JP4186635B2 - はんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置 - Google Patents

はんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、主に環境保護等の観点から無鉛はんだを用いた配線基板のはんだリフロー装置として、プリヒート部、リフロー部、冷却部を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、このはんだリフロー装置では、未凝固はんだ及び電子部品を設けた配線基板をコンベア装置によってプリヒート部に搬送し、未凝固はんだをプリヒータで加熱した後、リフロー部に搬送して電子部品を冷却しながら、未凝固はんだのリフロー処理を行う。
そして、このリフロー処理によって加熱溶融された未凝固はんだを冷却部に搬送して冷却を行い、はんだを硬化させて後段に排出する。
この冷却部では、コンベア装置上の配線基板に臨む状態で配置されたダクト及び冷却ファンにより、緩やかな冷却エアーを加熱溶融されたはんだに供給する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−43733号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような従来技術では、冷却ファンとダクトを用いた冷却部によってはんだを冷却硬化することから、比較的長時間の冷却時間を要し、製品のスループットが悪くなるという課題がある。
また、はんだ凝固時の組織変化に関し、一般には冷却速度が速いほど、多くの核が発生し、結晶粒が細かくなる。そして、結晶粒が細かいほど、ホールペッチの法則によって強度や硬さが上昇する。また、結晶組織が細かいほど、粒界での割れなどの影響を受けなくなり、接合信頼性が向上する。
【0005】
したがって、はんだリフロー後の硬化冷却処理としては、できるだけ冷却速度を速くし、接合部の信頼性を向上することが望ましい。逆に高温放置で結晶が粗大化してしまうと、強度的な信頼性が低下してしまう。
また、特に上述した無鉛はんだを用いた配線基板では、有鉛はんだを用いた場合よりもリフロー処理の温度が高くなるので、従来の冷却方法では必要な冷却時間が長くなり、製品のスループットが顕著に悪くなる。
さらに、適正な冷却・硬化が行えないままリフロー装置から配線基板を排出してしまった場合には、その後の搬送経路において振動等のメカストレスがはんだにかかり、はんだクラック等の問題が生じる恐れがある。
【0006】
そこで、このような課題を克服するためには、より強力な冷却装置によってリフロー後の溶融はんだを急冷することが考えられるが、溶融はんだに強い冷却エアーを供給した場合、はんだ表面が変形するという問題が生じる。
また、エアー供給以外の、より高度な冷却装置を用いて急冷を行うことも可能でるが、設備が大掛かりとなり、コストが高くなるという問題も生じる。
【0007】
そこで本発明の目的は、リフロー処理後の溶融はんだを効率的に冷却でき、適正なはんだの凝固状態を得ることができるはんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明のはんだ冷却方法は、リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却工程を有し、前記はんだ冷却工程は、前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却工程と、前記第1の冷却工程によって冷却された後の前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明のはんだ冷却装置は、リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却部を有し、前記はんだ冷却部は、前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却装置と、前記第1の冷却装置の後段に配置され該第1の冷却装置によって冷却された後の前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却装置とを含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明のはんだリフロー装置は、未凝固はんだが塗布され、かつ部品がマウントされた配線基板を予備加熱するプリヒート部と、前記プリヒート部によって予備加熱された配線基板の未凝固はんだにリフロー処理を行うリフロー部と、前記リフロー部のリフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却部と、前記配線基板をプリヒート部、リフロー部、及びはんだ冷却部に順次搬送する搬送手段とを有し、前記はんだ冷却部は、前記配線基板を前記搬送手段により搬送しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