JP4188574B2 - トンネル内軌道の解体工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トンネル内軌道の解体工法に関し、特に、レールと枕木とを備えた軌道をブロック状態に分断して解体撤去することにより、施工能率を改善することができるトンネル内軌道の解体工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法によるトンネル工事では、構築されたトンネル内に軌道を敷設して、セグメントなどの資材の運搬や作業員の運搬などを行っている。このような軌道は、通常、複数の枕木と複数条のレールとで構成されていて、トンネル軸方向に沿って、枕木を所定の間隔を隔てて、相互に平行になるように設置し、これらの枕木間を連結するようにしてレールが固設される。
【0003】
ところで、このようにして敷設されたトンネル内軌道は、トンネル工事が終了すると解体撤去されることになるが、このようなトンネル内軌道を解体撤去する際には、従来、小型クレーンなどを用いて、枕木をレールから1本ずつ取り外し、バッテリー機関車などにこれらを積載して、坑外に搬出していた。
【0004】
しかしながら、このような従来のトンネル内軌道の解体工法には、以下に説明する課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前述した従来の解体工法では、枕木を個別に取外して撤去するので、能率が悪く、構築するトンネルの全長が長いと、解体撤去の終了までに日数がかかり、次の工程に多大な影響を及ぼす。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、能率の良いトンネル内軌道の解体工法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、トンネルの軸方向に沿って所定の間隔を隔てて、トンネル内面下部に渡設された複数の枕木と、前記枕木上に固設された複数本のレールとを備えたトンネル内軌道の解体工法において、前記トンネル内軌道を、前記レールにより連結された複数本の前記枕木を有する複数の軌道ブロックに分断し、坑口からもっとも離間した側に位置する軌道ブロックを、上昇移動させた後に坑口側に移動させて、当該軌道ブロックに隣接する他の軌道ブロックの前記レール上に載置し、載置された前記軌道ブロックを前記レールに沿って牽引移動することにより、順次、分断した前記軌道ブロックを個別に坑外に撤去するようにした。
【0008】
このように構成したトンネル内軌道の解体工法によれば、トンネル内軌道を、レールにより連結された複数本の枕木を有する複数の軌道ブロックに分断し、坑口からもっとも離間した側に位置する軌道ブロックを、上昇移動させた後に坑口側に移動させて、当該軌道ブロックに隣接する他の軌道ブロックのレール上に載置し、載置された軌道ブロックをレールに沿って牽引移動することにより、順次、分断した軌道ブロックを個別に坑外に撤去するので、レールから枕木を取外して個別に撤去する場合よりも大幅に能率が向上する。
【0009】
前記軌道ブロックには、その下面側に、前記レールに沿って転動する複数の車輪を有する車輪ブロックを設置することができる。
【0010】
この構成によれば、軌道ブロックをレールに沿って牽引移動する際に、車輪がレールに沿って転動するので、牽引移動を円滑に行うことができる。
【0011】
前記軌道ブロックは、個別に撤去する際に、トンネル軸方向に沿って移動自在で、かつ、前記枕木と前記トンネル内面下部との間に挿入可能な搬送台車に搭載され、前記搬送台車に搭載された状態で、他の軌道ブロックのレール上に載置可能な位置まで上昇移動させることができる。
【0012】
この構成によれば、枕木とトンネル内面下部の狭い空間での作業がなくなるので、作業員が挟まれたり、接触したりする事故の発生を防止することができる。
【0013】
前記搬送台車は、上下方向に間隔を設けて対向設置された上,下フレームと、これらのフレーム間に介装され、前記上フレームを上下方向に移動させる昇降用ジャッキと、前記下フレームに配置された走行移動用ローラとで構成することができる。
【0014】
前記搬送台車は、前記軌道ブロックを搭載したときに、当該軌道ブロックに設置された前記車輪ブロックの車輪が転動可能な角パイプ状のガイドレールを設けることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図11は、本発明にかかるトンネル内軌道の解体工法の一実施例を示している。
