JP4193427B2 - 継目無鋼管の製造方法および製造装置 - Google Patents

継目無鋼管の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管の製造方法および製造装置に関する。具体的には、本発明は、マンドレルミルを用いて継目無鋼管を製造する際に、マンドレルバーの焼付きを確実に防止できる継目無鋼管の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるマンネスマン・マンドレルミル方式による継目無鋼管の製造では、まず、回転炉床式加熱炉により加熱された丸鋳片を穿孔機で穿孔して中空厚肉の素管 (シェル) とする。
【0003】
次に、一般的にJIS のSKD6やSKD61 等の熱間工具鋼からなる丸棒を素材として機械加工および焼入れ、焼戻し処理を行うことにより製造されるマンドレルバーの表面に潤滑剤を塗布する。マンドレルバーの表面に塗布される潤滑剤には、熱間での潤滑性能が優れた熱間圧延用潤滑剤が用いられ、安価で非常に優れた潤滑性能を有することから、例えば特公昭59−37317 号公報により開示された黒鉛を主成分とする水溶性の黒鉛系潤滑剤が多用される。また、この潤滑剤は、通常、貯蔵タンクから製造ラインまでパイプラインで供給され、マンドレルバーを素管に挿入する直前の位置に配置されたリング状ノズルから、その内部を通過するマンドレルバーの表面へ向けてシャワー状に噴射される。このようにして、マンドレルバーの表面には経験的に決定される所定の総量の潤滑剤が塗布される。
【0004】
そして、このマンドレルバーを素管の内部に挿入し、縦横交互に配列された7〜9対の丸形の孔型ロールを備えるマンドレルミルにより、素管の外径や肉厚を減少させて所定の寸法の管に1パスで圧延する。圧延後、マンドレルバーはバーストリッパを用いてこの管から引き抜かれる。
【0005】
マンドレルバーを挿入される素管は、1100〜1200℃程度の高温に加熱されている。したがって、潤滑剤は、圧延時に乾燥被膜を形成してマンドレルバーと素管との間の焼付きを防止するために塗布される。また、マンドレルミルにより圧延される素管の形状や肉厚は、孔型ロールの回転数や孔型形状だけではなく、マンドレルバーと素管との間に生じる摩擦、すなわち潤滑剤の性能にも影響される。例えば、摩擦係数が比較的小さな潤滑剤を用いると、素管の円周方向および長手方向に均一な変形が発生し、圧延後に安定した形状や肉厚分布を得られ易い。また、潤滑剤の性能が良好でないとマンドレルバーが焼付き、圧延後にマンドレルバーを管から引き抜くことが難しくなり、作業性が損なわれる。このように、マンドレルバーの表面に潤滑剤を塗布することは、品質およびコストの両面で極めて重要である。
【0006】
マンドレルミルによる圧延を終えて得られた管は、管端形状が悪い部分をホットソーにより切断され、再加熱炉により再加熱される。そして、高圧水によるデスケーリングを行われてから、ストレッチレデューサーを用いて外径圧下と若干の肉厚圧下とを行われることにより、所定の寸法とされる。この後、冷却床で冷却され、コールドソーにより所望の長さに切断されて製造ラインに送られる。
【0007】
このようなマンネスマン・マンドレルミル方式による継目無鋼管の製造では、管から引き抜かれたマンドレルバーは、バー冷却ゾーンに回送されて適当な温度まで冷却された後に表面に潤滑剤を塗布されて次の圧延に供される、いわゆる循環使用が行われる。この際、マンドレルミルによる圧延に供された後に室温に長時間放置されたマンドレルバーは、次の使用に際して、スチームや加熱炉により、マンドレルミルの製管ピッチに応じた、潤滑剤の乾燥被膜を得るための適当な温度である60℃〜120 ℃に加熱される。マンドレルの温度が60℃未満では、潤滑剤の乾燥に時間がかかりすぎ、通常の製管ピッチでは潤滑被膜を形成できずに未乾燥のままで圧延に供され、逆にマンドレルの温度が120 ℃を超えると、形成された潤滑被膜の密着力が弱まり、いずれの場合にも、マンドレルバーが焼き付いてしまう。特に、ステンレス鋼製の素管では焼付きが発生し易い。
【0008】
しかしながら、圧延中のマンドレルバーと素管との接触時間は長手方向に不均一であることから、圧延後に管から引き抜かれた直後のマンドレルバーの温度分布も長手方向に不均一なものとなる。このため、マンドレルバーの温度をその全長について60℃〜120 ℃に管理することは容易ではない。例えば、最低温度を60℃以上にしようとすると最高温度が120 ℃を大きく上回り、極端な場合には200 ℃程度に達してしまう。また、逆に、最高温度を120 ℃以下に抑制しようとすると、最低温度が40℃程度になってしまう。したがって、これらの場合には、圧延時にマンドレルバーが焼き付いてしまい、製造される継目無鋼管の内面に焼付き疵が発生してしまう。
