JP4193513B2 - ラッピング加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの加工面を砥粒付きのラッピングフィルム(以下単にフィルムと称することもある)によりフィルムラッピング加工(以下単にラッピング加工)するラッピング加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カムシャフトのカムロブ部やジャーナル部あるいはクランクシャフトのジャーナル部やピン部等のような断面円弧状加工面を有するワークを仕上げ加工する場合は、最近、一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムによりラッピング加工している。
【0003】
このラッピング加工は、ワークの加工面をラッピングフィルムで覆い、このフィルムを背面からシューで加圧し、フィルムをワークに押付けた状態でワークを回転しながらフィルムの砥粒面でワークを加工する(下記特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−237116号公報(図1,2及び[特許請求の範囲]参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなラッピング加工装置に使用されるシューは、一部のシューを除き、スチールあるいは合成樹脂により構成された比較的剛性を有するものである。シューは、その先端部の形状から凸シューと凹シューに分類される。
【0006】
ラッピング加工装置では、一対のシューがワークを挟持するように設けられているが、前記凸シューは、位置固定的に保持され、その先端部が凸状円弧となっているので、各凸シューは、ワークの円弧状加工面とはフィルムを介してではあるが、いわば1点での線接触となる。
【0007】
なお、本明細書では、シューがフィルムを介してワークの加工面と間接的に当接することを「接触」、シューがフィルムを介してワークの加工面と間接的に当接する面積のことを「接触面積」と略称する。
【0008】
一方、前記凹シューは、位置可動的に保持され、その先端部が凸状円弧の連続した「3」の字状となっているので、各凹シューは、ワークの円弧状加工面とはフィルムを介してではあるが、いわば2点での線接触となる。
【0009】
このようにシューの先端部の形状を凹凸にしてワークに対し線接触させる理由は、シューの背面側から加えられた押付け力をフィルムに確実に伝達し、ラッピング加工するためであり、凹シューの場合、2つの凸部が生じ、この2点(一対設けられているので全部で4点)でワーク外周面と接触するので、これらの点が種々の大きさのワーク外周面に当接することになり、確実なラッピング加工が可能となるからである。
【0010】
しかし、ラッピング加工は、本来的にはシューとワークとは、接触面積が大きく、その面圧やワークの回転速度も一定で、シューがワークから離れず安定的に加工でき、加工品質の良いものが得られることが好ましいが、前記シューでは、いずれも線接触となっているために、接触面積は小さく、加工品質が向上しない虞がある。最近では、シューの押付け力を制御することにより所定の加工品質を確保することもあるが、機能的にもコスト的にも好ましい対策とはなっていない。特に、カムシャフトのカムロブ部のように、曲率半径が比較的大きな円弧状のベース部と、ほぼ直線的なイベント部と、曲率半径が比較的小さな円弧状のトップ部を有するワークをラッピングで仕上げ加工する場合は、ワークを一定の回転速度にすると、ベース部とイベント部とでは加工速度が異なり、カムロブ部全体が良好な加工品質とならない虞もある。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑み、接触面積が大きく、安定的に加工でき、加工品質の向上を図ることができるシューを備えたラッピング加工装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0013】
(1) 薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、このラッピングフィルムの砥粒面を、曲率半径が大きい部分と小さい部分のある断面円弧状をしたワークの加工面に押圧する押圧手段と、を有し、前記ラッピングフィルムを前記ワークの加工面に押圧した状態で前記ワークを回転させながら加工するラッピング加工装置において、前記押圧手段は、内部空間が仕切壁により仕切られ、流体の注入により膨張し得る袋状部材により構成された弾性変形可能なシューと、当該シューを所定の加圧力でワークの加工面に沿った形状に変形させる押付け手段と、を有するラッピング加工装置。
