JP4185988B2 - 記録装置及び方法並びに搬送装置 - Google Patents

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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/007Conveyor belts or like feeding devices

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には記録媒体(インクなどの液体やトナーなどの粒子又は粉体など)を被記録体(例えば、印刷用紙やOHPフィルムなど)に付着することによって記録する記録装置に係り、特に、記録装置における被記録体を搬送する搬送ベルトの表面処理に関する。
【0002】
本発明は、例えば、高速及び高品位印字が可能なインクジェットプリンタや電子写真式(レーザ式)記録装置に好適である。ここで、「インクジェットプリンタ」とは、印字ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルからインク滴を飛翔させ印刷用紙に吹き付けることにより印字するノンインパクトプリンタ(インクリボンを使用しないプリンタ)をいう。また、「電子写真式記録装置」は、典型的にはレーザプリンタであり、トナーを印刷用紙に付着することによって記録するノンインパクトプリンタである。
【0003】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、モノクロ及びカラー印刷が可能で価格も手頃なことから、一文字ずつ印字するシリアルプリンタ、一行ずつ印字するラインプリンタ及び一頁ずつ印字するページプリンタ分野も侵食し、小型プリンタ分野で最も注目されているものになった。
【0004】
インクジェットプリンタは高速印字かつ高品位画像形成が期待されている。このためには、印字ヘッド(インクジェットヘッド)から吐出されるインク滴の量と濃度を制御すること、及び、ヘッドに設けられるノズル数を増加して高解像度化を図ることに加えて、印刷用紙を高速で搬送すると共に印刷用紙の屈曲を防止することが不可欠である。例えば、印刷用紙の両端をローラによって搬送する場合、搬送による振動や各ローラと印刷用紙との摩擦力の相違により搬送時に印刷用紙は微小に歪むことが多い。印刷用紙のたるみは、インク滴の着弾位置のずれとそれによる画質の低下を招くと共に、ヘッドのノズルと接触すれば紙面がインクで汚れたりする。特に、ノズル数の増加したヘッドは大型化して、ノズル付近ではヘッドと印刷用紙との距離(ギャップ)は最も狭くなるために上述の問題が起こりやすい。
【0005】
そこで、ローラによる印刷用紙の搬送に代替して、印刷用紙を高速に搬送し、かつ、印刷用紙が搬送中に屈曲しないように、帯電系列を利用して印刷用紙の片面を静電的に吸着・搬送する吸着ベルトが提案されている。ここで、「帯電系列(又は帯電序列(triboelectric series)」とは、2つの物体を互いに擦り合わせるなど物体間の接触分離等の力学的運動に伴って発生した静電気が物体に蓄積される場合(即ち、静電気帯電する場合)にプラスに帯電しやすい物体からマイナスに帯電しやすい物体まで並べた配列をいう。帯電系列は2つの物体間を擦り合わせた場合に帯電の極性がどちらがプラス側でどちらがマイナス側になるかを表しており、定量的には仕事関数(eV)により表されることができる。
【0006】
搬送ベルトの材料としては機械的強度と耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリジン(PVDF)等が提案されている。この中でも特に機械的強度が高く、変形が少なく、汚れにくいPVDFは吸着ベルトの材料として一部実用化されている。帯電系列において、PVDFは印刷用紙(例えば、セルロースを主成分とする普通紙)に対してはマイナス(負極)側に帯電しやすく、印刷用紙はプラス(正極)側に帯電しやすいので両者を適当に帯電させてやれば搬送ベルトは吸着機能を果たすことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使用されるインク滴もプラス又はマイナスのどちらかの極性に帯電しやすく、従来のように印刷用紙と搬送ベルトとの静電吸着にのみ着目すればインク滴と印刷用紙とが同一極性になって電気的に反発しあい、飛んでいる過程において静動力により変位力を受け、インク滴の着弾位置がずれて画質が低下する場合がある。従って、本発明者等は、高速搬送と高品位記録の両方を達成するには印刷用紙及び搬送ベルトの帯電系列に加えて、インク滴がどちらの極性に帯電しやすいかを考慮しなければならないことを発見した。例えば、吸着ベルトがPVDFを使用する場合、印刷用紙のベルト側はプラス側に、印刷用紙のインク側(ベルト側の反対の面)はマイナス側に帯電する。その結果、マイナス側に帯電したインク滴は印刷用紙の表面と反発することになる。
