JP4187986B2 - 医療用管状体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、耐キンク性、生体親和性を有する医療用管状体、人工の血管、食道、気管または胆管等、および医療用管状体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工血管、人工気管、人工胆管、カテーテル等の医療用管状体は、直線状態で使用される場合に限らず屈曲状態でも使用されるため、フレキシブルな曲げ性が要求され、曲げた状態でも該管状体に折れやねじれが発生しないことが必要である。
【0003】
一般に、管状構造体を湾曲させると、湾曲部の外側には引張力が、内側には圧縮力が負荷され、この引張力または圧縮力が管状構造体の伸長性または収縮性の限度を超えると断面の円環形状を保持することが困難でキンクを生じる。従来の医療用管状体におけるキンク防止の方法は、(1)管状体に伸縮性を持たせる方法と、(2)断面の円環形状保持性を高める方法とに大別される。
【0004】
(1)の管状構造体に伸縮性を持たせる方法としては、管状体の壁面を蛇腹状に加工する方法がある。米国特許第5,866,217号には、透析用の動静脈移植導管に好適な、シリコーン/ダクロン製の管状体が記載されている。該管状体の最内層は非孔質融合層であり、その上に多孔シリコン中間層が形成されている。該中間層の上に未硬化のシリコンビードを巻き付け、その後に硬化して螺旋状のシリコンビードを形成している。この螺旋状シリコンビードによって、屈曲半径1cm以下の曲げで生ずる圧縮力下でも円環状断面を維持し得る構造が付与でき、該管状体を曲げた際の耐キンク特性や抗つぶれ特性を増強している。更に、該管状体は、螺旋状シリコンビードを有する多孔シリコン中間層上に、更に連続螺旋を形成するようにPET(ポリエチレンテレフタレート)またはダクロン繊維を右巻き左巻きしたものであり、動脈瘤形成に関する縦横に対する強度も確保している。
【0005】
一方、(2)の円環形状保持性を高める方法としては、柔軟な管状体の外周に連続する螺旋状あるいは独立したリング状の剛直な線材による補強を施す方法がある。例えば特開2000−197704号公報には、内部に形成されたルーメンと、軟質合成樹脂製内層と、前記内層形成材料より硬質な材料で形成された外層とを備える医療用管状体であって、前記外層にはルーメン方向に延びかつルーメンに達しない溝を備えている医療用管状体が開示されている。該チューブはカテーテルとして使用されるものであり、内層および外層は共押出、熱融着、高周波融着などによって形成され、溝部は内層および外層からなる二層構造の外側から切削加工、レーザー加工などによって形成されている。溝部が螺旋状に形成されることで内層よりも硬質な材料による螺旋状の外層が構成され、円環形状保持性が向上され耐キンク特性が付与される。更に、最外層が内層よりも硬い材料で構成されるために、カテーテル挿入時に押し込み易く、カテーテルチューブ基端部に伝えられた回転が先端に伝達される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、管状構造体に伸縮性を付与するために蛇腹状に加工すると、その最内層も蛇腹の凹凸が形成される。このような管状体を人工血管として使用すると、内部を循環する血液が該凹凸部に捕捉され血栓などを形成し易く好ましくない。また、管状体内部または外部に線材による補強を施した場合には、該線材によって管状体全体の柔軟性が損なわれる場合があり、これを生体内に留置あるいは挿入して使用すると、管状体と接触する周囲の生体組織に過大なストレスを与え好ましくない。
【0007】
特に、生体内の各種導管は、容積変化に耐え得る生体由来の柔軟性が、本来備わっている。すなわち、血管や胆管、尿管などの管内を流出入する体液は、生体内でその液量が変化することが一般的である。血管は拍動を伝達して拡張および収縮を繰り返し、胆管は肝臓から排出される際の胆汁を胆嚢に導入する細管であって導入量の変化を随時許容している。これは尿管も同様であり、尿量の過多に応じて導入量の変化を許容している。
【0008】
換言すれば、医療用管状体としては、広くカテーテル、人工血管、輸液管などがあるが、使用時に管状体内部に流体が充填され、管状体内部から外部に向かう圧力が存在することが通常の用途の場合と、このような圧力が存在しない場合とがあり、使用状況によって円環形状保持特性の強弱が相異する。血管拡張用バルーンカテーテル、脳血管内の動脈瘤や動静脈奇形腫瘍などに栓塞物質やコイルを注入するための脳血管用カテーテルなどと相異して、人工血管、人工胆管、人工食道などの生体内に埋設される人工の管状体は、所定の耐キンク性を有すれば、寧ろ生体組織に対する親和性や適度な柔軟性が付与されることが好ましい。しかしながら、人工血管などを含む医療用管状体には、このような耐キンク性と柔軟性とを備え、流体量の変化を許容し得るものは存在しない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、医療用管状体の使用時の実際、より生体に対する負荷の少ない医療用管状体について詳細に検討した結果、少なくとも内層と外層との二層構造の管状体であって、外層が内層よりも硬い材料で構成され、かつ内層部に向かって螺旋状の溝を有する管状体が耐キンク特性に優れること、該管状体が所定の動的コンプライアンスを保持し、または所定のつぶし抗力を有することで生体親和性が増すこと、外層が多孔質であれば更に生体負荷が少ないことなどを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供するものである。
【0010】
(1) 少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有し、ISO7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上である、医療用管状体。
【0011】
(2) 少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有し、つぶし抗力が500gf以下である、医療用管状体。
【0012】
(3) 少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で多孔質状に構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有する、医療用管状体。
【0013】
(4) 該外層の空間占有率が5〜80%である、上記(3)記載の医療用管状体。
【0014】
(5) ISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上である、上記(2)〜(4)のいずれかに記載の医療用管状体。
