JP4195670B2 - 送信波の位相制御方法と装置 - Google Patents

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本発明は、送信波の位相制御方法と装置に関し、特に、宇宙空間に巨大な太陽電池パネルを広げ、発生した電力をマイクロ波で地上に送信するようにした宇宙太陽発電システムにおける、マイクロ波の位相制御方法と装置関するものである。
宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan Aerospace Exploration Agency)や無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF:Institute for Unmanned Space Eperiment Free Flyer)では、将来の化石燃料の枯渇に備えて太陽エネルギーの有効利用を目的に、宇宙空間に大型太陽電池パネルを設置し、得られた電力をマイクロ波やレーザ光に変換して地上に送るSSPS(Space Solar Power System)構想を発表している。
これは、例えば、赤道上空3万6000kmの静止軌道上に、楕円形の大型ミラーと太陽電池パネルを有した宇宙エネルギー利用システムを打ち上げ、太陽光をこれらミラーで反射して太陽電池パネルに集光し、発電した電力をパネルの中でマイクロウェーブやレーザ光に変換して、地上に設けた受信用アンテナやレーザ光受光部に送り、電力などのエネルギーとして利用するもので、将来的には100万kW級の発電を目指している。
このうち、マイクロ波を用いる宇宙太陽発電システムでは、図11に示したように、数m規模の多数のマイクロ波送電ユニット#1−1、……#n−1、#1−2、……#n−2、#1−m、……#n−mの集合体で、最大数km×数kmにもなるフェーズドアレイアンテナを軌道上に展開し、各送電ユニット#n−mからのマイクロ波を合成して、地上90に設けられた受電設備(レクテナ)91にマイクロ波ビーム92として送電する。
この場合、合成ビーム92を所望の方向に向けるためには、各送電ユニット#n−mで用いられるマイクロ波発生装置の原振の位相を揃えることが必要となり、しかも、各ユニット間の距離によって位相が変化するため、ユニット間の位相差を数度以内の高精度に計測することが不可欠である。しかしながらこれら各送電ユニット#n−mは、前記したように例えば数メートル以上の規模であり、大電力を送電するためには、数十台以上で協調動作して合成ビームを所望の方向に向ける必要があるが、軌道上に展開されているためマイクロ波ケーブルで接続することは極めて困難であり、ワイヤレスで各送電ユニット#n−m間の位相同期をとることが必要となる。
このようなことに対処するため例えば特許文献1には、受信アンテナで制御衛星から受信した制御信号に含まれる位相を揃えるための基準信号でマイクロ波を生成し、発電衛星グループ内の各発電衛星が送信するマイクロ波の移相量を調整することが示され、また、特許文献2及び非特許文献1には、地上に設けられた複数の送電ユニットから、電力エネルギーとするためのマイクロ波を航空機に送るためにマイクロ波の位相を揃えるシステムが示されている。非特許文献1では、図12に示したように、送信ビームの位相を90度進めたり遅らせたりしたときの受電設備での受信振幅から、送信ビームの位相誤差を算出して位相を揃える技術が示されている。
この図12において、送電設備21における発振器1からのマイクロ波は、複数の送電ユニット#1、#2、……#nのうちの1つの送電ユニット、例えば#1の移相器2に位相誤差算出処理回路18から送られてくる、位相を90度進めたり遅らせたりたりする信号により移相され、他の送電ユニット#2、……#nから送られるマイクロ波は移相されずに増幅器31で増幅されて、アンテナ4から地上の受電設備20に送られる。
地上の受電設備20では、アンテナ5で受信したマイクロ波を検波器6で検波して直流電力7として出力すると共に、ハイパスフィルタ8で直流成分を取り除き、増幅器9で増幅したのち、アナログ/デジタル(AD)変換器10でアナログ/デジタル(AD)変換する。そして処理回路11により、次の処理を行う。
いま、位相補正を行う1台の送電ユニット(今の例では#1)以外の全送電ユニットから送信されるビームの電界ベクトルをRとすると、位相補正を行う1台の送電ユニット#1から送信されるビームの電界ベクトルAは、送電ユニット数から1をマイナスした逆数をk(送電ユニット数をnとしたときに1/(n−1)となる)、pを電界ベクトルAとベクトルRの位相誤差としたとき、
A=Rkexp(−jp)
となる。
そして、1台の送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の位相を0度から90度、270度に変化させた(遅らせた)ときの、その送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の電界ベクトルA’、A’’は、それぞれ、
A’=Rkexp(−j(p−90°))
A’’=Rkexp(−j(p−270°))
となり、受電設備20が受信する合成ビームは、それぞれ、
R+A’=R((1+ksinp)+jkcosp)
R+A’’=R((1−kcosp)+jksinp)
となる。
このとき、送電ユニット#1、#2、……#nの数が多ければ、k<<1であるから、
Figure 0004195670
Figure 0004195670
