JP4190635B2 - ジャカード型織成機構およびそのような織成機構を備えた織機 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ひ口の形成のために用いられる織機に使用される機構、特にジャカード型織成機構に関する。本発明はまた、そのような機構を備えた織機にも関する。
【０００２】
【従来の技術】
ジャカード機構の標準構造は織機の頂部に取り付けられる制御機構またはヘッドと、この織機でこのヘッドをたて糸に張力状態で連結する通糸に関する。この通糸自体は、ヘッドにより垂直方向に直接および個々に制御される多数の通糸を有する。これらの通糸の各々はカラーにより一つまたはいくつかのヘルドに集められ、これらのヘルドの各々にはたて糸が通るはと目が設けられている。
【０００３】
ヨーロッパ特許公開第214 075 は電磁石とセレクタ要素とからなるモジュールを構成する方法を示す。これらのモジュールは織機の頂部に実質的な水平な条片に再配置することができる。セレクタ要素が多数の場合には、この条片が水平平面に相当大きな寸法になる。電磁石、セレクタ要素および駆動系の操作により、これらのモジュールの位置決めが決定される。
【０００４】
フランス特許出願第97 16734号および第97 16738号には、標準構造のナイフおよび昇降ブロックアクチュエータ機構を置き換えるように意図された回転巻線アクチュエータが記載されており、これらのアクチュエータの各々は回転電動機により構成され、その軸上には通糸の巻回および巻戻しのためのプーリーまたはドラムが取り付けられている。
【０００５】
フランス特許出願第97 16735号には、上記の種類の回転アクチュエータをほぼ平行六面体ハウジングの内側に取り付けることが提示されており、この平行六面体ハウジングは、規則的な水平列と垂直列にしたがって一直線にされた一連の区画室に内側仕切りにより分割されている。これらの区画室の各々は少なくとも一つのアクチュエータを受け入れるようになっているとともに、同じ列のアクチュエータから来る通糸が互いに干渉しないように防止するのに適切な制御手段が設けられている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記ハウジングの内側に収容された多数の個々のアクチュエータを有するジャカード型織成機構を得ようとして上記の種類の多数のハウジングの組立体を提供することである。この組立体の目的は、種々のハウジングから来る通糸が互いに干渉するのを避けて、アクチュエータの保守のために個々のアクチュエータに容易にアクセスできる減少した空間必要条件の組立体を得ることができるようにすることである。本発明の他の目的は、通糸の摩擦荷重、偏向角度および通糸の長さを減らすためにアクチュエータと対応するヘルド枠の間の通糸の通過が最も直接的であるような設計の織成機構を提供することである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、織機にひ口を形成するためのジャカード型織成機構において、本発明により、たて糸と関連したヘルド枠に連結された通糸が多数のハウジングの区画室に収容された電気的回転アクチュエータにより制御され、一定数のすべての前記ハウジングが少なくとも一つの構造要素に同じ水平な列でまたは同じ垂直な柱で受け入れられ、一緒に取り付けられた前記一つの構造要素または複数の構造要素がハウジングの複数の柱と複数の列を形成しており、これによりハウジングの前記複数の列および複数の柱は織機の頂部に位置する少なくとも一つのパネルを構成することにより解決される。
【０００８】
本発明のお蔭で、このように形成されたパネルにより、上記の列挙された目的を達成することができる。これらのリングを、たて糸より上の垂直線に関して６０°までの角度に垂直に位置させるかまたは傾斜させることができ、したがって必要な深さ空間が減らされ、すなわちたて糸に平行な深さ空間が減らされる。パネルの高さ、すなわちハウジングの列の数を、必要な個々の制御の数にアクチュエータの数を適合させるために用いることができる。
【０００９】
有利な面により、本発明は次の特徴を組み込んである。
【００１０】
各パネルでは、ハウジングの列が、底から上へ、列の間に外側に向けられた水平方向のずれを有する。このずれはパネルの各々では標準でありかつ直線状輪郭を有する。さらに、各パネルで、このずれが底から上へ規則的に増加することができることにより、各パネルに円弧状輪郭を与える。
【００１１】
