JP4194057B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船の推進用の船外機に関し、より詳しくは、その外殻を構成するケーシングに水草が絡まないようにした船外機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船外機には、従来、次のように構成されたものがある。
【0003】
上記船外機が、船体の後部に取り付けられるブラケットと、このブラケットに上部が支持されて下部が水面下に位置させられるケーシングと、このケーシングの上端部に取り付けられて出力軸の軸心が上下方向に延びる駆動手段と、前後方向に延びた軸心回りに回転自在となるよう上記ケーシングの下部に支承されるプロペラと、上記ケーシングに収容されて上記駆動手段の出力軸からの動力を上記プロペラに伝達する動力伝達手段とを備えている。
【0004】
また、上記動力伝達手段は、上記ケーシングの上部に収容されて軸心が上下方向に延びその上端部が上記出力軸に連結される上動力伝達軸と、上記ケーシングの下部の後部に収容されて軸心が前後方向に延びその後端部が上記プロペラに連結される下動力伝達軸と、上記ケーシングの下部の前部に収容されて上記上、下動力伝達軸を互いに連動連結させるベベルギヤ組とを備えている。
【0005】
そして、上記駆動手段を駆動させてその動力を上記出力軸から出力させれば、この動力は、上記上動力伝達軸、ベベルギヤ組、および、下動力伝達軸を順次介し上記プロペラに伝達されて、このプロペラが回転させられ、もって、船が前進可能とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術では、上動力伝達軸の径寸法に比べて、ベベルギヤ組の形状はかなり大きいため、上記上動力伝達軸を収容しているケーシングの上部の幅寸法(船体の幅方向における寸法、以下同じ)よりも、上記ベベルギヤ組を収容している上記ケーシングの下部の前部の幅寸法が大きくなりがちである。
【0007】
このため、船が河川や海岸沿など、水深の浅いところを前進した場合に、その水底に生えている水草が上記ケーシングの上部に絡み付いたとすると、この絡み付いた水草が、上記ケーシングの下方に離脱しようとすることは、上記幅寸法の大きいケーシングの下部の前部によって阻まれて、この絡み付いたままに維持されるおそれがある。
【0008】
そして、この状態が維持されると、上記水草が前進の抵抗になって、円滑な船の前進が阻害されるおそれを生じる。
【0009】
そこで、上記ケーシングに対する水草の絡み付きを防止するため、従来、このケーシングを船体の後部側から後下方に向って直線的に延びるパイプ材で成形し、上記駆動手段の出力軸の軸心と、プロペラの軸心を共に、上記ケーシングと同じ軸心上に位置させて、上記出力軸にプロペラを連動連結させる動力伝達手段を上記ケーシングの軸心上に位置する動力伝達軸で成形したものがある。また、この場合、上記プロペラが水面下に位置し、かつ、このプロペラの軸心がより水平となって所定の推進力が出力されるよう上記ケーシングが小さい俯角で、船体の後部側から後下方に向って長く延出させられている。
【0010】
そして、上記従来の技術によれば、上記ケーシングの長手方向の中途部に水草が絡み付いたとしても、この水草はその自重や水の流れにより、上記ケーシングの前面に沿ってその後下端部側に円滑に移動させられ、かつ、その後下端から下方に向って円滑に離脱させられ、もって、上記ケーシングに対する水草の絡み付きが防止されるようになっている。
【0011】
