JP4193024B2 - リタードローラおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、リタードローラおよびその製造方法に関し、更に詳細には、コピー機またはレーザープリンタ、殊にカラーのプレーン・ページコピーまたはレーザープリンタ等に好適に使用される電子機器用のリタードローラと、該リタードローラを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、電子写真機または各種プリンター等の電子機器には、定着ローラ、クリーニングローラおよび給紙ローラといった各種ローラが使用されている。そして殊にリタード(分離)ローラ等の紙送りに関するローラとして、図7に示す如く、所要の芯材52に対して、大きなニップ厚を取り得る軟質ウレタンローラ54を配置し、この表面に所要の目止め剤により目止め層55を形成し、軟質ウレタンローラ54の外周面に摩擦係数の高いシリコーンゴム等からなる平滑なシリコーンゴム層56が形成されたローラ50が好適に使用されていた。
【0003】
前記ローラ50に関して、本願出願人は特開平7−76049号公報に記載の発明「ローラの製造方法及びその方法により製造される電子機器用ローラ」を案出している。この発明には、(1)適度の弾力性があって、低硬度かつ低荷重で大きなニップ幅が得られ、更に圧縮永久歪みが小さいため、ローラ基材に過大な力が加わらず、基材の径を細くすることができ、ローラを軽量かつ小型とし得る。(2)シリコーンオイルを吸着する能力が高く、またシリコーンオイルに対する耐性も高く膨潤変形もしないため、電子機器のクリーニングローラとして好適である。(3)更に金属等からなるローラ基材表面に直接極めて薄いシリコーンゴムフォーム層を形成することができるため、そのまま電子機器の紙送りローラとして使用することもできる。等の有用性を有する電子機器用ローラが開示されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
しかし前記ローラ50の場合、最外周面に形成されるシリコーンゴム層56は摩擦係数が非常に高い一方で、耐摩耗性に劣っており、昨今の印刷の高速化および長期使用に際しては製品寿命が短くなってしまう難点が指摘される。また前述の摩擦係数は、前記シリコーンゴム層56の原料のシリコーンゴムの柔らかさ、すなわち軟化剤として含有されるシリコーンオイルの量により決定されるため、一般にシリコーンオイル含有量が多い組成とされるが、該シリコーンオイル等の含有物は使用に際してブリードしてしまうため、該シリコーンゴム層56が直接接触する紙等の印刷媒体およびトナー等の印字媒体に悪影響を与えてしまう。殊に最近その普及が著しいカラートナーについては、前述のブリードしたシリコーン系物質の影響が大きく、変色してしまうことが知られており、印刷物の発色性および長期保存性が大きく損なってしまう問題を内在している。
【0005】
更に前記ローラ50の場合、所定厚の前記シリコーンゴム層56は軟質ウレタンローラ54の目止め層55により、その内部まで染み込まないような処理をうけた外周面にドクターブレード等の手段により均一に付与され、研磨を施すことで形成される。この研磨は、前記ローラ50の真円度の向上に必要であり、また前記シリコーンゴム層56の表面に研磨による凸凹、所謂研磨目が形成され形状的摩擦度が向上する効果も期待できる。しかし言い換えれば、▲1▼目止め層55の形成や、真円度向上のための後加工工程が必要なため製造コストが増大する欠点と、▲2▼低い耐摩耗性のため前記研磨目が使用初期に削れると共に、削れて平滑化した前記シリコーンゴム層56表面に非接触物である紙等の微粉が付着することによる形状的な摩擦度および物性的な摩擦係数の低下が起こり、その結果、使用初期の段階で総合的な摩擦力が低下する大きな欠点とが指摘される。
【0006】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に係るリタードローラおよびその製造方法に関して内在していた欠点に鑑み、これを好適に解決すべく提案されたものであって、3次元網目の骨格構造を有する弾性ローラの外表面に、該3次元網目の骨格構造を埋没させることなく所定以上の引張強度を有する耐摩耗被覆層を形成することで、該弾性ローラの形状作用により発現する摩擦性と、耐摩耗被覆層の物性的作用により発現する耐摩耗性とを併有し、リタードローラに好適に使用され得るローラと、該リタードローラの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の発明に係るリタードローラは、芯材と、
前記芯材の外周に設けられ、骨格形状が3次元網目状をなす軟質ポリウレタン樹脂発泡体からなる弾性ローラとを備え、