【0009】
そこで、特開昭59−197306号公報には、圧延後に管から引き抜かれた直後のマンドレルバーの表面の長手方向温度分布を測定し、その測定結果に基づいて冷却水量分布を長手方向に調整しながらマンドレルバーを冷却することによって、マンドレルバーの焼付きを防止する発明が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マンドレルバーに実際に生じる長手方向の温度分布は、直近の圧延の条件のみならず、そのマンドレルバーのそれまでの使用履歴等にも影響される。このため、この発明に基づいても、全てのマンドレルバーについてその全長の温度を60℃〜120 ℃に管理することは非常に困難であり、全てのマンドレルバーと素管との焼付きを確実に防止することは、事実上不可能である。
【0011】
本発明の目的は、マンドレルミルを用いて継目無鋼管を製造する際に、マンドレルバーの焼付きを確実に防止できる継目無鋼管の製造方法および製造装置を提供することである。
【0012】
具体的には、本発明の目的は、長手方向の温度分布にばらつきがあるマンドレルバーを用いても、製管ピッチを落とすことなく、管内面に焼付き疵を発生せずに、マンドレルミルを用いた継目無鋼管を製造する方法および装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マンドレルバーの表面へ一種の潤滑剤を、1回当たりの塗布量がこの潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値に基づいて定められる下記式により規定される所定量以下となるようにして、複数回に分けて所定の総量塗布した後、このマンドレルバーを素管の内部に挿入して圧延を行うことにより継目無鋼管を製造することを特徴とする継目無鋼管の製造方法である。
【0014】
M=5×{(120−T)/10}+100
ただし、Mは前記所定量(g/m )を示し、Tは潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値(℃)を示す。
【0015】
また、マンドレルバーの表面温度の最大値Tは120℃以上240℃以下であることが例示される。
別の観点からは、本発明は、搬送方向へ搬送されるマンドレルバーの表面へ潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布装置を備え、この潤滑剤塗布装置が、搬送方向に離間して配置されて一種の潤滑剤を塗布する複数の潤滑剤塗布手段を有し、さらに、この潤滑剤塗布手段からの1回当たりの塗布量が潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値に基づいて定められる下記式により規定される所定量以下となるように、この潤滑剤の塗布量を制御する潤滑剤塗布量制御装置を備えることを特徴とする継目無鋼管の製造装置である。
【0016】
M=5×{(120−T)/10}+100
ただし、Mは前記所定量(g/m )を示し、Tは潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値(℃)を示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる継目無鋼管の製造方法および製造装置の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の継目無鋼管の製造装置1の構成を模式的に示す説明図である。
図1におけるマンドレルバー2は慣用されるものであり、JIS SKD61 熱間工具鋼)からなる丸棒を素材として機械加工および焼入れ、焼戻し処理を行うことにより製造されたものである。
【0019】
マンドレルバー2は、潤滑剤塗布装置3により表面に潤滑剤を塗布された後、被圧延材である素管4に挿入される。
本実施の形態では、潤滑剤として、安価で非常に優れた潤滑性能を有することから、黒鉛を主成分とする水溶性の黒鉛系潤滑剤を用いた。
【0020】
潤滑剤塗布装置3は、搬送方向 (図面向って右方向) へ搬送されるマンドレルバー2の表面へ潤滑剤を塗布するためのものであり、マンドレルバー2を素管4に挿入する直前の位置に、搬送方向に離間して配置された潤滑剤塗布手段 (リング状ノズル) 3a、3bを2基有する。本実施の形態では、潤滑剤塗布手段であるリング状ノズル3a、3bは、搬送方向に離間して2基設置したが、これとは異なり、3基以上設置してもよい。設置数を増加することにより、マンドレルバー2の表面への潤滑剤の1回当たりの塗布量をよりきめ細かく制御できるが、設備コストの増加を伴ったり、設置スペース上の制約により3基以上設置できないこともあることから、リング状ノズル3a、3bは2基または3基設置することが最も望ましい。