となる。そのためL、Xを定数として、受電設備20が受けたマイクロ波の振幅を包絡線検波し、マイクロ波の位相を90度遅らせたときの振幅から270遅らせたときの振幅を引いたものは、
2|R|Lsinp(=Xsinp)
となる。
このうち、Xを送信マイクロ波の減衰分に比例した値とするとこれは送電ユニットから電力エネルギーとしてのマイクロ波を送る航空機までの距離の関数となるから、これの距離を高度計12により取得し、sinpと共に変調回路13で変調してデータ信号として送電設備21に送り、復調回路17で復調したのちarctanpを算出してpを得れば、それが送電ユニット#1から送られたマイクロ波の位相誤差pとなるから、該当する送電ユニット#nの位相器2に指示して出力位相を−pだけ補正すれば全送電ユニットの位相に近付いた位相のマイクロ波を得ることができる。そのため、この処理を全ての送電ユニット#1、#2、……#nで繰り返し行い、収束させてゆくことで、全ての送電ユニット#1、#2、……#nから送出するマイクロ波の位相を揃えることができる。
特開2002−95190号公報 USP5,742,253号公報 IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, Vol.40, No12, December 1992 P−1565 "A Self−Steering Array for the SHARP Microwave−Powered Aircraft"
しかしながら、特許文献1に示された技術は、マイクロ波の生成に当たって受信アンテナで制御衛星から受信した制御信号に含まれる位相を揃えるための基準信号で位相を揃えており、この方法では、基準信号を発する制御衛星が必要であってそれだけ高価になる。また、特許文献2、非特許文献1に示された技術は、地上に設けられた送電ユニットから電力エネルギーとしてのマイクロ波を送る航空機までの距離Xを必要とするため高度計が必要であり、また、位相誤差が±90度を超えると、sinpだけでは、pを±180度の範囲で計算できないために位相誤差の計算が出来なくなる。
そのため本発明においては、高度計などの距離を測定する機器を要せず、また、位相誤差の絶対値が±90度を超えても位相誤差を算出できる送信波の位相制御方法と装を提供することが課題である。
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上記課題を解決するため本発明の送信波の位相制御方法は、
送信波の位相を制御する移相器をそれぞれ有した複数の送信装置を備え、各送信装置から受信装置に送信する送信波の位相を揃える送信波の位相制御方法であって、
前記各送信装置は、各送信装置毎に異なる周期で同時に変化する位相変調手段を備えて前記送信波を位相変調して送信し、前記受信装置は、受信波に対するIQホモダイン処理と周波数解析による位相復調手段を備えて前記送信装置と受信装置の間の位相差を算出し、位相差を補正するようにしたことを特徴とする。
そして、前記複数の送信装置をグループ化し、一のグループにおける前記ホモダイン処理が終了したとき、次のグループにおける前記ホモダイン処理が始められるタイミングで位相変調された送信波を送り、このシーケンスを前記複数の送信装置のそれぞれの送信波の送信に適用して送信波の位相を揃えることを特徴とする。
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また、前記位相制御方法を実施する本発明の位相制御装置は、
送信波の位相を変調する位相変調手段と位相を制御する移相器とをそれぞれ有した複数の送信装置を備え、各送信装置から受信装置に送信する送信波の位相を揃える送信波の位相制御装置であって、
前記送信装置に備えられた、各送信装置毎に異なる周期で同時に変化する位相変調手段で変調された送信波を受信して、IQホモダイン処理と周波数解析による位相復調手段を備えて、前記送信装置と受信装置の間の位相差を算出する処理手段と、該処理手段が算出した位相差を受け、前記送信装置に備えられた移相器に位相差を補正する指示を送出する手段とからなることを特徴とする。
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以上記載のごとく、本発明になる送信波の位相制御方法と装置、送信波を位相変調して送信し、例えば受信波にIQホモダイン処理を行って2倍波成分と直流成分を除去し、フーリエ変換して得られた振幅をもとに送信装置と受信装置の間の位相差を算出して位相差を補正するようにしたから、従来装置のように基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できるから、どのようなシステムにも使える送信波の位相制御方法と装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第1実施例のブロック図、図2は受電設備が受けたマイクロ波の振幅を包絡線検波した結果(A)と、直流成分を取り除いた結果(B)を示した図は、図3は第1実施例による位相制御方法の時間系列を示した図である。
