JP4188586B2 - Ptp包装材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬品等の包装に使用されるPTP(Press Through Pack)包装材に関するものである。特に、熱封緘性接着剤を用いた蓋材を備えたPTP包装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PTP包装材は、内容物を格納するための容器の部分となる、ポケットを成形したプラスチックシ−トの加工成形体と、その容器口部を密封するための蓋の部分となる、金属箔、特にアルミニウム箔の基材の一面に熱封緘性樹脂層を設けた蓋材との二つの部分からなる。
【0003】
容器本体を形成するプラスチックシ−トとしては、加工性に優れているため古くから塩化ビニル樹脂シ−トが使用されているが、近年、防湿性に優れかつ安価であるところから、ポリプロピレンシ−トが使用されるようになってきている。一方、蓋材の基材としては、金属箔、特にアルミニウム箔が通常採用されている。なお、破裂を容易にするための加工を施したプラスチックフィルムも提案されているが、未だ実用されるには至っていない。
【0004】
前記の蓋材は、通常、金属箔、特にアルミニウム箔の基材の片面又は両面に文字やデザインを印刷し、更にその上に一方の面(外側になる面)には、必要により、無色または着色した透明な耐熱性被覆剤を塗工するか、または、プラスチックフィルムを積層することにより熱封緘時に文字やデザインなどの印刷層を保護するための耐熱性樹脂層を設け、反対の面(接着される面)にはプラスチック製容器に加熱圧着によって熱封緘させるために、文字やデザインあるいは全面着色の印刷層を印刷し、更にその上に無色または着色した熱封緘性接着剤を塗布して熱封緘性樹脂層を形成させることにより製造されている。
【0005】
包装作業における内容物の充填操作は、前記の容器となるポケットを設けた塩化ビニル樹脂シ−トやポリプロピレンシ−トの加工成形体に内容物を格納した後、その開口面側に前記のアルミニウム箔の蓋材をその熱封緘性樹脂層が接触するように積層し、蓋材の熱封緘性樹脂層を設けた面の反対面から熱バーあるいは熱封緘ドラムにより加熱および加圧してプラスチック容器の非ポケット部分に熱融着させることによって遂行される。
【0006】
加熱加圧条件は積層材料の種類によって異なるが、熱封緘温度は80ないし250℃の間で行われており、熱封緘圧力は0.10ないし0.29MPa/cm2に設定されていることが多い。
【0007】
前記蓋の熱封緘性樹脂層は、通常、熱可塑性樹脂からなり、加工成形体(プラスチック容器)の材質により、それぞれ塩化ビニル(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を主成分とする樹脂組成物が使用されているが、ポリプロピレン製容器に対しては塩素化ポリプロピレンが従来から使用されてきている。
【0008】
熱封緘性樹脂として塩素化ポリプロピレンを用いると、金属箔とポリプロピレンシートの加工成形体との熱封緘性は良好であるが、容易に塩素を放出するので、包装作業、保管等の環境に悪影響を与えたり、格納される医薬品等の内容物の品質を損なうという欠点がある。その解決策として近年、熱封緘性樹脂として酸変性ポリプロピレンあるいは酸変性ポリプロピレンを主成分とする樹脂組成物が使用されるようになってきている。かかる酸変性ポリプロピレンを用いると、金属箔とポリプロピレンシートの加工成形体との熱封緘性が良好で、かつ塩素の発生等の問題もない。酸変性ポリプロピレンは、有機溶剤に不溶のため、有機溶剤中に微粒子状に分散させた分散体で使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸変性ポリプロピレンを有機溶剤に微粒子状に分散させた分散体には次の問題がある。該分散体は常温で液状のため微粒子が沈殿しやすい。グラビアコーターにおける塗工作業性では、乾燥皮膜が不溶性のためグラビアロールの版目が詰まりやすくグラビアロールの清掃も困難等の問題がある。また、このタイプは成膜温度が高いため高温乾燥が要求され高エネルギーが必要となる反面、金属箔、特にアルミニウム箔の場合はアルミニウム箔が高温により軟らかくなったりシワの発生の原因にもなり乾燥温度のコントロールが難しく成膜あるいは接着強度が不均一になりやすい。塗工された塗膜は白っぽく見え下地が着色されている場合色調がくすむという欠点もある。
【0010】
【課題についての検討】
