JP4190781B2 - 円筒ころ軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械、ジェットエンジン、ガスタービン等において、高速で回転する軸を支持するのに好適な円筒ころ軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、マシニングセンタ、CNC旋盤、フライス盤等の工作機械の主軸装置は、ワークの加工効率や精度を高める等の理由から高速回転で運転される場合が多く、特に最近は主軸回転速度のより高速化の傾向が顕著である。
【0003】
一般に、工作機械の主軸装置において、主軸はハウジングに対して転がり軸受で回転自在に支持され、転がり軸受は、使用条件等に応じて、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、ジェット潤滑、グリース潤滑などの潤滑方式によって潤滑される。また、転がり軸受としては、円筒ころ軸受やアンギュラ玉軸受等が使用される。
【0004】
円筒ころ軸受は、一般に、外周に軌道面を有する内輪と、内周に軌道面を有する外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の円筒ころと、円筒ころを円周所定間隔に保持する保持器とを備えている。
【0005】
内輪の両側部にそれぞれ鍔部を備えている場合、内輪の各鍔部の鍔面と軌道面とが交わる隅部に、それぞれ、ぬすみ溝が設けられる。これらぬすみ溝は、主として、軌道面と鍔面を研削加工する際の逃げ溝として設けられるものである。また、円筒ころの転動面と両端面とが交わる角部には、それぞれ、面取りが設けられる。さらに、軸方向に対向する鍔面間の軸方向寸法は円筒ころの長さ寸法よりも僅かに大きく設定され、これにより円筒ころと鍔部との間に案内隙間が確保される。
【0006】
上記のような円筒ころ軸受は、円筒ころの転動面と軌道輪の軌道面とが線接触するため、ラジアル荷重の負荷能力が高く、高速回転にも適しているが、その反面、玉軸受に比べて高速回転時の発熱量が大きく、とりわけ、円筒ころと鍔部との滑り接触部に発熱増大や摩耗が生じ易いという問題を抱えている。すなわち、円筒ころは上記の案内隙間分だけ傾きの自由度を持っており、軸受回転時、円筒ころの軸線が軸受の軸線に対して傾く現象、すなわちスキューが発生することが避けられない。そして、円筒ころがスキューを起こすと、回転側の軌道面によって与えられる駆動力に軸方向成分が発生し、これが軸方向推力Fとなって円筒ころの端部を一方の鍔部に押し付けることにより、該滑り接触部の摩擦抵抗が増大して、発熱や摩耗の原因となることがある。
【0007】
上記のような問題に対して、従来より種々の改善策が提案されている。例えば特公昭58―43609号では、ぬすみ溝の高さ寸法を円筒ころの面取りの高さ寸法よりも大きくすると共に、軸方向外側に所定の角度をもって広がったテーパ面を鍔面に設けることにより、上記滑り接触部の潤滑状態を改善している。
【0008】
また、特開平7―12119号では、円筒ころがスキューを起こしたときに、円筒ころの両端面外周縁部が鍔面の先端縁よりも基端に寄った部分で接触する構成とすることにより、円筒ころの両端面外周縁部が鍔面の先端縁と接触する場合に比較して、上記滑り接触部のエッジロードが小さくなるようにしている。
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、円筒ころは案内隙間分だけ傾きの自由度を持っており、軸受回転時、円筒ころは最大スキュー角θMAXの範囲内で時々刻々とその姿勢を変えながら自転及び公転運動を行う。
【0009】
図7に模式的に示すように、円筒ころ23が最大スキュー角θMAX未満のスキュー角θでスキューを起こしているとき、その円筒ころ23は上記の軸方向推力Fによって軸方向の一方側に押され、一方の鍔部21bに押し付けられた状態で案内されながら転動する。その際、円筒ころ23と鍔部21bとの接触状態は、スキュー角θ(0<θT<θU<θMAX)によって次のように変化する。
【0010】