却装置と、前記第1の冷却装置の後段に設けられ該第1の冷却装置によって冷却された後の前記配線基板を前記搬送手段により搬送しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却装置とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によるはんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置では、、リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却する場合に、配線基板を移動しながら、少なくとも未凝固はんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却し、その後、配線基板を移動しながら、強い冷却エアーにより急冷して固化する2段階構成としたことにより、リフロー処理直後の溶融はんだの状態を損なうことなく、かつ、はんだの表面硬化後は効率的に冷却でき、適正なはんだの凝固状態を得ることができる。
したがって、電気的及び機械的に信頼性の高いはんだ付けを行うことができるので、製品の信頼性を向上でき、製品歩留の改善等を達成できる効果がある。
また、リフロー処理後の冷却作業時間の短縮を図ることができるので、製造効率の改善に寄与でき、製品コストの低下を達成できる効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるはんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置の実施の形態例について説明する。
図1及び図2は本発明を適用したはんだリフロー装置の全体構成例を模式的に示す図であり、図1は側面図、図2は平面図(詳しくはヒータ101、104が省略された平面図)である。
図3は図1及び図2に示すはんだリフロー装置の構成をやや具体的に示す側断面図である。
本例のはんだリフロー装置は、リード部品実装用の未凝固はんだ(クリームはんだ)をリフロー処理するものであり、例えば予めチップ部品がマウントされ、そのリフロー処理(チップリフロー処理)を終えた配線基板に対し、リード部品実装用のはんだ塗布、リード部品のマウントを行い、再度、はんだリフロー処理(リードリフロー処理)を行う場合の装置として構成されている。
なお、リード部品に対するリフロー処理の方法には、配線基板の片面全体に熱風を供給して加熱する片面リフロー方式や、リードとはんだの接続部分に局所的に熱風を供給して局所的に加熱するスポットリフロー方式等が知られているが、本例では片面リフロー方式について説明するものとする。
【0013】
図1〜図3に示すように、本例のはんだリフロー装置は、プリヒート部(プリヒートゾーン)100と、リフロー部(リフローゾーン)120と、冷却部(冷却ゾーン)140と、コンベア装置160とを有する。
コンベア装置160は、片面リフロー処理を行う配線基板200を両面露出状態で保持する例えばチェーンコンベア装置であり、配線基板200を矢印Aで示す方向に搬送してプリヒート部100、リフロー部120、冷却部140の各部に順次投入し、各部における所定の処理位置に配線基板200を配置する機能を有する。なお、図1、図3において、配線基板200の上面側が部品配置面であり、下面側がリフロー処理を行うはんだ塗布面である。
【0014】
プリヒート部100は、配線基板200を予備加熱するものであり、配線基板200の搬送方向に沿って3つのプリヒート部100A、100B、100Cを有している。最も上流に配置された第1プリヒート部100Aは、配線基板200の両面に配置されたヒータ101、102と、配線基板200の上面(部品配置面側)に配置された循環ファン103を有し、配線基板200を両面から予備加熱する。
また、2番目に配置された第2プリヒート部100Bは、配線基板200の両面に配置されたヒータ104、105と、配線基板200の上面に配置された循環ファン106を有し、配線基板200を両面から予備加熱する。
また、3番目に配置された第3プリヒート部100Cは、配線基板200の下面(はんだ塗布面)に配置されたヒータ107と、配線基板200の上面に配置された循環ファン108を有し、配線基板200を下面から予備加熱する。
このような構成のプリヒート部100により、特に配線基板200のはんだ塗布面を例えば160°Cから180°C程度の温度に予備加熱した状態でリフロー部120に送り出す。
【0015】
次に、リフロー部120は、プリヒート部100から搬送されてきた配線基板200のはんだ塗布面に対して片面リフロー処理を行うものであり、はんだ塗布面に対するリフロー加熱を行う加熱装置120Aと、部品配置面側の冷却を行う冷却装置120Bとを有する。
図3に示すように、加熱装置120Aは、配線基板200のはんだ塗布面に熱風を供給するリフローヒータ部122と、このリフローヒータ部122に熱風用のエアーを供給するシロッコファン124とを有する。
