JP4195783B2 - レーザ加工ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ加工ヘッドに関する。さらに詳細には集光レンズの焼損を検出する煙検出手段を備えたレーザ加工ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
遠赤外線領域の波長(10.6μm)を有する炭酸ガスレーザを使用するレーザ加工機のレーザ加工ヘッドでは、集光レンズなどの透過光学素子の母材として、可視光領域(0.82μm〜0.38μm)で使用されている一般的な光学ガラス(BK7,SK16,LF1など)が波長透過特性の問題で使用できないため、ZnSe(Zinc Selenide)やKCl(Potassium Chloride)など特殊な物質の結晶が用いられている。
【0003】
上述のZnSeはKClのように大気中の水分を吸収して損壊する潮解性がなく、機械的強度も優れているので炭酸ガスレーザ加工機などの集光レンズとして広く使用されている。
【0004】
しかし、ZnSe(Zinc Selenide)は、過熱燃焼したときに発生するガスが有毒であるため、焼損時にはレーザビームの照射を即座に停止しなければならない。また、レーザ加工機における光学素子のなかで集光レンズは最も加工点に接近して設けられるので、レンズの周囲がアシストガスでシールドされていても、加工時に発生するスパッターや粉塵が付着する可能性が大きく、損傷を受けやすい消耗部品となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザ加工機におけるレーザ加工ヘッドでは、集光レンズの焼損に対して特に焼損検出装置を設けていないので、加工中に飛散するスパッターや粉塵が集光レンズに付着することによって、集光レンズの表面にホットスポットが発生し、そのスポットの温度が上昇してレンズ全体の温度が上昇する。すると、レンズ母材のレーザビームに対する吸収率が上昇するという正帰還がかかってレンズが急激に過熱してついには焼損にいたる熱的暴走が発生することがある。
【0006】
熱的暴走で集光レンズが焼損する前の段階の温度上昇時に発生する熱レンズ効果により、レンズの集光特性が悪化して加工不良が発生する場合が多い。オペレータが機械を監視している場合には、この加工不良が発生した段階で点検或いは集光レンズの交換などの対応がとれるが、夜間などの無人連続運転時でも自動的に対応できる集光レンズ焼損検出装置が望まれている。
【0007】
また、集光レンズそのものの温度を測定するセンサーを設けることも論理的には可能であるが、表面温度のみの測定に終わってしまう。
【0008】
本発明は上述の如き問題を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、過熱した集光レンズから発生する煙を自動的に検出して警報を発すると共にレーザ加工を非常停止させることができる煙検出手段を備えたレーザ加工ヘッドを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決する手段として、請求項1に記載のレーザ加工ヘッドは、レーザ光を集光する集光レンズを筒体の下部に備えたレーザ加工ヘッドにおいて、前記集光レンズの直上においてレーザ光入射側筒体にレーザ光の有効径にほぼ等しい開口を有する隔壁を設け、該隔壁上方の入射光側筒体に前記隔壁の上方向と該隔壁下方の前記集光レンズの方向とへ流れるパージエアー流入口を設けると共に、投光器と受光器とからなる煙検出手段の光軸が前記入射レーザ光の光路を横断する方向に、かつ前記隔壁の下側にに形成されるドーナッツ状のパージエアー停留領域に前記筒体の内周面に沿って上昇して停留したドーナッツ状の煙を通過するように設け、前記煙検出手段の投光器と受光器のそれぞれに光量を調節可能な絞りを設けたことを要旨とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0013】
図1は本発明に係るレーザ加工ヘッドの説明図である。図1に示す如く、レーザ加工ヘッド1には炭酸ガスレーザ発振器(図示省略)からのレーザ光LBをワークWに集光するZnSe(Zinc Selenide)の結晶からなる集光レンズ3が筒体5に設けてある。
【0014】
前記集光レンズ3のレーザ光入射側筒体5の内側には、前記レーザ光LBが通過可能な開口7を有する隔壁9が設けてある。そしてこの隔壁9の前記開口7の大きさは、前記集光レンズ3に入射されるレーザ光LBの直径(有効径)にほぼ等しく設けてある。