しかし、上記船外機のケーシングは船体の後部側から後下方に向って長く延出させられていて、重くなりがちであるため、船を操舵させようとして、上記船外機を左右に回動させる場合や、保守点検時の取り扱いの作業が煩雑になるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、船外機のケーシングに水草が絡み付いたとしても、これが容易に解除されるようにして、船に円滑な前進状態が確保されるようにし、かつ、上記船外機の取り扱いの作業が容易にできるようにすることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の船外機は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、船体3の後部に取り付けられるブラケット5と、このブラケット5に上部8が支持されて下部9が水面下に位置させられるケーシング6と、このケーシング6の上端部に取り付けられて出力軸18の軸心19が上下方向に延びる駆動手段17と、前後方向に延びた軸心21回りに回転自在となるよう上記ケーシング6の下部9に支承されるプロペラ22と、上記ケーシング6に収容されて上記駆動手段17の出力軸18からの動力を上記プロペラ22に伝達する動力伝達手段26とを備えた船外機において、
【0015】
側面視で、上記ケーシング6を、ほぼL字形状に折り曲げられ、その折れ曲り部10が円弧形状とされたパイプ材で成形し、上記動力伝達手段26を、上記ケーシング6に沿うように、ほぼL字形状に折り曲げられて上記プロペラ22を上記駆動手段17の出力軸18に連動連結させるフレキシブルシャフト27で成形し、上記ケーシング6の上部8における外面の断面形状を円形とし、このケーシング6の上部8の軸心14がほぼ鉛直方向に延びて、このケーシング6の上部8が上記軸心14回りで回動自在となるよう、このケーシング6の上部8を上記ブラケット5に支持させたものである。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記プロペラ22と、このプロペラ22に対応する上記フレキシブルシャフト27の後端部との間に減速機30を介在させたものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記駆動手段17の出力軸18と、この出力軸18に対応する上記フレキシブルシャフト27の上端部との間にクラッチ39を介在させたものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1から3のうちいずれか1つの発明に加えて、上記ブラケット5に対する上記ケーシング6の上下位置を調整自在としたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0020】
図中符号1は船で、この船1は水2面上に浮かべられている。また、矢印Frはこの船1の前方を示している。
【0021】
上記船1の船体3の後部(船尾)には、船外機4が着脱自在に取り付けられている。この船外機4は、上記船体3の後部に着脱自在に取り付けられたブラケット5と、このブラケット5に支持されるケーシング6とを備えている。
【0022】
上記ケーシング6のケーシング本体7はその長手方向の各部の内、外面の断面形状が円形で、各部の径寸法がほぼ一定の一本の金属製パイプ材で成形され、このケーシング本体7は、上記船体3の側面視で、上記パイプ材をほぼL字形状となるよう折り曲げることにより、成形されている。上記ケーシング本体7の上部8は上下方向でほぼ鉛直方向に延び、下部9は前後方向でほぼ水平方向に延び、上記上部8から下部9への遷移部(中途部)は前下方に向って円弧凸形状となる折れ曲り部10とされている。また、上記ケーシング6は、上記ケーシング本体7の折れ曲り部10の後端部に取り付けられる後部ケーシング11を備え、この後部ケーシング11は上記ケーシング6の下部の後部を構成している。
【0023】
上記ブラケット5は、軸心が上下方向でほぼ鉛直方向に延びて上記ケーシング本体7の上部8を軸方向に摺動自在に嵌入させる円筒形状のブラケット本体12と、このブラケット本体12の上方で上記ケーシング本体7の上部8に締結具13により着脱自在に固着されるバンド形状のストッパ12aとを備えている。上記の場合、ケーシング6のケーシング本体7の上部8に固着された上記ストッパ12aが上記ブラケット本体12の上面に当接して、上記ケーシング本体7が、それ以上に上記ブラケット5に対し下方に移動することは阻止され、もって、このブラケット5に対するケーシング6の高さが定められている。また、上記ケーシング本体7の上部8の軸心14と、ブラケット本体12の軸心14とは互いに同じ軸心上に位置させられており、上記軸心14回りで上記ケーシング本体7の上部8が上記ブラケット5のブラケット本体12に対し回動自在とされ、この回動の際、上記ストッパ12aは上記ブラケット本体12の上面に対し摺動自在とされている。また、上記ケーシング6の上端部には操舵杆15が突設されている。