すなわち、スキュー角θが0<θ≦θTの範囲では、図8に示すように、円筒ころ23の端面23bと面取り23cとの境界部R13が、鍔面21b1とぬすみ溝21cとの境界部R11と接触し(接触点を黒●で示す。)、スキュー角θがθT<θ<θUの範囲では、図9に示すように、円筒ころ23の端面23bと面取り23cとの境界部R13が鍔面21b1と接触する(接触点を黒●で示す。)。そして、スキュー角θがθUに近付くと、円筒ころ13の端面23bと面取り23cとの境界部R13が、鍔面21b1と面取り21b3との境界部R12と接触する(図示省略)。その後、円筒ころ23の両端部が両鍔部21bとそれぞれ接触して最大スキュー角θMAXに達する(図示省略)。
【0011】
図10は、円筒ころ23のスキュー角θと、円筒ころ23と鍔部21bとの接触面圧Pとの関係(実線)、および、円筒ころ23に作用する軸方向推力Fとの関係(点線)を示している。同図に示すように、軸方向推力Fはスキュー角θの増大に伴って大きくなる。
【0012】
0<θ≦θTの範囲において、接触面圧Pがスキュー角θの増大に伴い比較的急激な勾配で上昇する現象が起こる。これは、円筒ころ23と鍔部21bとが境界部R13と境界部R11とで接触すること(図8に示す状態)、軸方向推力Fがスキュー角θの増大に伴って大きくなることと関係している。特に、θ0≦θ≦θTの範囲(同図にクロスハッチングで示す領域)では、接触面圧Pが、該接触部に摩耗が発生する面圧レベルP0以上になることが試験により確認されている。
【0013】
スキュー角θがθTを超えると、接触面圧Pは面圧レベルP0以下の値に減少し、その後はスキュー角θの増大にかかわらず比較的低い値で安定した推移を示す。これは、円筒ころ23と鍔部21bとの接触状態が、境界部R13と境界部R11との接触(図8に示す状態)から、境界部R13と鍔面21b1との接触(図9に示す状態)に移行したことと関係している。
【0014】
スキュー角θがθUに近付くと、接触面圧Pは再び急激な上昇に転じ、θUに達した時点から面圧レベルP0以上の値となる。これは、円筒ころ23と鍔部21bとの接触状態が、境界部R13と鍔面21b1との接触(図9に示す状態)から、境界部R13と境界部R12との接触状態に移行したことと関係している。
【0015】
上記のように、円筒ころと鍔部との接触面圧Pは、最大スキュー角θMAXに達する前の段階、すなわちスキュー角θがθ0≦θ≦θT、θU≦θ<θMAXの範囲で、該接触部に摩耗が発生する面圧レベルP0以上の値になっており、このことが該接触部の発熱や摩耗の大きな要因となっていると考えられる。
【0016】
しかしながら、前述した特公昭58―43609号は、上記の現象に対する認識はなく、その改善策を提案したものではない。また、前述した特開平7―12119号は、最大スキュー角θMAXでの、円筒ころの両端面外周縁部と鍔面との接触状態を規定したものであり、最大スキュー角θMAXに達する前の段階で生じる上記の現象に対する認識はなく、その改善策を提案したものではない。
【0017】
本発明は、以上の知見に基づいて円筒ころ軸受の改良を図るものである。
【0018】
すなわち、本発明の課題は、円筒ころと鍔部との接触面圧、特に最大スキュー角θMAXに達する前の段階での接触面圧を低減することにより、該接触部の発熱と摩耗を抑制して、より高速回転に適した円筒ころ軸受を提供することである。
【0019】
本発明の他の課題は、より高速回転で運転される工作機械の主軸装置に適した円筒ころ軸受を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため、本発明は、外周に軌道面を有する内輪と、内周に軌道面を有する外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の円筒ころとを備え、内輪及び外輪のうち少なくとも一方の軌道面の両側にそれぞれ鍔部が設けられ、かつ、両側の鍔部のうち少なくとも一方の鍔面と軌道面との間にぬすみ溝が設けられ、ぬすみ溝の高さ寸法が円筒ころの面取りの高さ寸法よりも大きい円筒ころ軸受において、円筒ころの端面と面取りとの境界部が鍔面とぬすみ溝との境界部と接触する最大のスキュー角である限界スキュー角θがθ≦14分であり、円筒ころの両端部が両側の鍔部とそれぞれ接触する最大スキュー角θMAXが20分≦θMAX≦37分である構成を提供する。
