JP4190506B2 - ウイスカ評価方法 - Google Patents

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Description

本発明はウイスカ評価方法に係り、特に、錫又は錫合金めっきが施された電子部品の電極等において発生するウイスカの発生及び成長を評価する方法に関する。
実装基板等に搭載される電子部品には一般的にはんだめっきが施される。環境問題への配慮から近年は鉛フリーはんだが多く用いられるようになっている。鉛フリーはんだは鉛を含まないため、鉛による環境汚染を低減することができる。ところが、従来はんだめっきに含まれていた鉛はウイスカと称される髭状結晶の成長を抑制する効果を有しており、鉛を含まない鉛フリーはんだを用いてめっきを施すと、ウイスカの発生に起因した問題が多く発生することがわかってきた。
また、鉛フリーはんだめっきによってウイスカの発生は多くなるが、めっきが施される部分(電子部品の電極部など)の材質や形状によってもウイスカの発生の程度が異なる。すなわち、ウイスカの発生は、めっき膜に働く応力に依存することが知られている。この応力は、めっきの内部応力や、下地層原子の拡散、めっき金属組織の回復/再結晶化によって発生する応力である。そこで、はんだめっきが施された電子部品や、そのような電子部品が搭載された実装基板に対してウイスカの発生及び成長を評価し、製品の信頼性を確保することが一般的に行なわれている。
従来のウイスカ評価方法として、室温放置、または、恒温放置、高温高湿放置、温度サイクル試験、不飽和水蒸気によるプレッシャークッカー試験(HAST)等がある。これらは、電子部品などの接続信頼性を評価する際に用いられているものである。また、これらのウイスカ評価方法は、JEITA発表の「鉛フリーはんだ実用化検討の2003年成果報告書」等に記載されている。
このように、従来のウイスカ評価方法では、上述のように温度、及び湿度を印加した環境試験によってウイスカの成長を評価/観察している。例えば、従来のウイスカ評価方法によれば、室温放置で1000時間を要する。評価時間は製品開発時間に影響するため、なるべく短い期間で評価をするために、ウイスカの発生及び成長を加速する評価方法も提案されている。上述の恒温放置、高温高湿放置、温度サイクル試験、不飽和水蒸気によるプレッシャークッカー試験は、ウイスカの発生や成長を加速する方法である。
特開2002−167300号公報 (第4−6頁、第5図) 特開2003−193287号公報 (第2−3頁) 特開2003−193289号公報 (第2−3頁)
まず、ウイスカが発生して成長する過程について、図1乃至図5を参照しながら簡単に説明する。
図1及び図2は電子部品の一例としての半導体パッケージを示す図であり、図1はその平面図、図2は側面図である。
図1に示す半導体パッケージは、TSOP(Thin Small Outline Package)と称されるパッケージされた集積回路であり、樹脂パッケージ部2から左右に複数の接続端子4が延出している。接続端子4は、図2に示すように屈曲されて、プリント基板などの実装基板6の電極6aにはんだ8により接合される。この際、はんだが接続端子4に密着するように、半導体パッケージの接続端子4の表面には、予め鉛フリーめっきとして錫(Sn)めっきが施される。
図3(a)に示すように、銅(Cu)合金等の母材10の上にSnめっき膜12を形成した場合について説明する。Snめっき膜12が形成されてからある程度の時間が経過すると、Snめっき膜12の表面が酸化されて表面酸化膜14も形成される。また、Snめっき膜12は再結晶化して結晶粒が粗大化する。さらに、下地である母材10のCuがSnめっき膜12中に拡散して下地拡散層16が形成される。
ここで、ウイスカ18は、Snめっき膜12の表面層で生じ、ウイスカ18の下層には、上述の下地拡散層16が厚く成長している。これは、厚く成長した下地拡散層16が、Snめっき膜12を局所的に押し上げ、結果的にSnめっき膜12の表面層に応力が作用し、Sn金属組織の回復/再結晶化 が促進されて、ウイスカの発生/成長に繋がることを示している。ウイスカは錫(Sn)の結晶が細長く髭状に成長して形成されたもので髭状結晶とも称される。環境条件によっては、ウイスカは表面酸化膜14を貫通して外側に向かって成長する。長いものでは400μmから1mm程度の長さにまで成長する。
