JP4195624B2 - 画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を圧縮した符号を処理する画像処理装置、画像読取装置、プログラム及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、いわゆる複合機において、読み取り信号の画像処理、メモリへの画像蓄積、複数機能の並行動作およびそれぞれの画像処理を最適化する画像処理装置について開示されている。
【0003】
また、多値画像(特にカラー画像)を可逆に符号化する符号化方式としては、ITU−TとISOとで標準方式とされているJPEG方式が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平08-274986号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年のデジタル機器においては、高画質化のために、解像度を高くし、あるいは、階調数を多くする傾向がある。これにより画像の持つ情報量が多くなることで画質は向上する反面、画像の情報量が多くなるという問題がある。後者の例を挙げると、例えば、従来2階調(白または黒)値であった画像を白黒256階調の画像にすると、情報量は8倍になってしまう。情報量が8倍になるということは、その画像データを記憶するために必要とされる記憶容量も単純に計算すると8倍になってしまい、装置の製造コストが増大するという問題になる。そこで、通常は記憶容量を削減するために、画像を圧縮符号化する。
【0006】
このような符号化方式の1つに、多階調画像を効率良く符号化するための技術が存在する。この多階調画像(カラー画像も含む)の符号化方式の代表としては、ISOとITU−Tとで標準勧告されているJPEG方式がある。JPEG方式は、基本であるDCT方式とオプションのDPCMを用いた方式がある。前者は人間の視覚特性を利用して画質を損なわない程度に原画の情報量を一部削減して符号化を行う符号化方式(非可逆符号化方式、ロッシー(lossy)符号化方式と呼ばれる)であり、後者は原画の情報量を損なうことなく符号化を行う符号化方式(可逆符号化方式、ロスレス(lossless)符号化方式と呼ばれる)である。
【0007】
DCT方式は、離散コサイン変換を使って画像情報を周波数情報に変換した後に情報の符号化を行う方式である。一方、DPCM方式は注目画素レベルを周囲画素より予測を行い、その予測誤差を符号化する方式である。画質重視で符号化を行うのであれば、効率の良いDCT方式を用いるのが良いが、情報の保存性という点ではDCT方式は非可逆であるために、可逆であるDPCM方式となる。理想としては、可逆で高能率な方式があればよいが、現状のDPCMによる可逆方式ではそれほど大きな効率を得られないという問題があり、パーソナルコンピュータ(PC)等で使用される比較的階調数の多い多値画像の圧縮には、DCT方式を使うことが主流になっている。しかし、DCT方式は圧縮率を高くすると特有のブロック歪みや輪郭部でモスキートノイズが発生し、画質が極端に劣化する。特に文字画像において、その傾向が顕著であるために画質的に大きな問題となっている。
【0008】
また、JPEG方式は、画像の記憶容量を少なくする用途では最適な方式であるが、デジタル複写機で使われる画像の編集・加工等の用途には最適ではない。なぜなら、符号状態で画像の位置を特定できない、言い換えれば、指定された画像の任意部分のみ復号処理することができないからである。よって、編集・加工処理を行うためには、一度、画像全てを復号し、復号後の画像に対して編集・加工を行い、必要であれば、再度、符号化を行うということになり、復号後の画像を記憶するための大きな記憶容量のメモリが必要になるという問題がある(例えば、A4サイズ、600dpi、RGBカラー画像で、約100Mbyte必要である)。
【0009】
このような編集・加工処理時のメモリの記憶容量の問題を解決する手段の一つに、固定長の符号化方式を利用することが考えられる。画像の符号化には符号化後の符号語長から可変長と固定長に大きく分けられる。前者の特徴は、後者に比べて符号化効率が良い点と可逆も可能である点にある。これ対し、後者の特徴は、符号の状態で符号化前の画像の位置がわかるために、画像中の任意の部分のみを再生することなどが可能である。これは、符号状態のまま、画像の編集・加工処理等が可能になることを意味している。しかし、その反面、可変長符号に比べて、一般的に符号化効率が悪く、可逆符号化も困難であるという問題がある。
【0010】
以上のJPEG方式の欠点を解決するために、JPEG2000と称する符号化方式が近年、注目されている。JPEG2000は、ウェーブレット変換を用いた変換符号化方式で、今後、カラー画像をはじめとする静止画像の分野において、JPEGに置き換わっていくだろうと予測されている。JPEG2000は、JPEGの欠点である低ビットレートでの画質劣化を少なくしたことに加え、実用的な新機能を多数備えている。その中の機能にタイル処理というものがあり、これは画像を小さな領域に分けて独立に符号化を行うため、符号状態で画像の領域を特定することが可能になり、結果的に、符号状態のままで画像の編集・加工処理が可能になる。しかし、このようなJPEG2000方式にも欠点はある。それは処理速度である。JPEG2000は多機能かつ高性能を実現するため、処理が複雑である。JPEGとの比較を例にすると、ソフトウェアによる処理では約4〜5倍の処理時間を必要とする。