【0022】
限界スキュー角θθ ≦14分に規制することによって、円筒ころと鍔部との接触状態を、より小さなスキュー角で、境界部同士の接触(図8に示す状態)から、境界部と鍔面との接触(図9に示す状態)に移行させて、接触面圧の低減を図ることができる。
【0023】
本発明を単列円筒ころ軸受に適用する場合、適用可能な軸受形式には、N形(内輪両鍔)、NU形(外輪両鍔)、NF形(内輪両鍔、外輪片鍔)、NJ形(内輪片鍔、外輪両鍔)、NUP形(内輪の両鍔のうち片側を別体の鍔輪で構成、外輪両鍔)など、種々の公知の軸受形式が含まれる。鍔部を別体の鍔輪で構成する場合、その鍔面と軌道面との間の隅部に逃げ溝も設けないこともある。また、本発明は複列又は多列円筒ころ軸受にも適用することができ、その場合も種々の公知の軸受形式を採用することができる。
【0024】
限界スキュー角θは、ぬすみ溝の高さ寸法h1と円筒ころの面取りの高さ寸法h2との寸法差δ(=h1−h2)、鍔面の傾斜角度、円筒ころの面取り寸法等を管理することによって、所定角度以下に規制することができる。好ましくは、限界スキュー角θの規制は、寸法差δを所定値以下に管理することによって行うのが良い。この場合、寸法差δを0<δ≦0.3mm、特に0<δ≦0.25mmに管理することによって、好ましい結果が得られることが後述する試験により確認されている。
【0026】
限界スキュー角θTを所定角度以下に規制するため、とりわけ、限界スキュー角θTの規制を寸法差δの管理によって行うため、円筒ころの面取り及び内輪のぬすみ溝のうち少なくとも一方は、熱処理後に旋削等の機械加工によって形成するのが好ましい。これにより、円筒ころの面取り、内輪のぬすみ溝の熱処理変形による寸法バラツキをなくして、寸法差δを精度よく管理することができる。
【0027】
最大スキュー角θMAXは、円筒ころと鍔部との間の案内隙間、ぬすみ溝の高さ寸法h1、円筒ころの面取りの高さ寸法h2、鍔部の高さ寸法、鍔面の傾斜角度、鍔面と外径面との間の面取りの高さ寸法等を管理することによって、所定角度以下に規制することができる。最大スキュー角θMAXを所定角度以下に規制することによって、最大スキュー角θMAXの付近で円筒ころと鍔部とが高い接触面圧で接触する確率が小さくなり(図10におけるθ≦θ<θMAXの角度範囲が狭くなる。)、該接触部の発熱や摩耗が軽減される。本発明では、後述する試験結果(図6)を踏まえて、最大スキュー角θ MAX を20分≦θ MAX ≦37分に規制している。
【0028】
本発明の円筒ころ軸受は、工作機械の主軸装置に好適で、特に、負の内部隙間で運転され、また、グリース潤滑で運転される場合により好ましい結果を生じる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0030】
図1は、マシニングセンタ、研削盤等の工作機械における主軸装置の一構造例を示している。同図に示す主軸装置は、ビルトイン・タイプと呼ばれているのもので、内蔵したモータ10によって主軸11を高速で回転駆動する方式のものである。モータ10は主軸装置の軸方向中央部に配設され、主軸11の外周に設けられたロータ10aとハウジング12の内周に設けられたステータ10bとで構成される。ステータ10bに電流を通じると、ロータ10aとの間に励磁力が発生し、その励磁力によって主軸11が高速で回転駆動される。
【0031】
主軸11の回転は、モータ10を挟んでフロント側(工具側)とリア側(反工具側)にそれぞれ配置された転がり軸受でハウジング12に対して回転自在に支持される。通常、リア側の転がり軸受部は、運転時の熱による主軸11の軸方向膨張量を吸収し又は逃がすため、軸方向に変位可能な構造になっている(自由側)。この例では、フロント側の転がり軸受として組合せアンギュラ玉軸受(一対のアンギュラ玉軸受)13を使用し、リア側の転がり軸受として単列の円筒ころ軸受14を使用している。
【0032】
