JP4195225B2 - 光電変換素子及びこれを用いた色素増感型太陽電池 - Google Patents

光電変換素子及びこれを用いた色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換素子及びこれを用いた色素増感型太陽電池に関するものであり、より詳しくは光電変換素子を構成する多孔性光電変換層が特定の細孔径分布特性を有する光電変換素子及びこれを用いた色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素増感型太陽電池は、有機系太陽電池の中でも高い光電変換効率を示すため注目されている。この色素増感型太陽電池に用いられる光電変換材料である半導体層としては、可視光領域に吸収を有する分光増感色素(以下、光増感剤として機能する色素を単に「色素」と記す)を半導体表面に吸着させたものが挙げられる。
例えば、特許第2664194号公報では、遷移金属錯体からなる色素を半導体表面に吸着させた金属酸化物半導体を用いた色素増感型太陽電池が記載されている。
【0003】
ここで、一般的な色素増感型太陽電池の製造工程を説明する。
先ず、透明支持体の表面に透明導電体を形成し、透明導電体上に酸化チタン等の多孔性光電変換層を形成し、多孔性光電変換層に色素を吸着させる。次に、白金等の触媒をコーティングした対極を、多孔性光電変換層と白金とが対面するように透明支持体に重ね合わせる。透明支持体と対極との間には、キャリア輸送層としての電解液が注入され、透明支持体と対極の側面をエポキシ樹脂等で封止する。
【0004】
多孔性光電変換層は、支持体上に半導体粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥及び高温焼成する方法により形成される。なお、懸濁液は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,6382−6390に記載されているように、Degussa社製の酸化チタン微粒子(商品名:P−25)12gに、水4ml及びアセチルアセトン0.4mlを加え、乳鉢にて分散し、さらに水16mlを加えて希釈し、Aldrich社製のトリトンX−100を0.2ml加えることにより作製する。
【0005】
このような懸濁液を用いた酸化チタン層は多孔体となり、色素を多く担持できるため光電流値を増加させることができる。また、懸濁液にポリエチレングリコール等のポリマーを添加することにより、酸化チタン層の多孔性を向上させ、色素担持量をさらに増やすこともできる。
従来、多孔性光電変換層の多孔性は、その比表面積や、特許第2664194号公報に示されている表面荒さ係数などにより評価されている。ここで、「表面荒さ係数」とは、ある物体の[実際の表面積(即ち、有効表面積)]対[実際の表面の投影面積]の比を表している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
多孔性光電変換層に色素を吸着させる場合、エタノール等の有機溶媒に色素を溶解させた色素吸着用溶液に数μm〜数十μm程度の厚みを有する多孔性光電変換層を浸透させて行う。そのため、実際には、十分に色素が吸着できるとされる比表面積や表面荒さ係数を有する多孔性光電変換層であっても、溶液に溶解した色素が浸透しやすい細孔半径や細孔容積を有していなければ多孔性光電変換層内部まで色素分子が浸透できず、十分に色素を吸着することができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率が、所定の細孔半径のときに20mm3/nm・g以上である多孔性光電変換層を用いることにより、色素分子が多孔性光電変換層内部まで十分に浸透でき、その光電変換層を用いた光電変換素子及び太陽電池が優れた光電変換効率を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明によれば、導電性支持体と、色素を吸着させた多孔性光電変換層と、導電層とが順次積層されてなり、前記多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率が、1〜20nmの細孔半径の範囲に20mm3/nm・g以上の領域を有し、前記多孔性光電変換層を形成する粒子の平均一次粒径が15nm以上20nm以下であることを特徴とする光電変換素子が提供される。
また、本発明によれば、上記の光電変換素子が搭載されて構成される色素増感型太陽電池が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の光電変換素子に用いることができる導電性支持体としては、支持体に導電膜を形成したものであってもよいし、支持体に不純物を導入することで導電性をもたせたものであってもよい。