リフローヒータ部122は、上部ヒータ122Aと下部ヒータ122Bを有し、これら上部ヒータ122Aと下部ヒータ122Bには、シロッコファン124から供給されるエアーを通す多数の通気孔が上下方向に形成されており、この通気孔を通るエアーを加熱して配線基板200のはんだ塗布面に供給する。なお、リフローヒータ部122の上部には、各ヒータ122A、122Bの通気孔を通して送られてきた熱風エアーを配線基板200のはんだ塗布面に均等に分散して放出するための多数の孔が開口されたリフローパネル123(図1参照)が配置されている。
シロッコファン124は、冷却装置120Bの排気パイプ126Bを通して回収した温かいエアーをリフローヒータ部122の下部に供給するものである。
【0016】
冷却装置120Bは、吸気ファン120F、偏向板120H、遮蔽板120S等を有し、設備上背面に設けた吸気ファン120Fによって偏向板120H、遮蔽板120Sの開口部120aを経由し、ダクト126A内に冷却エアーを取り込み、これを配線基板200の上面に供給するものである。この冷却装置120Bにより、配線基板200の上面に配置された電子部品の加熱を抑制する。
また、冷却装置120Bのダクト126Aには、配線基板200の上面に供給したエアーを回収して排気パイプ126Bに排出するための回収ダクト(図示せず)が設けられており、配線基板200の上面で温かくなったエアーを回収し、排気パイプ126Bを通して上述したシロッコファン124に供給する。
このような構成のリフロー部120により配線基板200の部品配置面側の温度上昇を抑制しつつ、はんだ塗布面を均一に加熱し、はんだを加熱溶融して各部品のリードと配線パターンとを接合する。
【0017】
次に、本実施の形態例の特徴部分となる冷却部140について説明する。
本例の冷却部140は、緩急2段階の冷却装置140A、140Bによってリフロー処理された加熱溶融はんだを冷却するものである。
まず、第1冷却装置140Aは、リフロー部120の出口近傍に設けられており、配線基板200の下側に配置された冷却ファン142と、配線基板200の上側に配置された排気ダクト144を有している。
冷却ファン142は、配線基板200のはんだ塗布面にファンによる緩やかな冷却エアーを供給し、配線基板200のリフロー処理された溶融はんだを所定の速度で冷却する。
排気ダクト144は、配線基板200の上面の空気を上部に設けられた排気ファン145の動作によて吸引排気することにより、配線基板200の下面側での冷却作用を補助する。
【0018】
このような第1冷却装置140Aでは、配線基板200の溶融はんだを緩やかな冷却エアーによって冷却し、少なくともはんだ表面が硬化する状態まで冷却を行うものとする。なお、この場合の設備出口での冷却温度としては、使用するはんだの成分によっても変動するため、一律には決まらないが、少なくともはんだが硬化する固相温度より更に低い温度であり、一般的には固相温度より20〜30°程度低い温度ではんだが完全に固化する。
このような第1冷却装置140Aの冷却により、溶融はんだの表面形状を損なうことなく、はんだを冷却硬化でき、安定させた状態で配線基板200を第2冷却装置140Bに搬送することができる。
なお、本例では、配線基板200の下面にだけ冷却ファン142を設けたが、配線基板200の上下両面に設けて冷却を行う構成であってもよい。
【0019】
次に、第2冷却装置140Bはノズル噴射によって強い冷却風を配線基板200のはんだ塗布面に供給するものである。
図4は本例における第2冷却装置140Bの概要を示す説明図である。
この第2冷却装置140Bは、圧縮エアー供給管(以下、エアーノズルという)150と、エアー供給ホース152と、エアー圧レギレータ154と、及び圧縮エアーポンプ(図示せず)を有して構成されている。
エアーノズル150は、円形断面を有する管状に形成されており、長手方向に沿って所定間隔おきに1列に複数のエアー放出孔151を設けたものである。このエアーノズル150は、コンベア装置160による搬送方向に沿って配置され、各エアー放出孔151を配線基板の下面に対向させた状態で設けられている。なお、エアーノズル150の先端部は閉鎖されている。
また、各エアー放出孔151は、円形孔状に形成されており、圧縮エアーを効果的に噴射できるように、外側に向かって拡開するテーパ形状で形成されている。
【0020】
また、エアーノズル150の基端部は、ホースアダプタ156を介してエアー供給ホース152に接続されており、このエアー供給ホース152はエアー圧レギレータ154を介して圧縮エアーポンプに接続されている。
圧縮エアーポンプからの圧縮エアーは、エアー圧レギレータ154によって調整された圧力でエアー供給ホース152からエアーノズル150に供給され、各エアー放出孔151から配線基板200のはんだ塗布面に供給される。これにより、配線基板200の未凝固はんだは、各エアー放出孔151からの強い冷却エアーを受けて急速に冷却される。
このような第2冷却装置140Bにより、比較的短時間にはんだの温度が固相温度まで低下し、効率よくリフロー後の冷却処理を完了できる。