図2は、リア側に配置される円筒ころ軸受14を示している。この円筒ころ軸受14は、外周に軌道面1aを有する内輪1と、内周に軌道面2aを有する外輪2と、内輪1の軌道面1aと外輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の円筒ころ3と、円筒ころ3を円周所定間隔に保持する保持器4とを備えている。内輪1の両側部には、それぞれ、鍔部1bが設けられている。尚、保持器4は、樹脂材で形成することができる。
【0033】
図3に拡大して示すように、内輪1の各鍔部1bの鍔面1b1と軌道面1aとが交わる隅部には、それぞれ、ぬすみ溝1cが設けられている。これらぬすみ溝1cは、主に、軌道面1aと鍔面1b1を研削加工する際の逃げ溝として設けられるものである。この実施形態において、鍔面1b1は外径方向に向かって漸次開く方向に傾斜したテーパ面になっており、鍔面1b1と鍔部1bの外径面1b2とが交わる角部には面取り1b3が設けられている。また、円筒ころ3の転動面3aと両端面3bとが交わる角部には、それぞれ、面取り3cが設けられている。さらに、軸方向に対向する鍔面1b1間の軸方向寸法は円筒ころ3の長さ寸法よりも僅かに大きくされ、円筒ころ3の端面3bと鍔面1b1との間に案内隙間Sが設けられている。
【0034】
この実施形態において、逃げ溝1cの高さ寸法h1は円筒ころ3の面取り3cの高さ寸法h2よりも大きく設定されている。そして、高さ寸法h1と高さ寸法h2との寸法差δ(δ=h1−h2)が所定値以下に管理され、これにより、前述した限界スキュー角θTが所定角度以下に規制されている。この実施形態では、寸法差δを所定値以下に管理するため、内輪1および円筒ころ3の熱処理後に、逃げ溝1cおよび面取り3cを旋削等の機械加工によって仕上げて所要の寸法精度を確保している。ここで、高さ寸法h1は、軌道面1aの位置から、逃げ溝1cと鍔面1b1との境界部R1までの半径方向寸法である。また、高さ寸法h2は、転動面3aと面取り3cとの境界部R4の位置から、面取り3cと端面3bとの境界部R3までの半径方向寸法である。
【0035】
鍔面1b1と面取り1b3との境界部R2を含めて、少なくとも一つの境界部(R1〜R3のうち少なくとも一つ)は、接触面圧を低減するため、曲面、例えば曲率半径0.1〜0.3mmの円弧面で構成して、隣接する面と滑らかに連続させるのが好ましい。例えば、境界部R1を上記構成とする場合、高さ寸法h1を定める際の基準とする境界部R1の位置は、逃げ溝1cの仮想延長線と鍔面1b1の仮想延長線との交点位置とする。同様に、境界部R3を上記構成とする場合、高さ寸法h2を定める際の基準とする境界部R3の位置は、面取り3cの仮想延長線と端面3bの仮想延長線との交点位置とし、境界部R4を上記構成とする場合、高さ寸法h2を定める際の基準とする境界部R4の位置は、転動面3aの仮想延長線と面取り3cの仮想延長線との交点位置とする。
【0036】
また、案内隙間S、高さ寸法h1及びh2、鍔部1bの高さ寸法(軌道面1aの位置から鍔部1bの外径面1b2までの半径方向寸法)、鍔面1b1の傾斜角度、面取り1b3の高さ寸法(境界部R2の位置から外径面1b2までの半径方向寸法)が管理されることにより、最大スキュー角θMAXが所定角度以下に規制されている。
【0037】
図1に示すように、円筒ころ軸受14は、内輪1を主軸11の外周に嵌合され、外輪2をハウジング12の内周に嵌合される。運転時のラジアル内部隙間は例えば負隙間であり、軸受内部はオイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、ジェット潤滑、グリース潤滑などの潤滑方式によって潤滑される。
【0038】
主軸装置に内蔵されたモータ10によって主軸11が高速で回転駆動されると、その回転が、フロント側のアンギュラ玉軸受13とリア側の円筒ころ軸受14でハウジング12に対して回転自在に支持される。また、運転時の温度上昇によって、主軸11が軸方向に熱膨張すると、その軸方向膨張量が、円筒ころ軸受14の外輪2と円筒ころ3との間のスライド変位によって吸収され又は逃がされる。
【0039】
図4は、この実施形態の円筒ころ軸受14における円筒ころ3のスキュー角θと、円筒ころ3と鍔部1bとの接触面圧Pとの関係(実線)、および、円筒ころ3に作用する軸方向推力Fとの関係(点線)を示している。
【0040】