同じ列のまたは同じ柱のハウジングが、互いに取り付けられる凹状の構造要素の内側に取り付けられている。
【００１２】
構造要素の組立は構造要素の側面にあけた孔に収容された手段を用いて実現され、そのとき各構造要素の底変形部を上方フランジにあけた孔から分離する間隔が底変形部と底フランジにあけた孔との間の間隔より大きい。
【００１３】
各パネルの若干の列のハウジングは、上方の列のアクチュエータから来る通糸が通るガイドが設けられている。
【００１４】
ハウジングは冷却用空気流の循環のための間隙を与えるように構造要素に取り付けられている。
【００１５】
この空間は、各構造要素の内側リブによりアクチュエータとそれらの制御要素から分離されている。
【００１６】
少なくともいくつかのパネルは接合されかつ制御機構に連結されている。
【００１７】
構造要素は垂直平面の両側にハウジングを取り付けるのに適している。
【００１８】
本発明は、上記の織成機構を備えた織機にも関する。そのような織機はいっそう使用しやすくかつ周知の形式の織機より保守がいっそう容易である。
【００１９】
その能率が周知の技術に関して著しく改善されかつジャカード通糸の糸により糸を制御することができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
図１に概略的に示した機構は多数のハウジング１の取り付けにより形成されており、各ハウジングの内側にいくつかの回転アクチュエータが設けられ、これらの回転アクチュエータはハウジングの各々に規則的な垂直および水平な整列にしたがって配置されている。明確な例により思想を明らかにするために、各ハウジング１の内側位置が１６個の区画室を区画しており、これらの区画室は各列が四つの区画室の四つの重ねられた水平な列にしたがって配置されている。
【００２１】
図２に示したように、各ハウジング１の後部が、Ｃ形材、したがって凹部を有する構造要素２の側方開口の内側に収容され、Ｃ形材は、一定数のハウジング１を同じ水平な列に取り付けるのを確保するために同じ長さの機構にわたって水平に延びている。各ハウジング１の構造要素２への取り付けはねじ棒３により実施され、このねじ棒３は、後方横材または棒４に設けられたタップにねじ込まれるように問題のハウジングを通り、棒４の上縁と下縁には、構造要素２の側に、その底部の変形部２ｂのすぐ先に設けられたリブ２ａと相互作用するために溝が形成されている。棒３を締めつけることにより、問題の構造要素２の各側面のへこんだフランジ２ｃに、各ハウジング１の底部の力が加えられることが確保されることに留意しなければならない。
【００２２】
構造要素２は、前記構造要素の側面に穿孔された孔に収容されたボルト５により互いに垂直に取り付けられている。二つの側面に穿孔された孔が互いにずらされ、構造要素の上側の孔２ｄと底変形部２ｂとの間に形成された間隔ｄ1 は、この底変形部から下方孔２ｅを分離する間隔ｄ2 より大きい。
【００２３】
これらの条件の下で、ボルト５による構造要素２の組立は前記構造要素の水平変位を確保し、それにより各構造要素２の前が、そのすぐ下に配置された構造要素２の前を越えて側方に突出している。このように、同じハウジング１の区画室の同じ垂直な柱に位置するアクチュエータから来る通糸６が、問題のハウジングの下と上に位置するハウジング１のアクチュエータの同じ垂直な柱から来る通糸に関してずらされている。
【００２４】
図に示した場合において、間隔ｄ1 とｄ2 は全ての構造要素２についてそれぞれ同じである。これらの後者は二つの別個のシリーズにしたがって分配されていることにより、構造要素２上にハウジング１を組み立てると、Ｖ形組立体を区画する斜めに配向された二つの剛性のあるかつ直線状のパネルを区画する。
【００２５】
各パネルＡとＢには、各水平列の構造要素２が水平な棒８（図２）により互いに取り付けられ、その端部が二つの側方の三角形のフランジ７に取り付けられている（図１）。これらのフランジ７は、機構が設けられた織機より上に上昇する垂直フレーム９により保持されている。
【００２６】
二つのパネルＡとＢの各々の直線状輪郭を考慮して、実際には、若干の水平列のハウジング１（図１に示した例では三つのうちの一つ）に、ハウジングに含まれたアクチュエータから来る通糸６が通るガイド１０を設けることが必要である。パネルＡとＢの下方に、これらの通糸６は通糸タイ１１により一緒に集められた後、たて糸１３のたて糸を通って下方戻りばね１４に取り付けられた垂直ヘルド枠１２へ送られる。
【００２７】
機構を構成するパネルＡとＢの数は、特に取り付けられるハウジング１の数に依存して、大幅に変化することができる。
