JP4190933B2 - 糸案内 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はミシンアーム前面に固定され上糸を挿通する糸案内に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、図4は従来の糸案内10を備えたミシンの説明図であって、Tは矢符R方向に配される不図示の糸供給源から針棒8に保持されるミシン針7に連なる上糸である。また、該上糸Tは前記糸供給源からミシンアームA前面に導かれると共に矢符Lに示す方向に上下動する天秤9を経て、アーム前面に形成された糸案内座6に固定ネジ5により固定された糸案内10に挿通される。該糸案内10に挿通された糸Tは矢符N方向に揺動される針棒8に保持されたミシン針7に通される。上記構成のミシンは周知の通り、天秤9などの作用により前記糸供給源からの糸をミシン針7に供給し、該ミシン針7と不図示の送り手段乃至ミシン釜等との協働により縫製物に縫目を形成する。(例えば、特許文献1参照。)
次に糸案内10の形状および取付状態について、図5を基に説明すると、該図5は前記図4の糸案内およびその周辺を矢符E方向に見た図であり、まず、ミシンアームAの前面には前記糸案内10を取り付けるための平面を形成した糸案内座6が設けられている。糸案内10は、板材からなり一方側で固定ネジ5により前記糸案内座6に固定されると共に、中間の屈曲部10rで屈曲し他端10tを前記屈曲部10rより固定位置側に形成された糸通し穴10hに遊挿して略P字状をなしている。以上のような構成において、糸Tは、糸案内10の開口部10mの開口方向に糸端を貫通させるか、前記糸通し穴10hへの板材端部10tの遊挿部に図5中左方から右方に糸Tの中間を押し付けることにより、糸案内10の開口部10m内に通される。ここで、糸案内10は、通常、前記糸通し穴10hへの板材端部10tの遊挿部からの糸Tの抜けが生じないように、糸Tが糸案内10の図5中右方(屈曲部10r)側を通るように設けられる。
【特許文献1】
特開2000−93681号公報 図1乃至段落15の記載
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成の糸案内においては、図5に示すように糸案内10の屈曲部10r側にミシンアームAとの間で間隙部Cが形成され、前記天秤9ないし針棒8によるミシン針7の上下動により縫製中に生じた弛みまたはあばれにより糸Tが屈曲部10rに引っかかってしまうことがあった。その後、天秤9の引き上げ乃至ミシン針7の下降によって糸Tが引っ張られると、屈曲部10rにかかっていた糸Tは、例えば図6は図4の破線円S周辺の部分の拡大した図であって、該図6に示すように前記間隙部Cに入り込んで巻きついてしまい糸Tに無用な張力がり、縫製不良または糸切れなどを生じると言う問題があった。また、ここで図6では糸案内10より下方の糸Tが糸案内10にかかって間隙部Cに入り込んだ様子を示しているが、糸案内10より上方の糸Tが糸案内10にかかって同様の問題を生じることもあった。
【0004】
これらの問題点を鑑み、本発明は、糸案内への上糸の引っ掛かりを防止し、縫製不良や糸切れの発生を低減する糸案内を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
ミシンアーム前面に配置され、上下動する天秤と、
前記ミシンアーム下方で上下動する針棒と、
前記針棒に保持されるミシン針と、
前記ミシンアーム前面に固定され、前記天秤からの上糸を前記ミシン針に案内する糸案内と、を備え、
前記糸案内が、板材を略Pの字状に屈曲して形成され、一端側が前記ミシンアーム前面に固定されると共に、前記ミシンアーム前面との間に隙間が生じる屈曲部と、前記上糸が挿通される開口部と、を有する糸案内において、
前記ミシンアーム前面から突起し、上下方向に沿って、前記屈曲部の頂点に当接するように形成された当接部(310s)と、
前記ミシンアーム前面から突起し、水平方向に沿って、前記開口部の幅より長く、且つ前記糸案内の上部に形成された段部(310a)と、を備え、
前記ミシンアーム前面と前記屈曲部との隙間への糸の侵入を防止するために、前記当接部と前記段部が前記ミシンアーム前面に連続して一体的に形成されると共に、前記当接部と前記段部の突出高さが前記屈曲部の頂点と略一致する構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
まず、図1は本発明の第1の実施例を示す説明図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は正面図、図1(c)は平面図である。ここで、110bは糸案内としての板材であり、固定ネジ105により不図示のミシンアームに固定されるとともに、糸案内端部としての屈曲部110rで屈曲して前記ミシンアームとの間に間隙部Cを形成すると共に略P字状をして糸Tを挿通するよう開口部110mを形成している。また、屈曲部110rには該屈曲部外方から間隙部Cを塞ぐように当接体(当接部)110sが当接している。ここで、当接位置としては屈曲部110rの中でも、頂点または頂点よりミシンアーム前面から離間した側であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、図1(b)における上下方向に通された糸T(不図示)が、図1(b),(c)中の右方に糸案内110上方から弛んだり、糸案内110下方から跳ね上がった場合でも、当接体110sに塞がれているため該糸Tは屈曲部110r周辺に引っかかることもないし、間隙部Cに入り込んでいくこともない。
【0011】
次いで、図2は本発明の第2の実施例を示す説明図であり、図1同様に図2(a)は斜視図、図2(b)は正面図、図2(c)は平面図である。本実施例において第1実施例と異なるところは糸案内210の上方に庇状に段部210aを設けているところで、他は第1の実施例とほぼ同構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0012】
該段部210aは、ミシンアーム前面に当接体210sと一体に設けられるとともに、板材210bの屈曲部210rのミシンアーム側部分および開口部210mの一部の上方に被さるように形成されている。上記構成によれば、第1の実施例よりもより一層、糸案内屈曲部210r側に糸が引っかかることが無くなる。
