JP4195118B2 - 酵素固形製剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酵素活性低下物質存在下における酵素の失活が抑制された酵素固形製剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酵素は医薬品、食品、繊維、皮革、洗剤などの分野で利用されている。例えば、衣料用の粉末洗剤には、洗浄作用を高めるために、各種の酵素が配合されることが多い。これらの酵素は、酵素作用を洗浄工程中に発揮することを期待されているが、 保存中に洗剤成分によって失活し易く、とりわけ洗剤中に漂白剤等の酵素活性低下物質が配合されている場合、酵素の失活は著しい。そのため、従来より酵素の失活を抑制する工夫がなされてきた。すなわち、その基本的手法は、酵素を造粒することによって洗剤との接触面積を出来るだけ小さくすることであり、同時に、安定化剤の併用がなされてきた。例えば、酵素を造粒、製剤化する際に安定化剤を配合する方法が提案されている(特開昭62−269685号公報)ものの、酵素固形製剤の失活を抑制する方法については未だ検討の余地がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は洗剤存在下、特に酵素活性低下物質存在下で酵素活性が低下しない酵素固形製剤の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、酵素含有溶液に穀物粉を又は穀物粉及び糖類を添加して混合し、得られた溶液状又はスラリー状の酵素含有溶液を乾燥させることを特徴とする酵素固形製剤の製造方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる酵素含有溶液としては、固型製剤化する酵素を含有するものであれば特に限定されない。したがって、本発明は、酵素含有溶液中に固型製剤化酵素以外の成分が含まれるものも、そのまま酵素含有溶液として用いることができる。
【0006】
本発明における酵素としては特に限定されるものではなく、例えば、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられ、好ましくはセルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、エステラーゼ、ヘミセルラーゼ、パーオキシターゼ、フェノールオキシターゼ、プロトペクチナーゼ及びペクチナーゼ等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いても良い。このうち、セルラーゼ及びプロテアーゼがさらに好ましく、特にプロテアーゼが好ましい。また、酵素含有溶液中の酵素の含有量は、後に続く工程に支障をきたさない程度であれば特に限定されない。
【0007】
本発明に用いられる穀物粉としては特に限定されるものではなく、例えば、大豆粉、コーン粉、小麦粉等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いても良い。これらのうちでは大豆粉が好ましい。穀物粉は脱脂された物を用いても良く、脱脂大豆粉は安価で容易に入手できるため、好ましい。また、得られる酵素固型製剤が実用的な粉体物性を示すように、これらの穀物粉としては、粉砕等の工程を経たものであってもよい。
【0008】
穀物粉の酵素含有溶液への配合量は特に限定されるものではないが、例えば、酵素含有溶液中の酵素を含む固形分100重量部に対して50〜1000重量部が好ましく、50〜500重量部がより好ましく、100〜500重量部が特に好ましい。酵素の保存安定性から、該配合量は50重量部以上が好ましく、造粒性および配合組成設計上の自由度から、該配合量は1000重量部以下が好ましい。
【0009】
本発明に用いられる糖類としては特に限定されるものではなく、例えば、単糖類、二糖類、三糖類以上のオリゴ糖類、澱粉等の多糖類の加水分解物又は部分加水分解物等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本発明に用いられる糖類の具体例を次に示す。
【0010】
単糖類としては特に限定されるものではなく、例えば、マンノース、ガラクトース、ブドウ糖、フラクトース、ソルボース等が挙げられる。二糖類としては特に限定されるものではなく、例えば、、マルトース型二糖類及びトレハロース型二糖類を挙げることができる。マルトース型二糖類としては、例えば、麦芽糖、セロビオース、ゲンチオピオース、メリビオース、乳糖、ツラノース、ソホロース等が挙げられ、トレハロース型二糖類としては、例えば、トレハロース、イソトレハロース、ショ糖、イソサッカロースなどが挙げられる。三糖類以上のオリゴ糖類又は多糖類としては特に限定されるものではなく、例えば、公知の三糖類以上のオリゴ糖類又は多糖類が挙げられる。澱粉の加水分解物又は部分加水分解物としては特に限定されるものではなく、例えば、ブドウ糖、果糖、水飴、粉飴、デキストリン等の澱粉糖と呼ばれるもの等が挙げられる。
【0011】
本発明において糖類を用いる場合、糖類の酵素含有溶液への配合量は特に限定されるものではないが、例えば、酵素含有溶液中の酵素を含む固形分100重量部に対して10〜1000重量部が好ましく、50〜500重量部がより好ましく、50〜400重量部が特に好ましい。酵素の保存安定性から、該配合量は10重量部以上が好ましく、造粒性、粉体物性を悪化させない観点から、該配合量は1000重量部以下が好ましい。
【0012】
糖類を酵素含有溶液に添加してもよく、例えば、微生物、植物等の培養物を酵素含有溶液とする場合、糖類を残存させ、その残された糖類を利用してもよい。すなわち、酵素含有溶液を乾燥する時点で、溶液状又はスラリー状の酵素含有溶液中に糖類が配合されていればよい。一方、糖類を除去したい場合は、限外濾過等の公知の方法を用いればよい。