【0017】
(2) 前記袋状部材は、シューケース内に設けられ、流体の注入により膨張し当該シューケースより一部が突出される前記(1)のラッピング加工装置。
【0018】
(3) 前記袋状部材は、高密度繊維により構成したことを特徴とする前記(1)又は(2)のラッピング加工装置。
【0019】
(4) 前記袋状部材は、内部に流体が密封された弾性体により構成したことを特徴とする前記(1)〜(3)のラッピング加工装置。
【0020】
(5) 前記袋状部材は、内部流体の圧力を調節する圧力調節手段と連結したことを特徴とする前記(1)〜(4)のラッピング加工装置。
【0021】
(6) 前記ラッピングフィルムは、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材により構成したことを特徴とする前記(1)のラッピング加工装置。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ラッピングフィルムを押圧する押圧手段を、内部が仕切壁により仕切られ、流体の注入により膨張し得る袋状部材により構成された弾性変形可能なシューと、このシューを所定の加圧力でワークの加工面に沿って加圧変形させる押付け手段とから構成したので、シューはワークの加工面形状如何に拘わらずワークの加工面に沿うように弾性変形し、大きな接触面積とすることができ、これにより作用砥粒数が増大し、加工時間の短縮を図ることができ、安定的な加工を可能にする。しかも、ラッピングフィルムを押圧する押付け力も均一になり、加工品質の向上と均質化を図ることができる。特に、前記シューは、内部が仕切壁により仕切られ、流体の注入により膨張し得る袋状部材により構成したので、シューを、シューケース内で流体の注入により膨張し、一部をシューケースより突出させると、シューをワークの加工面に沿わせやすく、作業性が良く、また、シュー全体がワークの加工面に沿う形状となるので、大きな接触面積、安定的な加工、押付け力の一定を達成でき、さらなる加工品質の向上を図ることができる。しかも、シュー内が仕切壁により仕切られているので、強度的に優れたものとなり、ハードシューとして使用する場合に好ましいものとなる。
【0023】
また、シューをワークに対し対向する位置に設けると、ワークとの接触面積がより大きくなり、さらに安定した、加工品質のよい、均質化された加工を迅速に行なうことができる。
【0026】
請求項2の発明は、シューを、シューケース内で流体の注入により膨張し得る袋状部材とし、一部がシューケースより突出するようにしたので、シューをワークの加工面に沿わせやすく、作業性が良く、また、シュー全体がワークの加工面に沿う形状となるので、大きな接触面積、安定的な加工、押付け力の一定を達成でき、さらなる加工品質の向上を図ることができる。
【0027】
請求項3の発明は、前記袋状部材を高密度繊維により構成したため、前項の効果に加えて、ワークの加工面に沿って変形しても強度や耐久性のあるシューとすることができる。
【0028】
請求項4の発明は、前記袋状部材を、内部に流体が封止された弾性体により構成したので、より変形容易となり、種々のワークに対応してラッピング加工を行なうことができる。
【0029】
請求項5の発明は、袋状部材の密閉空間内に封止された流体圧を圧力調節手段により調整するので、いわゆるハードシューとソフトシューを1つのシューで構成することができ、ワークに応じたラッピング加工を行なうことができ、しかも、面倒なシューの交換作業が低減し、極めて作業能率が向上し、装置構成も簡素化する。
【0030】
請求項6の発明は、ラッピングフィルムを非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材により構成したので、シューに対応してラッピングフィルムをワークの加工面に沿うように変形でき、押付け力の均一化、安定的な加工を可能にし、加工品質の向上と均質化を図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1,2は本発明の実施形態に係るラッピング加工装置を示す概略断面図であり、図1が押圧アームの閉状態、図2が押圧アームの開状態を示している。
【0033】