【0015】
(6) 内層の引張弾性率が0.3〜2MPaであり、外層材料の引張弾性率が30〜500MPaである、上記(1)〜(5)のいずれに記載の医療用管状体。
【0016】
(7) 該内層の内側に、更に多孔質状の最内層を有することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の医療用管状体。
【0017】
(8) 上記)(1)〜(7)のいずれかに記載の医療用管状体からなる、人工の血管、食道、気管または胆管。
【0018】
(9) 管状の内層上に、線条体を螺旋状または環状に載置し、次いで該内層および該線条体上から該内層よりも硬い熱可塑性樹脂からなる外層部を設け、次いで加熱処理し、その後に該外層に該線条体の両端に沿って設けた切れ目を用いて外層内に埋没する該線条体を取り出すことを特徴とする、医療用管状体の製造方法。
【0019】
(10) 該内層および該線条体上から溶融吹き付けによって該内層よりも硬い熱可塑性樹脂からなる多孔質状の外層部を設けることを特徴とする、上記(9)記載の医療用管状体の製造方法。
【0020】
(11) 該線条体が、該内層よりもガラス転移温度が高い樹脂からなり、外層部の形成後に該内層のガラス転移温度よりも高温で熱処理することを特徴とする、上記(9)または(10)記載の医療用管状体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有し、ISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上である、医療用管状体である。医療用管状体が人工血管や輸液管等のようにその内部に流動体が保持される場合には、該流動体の内圧によって断面の円環形状を保持しやすい。このため、カテーテルなどのようにその内部に流動体を保持せず、組織に対する侵入容易性を必要とする管状体に比べて、カテーテルなどよりも柔軟な材質が選択できる場合がある。また、生体内に埋設される医療用管状体の場合には、流動量の変化に対応できる柔軟性が求められ、単位時間に所定量以上の流動体を取り扱う状態に備えて管状体の拡張性が担保されることが好ましい。本発明では、耐キンク性と柔軟性とのバランスに優れる医療用管状体を提供するものであり、柔軟性の指標として、ISO 7198で規定する動的コンプライアンスが1%/100mmHg以上であるものとした。以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1(a)は、本発明の医療用管状体の一実施態様の断面図であり、本発明の医療用管状体の外形を図1(b)に示し、本発明の医療用管状体の一部拡大図を図1(c)に示す。図1(a)に示すように、本発明の医療用管状体は、少なくとも内層30と外層40との二層構造を有し、該外層40から該内層30に達する螺旋状または環状の溝50が形成されている。該溝は、内層30を貫通せず、このため管状体の外層から内層を貫通する貫通部は存在しない。なお、図1(a)、(b)、(c)に示す医療用管状体は、内層30の内側に最内層20を有し、管状体の内部は空洞部10である。このような医療用管状体を屈曲させた場合を図2(a)に示し、その際の管状体断面の溝部伸長側を図2(b)に、溝部収縮側を図2(c)に示す。内層よりも硬い螺旋状の外層部によって円環形状が保持され、屈曲外周部の溝部の伸縮によって曲げ応力が溝部で分散されるため有効にキンクが防止でき、しかも曲率半径を小さくできる。
【0023】
本発明の医療用管状体の内層は、柔軟で復元力のある樹脂材料であることが好ましい。このような樹脂材料は、常温付近ではゴム状弾性を示し引張試験時の応力−ひずみ関係において明確な降伏を示さず、大きな変形を許容することができるものであり、少なくとも100%までの引張ひずみを加える変形後も除荷によって急速に元の形状及び寸法を復元する材料である。好ましくは、引張弾性率が0.3〜2MPaであり、より好ましくは0.5〜1MPaである。このような樹脂材料としては、一般的なゴム材料の他、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリブテンエラストマー等のポリアルキレン系エラストマー;軟質塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂もしくはそれらのオレフィン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、その他の熱可塑性エラストマーが挙げられる。本発明では、これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。またこれらの樹脂やエラストマーをベースとしたポリマーアロイやポリマーブレンドを用いることもできる。
【0024】
ここで、ポリエステルエラストマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的である。なお、ポリエステルエラストマーには、上記以外に上記のポリエステルエラストマーのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらにはこれらの混合物をも含む。
【0025】
ポリアミドエラストマーとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的である。なお、ポリアミドエラストマーには、上記以外に前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合体、ランダム重合体等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む。なお、可塑剤は、溶剤や血液等の体液などで抽出され難いものを用いることが好ましい。
【0026】
なお、前記エラストマーには、必要に応じ、アロイ化剤、相溶化剤、硬化剤、軟化剤、安定剤、着色剤等の各種添加物を配合してもよい。この場合、添加成分が溶剤、薬液、血液等の体液等で抽出され難いものを用いることが好ましい。また、エラストマーは、熱可塑性であることが好ましく、熱可塑性であれば、管状体の製造が容易である。
【0027】
内層の厚さは、使用する材質によっても異なるが、一般には100〜800μmであることが好ましく、より好ましくは200〜600μmである。100μmを下回ると管状体の剛性が不足し、キンク耐性が損なわれる場合がある。一方、800μmを超えると管状体の溝形状において幅に対する高さが過剰となり、湾曲の余地が不足するためキンクを生じ易くなる。また、本発明の医療用管状体は、外周部に溝を有するものであり、その溝部の深さは、外層のみならず内層に達しているものである。このような内層に溝部が構成される場合には、該溝部の内層の最も薄い部分の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。10μmを下回ると局所的にピンホールが生じ、リークが発生する恐れがある。一方、200μmを超えると管状体の伸縮性が不十分となりキンク耐性が損なわれる場合がある。