図中1はマイクロ波の発振器、2、2、……2は位相誤差算出処理回路18からの移相量指示に従って発振器1から送られてくるマイクロ波の位相を制御する移相器で、各送電ユニット#1、#2、……#nから送信するマイクロ波の位相を揃える本発明の送信波の位相制御方法を実施するときは、発振器1から送られてきたマイクロ波の位相を基準位相から順次約90度、約180度、約270度の4段階に遅らせる。3、3、……3は図示しない太陽電池パネルからの電力を受けてマイクロ波を増幅する増幅器、4、4、……4はアンテナ、5は地上に設けられた受信アンテナ、6は受信アンテナ6で受けたマイクロ波を検波する検波器、7は検波器7によって得られた直流電力、8は検波出力中の高周波成分を通過させるハイパスフィルタ、9は増幅器、10はアナログ/デジタル(AD)変換器、11はマイクロ波の位相を前記基準位相から順次約90度、約180度、約270度の4段階に遅らせたときの結果からXsinpとXcosp(pはマイクロ波の位相誤差、Xは定数)を算出する処理回路、13は変調回路、14は変調信号19の送信用アンテナ、16は変調信号19の受信用アンテナ、17は復調回路、18は変調信号19によって送られてきたXsinpとXcospとからarctanpを計算し、送電ユニット#1、#2、……#nにおける対応する送電ユニットの移相器2に、位相誤差p分の移相を指示する位相誤差算出処理回路、19はXsinpとXcospのデータ信号、20は地上に設けられた受電設備(受信装置)、21は宇宙に設けられた送電設備(送信装置)、30は送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の位相を、前記基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階、31はこの位相を変化させたマイクロ波をアンテナ4から地上の受電設備20への送出、32は測定、33は前記したXsinpとXcospの算出、34は受電設備20におけるアンテナ14から送電設備21のアンテナ16へのデータ送信、35は送電ユニット#1におけるマイクロ波の位相補正である。
図1は、本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第1実施例のブロック図であり、宇宙に設けられた送電設備21におけるマイクロ波の発振器1からのマイクロ波は、位相誤差算出処理回路18により、前記図11に#1−1、……#n−1、#1−2、……#n−2、#1−m、……#n−mで示したマイクロ波送電ユニット#1、#2、……#nの設置位置に対応した移相量を指示される移相器2、2、……2に送られ、位相が揃えられて、図示しない太陽電池パネルからの電力を受けてマイクロ波を増幅する増幅器3、3、……3によって増幅され、各アンテナ4、4、……4から地上に設けられた受電設備20に送られる。そして地上の受電設備20では、アンテナ5で受信されたマイクロ波を検波器6で検波し、直流電力7として外部に供給する。
そして、各送電ユニット#1、#2、……#nにおけるマイクロ波の位相制御は、次のようにしておこなう。
まず、位相誤差算出処理回路18により、複数の送電ユニット#1、#2、……#nにおける1つの送電ユニット、例えば#1の移相器2に、発振器1から送られてくるマイクロ波の位相を基準位相から、順次約90度、約180度、約270度の4段階に進ませるよう指示を出す。そのため、この送電ユニット#1におけるマイクロ波は、前記基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に移相されてアンテナ4から地上の受電設備20に送られる。
地上の受電設備20では、アンテナ5で受信したマイクロ波を検波器6で検波し、ハイパスフィルタ8で直流成分を取り除き、増幅器9で増幅したのち、アナログ/デジタル(AD)変換器10でアナログ/デジタル(AD)変換する。そして処理回路11により、約90度遅らせたときの振幅から約270度遅らせたときの振幅を引いたものと、前記基準位相のときの振幅から約180度遅らせたときの振幅を引いたものに関する情報を、以下に述べるXsinp、Xcospのデータとして作成し、そのデータを変調回路13によって変調してアンテナ14からデータ信号19として送り出す。
こうして送り出されたデータ信号19は、送電設備21におけるアンテナ16で受信されて復調回路17で復調され、位相誤差算出処理回路18によってXsinp、Xcospのデータから、以下に述べる方法でarctanpを算出する演算がおこなわれて位相誤差pが算出され、それが位相器2に送られて、受電設備20に送信されるマイクロ波の位相が制御される。このうち、処理回路11、位相誤差算出処理回路18で行われる処理は、次の通りである。
いま、位相補正を行う1台の送電ユニット(今の例では#1)以外の全送電ユニットから送信されるビームの電界ベクトルをRとすると、位相補正を行う1台の送電ユニット#1から送信されるビームの電界ベクトルAは、送電ユニット数から1をマイナスした逆数をk(送電ユニット数をnとしたときに1/(n−1)となる)、pを電界ベクトルAとベクトルRの位相誤差としたとき、
A=Rkexp(−jp) …… (1)
となる。
そして、1台の送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の位相を基準位相(式(1)の状態)から90度、180度、270度の4段階に変化させた(遅らせた)ときの、その送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の電界ベクトルA’、 A’’、 A’’’は、それぞれ、
A=Rkexp(−jp) …… (1)
A’=Rkexp(−j(p−90°)) …… (2)
A’’=Rkexp(−j(p−180°)) …… (3)
A’’’=Rkexp(−j(p−270°)) …… (4)