【0008】
特に、インクジェットプリンタ或いはトナージェットプリンタのような記録部と、被記録体が非接触で記録媒体の被記録体への付着が行われる記録装置では、この反発が画質を大きく低下させる。
【0009】
また、本発明者等は、搬送ベルトを継続的に使用するためには、搬送ベルトが機械強度に優れ、変形が少なく、汚れにくいなどの機械的特性を有する材料により構成されているという要件も必要であることも発見した。しかし、この機械的特性の要件を具備する材料は必ずしも上述した帯電関係の要件を具備しているとは限らず、これら2つの要件を具備する材料を選定することは容易ではなかった。
【0010】
更に、搬送ベルトが仮に機械的特性と帯電関係の要件を満たしていたとしても、吸着力が弱いために搬送ベルトが高速で被記録体を搬送することができない場合もある。このため、ある場合には上記2つの要件に加えて搬送ベルトと被記録体との静電吸着力が大きくなるような材料を選定することも必要であり、選定の困難性は更に大きかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、このような従来の課題を解決する新規かつ有用な記録装置及び方法並びに搬送装置を提供することを本発明の概括的目的とする。
【0012】
より特定的には、本発明は、耐久性などの機械的特性に優れ、高速及び高品位記録が可能な記録装置及び方法を提供すること例示的目的とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録媒体を被記録体に付着させる記録部と、前記被記録体を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、前記被記録体を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、前記搬送ベルトは、基材と、当該基材の表面に設けられ、前記被記録体と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、帯電系列において前記吸着部は前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記記録媒体は前記第1の極性とは逆の第2の極性側に帯電しやすく、前記吸着部は前記基材に対して前記第1の極性側に帯電しやすい。かかる記録装置によれば、基材、吸着部、及び被記録体の帯電系列が、基材、被記録体、吸着部の順、又は、吸着部、被記録体、基材の順になるので、搬送ベルトの吸着部が被記録体に対してプラス側に帯電すれば、被記録体の搬送ベルトの吸着部と対向する面はマイナス側に帯電し、被記録体の記録媒体側の面はプラス側に帯電し、記録媒体はマイナス側に帯電する。また、搬送ベルトの吸着部が被記録体に対してマイナス側に帯電すれば、被記録体の搬送ベルトの吸着部と対向する面はプラス側に帯電し、被記録体の記録媒体側の面はマイナス側に帯電し、記録媒体はプラス側に帯電する。いずれにしても搬送ベルトの吸着部と被記録体は逆極性となって静電吸着し、被記録体と記録媒体も逆極性となって記録媒体が被記録体と反発しない。さらに、搬送ベルトの機械的特性を維持したまま記録媒体と被記録体との電気的反発を防止することができる。
【0014】
また、本発明の記録装置は、記録媒体を被記録体に付着させる記録部と、前記被記録体を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、前記被記録体を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、前記搬送ベルトは、基材と、当該基材の表面に設けられ、前記被記録体と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、帯電系列において前記吸着部は前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記基材は前記被記録体に対して前記第2の極性側に帯電しやすい。かかる記録装置によれば、基材、吸着部、及び被記録体の帯電系列が、被記録体、基材、吸着部の順、又は、吸着部、基材、被記録体の順になるので、搬送ベルトの吸着部が被記録体に対してプラス側に帯電すれば、被記録体の搬送ベルトの吸着部と対向する面はマイナス側に帯電し、被記録体の記録媒体側の面はプラス側に帯電し、記録媒体はマイナス側に帯電する。また、搬送ベルトの吸着部が被記録体に対してマイナス側に帯電すれば、被記録体の搬送ベルトの吸着部と対向する面はプラス側に帯電し、被記録体の記録媒体側の面はマイナス側に帯電し、記録媒体はプラス側に帯電する。いずれにしても搬送ベルトの吸着部と被記録体は逆極性となって静電吸着し、被記録体と記録媒体も逆極性となって記録媒体が被記録体と反発しない。さらに、搬送ベルトが基材のみで構成される場合に比べて、搬送ベルトと被記録体との静電吸着力を増加させることができる。