支持体としては、光電変換素子及びそれを用いた太陽電池全体を支持し、補強するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガラス;ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン等の耐熱性の高分子フィルム;ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、セラミック等を単独又は積層構造で用いることができる。なかでも、高い透明性を有するものが好ましい。
支持体に形成される導電膜としては、特に限定されるものではなく、例えばITO、SnO2 、In2 3、ZnO等の透明導電材等の単層又は積層層により形成することができる。また、導電膜は、抵抗率を低減するという観点から、不純物が含有されていてもよい。
【0009】
導電膜は、支持体上に、上記の透明導電材をスパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、常圧CVD法、減圧CVD法、ソルゲル法、電析法等によって成膜することにより形成できる。
支持体に導入される不純物としては、例えばリン、ヒ素、ボロン等が挙げられる。
導電性支持体は、適当な強度及び重量等に耐えられる形状であればよく、光電変換素子及びそれを用いた色素増感型太陽電池の大きさに従い、適宜調整することができる。また、導電性支持体の利用態様に応じて、表面に凹凸を有していてもよいし、さらに絶縁膜、バッファ層等又はこれらが組み合わされて形成されていてもよい。
【0010】
本発明で用いられる多孔性光電変換層を構成する材料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等の公知の半導体が挙げられる。なかでも変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタン又は酸化亜鉛が好ましい。これらの材料はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多孔性光電変換層の膜厚は、特に限定されるものではないが、透過性、変換効率等の観点より、例えば0.5〜20μm程度が好ましい。
多孔性光電変換層を形成する方法としては、公知の種々の方法を使用することができる。具体的には、導電性支持体上に粒子状の上記の半導体を含有する懸濁液を塗布し、乾燥及び焼成する方法が挙げられる。
【0011】
懸濁液に使用される溶媒は、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶媒、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、イソプロピルアルコール/トルエン等の混合溶媒、水等が挙げられる。
なお、多孔性光電変換層の多孔性及び色素担持量をさらに増やすために、懸濁液にポリエチレングリコール等のポリマーを添加してもよい。
多孔性光電変換層の乾燥及び焼成は、使用する支持体や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気等を適宜調整することができる。例えば、大気下又は不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度、10秒〜12時間程度の条件で行うことができる。この乾燥及び焼成は、単一の温度で1回又は温度を変化させて2回以上行うこともできる。
また、多孔性光電変換層は、導電性支持体上に所望の原料ガスを用いたCVD法又はMOCVD法等により半導体膜を成膜する方法、あるいは原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法又はゾルーゲル法等により半導体膜を形成する方法等によっても形成することができる。
【0012】
本発明の多孔性光電変換層は、細孔半径に対する細孔容積変化率が、所定の細孔半径のときに20mm3/nm・g以上であるものである。
さらに、より高い光電変換率が得られることから、多孔性光電変換層は、細孔半径に対する細孔容積変化率が、細孔半径10nm以下で細孔容積変化率のピーク値を示すものが好ましい。また、細孔半径1〜10nmの範囲で常に20mm3/nm・g以上の細孔容積変化率を示すものが好ましい。
なお、細孔容積変化率は、
△Vp/△R mm3/nm・g
[式中、△Vpは単位重量当たりの細孔容積、△Rは細孔半径の変化量である]
であらわされる。
【0013】
多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率を求める方法としては、液体窒素温度(77.4K)での窒素吸着法や、水銀圧入法等が挙げられる。窒素吸着法を用いる場合、液体窒素が細孔表面を完全に濡らすと仮定し、Kelvinの式を用いて細孔半径及び細孔容積を測定算出することができる。そして、これらのデーターに基づき、Dollimore−Heal法(以下、「DH法」という)等により細孔半径に対する細孔容積変化率を計算することができる。