となり、受電設備20が受信する合成ビームは、それぞれ、
R+A=R((1+kcosp)−jksinp) …… (5)
R+A’=R((1+ksinp)+jkcosp) …… (6)
R+A’’’=R((1−ksinp)+jkcosp) …… (7)
R+A’’=R((1−kcosp)+jksinp) …… (8)
となる。
このとき、送電ユニット#1、#2、……#nの数が多ければ、k<<1であるから、
Figure 0004195670
Figure 0004195670
Figure 0004195670
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となる。
そのためLを定数として、受電設備20が受けたマイクロ波の振幅を包絡線検波すると、図2(A)のようになり、さらに直流成分を取り除くと、図2(B)のようになる。そして、マイクロ波の位相を90度遅らせたときの振幅から、270度遅らせたときの振幅を引いたものは、Xを定数とすると、
2|R|Lsinp(=Xsinp) ………………………… (13)
となり、同様に、前記基準位相の振幅から180度遅らせたときの振幅を引いたものは、
2|R|Lcosp(=Xcosp) ………………………… (14)
となる。
いま、
A=Xsinp
B=Xcosp
とすると
B/A=(Xcosp)/(Xsinp)
=tanp
であるから、B≧0のとき、
p=tan−1
B<0、A≧0のとき、
p=tan−1p+180°
B<0、A<0のとき、
p=tan−1p−180°
となり、Xの値を用いることなくマイクロ波の位相誤差pを算出することが可能となる。
そのため、この(13)と(14)におけるXsinpとXcospとからarctanpを算出してpを得れば、それが送電ユニット#1から送られたマイクロ波の位相誤差pとなるから、該当する送電ユニット#nの位相器2に指示して出力位相を−pだけ補正すれば全送電ユニットの位相に近付いた位相のマイクロ波を得ることができる。そのため、この処理を全ての送電ユニット#1、#2、……#nで繰り返し行い、収束させてゆくことで、全ての送電ユニット#1、#2、……#nから送出するマイクロ波の位相を揃えることができる。
図3は、例えば宇宙太陽発電システムが地上500kmの所にあるとして以上述べてきた処理を時間系列で表した図であり、30は送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の位相を、基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階、31はこの位相を変化させたマイクロ波をアンテナ4から地上の受電設備20への送出、32は測定、33は前記したXsinpとXcospの算出、34は受電設備20におけるアンテナ14から送電設備21のアンテナ16へのデータ送信、35は送電ユニット#1におけるマイクロ波の位相補正であり、それぞれの段階で、30では0.5ms、31では1.66ms、32では0.5ms、33では0.5ms、34では1.66ms、35では0.5msかかることを示している。そのため、前記したSSPS構想による赤道上空3万6000kmの静止軌道上に宇宙太陽発電システムを設けた場合、マイクロ波の送信31とデータ送信34にはそれぞれ120msかかることになる。
なお、移相器等の特性により、約90度遅らせたときの振幅から約270度遅らせたときの振幅を引いたものがXssinp、前記基準位相ときの振幅から約180度遅らせたときの振幅を引いたものがXccospとなり(Xs≠Xc)、XsとXcの比率(Xs/Xc)が既知の場合は、XccospにXs/Xcを掛け合わせたものとXssinpとから、arctanpを用いても良い。
このように送信波の位相制御装置を構成することにより、従来装置のように基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できるから、どのようなシステムにも使える送信波の位相制御方法と装置及び該装置を用いる宇宙太陽発電システムまたは測距装置を提供できる。
図4は、本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第2実施例のブロック図であり、図1と同一の構成要素には同一番号を付してある。図中37は位相誤差算出処理回路、38は位相誤差pのデータ、39は位相誤差指示処理回路で、前記した第1実施例においては、送電設備21における送電ユニットから受電設備20に送られるマイクロ波の位相誤差pは、XsinpとXcospのデータ19を送られた送電設備21における位相誤差算出処理回路18で算出したが、この第2実施例では、受電設備20に位相誤差算出処理回路37を置き、ここでXsinpとXcospのデータを用いて位相誤差pを算出して38として送るようにしたもので、送電設備21には、この送られた位相誤差pのデータによって対応する送電ユニット#nに位相誤差pの補正を指示する位相誤差指示処理回路39が設けられる。
そのためこの第2実施例によれば、第1実施例では宇宙における送電設備21で算出していた位相誤差pが、地上の受電設備20における位相誤差算出処理回路37で算出されるから、その位相誤差pを送られた送電設備21は、単に位相誤差指示処理回路39で移相器2、2、……2に補正する位相−pを指示するだけで済む。それ以外の動作は前記第1実施例と同様である。従って、送電設備21に位相誤差算出処理回路37を含ませる必要がないから、その分宇宙へ打ち上げる設備の軽量化を計ることができる。
