JP4190799B2 - 静電表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、静電気を利用して画像を繰り返し表示、消去できる静電表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた画像表示装置(ディスプレイ)が提案されている。
これらの画像表示装置は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットから、次世代の安価な表示装置として考えられ、携帯端末用表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。
【0003】
最近、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置する電気泳動方式が提案されている。しかしながら、電気泳動方式では、低比重の溶液中に酸化チタンなどの高比重の粒子を分散させているために、沈降しやすく、分散状態の安定性維持が難しく、また、色をつけるために溶液に染料等を添加しているために長期保存性に難があり、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、このような欠点が現れ難くしているだけで、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0004】
以上のような溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層を基板の一部に組み入れた方式も提案されている。例えば、特開平2001−34198号および特開平2001−215902号には、粒子と基板から成る気体中での粒子挙動を利用した方式が示されており、この方式は、溶液を全く用いないために、電気泳動方式で問題となっていた粒子の沈降、凝集等の問題が解決される。
しかしながら、この粒子と基板から成る気体中での粒子挙動を利用した方式では、駆動電圧が大幅に増大し、電気泳動方式が数十ボルト程度で粒子を移動可能であったのに対し、数百ボルト以上でないと粒子を移動できないという新たな問題を生じる。また、表示媒体である粒子を均一に移動させることが表示性能を大きく左右するものであるが、特に基板間の間隔を精度良く一定に保つことが難しいために、表示媒体にかかる電界が均一にかかり難く、従って、表示媒体が均一に移動することができないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みて鋭意検討されたものであり、液体の特徴である流動性と、固体の特徴である一定の外形保持性とを兼ね備えた新規状態物質:粉流体を用い、該表示媒体を均一に移動させ、安定性の向上と駆動電圧低減の両立を達成した静電表示装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、対向する基板とクーロン力などにより移動する物質から構成される表示装置において、そのクーロン力などにより移動する新たな状態物質:粉流体を用い、その粉流体が封入される対向する基板間に、接着剤を塗布した複数個で同サイズの球状スペーサーを配置し、間隔精度を向上させすることにより、該表示媒体を均一に移動し、安定性の向上と駆動電圧低減の両立を達成した静電表示装置を見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち本発明は、以下の静電画像表示装置および方法を提供するものである。
1.少なくとも一方が透明な対向する基板間に、接着剤を塗布した複数個の同サイズの球状スペーサーを配置し、気体中に固体状物質が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入し、粉流体を移動させることを特徴とする静電表示装置。
2.接着剤を含む同サイズの球状スペーサーの配置位置が、表示装置周辺部である上記1の静電表示装置。
3.粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍以上である上記1又は2の静電表示装置。
4.粉流体の見かけ体積の時間変化が次式を満たすものである上記1〜3のいずれかの静電表示装置。
10/V5 >0.8
なお、V5 は最大浮遊時から5分後の粉流体の見かけ体積(cm3 )、V10は最大浮遊時から10分後の粉流体の見かけ体積(cm3 )を示す。
5.粉流体の平均粒径d(0.5) が0.1〜20μmである上記1〜4のいずれかの静電表示装置。
6.下記式で表される粉流体の粒径分布Spanが5以下である上記1〜5のいずれかの静電表示装置。
粒径分布Span=(d(0.9) −d(0.1) )/d(0.5)
(但し、d(0.5) は粉流体の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値、d(0.1) はこれ以下の粉流体の比率が10%である粒径をμmで表した数値、d(0.9) はこれ以下の粉流体が90%である粒径をμmで表した数値を示す。)
7.下記式で表される粉流体の溶剤不溶率が50%以上である上記1〜6のいずれかの静電表示装置。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(ただし、Aは粉流体の溶剤浸漬前重量を示し、Bは良溶媒中に粉流体を25℃で24時間浸漬後の重量を示す)
8.粉流体が、平均粒子径20〜100nmの無機微粒子が表面に固着した物質である上記1〜7のいずれかの静電表示装置。
9.粉流体が、2種以上の無機微粒子が表面に固着した物質である上記8の静電表示装置。
10.無機微粒子がシリコーンオイルで処理されたものである上記8又は9の静電表示装置。