【0016】
同図に示した解体工法は、シールド工法によるトンネル工事で、構築されたトンネル内に軌道10を敷設して、セグメントなどの資材運搬や作業員の運搬などに供し、トンネルの構築が終了した際に適用される。
【0017】
トンネルは、地山を掘削した後に、環状にセグメントを組立てることで、断面形状が維持され、トンネル内軌道10は、複数本の枕木12と複数条のレール14とで構成されている。
【0018】
枕木12は、本実施例の場合には、H型鋼で構成され、枕木12は、構築されるトンネル軸方向に沿って、所定の間隔を隔てて、相互に平行になるように設置されている。
【0019】
各枕木12は、環状に組立てられたセグメントのトンネル内面下部16上に所定の間隔を隔てて、トンネル内面下部16を跨ぐようにして、長手軸方向の両端がその内面に係止され、トンネル内面下部16上に渡設されている。
【0020】
本実施例の場合には、レール14は、トンネル断面方向に沿って、所定の間隔を隔てて平行に敷設された4条(14a〜14d)から構成され、各レール14a〜14dが、複数の枕木12間を連結するようにして、各枕木12上に所定の間隔を隔てて固設されている。
【0021】
以上のように構成されたトンネル内軌道10は、トンネルの構築が終了すると解体撤去することになるが、この場合に、本実施例では、トンネル内軌道10の解体撤去が以下のようにして行われる。
【0022】
トンネル内軌道10を解体撤去する際には、まず、トンネル内軌道10が、レール14により連結された複数の枕木12を有する軌道ブロック18に分断される。
【0023】
このような軌道ブロック18は、敷設されているトンネル内軌道10の全長に亘って行われ、各軌道ブロック18の分断長は、例えば、数メートル程度に設定される。
【0024】
トンネル内軌道10が複数の軌道ブロック18a〜18nに分断されると、坑口から最も離間した位置側に位置する軌道ブロック18aが、最初に撤去される。各軌道ブロック18a〜18nを撤去する際には、その下面側、すなわち、レール14a〜14dで連結された枕木12の下面側に、車輪ブロック20が設置される。
【0025】
車輪ブロック20は、図10にその詳細を示すように、取付けプレート20aと、一対の車輪20bとを備えている。取付けプレート20aは、H型鋼で構成された枕木12の下側フランジに固設される。
【0026】
一対の車輪20bは、取付けプレート20aに回転自在に支持されていて、本実施例の場合には、4条のレール14a〜14dのうち、中央部に配置された2条のレール14b,14c上に位置対応するように配置されている。
【0027】
このような車輪ブロック20は、各軌道ブロック18a〜18nに対して、1つおきの枕木12に配設されている。なお、車輪ブロック20の配設状態は、これに限られることはなく、例えば、各軌道ブロック18a〜18nに対して、両端、ないしは、両端と中心の枕木12に配設することもでき、分割する軌道ブロック18a〜18nの長さに応じて適宜選択すればよい。
【0028】
軌道ブロック18aに車輪ブロック20が設置されると、次に、図1から図3に示すように、軌道ブロック18aの近傍に搬送台車22が配置される。この搬送台車22は、軌道ブロック18a〜18nを個別に撤去する際に用いられ、トンネル軸方向に沿って移動自在に構成され、かつ、枕木12とトンネル内面下部16との間に挿入可能な状態になっている。
【0029】
本実施例の搬送台車22は、その詳細を図10にも示すように、上フレーム22aと、下フレーム22bと、昇降用ジャッキ22cと、走行移動用ローラ22dとを備えている。
【0030】
上,下フレーム22a,22bは、トンネル軸方向に沿って所定の間隔を隔てて配置されていて、分断された各軌道ブロック18a〜18nの長にほぼ対応している長さの角形パイプ状のガイドレール22eにより連結されている。
【0031】
上フレーム22aは、中央部が凹んだ形状に形成され、この凹んだ部分に軌道ブロック18a〜18nに取付けられた車輪ブロック20の車輪20bを、下方から支持し、かつ、車輪20bがその上面側で転動可能なガイドレール22eが、所定の間隔を隔てて、平行に取付けられている。
【0032】