【0015】
本発明の記録方法は、被記録体を搬送可能な搬送ベルトの基材に表面処理を施して、帯電系列において前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく前記基材に対して前記第1の極性側に帯電しやすい吸着部を前記基材上に形成する工程と、前記搬送ベルトを駆動して前記吸着部により前記被記録体を静電的に吸着させたまま搬送する工程と、前記第1の極性とは逆の第2の極性側に帯電しやすい記録媒体を前記被記録体に付着させる工程とを有する。かかる記録方法によれば搬送ベルトの基材を表面処理して吸着部を形成している。従って、搬送ベルトの基材に対して機械的特性の良好な材料を選択すれば帯電系列の変更は表面処理により行えばよいので便利である。また、表面処理は帯電系列を被記録体と吸着部との吸着を強めることが可能である。
【0016】
本発明の搬送装置は、紙状部材を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、前記紙状部材を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、前記搬送ベルトは、基材と、当該基材を表面処理することによって形成され、前記紙状部材と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、帯電系列において前記紙状部材は前記吸着部に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記基材は前記吸着部に対して前記第1の極性に帯電しやすい。かかる搬送装置によれば、搬送ベルトの基材に対して機械的特性の良好な材料を選択すれば帯電系列の変更は表面処理により行えばよいので便利である。また、表面処理は帯電系列を紙状部材と吸着部との吸着を強めることが可能である。
【0017】
本発明の他の目的と更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例において明らかになるだろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の記録装置に採用される記録媒体、被記録体及び搬送ベルトの帯電関係について説明する。まず、図1及び図2を参照して本発明の例示的原理について説明する。なお、同一の参照符号は同一部材を表し、重複説明は省略する。まず、図1及び図2を参照して本発明の例示的原理について説明する。ここで、図1及び図2はそれぞれ、本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙及び搬送ベルト間の帯電関係を説明するための模式図である。なお、図1及び図2においては各部の大きさや配置は説明及び作図の都合上多少誇張されている。
【0019】
図1を参照するに、印刷用紙204及び搬送ベルト206の帯電系列は(マイナスからプラスに向かって)、印刷用紙204≦搬送ベルト206となるようにそれぞれの材料が選択されている。より詳細には、印刷用紙204と搬送ベルト206との帯電系列においては、搬送ベルト206は印刷用紙204に対してプラス側に帯電しやすい。従って、印刷用紙204の搬送ベルト206に対向する面204bがマイナス側に、搬送ベルト206はプラス側に帯電する。印刷用紙204の面204bがマイナス側に帯電することにより、印刷用紙204のインク滴202側の面204aはプラス側に帯電する。この時、インク滴202には逆極性のマイナス側に帯電しやすい材料が選択されている。
【0020】
同様に、図2を参照するに、印刷用紙214及び搬送ベルト216の帯電系列は(マイナスからプラスに向かって)、搬送ベルト216≦印刷用紙214となるようにそれぞれの材料が選択されている。より詳細には、印刷用紙214と搬送ベルト216との帯電系列においては、搬送ベルト216は印刷用紙214に対してマイナス側に帯電しやすい。従って、印刷用紙214の搬送ベルト216に対向する面214bがプラス側に、搬送ベルト216はマイナス側に帯電する。印刷用紙214の面214bがプラス側に帯電することにより、印刷用紙214のインク滴212側の面214aはマイナス側に帯電する。この時、インク滴212には逆極性のプラス側に帯電しやすい材料が選択されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、記録媒体(202、212)、被記録体(204、214)及び搬送ベルト(206、216)の材料を選択することにより、搬送ベルトと被記録体は逆極性となって静電吸着し、被記録体と記録媒体も逆極性となって記録媒体が被記録体と反発しない。従来は、被記録体と搬送ベルトとの静電吸着のみに着目していたため、例えば、図1においてインク滴202の代わりにインク滴212を使用したり、図2においてインク滴212の代わりにインク滴202を使用していた。この結果、被記録体と記録媒体が同一極性となって反発し、記録媒体の着弾位置が所望の位置からずれて画質の低下を招いていたが本発明はかかる問題を解決している。また、搬送ベルトと被記録体が逆極性になって静電吸着するので、被記録体はたるまずに高速で搬送ベルトによって搬送されることができる。この結果、本発明の帯電構成は被記録体のたるみによる画質の低下を防止していると共に被記録体の高速搬送及び高速記録を確保している。