11.基板間に粉流体を静電塗装装置により封入したものである上記1〜10のいずれかの静電表示装置。
12.対向する基板間の空隙が、25℃における相対湿度が60%RH以下の気体で満たされている上記1〜11のいずれかの静電表示装置。
13.表示装置が隔壁により複数の表示セルに形成されたものである上記1〜12のいずれかの静電表示装置。
14.複数の表示セルを形成するにあたり、隔壁がスクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光体ペースト法、アディティブ法のいずれかで形成されたものである上記13の静電表示装置。
15.隔壁が片リブ構造であることを特徴とする上記13又は14の静電表示装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
静電気を活用した表示方法では、対向する基板間に粒子を封入した表示装置に何らかの手段で基板表面に電荷が付与される。正に帯電した基板部位に向かっては負に帯電した粒子がクーロン力により引き寄せられ、また、負に帯電した基板部位に向かっては正に帯電した粒子がクーロン力などにより引き寄せられ、それら粒子が対向する基板間を往復移動することにより、画像表示がなされる。
従って、基板間に封入する粒子は、繰り返し時あるいは保存時の安定性を維持できるように移動し、かつ、ディスプレイとしては低電圧で駆動できるように、表示装置を設計する必要がある。
【0009】
ところが、従来の表示装置では、繰り返し時あるいは保存時の安定性を実現しようとすると、それを阻害する主要因である溶液を全く用いない、粒子と基板を基本構成要素とする、いわゆるトナー方式に代表される乾式タイプの静電表示を選択し、逆に、駆動電圧の低減化を実現しようとすると、溶液中での電気泳動を利用した、粒子と基板と粒子が泳動する十分な溶液を基本構成要素とする、いわゆる湿式タイプの静電表示を選択せざるを得なかった。
すなわち、沈降、凝集を避けた繰り返し時、保存時の安定性向上化と、駆動電圧の低減化とは二律背反し、両立は困難であった。
本発明では、全く新たな状態物質である粉流体をクーロン力などにより移動する表示媒体として利用し、更に、接着剤を塗布した複数個の同サイズの球状スペーサーを基板間に配置して対向基板間の間隔の精度を向上させることにより、先に述べた繰り返し時、保存時の安定性向上と、低電圧駆動と更には高応答速度を両立した、新しい表示装置を見出すに至った。
【0010】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。
例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義とされ、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学辞典)。
ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動体と呼び、同じく、液体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。
本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0011】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の静電表示装置で固体状物質を分散質とするものである。
本発明の静電表示装置は、少なくとも一方が透明な対向する基板間に、気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧のクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
【0012】
本発明の静電表示装置における画像表示は、図1に示すように2種以上の色の異なる粉流体を基板と垂直方向に移動させる表示方式と、図2に示すように1種の色の粉流体を基板と平行方向に移動させる表示方式のいずれへも適用できるが、安定性の上から、前者の方式が好ましい。
図3は本発明の静電表示装置の構造例を示す説明図である。すなわち、本発明の静電表示装置は、対向する基板1、基板2、粉流体3、球状スペーサー4および必要に応じて設ける隔壁5(図4に示す)により形成される。
【0013】
本発明の静電表示装置において、基板1、基板2の少なくとも一方は装置外側から粉流体の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。
静電表示装置としての可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可撓性のない材料が好適である。
【0014】
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネイトなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。
基板の厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合にはフレキシビリティー性に欠ける。
【0015】
本発明の静電表示装置では、基板に電極を設けない場合と、電極を設ける場合がある。
電極を設けない場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の帯電した色のついた粒子を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を基板上に転写形成する方法や、イオンフローにより静電潜像を直接形成する等の方法がある。
【0016】