【0028】
外層としては、容易に変形するが伸縮性に乏しく、内層よりも硬い材料が使用される。本願発明において、「硬い」とは、引張弾性率で評価した数値が内層よりも高いことを意味する。好ましくは30〜500MPaである。内層に対する外層の引張弾性率の比は、好ましくは、50〜500倍であり、より好ましくは、50〜200倍である。この比は、外層が多孔質状である場合には、材料の引張弾性率に空間占有率を掛けた値を用いる。ここで、空間占有率とは、多孔質構造における材料の占める割合をいい、詳細は後述する。下限値より下回るとキンク耐性が損なわれる場合がある。一方、上限値を超えると動的コンプライアンスが1%/100mmHgより小さくなる場合があり、また、後記するつぶし抗力が500gfより大きくなる場合がある。
【0029】
このような外層に用いられる材質としては、内層よりも硬ければ特に制限はなく、好ましくは多孔を形成できればよいが、より好ましくは生体組織への親和性に優れた材質である。外層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂もしくはそれらのポリオレフィン系エラストマー;ポリエステル樹脂またはポリエステル系エラストマー;ポリウレタン樹脂またはポリウレタン系エラストマー;ポリアミドもしくはポリアミドエラストマー;スチレン系樹脂もしくはスチレン系エラストマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等などの樹脂材料が挙げられ、これらの1種を単独で使用する場合に限られず、2種以上を併用してもよい。またこれらの樹脂をベースとしたポリマーアロイあるいはポリマーブレンドを用いることも可能である。なお、上記外層の材質には、必要に応じ、アロイ化剤、相溶化剤、硬化剤、軟化剤、安定剤、着色剤等の各種添加物を配合してもよい。
【0030】
外層の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは100〜200μmである。20μmを下回ると管状体の剛性が不足し、キンク耐性が損なわれる場合がある。一方、500μmを超えると管状体の溝形状において幅に対する高さが過剰となり、湾曲の余地が不足するためキンクを生じ易くなる。
【0031】
本発明の医療用管状体には、外層から内層にかけて設けられた螺旋状または環状の溝が必要である。該溝は外層の外面から内層に到達し、かつ内層を貫通しないような深さで、該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝が形成される。溝部に硬い外層部が残存すると、屈曲時に外層の硬さによって屈曲応力が吸収されず、キンクを発生しやすいからである。このような溝を設けたことで、管状体の円環形状保持能を付与するとともに、該管状体に伸縮性、柔軟性をも付与することができる。
【0032】
溝が螺旋状に形成される場合には、そのピッチは、外層の外径を1単位とした場合に、該1単位あたり2〜10であることが好ましい。ピッチが2より小さいものとすれば、血管の湾曲や屈曲に対する応力の分散は不十分でキンクを防止できない場合がある。また、10を超えると管状体全体の剛性が低下するため、却ってキンクを生じ易くなる場合がある。なお、該ピッチは、医療用管状体の全体に渡り均一のピッチである必要なく、先端から他端にかけて連続してピッチを広くしたり狭くしたり、または異なるピッチを全体に配することもできる。図1(a)において、医療用管状体の該一単位をpで示すが、該医療用管状体のピッチは5である。
【0033】
溝の幅は、管状体の内径に対して3〜30%、より好ましくは5〜20%である。溝の幅が内径の3%を下回ると管状体の伸縮性が不足し、キンクを生じる場合がある。一方、幅が30%を超えると、管状体の剛性が不足してキンク耐性が損なわれる場合がある。なお、溝の幅は医療用管状体の全域に渡り均一である必要はなく、上記範囲内で適宜選択できる。図1(c)において医療用管状体の溝の幅をwで示す。
【0034】
溝と溝との間隔は、管状体の内径に対して10〜60%、より好ましくは20〜50%である。10%を下回ると管状体の剛性が不足してキンク耐性が損なわれる場合があり、一方、60%を超えると管状体の伸縮性が不足し、キンクを生じる場合がある。また、管状体の外表面に占める外層の割合は、50%以上でなければならない。50%を下回ると管状体の剛性が不足し、キンク耐性が損なわれる場合がある。なお、溝と溝との間隔は溝中心からの距離とし、該間隔は、医療用管状体の全域に渡り均一である必要はなく、上記範囲内で適宜選択できる。図1(c)において医療用管状体の溝と溝との間隔をdで示す。
【0035】
本発明の医療用管状体は、人工の血管、胆管、輸尿管、食道、気管などに適する。従って、医療用管状体の全長は、用途によって適宜選択することができ、長尺物を製造し、好ましい長さに切断して使用することもできる。同様に、医療用管状体の内径も用途によって適宜選択することができる。人工血管に使用する場合には、内径5〜50mm程度が好適であり、人工胆管には、3〜10mm、人工輸尿管には3〜10mm、人工食道に使用するには10〜30mm、人工気管に使用するには10〜20mmが好適である。医療用管状体の肉厚も使用目的に応じて適宜選択することができ、人工血管に使用する場合には、0.5〜2.0mm程度が好適であり、人工胆管には、0.5〜1.0mm、人工輸尿管には0.5〜1.0mm、人工食道に使用するには1.0〜2.0mm、人工気管に使用するには1.0〜2.0mmが好適である。
【0036】
本発明の医療用管状体には、内層の空洞側に、および/または内層に包含される態様で、1以上の層からなる最内層を有していてもよい。「内層に包含される」とは、医療用管状体の内部補強のために、例えばポリエステル平織りの管状体を使用し、この管状体の外周に内層樹脂を含浸または塗布させた場合等を意味する。この場合には、内層内に該補強材が包含されている。このような補強材の素材としては、ポリエステル、ポリイミド、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン等があり、医療用管状体の使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
