JP4188070B2 - 湿布剤の脱臭シート及び脱臭方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人の患部に貼り付けた湿布から発散する刺激臭を分解消臭して無臭化する湿布剤の脱臭方法およびその脱臭シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人の患部に貼り付けて使用する湿布は、図8に示すように、布片、紙片などのシート状の基材に湿布剤を塗布させたもの、もしくは基材自体に湿布剤を含浸させたものが一般に知られているが、湿布剤には、ハッカなどの刺激臭の強い薬剤が混入されているため、この湿布を使用している人からその刺激臭が発散して周囲の人に迷惑をかけることや、使用している人自身がそれを他人に知られたくないことから、湿布の使用を敬遠する人が多く見受けられる。
【0003】
そこで、従来より湿布の製造メーカーなどでは、湿布剤中に、直接脱臭剤を混入してその刺激臭を和らげるようにする技術手段が種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、湿布剤中に、脱臭剤を直接混入する場合に、脱臭効果を挙げるほどに脱臭剤の量を多くすると、湿布剤の薬効が著しく低下してしまい、その結果、刺激臭がなく、薬効の高い湿布は未だに実用化されていないのが現状である。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされ、湿布剤中には、脱臭剤が混入することがないようにして湿布剤の薬効を損じることなく、しかも湿布剤から発散する刺激臭を効果的に脱臭できるようにした、新規な湿布剤の脱臭シート及び脱臭方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シート状基材とその基材の片面に塗布された湿布剤とを有して患部に貼られる所定形状の湿布の湿布剤より発散する刺激臭を吸着して分解消臭するために、その湿布とは別体に形成されて該湿布の外面に重ね貼り される脱臭用シートであって、前記湿布よりも一回り大きく形成されたシート本体と、そのシート本体の片面の外周部に全周に亘り設けられて患部に貼り付け可能な貼付代と、同シート本体の片面の、湿布外面を被覆し得る部分に塗布された脱臭剤と、その脱臭剤及び貼付代の表面に剥離可能に粘着された剥離フィルムとを備えることを特徴とし、また請求項2記載の発明は、前記請求項1に記載の脱臭用シートを用いた湿布剤の脱臭方法であって、患部に貼られた前記湿布の外面に前記脱臭用シートの脱臭剤塗布面を、該シートから前記剥離フィルムを剥がした後に該脱臭剤で該湿布を覆うように重ね合わせて、該シート外周の貼付代を患部に貼り付け、該湿布の湿布剤より発散する刺激臭を該シートの脱臭剤に吸着して分解消臭することを特徴としており、かかる特徴によれば、人は湿布を使用する際に、その刺激臭を気にすることなく、しかも他人に気付かれずに安心して使用することができ、しかも脱臭シートは単に湿布を覆うように患部に貼り付ければよいので、その取り扱いが簡単、容易である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
まず、図1〜3を参照して本発明の第1実施例について説明する。
【0009】
図1は、本発明脱臭シートを用いて湿布をしている状態を示す使用者の図、図2は、湿布および脱臭シートの一部破断斜視図、図3は、図2の3−3線に沿う断面図である。
【0010】
図2,3において、湿布Sは、従来公知のものであり、四角に裁断した伸縮性のあるシート状の布または紙よりなる基材1の片面に湿布剤2を塗布してなり、その湿布剤2の粘着性のある表面に、透明な剥離フィルム3を剥離可能に粘着して構成されている。この湿布Sを使用するときは、通常のように、剥離フィルム3を剥がして湿布剤2を露出させ、その粘着性のある表面を、人の患部に貼り付ける。そして湿布剤2の薬剤は、人の患部へと浸透していき薬効を発揮する。
【0011】