【0013】
また、図3は本発明の第3の実施例を示す説明図であり、図1、2同様に図3(a),(b),(c)は、それぞれ斜視図,正面図,平面図を表わす。本実施例において第2実施例と異なるところは段部310aが開口部310mの全幅に渡って板材(糸案内)310bの形成方向に略平行に形成されているところで、その他は第2の実施例とほぼ同構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0014】
該段部310aは、ミシンアーム前面に当接体310sと一体に設けられるとともに、開口部310mの全幅に渡って板材310bのミシンアーム側部分の上方に被さるように形成されている。上記構成によれば、図3(c)に示すように、ミシンアームAの前面から第1および第2の実施例よりも離れた位置を上糸Tが通過するようになり、すなわち該第1、2の実施例よりも間隙部Cから離れた位置を上糸Tが通っているので、より一層上糸が糸案内310の屈曲部310r側に引っかかる怖れが低減される。
【0015】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その技術的範囲を逸脱しない限りにおいて形状や構成を変更可能であり、種々の態様が考えられる。
【0016】
例えば、当接体の幅については、図1(b)に示すように板材110bの幅(図中上下方向)よりも幾分狭いものとしたが、該板材110bの幅よりも広くてもよく、さらには一点での点接触や上下2箇所での当接など種々の態様が考え得る。
【0017】
また、当接体および段部は、ミシンアーム前面に一体に設けてもよいし、別体としてミシンアーム前面に固定する構成としても良い。但し、別体とした場合はミシンアームと接触する外縁部に弛んだ糸が届かない程度に屈曲部から離れた位置になるようにするか、外縁部の一辺の長さを長くするなど当接体ないし段部自体に糸がひっかかることのないような構成とすることが好ましい。
【0018】
また、ここでは段部210a,310aは板材(糸案内)210b,310bの上端から幾分離れた位置に形成したが、該上端に当接していてもよい。
【0019】
さらに、段部は板材の下方に設けてもよい。
【0020】
また、段部210a,310aは当接体210s,310sと一体でなくても良く、さらには幾らか離れて設けてあったもよい。
【0021】
また、ミシンアームA前面に糸案内110,210,310を固定する構成による説明のみに終始したが、例えば、糸案内(板材)の外形よりも大きい凹部をミシンアーム前面に形成し、該凹部内に屈曲部が凹部内壁に当接するように固定するようにしてもよい。この構成によれば、当接体と段部(上下)を設けた構成の糸案内と同等の効果が得られる。
【0022】
また、糸案内の構成は板材が屈曲して10hと10tが遊挿する構成に限らず、略P字状でさえあればよく、例えば、板材に替えて線状体を用いたり、開口部を前述のような遊挿箇所を有したものではなく閉じた外周を有する開口部としたり、としても良い。
【0023】
また、糸案内(板材,当接体含む)のミシンアーム前面への固定は固定ネジ等によるものに限らず、例えば接着剤や両面テープ、あるいは嵌合など、固定することができればその方法は問わない。
【0024】
また、糸の弛みや跳ね上がりの原因を天秤やミシン針の運動による影響のみによる説明に終始したが、糸案内の配設位置や周囲の構成によってその要因は問わない。さらに、糸案内の配設位置も天秤とミシン針との中間のみに限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、天秤やミシン針等の影響により弛んだり跳ね上がったりした糸が糸案内の端部にひっかかることを防止することができるので、該糸が糸案内とミシンアームとの間の間隙部に入り込んむことによる縫製不良や糸切れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糸案内の第1の実施例を説明する説明図である。
【図2】本発明の糸案内の第2の実施例を説明する説明図である。
【図3】本発明の糸案内の第3の実施例を説明する説明図である。
【図4】従来の糸案内を設けたミシンの説明図である。
【図5】従来の糸案内の形状、および取付状態の説明図である。
【図6】従来の糸案内における問題点を説明する説明図である。
【符号の説明】
10,110,210,310 糸案内
10b,110b,210b,310b 板材(糸案内)
10m,110m,210m,310m 開口部
10r,110r,210r,310r 屈曲部(糸案内端部)
110s、210s、310s 当接体
210a,310a 段部
10t 板材端部
10h 糸通し穴
5,105,205,305 固定ネジ
6 糸案内座
7 ミシン針
8 針棒
9 天秤
A ミシンアーム
C 間隙部
T 上糸

Claims (1)

  1. ミシンアーム前面に配置され、上下動する天秤と、
    前記ミシンアーム下方で上下動する針棒と、
    前記針棒に保持されるミシン針と、
    前記ミシンアーム前面に固定され、前記天秤からの上糸を前記ミシン針に案内する糸案内と、を備え、
    前記糸案内が、板材を略Pの字状に屈曲して形成され、一端側が前記ミシンアーム前面に固定されると共に、前記ミシンアーム前面との間に隙間が生じる屈曲部と、前記上糸が挿通される開口部と、を有する糸案内において、
    前記ミシンアーム前面から突起し、上下方向に沿って、前記屈曲部の頂点に当接するように形成された当接部(310s)と、
    前記ミシンアーム前面から突起し、水平方向に沿って、前記開口部の幅より長く、且つ前記糸案内の上部に形成された段部(310a)と、を備え、
    前記ミシンアーム前面と前記屈曲部との隙間への糸の侵入を防止するために、前記当接部と前記段部が前記ミシンアーム前面に連続して一体的に形成されると共に、前記当接部と前記段部の突出高さが前記屈曲部の頂点と略一致することを特徴とする糸案内。
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