【0022】
以下、図3を参照して、インク滴202及び212などインク滴が帯電しやすい極性を検出する方法について説明する。ここで、図3はインク滴の帯電量を測定装置及び測定結果の評価方法を説明するための図である。インク滴の帯電を測定する装置300は、図3の上側に示すように、筐体302内に、一対の電極304及び306と、電源308と、記録紙310とを有している。帯電測定装置300は、電極304及び306の中心線上に配置された噴射装置312からインク滴Iを自然落下させてどちらの電極に引き寄せられるかを検出している。インク滴が真下に落下すれば帯電量はなく、プラス電極304に引き寄せられればインク滴はマイナス側に帯電しており、マイナス電極306に引き寄せられればインク滴はプラス側に帯電している。図3に示す下側は、記録紙310に描かれたインク滴の位置からその帯電量を評価するためのグラフである。図3の下側に示すグラフから理解されるように、図3に示す例示的なインク滴はプラス電極304に引き寄せられているのでマイナス側に帯電している。従って、図1に示すインク滴202に属すると評価することができる。
【0023】
次に、図4を参照して、図1及び図2に示す印刷用紙204、214と搬送ベルト206、216の具体的材質について説明する。ここで、図4は、被記録体と搬送ベルトの主成分となり得る高分子材料の帯電系列である。印刷用紙204及び214を図3に示す印刷用紙(セルロース)とすれば、搬送ベルト206には、例えば、ポリイミドを、搬送ベルト216には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やPVDFを選択することができる。なお、これらの材料は単に印刷用紙と搬送ベルトの帯電関係のみを考慮した場合に選択される材料である点に留意する必要がある。即ち、実際に搬送ベルトの材料として選択されるためには、以下に説明するようにその機械的特性が使用される記録装置に適合するものであるかどうかを更に検討することが好ましい。
【0024】
本発明者等は、搬送ベルトを表面処理して帯電系列を修正することが少なくとも以下の2つの理由から好ましいことを発見した。第1に、搬送ベルトの帯電系列を修正することによって搬送ベルトの機械的特性を維持したまま記録媒体と被記録体との電気的反発を防止することができる。第2に、搬送ベルトの帯電系列を修正することによって搬送ベルトと被記録体との静電吸着力を増加することができる。以下、これらの理由について図5及び図6を参照して説明する。ここで、図5及び図6はそれぞれ図1及び図2の変形例であり、本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙、搬送ベルトの吸着部及び基材間の帯電関係を説明するための模式図である。
【0025】
上記の第1の理由に関連して、搬送ベルトを継続的に使用するためには、搬送ベルトが機械的強度に優れ、変形が少なく、汚れにくいなど、所定の機械的特性を有する材料により構成されていることが必要である。仮に図1のような帯電関係を成立する材料を搬送ベルト206に選択したとしても、その材料の機械的特性が所望のものよりも低ければベルトの破断や変形を招くなど結局、本発明の記録装置には不適当である。一方、機械的特性が優れていても帯電関係の要件を満たしていなければ上述したように記録媒体と被記録体との電気的反発を招いて画質の低下をもたらす。例えば、図4に示すPVDFは本発明の記録装置の例示的一態様としてのインクジェットプリンタ1の使用に適した機械的特性を有することが分かっているが、図1の帯電関係は示さない。
【0026】
かかる問題は図5及び図6に示す搬送ベルト220及び230により解決することができる。図5に示す搬送ベルト220は、基材222と、基材222を表面処理して形成された吸着部224とを有している。図6に示す搬送ベルト230は、基材232と、基材232を表面処理して形成された吸着部234とを有している。例えば、図5において、基材222にPVDFを使用し、基材222にプラズマ処理による表面処理を施した吸着部224を形成すると、図4に示すようにプラズマ処理後のPVDFは印刷用紙に対してプラス側に帯電することになる。また、図6において、基材232にポリイミドを使用し、基材232にプラズマ処理による表面処理を施した吸着部234を形成すると、図4に示すようにプラズマ処理後のポリイミドは印刷用紙に対してマイナス側に帯電することになる。なお、プラズマ処理は、以下に説明するように、表面処理の単なる一例であり、表面処理はこれに限定されるものではない。このように、本発明の別の例示的側面によれば、搬送ベルトの機械的特性を維持したまま、使用されるインク滴に適合するような帯電関係を表面処理により形成することができる。この場合、基材と、吸着部と、被記録体の帯電系列は、基材、被記録体、吸着部又は吸着部、被記録体、基材の順番になることが理解されるであろう。即ち、基材は、図1又は図2に示す帯電関係を具備しておらず、帯電系列においては被記録体から見れば基材と吸着部は逆の極性側にあることになる。