上述の図1に示す半導体パッケージの接続端子4にウイスカが発生すると、図4に示すように、ウイスカ同士が非常に接近したり接触したりすることがある。図4は図1に示す接続端子4を示す拡大平面図である。ウイスカはSnの結晶であり、高い導電性を有しているため、隣接した接続端子のウイスカ同士が近接したり接触したりすると、この部分で短絡が生じることがある。接続端子間に短絡が生じると、半導体パッケージの動作不良が生じたり、半導体パッケージが破損したりすることがある。
上述のようなウイスカ発生による問題を事前に調べて、ウイスカの発生のない、あるいは発生の少ない条件(母材の材質、形状、めっき材の材質等)を選定するために行なわれる試験が、ウイスカ評価試験と称される試験である。評価対象として試験片あるいは電子部品を室温で放置してウイスカの発生を調べる場合、例えば1000時間というように長時間放置する必要があり、実用的ではない。そこで、ウイスカの発生、成長を促進して短時間でウイスカを発生させる加速評価試験が用いられる。
加速評価試験では、基本的に試験片あるいは電子部品に熱を加えることによりウイスカの発生を促進する。熱の他に湿度や圧力を加えたりする場合もある。
ここで、本発明者は、実際に加速評価試験がウイスカの発生、成長を促進しているものかにつき調査しところ、熱や湿度を加える従来の加速評価試験では、反対にウイスカの発成長が抑制されてしまっていることを発見した。すなわち、図5に示すように、従来の加速評価試験のように加速のために熱を加える方法では、ウイスカが成長して表面酸化膜14に到達するまでの間に表面酸化膜14が厚く成長してしまい、ウイスカ18が表面酸化膜14を突き破って成長することができなくなるものと考えられる。したがって、表面酸化膜14がウイスカの成長を抑制していると考えられる。
表面酸化膜14は、Snめっき膜の表面に雰囲気中の酸素Oが作用して形成される酸化膜であり、このような酸化は加熱条件下で加速される。したがって、表面酸化膜14の生成を抑制するためには、加熱を行なわないことが適当であるが、ウイスカの成長を促進するためには加熱は重要な条件であり、加熱を行なわないと評価試験の時間が長くなるといった問題がある。上述の例は、Snめっき膜の表面に酸化膜が生成された場合であるが、めっき膜の材質や雰囲気条件によっては、酸化膜ではなく水酸化膜が形成される場合もある。水酸化膜も酸化膜と同様に雰囲気中の酸素の存在が生成要因となる。
このように、ウイスカの発生及び成長を加速して評価時間を短縮する目的の加速試験において、ウイスカの発生及び成長を抑制してしまうことは逆効果であり、評価時間が長くなるばかりでなく、正確な評価ができなくなるという問題がある。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、ウイスカの発生及び成長が抑制されない条件下でウイスカ評価試験を加速して行なうことのできるウイスカ評価方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明によれば、鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、評価対象を不活性雰囲気内で3時間以上放置し、評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法が提供される。
上述のウイスカ評価方法において、不活性雰囲気の酸素濃度を1000ppm以下とすることが好ましい。
また、本発明によれば、鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、該評価対象の表面に生成された酸化膜を除去しながら、該評価対象を不活性雰囲気内に所定時間以上放置し、該評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法が提供される。
上述のウイスカ評価方法において、前記酸化膜の除去は、前記不活性雰囲気に還元ガスを導入することで達成することが好ましい。
また、評価対象を不活性雰囲気中で鉛フリーめっき膜の融点以下の温度に加熱することが好ましい。