0<θ≦θTの範囲において、接触面圧Pがスキュー角θの増大に伴って比較的急激な勾配で上昇する現象が起こるが、図10に示す従来例と比較して、限界スキュー角θTが小さな角度に規制されているため、接触面圧Pは、該接触部に摩耗が発生する面圧レベルP0以下の値で推移している(図10にクロスハッチングで示す領域がなくなっている。)。すなわち、円筒ころ3と鍔部1bとが、境界部R3と境界部R1とで接触しても(図8に示す状態)、スキュー角θが小さければ、円筒ころ3を鍔部1bに押し付ける軸方向推力Fが小さいため、接触面圧Pは比較的小さくなる。
【0041】
θT<θ<θUの範囲では、図10に示す従来例と同様に、接触面圧Pはスキュー角θの増大にかかわらず比較的低い値で安定した推移を示す。
【0042】
スキュー角θがθUに近付くと、接触面圧Pは再び急激な上昇に転じ、θUに達した時点から面圧レベルP0以上の値となるが、図10に示す従来例と比較して、最大スキュー角θMAXが小さな角度に規制されているため、接触面圧Pが面圧レベルP0を超える角度範囲(θU≦θ<θMAX)が狭くなっている。
【0043】
以上のように、限界スキュー角θTを従来よりも小さな角度に規制して、円筒ころ3と鍔部1bとの接触状態を、より小さなスキュー角で、境界部R3と境界部R1との接触(図8に示す状態)から、境界部R3と鍔面1b1との接触(図9に示す状態)に移行させることにより、接触面圧Pを低減して、該接触部の発熱や摩耗を抑制することができる。
【0044】
また、最大スキュー角θMAXを従来よりも小さな角度に規制して、接触面圧Pが面圧レベルP0を超える角度範囲(θU≦θ<θMAX)を狭くすることにより、言い換えれば、円筒ころ3と鍔部1bとが面圧レベルP0以上の面圧で接触する確率を小さくすることにより、該接触部の発熱や摩耗を抑制することができる。
【0045】
【実施例】
寸法差δが種々異なる試験軸受を製作し、寸法差δと限界スキュー角θTとの関係を求めると共に、該試験軸受を試験機にセットし、下記の条件で運転して、円筒ころの端部における摩耗の発生状況を観察した。その結果を図5に示す。
[試験条件]
試験軸受:単列円筒ころ軸受 N3020
円筒ころの直径11mm、長さ11mm
20分<θMAX<40分
回転数:6000rpm(dn=60×104
内部隙間:−10μm(組込み後のラジアル内部隙間)
潤滑:グリース潤滑
運転時間:100時間
【0046】
図5に示すように、限界スキュー角θTは寸法差δの減少に伴って小さくなる傾向が見られ、寸法差δ≦0.25mmでは、限界スキュー角θT<15分であった。また、運転後の観察結果では、δ>0.3mmの場合、円筒ころの端部に0.5μm以上の摩耗が発生した試験軸受が多く見られたが、δ≦0.25mmの場合、0.5μm以上の摩耗が発生した試験軸受は殆どなく、摩耗が発生しないか、あるいは、発生していても軽微なものであった。このことから、寸法差δ≦0.3mm、好ましくはδ≦0.25mmとすることが、円筒ころと鍔部との接触部の発熱や摩耗を抑制する上で効果的であることが分かる。
【0047】
つぎに、限界スキュー角θTと最大スキュー角θMAXが種々異なる試験軸受を製作し(軸受形式は上記と同じ)、該試験軸受を試験機にセットし、上記の条件で運転して、円筒ころの端部における摩耗の発生状況を観察した。その結果を図6に示す。
【0048】
図6に示すように、摩耗の発生状況は、限界スキュー角θTと最大スキュー角θMAXの大きさによって異なった状況を呈した。まず、限界スキュー角θTとの関係では、θT>14分の場合、殆どの試験軸受において0.5μm以上の摩耗が発生したのに対し、θT≦14分の場合、殆どの試験軸受において摩耗が発生しないか、あるいは、発生していても軽微なものであった。このことから、θT≦14分とすることが、円筒ころと鍔部との接触部の発熱や摩耗を抑制する上で効果的であることが分かる。つぎに、最大スキュー角θMAXとの関係では、θMAX>37分の場合、0.5μm以上の摩耗が発生した試験軸受が多く見られたが、θMAX≦37分の場合、殆どの試験軸受において摩耗が発生しないか、あるいは、発生していても軽微なものであった。このことから、θMAX≦37分とすることが、円筒ころと鍔部との接触部の発熱や摩耗を抑制する上で効果的であることが分かる。