電極を設ける場合の表示方法は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の帯電した色の粒子が引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粉流体を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。
この際の電極は、透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウムなどの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、5〜5000nm、好ましくは5〜500nmが好適である。この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0017】
本発明の静電表示装置では、対向する基板間の間隔を精度良く一定に、また、生産性良く製造するために、予め接着剤を塗布した複数個の同サイズの球状スペーサーを、片側あるいは両側の基板上に配置することが重要である。
具体的には、接着剤とスペーサーとを混合した調合ペーストを、ディスペンサーやスクリーン印刷機を用いて所定の位置にコーティングし、基板上に球状スペーサーを固着させる。所定の位置とは、特に、表示部にかからない基板周辺部の位置が好ましい。スペーサーは、ポリマーあるいは無機材料からなる径が一定の球状とし、平均径が1〜500μmが好ましい。また、接着剤は、エポキシなどの熱硬化型、紫外線硬化型などが挙げられる。
接着剤とスペーサーの調合比は、スペーサーが基板上に固定化される範囲であればいずれでも良いが、通常は調合ペースト中の球状スペーサーが20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%が妥当である。
【0018】
本発明の静電表示装置では、上記の球状スペーサーを装置周辺部に配置固着し、必要に応じて、それ以外の位置に隔壁を形成し、表示部を複数の表示セルから形成しても良い。
隔壁の形状は、表示にかかわる粒子のサイズにより適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は10〜1000μm、好ましくは30〜500μmに、隔壁の高さは球状スペーサーに用いた径以下に調整する。
また、隔壁の形成は、対向する両基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられるが、本発明では、接合時のずれを防止する狙いから、片リブ法による隔壁形成が好ましい。
これらリブからなる隔壁により形成される表示セルは、図4に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状が例示される。
表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、画像表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光体ペースト法、アディティブ法が挙げられる。
【0019】
スクリーン印刷法の具体的プロセスとしては、図5に例示するように以下の工程からなる。
(1)隔壁材料となるペーストを作成する。
(2)隔壁パターンを印刷できるステンレスメッシュ、ポリエステルメッシュなどからなる製版を準備する。
(3)片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、製版を介して、ペーストを塗布転写する。
(4)加熱などにより硬化させる。
(5) (3)〜(4)を、所定の厚み(隔壁の高さに相当)になるまで繰り返し、所望とする隔壁形状を作成する。
【0020】
ここで、製版は、所定の隔壁パターンを印刷できればいずれでも良いが、例えば、高テンションを確保するためにメッキ処理したメッシュ、高張力材料メッシュなどの金属メッシュ、ポリエステルメッシュ、テトロンメッシュなどの化学繊維メッシュ、あるいは、版枠と印刷エリアの間にポリエステルメッシュを接合したコンビネーションタイプメッシュなどを用いることができる。
スクリーン印刷は、通常のスクリーン印刷機を用いることができ、前述製版を介して、ペーストをスキージ、スクレーバーを使い、基板上に転写させる。
この場合、スキージのアタック角度は10〜30度、好ましくは15〜25度、スキージ速度は5〜500mm/秒、好ましくは20〜100mm/秒、スキージ印圧は0.1〜10kg/cm2 、好ましくは0.5〜3kg/cm2 とすることが好ましい。
【0021】
サンドブラスト法の具体的プロセスとしては、図6に例示するように以下の工程からなる。
(1)隔壁材料となるペーストを作成する。
(2)片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、ペーストを塗布し、乾燥硬化させる。
(3)その上に、ドライフィルムフォトレジストを貼りつける。
(4)露光、エッチングで隔壁となるパターン部分のみを残す。
(5)レジストが除去されたパターン部分を、サンドブラストにより、所定のリブ形状となるまでエッチングする。
【0022】
なお、サンドブラストする場合、留意すべきことは、研磨材に加えるエアー圧力と研磨材の噴射量のバランスを調整して、サンドブラスト装置ノズルから噴射される研磨材の直進性をできるだけ確保する事であり、これにより、研磨材の余分な拡散が少なくなるために、形成される隔壁の最終形状がきれいになり、特に隔壁のサイドエッジが少なくなる。
サンドブラストに用いる研磨材は、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、金属粉体などをも用いることができる。
【0023】