上述のように、本発明によれば、不活性雰囲気中でウイスカの発生及び成長を加速するので、ウイスカの成長を抑制してしまう酸化膜あるいは水酸化膜の生成が抑制され、結果としてウイスカの発生及び成長を加速することができる。また、不活性雰囲気中に還元ガスを導入して酸化膜を除去しながらウイスカの発生及び成長を加速するので、ウイスカの発生及び成長を加速することができる。したがって、めっき膜本来のウイスカ発生特性について評価することでき、適切で正確なウイスカ評価を行なうことができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明者は、ウイスカの成長を抑制している酸化膜や水酸化膜の生成要因である雰囲気中の酸素を取り除くことを考えた。このために、図6に示すように、試験片あるいは電子部品を不活性雰囲気中においてウイスカ評価試験を行なう。ここで、不活性雰囲気とは、酸素を含まないか、あるいは酸素濃度が非常に小さい雰囲気である。不活性雰囲気を構成する媒体としては、ヘリウム(He)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性ガス、あるいは不活性な有機溶媒の蒸気が挙げられる。また、酸素濃度の程度として、以下に説明するように、1000ppm以下であれば、効果的に表面酸化膜や水酸化膜の生成を抑制できる。
なお、不活性な有機溶媒の例として、以下の溶媒が挙げられる。
*グリコール系
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
ペンタエチレングリコール、ヘキシレングリコール
*エーテル系
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル
*パーフルオロカーボン系
フロリナート、ガルデン
また、上述の不活性雰囲気は、酸化を抑制するために導入されるが、より積極的に酸化膜を除去することによりウイスカの発生を加速することもできる。すなわち、鉛フリーメッキ膜の表面には、ウイスカ評価試験に供される以前に極薄い表面酸化膜(自然酸化膜)が生成されることは避けられない。この表面酸化膜がウイスカ評価試験においてウイスカの成長の妨げとなることが考えられる。そこで、上述の不活性雰囲気に水素ガスのような還元ガスを導入することで、既に生成されている酸化膜を除去しながらウイスカ評価試験を行なうことで、よりウイスカの成長を促進させることができる。
以下に本発明によるウイスカ評価方法を用いて行なったウイスカ評価試験について説明する。
実験例1):不活性雰囲気中でのウイスカ成長
40mm×5mm×0.3mmの銅(Cu)板(Cu:99,99%)上に、電界めっきによりSnめっき膜を10μmの厚さで形成したサンプルを準備した。このサンプルをイナートオーブン中で、窒素ブローにより酸素濃度200ppmの不活性雰囲気にし、150℃に加熱して、恒温放置試験を行ない、ウイスカ評価を行なった。比較サンプルとして、大気雰囲気とした恒温槽においても、同様に150℃に加熱してサンプルの放置試験を行なった。ウイスカ評価としては、サンプルの片面全体において、放置100時間後に発生した長さ50μm以上のウイスカの数を調べた。
この結果、不活性雰囲気のイナートオーブン中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は35であり、大気雰囲気の恒温槽中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は18であった。したがって、不活性雰囲気中で行なった試験のほうが、大気雰囲気中で行なった試験よりも、ウイスカの発生は2倍近くも多いことが確認できた。すなわち、不活性雰囲気中での加熱のほうが大気雰囲気での加熱より、ウイスカの発生が促進されることが確認できた。
本発明によるウイスカ評価方法は、図1に示すような電子部品の接続端子において、Snめっきが施された部分に発生するウイスカの評価に特に適しているが、Snめっきやはんだめっきなどが施された他の部品や実装基板等にも適用可能である。
実験例2):不活性雰囲気中でのウイスカ成長
40mm×5mm×0.3mmの銅(Cu)板(Cu:99.99%)上に、電界めっきによりSnめっき膜を10μmの厚さで形成したサンプルを準備した。このサンプルを、VPS(Vapor Phase Soldering)装置で生成したフルオロカーボン蒸気雰囲気中で、155℃に加熱して、恒温放置試験を行ない、ウイスカ評価を行なった。比較サンプルとして、大気雰囲気とした恒温槽においても、同様に155℃に加熱してサンプルの放置試験を行なった。ウイスカ評価としては、サンプルの片面全体において、放置100時間後に発生した長さ50μm以上のウイスカの数を調べた。なお、VPS装置は高密度実装基板等に用いられる飽和蒸気を利用したリフローはんだ付け装置であり、フッ素系不活性化学液(ガルデン等)を加熱して得られる飽和蒸気雰囲気中に製品を浸漬し、製品に触れた蒸気が気化潜熱を放出して凝縮することにより、製品全体に均一な熱エネルギを与えることのできる装置である。また、VPSはNリフローと同様の低酸素リフローの一種であり、Nより更に低酸素(ほとんど無酸素)でリフローを行なうことができる。
