JP2797094B2 - 耐熱性ptp用蓋材 - Google Patents

耐熱性ptp用蓋材

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は包装材用の蓋材に関するものである。更に詳
しくは、主として固形物の包装に使用される形態で、プ
ラスチックシートに内容物を格納するための凹所(ポケ
ット)を設けた容器とその開口部を封鎖するためのアル
ミニゥム箔またはグラシン紙等を基材とする蓋材とから
構成されており、容器の底部を押圧することにより、蓋
材を破裂させて内容物を取り出すことができる構造の、
所謂、PTP(Press Through Pack)包装において有用なP
TP用蓋材に関する。
(従来の技術) 一般的なPTP包装形態は内容物を格納するための容器
の部分となる、塩化ビニル樹脂やポリプロピレン等のシ
ートに圧空成形法や真空成形法等によりポケットを設け
た加工プラスチックシートと、その蓋の部分となるアル
ミニゥム箔またはグラシン紙等を基材とするシートとの
二つの部分とからなっている。
蓋材は通常、基材であるアルミニゥム箔またはグラシ
ン紙等に必要に応じて片面または両面にアンダーコート
を設け或いは設けないで、文字やデザインを印刷し、更
に片面にはプラスチック製容器のフランジ部分に加熱圧
着することにより熱封緘させるために熱可塑性の樹脂組
成物または塗料を塗布するか或いは熱封緘性の熱可塑性
樹脂フィルムを融着させるかまたは接着剤を介して貼着
させることにより熱封緘性樹脂層を形成させ、反対の面
には、必要により無色または着色した透明な耐熱性のオ
ーバーコート剤またはプラスチックフィルムを施すこと
によって製造されている。
前記の蓋材の製造工程において基材であるアルミニゥ
ム箔またはグラシン紙等には必要に応じて片面または両
面にアンダーコートを設け、或いは設けないで、文字や
デザインがグラビア印刷或いはフレキソ印刷等の方式に
より印刷されるが、その多くはPTPの内容物を識別する
ための製造者のマークや商品名或いは製品番号、分類番
号、注意事項等であり、非常に重要である。
蓋材の基材であるアルミニゥム箔またはグラシン紙等
に対する文字やデザインの印刷は前記したようにグラビ
ア印刷或いはフレキソ印刷等の方式が多く採用されてお
り、インキのビヒクルとしては包装材料としての最終用
途、後加工条件等により異なるが、ニトロセルロース、
ポリアミド樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、
アクリル樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン樹脂等種々の樹脂の有機溶剤溶液や
水溶液或いは水性分散液がそれぞれ使い分けられてい
る。
PTPの包装作業は、容器となる塩化ビニル樹脂シート
やポリプロピレンシート等のプラスチックシートに成形
したポケットの凹部に内容物を格納した後、その開口面
側に前記の蓋材をその熱封緘性樹脂層が接触するように
重ね合せ、蓋材の熱封緘性樹脂層の反対面から熱封緘バ
ー或いは熱封緘ドラムにより加熱すると同時に加工して
プラスチック容器のフランジ部分に融着させることによ
って遂行される。
加熱加圧条件即ち熱封緘条件は被着材即ち容器の材質
によって異なるが、熱封緘温度は100℃乃至200℃、一般
に120℃乃至180℃の間で行われており、熱封緘圧力は1
乃至3kg/cm2に設定されていることが多い。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、近年、包装費の低減を図るためにPTP包装に
おいては内容物の充填工程の高速化が行われるようにな
ってきており、そのために熱封緘の温度および圧力が従
来よりも必然的に高く設定されるために、熱封緘する時
に蓋材の基材と熱封緘性樹脂層との間に印刷された文字
やデザインのインキ皮膜が滲みを起こしたり、切れたり
して変形を生ずる、所謂、色流れ現象を起こすという問
題が生じてきた。
即ち、熱封緘温度の上昇によってインキのビヒクルの
軟化、流動の傾向が大きくなり、かつ、圧力も大きくな
るために文字やデザインのインキ皮膜がしごかれて流動