なお、この方法は細孔半径の長さに着目し、全ての細孔が両端の開いたシリンダー状細孔で、これらは互いに交差していないものと仮定し、窒素の脱着過程から、細孔半径に対する細孔容積変化率を計算するものである。詳しくは、「吸着の科学」(近藤精一、石川達雄、阿部郁夫 共著 丸善株式会社 平成5年9月5日 第3刷発行)p.66に記載の通りである。
【0014】
多孔性光電変換層に色素を吸着させる方法としては、例えば多孔性光電変換層を形成した支持体を、色素を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。
色素は、種々の可視光領域及び赤外光領域に吸収を有するものであって、半導体層に強固に吸着させるために、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましく、なかでもカルボン酸基及びカルボン酸無水基を有するものがより好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と半導体の導電帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
【0015】
これらインターロック基を含有する色素として、例えばルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、べリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
色素を溶解させる溶媒としては、特に限定されず、例えばエタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
【0016】
溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができ、吸着機能を向上さすためには比較的高濃度である方が好ましい。例えば5×10-5モル/リットル以上の濃度が好ましい。
多孔性光電変換層を、色素を溶解した溶液に浸漬する際、溶液及び雰囲気の温度及び圧力は特に限定されるものではなく、例えば室温程度、かつ大気圧下で行うことができる。浸漬時間は特に限定されず、使用する色素、溶媒の種類、溶液の濃度等により適宜調整することができる。なお、加熱下で浸漬を行えば、多孔性光電変換層に色素をより多く吸着させることができるので好ましい。
【0017】
本発明に用いることのできる導電層としては、上記の導電性支持体に形成される導電膜と同じ材料を用いることができ、具体的には、金属(例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素又は導電性金属酸化物(ITO、SnO2等)が挙げられる。導電層の膜厚は、特に限定されるものではないが、3nmから10μm程度が好ましく、特に金属材料の場合には、5μm程度以下、さらに、3μm程度以下が好ましい。
上記の多孔性光電変換層と導電層とが向かい合うようにして、導電性支持体と対向支持体とを重ね合わせ、その間にキャリア輸送層を形成させることにより、光電変換素子が得られる。
【0018】
キャリア輸送層としては、電子、ホール、イオンを輸送できるものを用いることができ、例えば、ポリカルバゾール等のホール輸送材、テトラニトロフルオルレノン等の電化輸送材、ポリロール等の導電性ポリマー、液体電解質、高分子電解質等のイオン導電体、ヨウ化銅、チオシアン酸銅等のp型半導体を用いることができる。
【0019】
イオン導電体は、酸化還元性のものが好ましく、一般に電池や太陽電池等において使用することができる電解質等を用いることができる。例えば、LiI、NaI、KI、CaI2等の金属ヨウ化物とヨウ素との組み合わせ及びLiBr、NaBr、KBr、CaBr2等の金属臭化物と臭素との組み合わせが好ましく、なかでも、LiIとヨウ素との組み合わせが好ましい。電解質濃度としては、0.1〜1.5モル/リットルの範囲が挙げられるが、0.1〜0.7モル/リットルが好ましい。また、電解質の溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられ、なかでも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。
【0020】
なお、導電性支持体と対向支持体との間には、電解質層が形成されていてもよい。電解質層は、例えば導電性支持体と対向支持体との間に電解液を注入しエポキシ樹脂等により封止することにより、あるいはヨウ化物、臭化物又はヒドロキノンもしくはその他のレドックス系等の電解質を成膜することにより形成できる。