【0011】
このように、各種符号化方式にも一長一短があり、通常は高画質かつ小容量の画像として扱い、画像の編集、加工等の処理が必要の場合には、符号のまま編集、加工の処理が実行できるようにできれば、各種符号化方式の短所を補うことができて便利である。
【0012】
本発明の目的は、通常は高画質かつ小容量の画像として扱い、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることができるようにすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画質と符号化効率の高い第1の符号化方式と画像の編集又は加工に適する第2の符号化方式を用いて画像処理する画像処理装置において、可変長符号化方式である前記第1の符号化方式で圧縮符号化されて記憶された符号を読み出す読出手段と、前記読出手段で読み出した前記第1の符号化方式の符号を、編集又は加工を必要とする場合には符号を伸長することなく、符号のまま復号後の画像位置を特定でき且つ前記特定した画像位置のみ独立して画像を復号できる固定長符号化方式である前記第2の符号化方式の符号に、変換する符号変換手段と、前記第1の符号化方式の符号又は前記符号変換後の第2の符号化方式の符号の一方を選択的に所定の送信先に出力する送信手段と、を備え、前記第1と前記第2の符号化方式は同一の符号化方式であるJPEG2000方式により実現するものである画像処理装置。
【0014】
したがって、通常は高画質かつ小容量の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する符号に変換して符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0015】
なお、本発明において「画像の編集、加工」とは、例えば、画像の大きさを変える、ページ番号を付加するなどのさまざまな編集処理や、各種の画像処理などの画像に対する加工処理である。
【0017】
したがって、通常は高画質かつ小容量の可変長符号の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する固定長符号に変換して符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0019】
したがって、通常は高画質かつ小容量の可変長符号の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する、符号のまま復号後の画像位置を特定でき、かつ、該部分のみ独立して画像を復号可能な符号に変換して、符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0021】
したがって、1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0023】
したがって、1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0025】
したがって、JPEG2000という1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0026】
また、本発明は、上述した前記画像処理装置と、画像データを前記第1の符号化方式で圧縮符号化する圧縮手段と、この圧縮符号化後の符号を記憶し、前記読み出しの先となる記憶装置と、この記憶されている符号を復号する復号手段と、画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンと、前記画像データについて編集又は加工の処理を行う編集・加工手段と、を備え、前記送信手段は、前記第1の符号化方式の符号を編集又は加工の処理に供するために出力し、前記変換後の第2の符号化方式の符号を前記画像の形成に供するために出力する、画像形成装置である。
【0027】
したがって、上述した前記画像処理装置に係る発明と同様の作用、効果を奏することができる。
【0028】
また、本発明は、画像の形成に供する原稿の画像を読み取る画像入力装置と、上述した前記画像処理装置と、前記読取後の画像データを前記第1の符号化方式で圧縮符号化する圧縮手段と、この圧縮符号化後の符号を記憶し、前記読み出しの先となる記憶装置と、この記憶されている符号を復号する復号手段と、前記画像データについて編集又は加工の処理を行う編集・加工手段と、を備え、前記送信手段は、前記第1の符号化方式の符号を編集又は加工の処理に供するために出力し、前記変換後の第2の符号化方式の符号を外部に出力する、画像読取装置である。
【0029】
したがって、上述した前記画像処理装置に係る発明と同様の作用、効果を奏することができる。