【0024】
上記ケーシング本体7の上部8に対する上記ストッパ12aの上下方向での固着の位置は、上記締結具13への操作により調整可能とされている。そして、この調整により、上記ブラケット5に対するケーシング6の上下位置が調整自在とされている。
【0025】
上記船外機4は、上記ケーシング本体7の上端部に取り付けられた駆動手段17を備えている。この駆動手段17の主体は内燃機関であり、そのクランク軸が出力軸18とされている。この出力軸18の軸心19は上下方向でほぼ鉛直方向に延びて、上記ケーシング本体7の上部8の軸心14上に位置させられている。
【0026】
上記船外機4は、前後方向に延びた軸心21回りに回転自在となるよう上記ケーシング本体7の下部9の後部に上記後部ケーシング11を介し支承されたプロペラ22を備えている。このプロペラ22は、上記軸心21上で上記後部ケーシング11の後端部に支承されたプロペラ軸23と、上記後部ケーシング11の後端部から後方に突出した上記プロペラ軸23の突出部に固着されたプロペラ本体24とを備えている。
【0027】
上記船外機4は、上記ケーシング本体7に収容されて上記駆動手段17の出力軸18から出力される動力を上記プロペラ22に伝達する動力伝達手段26を備えている。この動力伝達手段26は、上記ケーシング本体7に沿うように、船体3の側面視で、ほぼL字形状に折り曲げられて上記プロペラ22を上記駆動手段17の出力軸18に連動連結させるフレキシブルシャフト27で成形されている。このフレキシブルシャフト27は多数のワイヤーを撚ることにより成形されたもので、ねじり力と曲げ力とに十分に対抗できるものとされている。また、上記ケーシング本体7に内嵌されて固着されると共に上記フレキシブルシャフト27を内嵌させるアウタチューブ28が設けられ、このアウタチューブ28は上記フレキシブルシャフト27をその軸心回りに摺動自在に支承して、円滑に回転させる。
【0028】
上記フレキシブルシャフト27の後端部は上記軸心21上に位置している。この軸心21上で、上記プロペラ22のプロペラ軸23と、このプロペラ22に対応する上記フレキシブルシャフト27の後端部との間に介在して、これらプロペラ22とフレキシブルシャフト27とを連動連結させる減速機30が介在させられている。
【0029】
上記減速機30は遊星歯車組であって、上記軸心21上で、上記フレキシブルシャフト27の後端部にカップリング31により連結される入力軸32と、この入力軸32に取り付けられたサンギヤ33と、上記軸心21上で、上記後部ケーシング11に取り付けられたリングギヤ34と、上記プロペラ軸23に取り付けられたキャリア35と、このキャリア35に支承されて上記サンギヤ33とリングギヤ34とに噛合するプラネタリギヤ36とを備え、上記減速機30は、上記フレキシブルシャフト27からの動力を十分に減速して上記プロペラ22に伝達する。
【0030】
上記駆動手段17の出力軸18と、この駆動手段17に対応する上記フレキシブルシャフト27の上端部との間に介在して、これら駆動手段17とフレキシブルシャフト27との間の動力伝達を断接するクラッチ39が設けられている。このクラッチ39は遠心クラッチで、上記駆動手段17の出力軸18がアイドリング時よりも大きい所定回転数以下では切断状態となっているが、この所定回転数を越えたときには、自動的に接続動作して、上記駆動手段17からフレキシブルシャフト27側に動力を伝達するようになっている。
【0031】
上記構成によれば、上記ケーシング6を、側面視で、ほぼL字形状に折り曲げられたパイプ材で成形し、上記動力伝達手段26を、上記ケーシング6に沿うように、側面視で、ほぼL字形状に折り曲げられて上記プロペラ22を上記駆動手段17の出力軸18に連動連結させるフレキシブルシャフト27で成形してある。
【0032】