を起こすため、文字やデザインが滲みや濃度ムラを生じ
て、色流れ現象になるものと思われる。
(問題を解決するための手段) 本発明者らはアルミニゥム箔またはグラシン紙等を基
材とするPTP(Press Through Pack)包装の蓋材であっ
て、蓋材を容器へ熱封緘する温度および圧力が高くなっ
ても蓋材の基材と熱封緘性樹脂層との間に印刷された文
字やデザインのインキ皮膜が滲みを起こしたり、切れた
りして変形し色流れ現象を起こすことのない耐熱性PTP
用蓋材を開発するために研究を重ねた結果、アルミニゥ
ム箔またはグラシン紙等の紙基材を基材とし、 フェノキシ樹脂(A) 50〜90% および アミノ樹脂(B) 10〜50% を主成分とする樹脂混合物(ただし、(A)+(B)=
100%である。)の有機溶剤溶液をビヒクルとするイン
キを使用して印刷を施し、該印刷面の上に熱封緘性樹脂
層を設けることにより構成したPTP用蓋材は塩化ビニル
樹脂シートやポリプロピレンシート等のプラスチックシ
ート製の容器に熱封緘するに際して、200℃以上の高
温、例えば220℃の熱封緘温度および5kg/cm2の高い圧力
で熱封緘しても、色流れ現象を生じないこと見出して本
発明に到達したもののである。
本発明の耐熱性PTP用蓋材の基材として使用するアル
ミニゥム箔は硬質乃至軟質のいづれでも使用可能であ
り、厚さは通常のPTP用蓋材として使用されるものであ
ればよく、5乃至50μ、好ましくは5乃至30μである。
また紙基材としては、晒クラフト紙、上質紙、純白ロー
ル紙、薄口模造紙、グラシン紙、その他薄葉紙等種々の
ものが使用可能であるが、破裂性、透明性等の性質から
グラシン紙が好ましく、坪量20乃至40g./m2程度のもの
が適当である。
本発明の耐熱性PTP用蓋材の基材であるアルミニゥム
箔またはグラシン紙等に必要に応じて片面または両面に
アンダーコートを設け或いは設けないで、文字やデザイ
ンを印刷する工程において使用されるインキのビヒクル
中に使用する樹脂混合物の第一の主成分であるフェノキ
シ樹脂(A)は一般にポリグリシディルエーテル化合物
と有機または無機の多塩基酸との反応から得られる重合
体構造を有するね可塑性樹脂である。例えば、代表的な
ものとしてはエピクロロヒドリンとビスフェノールAと
の反応生成物があり、ビスフェノール型エポキシ樹脂に
ビスフェノールA等のビスフェノール化合物を反応させ
て製造したものが多く市販されているが、特に限定され
るものではなく、用途等からの要請によって特定の組成
を合成したものでも、市販品から適当に選択したもので
も使用することが出来る。
また、第二の主成分であるアミノ樹脂は通常の市販品
が使用可能で特に制約はなく、尿素樹脂、メラミン樹
脂、グアナミン樹脂或いはそれらの共縮合樹脂などが適
当である。
メラミン樹脂としてはアルキルエーテル化メラミン樹
脂、例えばメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエー
テル化メラミン樹脂またはイソブチルエーテル化メラミ
ン樹脂等が好ましい。
尿素樹脂としてはブチルエーテル化尿素樹脂、イソブ
チルエーテル化尿素樹脂等のアルキルエーテル化尿素樹
脂が好ましい。
グアナミン樹脂としてはアセトグアナミン、ベンゾグ
アナミン等種々の置換基を持つグアナミン類のアルキル
エーテル化グアナミン樹脂が使用可能であるが、特にメ
チルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂やブチルエーテル
化或いはイソブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が
好ましい。
尚、本発明のアルミニゥム箔用耐熱性インキのビヒク
ル中には樹脂成分として主成分のフェノキシ樹脂(A)
およびアミノ樹脂(B)以外の皮膜形成剤を併用するこ
とは差し支えなく、特にアクリル系樹脂、エポキシ樹
脂、繊維素系誘導体等の併用は相溶性や物性の改質等の
点で適当である。
本発明の耐熱性PTP用蓋材において印刷に使用するグ
ラビア印刷或いはフレキソ印刷用のインキのビヒクルの