なお、このような第2冷却装置140Bにおいて使用する冷却エアーは例えば工場内で通常使用されている冷却エアーを用いることができ、また、その気圧や供給量等については、圧縮エアー供給管や圧縮エアー放出孔の構造、必要な冷却温度等に応じて適宜設定するものとする。
【0021】
なお、第2冷却装置140Bについては、図1〜図4に示す例に限らず、適宜変形が可能である。
例えば、図1の例では、1本のエアーノズル150を設けたが、複数本のエアーノズルを並列配置するような構成としてもよい。また、エアーノズルの配置方向も配線基板の搬送方向に沿って配置する代わりに、搬送方向に直行して複数本配置するようにしてもよい。
また、図4に示す例では、圧縮エアー放出孔を1列に配置した例を示したが、例えば2列に配置したものであってもよい。あるいは、図5に示すように、複数のエアー放出孔151Aを千鳥配列(交互に斜めの配列)で配置したエアーノズル150Aを設けてもよい。
また、円形状のエアー放出孔に限らず、エアーノズルの長手方向に沿ってスリット(長孔状)のエアー放出孔を設けてもよい。例えば、図6(A)に示すように、1本のスリット状のエアー放出孔151Bを有するエアーノズル150Bを設けてもよいし、図6(B)に示すように、間欠的に複数のスリット状のエアー放出孔151Cを有するエアーノズル150Cを設けてもよい。
また、エアーノズル150の断面は、円形以外の形状、例えば菱形等の多角形であってもよい。
【0022】
次に本例における配線基板の部品実装処理の概略について説明する。
図7は本例の部品実装処理の概要を示すフローチャートであり、図7(A)はチップ部品の実装処理手順、図7(B)はリード部品の実装処理手順を示している。
まず、図7(A)に示すチップ部品の実装処理では、クリームはんだを印刷で配線基板のチップ実装面に塗布し(ステップS1)、次いでチップマウンタ等によって配線基板にチップ部品を実装する(ステップS2)。
そして、チップリフロー装置(図示せず)を用いてチップリフロー処理を行い(ステップS3)、その後、検査・修正工程に移行する。以上により、チップ実装処理が終了する。
【0023】
次に、図7(B)に示すリード部品の実装処理では、配線基板のはんだ塗布面の特定箇所にスポット状にクリームはんだを塗布する(ステップS11)。この作業は、マルチノズルディスペンサシステム(MDS)によって多数のはんだ供給ノズルによって多数箇所のはんだ塗布を一括して行うものである(なお、具体例は後述する)。
次に、リードマウンタ等により配線基板のはんだ塗布面にリード部品のマウントを行い(ステップS12)、さらに配線基板上にケースのマウントを行う(ステップS13)。
そして、上述した本例のはんだリフロー装置を用いて片面リードリフロー処理を行い(ステップS14)、基板実装を完了した後、基板分割を行い(ステップS15)、個々の配線基板を完成する。
なお、このような手順は一例であり、本発明を限定するものではなく、種々の方式を採用し得ることは勿論である。
【0024】
図8はリード部品の実装処理の各工程を示す断面図である。
まず、図8(A)において、配線基板200の第1面(はんだ塗布面)210には、既にチップ部品201、202が実装され、リフロー処理、検査・修正処理が完了したものである。
そして、この配線基板200の第1面210に、マルチノズルディスペンサの多数のノズル301からクリームはんだ300をスポット状に塗布する。図示のように、リード部品の実装位置はチップ部品の実装位置を避ける領域を用いる。次に、図8(B)に示すように、配線基板200を反転し、第2面(リード部品実装面)220を上に向け、図8(C)に示すように、各種のリード部品401、402、403、404の各リードを配線基板200に設けた透孔に挿着する。
【0025】
この後、本例の配線基板200をはんだリフロー装置に投入し、図8(D)に示すように、片面リードリフロー処理を行う。
すなわち、配線基板200の第2面220側は、上述したリフロー部120の冷却装置120Bによって冷却され、第1面210側は、リフロー部120の加熱装置120Aによって加熱される。
なお、図8(D)において、冷却装置120Bでは、吸気ファン120F、偏向板120H、遮蔽板120S、及びダクト121によって冷却エアーを矢印αに示すように循環させている。また、加熱装置120Aでは、リフローパネル123に設けた放出孔123Aより熱風を配線基板200の第1面210に供給し、リードリフロー処理を行う。
【0026】
図9(A)(B)は本例によるはんだリフロー装置における配線基板の温度変化(温度プロファイル)の測定結果例を従来のはんだリフロー装置の場合と対比して示す説明図であり、図9(A)が本例のはんだリフロー装置の測定結果例を示し、図9(B)は上述した特許文献1による従来例に相当するはんだリフロー装置の測定結果例を示している。
なお、各図において、縦軸は温度、横軸は時間経過を示し、上述したプリヒートゾーンからリフローゾーンを経て冷却ゾーンに到る温度変化を示している。