【0027】
上記第2の理由に関連して、今後ますます搬送ベルトが被記録体を高速で搬送することが必要になるにつれ、搬送ベルトと被記録体との間にますます大きな静電吸着力が必要となる。理解されるように、搬送ベルトと被記録体との間の静電吸着力は帯電差が大きいほど大きくなる。従って、例えば、図4において、PETよりもPVDFからなる搬送ベルトのほうが印刷用紙を高速で搬送することができることが理解されるであろう。このような場合には、表面処理により被記録体と仕事関数の差の大きな吸着部を搬送ベルトの基材を表面処理することによって形成することが好ましい。この場合、基材と、吸着部と、被記録体の帯電系列は、被記録体、基材、吸着部又は吸着部、基材、被記録体の順番になることが理解されるであろう。即ち、基材は、図1又は図2に示す帯電関係を具備しており、帯電系列においては被記録体から見れば基材も吸着部も同じ極性側にあるが吸着部の方がより被記録体から離れていることになる。
【0028】
なお、第1及び第2の理由の両方から表面処理を行う場合もある。例えば、図4に示すように、ポリイミドはプラズマ処理によってプラス側からマイナス側に逆転するだけでなく、プラズマ処理後は印刷用紙との帯電量差が増加しているために印刷用紙との静電吸着力も増加する。結局、上述した第1及び第2の理由においても搬送ベルトは機械的特性を維持したまま所望の帯電関係を得ることができる。なお、吸着部を搬送ベルトの基材を表面処理して形成する代わりに、吸着部を別部材として(例えば、搬送ベルトを2層構造にするなど)構成してもよいことはいうまでもない。
【0029】
以下、搬送ベルトの表面処理方法について説明する。帯電系列を変化させる表面処理としては化学的処理及び/又は物理的処理がある。化学的処理は、溶剤に浸漬する処理、プラズマ処理及び光処理を含んでいる。また、物理的処理は表層レーザ処理を含んでいる。これらの処理内容は、帯電系列をプラス側に変化させるかマイナス側に変化させるかによって大別することができる。帯電系列をマイナス側に変化させる場合には、溶剤は、例えば、リン酸を利用することができる。また、プラズマ処理、紫外線照射による光処理及び表層レーザ処理は、例えば、酸素ガスの雰囲気下で行われる。一方、帯電系列をプラス側に変化させる場合には、溶剤は、例えば、アミノ系溶剤(アンモニア水など)を利用することができる。また、プラズマ処理、紫外線照射による光CVD処理及び表層レーザ処理は、例えば、窒素ガスの雰囲気下で行われる。
【0030】
以下、図7を参照して、表面処理としてのプラズマ処理について説明する。ここで、図7は、表面処理装置としてのマイクロ波プラズマ処理装置400の概略ブロック図である。マイクロ波プラズマ処理装置400は、反応ガスをマイクロ波によってプラズマ化して活性の強いラジカルイオンに変え、かかるラジカルイオンを搬送ベルトに反応させて表面処理を行う。マイクロ波プラズマ処理装置400は、真空(プロセス)チャンバ402と、石英管404と、プラズマ発生炉406と、導波管408と、マイクロ波源410と、ローラ412と、搬送ベルト414と、排気ポンプ416とを有している。反応ガス418には、搬送ベルト414をどちらの極性に変化させるかによって窒素ガス又は酸素ガスが選択される。
【0031】
真空チャンバ402は側壁や底部が、例えば、アルミニウムなどの導体により構成されてその内部が図示しない高真空ポンプにより所定の減圧又は真空密閉空間に維持されている。真空チャンバ402の上部には、反応ガス供給系150の石英パイプ製ガス供給管404が設けられ、この石英管404は、図示しないガス供給路により流量制御されて図示しない反応ガス源に接続されている。石英管404の配置が真空チャンバ402の上部に限定されないことはいうまでもない。また、反応ガスには不活性ガスと混合されてもよい。石英管404は導波管408の内部を通る。
【0032】
マイクロ波源410は、例えば、マグネトロンからなり、通常2.45GHzのマイクロ波を発生することができる。マイクロ波は、その後、図示しないモード変換器により伝送形態がTM、TE又はTEMモードなどに変換される。なお、図7では、発生したマイクロ波がマグネトロンへ戻る反射波を吸収するアイソレータや、負荷側とのマッチングをとるためのEHチューナ又はスタブチューナは省略されている。
【0033】