図5は、本発明になる送信波の位相制御方法を実施する、宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの処理の第3実施例による送信波の位相制御の時間系列を示した図である。前記図1、または図4に示した第1、第2実施例においては図3に示したように、送電設備における送電ユニット#1、#2、……#nのマイクロ波の位相は、1つの送電ユニット#1のマイクロ波の位相を揃える処理が終わった後に送電ユニット#2のマイクロ波の位相を揃える処理を行い、その処理が終わった後に送電ユニット#3のマイクロ波の位相を揃える処理を行うという具合に送電ユニット#n毎に処理を進めてきた。
しかしこの図5に示した第3実施例においては、図5(A)に示したように、送電ユニット#1から送信されるマイクロ波の位相を基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階30が終了したら、送電ユニット#1におけるアンテナ4から地上の受電設備20への送出31を実施すると共に、すぐに次の送電ユニット#2から送信されるマイクロ波の位相を前記基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階30を実施し、それも終了したら送電ユニット#1の場合と同様、送電ユニット#2におけるアンテナ4から地上の受電設備20への送出31を実施すると共に、すぐに次の送電ユニット#3から送信されるマイクロ波の位相を前記基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階30を実施する、という具合に連続的にマイクロ波の位相を前記基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階30を実施するようにしたものである。
すなわち、送電設備21と受電設備20は、それが前記したようなSSPS構想による赤道上空3万6000kmの静止軌道上に設けられた宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送電設備21と、地上に設けられた受電設備20である場合、両者の間におけるデータの送受にはそれぞれ120msかかることになり、前記図3に示したようなシーケンスで送信波の位相制御方法を実施すると、送電ユニットの数が多大な場合は長時間を要することになる。
ところが、地上の受電設備20における検波器6、ハイパスフィルタ8、増幅器9、アナログ/デジタル(AD)変換器10、変調回路13などは単に信号が通過するだけであり、処理回路11は前記したように演算処理に時間がかかるが高々0.5msで、送電設備21と受電設備20間のデータの送信時間120msに比べると微々たるものである。そのため図5(B)に示したように、1つの送電ユニットから送信されるマイクロ波の位相を基準位相から約90度、約180度、約270度の4段階に変化させる段階30が終了する毎に、次の送電ユニットにおける処理を実施して送信することにより、受電設備20内の前記検波器6、ハイパスフィルタ8、増幅器9、アナログ/デジタル(AD)変換器10、処理回路11、変調回路13は順次処理を実施でき、またこうしてデータを送られた送電ユニット内の復調回路17、位相誤差算出処理回路18、移相器2も全く同様であるから、少ない時間で全ての送電ユニットの位相を調節する作業が完了することになる。
図6は、本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第4実施例のブロック図である。前記第1乃至第3実施例においては、送電ユニットから送るマイクロ波の位相を基準位相から約90度、約180度、約270度に遅らせて送信し、受電設備20で約90度遅らせたときの振幅から約270度遅らせたときの振幅を引いたデータと、前記基準位相のときの振幅から約180度遅らせたときの振幅を引いたデータとから送電ユニットにおける位相誤差pに関するXsinpとXcosp(Xは定数)を算出し、そのXsinpとXcospのデータからarctanによって位相誤差pを算出して、位相誤差pを補正するようにしていた。しかしながらこの方法では、1度に1つの送電ユニットの位相調節しか行うことができない。そのためこの第4実施例においては、IQホモダイン処理を用い、同時に複数の送電ユニットにおける位相調節をおこなえるようにするものである。
図中前記図1、図4と同じ構成要素には同一番号を付してあり、41は位相変調器、42はIQホモダイン回路、43はバンドパスフィルタ、44はアナログ/デジタル(AD)変換器、45は処理回路、46は変調回路、47はデータ信号、48はアナログ/デジタル(AD)変換器、49は処理回路、50は送電設備、51は受電設備である。
この図6において、発振器1からのマイクロ波は、位相変調器41で位相変調され、移相器2、2、……2に処理回路49から設置位置に対応して指示される移相量で位相調節されて位相が揃えられ、図示しない太陽電池パネルからの電力を受けてマイクロ波を増幅する増幅器3、3、……3によって増幅される。そして各アンテナ4、4、……4から地上に設けられた受電設備51に送られ、地上の受電設備51では、アンテナ5で受信されたマイクロ波を検波器6で検波し、直流電力7として外部に供給する。