本発明者等は課題の解決のため、有機溶剤に溶解し金属箔、特にアルミニウム箔とポリプロピレンシートとの熱封緘性が良好な樹脂を種々検討したところ、部分水素添加したビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に不飽和カルボン酸を付加した変性ブロック共重合体が各種有機溶剤に溶解し、グラビアロールでの塗工作業性が優れ、尚かつアルミニウム箔とポリプロピレンシ−トとの熱封緘性も良好であることを見いだした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プラスチックシートにポケットを形成した容器と、その容器に内容物を収容した後、容器口部に熱封緘される熱封緘性蓋材とからなり、前記熱封緘性蓋材が、基材と、その基材に塗布される主成分が部分水素添加したビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に不飽和カルボン酸を付加した酸変性ブロック共重合体からなる熱封緘性接着剤とを有することを特徴とするPTP包装材である。
このようなPTP包装材の基材としては、金属箔、紙、プラスチックフィルムからなる群から選ばれた単層または2種以上の積層体が用いられる。さらに、金属箔基材に印刷層と熱封緘性接着剤をその順に塗布したものであってもよい。さらに、熱封緘性蓋材は、金属箔、特にアルミ箔を基材とするものであることが好ましい。前記容器はポリプロピレン樹脂製のものが好ましい。
【0012】
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとから構成されてなるブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックを少なくとも1個、好ましくは2個以上、共役ジエンを主体とする重合体ブロックを少なくとも1個の、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体である。
【0013】
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族化合物の含有量と共役ジエン化合物の含有量の重量比は、10/90〜90/10の範囲が好ましい。ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが特に好ましい。また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のうちから1種または2種以上選ばれ、中でもブタジエンが特に好ましい。
【0014】
上記ブロック共重合体を、公知の方法で水添することにより、部分水素添加ブロック共重合体が合成される。該部分水素添加ブロック共重合体は、次いで、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応により変性される。部分水素添加ブロック共重合体に付加させる不飽和カルボン酸またはその誘導体の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、あるいはそれらの無水物が挙げられるが、これらの中では、無水マレイン酸が特に好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体のブロック共重合体への付加量は、ブロック共重合体100重量部あたり0.05〜20重量部が好ましく0.1〜10重量部が更に好ましい。
【0015】
次に、上記ブロック共重合体を有機溶剤に溶解撹拌させるが、有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン,N−ヘキサン、ベンジン、ゴム揮発油、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類等、またそれらの混合溶液が含まれる。
【0016】
前記接着剤組成物には、必要に応じて微粉ケイ酸、ゼオライト等のブロッキング防止剤、ジメチルポリシロキサン、ワックス等のスリップ剤、熱硬化性アクリル樹脂、ブチル化メラミン樹脂等の硬化剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を含めることができる。
【0017】
前記接着剤は、例えば室温又は加温しながら攪拌機の付いた混合タンク等で有機溶剤に主原料を溶解させ、各種添加剤を混合することにより製造する。塗工は、通常はグラビアコーターによるが、溶液型のため微粒子の沈殿やグラビアロールの目詰まりが無く塗工作業性は良好である。
【0018】
【実施例】