【0030】
また、本発明は、画質と符号化効率の高い第1の符号化方式と画像の編集又は加工に適する第2の符号化方式のうち、前記第1の符号化方式で圧縮符号化されて記憶された符号を読み出す読出処理と、前記読出処理で読み出した前記第1の符号化方式の符号を、編集又は加工の処理のために前記第2の符号化方式の符号に変換する符号変換処理と、前記第1の符号化方式の符号又は前記符号変換後の第2の符号化方式の符号の一方を選択的に所定の送信先に出力する送信処理と、を含み、前記第1の符号化方式を可変長符号化方式とし、前記第2の符号化方式を固定長符号化方式として、前記第1と前記第2の符号化方式を同一の符号化方式により実現させる処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【0031】
したがって、前記画像処理装置に係る発明と同様の作用、効果を奏することができる。
【0032】
また、本発明は、前記プログラムを記憶している記憶媒体である。
【0033】
したがって、前記画像処理装置に係る発明と同様の作用、効果を奏することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
[発明の実施の形態1]
本発明の一実施の形態を発明の実施の形態1として説明する。
【0035】
図1は、本発明の画像形成装置を実施した複写機1の電気的な接続を示すブロック図である。原稿を光学的に読み取るスキャナである読み取りユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光をミラーおよびレンズなどからなる光学系によりCCD(電荷結合素子)などの光電変換素子に集光する。この光電変換素子は、SBU(センサ・ボード・ユニット)12に搭載され、受光素子において電気信号に変換された画像信号はデジタル画像信号に変換された後、SBU12から出力される。SBU12から出力される画像信号はCDIC13(圧縮/伸長およびデータインターフェイス制御部)13に入力される。機能デバイスおよびデータバス間における画像データの伝送はCDIC13が全て制御する。CDIC13は画像データに関し、SBU12、パラレルバス14、編集・加工手段となるIPP15(画像処理プロッセッサ)15間のデータ転送、本システムの全体制御を司るシステムコントローラ(CPU)16と画像データに対するプロセスコントローラ27間の通信を行なう。符号16a,16bは、システムコントローラ16が使用するROM、RAMである。それぞれSBU12からの画像信号は、CDIC13を経由してIPP15に転送され、光学系およびデジタル画像信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化とする)が補正されて、再度CDIC13へ出力される。
【0036】
この複写機1では、読み取りユニット11による読み取り画像をメモリに蓄積して再利用するジョブと、メモリに蓄積しないジョブとがあり、以下ではそれぞれの場合について説明する。メモリに蓄積する例としては、1枚の同一原稿を複数枚複写する場合、読み取りユニット11で1回だけ原稿の読取動作を行い、メモリに蓄積し、蓄積データを複数回読み出す使い方がある。メモリを使わない例としては、1枚の原稿を1枚だけ複写する場合、読み取り画像をそのまま印刷すればよいので、メモリアクセスを行なう必要はない。
【0037】
まず、メモリを使わない場合、IPP15からCDIC13へ転送された画像データは、再度CDIC13からIPP15へ戻される。IPP15において受光素子による輝度データを面積階調に変換するための画質処理を行なう。この画質処理後の画像データはIPP15からVDC(ビデオ・データ制御)17に転送する。そして、面積階調に変化された信号に対し、ドット配置に関する後処理およびドットを再現するためのパルス制御を行い、電子写真方式で画像形成するプリンタエンジンである作像ユニット18により、転写紙上に再生画像を形成する。なお、作像ユニット18の印刷方式は、電子写真方式のほか、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、銀塩写真方式、直接感熱記録方式、溶融型熱転写方式など、様々な方式を用いることができる。
【0038】
メモリに画像データを蓄積し、画像データの読み出し時に付加的な処理、例えば、画像方向の回転、画像の合成等を行なう場合の画像データの流れを説明する。IPP15からCDIC13へ転送された画像データは、CDIC13からパラレルバス14を経由してIMAC(画像メモリアクセス制御)19に送られる。IMAC19では、システムコントローラ16の制御に基づき、画像データの記憶装置であるMEM(メモリモジュール)20へのアクセス制御、外部のPC(パソコン)21へのプリント用データの展開、MEM20のメモリ有効活用のための画像データの圧縮/伸長を行なう。IMAC19へ送られた画像データはデータ圧縮後MEM20へ蓄積され、この蓄積データは必要に応じて読み出される。読み出した画像データは伸長されて本来の画像データに戻され、IMAC19からパラレルバス経由でCDIC13へ戻される。