本実施形態のラッピング加工装置について概説すれば、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム1と、このラッピングフィルム1の砥粒面2をワークWに押圧する押圧手段10とを有している。
【0034】
ラッピングフィルム1は、種々のタイプがあるが、本実施形態では、基材3が非伸縮性の高い材料、例えば、板厚tが25μm〜130μm程度のポリエステルなどから構成され、この基材3の一面には、数μm〜200μm程度の粒径を有する多数の砥粒(具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、ダイアモンド等からなる)が接着剤により取り付けられている。砥粒は、基材3の一面に全面にわたって接着してもよく、また、所定幅の無砥粒領域を間欠的に形成したものであっても良い。基材3の他面には、ゴムあるいは合成樹脂等からなる抵抗材料(図示せず)が取り付けられているが、場合によっては滑り止め加工を施しても良い。
【0035】
このラッピングフィルム1は、供給リール5から引き出され、一方の押圧アーム6の先端に設けられた一対の第1ガイドローラR1と、他方の押圧アーム7の内方位置に取り付けられている第2ガイドローラR2と、他方の押圧アーム7の先端に設けられた一対の第3ガイドローラR3等にガイドされ、巻取りリール8に巻き取られるが、供給リール5と巻取りリール8の近傍にはロック装置(図示せず)が設けられ、このロック装置の作動により全体に所定のテンションが付与される。
【0036】
押圧手段10は、弾性変形可能な一対のシュー11と、各シュー11をワークWの加工面に対し押付けると共にこの押付け力を調節可能な押付け手段12と、これらを保持する押圧アーム6,7とを有している。
【0037】
各シュー11が先端部に設けられた前記押圧アーム6,7は、後端に流体圧シリンダ13が設けられ、この流体圧シリンダ13の作動により、支持ピン14を中心として両押圧アーム6,7が、図1に示す閉状態と、図2に示す開状態となる。この両押圧アーム6,7の回動は、ラッピングフィルム1と共に行なわれ、閉じ回動によりシュー11がラッピングフィルム1を介してワークWを加圧し、開き回動によりワークWとシュー11の当接を解除する。
【0038】
押付け手段12は、シューケース15を押圧するばね力をカム12aにより調節し、シュー2のワークWの加工面に対する押付け力を調節する。
【0039】
本発明に係るシュー11は、基本的にはワークWの加工面に沿って弾性変形可能なものであるが、全体が変形するもののみでなく、先端部分がワークWの加工面に当接し弾性変形するものであっても良い。
【0040】
図3はシュー部分を示すの要部拡大断面図である。具体的に述べれば、第1実施形態のシュー11は、図3に示すように、両押圧アーム6,7の先端部に取り付けられた箱状のシューケース15と、このシューケース15内に設けられ、内部に空気、油あるいは水等の流体が注入されると膨張し、シューケース15の開放端部より外部に一部が突出する袋状部材16とから構成され、ワークWに対し対向する位置に設けられている。シュー11をワークWに対し対向する位置に設けると、ワークWとの接触面積がより大きくなり、さらに安定した、加工品質のよい、均質化された加工を迅速に行なうことができる。
【0041】
袋状部材16は、膨張収縮可能であって強度的に優れたもの、例えば、高密度繊維あるいはゴム(エラストマを含む)、合成樹脂などから構成されている。例えば、熱可塑性のエラストマとしてはポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリブタ、ジエン系、ポリエステル系、シリコンゴム、二トリルゴム、ポリクロロプレン、等を用いることが可能であり、また、ポリウレタンゴムとしては、ポリウレタン樹脂の主要部分がポリエーテル系、ポリカーボネイト系、またはエーテルとカーボネイトの共重合系ポリウレタン樹脂を用いることが可能である。合成樹脂としては、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等を用いることが可能である。
【0042】
ただし、高密度繊維により構成した袋状部材16は、ワークWを加圧すると外形が変形し、内部の流体が外部に漏れることもあるので、袋状部材16と流体供給手段17を連結し、流体供給手段17を常時作動して流体を供給し続けるか、あるいは内部の圧力を圧力検知手段(図示せず)により検知し、所定圧以下になると、流体供給手段17から流体を供給するようにしても良い。流体供給手段17としては、シリンダあるいはポンプ等が利用できる。