最内層を内層の空洞側に内層と接して設ける場合の素材も該医療用管状体の使用目的によって適宜選択することができる。該最内層は、医療用管状体の使用目的に対応して、その管内を流れる流動体と接触する部分であり、至適な素材を選択すべきである。例えば、人工血管として使用する場合にはシリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が血栓形成性が少なく好ましい。
【0038】
本発明の医療用管状体が人工の血管として使用される場合には、最内層が1層からなる場合や2層以上の積層からなる場合のいずれであっても、管状体の空洞部に接する面が多孔質状であることが好ましい。該多孔質状は、多孔質体中の材料の割合、すなわち空間占有率が、5〜80%、好ましくは10〜50%であることが好ましい。この範囲であれば、内部に血液が導入された場合に血管内膜組織が生着する上で好適である。また、多孔質状としては、編物状、織物状、不織布状、発泡状、その他の内部に多数の空間部を有する構造であれば、特に制限はない。該多孔を成形する無数の空間部の大きさは、平均長さが5〜1000μm、より好ましくは10〜100μmである。5μmを下回ると生体組織の細胞侵入が困難となり、その一方、1000μmを超えても生体組織の細胞侵入が困難となるからである。なお、孔長さは、多孔質状部分の100倍から1000倍の実体顕微鏡写真または走査型電子顕微鏡写真を撮影し、画像解析により求めることができる。
【0039】
本発明の医療用管状体は、そのISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上、より好ましくは1〜1.5%/100mmHgである。動的コンプライアンスがこの範囲であれば、より生体血管の特性に近づき、生体に対する負荷を少なくでき、かつ、材料の必要強度も得られ、キンク耐性にも優れるのである。なお、本願における動的コンプライアンスは、50〜90mmHg、80〜120mmHg、110〜150mmHgのいずれにおいても、上記範囲に属するものとする。
【0040】
このような医療用管状体の製造方法としては、特に制限はない。内層と外層とを固着する方法としては、例えば、内層用の樹脂組成物と外層用の樹脂組成物とを共押出により成形する方法、内層と外層とを接着剤または溶剤により接着する方法、内層と外層とを融着(例えば、熱融着、高周波融着)する方法、外層を溶剤で膨潤させて内層を挿入する方法、内層構成チューブの外面に外層形成材料をディッピング法、塗布法、押出法などにより被覆する方法などが挙げられる。また、溝の形成方法としては、切削加工、レーザー加工等が挙げられるが、高精度な微細加工を行うためにはレーザー加工が好ましく、レーザー加工の中でも、ポリマー加工に好適なエキシマレーザー加工が特に好ましい。ただし、レーザー加工により溝加工を行うときには、レーザー加工性が良好な材料を選定する必要がある。本発明の医療用管状体では、予め形成された内層および外層の二層構造を有するチューブを外側(硬質外層側)から溝を形成したものであるので、内層および外層を薄くでき、肉薄でかつ優れた特性を有するものとすることができる。
【0041】
本発明の第二は、少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有し、つぶし抗力が500gf以下である、医療用管状体である。第一の発明との相違は、ISO 7198で規定する動的コンプライアンスのいかんにかかわらず、つぶし抗力が500gf以下である点にある。従来からキンク耐性に優れ同時に柔軟性にも優れる医療用管状体は存在しない。本発明では、この柔軟性としてつぶし抗力を所定範囲としたものである。つぶし抗力は、動的コンプライアンスと同様に人工血管の柔軟性に関する指標となるものであり、このつぶし抗力が小さいと、生体内に埋め込まれた場合に周りの臓器や組織に対して過剰のストレスを与えることが少ない。なお、本願明細書において「つぶし抗力」とは、FDA Guidance for the Preparation of Research and Marketing Applications for Vascular Graft Prostheses で規定する crush resistance であり、500gf以下であることが好ましく、より好ましくは100〜300gfである。つぶし抗力が500gf以下であれば、これを生体内に使用し他の器官や臓器と接続した場合に、該医療用管状体と接続したり隣接する生体組織に対し、たとえば該医療用管状体を人工血管として用いる場合には生体血管や周囲筋組織、神経組織、臓器等に対して過大なストレスが強制されず、周囲の生体組織に対する圧迫を抑制できる。100gf以下であると、周囲組織からの圧迫がある場合、管状体のつぶれる恐れがある。
【0042】
このようなつぶし抗力を有する医療用管状体を製造するには、その内層は、柔軟かつ復元力のある樹脂材料であることが好ましい。引張弾性率が0.3〜2MPaであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1MPaである。また、外層も引張弾性率30〜500MPaであることが好ましく、内層に対する外層の引張弾性率の比は、好ましくは、50〜500倍であり、より好ましくは、50〜200倍である。このような樹脂材料としては、上記第一の医療用管状体の内層材料として例示したものを好ましく使用することができる。本発明では、上記第一に記載した外層材料および内層材料を使用することができ、内層および外層の厚さその他の条件、溝部の形成、その他の条件も第一の発明と同様である。しかしながら、特にこれらの中で内層材料としてスチレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマーを使用し、外層材料としてポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。これによって上記範囲のつぶし抗力を有する医療用管状体が得られる。
【0043】
また、本発明では、医療用管状体がつぶし抗力500gf以下であると同時に、第一の発明における特徴であるISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上であることがより好ましい。該医療用管状体が生体内に埋設された場合に、流動量の変化に対応できる柔軟性に対応でき、かつ埋設時に接続され、または隣接する生体組織に対する圧迫を抑制できるからである。
【0044】
本発明の医療用管状体には、さらに内層の内側に1以上の層からなる最内層を有していてもよい。このような最内層の素材は、該医療用管状体の使用目的によって適宜選択することができ、上記第一の医療用管状体の最内層と同様のものを使用できる。本発明の医療用管状体の用途やその際のサイズなども第一の発明と同様である。