【0039】
CDIC13からIPP15への転送後は画像データに対して画質処理およびVDC17でのパルス制御を行い、その画像データにより作像ユニット18において転写紙上に画像形成する。
【0040】
この複写機1は、いわゆる複合機であり、FAX送信機能を備えている。このFAX送信機能は、読み取り画像データにIPP15にて画像処理を実施し、CDIC13およびパラレルバス14を経由してFCU(FAX制御ユニット)22へ転送する。FCU22にて通信網へのデータ変換を行い、PN(公衆回線)23へFAXデータとして送信する。FAX受信は、PN23からの回線データをFCU22で画像データへ変換し、パラレルバス14およびCDIC13を経由してIPP15へ転送する。この場合、特別な画質処理は行なわず、VDC17においてドット再配置およびパルス制御を行い、作像ユニット18において転写紙上に再生画像を形成する。
【0041】
複数のジョブ、例えば、コピー機能、FAX送受信機能、プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読み取りユニット、作像ユニットおよびパラレルバス14の使用権のジョブへの割り振りをシステムコントローラ16およびプロセスコントローラ27で制御する。
【0042】
プロセスコントローラ(CPU)27は画像データの流れを制御し、システムコントローラ16はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。符号27a,27bは、システムコントローラ27が使用するROM、RAMである。
【0043】
ユーザは、操作パネル24を選択入力することで各種の機能の選択を行ない、コピー機能、FAX機能等の処理内容を設定する。
【0044】
システムコントローラ16とプロセスコントローラ27はパラレルバス14、CDIC13およびシリアルバス25を介して相互に通信を行なう。この際、CDIC13内においては、パラレルバス14とシリアルバス25とのデータインターフェイスのためのデータフォーマット変換を行なう。
【0045】
MLC(Media Link Controller)26は、符号化・復号化手段、変換手段として、画像データの符号変換の機能を実現する。具体的にはCDIC13で使用される符号化方式、IMAC19で使用される符号化方式から他の符号化方式への変換(例えば、標準であるJPEG方式等)を行なう。
【0046】
図2〜図4は、それぞれ、CDIC13、IMAC19およびMLC26の構成を示すブロック図である。
【0047】
図2に示すように、CDIC13において、画像データ入出力制御部31はSBU12からの画像データを入力し、IPP15に対して画像データを出力する。画像データ入力制御部32では、IPP15でスキャナ画像補正された画像データが入力される。この入力データは、パラレルバス14での転送効率を高めるためにデータ圧縮部33に於いて、必要に応じてデータ圧縮することができる。このデータはパラレルデータI/F34を介してパラレルバス14へ送出される。パラレルバス14からパラレルデータI/F34を介して入力される画像データは、バス転送のために圧縮されており、データ伸長部35で必要に応じて伸長することができる。伸長された画像データは画像データ出力制御部36によりIPP15へ転送される。データ圧縮部33、データ伸長部35での圧縮伸長に使われる符号化方式として最適なものの一例としては、符号語長が固定の方式が複写機に適していると思われる。固定長の符号化方式は、符号状態で符号化前の画像の位置がわかるために任意の部分の画像のみを再生することが可能である。また、画像加工や編集性にも適している。
【0048】
CDIC13はパラレルデータとシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ16はパラレルバス14にデータを転送し、プロセスコントローラ27はシリアルバス25にデータを転送する。2つのコントローラ16,27間での通信のためにデータ変換部37がデータ変換を行なう。シリアルデータI/F38はIPP15用の分も含めて2系統用意され、IPP15とのインターフェイスともなる。コマンド制御部39は各種コマンドの制御を行なう。
【0049】
図3に示すように、IMAC19は、パラレルデータI/F41において、パラレルバス14との間で画像データのインターフェイスを管理する。IMAC19は、構成的にはMEM20への画像データの格納/読み出しと、主に外部のPC21から入力されるコードデータの画像データへの展開を制御する。ここでいうMEM20の例としては、半導体メモリ、ハードディスク、もしくはその両方である。PC21から入力されたコードデータは、ラインバッファ42において、ローカル領域でのデータの格納を行なう。ラインバッファ42に格納されたコードデータは、システムコントローラI/F43を介して入力されたシステムコントローラ16からの展開処理命令に基づき、ビデオ制御部44において画像データに展開される。