溶剤は特に制約はなく、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化
水素系、ハロゲン化炭化水素系、エステル系、エーテル
系、ケトン系、アルコール系等の一般に有機溶剤型のグ
ラビア印刷およびフレキソ印刷用のインキの配合に使用
されるものを使用すればよく、前記フェノキシ樹脂
(A)とアミノ樹脂(B)との樹脂混合物を溶解し、か
つ印刷適性を満足するように任意に配合すればよい。
なお、インキとしての他の主要構成成分である着色剤
については通常、グラビアインキ、特に包装材用グラビ
アインキ乃至フレキソインキに使用される顔料や染料お
よび体質顔料であれば使用上、特に問題はなく、目的に
応じて任意に選択して配合することができ、更に通常、
塗料およびインキにおいて使用される添加剤、例えば顔
料分散剤、レベリング剤、滑剤、可塑剤等を添加するこ
とも何等の支障はない。
前記のインキは主としてグラビア版またはフレキソ版
によって印刷されることを目的としているが、印刷工程
における条件は特になく、乾燥条件としても通常200±5
0℃で2〜15秒乾燥処理するのが適当である。
本発明の耐熱性PTP用蓋材の基材には必要によりアン
ダーコートを処理してもよい。例えば吸収性の紙基材の
場合にインキや着色熱封緘性樹脂層が滲むのを防ぐため
に目止め剤としてビニル共重合体を塗布するなど、通常
行われる処理は適宜施工することは差し支えない。
本発明の耐熱性PTP用蓋材の熱封緘性樹脂層は従来、
使用されている一般的な、熱可塑性樹脂を主成分とする
組成物が使用される。即ち、PTPの容器の材質が塩化ビ
ニル樹脂の場合には塩化ビニル(共)重合体をベースと
する組成物を、ポリプロピレン系樹脂の場合には塩素化
ポリプロピレンをベースとする組成物を塗布するのが一
般的である。
(作用および効果) 本発明の耐熱性PTP用蓋材は前記のように基材上に直
接、或いはその上に処理されたアンダーコート上に印刷
を施し、その上に熱封緘性樹脂層を設けて構成される。
この蓋材は基材、インキ皮膜および熱封緘性樹脂層のそ
れぞれの層間の接着性が良好であり、高い熱封緘温度お
よび大きい圧力による容器への熱封緘においてもインキ
のビヒクルの軟化、流動の傾向が大きくならず、文字や
デザインの色流れ現象を起こさないことを特徴とするも
のであって、印刷は通常、グラビア印刷またはフレキソ
印刷の方式によって行われる。
本発明の蓋材の熱封緘面の印刷に使用される前記イン
キのビヒクルは フェノキシ樹脂(A) 50〜90% および アミノ樹脂(B) 10〜50% を主成分とする樹脂混合物(ただし、(A)+(B)=
100%である。)の有機溶剤溶液であるが、前記主成分
中においてフェノキシ樹脂(A)の割合が90%を超え、
アミノ樹脂(B)の割合が10%より低下するとインキ皮
膜の耐熱性が低下して熱封緘時に色流れ現象を起こす。
また、フェノキシ樹脂(A)の割合が50%より低下し、
アミノ樹脂(B)の割合が50%を超えるとインキ皮膜の
耐熱性は良好であるがアルミニゥム箔への密着性および
熱封緘性樹脂層との層間密着性が低下する。
以下、更に実施例によって説明する。
[実施例1] 表1に記載した配合組成に基づいてフェノキシ樹脂と
ブチルエーテル化メラミン樹脂とを混合、攪拌してイン
キのビヒクルを作成した。得られたビヒクル中に青色顔
料のファーストゲン・ブルーGNPTを添加、混合して湿潤
させた後、表1の添加溶剤の80%を加えて希釈した後、
容量500CCのバッチ式卓上型サンドミルを使用して1700
回転で20分間処理して分散させ、残部の溶剤を加えてイ
ンキを調製した。
得られたインキを網目密度120線、セルの深さ25μの
グラビア版を使用して、文字および線を厚さ20μの半硬
質片艶アルミニゥム箔の艶消し面に印刷し、その印刷面
に下記の配合組成を有する熱封緘性被覆剤を乾燥皮膜厚
さが6μになるように塗工して熱封緘性樹脂層を設け
た。
(熱封緘性被覆剤) バイロン300 50部 (東洋紡績(株)製ポリエステル樹脂) ビニライトVMCH 50部 (米国UCC社製塩化ビニル共重合体) トルエン 150部 メチルエチルケトン 150部 計 400部 前記の印刷面に熱封緘性樹脂層を設けたアルミニゥム