その後、以下に詳細に述べるように、IQホモダイン回路42に送られたマイクロ波はIQホモダイン処理が行われ、バンドパスフィルタ43でキャリア波の2倍波成分、および直流成分が除去されて、処理回路45によってFFT(高速フーリエ変換)したときの振幅をもとに送電ユニットと受電設備51の間の位相差が計算される。そしてその位相差情報47は、変調回路46を介してアンテナ14から送電設備50のアンテナ16に送られ、さらに復調回路17、アナログ/デジタル(AD)変換器48を介して処理回路49から移相器2に送られて、各送電ユニットにおけるマイクロ波の位相が補正される。そして、この図6に示した第4実施例の送信波の位相制御方法は、次のようにして行う。
まず、各送電ユニット#1、#2、……#nに、固有位相変調周波数を割り当てる。今、説明を簡単にするため送電ユニットが2つの場合を考え、f1、f2を各ユニットの固有周波数、θ、θをf1、f2の位相、A、Aを各ユニットから出力されるマイクロ波の振幅、φ、φを送電ユニットと受電設備50の基準信号の位相差、α、αを位相変調指数とすると、受電設備50において、マイクロ波の波形は、
E=Acos(ωt+φ+α(cos(2πf1t+θ)))
+Acos(ωt+φ+α(cos(2πf2t+θ))) …(15)
となる。
ここでこの式(15)に受電設備50に用意した基準信号(cosωt)を掛け合わせると、式(15)は、
E’=A/2{cos(2ωt+φ+α(cos(2πf1t+θ)))
+cos(φ+φ+α(cos(2πf1t)))}
+A/2{cos(2ωt+φ+α(cos(2πf2t+θ)))
+cos(φ+φ+α(cos(2πf2t)))} …… (16)
となる。
このうち、ローパスフィルタでマイクロ波周波数の2倍波の成分を含む項を取り除くとこの(16)式は、
E’=A/2{cos(φ+α(cos(2πf1t+θ)))}
+A/2{cos(φ+α(cos(2πf2t+θ)))}(17)
となり、位相変調指数α、αを十分小さくとると、
E’≒A/2{cosφ−αsinφcos(2πf1t)}
+A/2{cosφ−αsinφcos(2πf2t)}…(18)
となる。そして、ここで直流成分を除去すると、
αsinφcos(2πf1t+θ)+Aαsinφcos(2πf2t+θ
=Aαsinφcosθcos(2πf1t)
−Aαsinφsinθsin(2πf1t)
+Aαsinφcosθcos(2πf2t)
−Aαsinφsinθsin(2πf2t) ……………… (19)
となる。
またこれとは別に、受電設備50の基準信号を90度位相変化させた信号(sinωt)を式(15)に掛け合わせ、同様の処理を行うと、
=Aαcosφcosθcos(2πf1t)
−Aαcosφsinθsin(2πf1t)
+Aαcosφcosθcos(2πf2t)
−Aαcosφsinθsin(2πf2t) ……………… (20)
となる。
そこで受電設備50において、式(19)と式(20)の波形から別々にFFT(高速フーリエ変換)を施し、両者の振幅から、受電設備50と送電ユニットの位相差を導き出す。例えば、FFT結果の固有周波数f1のcos成分である、
αsinφcosθ ………………………………………… (21)
と、
αcosφcosθ ………………………………………… (22)
から、arctanにより、送電ユニットと受電設備50の位相差φを求めることが出来る。同様に、FFT結果の固有周波数f1のsin成分(−Aαsinφsinθ、−Aαcosφsinθ)を用いても良いし、cos成分とsin成分の絶対値の大きい方を用いても良い。
そして他の送電ユニットについても、同様の操作を行うことで得られた値を、どの送電ユニットの情報かを示すヘッダを付けた上でデジタル化し、その情報をパイロット信号に変調をかけて位相誤差の情報をのせ、スペクトル拡散変調方式を用いて送電ユニット側に送信する。もしくは、
αsinφcosθ、Aαsinφcosθ ……… (23)
と、
αcosφcosθ、Aαcosφcosθ ……… (24)
に関する情報を、パイロット信号に変調をかけて位相誤差の情報をのせて送電ユニットに送信し、送電ユニット側でarctanにより位相差φを計算してもよい。そして各送電ユニットでは、各自の位相差情報のみを取り出し、位相を制御する。このようにして位相を揃えることにより、送電ユニットのすべての基準信号は、受電装置側にある基準信号と同相になる。
なお、受電装置の基準信号(cosωt)、基準信号を90度位相変化させた信号(sinωt)は、例えば受信したマイクロ波ビームからキャリア再生する、送電ユニットで基準信号を生成する過程で生じるN分の1の周波数のキャリア波を受電設備50に送信し、受電設備50でN逓倍することによってキャリア波を生成する、送電ユニットのマイクロ波ビームの生成のために用いているPLLのリファレンスクロックを受電設備50に送信し、受電設備50ではこのリファレンスクロックを入力としたPLLを構成し、生成するなどの方法を取ることができる。
このように送信波の位相制御装置を構成することにより、従来装置のように基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できるから、どのようなシステムにも使える送信波の位相制御方法と装置及び該装置を用いる宇宙太陽発電システムまたは測距装置を提供できる。