このため、上記ケーシング6の上部8と、この上部8に連なり上記プロペラ22側に向う上記ケーシング6の折れ曲り部10とは、いずれも径寸法が一定のフレキシブルシャフト27を収容するだけで足りることから、上記ケーシング6の上部8の幅寸法に比べて、折れ曲り部10の幅寸法は大きくさせないで済み、つまり、上記ケーシング6の上部8と、折れ曲り部10の各幅寸法を互いにほぼ同じにさせることができて、これら両幅寸法の変化は小さく抑えられる。
【0033】
よって、船1が水深の浅いところを前進した場合に、上記ケーシング6の上部8に水草が絡み付いたとしても、上記したように、このケーシング6の上部8と、この上部8に連なる折れ曲り部10との間における幅寸法の変化は小さく抑えられているため、上記ケーシング6の上部8に絡み付いた水草はその自重や水2の流れにより、上記ケーシング6の前面に沿って下方に円滑に移動し、かつ、このケーシング6の下端から下方に向って円滑に離脱させられる。このため、船1の前進が水草で邪魔されない分、船1に円滑な前進状態が確保される。
【0034】
また、上記フレキシブルシャフト27は、従来のベベルギヤ等に比べて径寸法の小さいものであることから、このフレキシブルシャフト27を収容するケーシング6の径寸法も小さくて足り、このため、上記船外機4を軽量にできる。また、船1を操舵させようとして、上記船外機4を左右に回動させようとするとき、水2から受けるケーシング6の抵抗が小さくて済む。
【0035】
よって、上記船外機4の取り扱いが軽快、かつ、容易にできることとなる。
【0036】
また、上記の場合、折れ曲り部10は円弧形状とされているため、上記ケーシング6に絡み付いた水草は、より円滑にその下方に離脱させられる。また、水底に衝突したとしても、上記船外機4に与えられる衝撃力は小さくて済み、この船外機4の損傷が防止される。
【0037】
また、上記プロペラ22と、このプロペラ22に対応する上記フレキシブルシャフト27の後端部との間に減速機30を介在させてある。
【0038】
このため、上記駆動手段17からプロペラ22に動力が伝達される場合、上記フレキシブルシャフト27は上記減速機30で減速される以前の高速で回転させられることから、その分、伝達トルクが小さくて済む。
【0039】
よって、上記フレキシブルシャフト27は、上記動力の伝達の際に、ねじりと交番的な曲げとを同時に受けるものであるが、上記伝達トルクが小さくされる分、疲労が抑制されて、寿命上有益である。
【0040】
また、上記の場合、プロペラ22のプロペラ軸23、フレキシブルシャフト27の後端部、および減速機30を収容する後部ケーシング11は、上記軸心21を中心として後方に進むに従い径寸法が大きくなる円錐形状とされている。そして、上記したように、減速機30は遊星歯車組であって、プロペラ22とフレキシブルシャフト27の後端部と同じ軸心21上に配設されている。
【0041】
このため、上記後部ケーシング11はその軸心21周りで均一な形状であり、かつ、この軸心21を中心としてコンパクトな形状にできることから、この後部ケーシング11に水草が絡み付きにくくできると共に、水2に対する抵抗も偏りなく、かつ、より小さくでき、もって、船1の円滑な前進が確保される。
【0042】
更に、上記折れ曲り部10の前端から後下方に向って延出するガードバー41が設けられ、このガードバー41の延出端は、上記プロペラ本体24の回転軌跡の下方近傍に位置している。
【0043】
このため、上記ガードバー41により、上記プロペラ22への水草の絡み付きが防止されると共に、水底へのプロペラ本体24の衝突が防止される。
【0044】
また、上記駆動手段17の出力軸18と、この出力軸18に対応する上記フレキシブルシャフト27の上端部との間にクラッチ39を介在させてある。
【0045】
このため、駆動手段17による船1の前進中に、仮に、プロペラ22に水草が絡み付くなどして、このプロペラ22と共に駆動手段17の回転速度が低下し、前記所定回転数以下となったときには、上記クラッチ39は自動的に切断動作することとなる。
【0046】
よって、低速回転数のために、上記フレキシブルシャフト27に大きいトルクが負荷されるということが防止されて、寿命上有益である。
【0047】
また、上記ケーシング6の上部8における外面の断面形状を円形としてある。