【００２８】
図３は、通糸タイ１１より上に垂直に配向された四つの剛性のあるパネルＡ，Ｂ，ＣおよびＤを備えている、本発明の設計の変更例を示す。内側のパネルＢとＣからハウジング１へアクセスできるために、外側パネルＡとＤがベースにタイ１１のレベルで枢着され、かつこれらが中空ホイールと逆転できない無端スクリュウ系を介してスピンドルステッキ１６およびまたはモータ１７により作動される複合ハンドリングウインチ１５と相互作用する。
【００２９】
図３に示した実施の形態では、外側パネルＡとＤが、通糸タイ１１の付近に位置する領域の周りを旋回する。これらのパネルをこのタイより上にまたは下に位置する領域の周りを旋回させることができ、および多かれ少なかれ通糸の通路のレベルに位置する領域の周りを旋回させることができる。その設計は、パネルＡとＢが各パネルの中間高さに位置する水平軸の周りを旋回するような設計であることができる。
【００３０】
図４に示した実施の形態において、構造要素２の水平な列の間に設けられた側方のずれｄ3 は、各パネルＡとＢで底から上に向かって非常にわずかに増加する方向に可変である。これらの条件の下では、これらのパネルの各々はもはや図１に示した直線状輪郭をもたないで、図４に一点鎖線で示したほぼ湾曲した輪郭Ｐを有する。この輪郭により、重なった列の通糸６の間の干渉の恐れが除かれる。したがって、前述したガイド１０なしで済ますことができる。
【００３１】
さらに、図２において、各構造要素２の側面のフランジ２ｃは、各ハウジング１の底が前記構造要素２のベースまたは変形部２ｂから比較的大きな間隔で位置するように位置決めされている。このようにして得られた空間Ｅにより、各ハウジングの動力供給のためのプリント基板１８（図２）を収容することができる。この空間は、電子構成要素とアクチュエータにより発生した熱の消散のための空気流の循環用通気設備に連結されている。各構造要素２の底変形部２ｂの外側に冷却フィン２ｆを設けるのが有利であることが注目された。
【００３２】
図５に示した実施の形態の第三の変形例において、図１と２の実施の形態の要素に類似した要素は同じ参照数字により識別される。この実施の形態では、板１８の冷却のための空気流には、織機の周りの空気が使用されるので、この空気流を循環するように意図された空間Ｅを分離するためにリブ２ｇが各構造要素２の内側に設けられており、これにより、織機の周りの空気に浮遊した綿毛により引き起こされる板や電子構成要素の汚損の恐れが減少する。空間Ｅに面する側には、リブ２ｇに冷却フィン２ｆが設けられている。
【００３３】
この実施の形態において、構造要素２が個々に取り付けられないで、同じスクリュウ板により得られることにより、構造要素は、アクチュエータを含む、ハウジング１を収容するためのいくつかの重ねられた列からなる。本発明のこの変形例では、パネルＡ，ＢおよびＣを、限定数の構造要素でまたはただ一つの構造要素でさえ構成することができる。このパネルは優れた剛性を有する。
【００３４】
アクチュエータを担持するハウジングを列にして配置して本発明を示してある。これらのハウジングを柱にして配置できることも理解しなければならない。すなわち、構造要素２を図１の通糸６に平行な方向に一直線にすることができる。したがって、これらの柱を互いに、織機の上部に位置するパネルも形成するように取り付けることができるだろう。
【００３５】
図６に示した実施の形態の第四の変形例では、図１と２の実施の形態の要素に類似の要素は同じ参照数字により識別される。この実施の形態では、各構造要素２に二つのハウジング１のための支持体としてＬ形の形材が設けられている。したがって、構造要素２を互いに重ねてボルト５によりそれらを組み立てることにより、本質的に垂直なパネルを形成することができる。
【００３６】
上記の実施の形態のように、構造要素２を同じスクリュウ板により得ることができ、その場合構造要素は、構造要素が属するパネルの二つの側にハウジングを収容するためのいくつかの重ねられた列からなる。
【００３７】
図７に示した構造要素２は二つのハウジング１のための支持体を構成するのに適しており、かつその中央部分に空気のような冷却剤を循環するための空間Ｅが設けられている。
【００３８】
図６と７の実施の形態において、線Ｚ−Ｚにより示した垂直平面の両側にハウジング１のための支持体として役立つのに適している。これにより、特にコンパクトな織成機構を得るのに適するようになる。
【００３９】
