JPH11246893A - 酵素固形製剤の製造方法 - Google Patents

酵素固形製剤の製造方法

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JPH11246893A
JPH11246893A JP5243598A JP5243598A JPH11246893A JP H11246893 A JPH11246893 A JP H11246893A JP 5243598 A JP5243598 A JP 5243598A JP 5243598 A JP5243598 A JP 5243598A JP H11246893 A JPH11246893 A JP H11246893A
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Koichi Ohori
浩一 大堀
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尚 合田
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博之 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酵素活性低下物質の存在下でも酵素活性が低下
しない酵素固形製剤の製造方法を提供すること。 【解決手段】酵素含有溶液に穀物粉を又は穀物粉及び糖
類を添加して該酵素含有溶液を乾燥させることを特徴と
する酵素固形製剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酵素活性低下物質存
在下における酵素の失活が抑制された酵素固形製剤の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は医薬品、食品、繊維、皮革、洗剤
などの分野で利用されている。例えば、衣料用の粉末洗
剤には、洗浄作用を高めるために、各種の酵素が配合さ
れることが多い。これらの酵素は、酵素作用を洗浄工程
中に発揮することを期待されているが、 保存中に洗剤成
分によって失活し易く、とりわけ洗剤中に漂白剤等の酵
素活性低下物質が配合されている場合、酵素の失活は著
しい。そのため、従来より酵素の失活を抑制する工夫が
なされてきた。すなわち、その基本的手法は、酵素を造
粒することによって洗剤との接触面積を出来るだけ小さ
くすることであり、同時に、安定化剤の併用がなされて
きた。例えば、酵素を造粒、製剤化する際に安定化剤を
配合する方法が提案されている(特開昭62−2696
85号公報)ものの、酵素固形製剤の失活を抑制する方
法については未だ検討の余地がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は洗剤存在下、特に酵素活性低下物質存在下で酵素活性
が低下しない酵素固形製剤の製造方法を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
酵素含有溶液に穀物粉を又は穀物粉及び糖類を添加して
該酵素含有溶液を乾燥させることを特徴とする酵素固形
製剤の製造方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる酵素含有溶液
としては、固型製剤化する酵素を含有するものであれば
特に限定されない。したがって、本発明は、酵素含有溶
液中に固型製剤化酵素以外の成分が含まれるものも、そ
のまま酵素含有溶液として用いることができる。
【0006】本発明における酵素としては特に限定され
るものではなく、例えば、ハイドロラーゼ類、オキシド
レダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及
びイソメラーゼ類が挙げられ、好ましくはセルラーゼ、
プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、
エステラーゼ、ヘミセルラーゼ、パーオキシターゼ、フ
ェノールオキシターゼ、プロトペクチナーゼ及びペクチ
ナーゼ等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を
混合して用いても良い。このうち、セルラーゼ及びプロ
テアーゼがさらに好ましく、特にプロテアーゼが好まし
い。また、酵素含有溶液中の酵素の含有量は、後に続く
工程に支障をきたさない程度であれば特に限定されな
い。
【0007】本発明に用いられる穀物粉としては特に限
定されるものではなく、例えば、大豆粉、コーン粉、小
麦粉等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を混
合して用いても良い。これらのうちでは大豆粉が好まし
い。穀物粉は脱脂された物を用いても良く、脱脂大豆粉
は安価で容易に入手できるため、好ましい。また、得ら
れる酵素固型製剤が実用的な粉体物性を示すように、こ
れらの穀物粉としては、粉砕等の工程を経たものであっ
てもよい。
【0008】穀物粉の酵素含有溶液への配合量は特に限
定されるものではないが、例えば、酵素含有溶液中の酵
素を含む固形分100重量部に対して50〜1000重
量部が好ましく、50〜500重量部がより好ましく、
100〜500重量部が特に好ましい。酵素の保存安定
性から、該配合量は50重量部以上が好ましく、造粒性