【0021】
なお、リング状ノズル3a、3bそれぞれからの塗布間隔は、リング状ノズル3aから塗布された潤滑剤の表面が乾燥した後に、リング状ノズル3bからの塗布が行われるように設定すればよく、本実施の形態では、リング状ノズル3a、3bの設置間隔を適切に設定することにより、塗布間隔が1秒となるようにした。
【0022】
潤滑剤は、貯蔵タンク3cからリング状ノズル3a、3bまでパイプライン3dで供給され、リング状ノズル3a、3bからその内部を搬送されるマンドレルバー2の表面に向けてシャワー状に噴射される。このようにして、本実施の形態では、マンドレルバー2の表面に、リング状ノズル3a、3bから、所定の総量の潤滑剤が塗布される。
【0023】
表面に潤滑剤を塗布されたマンドレルバー2は、図1に示すように、素管4の内部に挿入される。そして、素管4はマンドレルバー2が図示するように内部に挿入された状態で、マンドレルミル (図示しない) により圧延される。
【0024】
本実施の形態で用いるマンドレルミルは、縦横交互に配列された7〜9対の丸形の孔型ロールを備えるものであり、素管4の外径や肉厚を減少させて所定の寸法の管4' に1パスで圧延する。そして、マンドレルバー2はバーストリッパ (図示しない) を用いて管4' から引き抜かれる。
【0025】
次いで、マンドレルバー2は冷却ゾーン5に回送されて適当な温度まで冷却される。この際、このマンドレルバー2には、素管4との接触が長手方向に均一に行われなかったことに起因して、長手方向の温度分布にばらつきがある状態で、冷却される。この冷却後、マンドレルバー2は、潤滑剤塗布装置3により上述したようにして再び潤滑剤を塗布され、素管4の内部に挿入されて次の圧延に供される。
【0026】
再度潤滑剤を塗布される際のマンドレルバー2の表面温度の最大値Tは、冷却ゾーン5における冷却の程度を調整することや、必要に応じて、スチームや加熱炉を用いて加熱されることにより、120 ℃以上240 ℃以下となるように調整される。マンドレルバー2の表面温度の最大値Tが120 ℃未満であると、潤滑被膜お形成に時間がかかり、製管ピッチを落とす必要が生じ、一方、240 ℃を超えると、気泡の発生が著しくなり、気泡に起因した焼き付の発生を防止できなくなるからである。このように、本実施の形態でもマンドレルバー2は循環使用される。
【0027】
さらに、本実施の形態の製造装置1は、潤滑剤塗布量制御装置6を有する。この潤滑剤塗布量制御装置6は、潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値T (℃) に基づいて、リング状ノズル3a、3bそれぞれからの1回当たりの塗布量が定められる所定量M(g/m2)以下となるように、潤滑剤の塗布量を制御する。具体的には、本実施の形態により、潤滑剤塗布量制御装置6により、所定量M(g/m2)は、M=5×{(120−T)/10}+100 として規定される。これにより、リング状ノズル3a、3bそれぞれからの1回当たりの塗布量と潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値T (℃) との間には、T≦ 120−10× (M−100)/5なる関係が成り立つ。
【0028】
本実施の形態の製造装置1は以上のように構成される。次に、この製造装置1を用いて、継目無鋼管を製造する状況を説明する。
本実施の形態では、まず、マンドレルバー2の表面へ、潤滑剤塗布装置3のリング状ノズル3a、3bそれぞれから、一種の潤滑剤を2回に分けて塗布する。この理由を詳細に説明する。
【0029】
マンドレルミルを用いた圧延の際にマンドレルバー2と素管4とが焼き付く原因は、表面温度が120 ℃以上のマンドレルバー2に潤滑剤を塗布することにより形成される潤滑被膜中に気泡が残存することであると考えられる。
【0030】
図2は、マンドレルバーの表面温度 (℃) と潤滑被膜の気泡発生率 (%) との関係の一例を示すグラフである。なお、図1のグラフにおける「多項式」とは各塗布量における近似曲線を意味する。
【0031】