セル数が20〜200個/25mmに設定された前記弾性ローラの外周面における前記3次元網目状の骨格表面に、JIS K 6251に準じて測定される引張強度が4MPa以上でかつ、室温で硬化する溶媒希釈型のウレタン系樹脂の被覆物質を均一に硬化させて厚さ1.5mm以下の耐摩耗被覆層を形成したことを特徴とする。
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係るリタードローラの製造方法は、芯材の外周に骨格形状が3次元網目状をなす軟質ポリウレタン樹脂発泡体からなる弾性ローラが設けられたローラ基材を、150〜300回/分に設定した回転数で回転させつつ、該弾性ローラの外周面に対して、JIS K 6251に準じて測定される引張強度が4MPa以上で、かつ粘度を0 . 05〜2Pa・sに設定した室温で硬化する溶媒希釈型のウレタン系樹脂の被覆物質を、ロールコーターにより塗布して該被覆物質を樹脂発泡体に浸透させることで、3次元網目状の骨格表面に被覆物質を均一にコーティングすることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るリタードローラおよびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、3次元網目の骨格構造を有すると共に、良好なニップ厚を材質的に発現し得る樹脂発泡体からなる弾性ローラの外表面に対して、この外表面における3次元網目の骨格構造を埋没させないように所定の引張強度を有する耐摩耗被覆層を形成することで、所要の摩擦性と耐摩耗性とを併有するリタードローラを容易に製造し得ることを知見したものである。なお本発明で云う「摩擦性」は、物質が材質的に有する摩擦係数や、形状的な凹凸により提供される力等の摩擦に関する全ての要素を合わせた、滑り易い・引っ掛かり易いの度合いを指す。
【0010】
本発明の好適な実施例に係るリタードローラ10は、図1および図2に示す如く、カラーコピーの内部に軸支するための所要の長さを有する芯材12および3次元網目の骨格形状を有すると共に、該芯材12の外周に設けられる弾性ローラ14からなるローラ基材16と、該弾性ローラ14の外周面14aにおける3次元網目の骨格形状を埋没させることなく均一に形成され、かつ所要の引張強度を有する耐摩耗被覆層18とから構成される。
【0011】
前記芯材12の材質としては、アルミニウムまたはステンレス等の金属或いはABS等の硬質系樹脂が所要の長さとされて好適に使用されるが、使用されるローラの用途、例えば耐熱性が要求されるような定着ローラ近傍に位置するローラであれば金属の使用が好ましい。なお本発明に採用される芯材の形状としては、軽量化等の観点から円筒状が好適であるが、中実の棒状物または角柱等の使用ももちろん可能である。
【0012】
前記弾性ローラ14としては、ポリウレタン、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の樹脂を材質とした発泡体であって、3次元網状の骨格構造を有するものが好適に使用される。殊にリタードローラとしての使用用途を考え、大きなニップ厚を容易に得ることができる軟質ウレタン系樹脂の発泡体が好適である。殊に耐熱性が必要とされる部位のローラにはポリアミド系樹脂の発泡体を用いてもよい。
【0013】
前記3次元網目の骨格構造としては、通常の軟質ウレタン発泡体が有する、所謂ヘチマ骨格の如き、規則性を有さず不定形なセルを形成する骨格が好適である。その前記弾性ローラ14の外表面14aに、このような3次元網目状の骨格がある、すなわち骨格形状による凹凸があると、該外表面14aが形状的に大きな摩擦性が発現することになる。このときの凹凸は、後述するセル数と、骨格の太さとに影響されるが、該骨格の太さには殊に影響されない。
【0014】
前記3次元網目の骨格構造の緻密さを表すセル数については、20〜200個/25mm(1inch)の範囲に設定されることが好ましい。前記セル数が20個/25mm未満の場合には、その外周面14aに形成される後述する耐摩耗被覆層18が弾性ローラ14の深くまで入り込んでしまい、その結果良好な該耐摩耗被覆層18が得られなくなってしまい、一方、200個/25mmを越えるものの製造は製造コストの増大を招いてしまう。
【0015】