【0043】
特に、圧力検知手段により内部の圧力を検知する場合、検知した圧力に対して袋状部材16の内部圧力を高めたり低下させたりする圧力調節手段18を、流体供給手段17と袋状部材16との間に設けると、袋状部材16の固さを流体圧により調節でき、いわゆるハードシューとソフトシューを1つのシューで構成することができる。
【0044】
油溝等が形成されたジャーナル部をラッピング加工する場合には、シューは一般にソフトシューが使用される。ハードシューを使用すると、油溝等が不必要に削られるからである。したがって、例えば、カムシャフトのカムロブ部を加工した後、ジャーナル部をラッピング加工する場合には、ハードシューからソフトシューに変更しなければならないことがあるが、このような場合でも、袋状部材16の密閉空間内に封止された流体圧を圧力調節手段18により昇降させると簡単にハードシューからソフトシューあるいはソフトシューからハードシューに変更できる。
【0045】
次に、作用を説明する。
【0046】
まず、ヘッドストックとテールストックとの間にワークWをセットする。このセット後、流体圧シリンダ13により両押圧アーム6,7を閉じ回動させる。この閉じ回動によりラッピングフィルム1は、ワークWの加工面上にセットされる。この時点では、シュー11は膨張していないので、フィルム1は固定状態あるいは不動状態ではない。
【0047】
したがって、供給リール5近傍に設けられたロック装置をロックし、モータMを作動し巻取りリール8を回転すると、ラッピングフィルム1は所定量移動し、新規な砥粒面2がワークWの加工面上にセットされると共にラッピングフィルム1に所定のテンションが付与され、ぴんと張った状態になる。そして、巻取りリール8近傍のロック装置をロックすると、テンションが付与され弛みのない状態のラッピングフィルム1となる。
【0048】
そして、流体圧シリンダ13を作動すると、押圧アーム6,7が、両シュー11やラッピングフィルム1と共にワークWの加工面に向かって閉じ回動する。
【0049】
この時点で、押付け手段12が両シュー11をラッピングフィルム1を介してワークWの加工面に押付けるが、流体供給手段17を作動して流体を袋状部材16に供給すると、ワークWに対し対向する位置に設けられた一対の袋状部材16が膨張し、両シュー11が、ラッピングフィルム1をワークWの加工面に押付ける。ただし、この場合の押付け力は、押付け手段12のカム12aによっても調節できる。
【0050】
袋状部材16は、いわば風船状に膨張するが、シューケース15内に設けられているので、基部側の膨張は規制され、先端部分がシューケース15の開放端部より外部に突出する。このシューケース15より突出した袋状部材16は、ワークWの加工面に沿うように変形し、大きな接触面積となる。特に、一対の袋状部材16がワークWの加工面に沿うように変形するので、ワークWの大きさにもよるが、ワークWの外周面のほぼ半分の領域と接触することになり、大きな接触面積となる。
【0051】
ワークWを軸方向にオシレーションを加えつつ、ワークWを軸中心で回転すると、膨張した袋状部材16がラッピングフィルム1を押付けつつ広い範囲でワークWをラッピング加工することになる。袋状部材16は、高密度繊維等の材料が使用されているので、ワークの加工面に沿って変形しても強度的、耐久的にも問題はない。
【0052】
広範囲でラッピング加工するということは、ワークWに対する単位時間あたりの作用砥粒数は増大し、加工時間が短縮することを意味する。
【0053】
また、広範囲でフィルム1を支持することになるので、ワークWの回転に伴ってシュー11が飛び上がって離れる等という不安定な加工が生じることはなく、常時接触の安定的な加工となり、ラッピングフィルム1を押圧する押付け力も広い範囲で一定となり、ワークWは、品質よく加工され、全体的な加工品質も均質化する。
【0054】
そして、例えば、カムシャフトのカムロブ部を加工した後、油溝等が形成されたジャーナル部をラッピング加工する場合には、一般に、シューはソフトシューが使用されるが、本実施形態では、袋状部材16の密閉空間内に封止された流体圧を圧力調節手段18により調整し、低下させると、袋状部材16を、いわばソフトシュー的に使用できる。ただし、ラッピングフィルム1の砥粒によっては、良好なラッピング加工を行なうことができないこともあるので、場合によっては、ラッピングフィルム1自体を交換しなければならないこともある。