電解液としては、例えば、アセトニトリルとエチレンカーボネートの混合溶媒(体積比=1:4)に、ヨウ化リチウムとヨウ素を溶解させて作製したものを用いることができる。
【0021】
本発明の光電変換素子は、導電性支持体を透光性として支持体側から光が入射するように構成することにより、スーパーストレート型の太陽電池を製造することができる。また、対向支持体及び導電層を透光性として支持体と反対方向から光が入射するように構成することにより、サブストレート型の太陽電池を製造することができる。
また、本発明の光電変換素子は、光スイッチング装置、センサー等のその他のデバイスにも応用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、これによって本発明は限定されない。なお、実施例1、2および比較例1〜3で示された値は、多孔性光電変換層の材料である酸化チタンペーストの作製条件や焼成条件の僅かな違いにより若干変化する場合がある。
【0023】
実施例1
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について図1を用いて説明する。
図1に示される、1は支持体、2は導電膜、3は多孔性光電変換層、4は電解質層、5は対向支持体、6は導電層、7は封止材である。
先ず、透光性の支持体1としてのガラス基板上に、スパッタ法によりSnO2を成膜することにより、膜厚0.1μmの透光性の導電膜2を形成した。
次に、導電膜2上に酸化チタンペーストを塗布し、乾燥、焼成して酸化チタン膜(多孔性光電変換層3)を形成した。
酸化チタンペーストは、以下に示す方法にて作製した。
【0024】
<酸化チタン粒子の作製方法>
チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125mlを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLに滴下し、加水分解させ、80℃で8時間加熱することによりゾル液を作製した。
得られたゾル液をチタン製オートクレーブにて250℃で10時間、粒子成長させ、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径20nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を作製した。
【0025】
<酸化チタンペーストの作製方法>
得られたコロイド溶液をエバポレーターにて、酸化チタンが15wt%の濃度になるまでゆっくりと濃縮した後、コロイド溶液の2倍の量のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行った。これにより得られた酸化チタン粒子を洗浄し、エチルセルロース(キシダ化学株式会社製)及びテルピネオール(キシダ化学株式会社製)を無水エタノールに溶解させたものを加え、攪拌することにより酸化チタン粒子を分散させた。次いで、40mbarの真空下、50℃にてエタノールを蒸発させて酸化チタンペーストを作製した。なお、得られる酸化チタンペーストの最終的な組成が、酸化チタン固体濃度10wt%、エチルセルロース10wt%、テルピネオール64wt%となるように濃度調整を行った。
【0026】
次に、得られた酸化チタンペーストを、ドクターブレードを用いて、18μm程度の膜厚、10mm×l0mm程度の面積で、導電膜2上に塗布し、120℃で30分間予備乾燥した後、500℃で30分間酸素下で焼成した。その結果、膜厚14μm程度の酸化チタン膜3(多孔性光電変換層)を形成した。
得られた酸化チタン膜3を、日本ベル株式会社製BELSORP18を用いて、D−H法により、細孔半径及び細孔容積を測定し、細孔半径に対する細孔容積変化率を求めた。その結果を図2のグラフに示す。
このグラフによれば、細孔半径が20nm程度のときに細孔容積変化率ΔVp/ΔRがピーク値(約30mm3/nm・g)を示した。
次に、下記化学式で表されるルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium535、λmax=540nm)を無水エタノールに濃度4×10-4モル/リットルで溶解させ、吸着用色素溶液を作製した。
【0027】
【化1】
Figure 0004195225
【0028】
得られた吸着用色素溶液を容器に入れ、この溶液に、上記の酸化チタン膜3が形成された支持体を約30分間に浸透させることにより、酸化チタン膜3に色素を吸着させた。次いで、酸化チタン膜3を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
次に、ITOガラスからなる対向支持体5上に、蒸着法で白金を成膜することにより、膜厚1μmの導電層6を形成した。
【0029】