図2にグラフで示すように、マンドレルバー2の表面温度が高くなると、マンドレルバー2の表面に形成された潤滑被膜中に残存する気泡の発生率が増大する。気泡の発生メカニズムは以下のように推定される。すなわち、マンドレルバー2の表面に向けて噴射された潤滑剤は、周囲の空気を巻き込んでマンドレルバー2の表面に付着する。巻き込まれた空気は、形成された潤滑被膜から抜け出ていき、抜け出た跡に周囲の潤滑剤が流れ込む。ところが、マンドレルバー2の温度が120 ℃以上であると、潤滑剤の乾燥が極めて速く潤滑被膜が迅速に形成されるために潤滑被膜からの空気の抜け出しが不十分となり、潤滑被膜中に気泡が残存してしまう。そして、潤滑被膜中に気泡が残存すると潤滑被膜の潤滑性が低下し、マンドレルバー2と素管4との間に焼付きが発生する。
【0032】
これに対し、気泡の残存量と1回当たりの潤滑剤の塗布量との間には相関関係があり、この潤滑被膜中に残存する気泡の量は、潤滑剤の所定の塗布量 (総量) を、2回または3回以上の複数回に分けて塗布することによって1回当たりの潤滑剤の塗布量を少なくすると、低減される。
【0033】
そこで、本実施の形態では、2基のリング状ノズル3a、3bを設置して、必要とする塗布量を2回に分けて塗布することによって、リング状ノズル3a、3bそれぞれの1回当たりの潤滑剤の塗布量を、マンドレルバー2の表面温度の最大値Tから決定される値に低減する。具体的には、潤滑剤塗布量制御装置6により、潤滑剤を塗布される直前のマンドレルバー2の表面温度の最大値T (℃) と、リング状ノズル3a、3bそれぞれの1回当たりの潤滑剤の塗布量M(g/m2)とが、T≦ 120−10× (M−100)/5の関係を満足するように、より好ましくはT≦ 80 −10× (M−100)/5の関係を満足するように、潤滑剤の塗布量が制御される。
【0034】
これにより、マンドレルバー2の表面温度の最大値が120 ℃以上の場合であっても、潤滑被膜中に残存する気泡の量が減少し、マンドレルバー2と素管4との間の焼付きが確実に防止される。
【0035】
なお、潤滑剤の所定の塗布量 (総量) 、すなわち1本の素管4の圧延の際に必要とされる潤滑剤の総量は、通常、10〜200g/m2 程度であり、この範囲において、素管4の鋼種や延伸比などの圧延条件により、経験的に決定すればよい。
【0036】
また、上述したように、本実施の形態では、リング状ノズル3a、3bそれぞれからの塗布間隔は1秒としたが、リング状ノズル3aから塗布された潤滑剤の表面が乾燥した後に、リング状ノズル3bからの塗布が行われるように設定すればよく、かかる観点から塗布間隔は1秒以上とすることが望ましい。
【0037】
このようにして、2基のリング状ノズル3a、3bそれぞれから2回に分けて表面に潤滑剤を塗布されたマンドレルバー2は、図1に示すように、素管4の内部に挿入される。そして、素管4はマンドレルバー2が図示するように内部に挿入された状態で、マンドレルミル (図示しない) により圧延される。マンドレルミルによる圧延を終了した管4' は、管端形状が悪い部分をホットソーにより切断され、再加熱炉により再加熱される。そして、高圧水によるデスケーリングを行われてから、ストレッチレデューサーを用いて外径圧下と若干の肉厚圧下とを行われることにより、所定の寸法とされる。この後、冷却床で冷却され、コールドソーにより所望の長さに切断されて製造ラインに送られる。
【0038】
本実施の形態によれば、このようにして、マンドレルバー2の焼付きに起因した内面の焼付き疵が存在しない継目無鋼管が製造される。
このように、本実施の形態によれば、マンドレルミルを用いて継目無鋼管を製造する際に、マンドレルバー2の焼付きを確実に防止できる。具体的には、本実施の形態によれば、長手方向の温度分布にばらつきがあるマンドレルバー2を用いても、製管ピッチを落とすことなく、マンドレルバー2の焼付きに起因した内面の焼付き疵が存在しない継目無鋼管を製造できる。
【0039】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細に説明する。
本実施例では、図3に概略を示す熱間圧延試験により、潤滑特性を調査した。この熱間圧延試験は、マンドレルミルにおける単スタンドの圧延状況を模擬するものであり、圧延方向 (図3における左右方向) へ移動自在に配置された、表面に潤滑剤7を塗布された平板状工具8と、ロール9との間で加熱した被圧延材10を圧延し、圧延後の平板状工具8の損傷状況を調査した。
【0040】
被圧延材10には、幅20mm、厚さ10mm、長さ250mm の18Cr-8Niステンレス鋼板を用い、平板状工具8にはJIS SKD61 を用いた。また、潤滑剤は、黒鉛系潤滑剤を用い、所定温度に加熱した平板状工具8にスプレー塗布した。
【0041】