ローラ412は、図7においては一対けられているがその数は問わない。ローラ412は搬送ベルト414を回転させてその基材上に吸着部を均一な厚さで形成する。なお、ローラ412と搬送ベルト414を昇降する機構や固定する機構は図7においては省略されている。排気ポンプ416はロータリポンプやメカニカルポンプから構成されて、真空チャンバ402の排気を行う。
【0034】
動作にあっては、マイクロ波源410から発せられるマイクロ波は、石英管404を内部に有する導波管408に接続されているプラズマ発生炉406を介して石英管404内部のガスを励起する。石英管404内部で励起されたガス420は真空チャンバ402内に拡散し、搬送ベルト414の表面処理を行う。反応ガスに窒素ガスを使用すると搬送ベルト414の表面はよりプラス側に変化し、反応ガスに酸素ガスを使用すると搬送ベルト414の表面はよりマイナス側に変化する。
【0035】
プラズマ処理においては、マイクロ波のワット数、反応ガスの流量、真空チャンバ402の内部圧力によって、発生する窒素又は酸素プラズマ量が変化する。プラズマ量が多すぎるとベルトの強度を劣化させるため好ましくない。そこで、窒素プラズマによって表面処理を行う場合には、搬送ベルト414の吸着部の窒素原子増加量は0.5乃至6ATM%であり、より好ましくは2乃至3ATM%である。窒素原子増加量15乃至30ATM%は搬送ベルト414の劣化につながるため好ましくない。一方、酸素プラズマによって表面処理を行う場合には、搬送ベルト414の吸着部の酸素原子増加量は1乃至20ATM%、より好ましくは5乃至10ATM%である。酸素原子増加量20乃至30ATM%は搬送ベルト414の劣化につながるため好ましくない。
【0036】
以下、本発明の記録装置の例示的一態様としてのカラーインクジェットプリンタ1を図8乃至図10を参照して説明する。ここで、図8は、インクジェットプリンタ1の概観斜視図である。図9は、図8に示すインクジェットプリンタ1に適用可能なインクジェットヘッド100の分解斜視図である。図10は、図9に示すインクジェットヘッド100の部分拡大側面図である。
【0037】
図8を参照するに、本発明の例示的なカラーインクジェットプリンタ1は、ハウジング内にインクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド100と、黒色インクタンク110と、カラーインクタンク120と、搬送ローラ130と、搬送ベルト140と、給紙カセット150と、バックアップユニット160とを有している。
【0038】
まず、インクジェットヘッド100を図8乃至図10を参照して説明する。インクジェットヘッド100は、圧力室板10と、圧電素子20と、ノズル板30と、樹脂フィルム40と、保護層50とを有している。圧力室板10と樹脂フィルム40と保護層50は、ノズル板30の面30aが接合される面であるノズル接合面60において整列している。換言すれば、圧力室板10の前面10aと樹脂フィルム40の前面40aと保護層50の前面50aは、平滑なノズル接合面60を構成している。圧力室板10は、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、レジストフィルムなどによって樹脂フィルム30に接着されている。
【0039】
圧力室板10は、略直方体の形状を有するガラス板に、所望の数(図9では便宜上4つ)の圧力室12とインク導入路14、並びに、共通インク室16を有している。圧力室12は、インクを供給されてこれを収納すると共に内部圧力が高まるとインクを開口12aに連通されたノズル孔32から噴射する。内部圧力は、後述するように、直下の圧電体ブロック21が変形に伴って変化する。圧力室12は、圧力室板10上に形成された凹状の溝と弾性変形可能な樹脂フィルム40により略直方体の空間として形成されている。
【0040】
共通インク室16は、各圧力室12にインク導入路14を介してインクを供給する。共通インク室16は、圧力室12の急激な内部圧力変動を吸収するように底面は樹脂フィルム40で画定されており、圧力室板10の側面10bにおいて図示しないインク供給装置に接続されている。共通インク室16は、圧力室12が収縮加圧されてインクを吐出した後、復帰する際に、インク導入路14を介して、圧力室12に必要量のインクを供給する。インクは図8に示す黒色インクタンク110とカラーインクタンク120から供給される。
【0041】
樹脂フィルム40は、圧力室12、共通インク室16、インク導入路14の一面を構成し、後述の圧電体ブロック21の変形を圧力室12に伝達すると共に圧力室12内のインクが圧電素子20の溝23に侵入するのを防止する機能を果たす。樹脂フィルム40は圧力室12の一面を形成する部材であるが、弾性変形の可能な金属薄膜により構成されてもよい。
【0042】
圧電素子20は、積層構造を有して、前面20aから後面20bに延びる平行な溝23によって分割された複数(図9では便宜上4つ)の圧電体ブロック21を有する。各圧電体ブロック21の積層内には内部電極22、24が設けられ、内部電極22は外部電極26と、内部電極24は外部電極28と接続されている。なお、図9は、作図の便宜上、一の外部電極28のみを示す。