次に、導電層6と酸化チタン3とが対向するように、支持体1と対向支持体5とを重ね合わせた。支持体1と対向支持体5との間に酸化還元性電解液を注入し、周囲をエポキシ系樹脂の封止材7により封止して電解質層4を形成した。
酸化還元性電解液は、アセトニトリルとエチレンカーボネートの混合溶媒(体積比=1:4)に、濃度0.5モル/リットルのヨウ化リチウムと濃度0.05モル/リットルのヨウ素を溶解させて作製した。
以上の工程により、スーパーストレート型の色素増感型太陽電池を製造した。
得られた色素増感型太陽電池の光電変換効率を、AM−1.5の測定条件で測定した結果、7.9%であった(表1)。
【0030】
実施例2
以下のとおりに酸化チタンペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子及び色素増感型太陽電池を製造した。
<酸化チタン粒子の作製方法>
実施例1の酸化チタン粒子の作製方法において得られたゾル液をチタン製オートクレーブにて250℃で12時間、粒子成長させることにより、平均一次粒径15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を作製した(この工程で得られた酸化チタン粒子を「酸化チタンA」とする)。
【0031】
<酸化チタンペーストの作製方法>
得られたコロイド溶液をエバポレーターにて、酸化チタンAが15wt%の濃度になるまでゆっくりと濃縮し、ポリエチレングリコール(キシダ化学株式会社製、分子量20,000)と市販の酸化チタン粒子[日本アエロジル株式会社製、商品名P−25、アナターゼ型:ルチル型(7:3)混合、平均一次粒径20nm](これを「酸化チタンB」とする)を添加し、酸化チタンA濃度12wt%、ポリエチレングリコール30wt%(対酸化チタンA)、酸化チタンB濃度15wt%(対酸化チタンA)の組成の酸化チタンペーストを作製した。
【0032】
この実施例で形成された酸化チタン膜3の細孔半径と細孔容積変化率との関係を表すグラフを図3に示す。このグラフによれば、細孔半径が6nm程度のときに、細孔容積変化率ΔVp/ΔRがピーク値(約50mm3/nm・g)を示した。
また、この酸化チタン膜3を用いた色素増感型太陽電池の光電変換効率を測定したところ、8.7%であった(表1)。
【0033】
比較例1
以下のとおり酸化チタンペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子及び色素増感型太陽電池を製造した。
<酸化チタンペーストの作製方法>
市販の酸化チタン粒子[日本アエロジル株式会社製、商品名P−25、アナターゼ型:ルチル型(7:3)混合、平均一次粒径20nm、粉体比表面積50m2/g]12gを陶器製乳鉢に入れ、アセチルアセトン(キシダ化学株式会社製)0.4mLを溶解させたイオン交換水4mLを加え、乳棒にて攪拌し十分に分散させた。次いで、16mLのイオン交換水にて希釈し、表面活性剤(Aldrich社製、商品名Triton−X)を0.2mL加えることにより酸化チタンペーストを作製した。
この比較例で形成された酸化チタン膜の細孔半径と細孔容積変化率との関係を表すグラフを図4に示す。この比較例で得られた色素増感型太陽電池の光電変換効率は4.3%であった(表1)。
【0034】
比較例2
以下のとおり酸化チタンペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子及び色素増感型太陽電池を製造した。
<酸化チタンペーストの作製方法>
イオン交換水とアセチルアセトンの混合溶液の代わりに、テルピネオール(キシダ化学株式会社製)及びブチルカービトールアセテート(東京化成株式会社製)の混合溶液にアチルセルロースを混入したものを使用した以外は、比較例1における酸化チタンペーストの作製方法に準じて酸化チタンペーストを作製した。ただし、酸化チタンペーストの組成比は、酸化チタン13重量部、エチルセルロース5重量部、テルピネオール41重量部、ブチルカービトールアセテート41重量部とした。
この比較例で形成された酸化チタン膜の細孔半径と細孔容積変化率との関係を表すグラフを図4に示す。この比較例で得られた色素増感型太陽電池の変換効率は3.9%であった(表1)。
【0035】
比較例3
以下のとおり酸化チタンペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子及び色素増感型太陽電池を製造した。
<酸化チタンペーストの作製方法>
酸化チタン粒子の作製方法として、まず、塩化チタン(IV)(98%、キシダ化学株式会社製)30mLを、氷で冷却したイオン交換水(300mL)中へ徐々に滴下して加え、この溶液を煮沸させることにより加水分解させ、室温まで放冷した後濾過した。次いで、濾過物を硫酸アンモニウム(キシダ化学株式会社製)溶液に加え、さらに煮沸し、酸化チタンの収量を向上させるためにアンモニア水を適宜加え、pH1.0になるように調整した。