箔試料について碁盤目試験(JIS K−5400)を行った
後、試験面にセロハンテープを貼付けて引き剥し、イン
キ皮膜の剥離状態を観察して密着性を調べた。
次に別のアルミニゥム箔試料を厚さ250μの硬質塩化
ビニル樹脂シート(住友ベークライト(株)製VSS120
2)に熱封緘性樹脂層が接触するように重ねて、熱封緘
バーを使用してアルミニゥム箔の側から熱封緘温度200
℃、熱封緘圧力5.5kg/cm2および加圧時間1秒間の条件
で熱封緘を行い、熱封緘面を観察してインキ皮膜の色流
れ性を調べた。
試験結果はインキの配合とともに表1に記載したが、
インキ皮膜の剥離は観察されず、熱封緘面のインキ皮膜
の流動も全く観察されず、充分な密着性と耐熱性を示し
た。
[実施例2] 実施例1においてインキのビヒクル中のフェノキシ樹
脂の割合を本発明の範囲内にあって上限に近い値とし、
従ってアミノ樹脂の割合を下限に近い値とした場合であ
り、インキの製造乃至インキ皮膜の性能試験は全く同様
に行った。
配合組成並びに性能評価も同様に表1に示したが、イ
ンキ皮膜の密着性および色流れ性はいづれも良好であっ
た。
[実施例3] 実施例1においてビヒクルの作成にあたって、フェノ
キシ樹脂の割合を本発明の範囲内にあって下限に近い値
とし、従ってアミノ樹脂の割合を上限に近い値とした場
合であって、インキの製造乃至インキ皮膜の性能試験は
実施例1と同様に行った。
配合組成並びに性能評価は実施例1と同様に表1に示
した。
インキ皮膜の密着性および色流れ性はいづれも良好で
あった。
[比較例1] 実施例1においてビヒクルの作成にあたって、フェノ
キシ樹脂の割合として本発明の範囲の下限より低い値を
採り、従ってアミノ樹脂の割合が上限を超えた値を採っ
た場合について行ったもので、その他の条件並びに操作
は実施例1と同様に行った。
配合組成並びに性能評価については実施例1と同様に
表1に示した。
インキ皮膜の色流れ性は良好であったが、密着性の試
験においてセロハンテープによってインキ皮膜の80%以
上が剥離され、剥離層は大部分がインキ皮膜と熱封緘性
樹脂層との間であった。
[比較例2] 実施例1においてビヒクルの作成にあたって、フェノ
キシ樹脂の割合として本発明の範囲の上限を超えた値を
採り、従ってアミノ樹脂の割合が下限より低い値を採っ
た場合について、その他の条件や操作等はは全く実施例
1と同様にして行った。
配合組成並びに性能評価は実施例1と同様に表1に示
した。インキ皮膜の密着性については剥離等の損傷は全
く観察されず良好であったが、色流れ性の試験において
熱封緘された部分の文字や線等のインキ皮膜が熱と圧力
によって流動を起こし、輪郭が不分明になり濃度が薄く
なるとともにむらが生じており耐熱性がないことが認め
られた。
[実施例4] 実施例1において熱封緘性被覆剤として塩素化ポリプ
ロピレン溶液(東洋化成工業株式会社製、ハードレン13
−L「塩素含量26%、不揮発分30%、トルエン溶液)を
使用し、熱封緘試験用シートとして厚さ250μのポリプ
ロピレンシート(住友ベークライト(株)製、NS2400
A)を使用した以外は全く同様にして、インキの製造乃
至インキ皮膜の性能試験を行った。
インキ皮膜の密着性および色流れ性はともに良好で実
施例1と同様の結果が得られた。
[実施例5] 実施例1において蓋材の基材としてアルミニゥム箔の
代わりに坪量30.5g/m2のグラシン紙を使用して同様に試
料の作成および試験を行った。
インキ皮膜の密着性および色流れ性はともに良好で実
施例1と同様の結果が得られた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニゥム箔または紙基材の一面に、 フェノキシ樹脂(A) 50〜90%(重量%、以下全て同
    様である。) および アミノ樹脂(B) 10〜50% を主成分とする樹脂混合物(ただし、(A)+(B)=
    100%である。)の有機溶剤溶液をビヒクルとするイン
    キを使用して印刷を施し、該印刷面の上に熱封緘性樹脂
    層を設けたことを特徴とする耐熱性PTP用蓋材。
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