展開された画像データもしくはパラレルデータI/F41を介してパラレルバス14から入力された画像データは、MEM20に格納される。この場合、データ変換部45において格納対象となる画像データを選択し、圧縮手段を実現するデータ圧縮部46においてメモリ使用効率を上げるために、必要に応じてデータ圧縮を行ない、メモリアクセス制御部47にてMEM20のアドレスを管理しながらMEM20に画像データを格納する。MEM20に格納された画像データの読み出しは、メモリアクセス制御部47において読み出し先アドレスを制御し、読み出されたデータは、必要に応じて復号手段を実現するデータ伸長部48で伸長される。データ圧縮部46、データ伸長部48での圧縮伸長に使われる符号化方式の一例としては、MEM20のメモリ領域の節約に適した高能率な符号化方式が挙げられる。これは前述したCDIC13に要求される機能重視の符号化方式と異なり、効率重視の符号化方式である。伸長された画像データをパラレルバス14へ転送する場合、パラレルデータI/F41を介してデータ転送を行なう。
【0050】
図4に示すように、MLC26において、システムコントローラI/F51は、システムコントローラ16からの処理命令に基づき、データアクセス制御部52、データ圧縮部53、データ伸長部54及びデータ変換部55の制御を行なう。データアクセス制御部52は、符号変換の対象となるデータをIMAC19、CDIC13との間で入出力する。具体的にはIMAC19経由でMEM20に格納されているデータとの入出力が例として挙げられる。入力されたデータに対しては必要に応じてデータ伸長部54により元の画像データが再現される。再現された画像データに対しては、必要であれば画像処理、変倍等のデータ変換がデータ変換部55で行われる。変換後のデータは出力すべき符号フォーマットを作成するためにデータ圧縮部53にて必要に応じ符号化処理が行われる。新たに作成された符号データはデータアクセス制御部52にて出力される。なお、対象とするデータが符号でない場合にはデータ伸長部54の処理は行われない。逆に、出力すべきデータが符号でない場合には、データ圧縮部53での処理は行われない。なお、MLC26で処理後の符号データは、IMAC19を介してPC21に出力することができる。
【0051】
次に、MLC26におけるデータ圧縮部53、データ伸長部54、データ変換部55の構成及び動作について、図5を参照して詳細に説明する。
【0052】
データ圧縮部53は、それぞれ画像データを圧縮符号化処理することができる符号化処理部71,72を備えている。符号化処理部71と72は、符号化方式が異なり、前者は後者の符号化方式より高画質かつ符号化効率重視の符号化方式(第1の符号化方式)を用い、後者は前者の符号化方式より画像の編集、加工に適する符号化方式(第2の符号化方式)を用いている。
【0053】
データ伸長部54は、画像圧縮後の符号を復号する復号部73,74を備えている。復号部73は符号化処理部71で用いている第1の符号化方式を復号し、復号部74は符号化処理部72で用いている第2の符号化方式を復号することができる。
【0054】
データ変換部55は、符号変換部75を備えていて、符号変換部75では、データ圧縮部53及びデータ伸長部54で用いている第1と第2の符号化方式間の相互変換を行うことができる。すなわち、変換部76は第1の符号化方式から第2の符号化方式の符号に変換し、変換部77は第2の符号化方式から第1の符号化方式の符号に変換する。
【0055】
複写機1は、以上のようなデータ圧縮部53、データ伸長部54、データ変換部55を用いて、次の2通りの処理の何れかを行うことができる。
【0056】
1番目の処理は、画像データの記憶容量を少なくするために、通常は、高画質かつ符号化効率重視の第1の符号化方式により、MLC26のデータ圧縮部53などで画像信号の符号化を行ない、MEM20などの記憶装置に記憶しておく。そして、この記憶されている画像データ(符号)に対して、画像の回転や印字、合成等の編集、加工の処理が必要になった場合には、その符号を伸長することなく、変換部76で、第1の符号化方式の符号を編集、加工の処理に適した第2の符号化方式の符号に変換して、CDIC13を経由してIPP15に転送するなどする。
【0057】
この処理によれば、符号を画像データに戻すことなく符号変換が可能であるため、高速かつ省ワークスペースで処理が実現可能である。
【0058】
2番目の処理は、データ圧縮部53とデータ伸長部54とが連携するものである。通常時では高画質かつ符号化効率重視の第1の符号化方式によりMEM20など記憶されている画像に対して、画像の回転や印字、合成等の編集、加工の処理が必要になった場合には、まず、復号部73で画像に戻して、符号化処理部72で画像の編集、加工に適した第2の符号化方式に再圧縮する。
【0059】
この方法では、符号変換部75での変換符号処理は必要ない。なお、符号の復号と再度の圧縮を連携して処理させれば、画像全体を復号することなく、符号変換処理は可能である。
【0060】