【0045】
本発明の第三は、少なくとも内層と外層との二層構造を含む管状体であって、該外層は該内層よりも硬い材料で多孔質状に構成され、かつ該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝を有する、医療用管状体である。第一の医療用管状体との相異は、ISO 7198で規定する動的コンプライアンスに関する制限がないこと、および外層が多孔質状であることである。外層が多孔質状であるため生体親和性に優れ、これを人工の血管、胆管などとして生体内に埋設した場合にも生体に与えるストレスが少ない。以下、本発明を詳細に説明する。
【0046】
本発明の第三の医療用管状体の内層は、柔軟かつ復元力のある樹脂材料であることが好ましい。引張弾性率が0.3〜2MPaであることが好ましく,より好ましくは0.5〜1MPaである。このような樹脂材料としては、上記第一の医療用管状体の内層材料として例示したものを好ましく使用することができる。
【0047】
内層の厚さは、使用する材料によっても異なるが、一般には100〜800μmであることが好ましく、より好ましくは200〜600μmである。100μmを下回ると管状体の剛性が不足し、キンク耐性が損なわれる場合がある。一方、800μmを超えると管状体の溝形状において幅に対する高さが過剰となり、湾曲の余地が不足するためキンクを生じ易くなる。また、本発明の医療用管状体は、外周部に溝を有するものであり、その溝部の深さは、外層のみならず内層に達するものである。このような内層に溝部が構成される場合には、該溝部の内層の最も薄い部分の厚さは、上記第一、第二の発明と同様に、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。10μmを下回ると局所的にピンホールが生じ、リークが発生する恐れがある。一方、200μmを超えると管状体の伸縮性が不十分となりキンク耐性が損なわれる場合がある。
【0048】
外層としては、容易に変形するが伸縮性に乏しく、内層よりも硬い材料が使用される。本願発明において、「硬い」とは、引張弾性率で評価した数値が内層よりも高いことを意味する。好ましくは30〜500MPaである。内層に対する外層の引張弾性率の比は、好ましくは、50〜500倍であり、より好ましくは、50〜200倍である。この比は、外層が多孔質状の場合には材料の引張弾性率に後記する空間占有率を掛けた値を用いる。下限値より下回るとキンク耐性が損なわれる場合がある。一方、上限値を超えると動的コンプライアンスが1%/100mmHg未満となり、また、つぶし抗力が500gfよりも大きくなる場合がある。
【0049】
その一方、外層は、多孔質体中の材料の割合、すなわち空間占有率が、5〜80%、好ましくは10〜50%であることが好ましい。本願において「空間占有率」は、以下の測定方法によるものとする。まず、鋭利な刃物により管状体から外層の多孔質状部分を切り出す。次に、拡大鏡により切り出した部分の寸法を測定し、切り出した多孔質状部分の占める空間の体積を求める。次に、該多孔質状部分の質量を測定し、外層材料の密度で該質量を除することにより、外層材料の占める空間の体積を算出する。最後に、該外層材料の占める空間の体積の、該多孔質状部分の占める空間の体積に対する体積百分率を空間占有率として求める。空間占有率がこの範囲であれば、生体内に埋設した場合でも埋設部の生体組織の侵入が容易となるからである。また、多孔質状としては、編物状、織物状、不織布状、発泡状、その他の内部に多数の空間部を有する構造であれば、特に制限はない。該多孔を成形する無数の空間部の大きさは、平均長が5〜1000μm、より好ましくは10〜100μmである。5μmを下回ると生体組織の細胞侵入が困難となり、その一方、1000μmを超えると細胞侵入の密度が小さくなる場合がある。
【0050】
このような外層に用いられる材質としては、内層よりも硬く、多孔を形成できれば特に制限はないが、より好ましくは生体組織への親和性に優れた材質である。外層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂もしくはそれらのポリオレフィン系エラストマー;ポリエステル樹脂またはポリエステル系エラストマー;ポリウレタン樹脂またはポリウレタン系エラストマー;ポリアミドもしくはポリアミド系エラストマー;スチレン系樹脂もしくはスチレン系エラストマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等などの樹脂材料が挙げられ、これらの1種を単独で使用する場合に限られず、2種以上を併用してもよい。またこれらの樹脂をベースとしたポリマーアロイあるいはポリマーブレンドを用いることも可能である。
【0051】
外層の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは100〜200μmである。20μmを下回ると管状体の剛性が不足し、キンク耐性が損なわれる場合がある。一方、500μmを超えると管状体の溝形状において幅に対する高さが過剰となり、湾曲の余地が不足するためキンクを生じ易くなる。
【0052】
本発明の医療用管状体には、外層から内層にかけて設けられた螺旋状または環状の溝が必要であり、溝のピッチ、幅、溝と溝との間隔は、上記第一の医療用管状体と同様である。
【0053】
本発明の医療用管状体は、人工の血管、胆管、輸尿管、食道、気管などに適する。従って、医療用管状体の全長は、用途によって適宜選択することができ、長尺物を製造し、好ましい長さに切断して使用することもできる。同様に、医療用管状体の内径も用途によって適宜選択することができ、その長さは上記第一の発明で記載したと同様である。また、医療用管状体の肉厚も使用目的に応じて適宜選択することができ、その肉厚も上記第一の発明で記載したと同様である。
【0054】
本発明の医療用管状体には、内層の内側に1以上の層からなる最内層を有していてもよい。このような最内層の素材は、該医療用管状体の使用目的によって適宜選択することができ、上記第一の医療用管状体の最内層と同様のものを使用できる。
【0055】
なお、本発明の医療用管状体は、更にISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上であってもよい。より好ましくは1.1〜1.5%/100mmHgである。このように1%/100mmHg以上の動的コンプライアンスを有することで、生体親和性に優れるとともに管内の流動体量の変化にも容易に対応できるからである。
【0056】