〔実施例1〕 表1の実施例1欄に記載した配合に基づき、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンの混合溶剤を加温撹拌しつつ、スチレン・ブタジエン共重合物の水素添加物の有機酸誘導体付加物の全量を添加し、溶解させた。その後微粉ケイ酸とジメチルポリシロキサンを添加した。得られた溶液をバーコーターにて20μアルミニウム箔の艶消面に塗布しオーブンにて180℃で10秒乾燥した後、ポリプロピレンシート(住友化学製NS3450)と0.29MPaの圧力で100℃から20℃毎に200℃まで各1秒間熱封緘した。その後オートグラフにて、剥離角度180度、剥離スピード200mm/minで熱封緘強度を測定した。その結果は表2に示したように良好な熱封緘性を示した。次に、この溶液をグラビアコーターにかけ、塗工作業性を調べた。グラビアコーターは、ロールが60メッシュ、塗工スピード50m/min、乾燥設定温度200℃であった。結果は、表2に示す通り良好であった。
【0019】
〔実施例2〕 表1の実施例2欄に記載した配合に基づき溶液を調製し、実施例1と同様に熱封緘強度測定用の試料を作成し熱封緘強度を測定し、グラビアコーターにより塗工作業性を調べた。結果は、実施例1と同様に良好な熱封緘性及び塗工作業性を示した。表2にその結果を示す。
【0020】
〔比較例1〕 酸変性ポリプロピレンのトルエン分散体(三井化学(株)製のユニストールR300:固形分15重量%)をバーコーターにて20μアルミニウム箔の艶消面に塗布し、実施例1と同様の熱封緘強度を測定し、グラビアコーターにより塗工作業性を確認した。
【表1】
Figure 0004188586
【0021】
注1.配合組成を表す表中の数字は重量%である。
*1.旭化成工業(株)製:タフテックM1962(スチレン・ブタジエン共重合物の部分水素添加物の有機酸誘導体(無水マレイン酸)付加物)
*2.クレイトンポリマージャパン(株)製:クレイトンFG1901X(スチレン・ブタジエン共重合物の部分水素添加物の有機酸誘導体(無水マレイン酸)付加物)
*3.水澤化学工業(株)製:ミズカシルP−802Y
*4.東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製:SH200オイル350CS
*5.三井化学(株)製:ユニストールR300(カルボン酸変性ポリプロピレンのトルエン分散体
【表2】
Figure 0004188586
【0022】
前述の熱封緘性接着剤は、熱封緘性樹脂に塩素を含まず、熱封緘性樹脂溶液を金属箔に塗工する作業においても分散型の欠点である微粒子の沈殿やグラビアロールの版目の詰まりが無く、製膜温度も高温が必要でなく作業性が良好であり、使用有機溶剤の選択によりトルエンを使用することも可能であるが、環境問題や労働衛生の見地からトルエンは使用しない方が好ましい。塗工した塗膜も透明であり塗膜表面もなめらかで下地が着色されていても色調はくすまない。表2の結果の通りポリプロピレンとアルミニウム箔との熱封緘強度においても従来の分散型に比べて遜色のない性能を発揮しており、本発明が金属箔、特にアルミニウム箔とポリプロピレン樹脂との熱封緘性接着剤として有効であり、この熱封緘性接着剤を金属箔、特にアルミニウム箔に塗布した熱封緘性蓋材がポリプロピレン製PTP包装容器用に有効であることが確認できた。更に、アルミニウム箔以外の金属箔、紙、プラスチックフィルム等、あるいはこれらを積層したものを基材とする熱封緘性接着剤としても広く応用する事ができる
【0023】
【発明の効果】
本発明のPTP包装材は、熱封緘性蓋材の基材(特に金属箔)に用いる熱封緘性接着剤が、主成分が部分水素添加したビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に不飽和カルボン酸を付加した酸変性ブロック共重合体であるため、基材とブラスチックシートの加工成形体(容器)との熱封緘性が良好で、塗工性が良好である、特にポリプロピレン製PTP包装容器の場合、有害ガスが発生しない。

Claims (5)

  1. プラスチックシートにポケットを形成した容器と、その容器に内容物を収容した後、容器口部に熱封緘される熱封緘性蓋材とからなり、
    前記熱封緘性蓋材が、基材と、その基材に塗布される主成分が部分水素添加したビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に不飽和カルボン酸を付加した酸変性ブロック共重合体からなる熱封緘性接着剤とを有する、PTP包装材。
  2. 前記基材が、金属箔、紙、プラスチックフィルムからなる群から選ばれた単層または2種以上の積層体である、請求項1記載のPTP包装材
  3. 前記金属箔基材に印刷層と前記接着剤をその順に塗布したことを特徴とする、請求項2記載のPTP包装材
  4. 前記基材がアルミ箔である請求項1記載のPTP包装材
  5. 前記容器がポリプロピレン樹脂製である請求項記載のPTP包装材。
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