以上の実験の結果、フルオロカーボン蒸気雰囲気中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は27であり、大気雰囲気の恒温槽中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は8であった。したがって、不活性雰囲気中で行なった試験のほうが、大気雰囲気中で行なった試験よりも、ウイスカの発生は3倍以上も多いことが確認できた。すなわち、不活性雰囲気中での加熱のほうが大気雰囲気での加熱より、ウイスカの発生が促進されることが確認できた。
以上の実験例1)、2)では、サンプルを不活性雰囲気中に放置すると共に加熱してウイスカの成長を促進したが、加熱を行なわなくても、室温で不活性雰囲気中に放置することだけでも酸化膜あるいは水酸化膜の生成が抑制されるので、ウイスカ評価試験を加速することができることがわかった。
また、上述の実験例ではサンプルを不活性雰囲気中に100時間放置したが、ウイスカの発生及び成長が速いものであれば、3時間程度の放置でもウイスカの成長に差が現れることがわかった。
さらに、不活性雰囲気であっても、多少の残存酸素を含んでおり、酸素濃度が1000ppm以下であれば、表面酸化膜や水酸化膜の生成を抑制してウイスカの発生を加速することができることがわかった。
また、サンプルの加熱温度は常温以上の温度であれば加速の効果は得られるが、めっき膜の融点以下とする必要がある。これは、めっき膜の融点以上に加熱すると、めっき膜が溶融してしまい、ウイスカも発生しなくなってしまうからである。
実験例3):不活性雰囲気+還元ガス中でのウイスカ成長
40mm×5mm×0.3mmの銅(Cu)板(Cu:99,99%)上に、電界めっきによりSnめっき膜を10μmの厚さで形成したサンプルを準備した。このサンプルを水素ガスと窒素ガスを導入したイナートオーブン中で、酸素濃度を270ppmとして、150℃に加熱して、100時間の恒温放置試験を行ない、ウイスカ評価を行なった。比較サンプルとして、水素ガスを導入しないで窒素ガスのみの不活性雰囲気で150℃に加熱した場合と、大気雰囲気とした恒温槽において同様に150℃に加熱した場合についても、サンプルの放置試験を行なった。ウイスカ評価としては、サンプルの片面全体において、放置100時間後に発生した長さ50μm以上のウイスカの数を調べた。
この結果、水素ガスと窒素ガスを導入したイナートオーブン中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は51であり、窒素ガスのみの不活性雰囲気中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は32であり、大気雰囲気の恒温槽中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は15であった。したがって、水素ガスを導入した不活性雰囲気中で行なった試験ではウイスカの発生数が最も多く、窒素のみの不活性雰囲気での試験におけるウイスカ発生数の1.5倍以上、大気雰囲気中で行なった試験におけるウイスカ発生数の3倍以上多いことが確認できた。すなわち、不活性雰囲気中に還元ガスとして水素ガスを導入することで、不活性雰囲気のみの場合より、ウイスカの発生が促進されることが確認できた。
実験例4):不活性雰囲気+還元ガス中でのウイスカ成長
40mm×5mm×0.3mmの銅(Cu)板(Cu:99,99%)上に、電界めっきによりSnめっき膜を10μmの厚さで形成したサンプルを準備した。このサンプルを、VPS装置で生成したフルオロカーボン(ガルデン155)蒸気雰囲気中で、水素ガスを導入しながら、150℃に加熱して、50時間の恒温放置試験を行ない、ウイスカ評価を行なった。比較サンプルとして、水素ガスを導入しないでフルオロカーボン蒸気のみの不活性雰囲気で150℃に加熱した場合と、大気雰囲気とした恒温槽において同様に150℃に加熱した場合についても、サンプルの放置試験を行なった。ウイスカ評価としては、サンプルの片面全体において、放置50時間後に発生した長さ50μm以上のウイスカの数を調べた。