さらに、第二の発明の特徴である「つぶし抗力」が500gf以下であることが好ましい。つぶし抗力がこの範囲であれば、周囲の生体組織に対する圧迫を抑制できるからである。
【0057】
本発明の第一から第三の医療用管状体の外層には、更に抗血栓性材料を被覆してもよい。抗血栓性材料としては、ヘパリン、ポリアルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体(例えば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタアクリレート])、疎水性セグメントと親水性セグメントの両者を有するブロックまたはグラフト共重合体(例えば、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアクリレート]のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピロリドン]−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体)、さらにこれらのブロック共重合体にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使用できる。好ましくは、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/AAのブロック共重合体などである。そして、上記のヘパリンを除く親水性樹脂を血液接触面に被覆した後、さらにその上にヘパリンを固定することが好ましい。この場合、ヘパリンをこの親水性樹脂の表面に固定するためには、親水性樹脂は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオシアネート基、酸クロリド基、アルデヒド基および炭素−炭素二重結合のうちのいずれかを有するか、もしくは容易にこれらの基に変換可能な基を有していることが好ましい。特に好ましくは、上記親水性樹脂にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマーを用いることであり、アミノ基を有するポリマーとしては、ポリアミン、特にPEI(ポリエチレンイミン)が好ましい。
【0058】
ヘパリンの固定は、医療用管状体の血液接触面に上記の親水性樹脂を被覆し、その表面にヘパリン水溶液を接触させた後、グルタールアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、エピクロルヒドリン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの固定化剤と接触させることにより、上記の親水性樹脂に共有結合させ固定することができる。このような抗血栓性材料の被覆層の壁厚は、チューブの柔軟性や外径に実質的に影響を及ぼさない程度に最小限とすることが好ましい。
【0059】
本発明の第四は、管状の内層上に、線条体を螺旋状または環状に載置し、次いで該内層および該線条体上から該内層よりも硬い熱可塑性樹脂からなる外層部を設け、次いで加熱処理し、その後に該外層に該線条体の両端に沿って設けた切れ目を用いて外層内に埋没する該線条体を取り出すことを特徴とする、医療用管状体の製造方法である。外層部を溶融吹き付けによって多孔質状に形成することができる。また、該線条体は、内層を構成する樹脂よりもガラス転移温度が高い樹脂からなり、外層部の形成後に内層のガラス転移温度よりも高温で熱処理することが好ましい。従来法による医療用管状体の外表面に螺旋状の溝を形成する方法として、刃物などの工具による切削・研削加工やレーザー加工などが一般に用いられているが、切削・研削工程での異物発生や高価で大型の加工装置を必要とするなどの難点があった。本発明によれば、簡便に螺旋状の外層を有する医療用管状体を製造することができる。なお、該製造方法は、上記第一から第三の医療用管状体の製造方法として好ましいが、これらの製造に限られるものではない。
【0060】
本発明では、管状の内層上に線条体を螺旋状または環状に載置するのであるが、作業性を確保するため、該管状の内層は予め医療用管状体の内径に等しい直径を有するステンレス棒などの管状体を被覆するように設けられていることが好ましい。一般には、該ステンレス棒に内層用樹脂を塗布または含浸などによって付与し、これに熱収縮性フィルムを被覆し、外部から温度50〜200℃に加熱して内層を形成する。または、予め管状に調製した内層を、前記ステンレス棒に被覆してもよい。該内層用の樹脂としては、第一の医療用管状体に使用する樹脂を好ましく使用できるが、これに限るものではない。また、内層厚さも特に制限はない。一般には、内層樹脂のガラス転移温度は35℃以下である。このような樹脂としては、一般的なゴム材料の他、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリブテンエラストマー等のポリアルキレン系エラストマー;軟質塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂もしくはそれらのオレフィン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、その他の熱可塑性エラストマーが挙げられ、いずれも好ましく使用できる。
【0061】
本発明ではこの内層上に、螺旋状または環状に線条体を載置する。螺旋状に線条体を載置するには、上記ステンレス棒を回転させながら線条体を載置すれば簡便である。この際、線条体は、後に取り外されて溝を構成するものであり、この製造方法によって第一または第二の医療用管状体を製造する場合には、上記した範囲でそれぞれに至適な内径を有する線条体を使用すればよい。また、上記範囲外の管状体を製造する場合には、至適な溝部を構成し得る内径の線条体を使用すればよい。なお、溝の深さは、巻付ける線条体の直径と巻付け時における線条体の張力および加熱の温度と時間によっても制御することができる。
【0062】
該線条体の素材は、ステンレス、銅線、Ni−Ti合金等の金属であってもよく、また樹脂線条体であってもよい。その形状は、一本の直線の線条体のほか、金属粒や樹脂粒が線条体に連なった金属粒線条体を形成してもよい。再使用が容易な点で金属が好ましく、特に金属粒線条体であれば先の使用時に形成された螺旋状の変形に依存せずに使用することができる。また、樹脂線条体の場合には、内層に巻付けることが可能な可撓性を有し、加熱時の温度に耐える材料であるため、ガラス転移温度が前記内層用の樹脂よりも高いことが好ましい。外層部形成後に熱処理する際に、内層樹脂よりもガラス転移温度が低いと内層の一部に陥没、融着、固着し、取り出しが困難となる場合がある。
【0063】
