JP3952428B2 - 現像ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ、トナージェットプリンタ等の非磁性1成分トナーを使用する画像形成装置に用いられる、現像ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置の非磁性1成分トナーを使用する画像形成装置の現像装置では、芯金の上に導電層を設けた現像ローラの外周面の両端部からのトナー漏れを防止する為に、現像ローラの外周面の両端部の端面にスポンジ等の弾性体からなるシール部材を圧接させて、現像ローラの外周面の端部からのトナー漏れを防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなトナーシール機構では、トナーシールを確実なものにしようとすると、現像ローラの外周面の両端面とトナーシール部材の摩擦力を大きく設定せざるを得ず、駆動時に現像ローラの端面にかかる負荷が大きくなってしまうことになる。この結果、長時間に渡り使用すると、現像ローラの外周面の端部が欠けたり、現像ローラの外周面の端部が摩耗して、トナーが漏れ出てトナーシールが達成できない等の不具合があり、改善が要望されている。
【0004】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、この発明の目的は、現像ローラとトナーシール部材の摩擦力を低減し、現像ローラの端部への負荷を低減し、端部欠けや端部摩耗によるトナー漏れがない現像ローラを提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し目的を達成するために、この発明に係わる現像ローラは、請求項1の記載によれば、芯金の外周面上に、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴムのいずれか1種類の又は複数のゴムに導電性を付与した材料より形成され且つ体積抵抗が10 2 〜10 10 Ω・cmでJIS A硬度が20゜〜60゜の導電層を設け、その最外層の少なくとも両端部に、平均粒子径が0.1〜20μmである微粉状のポリメチルシルセスキオキサンを含有した自己接着タイプのシリコーンゴムからなり且つ重り重量14.8gで紙に当接させて送り速度50mm/minで紙を移動させることにより測定される紙との動摩擦係数が0.8以下である被覆層を設けたことを特徴としている。
【0006】
また、この発明に係わる現像ローラは、請求項2の記載によれば、金属製の芯金と、この芯金の外周面に被覆された、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴムのいずれか1種類の又は複数のゴムに、導電性を付与した材料より形成され且つ体積抵抗が10 2 〜10 10 Ω・cmでJIS A硬度が20゜〜60゜の導電層と、該導電層の外周面の少なくとも両端部に被覆され、平均粒子径が0.1〜20μmである微粉状のポリメチルシルセスキオキサンを含有した自己接着タイプのシリコーンゴムからなり且つ重り重量14.8gで紙に当接させて送り速度50mm/minで紙を移動させることにより測定される紙との動摩擦係数が0.8以下である被覆層とを具備することを特徴としている。
【0007】
また、この発明に係わる現像ローラは、請求項3の記載によれば、前記被覆層は、前記芯金の端面部分を外周部分から連続的に被覆していることを特徴としている。
【0010】
また、この発明に係わる現像ローラは、請求項4の記載によれば、前記シリコーンゴムが室温硬化型シリコーンゴムであることを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係わる現像ローラは、請求項5の記載によれば、前記シリコーンゴムが加熱硬化型シリコーンゴムであることを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わる現像ローラは、請求項6の記載によれば、前記導電層を構成するゴムが、シリコーンゴムであることを特徴としている。
【0014】
【発明の概要】
本発明は現像ローラ端部とトナーシール部材の摩擦力を低減し、現像ローラの端部欠けや端部の摩耗を原因とするトナー漏れの問題を解決する為に、研究を重ね、ポリメチルシルセスキオキサンを含有させたシリコーンゴム被膜が、非粘着性、耐摩耗性、滑り性に優れていることを見出した。そして、現像ローラの両端部にポリメチルシルセスキオキサンを含有する低摩擦の被覆層を設けることで、上記の課題を解決できる技術を発明した。
【0015】
本発明の現像ローラは非磁性1成分トナーを使用し、現像ローラの端部にウレタンスポンジ等のトナーシール部材を圧接させて、現像ロールの端部からのトナー漏れを防止している現像装置に用いられる。
【0016】
以下に、この発明に係わる現像ローラの構成を、図1乃至図3を参照して詳細に説明する。
【0017】
この発明に係わる現像ローラ10は、金属性の芯金12と、この芯金12の外周面上に被覆された導電層14とを備えている。この芯金12は、その両端部に夫々外方に同軸に突出する状態で、ボス部12Aを一体的に備え、各ボス部12Aからは、更に外方に同軸に突出する状態で、支軸12Bが固着されている。
【0018】
