JP5336709B2 - 電力供給システム - Google Patents
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SSPS計画とは、図16に示すように、巨大な太陽電池パネルを搭載した人口衛星を赤道上空に打ち上げ、太陽光によって発電した電力を太陽電池パネルの中の発信モジュールによりマイクロ波に変換する。そして、マイクロ波ビーム100を送電システム101から地上に設けた受電システム102へ送電し、地上において再び電力に変換して利用するという計画である。
これにより太陽発電の欠点である天候や時間帯に左右されること無く、クリーンなエネルギーを安定して供給することができる。この計画の実現のためには、大電力送電、マイクロ波ビーム制御、運用コストの低減などが技術課題として挙げられ、それらを満足させる方法の一つとして、上記送電システム101に積層アクティブ集積アンテナ(Active Integrated Antenna :AIA)を用いる方法が挙げられている。また、送電の更なる高効率化を図るために、上記積層アクティブ集積アンテナにレトロディレクティブ機能を搭載することなどが検討されている。
本発明は、電気エネルギーをマイクロ波ビームとして送信する送電システムと、該送電システムから送信されたマイクロ波ビームを受信する受電システムとを備え、前記受電システムは、前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定するビーム位置推定手段と、該位置ずれ量に関する情報を前記送電システムに送信する送信手段とを備え、前記送電システムは、前記受電システムから前記位置ずれ量に関する情報を受信し、該位置ずれ量に関する情報に基づいて前記マイクロ波ビームの送電方向を補正する電力供給システムであって、前記ビーム位置推定手段は、前記送電システムから受信したマイクロ波ビームの電力レベルを、予め設定されている基準ビームパターンのヌル点を挟んで対をなして配置された複数のモニタ点において検出し、検出した各モニタ点における電力レベルに基づいて、前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する電力供給システムを提供する。
モニタ点はヌル点近傍に設けられているので、位置ずれ量の推定精度を向上させることができる。更に、基準ビームパターンのヌル点を挟んで少なくとも1組のモニタ点が設定されていればマイクロ波ビームのずれ量を推定することが可能となる。これにより、モニタ点を少なくすることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
なお、電力レベルに代えて、電圧の差分を算出し、これに基づいてマイクロ波ビームのずれ量を推定することとしてもよい。
なお、電力レベルに代えて、電圧の和を算出し、これに基づいてマイクロ波ビームのずれ量を推定することとしてもよい。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力供給システムの概略構成を示した図である。
図1に示されるように、電力供給システム1は、電気エネルギーをマイクロ波ビームとして送信する送電システム2と、送電システム2から送信されたマイクロ波ビームを受信する受電システム3とを備えている。送電システム2は、例えば、宇宙空間に設けられている。受電システム3は、例えば、地上に設けられている。送電する電気エネルギーは、例えば、送電システム2において太陽光エネルギーを変換することで得ることができる。
なお、送電システム2は、宇宙空間に置かれる実施形態に限らず、送電側と受電側との間に距離がある状況に適用可能である。
更に、送電システム2は、マイクロ波発生部26、前段増幅器27、電力分配器28、複数の移相器29、各移相器29に対応して設けられた複数の後段増幅器30、および各後段増幅器30に対応して設けられた複数の送電アンテナ31、位相補正部32を備えている。
なお、送電システム2は、受電システム3からのパイロット信号を受信するための複数のアンテナ21と、アンテナ21により受信されたパイロット信号を所定のレベルになるように増幅又は減衰して出力するパイロット受信部22とを備え、パイロット受信部22から入力されたパイロット信号の位相差を測ることにより、パイロット信号の到来角度を検出し、これに基づいて後述する各送電アンテナ31から出力させるマイクロ波ビームの送信角度を決定してもよい。このように、パイロット信号に基づく制御機構(レトロディレクティブ方式)を併用することにより、例えば、補正する角度が大きい場合にも、より速く応答することが可能となる。
なお、送電システム2において、アンテナ21と送電アンテナ31とは共通するものを用いることとしてもよい。
なお、前記受電システム3は、パイロット信号を生成し、アンテナ55を介して送電システム2に送信するパイロット信号送信部54を備えてもよい。
図2に示されるように、受電システム3において、ビーム位置推定部52は、複数の受電アンテナ56を備える受電部51に接続されている。
ビーム位置推定部52は、受電部51により受信されたマイクロ波ビームの電力レベルを複数のモニタ点において検出し、検出した各モニタ点における電力レベルと、予め設定されている基準ビームパターンの対応するモニタ点における電力レベルとを比較することで、マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する。