また、各図において、楕円Xで示す一群の測定結果例は配線基板の第1面に配置される部品の温度を測定したものであり、楕円Yで示す一群の測定結果例は配線基板の第2面に配置される部品の温度を測定したものである。
【0027】
図示のように、プリヒートゾーンでは、配線基板の両面の部品温度は予備加熱によって徐々に上昇し、3番目のプリヒート部でリフロー処理される第1面のはんだ付け面温度の方が高くなる。そして、リフローゾーンでは、リフロー処理される第1面のはんだ付け面温度の方が大きく上昇し、反対側の第2面の部品温度はほぼ一定に制御される。そして、冷却ゾーンに移行することにより、第1面のはんだ付け面が冷却される。
そして、図9(A)と図9(B)を対比して分かるように、ファン冷却だけの従来例に比べて、ファン冷却とノズル冷却の緩急2段階の冷却装置140A、140Bを組み合わせた本例の冷却部140により、リフロー後のはんだ付け面温度が急速に低下し、効果的にはんだの冷却、硬化を行うことが可能となる。
これにより、信頼性の高いはんだ付け状態を得ることができ、作業時間の短縮、効率化を達成できる。
【0028】
なお、以上の例では本発明をリードリフロー処理する装置に適用したが、他のリフロー処理を行うものについても同様の冷却方法を適用できるものである。
また、本発明は、上述のようなはんだリフロー装置として構成するものに限定されず、単独の冷却装置としても構成できるものである。
また、上述した例は無鉛はんだを使用した例を説明したが、これについても本発明を限定するものではなく、使用するはんだの成分等は適宜変更が可能である。
また、本発明は片面リフロー処理に限らず、スポットリフロー処理についても同様に適用できるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のはんだ冷却方法、はんだ冷却装置、及びはんだリフロー装置によれば、リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却する場合に、配線基板を一方向に搬送しながら、少なくとも未凝固はんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却し、その後、配線基板を移動しながら、強い冷却エアーにより急冷して固化する2段階構成としたことにより、リフロー処理直後の溶融はんだの状態を損なうことなく、かつ、はんだの表面硬化後は効率的に冷却でき、適正なはんだの凝固状態を得ることができる。
したがって、電気的及び機械的に信頼性の高いはんだ付けを行うことができるので、製品の信頼性を向上でき、製品歩留の改善等を達成できる効果がある。
また、リフロー処理後の冷却作業時間の短縮を図ることができるので、製造効率の改善に寄与でき、製品コストの低下を達成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したはんだリフロー装置の全体構成例を模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示すはんだリフロー装置の全体構成例を模式的に示す平面図である。
【図3】図1及び図2に示すはんだリフロー装置の構成をやや具体的に示す側断面図である。
【図4】図1及び図2に示すはんだリフロー装置の冷却部における第2冷却装置の概要を示す説明図である。
【図5】図4に示す第2冷却装置に設けられるエアーノズルの他の例を示す斜視図である。
【図6】図4に示す第2冷却装置に設けられるエアーノズルのさらに他の例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態例におけるチップ部品とリード部品の実装処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態例におけるリード部品の実装処理の各工程を示す断面図である。
【図9】図1に示すはんだリフロー装置における配線基板の温度変化の測定結果例を従来例と対比して示す説明図である。
【符号の説明】
100……プリヒート部、120……リフロー部、140……冷却部、140A……第1冷却装置、140B……第2冷却装置、142……冷却ファン、144……排気ダクト、150……エアーノズル、152……エアー供給ホース、154……エアー圧レギレータ、160……コンベア装置、200……配線基板。

Claims (21)

  1. リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却工程を有し、
    前記はんだ冷却工程は、
    前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却工程と、
    前記第1の冷却工程によって冷却された後の前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却工程とを含む、
    ことを特徴とするはんだ冷却方法。