【0055】
この結果、ラッピングフィルム1を押圧するシューは、柔軟に変形し、油溝等を不必要に加工することなく、ジャーナル部に対し所望のラッピング加工を施すことができる。つまり、内部の流体圧を調節するのみで、いわゆるハードシューとソフトシューを1つのシューで形成でき、ワークに応じた良好なラッピング加工が可能となる。しかも、面倒なシューの交換作業を行なう必要がなくなり、極めて作業能率が向上し、装置構成も簡素化する。
【0056】
さらに、ラッピングフィルム1は、裏面をシューの滑り止めのためバックコーティングしているので、袋状部材16は、広い範囲でバックコーティングを押圧してフィルム1を押圧支持し、加工中のフィルム1のズレが防止される。なお、場合によっては、このバックコーティングを不要にすることもできる。
【0057】
カムシャフトは、多数のカムロブ部を有しているが、前記ラッピング加工は、これらカムロブ部に対し一斉に行なわれる。ラッピング加工が完了すると、流体供給手段17を作動して流体を袋状部材16から排出する。これにより袋状部材16が収縮し、ワークWの加工面に対する押圧が解かれる。この状態で流体圧シリンダ13を作動すると、両押圧アーム6,7を開き回動し、ラッピングフィルム1は、元のテンション状態に戻り、ワークWも取り出し可能な状態となる。ワークWを取り出した後、他のワークWをセットすれば、同様のラッピング加工を開始することができる。
【0058】
<第2実施形態>
本発明に係るシューは、基本的にはワークWの加工面に沿って変形可能であれば良いので、第1実施形態のように袋状部材16でなく、図4〜6に示すような剛性のある複数のシュー片を用いても良い。ここに、図4は本発明に係るシューの第2実施形態を示す概略断面図、図5は同シューの通常時の側面図、図6図5の側面図、図7は第2実施形態の変形例を示す断面図である。
【0059】
第2実施形態に係るシュー20は、例えば、図4〜6に示すように、スチール製あるいは合成樹脂製のような剛性のある比較的薄肉の材料により構成された複数のシュー片20aをシューケース15内に整列乃至重積状態に設け、ワークWの円弧状加工面に押付けたとき各シュー片20aが相互に変位し、シュー全体としてワークWの円弧状加工面に沿って弾性変形するようにしている。
【0060】
各シュー片20aは、先端部がシューケース15から外部に突出され、後端部が弾性支持手段21に支持されているが、シューケース15から抜け出さないように、各シュー片20a及びシューケース15に開設された長孔22に貫通ボルトからなるストッパ部材23が挿通されている。
【0061】
なお、弾性支持手段21としては、板ばね21aが使用されているが、これのみでなく、図7に示すような弾性支持手段21bでも良い。この弾性支持手段21bは、内部に空気等の圧縮可能な気体が注入されたゴムあるいは合成樹脂などのような気密性を有する中空体であるが、ゴムあるいは合成樹脂などの中実体であっても良い。
【0062】
このシュー20は、ワークWの加工面上にセットされた状態で、シューケース15が加圧部材12により加圧されると、各シュー片20aが相互にズレてワークWの円弧状加工面に沿って変位し、シュー全体としてワークWの円弧状加工面に沿って弾性変形した状態で、ラッピングフィルム1をワークWの加工面に押圧する。
【0063】
このシュー20も、ワークWの加工面に沿って変形するので、大きな接触面積となり、ワークWを軸中心で回転すると、各シュー片20aがラッピングフィルム1を広い範囲で押圧しつつワークWを加工することになる。
【0064】
したがって、本実施形態も、先の実施形態と同様に、加工は広い範囲で行なわれ、ワークWに対する作用砥粒数が増大し、加工時間の短縮を図ることができる。また、フィルム1のズレが防止され、常時接触の安定的な加工となり、押付け力も広い範囲で一定なり、加工品質が向上し、全体的な加工品質も均質化する。
【0065】
<第3実施形態>
図8は本発明に係るシューの第3実施形態を示す要部概略断面図である。本実施形態のシュー30は、図8に示すように、第1実施形態に係るシュー11のような袋状部材31の内部空間を仕切壁32により仕切り、複数のシュー部材33を形成したものである。
【0066】
このシュー30も、シューケース15内に設けられ、先端部がシューケース15から外部に突出されているが、シューケース15とは接着剤あるいは凹凸嵌合等の固定手段(図示せず)により固定されている。
【0067】