図7は、この第4実施例の処理を時間系列で表した図であり、53は送電設備50の送電ユニットにおける位相変調器41で位相変調され、移相器2、2、……2に処理回路49から設置位置に対応して指示される移相量で位相調節されて位相が揃えられ、増幅器3、3、……3によって増幅されて受電設備51へ送られるマイクロ波の送信、54はIQホモダイン回路42によって行われるマイクロ波の測定、55はバンドパスフィルタ43でキャリア波の2倍波成分、および直流成分が除去され、処理回路45によってFFT(高速フーリエ変換)したときの振幅をもとにおこなう送電ユニットと受電設備51の間の位相差φ1、φ2、……φnの算出、56は受電設備51から送電設備50へのデータ送信、57は送電設備での位相補正(−φ1、−φ2、……−φn)であり、この図7からわかるとおり、すべての処理を平行して行うことができ、高速に位相誤差の補正を行うことができる。
図8はこの第4実施例に基づく第5実施例であり、前記した第4実施例は原理的には送電ユニットがいくつ有っても対応できるが、実際に使える周波数帯域には限りがあり、それに対処するため、送電ユニットをいくつかずつグループ化し、そのグループ毎に送電ユニットの位相を揃える制御をおこなうものである。
図中50、50は、それぞれ送電ユニット#1、#2、……#nを有するグループであり、このように多数有る送電ユニットを使える周波数帯域内の数でグループ化することにより、最初に50のグループ内の送電ユニット#1、#2、……#nの位相制御を以上述べてきた方法で行ない、次に50のグループ内の送電ユニット#1、#2、……#nの位相制御を同様に行なうという具合にしてゆくことで、限られた周波数を用いて効率的な送信波の位相制御を行うことができる。
図9は前記第4実施例に基づく第6実施例であり、図8に示した第5実施例の方法を更に効率的におこなえるようにしたもので、送電ユニットをいくつかずつグループ化し、そのグループ毎に送電ユニットの位相を揃える制御をおこなうようにした点は前記第5実施例と同じである。ただ、第5実施例においては、1つのグループ、例えば50のグループの処理が全て終わってから次のグループ、例えば50のグループの処理をおこなうようにしていたのに対し、この第6実施例においては、1つのグループ、例えば50のグループにおける前記53の送電ユニットの位相変調器41による位相変調、移相器2による位相調節、増幅器3による増幅、受電設備51への送信が済み、54のIQホモダイン回路42によるマイクロ波の測定が終了したら、そのタイミングで次のグループ、例えば50のグループの測定54が始められるように前記53の送電ユニットの位相変調器41による位相変調、移相器2による位相調節、増幅器3による増幅、受電設備51への送信を行うもので、このようにすることにより、1つのグループの処理が終わる前に次のグループの処理を始められるから、効率的に位相制御をおこなうことができる。
図10は、以上述べてきた本発明の第6実施例の送信波の位相制御方法で得られる位相誤差φが、送電設備から受電設備までの距離によるものであることを利用し、送電設備から受電設備までの距離を測定する電波測距に応用した場合のブロック図であり、(A)は例えば送信装置から電波を受信装置に送信することで送信位置から受信位置までの距離を算出するもの、(B)は例えば送信装置から電波を受信装置に送信し、受信装置で変調して送信装置に返し、送信装置で受信装置までの距離を算出する場合のブロック図である。図中70は発振器、71は位相変調器、72は移相器、73は増幅器、74は送信アンテナ、75はデータ信号、76は受信アンテナ、77はIQホモダイン回路、78はバンドパスフィルタ、79はアナログ/デジタル(AD)変換器、80は処理回路、81は距離データ、82、83はサーキュレータ、84は変調回路、85は送信データ、86は返信データ、87は距離データである。
この図10に示した電波測距における動作は、前記第6実施例の説明で述べたものと同じであり、まず図10(A)の例えば送信装置から電波を受信装置に送信することで送信位置から受信位置までの距離を算出する場合、発振器70からのマイクロ波は、位相変調器71で位相変調され、移相器72で位相調節されて増幅器73によって増幅される。そしてアンテナ74から受信装置に送られる。
受信装置では、送られてきたマイクロ波をアンテナ76で受信し、IQホモダイン回路77でIQホモダイン処理が行われ、バンドパスフィルタ78でキャリア波の2倍波成分、および直流成分が除去される。そしてアナログ/デジタル(AD)変換器79から処理回路80に送られ、この処理回路80で行われるFFT(高速フーリエ変換)によって得られた振幅をもとに、送信装置と受信装置の間の位相差φ81が計算される。そしてこの位相差φ81により、送信装置と受信装置の間の距離を算出するわけである。
一方、図10(B)に示した例えば送信装置から受信装置を地上に送信し、受信装置で変調して送信装置に返し、送信装置で受信装置までの距離を算出する場合のブロック図においては、発振器70からのマイクロ波は移相器72によって移相された後、増幅器73によって増幅されてサーキュレータ82を介してアンテナ74から受信装置に送られる。
受信装置では、送られてきたマイクロ波をアンテナ76で受信し、サーキュレータ83を介して変調回路84で変調し、もう一度サーキュレータ83を介してアンテナ76から信号を送信装置に送り返す。するとその信号は、アンテナ74で受信され、サーキュレータ74を介してIQホモダイン回路77に送られ、IQホモダイン処理が行われてバンドパスフィルタ78でキャリア波の2倍波成分、および直流成分が除去される。そしてアナログ/デジタル(AD)変換器79から処理回路80に送られ、この処理回路80で行われるFFT(高速フーリエ変換)によって得られた振幅をもとに、送信装置と受信装置の間の位相差2φ87が計算される。そしてこの位相差2φ87により、送信装置と受信装置の間の距離を算出するわけである。