また、樹脂線条体の場合、線条体の融点は、外層材料の融点よりも高温であればよく、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。このような融点を有する樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホンがある。
【0064】
本発明では、次いで該内層および該線条体上から該内層よりも硬い熱可塑性樹脂を、塗布、被覆、含浸、溶融吹き付け等の方法によって形成し、外層部とする。外層樹脂は、薄形成加工温度よりも軟化点が低く、融点が高いことが好ましい。薄形成加工処理時に内層と外層を良好に結合させることが困難となる場合がある。一方、薄形成加工温度よりも融点が低いと、薄形成加工熱処理時に外層が溶融し、外層の多孔性等の構造が崩壊する恐れがある。
【0065】
このような外層用樹脂としては、医療用管状体の使用目的に応じて適宜選択でき、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂もしくはそれらのポリオレフィン系エラストマー;ポリエステル樹脂またはポリエステル系エラストマー;ポリウレタン樹脂またはポリウレタン系エラストマー;ポリアミドもしくはポリアミド系エラストマー;スチレン系樹脂もしくはスチレン系エラストマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等などの樹脂材料が挙げられ、これらの1種を単独で使用する場合に限られず、2種以上を併用してもよい。
【0066】
外層部の形成を、外層用樹脂を溶融し線状に供給する溶融吹き付け法によって形成すると、外層構成樹脂が送風によって霧状または繊維状に上記内層および線条体上に吹き付けられ、不織布状の多孔質体が形成される。このような多孔質としては、医療用管状体の使用目的に応じて空間占有率や空間部の平均長さなどを選択することができる。一般には、外層の多孔質体は、空間占有率が5〜80%、好ましくは10〜50%であることが好ましく、多孔を成形する無数の空間部の大きさは、平均長が5〜1000μm、より好ましくは10〜100μmである。このような多孔質を形成するには、使用する外層用樹脂の種類によっても異なるが、外層用樹脂の融点より50℃以上高い温度にて溶融させた外層材料を、二重管からなる吹付けノズルの内管より毎分0.02〜2.0gの割合で吐出させ、該二重管の外管より該外層材料の融点よりも高い温度に加熱した空気を毎分10〜80リットルで噴出させながら、外層を吹付けることにより多孔形成をすることができる。
【0067】
本発明では外層部形成後に熱処理を行なう。該熱処理は、例えば、熱収縮フィルムを外層部の上から被覆し、内層のガラス転移温度よりも高く、外層部材の融点よりも低い温度に加熱する方法等がある。熱処理の温度が内層のガラス転移温度よりも低いと、内層が変化せず溝構造が形成されない。一方、外層の融点を上回る温度で熱処理した場合には線条体と外層が融着し、熱処理後の線条体の除去が不可能となる。
【0068】
次いで常温まで冷却した後に、該外層に線条体の両端に沿って設けた切れ目を用いて外層内に埋没する線条体を取り出す。切れ目の入れ方は、切削加工、レーザー加工等のいずれでもよい。
【0069】
本発明の製造方法によれば、線条体を使用することで溝部を形成させるため、角がない。溝の底面が矩形状となっているものに比べて、丸みを帯びた形状とすることで、溝の両端部における物性の変化をある程度なだらかにすることができ、湾曲が良好なものとなり、特に生体親和性に優れる医療用管状体が得られる。
【0070】
本発明の医療用管状体の製造方法によれば、人工の血管、食道、胆管、気管、輸液管、カテーテル等のキンクを防止した各種医療用管状体を製造することができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0072】
実施例1
直径6mmのステンレス棒に、ポリエステル編み管状体を被せた。その上に内層に相当する部材として内径6.5mm、厚さ0.4mmのスチレン系エラストマー(ガラス転移温度約−50℃、引張弾性率0.85MPa)を被覆し、100℃、15分間の熱処理を行ない融着させた。この管状体上に直径0.85mmのポリエステルモノフィラメント(ガラス転移温度70℃、融点約270℃)を約2.2mm間隔で巻き付け、その上から外層に相当する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(ガラス転移温度約−20℃、軟化点90℃、融点126℃、引張弾性率300MPa)をメルトブローンにより約100μmの厚さで吹付け、120℃で19分間熱処理した。常温まで冷却後、ポリエステルモノフィラメント上に積層された部分のみ外層を切除した。
【0073】
以上の方法によって、溝部で約0.08mm、それ以外の部分で約0.4mmの厚さを持つ内層、約0.15mmの厚さを持つ外層からなる医療用管状体を得た。該管状体についてキンク性および柔軟性を測定した。
【0074】
この医療用管状体を湾曲させると、湾曲部外側では図2(b)のように溝部が伸長し、湾曲部内側では図2(c)のように溝部が収縮した。一方、溝以外の部分は、伸長・収縮することなく、管状体断面の円環形状を維持した。
【0075】
該医療用管状体について、下記の方法で動的コンプライアンスおよびキンク耐性を評価した。結果を表1に示す。
【0076】
評価方法
(1)動的コンプライアンスは、医療用管状体の評価試験方法における国際規格であるISO 7198(Cardiovascular implants-Tubular vascular prostheses 8.10 Determination of dynamic compliance)によった。
【0077】
具体的には、37℃の恒温水槽中で、正弦波状の内圧変化を負荷することの可能な拍動試験装置に検体を取り付け、1Hzの試験速度で50から90mmHgおよび80から120mmHg、110から150mmHgの各圧力範囲で拍動圧を加えたときの外径変化をレーザー測定器で測定した。
【0078】
加圧状態における内半径Rpを、レーザー外径測定器にて測定した加圧時の外径Dpと壁厚tより
【0079】
【数1】
【0080】
として求め、最低圧力をp1(mmHg)および、最高圧力p2(mmHg)から、
【0081】
【数2】
【0082】
に従って動的コンプライアンスCd(%/100mmHg)を計算した。
【0083】
(2)キンク耐性の評価は、ISO 7198(Cardiovascular implants-Tubular vascular prostheses 8.9 Determination of kink diameter/radius)に準じて行った。
【0084】