【0013】
本発明の製造方法において、さらに通常用いられる公知の任意成分を用いても良い。かかる任意成分としては、例えば、製剤の比活性を一定に保つための希釈剤(例えば増量剤、充填剤)、乾燥促進剤、緩衝剤、着色剤、安定化剤、賦香剤、消香剤、帯電防止剤等が挙げられる。このような任意成分の配合時期は特に限定されるものではない。また、その配合量についても、通常用いられる公知の程度でよい。
【0014】
かかる成分が添加された後、酵素含有溶液を混合して、乾燥工程の実施に支障を来さない程度に均一な状態にする。
【0015】
次いで、得られた酵素含有溶液を乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、公知の噴霧乾燥法等が例示できる。
【0016】
噴霧乾燥に使用する装置としては、通常用いられる公知の噴霧乾燥機が挙げられる。噴霧乾燥機には、通常ノズル型とディスク型とがあるが、目的とする酵素固形製剤の粒径により使い分けることができる。このようにして粉末状、細粒状、顆粒状のいずれの製剤をも得ることができる。
【0017】
乾燥に用いる熱風温度は特に限定されないが、例えば、100〜200℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。また、排風温度も特に限定されないが、例えば、50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
【0018】
このような乾燥を経て得られる酵素含有粉末を酵素固型製剤として用いることができる。さらには、酵素含有粉末を造粒して得られる造粒物や、酵素含有粉末や造粒物をコーティングして得られる製剤を酵素固型製剤とすることができる。具体的には、このような乾燥を経て得られる酵素含有粉末を、通常行われる公知の造粒、コーティング等に供することにより、任意の粒径の酵素固型製剤を製造することができる。
【0019】
例えば、造粒では、上記の酵素含有粉末を乾式法、湿式法等いかなる造粒方法によって造粒を行っても、得られる酵素固型製剤の最終製品中の安定性をさらに向上させることができる。さらに湿式造粒法においては、造粒時に使用するバインダー水溶液の添加量を減少させることができる。これは、乾燥時に配合する穀物粉の量と造粒時に添加する穀物粉の量を調整することにより、吸水性を制御できるため、所望のバインダー水溶液添加量で造粒を行うことができるからである。また、その結果、造粒時の配合組成設計の自由度も向上する。湿式法で造粒する場合、酵素の失活を防止する観点から、造粒物中の水分を造粒後に除去することが行われる。本発明によれば、造粒時に使用するバインダー水溶液の添加量を減少させることができるため、乾燥負荷が少ないという効果もある。
【0020】
本発明において、乾式あるいは湿式造粒において使用される攪拌転動造粒機は特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の装置を用いることができる。具体的には、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プローシェアミキサー(太平洋機工(株)製)等が挙げられる。
【0021】
乾燥を経て得られる酵素含有粉末や、造粒を経て得られる造粒物を、粉塵発生の防止や色相の改善等のために、公知の物質を用いてコーティングしても良い。かかる公知の物質としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、非イオン界面活性剤等の熱溶融ワックス性物質;シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等のフィルム形成性物質等が挙げられる。また、コーティング方法としては特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の方法を採用できる。
【0022】
また酵素固形製剤の流動性、色相、保存安定性を改善する目的で、本発明の製造方法によって得られた造粒物や、さらにコーティングを施した造粒物に対して、一次粒子の平均粒子径が20μm以下の微粉末を添加して外表面に付着させても良い。具体例としては、例えば、白色度向上や流動性改善にはアルミノ珪酸塩、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等が好ましく、安定性向上にはステアリン酸カルシウム等の金属石鹸や二酸化チタン等が好ましい。かかる微粉末の添加量としては特に限定されるものではないが、造粒後の造粒物又はコーティング後の造粒物100重量部に対して3〜15重量部が好ましい。添加方法としては、通常の粉体混合機に造粒物と微粉末を投入して混合を行う方法、造粒終了時に造粒機内に造粒物を保持したまま微粉末を造粒機に投入し攪拌混合する方法、コーティング終了後にコーティング装置内に造粒物を保持したまま微粉末をコーティング装置に投入し混合する方法等が挙げられる。
【0023】
本発明によれば、加熱を伴う乾燥においても酵素の失活が抑制されるため、比活性の高い酵素固形製剤を製造することができる。又、得られる酵素固形製剤は、長時間熱処理しても失活せず、熱安定性に優れたものである。更には機械的圧力に対しても優れた耐性を有するものである。さらに、酵素活性低下物質存在下での保存安定性が極めて高い。
【0024】
