JP4192770B2 - 塗布具の密栓構造 - Google Patents
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Description
しかし、インキが自由に流動できる状態でインキを貯留する方式を採用し、且つ、インキの補充が可能な塗布具は、塗布具本体内が加圧されると圧力によって押し出されたインキが漏れ落ちてしまうという問題があった。
そこで、インキの漏れ落ちを無くすか、或いは、軽減することを本発明の課題とする。
また、前記のような弁を用いず、スポンジ等の吸蔵体を用い、その吸蔵体にインキタンクより漏れ出たインキを溜め込む方法もあるが、インキの補充を行う際、すでに前記吸蔵体にインキが満たされていると、蓋を装着した際、インキタンク内の圧力が上昇し、此も又インキが漏れ出してしまう危険性があった。
上記理由により水性インキを流動可能な状態のまま内蔵する塗布具はインキタンク以外に、そのインキタンクの容量の10.0%以上の容量を一時的に貯留することができる第2の貯留部(インキ吸蔵体)が必要となる。さらに、落下衝撃によるインキ移動などの外的要因や使用するインキがアルコールやキシレン等の溶剤系である場合などを考えれば、前記インキ吸蔵体の容量はさらに多くすることが望まれる。
もし、インキタンク内の加圧率を5%以上引き起こしてしまった場合、内圧の変化により塗布体側に押し出されたインキが塗布体や塗布体周辺、あるいは外気吸入用の開口部からインキが漏れ落ちてしまう危険性がある。また、インキタンクの開口を密栓する突出部を塗布具の外径に対して60%以上の大径なものとした場合、インキタンクを密栓する際にインキタンク内に挿入される突出部の体積が大きなものとなってしまうために、インキタンクの内圧変化が大きくなってしまい、やはりインキが漏れ落ちてしまう危険性がある。
尚、上昇したインキタンク内の圧力を弁によって堰き止め、外部に解放しない方法を採用している塗布具であっても、前述したように、弁を開放した際インキが漏れ出してしまう危険性がある。
軸1のネジ11に嵌着自在に螺合され、仕切部13に設けられたインキ補充口14をふさぐ蓋2は外周に軸1のネジ11と螺合するためのネジ21を設け、前記のネジが螺合したときには中央部より突出した小径突出部22がインキ補充口14の内側に設けられたリブ15と全周隙間なく接触し、インキタンク12を密閉する。このとき、小径突出部22とインキ補充口14の内側に設けられたリブ15が接触してから蓋の締め込みが終了するまでの間にリブ15を乗り越えて小径突出部22がインキタンク12内に挿入された体積の分だけインキタンク12の内部は加圧されてしまうのだが、上記構成を持つ本発明にかかる塗布具は小径突出部22の外径を可能な限り細く設定することによってその侵入体積を小さくすることができ、インキタンク12内の加圧量を少なくすることができる。この効果によってインキタンク12内の加圧によって引き起こされるインキの漏れ出しが防止される。
さらに、軸1と蓋2を螺合する際、ネジの締め込み軸1側に設けられた蓋2の小径突出部22より大径のリブ16と蓋2の突き当て24とが当接し、さらにもう一つの密閉部を形成する。インキ補充時に誤ってインキ補充口14の周辺にインキを付着させてしまった場合でも、そのインキが外部に滲みだしてしまうことを防ぐための防壁である。
また、インキの補充は軸1から蓋2を離脱させ、インキ補充口14にスポイトや注射器あるいは漏斗のようなインキ補充器3のノズル31を挿入してインキタンク12にインキの注入を行う。
軸1と蓋2を着脱する際、蓋2の後部天面に設けた溝23にコイン等を挿入して蓋2を回転・着脱させる。さらに、軸1と蓋2が螺合された状態の時、蓋2は完全に軸1に埋没した状態となっている為、軸1と蓋2を素手で分離させることはできなくなっている。よって、鞄の中などで不意に蓋2が外れる心配がなくなると共に、子供のいたずらなどで蓋2を外されるといった心配も軽減される。