以上の実験の結果、フルオロカーボン蒸気中に水素ガスを導入した雰囲気中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は41であり、フルオロカーボン蒸気のみの不活性雰囲気中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は16であり、大気雰囲気の恒温槽中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は7であった。したがって、水素ガスを導入した不活性雰囲気中で行なった試験ではウイスカの発生数が最も多く、フルオロカーボン蒸気のみの不活性雰囲気での試験におけるウイスカ発生数の約2.5倍、大気雰囲気中で行なった試験におけるウイスカ発生数の6倍近く多いことが確認できた。すなわち、不活性雰囲気中に還元ガスとして水素ガスを導入することで、不活性雰囲気のみの場合より、ウイスカの発生が促進されることが確認できた。
実験例5):不活性雰囲気+還元ガス中でのウイスカ成長
上述の実験例3)と同様な条件で、放置時間を3時間として発生した長さ50μm以上のウイスカの数を調べた。
この結果、水素ガスと窒素ガスを導入したイナートオーブン中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は5であり、窒素ガスのみの不活性雰囲気中に放置したサンプルで発生したウイスカの数は2であり、大気雰囲気の恒温槽中に放置したサンプルではウイスカの発生は見られなかった。したがって、水素ガスを導入した不活性雰囲気中で行なった試験によれば、3時間という短時間でもウイスカ評価試験を行なうことができることが確認できた。
以上の実験例3)、4)、5)では、サンプルを不活性雰囲気中に放置すると共に還元ガスを導入して酸化膜を除去しながら加熱してウイスカの成長を促進したが、加熱を行なわなくても、室温で還元ガスを導入した不活性雰囲気中に放置することだけでも、酸化膜が除去され且つ酸化膜あるいは水酸化膜の生成が抑制されるので、ウイスカ評価試験を加速することができることがわかった。
また、水素ガスを導入することにより、不活性雰囲気の酸素濃度が20%未満であれば、表面酸化膜や水酸化膜の生成を抑制してウイスカの発生を加速することができることがわかった。
また、サンプルの加熱温度は常温以上の温度であれば加速の効果は得られるが、めっき膜の融点以下とする必要がある。これは、めっき膜の融点以上に加熱すると、めっき膜が溶融してしまい、ウイスカも発生しなくなってしまうからである。
上述の本発明によるウイスカ評価試験は、鉛フリーめっきを施した電子部品や実装基板などに適用される。例えば、電子部品と実装基板を購入して製品に組立てる場合、購入した電子部品や実装基板を使用する前にウイスカ評価を行ない、電子部品を使用してよいか否かを判定する。図7はウイスカ評価から製品出荷までの工程のフローチャートである。
まず、ステップS1において、購入した電子部品及び実装基板から、ウイスカ評価試験を行うためのサンプルを準備する。電子部品及び実装基板は購入したものに限らず、自社で製造したものであってもよい。
次に、ステップS2において、電子部品又は実装基板を上述の本発明によるウイスカ評価方法により評価する。具体的には、電子部品又は実装基板を不活性雰囲気中で加熱しながら所定時間放置して、ウイスカの発生状況を調べる。ステップS2において、ウイスカの評価がNGとなった場合、すなわち、ウイスカ評価試験でウイスカの発生が規定以上であると判定された場合、スッテプS3において当該電子部品又は実装基板を非採用とする。
ステップS2においてウイスカ評価がOKとなった場合、当該電子部品や実装基板は組立て工程に送られ、製品として組立てられる。組立てられた製品に対して、ステップS5において動作試験が行わる。動作試験においてNGとなった場合、当該NGの製品はS6において修理され、再びステップ4の組立て工程に送られる。
ステップS5においてOKと判定された場合、当該製品は製品出荷工程に送られ、出荷される。
以上のような、製品の出荷までの工程において、ウイスカ評価試験が行なわれるステップ2は、比較的長時間が必要であり、このステップを短時間で完了すれば、その分部品を早く組立て工程に送ることができ、部品在庫の滞留がなくなる。したがって、本発明によるウイスカ評価方法を用いて電子部品や実装基板のウイスカ評価を行なうことにより、ウイスカ評価時間を短縮することができ、部品在庫の滞留を低減することができる。また、本発明によるウイスカ評価方法によれば、ウイスカの成長を抑制することがないので、正確な評価結果を得ることができ、製品の信頼性も向上する。
以上の如く本明細書は以下の発明を開示する。
(付記1)
鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、
該評価対象を不活性雰囲気内で3時間以上放置し、該評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記2)
付記1記載のウイスカ評価方法であって、
前記不活性雰囲気の酸素濃度を1000ppm以下とすることを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記3)
鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、該評価対象の表面に生成された酸化膜を除去しながら、該評価対象を不活性雰囲気内に所定時間以上放置し、該評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記4)
付記1記載のウイスカ評価方法であって、
前記不活性雰囲気の酸素濃度を20%未満とすることを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記5)
付記3又は4記載のウイスカ評価方法であって、
前記酸化膜の除去は、前記不活性雰囲気に水素ガスを導入することで達成することを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記6)
前記還元ガスは水素ガスであることを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記7)
付記1乃至6のうちいずれか一項記載のウイスカ評価方法であって、
前記評価対象を前記不活性雰囲気中で前記鉛フリーめっき膜の融点以下の温度に加熱することを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記8)
付記1乃至7のうちいずれか一項記載のウイスカ評価方法であって、
前記不活性雰囲気を、不活性ガス及び不活性な有機溶媒の蒸気のうち少なくとも一方により生成することを特徴とするウイスカ評価方法。
(付記9)
付記8記載のウイスカ評価方法であって、
前記不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムのいずれかを含むことを特徴とするウイスカ評価方法。
電子部品の一例としての半導体パッケージを示す平面図である。 図1に示す半導体パッケージが実装基板に搭載された状態の側面図である。 ウイスカの発生を説明するための図である。 電子部品の接続端子に発生したウイスカを示す図である。 表面酸化膜によりウイスカの成長が抑制される例を示す図である 本発明によるウイスカ評価方法でのウイスカの成長を示す図である。 ウイスカ評価から製品出荷までの工程のフローチャートである。
符号の説明
2 パッケージ部
4 接続端子
6 実装基板
6a 電極
8 はんだ
10 母材
12 Snめっき膜
14 表面酸化膜
16 下地拡散層
18 ウイスカ

Claims (5)

  1. 鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、
    該評価対象を不活性雰囲気内で3時間以上放置し、該評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法。
  2. 請求項1記載のウイスカ評価方法であって、
    前記不活性雰囲気の酸素濃度を1000ppm以下とすることを特徴とするウイスカ評価方法。
  3. 鉛フリーめっきが施された評価対象の鉛フリーめっき膜上に発生するウイスカの発生及び成長の程度を評価するウイスカ評価方法であって、
    該評価対象の表面に生成された酸化膜を除去しながら、該評価対象を不活性雰囲気内に所定時間以上放置し、該評価対象の表面に発生したウイスカを観察して発生及び成長の程度を評価することを特徴とするウイスカ評価方法。
  4. 請求項3記載のウイスカ評価方法であって、
    前記酸化膜の除去は、前記不活性雰囲気に還元ガスを導入することで達成することを特徴とするウイスカ評価方法。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のウイスカ評価方法であって、
    前記評価対象を前記不活性雰囲気中で前記鉛フリーめっき膜の融点以下の温度に加熱することを特徴とするウイスカ評価方法。
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