  2. 前記はんだが無鉛はんだであることを特徴とする請求項1記載のはんだ冷却方法。
  3. 前記配線基板にチップ部品及びリード部品の少なくとも一方が実装されていることを特徴とする請求項1記載のはんだ冷却方法。
  4. 前記第1の冷却工程では冷却ファンによって前記緩やかな冷却エアーを未凝固はんだに供給し、前記第2の冷却工程では圧縮エアーを放出するノズルによって前記強い冷却エアーを未凝固はんだに供給することを特徴とする請求項1記載のはんだ冷却方法。
  5. 前記ノズルは前記配線基板のはんだ塗布面に沿って配置される1本または複数本の圧縮エアー供給管に前記はんだ塗布面に臨む圧縮エアー放出孔を設けたものであることを特徴とする請求項4記載のはんだ冷却方法。
  6. リフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却部を有し、
    前記はんだ冷却部は、
    前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却装置と、
    前記第1の冷却装置の後段に配置され該第1の冷却装置によって冷却された後の前記配線基板を移動しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却装置とを含む、
    ことを特徴とするはんだ冷却装置。
  7. 前記はんだが無鉛はんだであることを特徴とする請求項6記載のはんだ冷却装置。
  8. 前記配線基板にチップ部品及びリード部品の少なくとも一方が実装されていることを特徴とする請求項6記載のはんだ冷却装置。
  9. 前記第1の冷却装置では冷却ファンによって前記緩やかな冷却エアーを未凝固はんだに供給し、前記第2の冷却装置では圧縮エアーを放出するノズルによって前記強い冷却エアーを未凝固はんだに供給することを特徴とする請求項6記載のはんだ冷却装置。
  10. 前記ノズルは前記配線基板のはんだ塗布面に沿って配置される1本または複数本の圧縮エアー供給管に前記はんだ塗布面に臨む圧縮エアー放出孔を設けたものであることを特徴とする請求項9記載のはんだ冷却装置。
  11. 前記圧縮エアー供給管の長手方向が前記配線基板の搬送方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項9記載のはんだ冷却装置。
  12. 前記圧縮エアー放出孔は1本または複数本のスリット状に形成されていることを特徴とする請求項9記載のはんだ冷却装置。
  13. 前記圧縮エアー放出孔は複数の円形状に形成されていることを特徴とする請求項9記載のはんだ冷却装置。
  14. 未凝固はんだが塗布され、かつ部品がマウントされた配線基板を予備加熱するプリヒート部と、
    前記プリヒート部によって予備加熱された配線基板の未凝固はんだにリフロー処理を行うリフロー部と、
    前記リフロー部のリフロー処理によって加熱溶融された配線基板上の未凝固はんだを冷却するはんだ冷却部と、
    前記配線基板をプリヒート部、リフロー部、及びはんだ冷却部に順次搬送する搬送手段とを有し、
    前記はんだ冷却部は、
    前記配線基板を前記搬送手段により搬送しながら該配線基板上の前記未凝固はんだの少なくともはんだ表面が凝固する温度まで緩やかな冷却エアーによって冷却する第1の冷却装置と、
    前記第1の冷却装置の後段に設けられ該第1の冷却装置によって冷却された後の前記配線基板を前記搬送手段により搬送しながら該配線基板上の前記未凝固はんだを強い冷却エアーにより急冷して固化する第2の冷却装置とを含む、
    ことを特徴とするはんだリフロー装置。
  15. 前記はんだが無鉛はんだであることを特徴とする請求項14記載のはんだリフロー装置。
  16. 前記配線基板にチップ部品及びリード部品の少なくとも一方が実装されていることを特徴とする請求項14記載のはんだリフロー装置。
  17. 前記第1の冷却装置では冷却ファンによって前記緩やかな冷却エアーを未凝固はんだに供給し、前記第2の冷却装置では圧縮エアーを放出するノズルによって前記強い冷却エアーを未凝固はんだに供給することを特徴とする請求項14記載のはんだリフロー装置。
  18. 前記ノズルは前記配線基板のはんだ塗布面に沿って配置される1本または複数本の圧縮エアー供給管に前記はんだ塗布面に臨む圧縮エアー放出孔を設けたものであることを特徴とする請求項17記載のはんだリフロー装置。
  19. 前記圧縮エアー供給管の長手方向が前記配線基板の搬送方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項17記載のはんだリフロー装置。
  20. 前記圧縮エアー放出孔は1本または複数本のスリット状に形成されていることを特徴とする請求項17記載のはんだリフロー装置。
  21. 前記圧縮エアー放出孔は複数の円形状に形成されていることを特徴とする請求項17記載のはんだリフロー装置。
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