前記耐摩耗被覆層18は、図3に示す如く、前記外表面14aの3次元網目状の骨格構造を埋没させることなく、かつ該骨格構造の全体を被覆することで耐摩耗性を発現する、所謂コーティング層としての役割を果たすものである。また前記骨格構造を埋没させないだけでなく、前述したようにその付与量についてもできる限り少ない量として、形成される耐摩耗被覆層18の厚さを薄くする必要がある。具体的には0.5〜1.5mm程度迄の層厚が好適であり、これより薄いと所要の耐摩耗性を長期間に亘って維持することが困難となり、またこれより層厚が大きいと該体摩耗被覆層18が形成された外表面14a部分の柔軟性が低下し、充分なニップ厚を確保し得ない、すなわち紙等の印刷媒体への接触面積が減少してしまうと共に、必要とされる被覆物質も多くなり製造コストが嵩むので好ましくない。
【0016】
前記耐摩耗被覆層18を形成する被覆物質としては、JIS K 6251(加硫ゴムの引張試験方法)に準じて測定される引張強度が4MPa以上であり、製造時の温度、例えば室温で硬化する溶媒希釈型のウレタン樹脂が好適であるが、この他、アクリル樹脂やラテックスラバー、クロロプレンゴム、ニトリルゴムおよびブチルゴム等のゴム組成物も使用可能である。そして、その引張強度が4MPa以上の場合には、本ローラ10としての使用で充分な耐摩耗性を発現することを知見し、この数値を下回ると充分な耐摩耗性が期待できなくなるものである。
【0017】
前記JIS K 6251(加硫ゴムの引張試験方法)について詳しくは割愛するが、基本的に本発明で云う引張強度の値については、所要の被覆物質より3号形または5号形のダンベル状試験片を作製し、これをJIS B 7721に規定される試験装置を使用して、引張速度500±50mm/minの条件で測定される数値から算出するものである。
【0018】
【製造方法】
次に本実施例に係るリタードローラの製造方法を以下に説明する。なお前記芯材12と弾性ローラ14とは、予め別工程で接着剤または熱溶着等の従来公知の手段によって固着されてローラ基材16とされ、後述する製造装置30の所定位置に設置されているものとする。
【0019】
前記ローラ10は、図4に示すような製造装置30によって製造される。前記製造装置30は、前記ローラ基材16の中心軸である芯材12の両端部を固定し、図示しない所定の駆動源により制御下に回転させ得る装置の回転軸32と、この回転可能に配置されているローラ基材16の一端部近傍に、該ローラ基材16の外周面14aに所定間隙離間して配置される付与手段34とから基本的に構成される。前記付与手段34は、被覆物質を付与する付与ノズル36と、このノズル36により付与された被覆物質を外表面14aから掻き取り手段38としてのドクターブレードとからなる。なお前記付与ノズル36および掻き取り手段38については、同一の付与手段34として構成せず、夫々別々の部材として扱ってもよい。
【0020】
前記製造装置30に回転可能に軸支されたローラ基材16は、図5に示す如く、長手方向を軸として指定された速度で制御下に回転される。そしてこの回転中のローラ基材16の外周面14aに、前記付与ノズル36から所定量の被覆物質が供給される(図5(a)参照)。また前記被覆物質が供給された前記外表面14a上に配置され、該外表面14aから付与するべき量の厚さ分だけ離間された掻き取り手段38により、供給された該被覆物質のうち余分な部分が掻き取られ(図5(b)参照)、所定の厚さ、すなわちローラ基材16に対する付与量だけが残される。
【0021】
そして前記外表面14a上に残された被覆物質は、前記3次元網目状の骨格全部の内表面を覆うようにして、徐々に該骨格内に浸透していく(図5(c)参照)。そしてこのような一連の動きを維持したまま、前記付与手段34は、所定速度で他方の一端部に向けて移動することで(図5(d)参照)、前記外表面14aの全外周面に被覆物質を付与するものである。
【0022】
ここで前記ローラ基材16の回転数は150〜300回/分に設定され、前記付与手段34の該ローラ基材16の外表面14aに沿った移動速度は200〜500mm/分に設定される。前記回転数が150回/分未満であると、前記被覆物質が前記弾性ローラ14の内部まで浸透したり、均一な付与が困難となり、一方300回/分を越えると、該被覆物質の粘度(後述)によっては付与後に飛散してしまうことが考えられる。また前記付与ノズル36および掻き取り手段38の移動速度が200mm/分未満であると、被覆物質の付与に時間がかかり、一方500mm/分を越えると、ローラ基材16の全周表面に該被覆物質が充分に供給されず、均一なローラ10が得られなくなる問題が生じるからである。
【0023】
前記ローラ基材16の回転数と付与手段34の移動速度は、使用される被覆物質の塗布時の粘度、発泡速度、硬化速度およびローラ基材16表面と付与手段34との間隙等を考慮し、該ローラ基材16の回転による遠心力で飛散せず、かつ前記被覆物質の浸透の度合い、すなわち形成される耐摩耗被覆層18の厚さが均一となるように決定される。
【0024】