上記基準ビームパターンは、例えば、受電アンテナ56の大きさ等から理論的に求められるビームパターンであってもよいし、或いは、送電システム2からテスト用のマイクロ波ビームを送信し、このマイクロ波ビームを受電部51で受信し、受信したマイクロ波ビームの受電レベルを検出することで作成されるものであってもよい。また、上記基準ビームパターンとして、上記以外の方法によって作成されたものを用いることとしてもよい。
図3に示されるように、マイクロ波ビームBdが基準ビームパターンBrとずれていた場合、基準ビームパターンBrの電力レベルとマイクロ波ビームBdの電力レベルとの差分ΔPrd(θ)は、ビーム中心付近よりもヌル点付近の方が大きくなる。したがって、ヌル点付近における両者の電力レベルを比較することで、ずれ量の推定精度を向上させることが可能となる。
本シミュレーションでは、図4に示されるように、メインローブの中心付近から両側のヌル点近傍にわたってモニタ点を設定した場合をケース3、また、図5に示されるように、メインローブの中心付近に集中してモニタ点を設定した場合をケース1、メインローブの中心付近に、ケース1よりも間隔を広げてモニタ点を設定した場合をケース2とし、基準ビームパターンに対してマイクロ波ビームを−0.1°ずつ、段階的にずらした場合の各位置ずれ量Δθに対する差分積算値A(Δθ)をシミュレーションした。図6はシミュレーション結果である。
図6に示されるように、ケース3の場合には、位置ずれ量Δθが0.1°ずれただけで、差分積算値A(Δθ)が2.0以上も変化するのに対し、ケース1の場合は、ほとんど変化が見られない。このように、モニタ点をヌル点近傍に設定することで、位置ずれ量の感度を高めることが可能となり、位置ずれ量の推定精度を高めることが可能となる。
まず、送電システム2において、アンテナ21によりパイロット信号が受信されると、このパイロット信号はパイロット受信部22により増幅等されて制御部25に送られる。制御部25では、パイロット信号の到来角度が検出され、この到来角度にマイクロ波ビームが送電されるような指令が移相器29に出力される。これにより、マイクロ波ビームがパイロット信号の到来角度、つまり、地上に設けられた受電システム3に向けて送電されることとなる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る電力供給システムについて図を参照して説明する。本実施形態に係る電力供給システムは、上述した第1の実施形態に係る電力供給システムと略同様であるが、受電システム3におけるビーム位置推定部の構成が異なる。以下、本実施形態の電力供給システムについて、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
このずれ量取得用情報は、例えば、到来角度を所定の間隔で変化させたテスト用のマイクロ波ビームを送信し、このマイクロ波ビームを受電アンテナ61a、61bにて受信し、受信したマイクロ波ビームの電力レベルの差分を算出する。また、このときのマイクロ波ビームと基準ビームパターンとのずれ量を求め、上述の差分とずれ量とを対応付けることでずれ量取得用情報を作成すればよい。
なお、マイクロ波ビームのずれ量は、例えば、受電アンテナ61a、61bに加えて上記多数の受電アンテナを配置しておき、これらの受電アンテナによって取得された電力レベルからビームパターンを作成し、作成したビームパターンと基準ビームパターンとを比較することで求めることが可能である。
なお、上記対となる受電アンテナは、図7に示されるように基準ビームパターンの中心を挟んで対称の位置に設けられていてもよいし、非対称な位置に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、ビーム位置推定部62において実現される処理は、ハードウェアによる処理としてもよいし、ソフトウェアにて処理することとしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る電力供給システムについて図を参照して説明する。本実施形態に係る電力供給システムは、上述した第1の実施形態に係る電力供給システムと略同様であるが、受電システム3におけるビーム位置推定部の構成が異なる。以下、本実施形態の電力供給システムについて、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
なお、マイクロ波ビームのずれ量は、例えば、受電アンテナ61a、61bに加えて上記多数の受電アンテナを配置しておき、これらの受電アンテナによって取得された電力レベルからビームパターンを作成し、作成したビームパターンと基準ビームパターンとを比較することで求めることが可能である。
このような構成を備えるビーム位置推定部72においては、まず、受電アンテナ71a,71bにより検出されたマイクロ波ビームの電力レベルP1´,P2´が差分算出部73及び和算出部74に入力される。差分算出部73は電力レベルP1´,P2´の差分ΔP(θ)´を算出し、和算出部74は電力レベルP1´,P2´の和SP(θ)´を算出し、算出結果をそれぞれ推定部76に出力する。推定部76は、差分ΔP(θ)´と図12に示した第1ずれ量取得用情報とを用いて位置ずれ量Δθ1を求め、また、和SP(θ)´と図13に示した第2ずれ量取得用情報とを用いて位置ずれ量Δθ2を求める。そして、求めたΔθ1とΔθ2との平均値を最終的な位置ずれ量Δθ´として決定する。このようにして、最終的な位置ずれ量Δθ´が求められると、この位置ずれ量Δθ´を解消するような制御コマンドを作成して送信用アンテナ53(図1参照)を介して送電システム2に送信する。