および配合組成設計上の自由度から、該配合量は100
0重量部以下が好ましい。
【0009】本発明に用いられる糖類としては特に限定
されるものではなく、例えば、単糖類、二糖類、三糖類
以上のオリゴ糖類、澱粉等の多糖類の加水分解物又は部
分加水分解物等が挙げられる。これらは単独でも、2種
以上を混合して用いても良い。本発明に用いられる糖類
の具体例を次に示す。
【0010】単糖類としては特に限定されるものではな
く、例えば、マンノース、ガラクトース、ブドウ糖、フ
ラクトース、ソルボース等が挙げられる。二糖類として
は特に限定されるものではなく、例えば、、マルトース
型二糖類及びトレハロース型二糖類を挙げることができ
る。マルトース型二糖類としては、例えば、麦芽糖、セ
ロビオース、ゲンチオピオース、メリビオース、乳糖、
ツラノース、ソホロース等が挙げられ、トレハロース型
二糖類としては、例えば、トレハロース、イソトレハロ
ース、ショ糖、イソサッカロースなどが挙げられる。三
糖類以上のオリゴ糖類又は多糖類としては特に限定され
るものではなく、例えば、公知の三糖類以上のオリゴ糖
類又は多糖類が挙げられる。澱粉の加水分解物又は部分
加水分解物としては特に限定されるものではなく、例え
ば、ブドウ糖、果糖、水飴、粉飴、デキストリン等の澱
粉糖と呼ばれるもの等が挙げられる。
【0011】本発明において糖類を用いる場合、糖類の
酵素含有溶液への配合量は特に限定されるものではない
が、例えば、酵素含有溶液中の酵素を含む固形分100
重量部に対して10〜1000重量部が好ましく、50
〜500重量部がより好ましく、50〜400重量部が
特に好ましい。酵素の保存安定性から、該配合量は10
重量部以上が好ましく、造粒性、粉体物性を悪化させな
い観点から、該配合量は1000重量部以下が好まし
い。
【0012】糖類を酵素含有溶液に添加してもよく、例
えば、微生物、植物等の培養物を酵素含有溶液とする場
合、糖類を残存させ、その残された糖類を利用してもよ
い。すなわち、酵素含有溶液を乾燥する時点で、溶液状
又はスラリー状の酵素含有溶液中に糖類が配合されてい
ればよい。一方、糖類を除去したい場合は、限外濾過等
の公知の方法を用いればよい。
【0013】本発明の製造方法において、さらに通常用
いられる公知の任意成分を用いても良い。かかる任意成
分としては、例えば、製剤の比活性を一定に保つための
希釈剤(例えば増量剤、充填剤)、乾燥促進剤、緩衝
剤、着色剤、安定化剤、賦香剤、消香剤、帯電防止剤等
が挙げられる。このような任意成分の配合時期は特に限
定されるものではない。また、その配合量についても、
通常用いられる公知の程度でよい。
【0014】かかる成分が添加された後、酵素含有溶液
を混合して、乾燥工程の実施に支障を来さない程度に均
一な状態にする。
【0015】次いで、得られた酵素含有溶液を乾燥す
る。乾燥方法は特に限定されるものではなく、公知の噴
霧乾燥法等が例示できる。
【0016】噴霧乾燥に使用する装置としては、通常用
いられる公知の噴霧乾燥機が挙げられる。噴霧乾燥機に
は、通常ノズル型とディスク型とがあるが、目的とする
酵素固形製剤の粒径により使い分けることができる。こ
のようにして粉末状、細粒状、顆粒状のいずれの製剤を
も得ることができる。
【0017】乾燥に用いる熱風温度は特に限定されない
が、例えば、100〜200℃が好ましく、130〜1
70℃がより好ましい。また、排風温度も特に限定され
ないが、例えば、50〜120℃が好ましく、60〜1
00℃がより好ましい。
【0018】このような乾燥を経て得られる酵素含有粉
末を酵素固型製剤として用いることができる。さらに
は、酵素含有粉末を造粒して得られる造粒物や、酵素含
有粉末や造粒物をコーティングして得られる製剤を酵素
固型製剤とすることができる。具体的には、このような
乾燥を経て得られる酵素含有粉末を、通常行われる公知
の造粒、コーティング等に供することにより、任意の粒
径の酵素固型製剤を製造することができる。
【0019】例えば、造粒では、上記の酵素含有粉末を
乾式法、湿式法等いかなる造粒方法によって造粒を行っ
ても、得られる酵素固型製剤の最終製品中の安定性をさ
らに向上させることができる。さらに湿式造粒法におい
ては、造粒時に使用するバインダー水溶液の添加量を減
少させることができる。これは、乾燥時に配合する穀物
粉の量と造粒時に添加する穀物粉の量を調整することに
より、吸水性を制御できるため、所望のバインダー水溶
液添加量で造粒を行うことができるからである。また、
その結果、造粒時の配合組成設計の自由度も向上する。
湿式法で造粒する場合、酵素の失活を防止する観点か
ら、造粒物中の水分を造粒後に除去することが行われ
る。本発明によれば、造粒時に使用するバインダー水溶
液の添加量を減少させることができるため、乾燥負荷が
少ないという効果もある。
【0020】本発明において、乾式あるいは湿式造粒に
おいて使用される攪拌転動造粒機は特に限定されるもの
ではなく、通常用いられる公知の装置を用いることがで
きる。具体的には、ヘンシェルミキサー(三井三池化工
機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)
製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロー
シェアミキサー(太平洋機工(株)製)等が挙げられ