使用される被覆物質の粘度は、本実施例のようなドクターブレードのような掻き取り手段38を用いる場合には、1.5〜100Pa・sの範囲に設定される。またロールコータのように付与した被覆物質を所定厚として付与する手段の場合には、0.05〜2Pa・sの範囲が、スプレー塗布による付与の場合には、0.001〜0.1Pa・sの範囲に該被覆物質の粘度が設定される。夫々の方法において、所定の粘度を下回ったりまたは上回った場合には、前記弾性ローラ14に対する浸透の度合いが大きくなったり、またはローラ基材16の回転により飛散してしまい、その結果、均一かつ充分な付与が不可能となってしまう。
【0025】
このような付与をなし得る被覆物質としては、前述の溶剤希釈型のウレタン樹脂が好適であるが、この他、アクリル樹脂やラテックスラバー、クロロプレンゴム、ニトリルゴムおよびブチルゴム等のゴム組成物が好適であるが、これらは、前述の付与方法により要求される粘度により、夫々溶液希釈タイプ、湿気硬化型タイプ、エマルジョンタイプおよび変性タイプ等の1液性の液状物または2液性の液状物といった性状物が適宜選択して使用される。
【0026】
前記1液性の液状物は、大気中に晒したり、触媒を混ぜたり、若干加熱したりすることにより硬化するものであり、該触媒としては通常白金化合物やアミン類等が用いられる。また2液性の液状物の場合は、主剤と硬化剤とを使用直前に混合して用いるものであり、この場合も触媒としては1液性と同様のものが使用される。一般には、1液性のものは取り扱い性が高く、一方2液性のものは得られる耐摩耗被覆層18の耐摩耗性を高く設定し得る長所がある。
【0027】
本発明に係るローラは、大きなニップ厚、摩擦性および耐摩耗性並びにブリードが皆無という特徴から、殊に高速印刷用途のカラーレーザープリンタのリタードローラ等に好適に使用されるが、この他、摩擦性および耐摩耗性によりピックアップローラおよび給紙ローラ等にも好適に使用し得る。またローラの材質を耐熱性物質とすることで、高温となる定着ローラ周りの紙搬送用のローラ似も好適に使用し得る。
【0028】
【実験例】
以下に、本発明に係るローラをリタードローラに使用した際の物性等の実験例を示す。本実験に使用されたローラは前記製造装置30を使用して所定の手順(ローラの回転数200回/分、付与手段の移動速度400mm/分)で製造されたものである。
【0029】
弾性ローラとして、3次元網目状の骨格構造を有し、厚さ30mmの円筒状の軟質ウレタン発泡体を採用し、該弾性ローラの中心軸にアルミニウムを材質としたφ16の円筒状部材の芯材を挿入して、熱溶着によって固着させてローラ基材を得た。
【0030】
(実施例) 本発明に係るタイプ
前記ローラ基材に対して、1液性ウレタン原料(溶媒希釈型)をその粘度を30Pa・sに調整して、前記ローラ基材の3次元網目状の骨格構造が埋没しないように、かつその厚さが1.5mmとなるように付与した。
(比較例1) 本発明の耐摩耗被覆層を弾性ローラの骨格構造を埋没させるよう形成したタイプ
前記ローラ基材に対して、目止め剤により目止め層を形成した後、1液性ウレタン原料(溶媒希釈型)をその粘度を30Pa・sに調整して、前記ローラ基材の3次元網目状の骨格構造の表面に平坦となるように付与した。
(比較例2) 従来使用のタイプ
そしてこのローラ基材に対して、目止め剤により目止め層を形成した後、シリコーンゴムフォーム用液状原料(湿気硬化型)をその粘度を40Pa・sに調整して、前記ローラ基材の3次元網目状の骨格構造の表面に平坦となるように付与した。
【0031】
なおここで採用された各原料は以下の通りである。
・1液性ウレタン原料(溶媒希釈型):商品名ニポラン3100;日本ポリウレタン製
・シリコーンゴムフォーム用液状原料(湿気硬化タイプ):商品名TSE397;東芝シリコーン製
・目止め剤:商品名ニポラン3100;日本ポリウレタン製
【0032】
前述の方法で製造された実施例並びに比較例1および2に係るローラを、実際に使用されるコピー機に組み込み、リタードローラとしての役割を果たせなくなるまで、すなわち供給される紙を良好に分離できなくなるまでの稼働枚数と、初期の摩擦性を1として該稼働枚数経過時の摩擦性を夫々比較すると共に、使用限界に達したローラの状態を触感等により確認した。
【0033】
得られた結果を図6を参照にしながら、以下に説明する。
(比較例2の結果)
比較例2に係るこれまで使用されてきた従来のローラについては、112K(112,000)枚の分離で、給紙のシグリング(重層)が多発し始め使用に耐えなくなってきた。初期を1とした場合の摩擦性の低減は、使用後から大きく低減し、耐久枚数50K枚時で57%、100K枚時で53%であった。なおこの際、ローラ表面のシリコーン層は大きく摩耗しており、その表面に形成されていた研磨目が無くなり、また給紙時に発生する微細な給紙屑によりツルツルな状態となっていた。