感光体ペースト法の具体的プロセスとしては、図7に例示するように以下の工程からなる。
(1)感光性樹脂を含む感光性ペーストを作成する。
(2)片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、感光性ペーストを塗布する。
(3)フォトマスクを用いて、隔壁に相当する部位にのみ露光し、感光ペーストを硬化させる。(必要に応じて、所望の隔壁高さになるまで(2)(3)を繰り返す)
(4)現像して、非硬化部分を取り除く。
(5)必要に応じて、硬化部分を焼成する。
なお、感光性ペーストは、少なくとも無機粉体、感光性樹脂、光開始剤を含み、その他として溶剤、樹脂、添加剤からなる。
【0024】
アディティブ法の具体的プロセスとしては、図8に例示するように以下の工程からなる。
(1)基板上にフォトレジストフィルムを貼り付ける。
(2)露光エッチングにより、形成させたい隔壁と隔壁の間になる部分のみにフォトレジストフィルムを残す。
(3)隔壁材料となるペーストを作成し、硬化させる。
(4)フォトレジストフィルムを取り除き、所定の隔壁形状を形成する。
【0025】
隔壁用のペーストは、少なくとも無機粉体および樹脂を含み、その他として溶剤、添加剤等からなる。無機粉体とは、セラミック粉体やガラス粉体であり、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用する。
セラミック粉体を例示すると、ZrO2 、Al2 3 、CuO、MgO、TiO2 、ZnO2 などの酸化物系セラミック、SiC、AlN、Si3 4 などの非酸化物系セラミックが挙げられる。
ガラス粉体を例示すると、原料となるSiO2 、Al2 3 、B2 3 、ZnOを溶融、冷却、粉砕したものが挙げられる。なお、ガラス粉体のガラス転移点Tgは、300〜500℃にあることが好ましく、この範囲では焼成プロセスでの低温化が図られるので、樹脂へのダメージが少ないメリットがある。
【0026】
隔壁用のペーストにおいて、下記式で示される無機粉体の粒径分布Spanを8以下、好ましくは5以下とすることが好ましい。
粒径分布Span=(d(0.9) −d(0.1) )/d(0.5)
(但し、d(0.5) は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値、d(0.1) はこれ以下の粒子の比率が10%である粒径をμmで表した数値、d(0.9) はこれ以下の粒子が90%である粒径をμmで表した数値である。)
粒径分布Spanを8以下の範囲とすることにより、ペースト中の無機粉体のサイズが揃い、先に述べたペーストを塗布〜硬化するプロセスを繰り返し積層しても、精度良い隔壁形成を行うことができる。
【0027】
また、ペースト中の無機粉体の平均粒径d(0.5) を、0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μmとすることが好ましい。このような範囲にすることにより、同様に、繰り返し積層時に精度良い隔壁形成を行うことができる。
なお、上記の粒径分布及び粒径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒径と対応関係があることから、粒径及び粒径分布が測定できる。
本発明における粒径及び粒径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒径及び粒径分布の測定を行なうことができる。
【0028】
隔壁用のペーストに含まれる樹脂は、前述した無機粉体を含有でき、所定の隔壁形状を形成できればいずれでも良く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂が挙げられるが、要求される隔壁物性を考慮し、分子量が大きく、ガラス転移点ができるだけ高い方が良い。例示すると、アクリル系、スチレン系、エポキシ系、フェノール系、ウレタン系、ポリエステル系、尿素系などが挙げられ、特に、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系が好適である。
【0029】
隔壁用のペーストに添加される溶剤は、前述した無機粉体および樹脂を相溶すればいずれでも良いが、例示すると、フタル酸エステル、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族溶剤、オキシアルコール、ヘキサノール、オクタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エステルなどのエステル系溶剤が挙げられ、通常、無機粉体に対して0.1〜50重量部が添加される。
該ペーストには、その他、必要に応じて、染料、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、酸化防止剤、硬化剤、硬化促進剤、沈降防止剤を加えても良い。
これらから成るペースト材料は、所望の組成にて、混練機、攪拌機、3本ローラなどにて分散調合される。作業性を加味すると、粘度を500〜300000cpsとすることが好ましい。
【0030】
次に粉流体について述べる。
粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。
この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の静電表示装置では、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
【0031】
エアロゾル状態の範囲は、粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5倍以上、特に好ましくは3倍以上である。上限は特に限定されないが、12倍以下であることが好ましい。
粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍がより小さいと表示上の制御が難しくなり、また、12倍より大きいと粉流体を装置内に封入する際に舞い過ぎてしまうなどの取り扱い上の不便さが生じる。
なお、最大浮遊時の見かけ体積は次のようにして測定される。すなわち、粉流体が透過して見える密閉容器に粉流体を入れ、容器自体を振動或いは落下させて、最大浮遊状態を作り、その時の容器外側から測定する。具体的には、直径(内径)6cm、高さ10cmのプラスチック蓋付き容器に、未浮遊時の粉流体として1/5の体積相当の粉流体を入れ、振とう機に容器をセットし、6cmの距離を3往復/secで3時間振とうさせる。振とう停止直後の見かけ体積を最大浮遊時の見かけ体積とする。
【0032】
また、本発明の静電表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化が次式を満たすものが好ましい。
10/V5 >0.8
5 は最大浮遊時から5分後の見かけ体積(cm3 )、V10は最大浮遊時から10分後の見かけ体積(cm3 )を示す。
なお、本発明の静電表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化(V10/V5 )が0.85よりも大きいものが更に好ましく、0.9よりも大きいものが特に好ましい。V10/V5 が0.8以下の場合は、通常のいわゆる粒子を用いた場合と同様となり、本発明のような高速応答、耐久性の効果が確保できなくなる。
【0033】
また、粉流体を構成する物質の平均粒径(d(0.5) )は、好ましくは0.1〜20μm、更に好ましくは0.5〜15μm、特に好ましくは0.9〜8μmがである。0.1μmより小さいと表示上の制御が難しくなり、20μmより大きいと、表示はできるものの隠蔽率が下がり装置の薄型化が困難となる。
なお、粉流体を構成する物質の平均粒径(d(0.5) )は、次の粒径分布Spanにおけるd(0.5) と同様である。
【0034】
粉流体を構成する物質は、下記式に示される粒径分布Spanが5未満であることが好ましく、更には好ましく3未満である。
粒径分布Span=(d(0.9) −d(0.1) )/d(0.5)
ここで、d(0.5) は粉流体を構成する物質の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値、d(0.1) はこれ以下の粉流体の比率が10%である粒径をμmで表した数値、d(0.9) はこれ以下の粉流体が90%である粒径をμmで表した数値である。
粉流体を構成する物質の粒径分布Spanを5以下とすることにより、サイズが揃い、均一な粉流体移動が可能となる。
なお、以上の粒径分布及び粒径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粉流体にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒径と対応関係があることから、粒径及び粒径分布が測定できる。
この粒径及び粒径分布は、体積基準分布から得られる。具体的には、Mastersizer2000 (Malvern Instruments Ltd. )測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、測定を行なうことができる。
【0035】
粉流体の作成は、必要な樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を混練り粉砕しても、モノマーから重合しても、既存の粒子を樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤でコーティングしても良い。
粉流体を構成する樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、基板との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0036】
帯電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
着色剤の例としては、塩基性、酸性などの染料が挙げられ、ニグロシン、メチレンブルー、キノリンイエロー、ローズベンガルなどが例示される。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドニウムイエロー、カドニウムレッド、カドニウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
【0037】
しかしながら、このような材料を工夫無く混練り、コーティングなどを施しても、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することはできない。エアロゾル状態を示す粉流体の決まった製法は定かではないが、例示すると次のようになる。
まず、粉流体を構成する物質の表面に、平均粒径が20〜100nm、好ましくは20〜80nmの無機微粒子を固着させることが好ましい。また、その無機微粒子が2種以上の微粒子から成ることが好ましく、更にはそれらの無機微粒子がシリコーンオイルで処理されていることが好ましい。
ここで、無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅等が挙げられる。