【0048】
このため、上記操舵杆15への操作で、上記ケーシング6の上部8はその軸心14を中心として、上記ブラケット5に対して回動自在とされ、このケーシング6の回動に伴い上記プロペラ22も回動自在とされることから、上記船外機4への操舵操作が可能となる。
【0049】
よって、従来では、船外機4への操舵操作を可能とするため、上記船体3に対しケーシング6を操舵軸で左右回動自在に枢支していたが、上記実施の形態によれば、上記操舵軸を不要とし、つまり、簡単な構成で、上記操舵操作が可能となる。
【0050】
なお、上記の場合、ブラケット5に対しケーシング6が上方に摺動することは、このケーシング6や駆動手段17の自重によって防止される。また、上記ケーシング6の下部にプロペラ22が支承されているため、船1の前進中には、上記ケーシング6はブラケット5をこじるようにしてこのブラケット5に支持されるため、この点でも、上記ブラケット5に対しケーシング6が上方に向って自由に摺動することは防止され、所定高さに保持される。
【0051】
また、上記締結具13への操作で、ケーシング6のケーシング本体7の上部8に対するストッパ12aの上下方向での固着の位置を調整することにより、ブラケット5に対するケーシング6の上下位置が調整自在とされている(図2中、一点鎖線)。
【0052】
このため、上記船外機4は、種々の大きさの船体3に適用できて、適用の自由度が大きいという利点がある。
【0053】
なお、以上は図示の例によるが、上記駆動手段17は2サイクル、4サイクル内燃機関のいずれであってもよく、また、電動機であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0055】
請求項1の発明は、船体の後部に取り付けられるブラケットと、このブラケットに上部が支持されて下部が水面下に位置させられるケーシングと、このケーシングの上端部に取り付けられて出力軸の軸心が上下方向に延びる駆動手段と、前後方向に延びた軸心回りに回転自在となるよう上記ケーシングの下部に支承されるプロペラと、上記ケーシングに収容されて上記駆動手段の出力軸からの動力を上記プロペラに伝達する動力伝達手段とを備えた船外機において、
【0056】
側面視で、上記ケーシングを、ほぼL字形状に折り曲げられ、その折れ曲り部が円弧形 状とされたパイプ材で成形し、上記動力伝達手段を、上記ケーシングに沿うように、ほぼL字形状に折り曲げられて上記プロペラを上記駆動手段の出力軸に連動連結させるフレキシブルシャフトで成形してある。
【0057】
このため、上記ケーシングの上部と、この上部に連なり上記プロペラ側に向う上記ケーシングの折れ曲り部とは、いずれも径寸法が一定のフレキシブルシャフトを収容するだけで足りることから、上記ケーシングの上部の幅寸法に比べて、折れ曲り部の幅寸法は大きくさせないで済み、つまり、上記ケーシングの上部と、折れ曲り部の各幅寸法を互いにほぼ同じにさせることができて、これら両幅寸法の変化は小さく抑えられる。
【0058】
よって、船が水深の浅いところを前進した場合に、上記ケーシングの上部に水草が絡み付いたとしても、上記したように、このケーシングの上部と、この上部に連なる折れ曲り部との間における幅寸法の変化は小さく抑えられているため、上記ケーシングの上部に絡み付いた水草はその自重や水の流れにより、上記ケーシングの前面に沿って下方に円滑に移動し、かつ、このケーシングの下端から下方に向って円滑に離脱させられる。このため、船1の前進が水草で邪魔されない分、船1に円滑な前進状態が確保される。
【0059】
また、上記フレキシブルシャフトは径寸法は、従来のベベルギヤ等に比べて、小さいものであることから、このフレキシブルシャフトを収容するケーシングの径寸法も小さくて足り、このため、上記船外機を軽量にできる。また、船を操舵させようとして、上記船外機を左右に回動させようとするとき、水から受けるケーシングの抵抗が小さくて済む。
【0060】
よって、上記船外機の取り扱いが軽快、かつ、容易にできることとなる。
【0061】
また、上記ケーシングの上部における外面の断面形状を円形とし、このケーシングの上部の軸心がほぼ鉛直方向に延びて、このケーシングの上部が上記軸心回りで回動自在となるよう、このケーシングの上部を上記ブラケットに支持させてある。