そして、実際のマンドレルミルの製管ピッチに一致させるため、潤滑剤を塗布してから25秒間経過後に、ロール9による圧下を行った。圧延条件は、加熱温度:1273K(窒素雰囲気) 、ロール周速:392.5mm/s 、工具移動速度:15mm/s、圧下率:30%とした。
【0042】
平板状工具8の表面への潤滑剤の必要塗布量 (総量) は140g/m2 とし、これを2回に分け、1回目の塗布から5秒経過後に2回目の塗布を行った。表1には、塗布条件、塗布直前の工具の最高温度とともに、圧延後の工具の焼付き状況を示す。焼付き状況は、焼付き無しを◎で示し、焼付き微小を○で示し、焼付き小を△で示し、さらに焼付き大を×で示した。
【0043】
一方、従来例として、平板状工具8の表面への潤滑剤の必要塗布量 (総量) の140g/m2 を1回で塗布した場合を、表1にあわせて示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004193427
【0045】
表1に示すように、1回目、2回目のそれぞれの塗布量が、上述したT≦ 120−10× (M−100)/5という関係を満足する試験No.1〜試験No.8は焼付きがないか、または微小であった。また、試験No.11 〜試験No.14 は焼付きが小さく、従来例である試験No.15 よりは焼付きの発生が大幅に改善された。
【0046】
これに対し、従来例である試験No.15 は、焼付きが著しく、実際のマンドレルミルの生産を考えると、気泡を十分に抜くために製管ピッチを落とす必要があると判断される程度であった。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、マンドレルミルを用いて継目無鋼管を製造する際に、マンドレルバーの焼付きを確実に防止できる継目無鋼管の製造方法および製造装置を提供することができた。具体的には、長手方向の温度分布にばらつきがあるマンドレルバーを用いても、製管ピッチを落とすことなく、管内面の焼付き疵が発生しない、マンドレルミルを用いた継目無鋼管の製造方法および製造装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の継目無鋼管の製造装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】マンドレルバーの表面温度 (℃) と気泡の発生率 (%) との関係の一例を示すグラフである。
【図3】実施例における熱間圧延試験の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 マンドレルバー
3 潤滑剤塗布装置
3a、3b 潤滑剤塗布手段 (リング状ノズル)
3c 貯蔵タンク
3d パイプライン
4 素管
4' 管
5 冷却ゾーン
6 潤滑剤塗布量制御装置

Claims (3)

  1. マンドレルバーの表面へ一種の潤滑剤を、1回当たりの塗布量が該潤滑剤を塗布する際の前記マンドレルバーの表面温度の最大値に基づいて定められる下記式により規定される所定量以下となるようにして、複数回に分けて所定の総量塗布した後、該マンドレルバーを素管の内部に挿入して圧延を行うことにより継目無鋼管を製造することを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
    M=5×{(120−T)/10}+100
    ただし、Mは前記所定量(g/m )を示し、Tは潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値(℃)を示す。
  2. 前記マンドレルバーの表面温度の最大値Tは120℃以上240℃以下である請求項1に記載された継目無鋼管の製造方法。
  3. 搬送方向へ搬送されるマンドレルバーの表面へ潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布装置を備え、該潤滑剤塗布装置は、前記搬送方向に離間して配置されて一種の潤滑剤を塗布する複数の潤滑剤塗布手段を有し、さらに、該潤滑剤塗布手段からの1回当たりの塗布量が前記潤滑剤を塗布する際の前記マンドレルバーの表面温度の最大値に基づいて定められる下記式により規定される所定量以下となるように、該潤滑剤の塗布量を制御する潤滑剤塗布量制御装置を備えることを特徴とする継目無鋼管の製造装置。
    M=5×{(120−T)/10}+100
    ただし、Mは前記所定量(g/m )を示し、Tは潤滑剤を塗布する際のマンドレルバーの表面温度の最大値(℃)を示す。
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