る。
【0021】乾燥を経て得られる酵素含有粉末や、造粒
を経て得られる造粒物を、粉塵発生の防止や色相の改善
等のために、公知の物質を用いてコーティングしても良
い。かかる公知の物質としては、例えば、ポリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール誘導体、非イオン
界面活性剤等の熱溶融ワックス性物質;シェラック、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコ
ール等のフィルム形成性物質等が挙げられる。また、コ
ーティング方法としては特に限定されるものではなく、
通常用いられる公知の方法を採用できる。
【0022】また酵素固形製剤の流動性、色相、保存安
定性を改善する目的で、本発明の製造方法によって得ら
れた造粒物や、さらにコーティングを施した造粒物に対
して、一次粒子の平均粒子径が20μm以下の微粉末を
添加して外表面に付着させても良い。具体例としては、
例えば、白色度向上や流動性改善にはアルミノ珪酸塩、
二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等が好ましく、
安定性向上にはステアリン酸カルシウム等の金属石鹸や
二酸化チタン等が好ましい。かかる微粉末の添加量とし
ては特に限定されるものではないが、造粒後の造粒物又
はコーティング後の造粒物100重量部に対して3〜1
5重量部が好ましい。添加方法としては、通常の粉体混
合機に造粒物と微粉末を投入して混合を行う方法、造粒
終了時に造粒機内に造粒物を保持したまま微粉末を造粒
機に投入し攪拌混合する方法、コーティング終了後にコ
ーティング装置内に造粒物を保持したまま微粉末をコー
ティング装置に投入し混合する方法等が挙げられる。
【0023】本発明によれば、加熱を伴う乾燥において
も酵素の失活が抑制されるため、比活性の高い酵素固形
製剤を製造することができる。又、得られる酵素固形製
剤は、長時間熱処理しても失活せず、熱安定性に優れた
ものである。更には機械的圧力に対しても優れた耐性を
有するものである。さらに、酵素活性低下物質存在下で
の保存安定性が極めて高い。
【0024】このように、酵素含有溶液中に穀物粉、又
は穀物粉と糖類とを共存させることにより、酵素と穀物
粉又は酵素と穀物粉及び糖類との複合化が生じてより安
定化されると思われる。そしてかかる原料混合物を通常
の乾燥に付すことにより、乾燥工程での酵素活性の失活
の抑制に貢献し、酵素活性低下物質存在下での保存安定
性も顕著に高くなると考えられる。本発明のように、特
定の時期に穀物粉や糖類を用いることにより、穀物粉や
糖類成分の有する、酵素の安定化を付与する性能を飛躍
的に引き出すことが可能となる。その結果、少量の該穀
物粉や糖類成分の配合により、造粒時に多量の安定化剤
を配合する従来法と同等の保存安定性を付与することが
できるため、酵素固形製剤中の安定化剤の配合量を減少
させることも可能となる。また、穀物粉を酵素培養液に
混合し、噴霧乾燥し粉末化することで、酵素培養液由来
の臭いが大幅に低減される。一方、造粒性に関しては、
吸水性の高い穀物粉を本発明の方法で乾燥し粉末化する
ことでその吸水性を低下させることができるため、造粒
時に必要となる水分量の低減化が図られ、造粒後の乾燥
時の負荷を低減させることができる。
【0025】上記の本発明の製造方法により得られる酵
素固形製剤の水分含有量は、水分による酵素失活を防ぐ
観点から、より少ない方が好ましい。該製剤の5.0重
量%以下が好ましく、0.0001〜5.0重量%がよ
り好ましく、0.5〜3.0重量%が特に好ましい。ま
た、酵素固形製剤中での酵素含有量は特に制限されない
が、酵素固形製剤の1〜70重量%が好ましい。
【0026】
【実施例】実施例1 アルカリセルラーゼ酵素8.7重量%、硫酸ナトリウム
16.5重量%、塩化カルシウム0.1重量%、糖類
(マルトリッチ25、昭和産業(株)製)7.6重量
%、及び水67.1重量%からなる水溶液100重量部
に、16重量部の粉砕脱脂大豆粉を添加してこれらを混
合した。次いで、混合物の噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥
には、二流体ノズル式噴霧乾燥機(商品名:TRS−S
W2N、(株)坂本技研製)を用い、熱風温度:140
℃、排風温度:70℃で操作した。
【0027】噴霧乾燥によって得られた酵素含有粉末、
硫酸ナトリウム、及びバインダーとしてのマルトリッチ
20重量%水溶液(商品名:マルトリッチ25、昭和産
業(株)製を用いて調製)をハイスピードミキサー(L
FS−2型、深江工業(株)製)に投入し、40℃で1
0分間混合攪拌して造粒物を得た。この造粒物を酵素固
形製剤とした。なお、造粒後の酵素固形製剤の活性値が
1.4万KU/gとなるように、ここでの硫酸ナトリウ
ムの添加量を適宜調整した。
【0028】なお、アルカリセルラーゼは、微生物寄託
番号が微工研菌寄第1138号のバチルス(Bacil
lus)属に属する菌より培養採取されたものを用い
た。
【0029】実施例2 実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、糖類を使用しなかった。また、実施例1と同様に、