【0043】
図10に示すように、内部電極22と24とがA方向に重なっている部分が活性部25であり、この活性部25において、各圧電体ブロック21は変形する。活性部25の長さは圧力室12に加えられるべき圧力に応じて調節される。活性部25はノズル接合面60から所定距離だけ離間されているために、それが変形してもノズル接合面60における圧電素子20と保護層50とが接着していることには影響を与えない。外部電極26は、圧電素子20の前面20aの全面に蒸着された電極層であり、全ての圧電体ブロック21に共通する外部電極である。外部電極26はアースされている。これに対して、外部電極28は、圧電素子20の後面20bの上にあるが、後面20bの全面に蒸着されてはおらず、各圧電体ブロック21に対応した位置にのみ個別的に設けられた電極層である。外部電極28は、通電されなければ電位はゼロであるが、通電されれば正の電圧を内部電極24に印可することができる。
【0044】
かかる構造より、圧電素子20の各圧電体ブロック21は、外部電極28に電圧が印可されないと内部電極22、24の電位が共にゼロのため変形しない。しかし、外部電極28から電圧が印可されると、各圧電体ブロック21は他の圧電体ブロック21とは独立して、図9のA方向(縦方向)に変形可能ある。換言すれば、A方向が圧電体ブロック21の分極方向になる。外部電極28からの通電が停止すると、すなわち、圧電素子20に充電された電荷が放電されることにより、対応する圧電体ブロック21は元の状態に復帰する。
【0045】
保護層50は、所定の厚さを有する略長方体状の熱硬化型エポキシ系接着材であり、圧電素子20(外部電極26)の前面20aと面50bで接続されている。但し、保護層50の材質はこれに限定されるものではない。なお、実際のインクジェットヘッド100では、保護層50は厳密に直方体形状ではなく、保護層50と圧電素子20との接続は、図9及び図10に示すように、外部電極26と面50bにより明確になされているものではない。即ち、熱硬化前に保護層50はその一部が圧電素子20の溝23より内部に侵入している。従って、保護層50の材質は、内部電極22、24を短絡させないように絶縁物であることが望ましい。
【0046】
図9に示すインクジェットヘッド100は保護層50を更に有している。保護層50は後述するように有用な効果を有するが、保護層50を設けるかどうかは選択的である。
【0047】
保護層50は圧電素子20をノズル接合面60から離間させている。圧力室12からインクが漏れて圧電素子20に侵入する場合、インクは、主として、ノズル接合面60を通って圧電素子20に侵入する。しかし、保護層50は、ノズル接合面に配置されていた圧電素子をノズル接合面60から離間することにより、インクが圧電素子20に侵入して内部電極22、24が短絡することを防止している。また、保護層50は溝23を遮蔽している。インクが漏れて圧電素子20に侵入する場合、インクは、主として、圧力室12の開口12aからノズル接合面60を伝って圧電素子20の溝23よりその内部に侵入する。しかし、保護層50はノズル接合面60に対して(即ち、ノズル接合面60から見て)溝23を遮蔽することにより、インクが圧電素子20の前面20a付近から溝23に侵入して内部電極22及び24が短絡することを防止している。その他、保護層50は、インクジェットヘッドの製造段階におけるノズル接合面20aの形成のための研磨工程において、圧電素子20を研磨による破壊から保護するという効果も有する。その結果、研磨工程を経ても圧電素子20が剥離、割れ、欠けを被ることはない。また、外部電極26が削除されることもない。更に、圧力室板10はガラスからなるので比較的強度が高く、研磨速度を高く設定できるため、従来の製造方法に比べて、研磨時間が約5分の1に短縮されている。
【0048】
動作においては、外部電極28が、それぞれ独立して、圧電体ブロック21の内部電極24に電圧を印加するために、各圧電体ブロック21がそれぞれ独立に図9のA方向に変位して樹脂フィルム40をA方向に撓ませ、対応する圧力室12を加圧する。かかる加圧により、インク滴が、圧力室12から対応するノズル孔32を介して射出される。インク滴には、水性の染料系又は顔料系インクが使用され、通常、常温でのインク滴粘度は1.0乃至3.0である。外部電極28からの通電が停止すれば、樹脂フィルム40と圧電体ブロック21は放電により元の状態に復帰する。この時、圧力室12の内部圧力が下がるので、共通インク室16からインク導入路14を介して圧力室12にインクが補給される。
【0049】