この無機微粒子を固着させる方法が重要であり、例えば、ハイブリダイザー(奈良機械製)やメカノフージョン(ホソカワミクロン製)などを用いて、ある限定された条件下(例えば処理時間)で、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することができる。
【0038】
ここで繰り返し耐久性を更に向上させるためには、粉流体を構成する樹脂の安定性、特に、吸水率と溶剤不溶率を管理することが効果的である。
基板間に封入する粉流体を構成する樹脂の吸水率は、3重量%以下、特に2重量%以下とすることが好ましい。なお、吸水率の測定は、ASTM−D570に準じて行い、測定条件は23℃で24時間とする。
粉流体を構成する樹脂の溶剤不溶率に関しては、下記関係式で表される粉流体の溶剤不溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好ましい。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(但し、Aは樹脂の溶剤浸漬前重量、Bは良溶媒中に樹脂を25℃で24時間浸漬した後の重量を示す)
この溶剤不溶率が50%未満では、長期保存時に粒子表面にブリードが発生し、粉流体との付着力に影響を及ぼし粉流体の移動の妨げとなり、画像表示耐久性に支障をきたす場合がある。
なお、溶剤不溶率を測定する際の用の溶剤(良溶媒)としては、フッ素樹脂ではメチルエチルケトン等、ポリアミド樹脂ではメタノール等、アクリルウレタン樹脂ではメチルエチルケトン、トルエン等、メラミン樹脂ではアセトン、イソプパノール等、シリコーン樹脂ではトルエン等が好ましい。
【0039】
また、粉流体の充填量については、粉流体の占有体積が、対向する基板間の空隙部分の5〜85%、好ましくは10〜65%、更に好ましくは15〜55%になるよるように調整することが好ましい。
粉流体がエアロゾル状態を示すために、表示装置内への封入は通常の方法では困難であり、静電塗装機を用いて、強制的に基板に粉流体を付着させることが、取り扱いの上で、好適である。この場合は、片方の基板にのみ、あるいは、両方の基板に付着させて合わせるのいずれの方法でも良い。
【0040】
更に、本発明においては基板間の粉流体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
以上の空隙部分とは、図3において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、粉流3、球状スペーサー4及び必要に応じて設ける隔壁5の占有部分、装置シール部分を除いた、いわゆる粉流体が接する気体部分を指すものとする。
【0041】
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが好適である。
この気体は、その湿度が保持されるように装置に封入することが必要であり、例えば、粉流体、基板などを所定湿度環境下にて組み立て、更に、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0042】
本発明の静電表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカードなどのカード表示部などに用いられる。
【0043】
【実施例】
次に実施例および比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における粉流体の物性および表示装置の機能について、下記の基準に従い、評価を行った。
【0044】
(1)粉流体の平均粒径及び粒径分布Span
Mastersizer2000(Malvern instruments Ltd.)測定機に各粒子を投入し、付属のソフト(体積基準分布を基に粒径分布、粒径を算出するソフト)を用いて、下記値を求めた。
粒径分布Span=(d(0.9) −d(0.1) )/d(0.5)
(但し、d(0.5) は粉流体の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値、d(0.1) はこれ以下の粉流体の比率が10%である粒径をμmで表した数値、d(0.9) はこれ以下の粉流体が90%である粒径をμmで表した数値である。)
平均粒径(μm):上記のd(0.5) である。
【0045】
(2)粉流体の最大浮遊時の見かけ体積/未浮遊時の見かけ体積の比率(Vmax /V0
本文に記載した方法により測定した。
(3)粉流体の見かけ体積の時間変化(V10/V5
本文に記載した方法により最大浮遊時から5分後の見かけ体積V5 (cm3 )および最大浮遊時から10分後の見かけ体積V10(cm3 )を測定した。
(4)粉流体の溶剤不溶率
粉流体をメチルエチルケトン溶媒中に25℃で24時間浸漬し、100℃で5時間乾燥した後の重量を測定した。浸漬前後の重量変化より、次の式に従って溶剤不溶率を測定した。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(ただし、Aは粉流体の溶剤浸漬前重量を示し、Bはメチルエチルケトン溶媒中に粉流体を25℃で24時間浸漬後の重量を示す)
【0046】
(5)表示装置の表示機能の評価
作成した表示装置に、印加する電圧を上げ、粉流体が移動して表示が可能となる電圧を最低駆動電圧として測定した。具体例を示すと、図9のように閾値となる電圧を最低駆動電圧とした。
次に、その最低駆動電圧+10Vの電圧を印加し、極性を反転させることにより、黒色〜白色の表示を繰り返した。
表示機能の評価は、コントラスト比について、初期および20000回繰り返し後、更に5日放置後を反射画像濃度計を用いて測定した。ここで、コントラスト比とは、コントラスト比=黒色表示時反射濃度/白色表示時反射濃度とした。なお、参考までに、初期対比のコントラスト比を保持率とした。