ところで、かかる湿布Sの湿布剤2中には、ハッカなどの刺激臭の強い薬剤が混入されているため、この刺激臭が外部に発散して周囲の人に不快感を与え、また使用者自身が湿布を使用していることを他人に気付かれてしまうという弊害があるが、本発明はかかる弊害を解消する湿布剤の脱臭方法およびその脱臭シートであって、その脱臭方法に使用される脱臭シートDは、湿布Sの湿布剤2から発散する刺激臭を吸着して分解消臭し、しかも湿布剤2の薬効を何ら損なうことがない。
【0012】
図2,3に示すように、脱臭シートDは、前記湿布Sよりも一回り大きい四角状に形成され、伸縮性のある紙あるいは布などよりなるシート本体5の片面に、その外周囲に額縁状の貼付代8を残して脱臭粉、脱臭粒、脱臭液などの脱臭剤6を塗布し、その上に、透明な剥離フィルム7を剥離可能に粘着する。前記貼付代8には、使用者の皮膚への粘着を可能とする粘着剤が塗布される。
【0013】
前記脱臭剤6としては、たとえば
1) 特開昭63−212363号公報に開示されるものが用いられる。
【0014】
この脱臭剤は、ゼオライトにパパイン酵素を添加して粉末状または粒状に形成したものであり、強力な脱臭作用を有し、毒性がなく、シート本体5の片面に、その周囲の貼付代8を残して塗布する。
【0015】
2) また、特公平2−33686号公報に開示されるものが用いられる。
【0016】
この脱臭剤はモンモリナイトとパパイン酵素の配合粉末を混合して粉末状に形成したものであり、強力な脱臭作用を有し、毒性がなく、シート本体5の肩面に、その周囲の貼付代8を残して塗布する。
【0017】
つぎに、前記脱臭シートDを、湿布Sとともに使用する場合について説明すると、図1に示すように、人の患部に湿布Sを通常のように貼り付けたのち、この湿布Sの外面に、この湿布Sよりも一回り大きい前記脱臭シートDを、剥離フィルム7を剥がしたのち、脱臭剤6が塗布されている面を接触する(即ち脱臭剤6塗布面で湿布Sを覆う)ようにして重ね合わせて、その脱臭剤シートDの外周の貼付代8を患部に貼り付ける。
【0018】
このとき、湿布S側の湿布剤2と、脱臭シートD側の脱臭剤6とは、湿布Sの基材1により遮られて、脱臭剤6が、湿布剤2内に混入することがないため、湿布剤2は、脱臭剤6の混入によりその薬効が損なわれることがなく、しかも、その湿布剤2から発散する刺激臭を、脱臭剤6により分解消臭して脱臭することができる。
【0019】
これにより、人は湿布の刺激臭を気にすることなく、しかも他人に気付かれずに安心して使用することができる。
【0020】
つぎに、図4,5を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0021】
図4は、湿布および脱臭シートの一部破断斜視図、図5は、図4の5−5線に沿う断面図である。
【0022】
この第2実施例は、脱臭シートDの脱臭剤6′…を、複数枚(この実施例では6枚)の小片に分けて、それらの脱臭剤6′…を一枚のシート本体5上に、隙間をあけて、格子状に塗布し、その上に剥離フィルム7を剥離可能に粘着した場合であり、この脱臭シートDも前記第1実施例と同じく湿布Sの基材1の片面に重ね合わて使用される。この場合、複数の脱臭剤6′…の外周部は、湿布Sよりも若干はみ出すようにする方が、湿布剤2からの刺激臭を吸着消臭するのに効果的である。
【0023】
この第2実施例も前記実施例と同じく、人の患部に湿布Sを通常のように貼り付けたのち、この湿布Sの外面に、この湿布Sよりも一回り大きい前記脱臭シートDを剥離フィルム7を剥がしたのち、その脱臭剤6′…側を接触するようにして重ね合わせて、その脱臭シートDの外周の貼付代8を患部に貼り付ける。
【0024】
このとき、湿布S側の湿布剤2と、脱臭シートD側の複数の脱臭剤6′…とは、湿布Sの基材1により遮られていて、脱臭剤6′…が、湿布剤2内に混入することがないため、湿布剤2は、脱臭剤6′…の混入によりその薬効が損なわれることがなく、しかも、その湿布剤2から発散する刺激臭を、脱臭剤6′…により分解吸着して消臭することができる。
【0025】
なお、この第2実施例では、湿布Sが小さい場合に、脱臭シートDを、複数の脱臭剤6′…毎に裁断して使用するようにしてもよい。
【0026】
つぎに、図6,7を参照して参考例について説明する。