そして、導電層14としては、体積抵抗が10[2]〜10[10]Ω・cm(ここで[]内の数字は、べき乗の数を示すものとし、以下同様とする)でJIS A硬度が20゜〜60゜のシリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴム等を用いることができる。尚、導電層14の外周面上には必要に応じて、ウレタン樹脂等のコート層を必要に応じて全面に渡りコーティングしても良い。
【0019】
上述した構成の現像ローラ10の最外層、即ち、コート層が設けられていない場合においては、上述した導電層14の外周面の両端部には、低摩擦層として機能する被覆層16が被覆されている。
【0020】
次に、この発明の特徴をなす被覆層16について説明する。被覆層16は図示するように、現像ローラ10のボス部12Aを除く端面を被覆すると共に、現像ローラ10の両端部における各端縁から夫々略5mm程度内方に入り込んだ範囲を被覆するように設けられている。
【0021】
尚、この現像ローラ10を図示しない現像装置に組み込んだ際に、現像ローラ10とトナーシール部材としてのウレタンスポンジ等とが接する部分に被覆されていればよいものであり、例えば、トナーシール部材が現像ローラ10の外周面の両端部のみに接触する構造においては、図4に示すように、被覆層16′は、現像ローラ10′の外周面の両端部のみに被覆されている。
【0022】
被覆層16は、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末を含有したシリコーンゴム又はシリコーンレジンを硬化させたものが使用できるが、各種のシリコーンゴムやシリコーンレジンの中でも自己接着タイプの室温硬化型シリコーンゴムが、金属芯金12や導電層14との接着に優れ、プライマー処理等が不要で加工が簡単なことから、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末を含有させる被覆層として適している。しかしながら、室温硬化型シリコーンゴムに限定されることなく、加熱硬化型シリコーンゴムも適用可能であることは、言うまでもない。
【0023】
被覆層16に使用するポリメチルシルセスキオキサン微粉末は、東芝シリコーン(株)製のトスパール(商品名)や東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のトレフィル(商品名)等を用いることができる。微粉末の粒径としては0.1〜20μmのものが使用できるが、被覆層16の厚さとして10μm以下が良いので、微粉末の粒径としては平均粒径が10μm以下のものが好ましく、あまり大きな物は使用できない。
【0024】
また、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末の含有量は、シリコーンゴムを100部としたときに1〜200重量部の範囲で任意に含有させることができるが、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末は、使用する微粉末の粒径や形状によって含有量に対する効果に違いがあるため、単純に何重量部以上含有させれば効果がでるとは断定できない。その為、含有量の決定は、できあがった被覆層の動摩擦係数を測定し、その結果から各ポリメチルシルセスキオキサン微粉末の含有量を決定する必要がある。
【0025】
ここで、上述した動摩擦係数は、(株)東洋精機製作所の摩擦測定機TR型で、ローラの回転なし、送り速度50mm/min、重り重量14.8gの測定条件で、紙と被覆層16との間の動摩擦係数を測定する。被覆層16は、紙との動摩擦係数が0.8以下のものが良く、該動摩擦係数が0.5以下になるようにポリメチルシルセスキオキサン微粉末の含有させた被覆層がより好ましい。
【0026】
被覆層16の加工方法(被覆方法)としては、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末を含有した自己接着タイプの室温硬化型シリコーンゴムを溶剤で希釈し、刷毛塗り、スプレー塗装等の方法で現像ローラの端部に塗り硬化させて被覆層を形成する。
【0027】
【発明を実施する形態】
以下に、この発明に係わる現像ローラ10を実際に作成した実施例と比較例とを用いて、この発明を実施する形態を更に具体的に説明するが、これら実施例はこの発明を実施する形態の一部であり、この発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0028】
実施例1
外径が16mmの鉄製のシャフト芯金12の外周面に、体積抵抗が10[6]Ω・cmでJIS A硬度が60゜の導電性シリコーンゴムを導電層14として被覆して、外径が18mmのゴムローラを作製した。そして、自己接着タイプの室温硬化型シリコーンゴムにポリメチルシルセスキオキサン微粉末を5重量部含有させ、トルエン200重量部で希釈した後、ゴムローラの各端面と、最外層の両端部の4mmの範囲に刷毛塗り後、室温で放置し塗膜を硬化させ、紙との動摩擦係数が0.77で膜厚約2μmの被覆層16を有する現像ローラ10を作製した。
【0029】
実施例2
実施例1のポリメチルシルセスキオキサン微粉末の含有量を10重量部に変えて、紙との動摩擦係数が0.48で膜厚約2μmの被覆層16を有する現像ローラ10を作製した。
【0030】
比較例1