上フレーム22aと下フレーム22bとは、上下方向に所定の間隔を隔てて対向配置され、これらのフレーム22a,22b間には、両者を上下方向に近接,離間可能に結合する二重管構造のガイドポスト22fが、その両端側に設けられている。
【0033】
昇降用ジャッキ22cは、上フレーム22aと下フレーム22bとの間に配設され、伸縮プランジャを伸長させると、上フレーム22aが上方に移動して、下フレーム22bから離間し、伸縮プランジャを収縮すると、上フレーム22aは、これと逆方向に移動する。
【0034】
なお、本実施例の場合、昇降用ジャッキ22cは、トンネル軸方向に沿って所定の間隔を隔てて配置された各フレーム22a,22bに配設されていて、トンネル断面方向には、中央部になるように設けられている。
【0035】
走行移動用ローラ22dは、複数から構成され、下フレーム22bの下面側に回転自在に取付けられていて、セグメントのトンネル内面下部16の表面で転動するようになっている。なお、本実施例の場合、図10に示した走行移動用ローラ22dは、外側の2個がローリング防止用のものであり、内側の2個が駆動される。
【0036】
このように構成された搬送台車22は、図10に実線で示すように、昇降用ジャッキ20cを収縮させて、上フレーム22aの上端が、軌道ブロック18aに取付けられている車輪ブロック20よりも若干下方に位置する状態で、トンネル軸の坑口側に移動させて、軌道ブロック18aの直下に位置させる。
【0037】
そして、この状態で、図4,5に示すように、搬送台車22の昇降用ジャッキ22cを伸長作動させて、上フレーム22aを上昇移動させる。このようにして上フレーム22aを上昇移動させると、その上部側に軌道ブロック18aが位置しているので、上フレーム22aの上昇に伴って、所定の長さに分断された軌道ブロック18aも上方に上昇移動して、これが搬送台車22に搭載支持される。
【0038】
この場合の軌道ブロック18aの上昇移動は、図10に仮想線で示す位置の近傍であって、かつ、搬出しようとしている軌道ブロック18aに隣接する他の軌道ブロック18bのレール14b,14cの上端よりも、車輪ブロック20の下端が上方になるような位置まで行われる(図6,7参照)。
【0039】
軌道ブロック18aの上昇移動が所定位置まで行われると、次に、搬送台車22に軌道ブロック18aを搭載支持した状態で、搬送台車22を坑口側に向けて移動させる。
【0040】
この時、軌道ブロック18aの坑口側の端部には、牽引移動の際に衝突を防止するためのストッパ24を取付ける。そして、搬送台車22が所定の位置まで走行移動されると、図8,9に示すように、昇降用ジャッキ22cを収縮させて、上フレーム22a下方に移動させる。
【0041】
この上フレーム22aの下方への移動過程において、搬送台車22の角パイプ状のガイドレール22eの先端には、切欠部220eが設けられているので、図11に示すように、ガイドレール22eが軌道ブロック18bのレール14b,14cと以下のようにして結合される。
【0042】
すなわち、本実施例の角パイプ状のガイドレール22eは、図11に示すように、レール14b,14cの上端側が挿入可能な幅を有していて、切欠部220eは、ガイドレール22eの下側に設けられている。
【0043】
このような切欠部220eを設けておくと、上フレーム22aを下方に移動させると、ガイドレール22eの切欠部220eからレール14b,14cの上端側を内部に挿入した状態で、ガイドレール22eとレール14b,14cとを結合させることができるので、起動ブロック18aを軌道ブロック18b上に移し変える際に、車輪20bが円滑に転がって、その操作が円滑に行える。
【0044】
起動ブロック18aが軌道ブロック18b上に移し変えられると、軌道ブロック18aは、例えば、バッテリー機関車などにより牽引移動して、坑外に搬出撤去し、撤去後に必要に応じて、レール14と枕木12とをばらせばよい。
【0045】
以後は、同様な手順を順次繰り返すことにより、分断した軌道ブロック18を、坑口から離れた部分から順に、個別に坑外に搬出することになる。
【0046】
さて、以上のように構成したトンネル内軌道10の解体工法によれば、トンネル内軌道10を、レール14により連結された複数本の枕木12を有する複数の軌道ブロック18a〜18nに分断し、坑口からもっとも離間した側に位置する軌道ブロック18aを、上昇移動させた後に坑口側に移動させて、当該軌道ブロック18aに隣接する他の軌道ブロック18bのレール上に載置し、載置された軌道ブロック18aをレール14に沿って牽引移動することにより、順次、分断した軌道ブロック18a〜18nを個別に坑外に撤去するので、レール14から枕木12を取外して個別に撤去する場合よりも大幅に能率が向上する。