【0015】
前記隔壁9と集光レンズ3との間に前記入射レーザ光LBの光路を横断する方向に投光する投光器11と、この投光器11からの光13を受光する受光器15からなる煙検出手段としての透過形光電スイッチ17が設けてある。
【0016】
前記透過形光電スイッチ17の投光器11には射出光量を調節可能な絞り19を設けると共に、受光器15には受光量を調節可能な絞り21が設けてある。これらの絞りを適当に調節することによって透過形光電スイッチ17の検出感度を調節することができる。
【0017】
前記透過形光電スイッチ17の検出感度の調節には受光器15側に接点動作レベルを設定する半固定抵抗のような電気回路的な調整機構をもたせてもよい。いずれにしろ、透過形光電スイッチ17の検出感度の調整機構は半固定のものであり、信号処理および記憶装置などの複雑な電気回路は必要としない。
【0018】
なお、上述の透過形光電スイッチ17で使用する光は、誤動作を避けるためレーザ加工に使用されているレーザ光の波長とは異なる波長の光を使用する必要がある。
【0019】
前記隔壁9の上方には、前記集光レンズ3およびベンドミラー(bend mirror)などの光学素子(図示省略)への塵埃の付着を阻止するための清浄なパージエアー(purge air)流入口23が設けてある。
【0020】
前記パージエアー流入口23から筒体5内部に流入した清浄なパージエアー24は、前記隔壁9の開口7から下方の集光レンズ3の方へ流れると共に筒体5の上方へも流れて、ベンドミラーなどの光学素子(図示省略)への塵埃の付着を阻止する。前記開口7を介して集光レンズ3の方へ流れるパージエアー24は、開口7を通って真っ直ぐ下方へ流れるが、隔壁9の作用によって隔壁9の下面には空気の流れがほとんどないドーナツ状の停留領域25が作られる。前述の透過形光電スイッチ17における投光器11と受光器15の光軸は、この停留領域25を通過するように設定してある。
【0021】
上記構成のレーザ加工ヘッドにおいて、ZnSe(Zinc Selenide)からなる集光レンズ3が過熱燃焼して煙が発生した場合、発生した煙は隔壁9の方へ上昇するが、レーザ光LBの軸心部分の煙はパージエアーで拡散されても、停留領域25に達した煙は拡散されずにそこに停留することになる。
【0022】
したがって、投光器11からの光13は、停留領域25に停留する煙の粒子により散乱され、強度が減衰された光が受光器15に到達することになる。その結果、煙検出手段としての透過形光電スイッチ17は確実に煙の発生を検出することができる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、レーザ加工ヘッドにおける集光レンズが過熱燃焼して煙が発生した場合、発生した煙は隔壁の方へ上昇して隔壁下方に環状の停留領域に停留するので、レーザ光の軸心部分の煙がパージエアーで拡散されても、停留領域に停留する煙の粒子による散乱により、強度が減衰された光が受光器に到達するので自動的にかつ確実に煙の発生を検出することができる。また、その検出結果を用いてオペレーターに警報を発すると共にレーザ加工を非常停止させることができる。したがって、夜間などの無人運転時にも自動的に対応することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ加工ヘッドの説明図。
【符号の説明】
1 レーザ加工ヘッド
3 集光レンズ
5 筒体
7 開口
9 隔壁
11 投光器
13 投光器からの光
15 受光器
17 透過形光電スイッチ
19,21 絞り
23 パージエアー流入口
25 停留領域
LB レーザ光
W ワーク

Claims (1)

  1. レーザ光を集光する集光レンズを筒体の下部に備えたレーザ加工ヘッドにおいて、前記集光レンズの直上においてレーザ光入射側筒体にレーザ光の有効径にほぼ等しい開口を有する隔壁を設け、該隔壁上方の入射光側筒体に前記隔壁の上方向と該隔壁下方の前記集光レンズの方向とへ流れるパージエアー流入口を設けると共に、投光器と受光器とからなる煙検出手段の光軸が前記入射レーザ光の光路を横断する方向に、かつ前記隔壁の下側に形成されるドーナッツ状のパージエアー停留領域に前記筒体の内周面に沿って上昇して停留したドーナッツ状の煙を通過するように設け、前記煙検出手段の投光器と受光器のそれぞれに光量を調節可能な絞りを設けたことを特徴とするレーザ加工ヘッド。
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