このような実施形態をとることによって、蓋2を子供のいたずらなどによって離脱されてしまうといったことをより確実に防止できる。
このような実施形態をとることによって、蓋2を子供のいたずらなどによって離脱されてしまうといったことをより確実に防止できる。また、蓋2を装着したときに蓋2の天面より後方に余った軸1の内表面17とキャップを嵌合させることも可能となる。
図8に本発明の第4例を示す。本実施例は蓋2を軸1に完全には埋没させず、塗布具のキャップ5を後部嵌合させられる分だけ突出させたものである。この際、キャップを嵌合させることができかつ、素手で蓋2を回すことが困難な程度の突出量に抑えることが望ましい。この程度の突出量に抑えることによって、蓋2が簡単に外れない特徴を維持しつつ、キャップ5を後部嵌合させる機能を付加できる。
図9に本発明の第5例を示す。本実施例は蓋2と軸1をヒンジ18で接続したものである。このような形態をとることでインキ補充のために蓋2を軸1から離脱した際に蓋2を紛失する恐れがなくなる。
図11と図12に本発明の第7例を示す。本実施例は先の第6例にも示したように突き当てリブによる密閉部を2カ所設けたものであるが、2カ所のうちの1カ所(図10では内側)を反発するスライド式にしたものである。ゴムやバネなどの弾撥体29によって付勢されたスライド式突出部28は、軸1と蓋2の螺合に伴ってインキ補充口14付近の突き当てリブ19と接触してインキ補充口14を密栓する。なおも螺合を続けていくことでスライド式突出部28は後方へスライドしていき、突き当てリブ19よりも大径のリブ16に蓋2の突き当て24が突き当たって螺合が完了する。スライド式突出部28はこの間も弾撥体29の弾撥力によってインキ補充口14の密栓を保ち続ける。
このような構成を持つことによって、精度の高い設計を必要とせずに二カ所の密閉部を持つ信頼性の高い密栓構造を得ることができる。
図14に本発明の第9例を示す。本実施例は小径突出部22よりも外側、ネジ部21よりも内側に通気穴202を設けることで、人が蓋2を誤って飲み込んでのどに詰まってしまった場合でも、通気穴202を空気が通るので窒息をさけることができる。
図15に本発明の第10例を示す。本実施例はインキ補充口14を密栓するためのリブ17に変わってゴムパッキン102を用いたものである。実施例5に示した形に比べてインキタンクの内圧変化は大きくなってしまうが、密閉性に対する信頼性が飛躍的に向上する。
図16に本発明の第11例を示す。本実施例は蓋2に突出部ではなく凹部203を設け、凹部203の中に設けたリブ204とインキ補充口14の周囲を突出させた突出部103を突き当ててインキ補充口14の密栓を行うものである。
このような構成を持つことによって蓋2を離脱した際、インキの付着した部分が凹部203の中のみとなるので、補充作業の際に手や机を汚す恐れがない。
図17に本発明の第12例を示す。本実施例は軸1の一部または全部を多角形や楕円形状としたものである。蓋2を取り外す際に軸1の異形部104が引っかかりになるため、蓋2を強く閉めすぎた場合でも、手の中で軸1が空回りして外しづらいといったことがない。
図18に本発明の第13例を示す。本実施例は仕切部材13を後方に向かって弾性変形する弾性変形部105としたものである。蓋2に設けられた突出部27が締め付けに伴う前進によってインキ補充口14の周囲に設けられたリブ19に当接した後、さらに蓋2が前進する力によって弾性変形部105は反発力によって突き当てリブ19と突出部27を押しつけた状態のまま前方に向かって変形していく。この反発力によってインキ補充口14の密栓はより確実なものとなる。
また、蓋2の突き当て24と軸1が当接して螺合完了となる部分にリブ16を設けることで、さらなる密閉を部品数を最小にとどめたままで得ることもできる。