一方、θT≦14分、かつ、θMAX≦37分であっても、0.5μm以上の摩耗が発生した試験軸受があった。これは、各部品の加工誤差、運転時の内輪と円筒ころとの温度差等により、円筒ころと鍔部との間の案内隙間が減少する等して、局部的な発熱、それによる潤滑不良が発生したことによるものと考えられる。同図に示す結果では、θMAX<20分の範囲で上記の現象が起こっており、このことから、θMAX≧20分とするのが好ましいことが分かる。以上の結果を総合すると、θT≦14分、かつ、20分≦θMAX≦37分とすることが、円筒ころと鍔部との接触部の発熱や摩耗を抑制する上で最も効果的であることが分かる。尚、20分≦θMAX≦37分とするために、円筒ころと鍔部との間の案内隙間を円筒ころの長さの0.45%以下、0.2%以上とするのが良い。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、円筒ころと鍔部との接触部の発熱や摩耗を抑制して、より高速回転に適した円筒ころ軸受、特により高速回転で運転される工作機械の主軸装置に好適な円筒ころ軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】工作機械の主軸装置の一構造例を示す断面図である。
【図2】実施形態に係る円筒ころ軸受を示す断面図である。
【図3】円筒ころの端部と鍔部の周辺部を示す拡大断面図である。
【図4】実施形態に係る円筒ころ軸受における円筒ころのスキュー角θと、円筒ころと鍔部との接触面圧Pとの関係(実線)、および、円筒ころに作用する軸方向推力Fとの関係(点線)を示す図である。
【図5】試験結果を示す図である。
【図6】試験結果を示す図である。
【図7】円筒ころが最大スキュー角θMAX未満のスキュー角θでスキューを起こし、一方の鍔部と接触している状態を模式的に示す図である。
【図8】円筒ころの端面と面取りとの境界部が、鍔面とぬすみ溝との境界部と接触している状態を示す図である。
【図9】円筒ころの端面と面取りとの境界部が、鍔面と接触している状態を示す図である。
【図10】従来の円筒ころ軸受における円筒ころのスキュー角θと、円筒ころと鍔部との接触面圧Pとの関係(実線)、および、円筒ころに作用する軸方向推力Fとの関係(点線)を示す図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a 軌道面
1b 鍔部
1b1 鍔面
1c ぬすみ溝
2 外輪
2a 軌道面
3 円筒ころ
3b 端面
3c 面取り
R1 鍔面とぬすみ溝との境界部
R3 円筒ころの端面と面取りとの境界部

Claims (4)

  1. 外周に軌道面を有する内輪と、内周に軌道面を有する外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の円筒ころとを備え、前記内輪及び外輪のうち少なくとも一方の軌道面の両側にそれぞれ鍔部が設けられ、かつ、前記鍔部のうち少なくとも一方の鍔面と軌道面とが交わる隅部にぬすみ溝が設けられ、該ぬすみ溝の高さ寸法が前記円筒ころの面取りの高さ寸法よりも大きい円筒ころ軸受において、
    前記円筒ころの端面と面取りとの境界部が前記鍔面とぬすみ溝との境界部と接触する最大のスキュー角である限界スキュー角θがθ≦14分であり
    前記円筒ころの両端部が前記両側の鍔部とそれぞれ接触する最大スキュー角θMAXが20分≦θMAX≦37分であることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 前記ぬすみ溝の高さ寸法h1と前記円筒ころの面取りの高さ寸法h2との寸法差δ(=h1−h2)が0<δ≦0.3mmに管理されていることを特徴とする請求項1記載の円筒ころ軸受。
  3. 前記円筒ころの面取り及び前記内輪のぬすみ溝のうち少なくとも一方が、熱処理後の旋削加工によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒ころ軸受。
  4. 工作機械の主軸装置に組み込まれる請求項1から3の何れかに記載の円筒ころ軸受。
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