【0062】
このため、上記ケーシングの上部はその軸心を中心として、上記ブラケットに対し回動自在とされ、つまり、上記船外機への操舵操作が可能となる。
【0063】
よって、従来では、船外機への操舵操作を可能とするため、上記船体に対しケーシングを操舵軸で左右回動自在に枢支していたが、本発明によれば、上記操舵軸を不要とし、つまり、簡単な構成で、上記操舵操作が可能となる。
【0064】
請求項2の発明は、上記プロペラと、このプロペラに対応する上記フレキシブルシャフトの後端部との間に減速機を介在させてある。
【0065】
このため、上記駆動手段からプロペラに動力が伝達される場合、上記フレキシブルシャフトは上記減速機で減速される以前の高速で回転させられることから、その分、伝達トルクが小さくて済む。
【0066】
よって、上記フレキシブルシャフトは、上記動力の伝達の際に、ねじりと交番的な曲げとを同時に受けるものであるが、上記伝達トルクが小さくされる分、疲労が抑制されて、寿命上有益である。
【0067】
請求項3の発明は、上記駆動手段の出力軸と、この出力軸に対応する上記フレキシブルシャフトの上端部との間にクラッチを介在させてある。
【0068】
このため、駆動手段による船の前進中に、仮に、プロペラに水草が絡み付くなどして、このプロペラと共に駆動手段の回転速度が低下し、所定回転数以下となったときには、上記クラッチは自動的に切断動作することとなる。
【0069】
よって、低速回転数のために、上記フレキシブルシャフトに大きいトルクが負荷されるということが防止されて、寿命上有益である。
【0070】
請求項4の発明は、上記ブラケットに対する上記ケーシングの上下位置を調整自在としてある。
【0071】
このため、上記船外機は、種々の大きさの船体に適用できて、適用の自由度が大きいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 船の後部の側面図である。
【図2】 図1の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 船
2 水
3 船体
4 船外機
5 ブラケット
6 ケーシング
7 ケーシング本体
8 上部
9 下部
10 折れ曲り部
12 ブラケット本体
12a ストッパ
13 締結具
14 軸心
17 駆動手段
18 出力軸
19 軸心
21 軸心
22 プロペラ
26 動力伝達手段
27 フレキシブルシャフト
30 減速機
39 クラッチ
Claims (4)
- 船体の後部に取り付けられるブラケットと、このブラケットに上部が支持されて下部が水面下に位置させられるケーシングと、このケーシングの上端部に取り付けられて出力軸の軸心が上下方向に延びる駆動手段と、前後方向に延びた軸心回りに回転自在となるよう上記ケーシングの下部に支承されるプロペラと、上記ケーシングに収容されて上記駆動手段の出力軸からの動力を上記プロペラに伝達する動力伝達手段とを備えた船外機において、
側面視で、上記ケーシングを、ほぼL字形状に折り曲げられ、その折れ曲り部が円弧形状とされたパイプ材で成形し、上記動力伝達手段を、上記ケーシングに沿うように、ほぼL字形状に折り曲げられて上記プロペラを上記駆動手段の出力軸に連動連結させるフレキシブルシャフトで成形し、上記ケーシングの上部における外面の断面形状を円形とし、このケーシングの上部の軸心がほぼ鉛直方向に延びて、このケーシングの上部が上記軸心回りで回動自在となるよう、このケーシングの上部を上記ブラケットに支持させた船外機。 - 上記プロペラと、このプロペラに対応する上記フレキシブルシャフトの後端部との間に減速機を介在させた請求項1に記載の船外機。
- 上記駆動手段の出力軸と、この出力軸に対応する上記フレキシブルシャフトの上端部との間にクラッチを介在させた請求項1、もしくは2に記載の船外機。
- 上記ブラケットに対する上記ケーシングの上下位置を調整自在とした請求項1から3のうちいずれか1つに記載の船外機。
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