このシュー30も、先の実施形態と同様に、シューケース15が押付け手段12により加圧され、ワークWの加工面上にセットされると、ワークWの円弧状加工面に沿って変位し、ラッピングフィルム1をワークWの加工面に押圧するが、このシュー30は、仕切壁31により仕切られているので、仕切壁31のない前記実施形態ほどワークに沿って変形はしないものの、強度的に優れたものとなり、ハードシューとして使用する場合に好ましいものとなる。
【0068】
このシュー30も、広い範囲での加工を可能とし、ワークWに対する作用砥粒数が増大し、加工時間の短縮を図ることができ、また、フィルム1のズレ防止効果も高く、加工も安定し、加工品質の向上、全体的な加工品質の均質化を図ることができ、場合によっては、フィルム1のバックコーティングも不要にできる。
【0069】
このように本発明では、ラッピング加工において、シュー11,20,30を弾性変形させることにより、断面円弧状の加工面を有するワークWに対し広い接触面積でラッピングフィルム1を押圧することができるので、作用砥粒数が増え、単位時間あたりの除去量が増大し、短時間での加工が可能となる。
【0070】
加工品質に関しても、シュー11,20,30がラッピングフィルム1を広範囲にわたって均一な押付け力でワークWに押付けるので、均質なラッピング加工ができ、加工品質も均質化する。
【0071】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々変更できる。例えば、前述した実施形態では、主としてカムシャフトのカムロブ部を加工する場合について述べたが、これのみでなくワークはクランク等他のものに対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るラッピング加工装置を示す概略断面図である。
【図2】 押圧アームの開状態を示す概略断面図である。
【図3】 シュー部分を示す要部拡大断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態を示す概略断面図である。
【図5】 同シューの通常時の側面図である。
【図6】 図5の側面図である。
【図7】 第2実施形態の変形例を示す断面図である。
【図8】 本発明の第3実施形態を示す要部概略断面図である。
【符号の説明】
1…ラッピングフィルム、
2…砥粒面、
3…基材、
10…押圧手段、
12…押付け手段、
11,20,30…シュー、
15…シューケース、
16…袋状部材、
18…圧力調節手段、
20a…シュー片、
21…弾性支持手段、
31…仕切壁、
W…ワーク。
Claims (6)
- 薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、このラッピングフィルムの砥粒面を、曲率半径が大きい部分と小さい部分のある断面円弧状をしたワークの加工面に押圧する押圧手段と、を有し、前記ラッピングフィルムを前記ワークの加工面に押圧した状態で前記ワークを回転させながら加工するラッピング加工装置において、
前記押圧手段は、内部空間が仕切壁により仕切られ、流体の注入により膨張し得る袋状部材により構成された弾性変形可能なシューと、当該シューを所定の加圧力でワークの加工面に沿った形状に変形させる押付け手段と、を有するラッピング加工装置。 - 前記袋状部材は、シューケース内に設けられ、流体の注入により膨張し当該シューケースより一部が突出される請求項1に記載のラッピング加工装置。
- 前記袋状部材は、高密度繊維により構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のラッピング加工装置。
- 前記袋状部材は、内部に流体が密封された弾性体により構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラッピング加工装置。
- 前記袋状部材は、内部流体の圧力を調節する圧力調節手段と連結したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラッピング加工装置。
- 前記ラッピングフィルムは、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材により構成したことを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
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