図８に示したように、全体として水平な列を形成する構造要素２にいくつかのハウジング１が配置されている配置において、織機の全幅に沿ってハウジング１を分配することができるような間隙Ｉを若干のハウジング１の間に設けることができる。これにより、通糸およびヘルド枠の位置決めが最適化されかつそれらが受ける応力が減らされる。これらの間隙Ｉにより、冷却空気流を循環させるための空間Ｅを大気と連絡することができ、それにより電子構成要素により発生した熱の排出が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による二つのパネルを有する、織成機構の設計を非常に概略的な風に示す正面図である。
【図２】 三つの重ねられた水平な列のハウジングの垂直な組立体を拡大尺度で示す垂直断面図である。
【図３】 本発明の設計の変形例を図１と同じように示した図である。
【図４】 本発明の設計の第二の変形例を示す図である。
【図５】 本発明の第三の実施の形態を示す、図２の断面と同様な断面を示す。
【図６】 本発明の第四の変形例による織成機構の概要図の垂直断面を示す。
【図７】 本発明の第五の変形例による織成機構の要素の概要図の断面を示す。
【図８】 本発明によるハウジングのパネルの概略正面図である。
【符号の説明】
１ ハウジング
２ 構造要素
２ｂ 底変形部
２ｄ 孔
５ 孔に収容される手段
６ 通糸
１０ ガイド
１２ ヘルド枠
１３ たて糸
１５ 制御機構
１８ 制御要素
ｄ1，ｄ2 間隔
ｄ3 水平方向のずれ
Ｅ 間隙
Ｐ 円弧状輪郭
Ａ，Ｂ パネル

Claims (10)

  1. 織機にひ口を形成するためのジャカード型織成機構において、たて糸(13)と関連したヘルド枠(12)に連結された通糸(6) が多数のハウジング(1) の区画室に収容された電気的回転アクチュエータにより制御され、一定数のすべての前記ハウジング (1) が少なくとも一つの構造要素 (2) に同じ水平な列でまたは同じ垂直な柱で受け入れられ、一緒に取り付けられた前記一つの構造要素または複数の構造要素 (2) がハウジング (1) の複数の柱と複数の列を形成しており、これによりハウジング(1) の前記複数の列および複数の柱は織機の頂部に位置する少なくとも一つのパネル(A,B,C,D) を構成することを特徴とするジャカード型織成機構。
  2. ハウジング(1) の列はそれらの間に、各パネルの頂部に向かって底から外側の方に配向された水平方向のずれ(d3)を有し、このずれ(d3)は各パネル(A,B) 上で規則的であって直線状輪郭を与えるか、または各パネル(A,B) の底から頂部へ増加して円弧状輪郭(P) を与えるようになっている請求項１のジャカード型織成機構。
  3. 同じ列または柱のハウジング(1) が、互いに取り付けられている凹状の構造要素(2) の内側に取り付けられていることを特徴とする請求項１のジャカード型織成機構。
  4. 構造要素(2) の組立体が各構造要素(2) のフランジに穿孔された孔に収容される手段(5) により実現され、各構造要素(2) の底変形部(2b)を上方フランジにあけた孔(2d)から分離する間隔(d1)が、構造要素の底変形部と底フランジにあけた孔(2e)を分離する間隔(d2)より大きいことを特徴とする請求項３のジャカード型織成機構。
  5. 各パネル(A,B) の列のうちのいくつかの列のハウジング(1) には、上方列のアクチュエータから来る通糸が通るガイド(10)が設けられていることを特徴とする請求項３のジャカード型織成機構。
  6. ハウジング(1) が、冷却用空気流の循環のための間隙(E) を与える構造要素(2) に取り付けられていることを特徴とする請求項３から５までのうちのいずれか一つによるジャカード型織成機構。
  7. 冷却用空気流の循環のための前記間隙(E) は前記アクチュエータとそれらの制御要素(18)から各構造要素の内側リブ(2g)により分離されていることを特徴とする請求項６のジャカード型織成機構。
  8. パネルの少なくともいくつか(A,D) は枢着されかつ制御機構(15)と相互作用することを特徴とする請求項１から７までのうちのいずれか一つに記載のジャカード型織成機構。
  9. 前記構造要素(2) が垂直平面(Z-Z′) の両側で前記ハウジング(1) のための支持体として役立つのに適することを特徴とする請求項３から８までのうちのいずれか一つに記載のジャカード型織成機構。
  10. 前記請求項のいずれかによる織成機構を備えていることを特徴とする織機。
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