以上種々述べてきたように本発明になる送信波の位相制御方法と装置は、送信波を移相器で基準位相から約90度、約180度、約270度に遅らせて送信し、約90度遅らせたときの振幅から約270度遅らせたときの振幅を引いたデータと、前記基準位相のときの振幅から約180度遅らせたときの振幅を引いたデータとから送信装置における位相誤差pに関するXsinpとXcosp(Xは定数)を算出し、該XsinpとXcospのデータからarctanによって位相誤差pを算出して前記移相器により位相誤差pを補正するようにしたから、従来装置のように基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できるから、どのようなシステムにも使える送信波の位相制御方法と装置を提供できる。
また同様に、本発明になる送信波の位相制御方法と装置は、送信波を位相変調して送信し、受信波にIQホモダイン処理を行って2倍波成分と直流成分を除去し、フーリエ変換して得られた振幅をもとに送信装置と受信装置の間の位相差を算出して位相差を補正するようにしたから、従来装置のように基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できるから、どのようなシステムにも使える送信波の位相制御方法と装置を提供できる。
なお、以上の説明では、本発明を宇宙太陽発電システムに適用した場合を説明してきたが、本発明はこういった宇宙太陽発電システム以外の遠距離におけるマイクロ波の送信などにも応用できることは自明である。
本発明によれば、基準信号を発する制御衛星や高度計などが不要でそれだけ安価に構成でき、また、位相誤差が±90度を超えても位相誤差を計算できる送信波の位相制御方法と装置を提供できる。
本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第1実施例のブロック図である。 受電設備が受けたマイクロ波の振幅を包絡線検波した結果(A)と、直流成分を取り除いた結果(B)を示した図である。 第1実施例による送信波の位相制御の時間系列を示した図である。 本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第2実施例のブロック図である。 第3実施例による送信波の位相制御の時間系列を示した図である。 本発明になる送信波の位相制御方法を実施する宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波の送受信システムの第4実施例のブロック図である。 第4実施例の送信波の位相制御処理を時間系列で表した図である。 第5実施例の送信波の位相制御処理を時間系列で表した図である。 第6実施例の送信波の位相制御処理を時間系列で表した図である。 本発明を、電波測距に応用した場合のブロック図である。 マイクロ波を用いる宇宙太陽発電システムで用いるフェーズドアレイアンテナと受電設備(レクテナ)の概略構成図である。 地上に設けられた複数の送電ユニットから、電力エネルギーとするためのマイクロ波を航空機に送るためにマイクロ波の位相を揃えるシステムの構成図である。
符号の説明
1 マイクロ波発振器
、2、……2 移相器
、3、……3 増幅器
、4、……4 アンテナ
5 受信アンテナ
6 検波器
7 直流電力
8 ハイパスフィルタ
9 増幅器
10 アナログ/デジタル(AD)変換器
11 処理回路
12 高度計
13 変調回路
14 送信用アンテナ
15 データ信号
16 受信用アンテナ
17 復調回路
18 位相誤差算出処理回路
19 データ信号
20 受電設備
21 送電設備

Claims (3)

  1. 送信波の位相を制御する移相器をそれぞれ有した複数の送信装置を備え、各送信装置から受信装置に送信する送信波の位相を揃える送信波の位相制御方法であって、
    前記各送信装置は、各送信装置毎に異なる周期で同時に変化する位相変調手段を備えて前記送信波を位相変調して送信し、前記受信装置は、受信波に対するIQホモダイン処理と周波数解析による位相復調手段を備えて前記送信装置と受信装置の間の位相差を算出し、位相差を補正するようにしたことを特徴とする送信波の位相制御方法。
  2. 前記複数の送信装置をグループ化し、一のグループにおける前記ホモダイン処理が終了したとき、次のグループにおける前記ホモダイン処理が始められるタイミングで位相変調された送信波を送り、このシーケンスを前記複数の送信装置のそれぞれの送信波の送信に適用して送信波の位相を揃えることを特徴とする請求項1に記載した送信波の位相制御方法。
  3. 送信波の位相を変調する位相変調手段と位相を制御する移相器とをそれぞれ有した複数の送信装置を備え、各送信装置から受信装置に送信する送信波の位相を揃える送信波の位相制御装置であって、
    前記送信装置に備えられた、各送信装置毎に異なる周期で同時に変化する位相変調手段で変調された送信波を受信して、IQホモダイン処理と周波数解析による位相復調手段を備えて、前記送信装置と受信装置の間の位相差を算出する処理手段と、該処理手段が算出した位相差を受け、前記送信装置に備えられた移相器に位相差を補正する指示を送出する手段とからなることを特徴とする送信波の位相制御装置。
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