造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万KU/gとな
るように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒
を行った。
【0030】比較例1 実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉を使用しなかった。また、実施例1
と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1.4万K
U/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調
整して造粒を行った。
【0031】比較例2 実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用しなかった。また、
実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が
1.4万KU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入
量を適宜調整して造粒を行った。
【0032】比較例3 実施例1と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用せず、造粒時に、実
施例1の混合時に用いた量と同量の粉砕脱脂大豆粉を使
用した。また、実施例1と同様に、造粒後の酵素固形製
剤の活性値が1.4万KU/gとなるように、硫酸ナト
リウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。
【0033】実施例3 アルカリプロテアーゼ酵素6.9重量%、SDS0.2
重量%、糖類(商品名:マルトリッチ25、昭和産業
(株)製)18.2重量%、硫酸ナトリウム2.5重量
%、及び水63.0重量%に、9.2重量%の粉砕脱脂
大豆粉を添加してこれらを混合した。次いで、混合物の
噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥には、アトマイザー式噴霧
乾燥機(商品名:OC−16型、大川原化工機(株)
製)を用い、熱風温度:145℃、排風温度:76℃で
操作した。
【0034】噴霧乾燥によって得られた酵素含有粉末、
増量剤としての硫酸ナトリウム、核粒子としての食塩、
及びバインダーとしての水をレディゲミキサー(M20
D型、松坂技研(株)製)に投入し、アジテーター:2
00r.p.m.、チョッパー:5000r.p.
m.、80℃で20分間混合攪拌して造粒物を得た。こ
の造粒物を酵素固形製剤とした。なお、造粒後の酵素固
形製剤の活性値が12万APU/gとなるように、増量
剤の硫酸ナトリウムの配合量を調整した。
【0035】なお、アルカリプロテアーゼは微生物寄託
番号が微工研菌第11418号のバチルス(Bacil
lus)属に属する菌より培養採取されたものを用い
た。
【0036】また、ここで用いた糖類は酵素に含まれる
ものであった。酵素に含まれる糖類の含有量はフェノー
ル硫酸法により定量した。フェノール硫酸法は例えば、
「生物化学実験法1・還元糖の定量」(学会出版センタ
ー)等に記載されている。なお、このようにして定量さ
れる糖類を原料成分の糖類とした。
【0037】実施例4 実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、糖類を使用しなかった。また、実施例3と同様に、
造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万APU/gとな
るように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調整して造粒
を行った。糖類の除去方法は、限外濾過により行った。
【0038】比較例4 実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉を使用しなかった。また、実施例3
と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が12万AP
U/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量を適宜調
整して造粒を行った。
【0039】比較例5 実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用しなかった。また、
実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製剤の活性値が1
2万APU/gとなるように、硫酸ナトリウムの投入量
を適宜調整して造粒を行った。糖類の除去方法は、限外
濾過により行った。
【0040】比較例6 実施例3と同様の方法で酵素固形製剤を製造した。ただ
し、粉砕脱脂大豆粉及び糖類を使用せず、造粒時に、実
施例3の混合時に用いた量と同量の粉砕脱脂大豆粉を使
用した。また、実施例3と同様に、造粒後の酵素固形製
剤の活性値が12万APU/gとなるように、硫酸ナト
リウムの投入量を適宜調整して造粒を行った。糖類の除
去方法は、比較例5と同様の方法を用いた。
【0041】それぞれの酵素固形製剤について、酵素活
性低下物質、ここでは漂白剤系での保存安定性試験によ