以上のような各処理例によれば、通常は高画質かつ小容量の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、第2の符号化方式の符号に変換して、符号のまま画像の編集、加工の処理を行うことができ、編集、加工の処理の際には、作業領域を少なくすることが可能になる。
【0061】
この場合の具体的な処理の流れを、図6を参照して説明する。図6に示すように、システムコントローラ16は、ROM16aに記憶されている制御プログラムに基づいて次のような処理を実行する。まず、IPP15などにおける画像の編集、加工の処理が必要であるか否かを判断し(ステップS1)、必要な場合は(ステップS1のY)、MEM20に記憶されている第1の符号化方式の符号を読み出し(読出手段、読取処理)(ステップS2)、これを前述の第1又は第2の処理により、第2の符号化方式の符号に変換する(変換手段、変換処理)(ステップS3)。そして、変換後の符号をIPP15などに出力する(ステップS4)。画像の編集、加工の処理が必要でない場合は(ステップS1のN)、MEM20に記憶されている第1の符号化方式の符号をそのまま読み出して(ステップS5)、作像ユニット18などに出力する(この場合は、現実にはデータ伸長部54で復号してから出力することになる)(ステップS6)。このように、ステップS1,S4,S5により選択的に第1又は第2の符号化方式の符号が送信されることで、送信手段、送信処理が実行される。このように、本発明の画像処理装置は、MLC26とシステムコントローラ16が実行する処理などにより実現される。
【0062】
次に、第1、第2の符号化方式の具体例について説明する。
【0063】
前述の第1の符号化方式としては可変長符号化方式を用い、第2の符号化方式としては固定長符号化方式を用いることができる。可変長符号化方式としては、例えば、JPEG方式、固定長符号化方式としては、例えば、1画素に割り当てる符号語長を固定してしまう符号化方式(例えば、1画素8ビットである画素データに対して1画素2ビットの符号語を当てはめるという方法などである)を用いることができる。
【0064】
また、第2の符号化方式は、符号のまま復号後の画像位置を特定でき、かつ、該部分のみ独立して画像を復号可能な符号化方式としてもよい。この場合の具体例としては、第1の符号化方式にはJPEG方式、第2の符号化方式には、画像を1又は複数の領域に分割し、この分割された単位で独立に圧縮符号化を行うタイル符号化方式を用いることが考えられる。
【0065】
この第1及び第2の符号化方式の符号を、可変長符号化方式と固定長符号化方式とする場合、あるいは、可変長符号化方式と、符号のまま復号後の画像位置を特定でき、かつ、該部分のみ独立して画像を復号可能な符号化方式とする場合には、この第1及び第2の符号化方式は、同一の符号化方式により実現することもできる。この場合に用いる符号化方式としては、例えば、JPEG2000などが考えられる。JPEG2000方式では、固定長符号化及びタイル符号化が可能であるため、1つの方式で、第1及び第2の符号化方式を実現することが可能である。
【0066】
図7は、IPP15の構成を示すブロック図である。読み取り画像はSBU12、CDIC13を介してIPP15の入力I/F61からスキャナ画像処理部62へ伝達される。スキャナ画像処理部62が行なう処理は、読み取り画像信号の劣化補正が目的で、シェーディング補正、スキャナγ補正、MTF補正等を行なう。補正処理ではないが、拡大/縮小の変倍処理も行なう。読み取り画像データの補正処理終了後、出力I/F63を介してCDIC13へ画像データを転送する。転写紙への出力はCDIC13からの画像データを入力I/F64より受け、画質処理部65に於いて面積階調処理を行なう。画質処理後のデータは出力I/F66を介してVDC17へ出力される。面積階調処理は濃度変換、ディザ処理、誤差拡散処理等が有り、階調情報の面積近似を主な処理とする。一旦、スキャナ画像処理された画像データをメモリに蓄積しておけば、画質処理を変えることによって種々の再生画像を確認することができる。例えば再生画像の濃度を振ってみたり、ディザマトリクスの線数を変更してみたりする事で、再生画像の雰囲気を変更できる。この時処理を変更する度に画像を読み取りユニットから読み込み直す必要はなく、MEM20から格納画像を読み出せば同一データに対し、何度でも異なる処理を実施できる。また、単体スキャナの場合、スキャナ画像処理と階調処理を合せて実施し、CDIC13へ出力する。コマンド制御プログラム制御部67は各種コマンドの制御等を行なう。
【0067】
[発明の実施の形態2]
別の実施の形態を発明の実施の形態2として説明する。
【0068】
図8は、本発明の画像読取装置を実施した画像読取装置81の電気的な接続を示すブロック図である。図9において、図1以下と同様の符号は前述の実施の形態1と同様の構成要素であるため、詳細な説明は省略する。この画像読取装置91が、複写機1と大きく異なる点は、作像ユニット18が無いことである。作像ユニット18が不要なのでVDC17も装着されない。
【0069】