【0027】
図6は、湿布剤に脱臭シートを貼り合わせた状態の一部破断斜視図、図7は、図6の7−7線に沿う断面図である。
【0028】
この参考例では、湿布Sの基材1自体が、脱臭シートDのシート本体5として使用される。このシート本体5は、不織布などの伸縮性の布あるいは紙により構成されており、該シート本体5には、脱臭剤6が含浸され、その片面に湿布剤2が塗布され、この湿布剤2の上に剥離フィルム3が剥離可能に粘着される。この場合、シート本体(湿布Dの基材1)に含浸された脱臭剤6は、湿布剤2に混入することがない。湿布剤2の粘着性表面には、透明な剥離フィルム3が粘着される。
【0029】
この参考例の脱臭シートD付の湿布Sの使用に当たっては、剥離フィルム3を剥がしたのち、湿布剤2の粘着性表面を患部に貼り付ける。
【0030】
このとき、湿布Sの基材1、すなわちシート本体5に含浸された脱臭剤6は、外部に発散することがなく、湿布剤2に混入することがなく、湿布剤2は、脱臭剤6の混入によりその薬効が損なわれることがなく、しかも、その湿布剤2から発散する刺激臭を、脱臭剤6により分解吸着して消臭することができる。
【0031】
これにより、人は湿布の刺激臭を気にすることなく、しかも他人に気付かれずに安心して使用することができる。
【0032】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0033】
たとえば、前記実施例に示される脱臭剤に代えて他の同効の脱臭剤を使用してもよい。また、湿布として従来公知のものを使用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、人は湿布を使用する際に、その刺激臭を気にすることなく、しかも他人に気付かれずに安心して使用することができる。その上、脱臭シートは単に湿布を覆うように患部に貼り付ければよいので、その取り扱いが簡単、容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脱臭シートを用いて湿布をしている状態を示す使用者の図(第1実施例)
【図2】 湿布および脱臭シートの一部破断斜視図(第1実施例)
【図3】 図2の3−3線に沿う断面図(第1実施例)
【図4】 湿布および脱臭シートの一部破断斜視図(第2実施例)
【図5】 図4の5−5線に沿う断面図(第2実施例)
【図6】 湿布剤に脱臭シートを重ね合わせた状態の一部破断斜視図(参考例)
【図7】 図6の7−7線に沿う断面図(参考例)
【図8】 従来の湿布の一部破断斜視図
【符号の説明】
1 基材
2 湿布剤
5 シート本体
6 脱臭剤
6′ 脱臭剤
7 剥離フィルム
8 貼付代
D 脱臭シート
S 湿布
Claims (2)
- シート状基材(1)とその基材(1)の片面に塗布された湿布剤(2)とを有して患部に貼られる所定形状の湿布(S)の湿布剤(2)より発散する刺激臭を吸着して分解消臭するために、その湿布(S)とは別体に形成されて該湿布(S)の外面に重ね貼りされる脱臭用シートであって、
前記湿布(S)よりも一回り大きく形成されたシート本体(5)と、そのシート本体(5)の片面の外周部に全周に亘り設けられて患部に貼り付け可能な貼付代(8)と、同シート本体(5)の片面の、湿布(S)外面を被覆し得る部分に塗布された脱臭剤(6,6′)と、その脱臭剤(6,6′)及び貼付代(8)の表面に剥離可能に粘着された剥離フィルム(7)とを備えることを特徴とする、湿布剤の脱臭用シート。 - 請求項1に記載の脱臭用シートを用いた湿布剤の脱臭方法であって、 患部に貼られた前記湿布(S)の外面に前記脱臭用シート(D)の脱臭剤(6,6′)塗布面を、該シート(D)から前記剥離フィルム(7)を剥がした後に該脱臭剤(6,6′)で該湿布(S)を覆うように重ね合わせて、該シート(D)外周の貼付代(8)を患部に貼り付け、
該湿布(S)の湿布剤(2)より発散する刺激臭を該シート(D)の脱臭剤(6,6′)に吸着して分解消臭することを特徴とする、湿布剤の脱臭方法。
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