【0034】
(比較例1の結果)
これに対し、比較例1に係るローラについては、350K(350,000)枚まで、すなわち従来のローラの約3倍の耐久性が確認された。初期を1とした場合の摩擦性の低減は、比較例1ほどの大きな低減は無かったものの、やはり初期の耐久枚数100K枚時までに60%前半にまで低下し、後は徐々に低下していった。なお使用中のローラ表面において、目視し得る摩耗は確認されなかったが、耐久枚数の増大に比例して給紙時に発生する微細な給紙屑が蓄積してツルツルな状態となっていった。
【0035】
(実施例の結果)
本発明に係るローラについては、600K(600,000)枚までの試験を実施したが、給紙におけるシグリングは発生せず、従来のローラに較べて、少なくとも5倍以上の耐久性、すなわち優れた耐摩耗性および摩擦性が確認された。初期を1とした場合の摩擦性の低減は、80%前後を中心に少なくとも70%以上の摩耗性を維持し続けるものであった。なお使用中のローラ表面については、目視し得る摩耗は確認されず、またその表面に露出する3次元網目状の骨格の形状的な作用により、給紙時に発生する微細な給紙屑による表面の平滑化は殆ど確認されなかった。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るリタードローラおよびその製造方法によれば、大きなニップ厚がとれると共に、3次元網目の骨格構造を有する軟質ウレタン発泡体の如き弾性ローラに対して、引張強度が4MPa以上であり耐摩耗性が高い被覆物質を所定の粘度に設定し、該3次元網目の骨格構造を埋没させることなく付与して耐摩耗被覆層を形成するようにしたので、該弾性ローラが形状的に発現させる摩擦性と、耐摩耗被覆層の物性的な耐摩耗性とを併有するリタードローラを提供することができる。すなわちリタードローラに必要とされる摩擦性および耐摩耗性の双方を、夫々別の作用により得ることで、長期の使用に亘って安定的に使用し得る効果を奏する。
【0037】
またこれまでの最外層にシリコーンゴム層形成したローラに比較して、シリコーンフリーとなったためにブリードにより発生するトナーの変色等を皆無とし得る。更に製造工程において、弾性ローラ骨格中に被覆物質を浸透させつつ硬化させるため、外表面の研磨加工による寸法合わせが必要なく、該弾性ローラの外径がそのまま得られるローラの外径となるため、製造コストを低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るローラを示す概略斜視図である。
【図2】実施例に係るローラの内部骨格構造を一部切り欠いて示す構造図である。
【図3】実施例に係るローラの外表面の骨格構造の概略を示す断面図である。
【図4】実施例に係るローラの製造装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】実施例に係るローラの製造工程を示す工程図である。
【図6】実験例に係る実施例並びに比較例1および比較例2の紙送り枚数−摩擦性の低下を示すグラフ図である。
【図7】従来の技術に係るローラを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
12 芯材
14 弾性ローラ
14a 外周面
18 耐摩耗被覆層
Claims (2)
- 芯材(12)と、
前記芯材(12)の外周に設けられ、骨格形状が3次元網目状をなす軟質ポリウレタン樹脂発泡体からなる弾性ローラ(14)とを備え、
セル数が20〜200個/25mmに設定された前記弾性ローラ(14)の外周面(14a)における前記3次元網目状の骨格表面に、JIS K 6251に準じて測定される引張強度が4MPa以上でかつ、室温で硬化する溶媒希釈型のウレタン系樹脂の被覆物質を均一に硬化させて厚さ1.5mm以下の耐摩耗被覆層(18)を形成した
ことを特徴とするリタードローラ。 - 芯材(12)の外周に骨格形状が3次元網目状をなす軟質ポリウレタン樹脂発泡体からなる弾性ローラ(14)が設けられたローラ基材(16)を、150〜300回/分に設定した回転数で回転させつつ、該弾性ローラ(14)の外周面(14a)に対して、JIS K 6251に準じて測定される引張強度が4MPa以上で、かつ粘度を0 . 05〜2Pa・sに設定した室温で硬化する溶媒希釈型のウレタン系樹脂の被覆物質を、ロールコーターにより塗布して該被覆物質を樹脂発泡体に浸透させることで、3次元網目状の骨格表面に被覆物質を均一にコーティングする
ことを特徴とするリタードローラの製造方法。
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