このように、酵素含有溶液中に穀物粉、又は穀物粉と糖類とを共存させることにより、酵素と穀物粉又は酵素と穀物粉及び糖類との複合化が生じてより安定化されると思われる。そしてかかる原料混合物を通常の乾燥に付すことにより、乾燥工程での酵素活性の失活の抑制に貢献し、酵素活性低下物質存在下での保存安定性も顕著に高くなると考えられる。本発明のように、特定の時期に穀物粉や糖類を用いることにより、穀物粉や糖類成分の有する、酵素の安定化を付与する性能を飛躍的に引き出すことが可能となる。その結果、少量の該穀物粉や糖類成分の配合により、造粒時に多量の安定化剤を配合する従来法と同等の保存安定性を付与することができるため、酵素固形製剤中の安定化剤の配合量を減少させることも可能となる。また、穀物粉を酵素培養液に混合し、噴霧乾燥し粉末化することで、酵素培養液由来の臭いが大幅に低減される。一方、造粒性に関しては、吸水性の高い穀物粉を本発明の方法で乾燥し粉末化することでその吸水性を低下させることができるため、造粒時に必要となる水分量の低減化が図られ、造粒後の乾燥時の負荷を低減させることができる。
【0025】
上記の本発明の製造方法により得られる酵素固形製剤の水分含有量は、水分による酵素失活を防ぐ観点から、より少ない方が好ましい。該製剤の5.0重量%以下が好ましく、0.0001〜5.0重量%がより好ましく、0.5〜3.0重量%が特に好ましい。また、酵素固形製剤中での酵素含有量は特に制限されないが、酵素固形製剤の1〜70重量%が好ましい。
【0026】
【実施例】
実施例1
アルカリセルラーゼ酵素8.7重量%、硫酸ナトリウム16.5重量%、塩化カルシウム0.1重量%、糖類(マルトリッチ25、昭和産業(株)製)7.6重量%、及び水67.1重量%からなる水溶液100重量部に、16重量部の粉砕脱脂大豆粉を添加してこれらを混合した。次いで、混合物の噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥には、二流体ノズル式噴霧乾燥機(商品名:TRS−SW2N、(株)坂本技研製)を用い、熱風温度:140℃、排風温度:70℃で操作した。
【0027】
噴霧乾燥によって得られた酵素含有粉末、硫酸ナトリウム、及びバインダーとしてのマルトリッチ20重量%水溶液(商品名:マルトリッチ25、昭和産業(株)製を用いて調製)をハイスピードミキサー(LFS−2型、深江工業(株)製)に投入し、40℃で10分間混合攪拌して造粒物を得た。この造粒物を酵素固形製剤とした。なお、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、ここでの硫酸ナトリウムの添加量を適宜調整した。
【0028】
なお、アルカリセルラーゼは、微生物寄託番号が微工研菌寄第1138号のバチルス(Bacillus)属に属する菌より培養採取されたものを用いた。
【0029】
実施例2
実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、糖類を使用しなかった。また、実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0030】
比較例1
実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉を使用しなかった。また、実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0031】
比較例2
実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用しなかった。また、実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0032】
比較例3
実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用せず、造粒時に、実施例1の混合時に用いた量と同量の粉砕脱脂大豆粉を使用した。また、実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0033】
実施例3
アルカリプロテアーゼ酵素6.9重量%、SDS0.2重量%、糖類(商品名:マルトリッチ25、昭和産業(株)製)18.2重量%、硫酸ナトリウム2.5重量%、及び水63.0重量%に、9.2重量%の粉砕脱脂大豆粉を添加してこれらを混合した。次いで、混合物の噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥には、アトマイザー式噴霧乾燥機(商品名:OC−16型、大川原化工機(株)製)を用い、熱風温度:145℃、排風温度:76℃で操作した。
【0034】
噴霧乾燥によって得られた酵素含有粉末、増量剤としての硫酸ナトリウム、核粒子としての食塩、及びバインダーとしての水をレディゲミキサー(M20D型、松坂技研(株)製)に投入し、アジテーター:200r.p.m.、チョッパー:5000r.p.m.、80℃で20分間混合攪拌して造粒物を得た。この造粒物を酵素固形製剤とした。なお、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、増量剤の硫酸ナトリウムの配合量を調整した。
【0035】
なお、アルカリプロテアーゼは微生物寄託番号が微工研菌第11418号のバチルス(Bacillus)属に属する菌より培養採取されたものを用いた。
【0036】
また、ここで用いた糖類は酵素に含まれるものであった。酵素に含まれる糖類の含有量はフェノール硫酸法により定量した。フェノール硫酸法は例えば、「生物化学実験法1・還元糖の定量」(学会出版センター)等に記載されている。なお、このようにして定量される糖類を原料成分の糖類とした。
【0037】
実施例4
実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、糖類を使用しなかった。また、実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。糖類の除去方法は、限外濾過により行った。
【0038】
比較例4