また、インキ補充口14か小径突出部22のどちらかをテーパー形状にしないまたはテーパーの角度を合わせない場合は、テーパー合わせの場合に比べて密閉に対する信頼性は劣ること、さらにテーパー合わせの場合に比べてインキタンク12に対する加圧量が若干大きくなってしまうが、インキ補充口14と小径突出部22の間に発生する摩擦抵抗を軽減できるため、テーパー合わせを実施しなくとも密閉性は十分であると判断される場合は、こちらの構造を採用してもよい。
図14に示す第9例を用いても同様の効果が得られるが、本実施例を用いることによって蓋2外周端面に設けられた突き当て24と軸1に設けられた大径のリブ16とによる密閉を機能させることができる。
図21に本発明の第16例を示す。本実施例は軸1と蓋2に設けられて互いを螺合させるネジ部をそれぞれテーパーネジ106・206としたものである。このような構成をとることによって、蓋2を軸1に対してある程度まで挿入してからねじ込みを行うこととなるので、ねじ込み・離脱にかかる使用者の労力を軽減できるものである。
図22に本発明の第17例を示す。本実施例はコイン溝23の内側側面に突起207を設けたものである。この突起207の効果によって溝23にコインを挿入した際コインと突起207が嵌合し、蓋2を軸1から離脱した際にも蓋2はコインに嵌合状態のままついてくるので、蓋2を取り落とす心配がない。
インキタンク12の容積を12.0ccとし、又、小径突出部22とインキ補充口14の内側に設けられたリブ15が接触してから蓋の締め込みが終了するまでの間にリブ15を乗り越えて小径突出部22がインキタンク12内に挿入される容積を0.00ccとした。即ち、加圧率を0.00%とした。
比較例2
インキタンク12の容積を12.0ccとし、又、小径突出部22とインキ補充口14の内側に設けられたリブ15が接触してから蓋の締め込みが終了するまでの間にリブ15を乗り越えて小径突出部22がインキタンク12内に挿入される容積を0.72ccとした。即ち、加圧率を6.00%とした。
比較例3
インキタンク12の容積を12.0ccとし、又、小径突出部22とインキ補充口14の内側に設けられたリブ15が接触してから蓋の締め込みが終了するまでの間にリブ15を乗り越えて小径突出部22がインキタンク12内に挿入される容積を0.90ccとした。即ち、加圧率を7.50%とした。
比較例4
インキタンク12の容積を12.0ccとし、又、小径突出部22とインキ補充口14の内側に設けられたリブ15が接触してから蓋の締め込みが終了するまでの間にリブ15を乗り越えて小径突出部22がインキタンク12内に挿入される容積を1.20ccとした。即ち、加圧率を10.00%とした。
11 ネジ
12 インキタンク
13 仕切部
14 インキ補充口
15 リブ
16 リブ
17 内表面
18 ヒンジ
19 突き当てリブ
101 溝
102 ゴムパッキン
103 突出部
104 異形部
105 弾性変形部
106 テーパーネジ
2 蓋
21 ネジ
22 小径突出部
23 溝
24 突き当て
25 係合部
26 嵌合部
27 突出部
28 スライド式突出部
29 弾撥体
201 リブ
202 通気穴
203 凹部
204 リブ
205 通気路
206 テーパーネジ
207 突起
3 インキ補充器
31 ノズル
4 専用ツール
41 係合部
5 キャップ
Claims (2)
- 塗布具のインキタンクを外部に対して開放・密栓する構造であって、蓋を取り外すまたは開くことによってインキの補充が可能となる構造において、蓋のインキタンクにおける加圧率を5%〜0.01%にしたことと、前記補充されたインキはインキタンク内において流動状態であり、また、前記蓋部に塗布具本体と接触する小径凸部または凹部を形成すると共に、その塗布具本体と接触する小径凸部または凹部は、塗布具本体の外径の60%以下であり、さらに、前記インキタンクと蓋とを螺合によって着脱自在にすると共に、前記螺合部に隙間を形成したことを特徴とする塗布具の密栓構造。
- 請求項1に記載の塗布具の密栓構造であって、前記蓋を塗布具本体に埋没させたことを特徴とする塗布具の密栓構造。
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