読み取りユニット11において読み込まれた画像データは、SBU12においてデジタル化され、CDIC13を介してIPP15に転送された後、所定の画像処理を行なう。これは、読み取り画像の劣化補正がメインになるが、画面を使った表示装置に適する階調処理も行なう。複写機1のような転写紙を対象とした画質処理とは異なる処理が多い。この際IPP15をプログラマブルな演算処理装置で構成する事で、転写紙への画質処理、画面への階調処理に関し、必要な処理手順のみを設定すればよく、画質処理の手順と階調処理の手順を常に両方持ち合わせる必要はないという構成も可能である。
【0070】
階調処理後の画像データはCDIC13へ転送され、パラレルバス14を経由してIMAC19に送られる。バッファメモリとしてMEM20を使用し、PC21に付属するドライバに対し画像データを転送することで、スキャナ機能を実現する。複写機1と同様、システムコントローラ16とプロセスコントローラ27により画像データおよびシステムのリソース管理を行なう。
【0071】
[発明の実施の形態3]
別の実施の形態を発明の実施の形態3として説明する。
【0072】
図9は、画像処理装置91の電気的な接続を示すブロック図である。この画像処理装置91には、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどが用いられる。図9に示すように、画像処理装置91は、各種演算を行ない、各部を集中的に制御するCPU92と、各種のROMやRAMからなるメモリ93とが、バス94で接続されている。
【0073】
バス94には、所定のインターフェイスを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置95と、マウスやキーボードなどで構成される入力装置96と、LCDやCRTなどの表示装置97と、光ディスクなどの記憶媒体98を読取る記憶媒体読取装置99とが接続され、また、ネットワーク100と通信を行なう所定の通信インターフェイス101が接続されている。なお、通信インターフェイス101は、ネットワーク100を介してインターネットなどのWANに接続可能である。記憶媒体98としては、CDやDVDなどの光ディスク、光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種方式のメディアを用いることができる。また、記憶媒体読取装置99は、具体的には記憶媒体98の種類に応じて光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブなどが用いられる。
【0074】
磁気記憶装置95には、この発明のプログラムを実施する画像処理プログラムが記憶されている。この画像処理プログラムは、この発明の記憶媒体を実施する記憶媒体98から記憶媒体読取装置99により読取るか、あるいは、インターネットなどのWANからダウンロードするなどして、磁気記憶装置95にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置91は動作可能な状態となる。なお、この画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
【0075】
本画像処理装置91においては、記憶装置である磁気記憶装置95に第1の符号化方式の符号を記憶しておき、図6の処理を画像処理プログラムにもとづいて実現する。この場合に、実施の形態1,2においてデータ圧縮部53、データ伸長部54、データ変換部55で実行していた処理も、画像処理プログラムにもとづいてCPU92が実行する。
【0076】
また、画像処理プログラムに基づいて、ユーザは画像処理装置91で画像の編集、加工の処理(その内容は前述のとおり)が可能である。そして、画像データを、この編集、加工の処理に供するときは第1の符号化方式から第2の符号化方式の符号に変換してから利用し、外部で画像の印刷に供する場合などには第1の符号化方式のままネットワーク100に出力する。
【0077】
【発明の効果】
本発明は、通常は高画質かつ小容量の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する符号に変換して符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0078】
本発明において、通常は高画質かつ小容量の可変長符号の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する固定長符号に変換して符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0079】
本発明において、通常は高画質かつ小容量の可変長符号の画像として扱い、画像の編集、加工の処理が必要の場合には、編集、加工の処理に適する、符号のまま復号後の画像位置を特定でき、かつ、該部分のみ独立して画像を復号可能な符号に変換して、符号のまま編集、加工処理を行うことができるので、画像の編集、加工時には作業領域を少なくすることが可能になる。
【0080】
本発明において、1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0081】