【0036】
次に、チタン製オートクレーブにて220℃で10時間、粒子成長させ、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径19nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を作製した。
得られたコロイド溶液をエバボレーターにて、酸化チタンが15wt%の濃度になるまでゆっくりと濃縮し、ポリエチレングリコール(キシダ化学株式会社製、分子量20,000)を添加し、酸化チタン濃度12wt%、ポリエチレングリコール30wt%(対酸化チタン重量)の組成の酸化チタンペーストを作製した。
この比較例で形成された酸化チタン膜の細孔半径と細孔容積変化率との関係を表すグラフを図4に示す。この比較例で得られた色素増感型太陽電池の変換効率は5.1%であった(表1)。
【0037】
【表1】
Figure 0004195225
【0038】
以上の結果より、所定の細孔半径のときに細孔容積変化率△Vp/△Rが20mm3/nm・g以上にある多孔性光電変換層を用いた本発明の色素増感型太陽電池は、高い光電変換効率を示していることが分かる。
なお、一般的な評価に用いられている比表面積をBET吸着法を用いて測定したところ、実施例2の多孔性光電変換層は65m2/g、比較例3の多孔性光電変換層は61m2/gとほぼ同等の値を示したが、これらの光電変換層を用いた太陽電池は、変換効率に大きな差を示している。これは、実際の色素増感型太陽電池は、その多孔性光電変換層に色素を吸着させ、その色素においてキャリアが励起されることにより駆動するため、同等の比表面積を有していても、色素が吸着できる有効な細孔の数や大きさが異なると、変換効率も異なるためである。
【0039】
従って、所定の細孔半径のときに細孔容積変化率△Vp/△Rが20mm3/nm・g以上にある多孔性光電変換層を用いた光電変換素子による色素増感型太陽電池は、色素を吸着できる有効な細孔を多く有するため、優れた変換効率を示す。さらに、同等の理由により、細孔半径が10nm以下において細孔容積変化率△Vp/△Rがピーク値を示し、かつ細孔半径が1〜10nmの範囲において常に細孔容積変化率が20mm3/nm・g以上である多孔性光電変換層を用いた色素増感型太陽電池は、さらに高い変換効率を示す。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、細孔容積変化率△Vp/△Rの一部が20mm3/nm・g以上を示す多孔性光電変換層は、色素を十分に吸着させることができ、この多孔性光電変換層を用いた光電変換素子及び色素増感型太陽電池は優れた光電変換効率を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素増感型太陽電池の層構成を示す要部の概略断面図である。
【図2】細線半径と細孔容積変化率との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図3】細線半径と細孔容積変化率との関係を示すグラフである(実施例2)。
【図4】細線半径と細孔容積変化率との関係を示すグラフである(比較例1)。
【符号の説明】
1 支持体
2 導電膜
3 多孔性光電変換層
4 電解質層
5 対向支持体
6 導電層
7 封止材

Claims (5)

  1. 導電性支持体と、色素を吸着させた多孔性光電変換層と、導電層とが順次積層されてなり、前記多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率が、1〜20nmの細孔半径の範囲に20mm3/nm・g以上の領域を有し、前記多孔性光電変換層を形成する粒子の平均一次粒径が15nm以上20nm以下であることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記細孔容積変化率が、
    △Vp/△R mm3/nm・g
    [式中、△Vpは単位重量当たりの細孔容積、△Rは細孔半径の変化量である]
    で表される請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率が、細孔半径10nm以下で細孔容積変化率のピーク値を示す請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記多孔性光電変換層の細孔半径に対する細孔容積変化率が、細孔半径1〜10nmの範囲で常に20mm3/nm・g以上である請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の光電変換素子を搭載して構成される色素増感型太陽電池。
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