特に表示の均一性を把握するために、表示装置中央部と隅部の差異を求めた。具体的には、測定面積が3mmφである画像濃度計を用いて、表示装置中央部と、表示装置隅部(4隅の平均値)の黒表示時の濃度を測定し、両者の比(中央部濃度/隅部濃度)を求め、均一性評価の目安とした。
また、応答速度は、フォトマルを用いて出力値の変化から求めた。
【0047】
実施例1
(粉流体の作製)
次に2種類の粉流体(粉流体X、粉流体Y)を作製した。
粉流体Xは、まず、メチルメタクリレートモノマー、TiO2 (20phr)、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学製、5phr)、開始剤AIBN(0.4phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒径を揃えた。次にハイブリダイザー装置(奈良機械製)を用いて、これらの粒子に外添剤A(シリカH2000/4、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ製)を投入し、4000回転で6分間処理し、外添剤を重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
粉流体Yは、まず、スチレンモノマー、アゾ系化合物(5phr)、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学製、5phr)、開始剤AIBN(0.4phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径を揃えた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製)を用いて、これらの粒子に外添剤A(シリカH2050、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ製)を投入し、4000回転で6分間処理し、外添剤を重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
粉流体X及び粉流体Yの物性、すなわち前述の(1)粉流体の平均粒径及び粒径分布Span、(2)粉流体の最大浮遊時の見かけ体積/未浮遊時の見かけ体積の比率、(3)粉流体の見かけ体積の時間変化(V10/V5 )および(4)粉流体の溶剤不溶率を第1表に示す。
【0048】
(表示装置の作製)
まず、約500Å厚みの酸化インジウム電極を設けたガラス基板を作製した。次に、球状ガラスビーズ(平均径100μm)とエポキシ系熱硬化型接着剤を調合し、ディスペンサー装置を用いて、前述した調合ペーストを、基板の周辺部に塗布し、更に加熱乾燥〜加圧して、球状ガラスビーズスペーサーを基板上に固定化した。次に、サンドブラストにより、所定の隔壁形状になるように余分な部分を除去し、所望とするストライプ状隔壁を形成した。
次に、静電塗装機を用いて、先のガラスビーズスペーサーを固定化したガラス基板上に粉流体Xを仮付着させ、もう一方のガラス基板上に粉流体Yを仮付着させ、ガラスビーズがスペーサーとなるように、両ガラス基板を合わせ、ガラス基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着し、粉流体を封入した表示装置を作成した。
粉流体Xと粉流体Yの混合率は同重量づつとし、それら粉流体のガラス基板間への充填率は60容量%となるように調整した。ここで、空隙を埋める気体は、相対湿度35%RHの空気とした。
得られた表示装置の表示機能の評価結果を第1表に示す。
【0049】
実施例2
実施例1において、粉流体X及び粉流体Yの開始剤AIBNの添加量を0.1phrと変更した以外は同様にして表示装置を作成した。
得られた粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第1表に示す。開始剤AIBNの添加量を減少したので、溶剤不溶率が低下し、放置安定性がやや悪化した。
【0050】
実施例3
実施例1において、粉流体X及び粉流体Yの作製時に懸濁重合後の分級を行わなかった以外は同様にして表示装置を作成した。得られた粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第1表に示す。分級を行わないので粒径分布Spanが大きくなり、耐久性がやや悪化した。
【0051】
実施例4
実施例1において、基板間の粉流体を取り巻く空隙部分の空気の湿度を80%RHとした以外は同様にして表示装置を作成した。得られた粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第1表に示す。空隙部分の空気の湿度が高いので、耐久性がやや悪化した。
【0052】
実施例5
実施例1において、ハイブリダイザーの処理条件を4000回転、2分間へ変更した以外は、同様にして、表示装置を作成した。得られた粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第1表に示す。ハイブリダイザーの処理条件を変更したので、粉流体の状態が悪化し、駆動電圧、耐久性および応答速度が悪化した。
【0053】
実施例6
実施例1において、ハイブリダイザーの処理条件を4000回転、25分間へ変更した以外は、同様にして、表示装置を作製した。得られた粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第2表に示す。ハイブリダイザーの処理条件を変更したので、粉流体の状態が悪化し、駆動電圧、耐久性および応答速度が悪化した。
【0054】
比較例1