本発明において、1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0082】
本発明において、JPEG2000という1つの符号化方式により実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0083】
本発明が対象とする画像形成装置や画像読取装置についても、本発明に関する画像処理装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1であるデジタル複写機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】CDICの全体構成を示すブロック図である。
【図3】IMACの全体構成を示すブロック図である。
【図4】MLCの全体構成を示すブロック図である。
【図5】MLCのデータ圧縮部、データ伸長部、データ変換部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】デジタル複写機が実行する処理のフローチャートである。
【図7】IPPの全体構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2である画像読取装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2である画像処理装置の電気的な接続を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
11 画像入力装置
18 プリンタエンジン
20 記憶装置
46 圧縮手段
48 復号手段
Claims (5)
- 画質と符号化効率の高い第1の符号化方式と画像の編集又は加工に適する第2の符号化方式を用いて画像処理する画像処理装置において、
可変長符号化方式である前記第1の符号化方式で圧縮符号化されて記憶された符号を読み出す読出手段と、
前記読出手段で読み出した前記第1の符号化方式の符号を、編集又は加工を必要とする場合には符号を伸長することなく、符号のまま復号後の画像位置を特定でき且つ前記特定した画像位置のみ独立して画像を復号できる固定長符号化方式である前記第2の符号化方式の符号に、変換する符号変換手段と、
前記第1の符号化方式の符号又は前記符号変換後の第2の符号化方式の符号の一方を選択的に所定の送信先に出力する送信手段と、を備え、
前記第1と前記第2の符号化方式は同一の符号化方式であるJPEG2000方式により実現するものである
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載された画像処理装置と、
画像データを前記第1の符号化方式で圧縮符号化する圧縮手段と、
前記圧縮手段で圧縮符号化後の符号を記憶するとともに前記符号の読み出しの先となる記憶装置と、
前記記憶手段に記憶された符号を復号する復号手段と、
画像データについて編集又は加工の処理を行う編集・加工手段と、
画像データに基づいて媒体上に画像の形成を行うプリンタエンジンと、を備え、
前記送信手段は、前記第1の符号化方式の符号を編集又は加工の処理に供するために出力し、前記符号変換後の第2の符号化方式の符号を前記画像の形成に供するために出力する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 画像の形成に供する原稿の画像を読み取る画像入力装置と、
請求項1に記載の画像処理装置と、
前記画像入力装置で読取後の画像データを前記第1の符号化方式で圧縮符号化する圧縮手段と、
前記圧縮符号化後の符号を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶されている符号を復号する復号手段と、
前記画像データについて編集又は加工の処理を行う編集・加工手段と、を備え、
前記送信手段は、前記第1の符号化方式の符号を編集又は加工の処理に供するために出力し、前記符号変換後の第2の符号化方式の符号を外部に出力する
ことを特徴とする画像読取装置。 - 画質と符号化効率の高い第1の符号化方式と画像の編集又は加工に適する第2の符号化方式を用いて画像処理する処理において、
可変長符号化方式である前記第1の符号化方式で圧縮符号化されて記憶された符号を読み出す読出処理と、
前記読出処理で読み出した前記第1の符号化方式の符号を、編集又は加工を必要とする場合には符号を伸長することなく、符号のまま復号後の画像位置を特定でき且つ前記特定した画像位置のみ独立して画像を復号できる固定長符号化方式である前記第2の符号化方式の符号に、変換する符号変換処理と、
前記第1の符号化方式の符号又は前記符号変換後の第2の符号化方式の符号の一方を選択的に所定の送信先に出力する送信処理と、を含み、
前記第1と前記第2の符号化方式は同一の符号化方式であるJPEG2000方式により実現させる処理をコンピュータに実行させるプログラム。 - 請求項4に記載のプログラムを記憶している記憶媒体。
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