - 前記フィードバック制御する位置制御部は、入力されるアナログ位置指令信号に対応してリニアパルスモータ部の動作特性に見合った指令値パターンを生成する加減速パターン制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のリニアサーボアク チュエータ。
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