また、実施例1で得た医療用管状体を用いて、つぶし抗力の測定を行った。その測定方法は、FDA Guidance for the Preparation of Research and Marketing Applications for Vascular Graft Prostheses 12.6 Determination of crush resistance に準拠して行った。すなわち、
幅50mmの2枚のステンレス製平板を、引張・圧縮試験装置の上下の試料把持部に面が上下に平行になるように取り付け、上下の平板間隔を10mmに調整した。実施例1、比較例2の人工血管として作製した医療用管状体の試料(長さ100mm)を該平板の間に静置し、100mm/minの速度で6mm圧縮変位させ、その間の荷重値と変位を記録した。各試料において該平板が試料に接触した地点を起点として、1.5mmまで変位した時の荷重値をつぶし抗力とした。結果を表1に示す。
【0085】
比較例1
実施例1と同じ内層および外層用の樹脂を用いて、内層と外層とが固着した管状体を製造し、その外層上に素材ポリエステルからなり、直径0.35mmの線条体を螺旋に被覆して外部補強を有する医療用管状体を製造した。該医療用管状体は、該外層から該内層に達するが該内層を貫通しない深度で該管状体の外周を螺旋状または環状を形成する溝が存在しない。
【0086】
該管状体についてつぶし抗力を測定した。その結果、つぶし抗力は1848.6gfであった。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例2
メルトブローン法により、実施例1の外層樹脂を使用して、空間占有率が67.8%である以外は実施例1と同じ医療用管状体を作成した。該医療用管状体のキンク耐性およびつぶし抗力、動的コンプライアンスを測定した。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
実施例3
メルトブローン法により、実施例1の外層樹脂を使用して、空間占有率90%、64%、32%、31%のポリオレフィン系樹脂多孔質を作成した。該多孔質を家兎背部皮下に埋入して組織侵入性を調べた。なお、組織侵入性の評価は次のように行った。正常な日本白色種家兔(体重2.4〜3.2kg)16羽の背部皮下に一個体につき2〜4サンプルを埋入し、1ヶ月、3ヶ月で摘出した。得られたサンプルは、10%中性ホルマリンにて固定した後、定法によりパラフィン包埋し、薄切切片を作製した。この切片にHE染色、Azan染色を施し、病理組織学的検索に供した。
【0091】
埋入後、1ヶ月および3ヵ月後に摘出し、評価した結果、空間占有率が64%、32%および31%の不織布は、空間占有率90%の不織布と比較して良好な間葉系細胞の侵入とコラーゲン産生が認められた。
【0092】
【発明の効果】
本発明の医療用管状体は、少なくとも内層と内層よりも硬い外層とからなり、外層には内層に至る螺旋状または環状の溝を有する。このような管状構造体を湾曲させると、湾曲部外側では溝部が伸長し湾曲部内側では溝部が収縮して屈曲応力を緩和し、キンクを有効に防止することができる。しかも、内層と外層とをそれぞれ柔軟かつ復元力のある樹脂材料で構成するため、所定の動的コンプライアンスを確保し、変動する流体量の取り扱い時の操作性に優れる。また、線条体を内層に巻付け、加熱する方法でらせん状の溝形成を行なうことにより、異物発生が無く、簡便かつ安価に溝形成を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例における正面図(a)、非湾曲時の側面および断面図(b)、非湾曲時の断面拡大図(c)である。
【図2】 図2は、本発明の医療用管状体の湾曲時の側面図(a)、湾曲時の外側断面拡大図(b)、湾曲時の内側断面拡大図(c)である。
【符号の説明】
10…空洞部、
20…最内層、
30…内層、
40…外層、
50…溝。
Claims (10)
- 少なくとも最内層、内層、および外層の三層構造を含む管状体であって、該最内層は、編物状または織物状であり、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達しない深度まで線条体からなる型の押し込みと抜去により形成される螺旋状または環状の溝を有し、ISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上である、医療用管状体。
- 少なくとも最内層、内層、および外層の三層構造を含む管状体であって、該最内層は、編物状または織物状であり、該外層は該内層よりも硬い材料で構成され、かつ該外層から該内層に達しない深度まで線条体からなる型の押し込みと抜去により形成される螺旋状または環状の溝を有し、つぶし抗力が500gf以下である、医療用管状体。
- 少なくとも最内層、内層、および外層の三層構造を含む管状体であって、該最内層は、編物状または織物状であり、該外層は該内層よりも硬い材料で多孔質状に構成され、かつ該外層から該内層に達しない深度まで線条体からなる型の押し込みと抜去により形成される螺旋状または環状の溝を有する、医療用管状体。
- 該外層の空間占有率が5〜80%である、請求項3記載の医療用管状体。
- ISO 7198で規定する動的コンプライアンスが、1%/100mmHg以上である、請求項2〜4のいずれかに記載の医療用管状体。
- 内層の引張弾性率が0.3〜2MPaであり、外層材料の引張弾性率が30〜500MPaである、請求項1〜5のいずれに記載の医療用管状体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の医療用管状体からなる、人工の血管、食道、気管または胆管。
- 編物状または織物状の管状の最内層の表面に内層を被覆させて、該内層の空洞側に、および/または該内層に包含されるように該最内層を設けた管状の内層を形成し、当該管状の内層上に、線条体を螺旋状または環状に載置し、次いで該内層および該線条体上から該内層よりも硬い熱可塑性樹脂からなる外層部を設け、次いで加熱処理し、その後に該外層に該線条体の両端に沿って設けた切れ目を用いて外層内に埋没する該線条体を取り出すことを特徴とする、医療用管状体の製造方法。
- 該内層および該線条体上から溶融吹き付けによって該内層よりも硬い熱可塑性樹脂からなる多孔質状の外層部を設けることを特徴とする、請求項8記載の医療用管状体の製造方法。
- 該線条体が、該内層よりもガラス転移温度が高い樹脂からなり、外層部の形成後に該内層のガラス転移温度よりも高温で熱処理することを特徴とする、請求項8または9記載の医療用管状体の製造方法。
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