実施例1の自己接着タイプの室温硬化型シリコーンゴムにポリメチルシルセスキオキサン微粉末を入れずに、実施例1と同様に現像ローラを作製した。この場合、被覆層の紙に対する動摩擦係数は1.1で膜厚が約2μmであった。
【0031】
比較例2
実施例1と同様に体積抵抗が10[6]Ω・cmでJIS A硬度が60゜の導電性シリコーンゴムを被覆し、端部の被覆層のない現像ローラを実施例1と同様に作製した。シリコーンゴム層の紙に対する動摩擦係数は1.1であった。
【0032】
現像ローラ10の最外層の両端部に被覆した被覆層16の効果を確認するために、実施例1、実施例2、比較例1,比較例2で夫々作製した現像ローラをローラ端部のトナーシール部材としてウレタンスポンジを使用した耐久試験を実施した。この耐久試験においては、現像ローラを順次、Tektronixのプリンタ、Phaser 560Jに組み込み、2000枚の通紙試験を行い、現像ローラの端部欠け、端部の耐摩耗性、トナー漏れに対する被覆層の効果を確認するための試験を行った。
【0033】
各項目の評価方法としては、現像ローラの端部欠けは、多少でも端部に欠けが有ったら×、欠けがなければ○とした。端部の耐摩耗性は、摩耗が発生していたら×、摩耗が発生していなかったら○とし、どちらとも判断できないものは△とした。トナー漏れは、トナーシール部で多少でもトナーが漏れていたら×、漏れていなかったら○とした。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
その結果、この表1から明らかなように、実施例1と実施例2の現像ローラでは、端部欠けとトナー漏れは見られなかったが、比較例1、比較例2は、共に、端部の欠けとトナー漏れが発生した。このことより現像ローラの端部欠けとトナー漏れに対して、トナーシール部材と接する部分に低摩擦の被覆層を形成するのが有効である事がわかった。また、この試験結果より、端部被覆層の動摩擦係数が0.8以下の被覆層が、端部欠け等の問題に有効である事がわかった。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、現像ローラのトナーシール部材と接する面に、シリコーンゴムにポリメチルシルセスキオキサン微粉末を含有させた、紙との動摩擦係数が0.8以下の低摩擦の被覆層を形成することで、トナーシール部材との摩擦抵抗が減少するので、トナーシール部での摩耗が少なく、端部欠けやトナー漏れのない、優れた現像ローラが提供された事になる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる現像ローラの構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す現像ローラを、A−A線に沿って切断した状態で示す断面図である
【図3】図1に示す現像ローラを、B−B線に沿って切断した状態で示す断面図である。
【図4】この発明に係わる現像ローラを、被覆層が最外層の両端部のみに被覆された状態で示す正面図である。
【符号の説明】
10(10′) 現像ローラ
10A ボス部
10B 支軸
12 芯金
14 導電層
16(16′) 被覆層
Claims (6)
- 芯金の外周面上に、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴムのいずれか1種類の又は複数のゴムに、導電性を付与した材料より形成され且つ体積抵抗が10 2 〜10 10 Ω・cmでJIS A硬度が20゜〜60゜の導電層を設け、その最外層の少なくとも両端部に、平均粒子径が0.1〜20μmである微粉状のポリメチルシルセスキオキサンを含有した自己接着タイプのシリコーンゴムからなり且つ重り重量14.8gで紙に当接させて送り速度50mm/minで紙を移動させることにより測定される紙との動摩擦係数が0.8以下である被覆層を設けたことを特徴とする現像ローラ。
- 金属製の芯金と、
この芯金の外周面に被覆された、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴムのいずれか1種類の又は複数のゴムに、導電性を付与した材料より形成され且つ体積抵抗が10 2 〜10 10 Ω・cmでJIS A硬度が20゜〜60゜の導電層と、
該導電層の外周面の少なくとも両端部に被覆され、平均粒子径が0.1〜20μmである微粉状のポリメチルシルセスキオキサンを含有した自己接着タイプのシリコーンゴムからなり且つ重り重量14.8gで紙に当接させて送り速度50mm/minで紙を移動させることにより測定される紙との動摩擦係数が0.8以下である被覆層とを具備することを特徴とする現像ローラ。 - 前記被覆層は、前記芯金の端面部分を外周部分から連続的に被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
- 前記シリコーンゴムが室温硬化型シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の現像ローラ。
- 前記シリコーンゴムが加熱硬化型シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の現像ローラ。
- 前記導電層を構成するゴムが、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の現像ローラ。
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