なお、上記対となる受電アンテナは、図10に示されるようにヌル点の中心を挟んで対称の位置に設けられていてもよいし、非対称な位置に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、ビーム位置推定部72において実現される処理は、ハードウェアによる処理としてもよいし、ソフトウェアにて処理することとしてもよい。例えば、上記差分算出部73、和算出部74をハードウェアによる構成とする場合には、ラットレースリング等の回路を使用することが可能である。
送電システム2では、アンテナ21´によって多重信号が受信され、受信部40を介して制御部25´に出力される。制御部25´は、多重信号を復号することでパイロット信号と制御コマンドと取得し、これらに基づいてマイクロ波ビームの送電方向を制御する。
なお、図15に示されるビーム位置推定部52に代えて、上述のビーム位置推定部62または72を採用することができることはいうまでもない。
例えば、各実施形態においては、位置ずれ量のみを推定することとしたが、位相についても推定することとしてもよい。
2 送電システム
3 受電システム
21,21´,23,53,55 アンテナ
22 パイロット受信部
24 制御コマンド受信部
25,25´ 制御部
31 送電アンテナ
40 受信部
51 受電部
52、62,72 ビーム位置推定部
54 パイロット送信部
56、61a,61b,71a,71b 受電アンテナ
63,73 差分算出部
65、76 推定部
64、75 記憶部
74 和算出部
Claims (6)
- 電気エネルギーをマイクロ波ビームとして送信する送電システムと、
該送電システムから送信されたマイクロ波ビームを受信する受電システムと
を備え、
前記受電システムは、
前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定するビーム位置推定手段と、
該位置ずれ量に関する情報を前記送電システムに送信する送信手段と
を備え、
前記送電システムは、前記受電システムから前記位置ずれ量に関する情報を受信し、該位置ずれ量に関する情報に基づいて前記マイクロ波ビームの送電方向を補正する電力供給システムであって、
前記ビーム位置推定手段は、
前記送電システムから受信したマイクロ波ビームの電力レベルを、予め設定されている基準ビームパターンのヌル点を挟んで対をなして配置された複数のモニタ点において検出し、検出した各モニタ点における電力レベルに基づいて、前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する電力供給システム。 - 前記ビーム位置推定手段は、
対となる前記モニタ点にて検出された電力レベルの差分を算出する差分算出手段と、
対となる前記モニタ点にて検出された電力レベルの差分と位置ずれ量とが関連付けられたずれ量取得用情報が記憶されている記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記ずれ量取得用情報と前記差分算出手段により算出された差分とに基づいて前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する推定手段と
を具備する請求項1に記載の電力供給システム。 - 前記ビーム位置推定手段は、
対となる前記モニタ点にて検出された電力レベルの和を算出する和算出手段と、
対となる前記モニタ点にて検出された電力レベルの和と位置ずれ量とが関連付けられたずれ量取得用情報が記憶されている記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記ずれ量取得用情報と前記和算出手段により算出された和とに基づいて前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する推定手段と
を具備する請求項1に記載の電力供給システム。 - 前記ビーム位置推定手段は、
前記送電システムから受信したマイクロ波ビームの電圧を、予め設定されている基準ビームパターンのヌル点を挟んで対をなして配置された複数のモニタ点において検出し、検出した各モニタ点における電圧に基づいて、前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定する請求項1に記載の電力供給システム。 - 前記受電システムは、パイロット信号を送信する送信手段を備え、
前記送電システムは、該受電システムからのパイロット信号を受信し、該パイロット信号の到来方向を検出し、検出した該到来方向にマイクロ波ビームを指向させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の電力供給システム。 - 電気エネルギーをマイクロ波ビームとして送信する送電システムと、該送電システムから送信されたマイクロ波ビームを受信する受電システムとを備える電力供給システムに用いられる受電システムであって、
前記送電システムから受信したマイクロ波ビームの電力レベルを、予め設定されている基準ビームパターンのヌル点を挟んで対をなして配置された複数のモニタ点において検出し、検出した各モニタ点における電力レベルに基づいて、前記マイクロ波ビームの位置ずれ量を推定するビーム位置推定手段と、
該位置ずれ量に関する情報を前記送電システムに送信する送信手段と
を備える受電システム。
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