【0047】
この場合、本実施例では、軌道ブロック18a〜18nには、その下面側に、レール14に沿って転動する複数の車輪20bを有する車輪ブロック20を設置しているので、軌道ブロック18a〜18nをレール14に沿って牽引移動する際に、車輪20bがレール14に沿って転動するので、牽引移動を円滑に行うことができる。
【0048】
また、本実施例では、軌道ブロック18a〜18nは、個別に撤去する際に、トンネル軸方向に沿って移動自在で、かつ、枕木12とトンネル内面下部16との間に挿入可能な搬送台車22に搭載され、この搬送台車22に搭載された状態で、他の軌道ブロック18a〜18nのレール14上に載置可能な位置まで上昇移動させので、枕木12とトンネル内面下部16の狭い空間での作業がなくなり、作業員が挟まれたり、接触したりする事故の発生を防止することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるトンネル内軌道の解体工法によれば、作業の安全性を確保しつつ解体能率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトンネル内軌道の解体工法の一実施例を示す初期状態の正面説明図である。
【図2】図1の上面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1に引き続いて行われる工程の正面説明図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4に引き続いて行われる工程の正面説明図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】図6に引き続いて行われる工程の正面説明図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図1の要部拡大図である。
【図11】図9の要部拡大図と同拡大図の断面図である。
【符号の説明】
10 トンネル内軌道
12 枕木
14 レール
16 トンネル内面下部
18(18a〜18n) 軌道ブロック
20 車輪ブロック
20b 車輪
22 搬送台車
Claims (5)
- トンネルの軸方向に沿って所定の間隔を隔てて、トンネル内面下部に渡設された複数の枕木と、前記枕木上に固設された複数本のレールとを備えたトンネル内軌道の解体工法において、
前記トンネル内軌道を、前記レールにより連結された複数本の前記枕木を有する複数の軌道ブロックに分断し、
坑口からもっとも離間した側に位置する軌道ブロックを、上昇移動させた後に坑口側に移動させて、当該軌道ブロックに隣接する他の軌道ブロックの前記レール上に載置し、
載置された前記軌道ブロックを前記レールに沿って牽引移動することにより、順次、分断した前記軌道ブロックを個別に坑外に撤去することを特徴とするトンネル内軌道の解体工法。 - 前記軌道ブロックには、その下面側に、前記レールに沿って転動する複数の車輪を有する車輪ブロックを設置することを特徴とする請求項1記載のトンネル内軌道の解体工法。
- 前記軌道ブロックは、個別に撤去する際に、トンネル軸方向に沿って移動自在で、かつ、前記枕木と前記トンネル内面下部との間に挿入可能な搬送台車に搭載され、
前記搬送台車に搭載された状態で、他の軌道ブロックのレール上に載置可能な位置まで上昇移動させることを特徴とする請求項1または2記載のトンネル内軌道の解体工法。 - 前記搬送台車は、上下方向に間隔を設けて対向設置された上,下フレームと、これらのフレーム間に介装され、前記上フレームを上下方向に移動させる昇降用ジャッキと、前記下フレームに配置された走行移動用ローラとを備えたことを特徴とする請求項3記載のトンネル内軌道の解体工法。
- 前記搬送台車は、前記軌道ブロックを搭載したときに、当該軌道ブロックに設置された前記車輪ブロックの車輪が転動可能な角パイプ状のガイドレールを有することを特徴とする請求項4記載のトンネル内軌道の解体工法。
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