り酵素活性残存率を求めた。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】(漂白剤系保存安定性試験)漂白剤含有系
洗剤への配合を想定して下記の試験を行い、漂白剤系保
存安定性試験とした。過炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウ
ム=4:1(重量比)で混合したモデル漂白剤粉体5g
中に酵素固形製剤1gを配合し、十分に混合した。この
混合物について酵素活性を測定した。次いで、この混合
物を40℃、80RH%の条件下で3日間放置した。放
置後の混合物についても酵素活性を測定した。保存前後
の酵素活性値から活性残存率を算出し、漂白剤中の酵素
の安定性を評価した。なお、一般に市販されている漂白
剤含有洗剤より漂白剤成分の多い、モデル漂白剤粉体を
用いてこの試験を行っているため、本試験方法において
高い安定性が示されれば、かかる酵素固形製剤が配合さ
れた洗剤における、実使用系での酵素活性低下の問題は
ないと言える。
【0044】また、セルラーゼ活性を、次に示すCMC
活性測定法によって測定した。2.5重量%カルボキシ
メチルセルロース(CMC)水溶液0.4mL、0.5
Mグリシン緩衝液(pH9.0)0.2mL、及び脱イ
オン水0.3mLからなる基質溶液に、酵素溶液0.1
mLを加えて混合し、該混合液を40℃で20分間イン
キュベートした。次いで、次に示すDNS(3,5−ジ
ニトロサリチル酸)法を利用して還元糖の定量を行っ
た。即ち、インキュベート後の混合液1mLに対してD
NS試薬1mLを加え、5分間、100℃で加熱した。
次いで冷却した後4mLの脱イオン水を該混合液に加え
て希釈した。そして、535nmの吸光度を測定して還
元糖を定量した。この条件で測定した場合において、1
分間でグルコース換算で1μmolの還元糖を遊離させ
る酵素量を1単位とした。
【0045】また、プロテアーゼ活性を、次に示すカゼ
イン法によって測定した。カゼインを1重量%含む50
mMホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.0)
1mLを0.1mLの酵素溶液と混合し、40℃で10
分間インキュベートした。次いでこの混合液に反応停止
液(0.123Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナ
トリウム−0.369M酢酸)2mLを加えて30℃で
20分間インキュベートした。次いで、この液をろ紙
(ワットマン社製、No.2)を用いてろ過し、ろ液中
のタンパク質分解物をファーリンローリー法の改良法に
よって測定した。この条件で測定した場合において、1
分間で1mmolのチロシンを遊離させる酵素量を1単
位とした。
【0046】実施例1及び実施例3より、噴霧乾燥時に
穀物粉及び糖類を配合することにより、製剤中の酵素の
漂白剤存在下での保存安定性が向上することが示され
た。さらに、穀物粉のみを配合した場合でも、噴霧乾燥
時にかかる成分を配合することで、造粒時に配合するも
のに比べて保存安定性が高い製剤を得ることができるこ
とが分かった。また、プロテアーゼにおける効果はセル
ラーゼにおける効果に比べて高いことも確認された。
【0047】実施例2と比較例3、及び実施例4と比較
例6から、同じ穀物粉を配合しても、配合時期を噴霧乾
燥時とすることにより、漂白剤存在下での安定性が飛躍
的に向上することが分かった。
【0048】
【発明の効果】本発明により、漂白剤配合洗剤存在下で
酵素活性が低下しない酵素固形製剤を製造することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 博之 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素含有溶液に穀物粉を又は穀物粉及び
    糖類を添加して該酵素含有溶液を乾燥させることを特徴
    とする酵素固形製剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 酵素が、リパーゼ、セルラーゼ、プロテ
    アーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼから選ばれる請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 穀物粉が大豆粉である請求項1又は2記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 酵素含有溶液の乾燥工程の後に、得られ
    る酵素含有粉末の造粒工程及び/又はコーティング工程
    をさらに設ける請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 得られる酵素固形製剤の水分含量が5重
    量%以下である請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
JP05243598A 1998-03-04 1998-03-04 酵素固形製剤の製造方法 Expired - Fee Related JP4195118B2 (ja)

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