実施例1においてガラスビーズをスペーサーとして用いず、基板の4隅に板状スペーサーで代用した以外は同様にして、表示装置を作製した。粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第2表に示す。この結果、表示の均一性が低下し、耐久性が悪化した。
【0055】
比較例2
比較例1において、粉流体の代わりに市販電子写真用トナーを用いた以外は同様にして、表示装置を作製した。粉流体X及び粉流体Yの物性と表示装置の表示機能の評価結果を第2表に示す。この結果、粉流体の状態が悪化し、駆動電圧が高くなり、耐久性が悪化し、応答速度が遅くなった。
【0056】
【表1】
Figure 0004190799
【0057】
【表2】
Figure 0004190799
【0058】
【発明の効果】
本発明では、対向する基板とクーロン力などにより移動する物質から構成される表示装置において、そのクーロン力により移動する新たな状態物質:粉流体を用い、その粉流体が封入される対向する基板間に、接着剤を塗布した複数個の同サイズの球状スペーサーを配置し、間隔精度を向上させすることにより、該表示媒体が均一に移動し、安定性の向上と駆動電圧低減の両立を達成した静電表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電表示装置の表示方式を示す説明図である。
【図2】本発明の静電表示装置の表示方式を示す説明図である。
【図3】本発明の静電表示装置の構造を示す説明図である。
【図4】本発明の静電表示装置における隔壁の形状の一例を示す図である。
【図5】本発明の静電表示装置においてスクリーン印刷法により隔壁材料の形成を行なう場合の工程の説明図である。
【図6】本発明の静電表示装置においてサンドブラスト法により隔壁材料の形成を行なう場合の工程の説明図である。
【図7】本発明の静電表示装置において感光体ペースト法により隔壁材料の形成を行なう場合の工程の説明図である。
【図8】本発明の静電表示装置においてアディディブ法により隔壁材料の形成を行なう場合の工程の説明図である。
【図9】本発明の静電表示装置の表示機能の評価における印加電圧と反射濃度の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1、2:基板
3:粉流体
4:球状スペーサー
5:隔壁

Claims (15)

  1. 少なくとも一方が透明な対向する基板間に、接着剤を塗布した複数個の同サイズの球状スペーサーを配置し、気体中に固体状物質が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入し、粉流体を移動させることを特徴とする静電表示装置。
  2. 接着剤を含む同サイズの球状スペーサーの配置位置が、表示装置周辺部である請求項1に記載の静電表示装置。
  3. 粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍以上である請求項1又は請求項2に記載の静電表示装置。
  4. 粉流体の見かけ体積の時間変化が次式を満たすものである請求項1〜3のいずれかに記載の静電表示装置。
    10/V5 >0.8
    なお、V5 は最大浮遊時から5分後の粉流体の見かけ体積(cm3 )、V10は最大浮遊時から10分後の粉流体の見かけ体積(cm3 )を示す。
  5. 粉流体の平均粒径d(0.5) が0.1〜20μmである請求項1〜4のいずれかに記載の静電表示装置。
  6. 下記式で表される粉流体の粒径分布Spanが5以下である請求項1〜5のいずれかに記載の静電表示装置。
    粒径分布Span=(d(0.9) −d(0.1) )/d(0.5)
    (但し、d(0.5) は粉流体の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値、d(0.1) はこれ以下の粉流体の比率が10%である粒径をμmで表した数値、d(0.9) はこれ以下の粉流体が90%である粒径をμmで表した数値を示す。)
  7. 下記式で表される粉流体の溶剤不溶率が50%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の静電表示装置。
    溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
    (ただし、Aは粉流体の溶剤浸漬前重量を示し、Bは良溶媒中に粉流体を25℃で24時間浸漬後の重量を示す)
  8. 粉流体が、平均粒子径20〜100nmの無機微粒子が表面に固着した物質である請求項1〜7のいずれかに記載の静電表示装置。
  9. 粉流体が、2種以上の無機微粒子が表面に固着した物質である請求項8に記載の静電表示装置。
  10. 無機微粒子がシリコーンオイルで処理されたものである請求項8又は請求項9に記載の静電表示装置。
  11. 基板間に粉流体を静電塗装装置により封入したものである請求項1〜10のいずれかに記載の静電表示装置。
  12. 対向する基板間の空隙が、25℃における相対湿度が60%RH以下の気体で満たしたものである請求項1〜11のいずれかに記載の静電表示装置。
  13. 表示装置が隔壁により複数の表示セルに形成されたものである請求項1〜12のいずれかに記載の静電表示装置。
  14. 複数の表示セルを形成するにあたり、隔壁がスクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光体ペースト法、アディティブ法のいずれかで形成されたものである請求項13に記載の静電表示装置。
  15. 隔壁が片リブ構造であることを特徴とする請求項13又は14に記載の静電表示装置。
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