実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉を使用しなかった。また、実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0039】
比較例5
実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用しなかった。また、実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。糖類の除去方法は、限外濾過により行った。
【0040】
比較例6
実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただし、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用せず、造粒時に、実施例3の混合時に用いた量と同量の粉砕脱脂大豆粉を使用した。また、実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。糖類の除去方法は、比較例5と同様の方法を用いた。
【0041】
それぞれの酵素固形製剤について、酵素活性低下物質、ここでは漂白剤系での保存安定性試験により酵素活性残存率を求めた。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(漂白剤系保存安定性試験)
漂白剤含有系洗剤への配合を想定して下記の試験を行い、漂白剤系保存安定性試験とした。過炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウム=4:1(重量比)で混合したモデル漂白剤粉体5g中に酵素固形製剤1gを配合し、十分に混合した。この混合物について酵素活性を測定した。次いで、この混合物を40℃、80RH%の条件下で3日間放置した。放置後の混合物についても酵素活性を測定した。保存前後の酵素活性値から活性残存率を算出し、漂白剤中の酵素の安定性を評価した。なお、一般に市販されている漂白剤含有洗剤より漂白剤成分の多い、モデル漂白剤粉体を用いてこの試験を行っているため、本試験方法において高い安定性が示されれば、かかる酵素固形製剤が配合された洗剤における、実使用系での酵素活性低下の問題はないと言える。
【0044】
また、セルラーゼ活性を、次に示すCMC活性測定法によって測定した。2.5重量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液0.4mL、0.5Mグリシン緩衝液(pH9.0)0.2mL、及び脱イオン水0.3mLからなる基質溶液に、酵素溶液0.1mLを加えて混合し、該混合液を40℃で20分間インキュベートした。次いで、次に示すDNS(3,5−ジニトロサリチル酸)法を利用して還元糖の定量を行った。即ち、インキュベート後の混合液1mLに対してDNS試薬1mLを加え、5分間、100℃で加熱した。次いで冷却した後4mLの脱イオン水を該混合液に加えて希釈した。そして、535nmの吸光度を測定して還元糖を定量した。この条件で測定した場合において、1分間でグルコース換算で1μmolの還元糖を遊離させる酵素量を1単位とした。
【0045】
また、プロテアーゼ活性を、次に示すカゼイン法によって測定した。カゼインを1重量%含む50mMホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.0)1mLを0.1mLの酵素溶液と混合し、40℃で10分間インキュベートした。次いでこの混合液に反応停止液(0.123Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナトリウム−0.369M酢酸)2mLを加えて30℃で20分間インキュベートした。次いで、この液をろ紙(ワットマン社製、No.2)を用いてろ過し、ろ液中のタンパク質分解物をファーリンローリー法の改良法によって測定した。この条件で測定した場合において、1分間で1mmolのチロシンを遊離させる酵素量を1単位とした。
【0046】
実施例1及び実施例3より、噴霧乾燥時に穀物粉及び糖類を配合することにより、製剤中の酵素の漂白剤存在下での保存安定性が向上することが示された。さらに、穀物粉のみを配合した場合でも、噴霧乾燥時にかかる成分を配合することで、造粒時に配合するものに比べて保存安定性が高い製剤を得ることができることが分かった。また、プロテアーゼにおける効果はセルラーゼにおける効果に比べて高いことも確認された。
【0047】
実施例2と比較例3、及び実施例4と比較例6から、同じ穀物粉を配合しても、配合時期を噴霧乾燥時とすることにより、漂白剤存在下での安定性が飛躍的に向上することが分かった。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、漂白剤配合洗剤存在下で酵素活性が低下しない酵素固形製剤を製造することができる。
Claims (4)
- 酵素含有溶液に大豆粉を又は大豆粉及び糖類を添加して混合し、得られたスラリー状の酵素含有溶液を乾燥させることを特徴とする漂白剤配合洗剤用酵素固形製剤の製造方法。
- 酵素が、リパーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼから選ばれる請求項1記載の製造方法。
- 酵素含有溶液の乾燥工程の後に、得られる酵素含有粉末の造粒工程及び/又はコーティング工程をさらに設ける請求項1又は2記載の製造方法。
- 得られる酵素固形製剤の水分含量が5重量%以下である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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