さて、図8に戻って、搬送ローラ130は図示しないプラテンに回転自在に取りつけられている。記録動作中、プラテンは図示しない駆動モータによって間欠的に回転駆動させられ、これにより印刷用紙Pが所定の送りピッチで矢印方向に間欠的に送られる。より具体的には、印刷用紙Pは給紙カセット150から一枚ずつ繰り出されて搬送ベルト140の下面を矢印方向に移動する。その後、印刷用紙Pは反転して搬送ベルト140上を矢印方向に移動してインクジェットヘッド100の下を通過して最終的に再度反転して排出される。
【0050】
搬送ベルト140は、図1に示す搬送ベルト206、図2に示す搬送ベルト216、図5に示す搬送ベルト220及び図6に示す搬送ベルト230のいずれかの構造を有する。いずれの構造によっても印刷用紙Pは搬送べルト140に強固に吸着されて搬送されることができる。例えば、本発明者等の実験によれば、搬送ベルトの基材にポリイミドを使用して表面処理を施した図6に示す搬送ベルト230の場合は吸着力がアップしており、表面処理を行わない場合と比較して搬送のズレ量を1/2乃至1/4程度(約10乃至20μm)までに抑えることができた。
【0051】
プリンタ1のハウジング内にはプラテンに対して平行にその上方側に案内ロッド102が設けられており、この案内ロッド102上には図示しないキャリッジが摺動自在に取り付けられている。図示しないキャリッジは図示しない駆動モータによって駆動され、これによりキャリッジはプラテンに沿って往復運動(走査)させられる。
【0052】
キャリッジは上述したインクジェットヘッド100を搭載している。より詳細には、インクジェットヘッド100は黒色用ヘッドとカラー用ヘッドとを含んでいる。カラー用ヘッドは3つの部分から構成される。黒色用ヘッドは黒色インクタンク110からインクを供給され、カラー用ヘッドはカラーインクタンク120からインクを供給される。インクタンクはインクカートリッジに置換されてもよい。黒色インクタンク110には黒色インクが収容され、カラーインクタンク120にはイエローインク、シアンインク及びマゼンタインクが収容されている。黒色インクの使用頻度が他色インクより高いので黒色インクタンク110の容量はインクタンク120の各色の容量よりも大きく設定されている。
【0053】
キャリッジが案内ロッド102又はプラテンに沿って往復運動される間、黒色用ヘッド及びカラー用ヘッドがワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等から得られる画像データに基づいて駆動され、これにより印刷用紙P上に所定の文字、画像などが記録される。
【0054】
ヘッドから発射されるインク滴は様々な種類を有する。一般に、染料インクはマイナス側に帯電しやすく、顔料インクはプラス側に帯電しやすい。そのため、染料インクに対してはそれに対向する印刷用紙Pの表面は、図1及び図5に示すように、プラス側に帯電していることが望ましい。一方、顔料インクに対してはそれに対向する印刷用紙Pの表面は、図2及び図6に示すように、マイナス側に帯電していることが望ましい。本発明のインクジェットプリンタ1は、このように、インク滴が印刷用紙Pと電気的反発を起こさないように搬送ベルト140の材料を選択し、必要があれば搬送ベルト140に表面処理を施しているので、インク滴の着弾位置のずれが電気的反発の場合の1/2乃至1/4程度(約±5乃至10μm以下)になり、高品位印刷を実現している。
【0055】
記録動作停止時には、キャリッジはホームポジションに戻され、このホームポジションにはノズル保守機構(バックアップユニット)160が設けられている。ノズル保守機構160には可動吸引キャップ(図示せず)と、この可動吸引キャップに接続された吸引ポンプ(図示せず)が設けられている。記録ヘッドがホームポジションに位置付けされると、各記録ヘッドのノズル板に吸引キャップが吸着され、吸引ポンプを駆動することにより、ノズル板のノズルが吸引される。このようにして、ノズルの目詰まりが未然に防止される。
【0056】
本発明はインクジェットプリンタ1に限定されることなく、電子写真式記録装置(コピー機、ファックス機、レーザープリンタなど)にも広く適用することができる。以下、図11を参照して、本発明の記録装置の別の例示的一態様としての電子写真式記録装置500について説明する。ここで、図11は、電子写真式記録装置500の記録系と搬送系の要部断面図である。電子写真式記録装置500は、感光体ドラム502と、帯電器504と、現像器508と、クリーナ510と、転写ユニット512と、搬送ベルト514と、搬送ローラ516と、定着ローラ518とを有している。また、レーザ光506を照射する図示しないレーザも有している。
【0057】
感光体ドラム502は、回転可能なドラム状導体支持体上に感光性誘電体層を有し、帯電器510によって均一に帯電されている。例えば、感光体502はアルミドラム上に機能分離型有機感光体を厚さ約20μmに塗布したものであり、30mmで矢印方向に周速度70mm/sで回転する。帯電器510はスコロトロン帯電器であり、感光体ドラム502の表面を約−600Vに一様に帯電する。
【0058】
露光用レーザ光506は画像に対応した光を感光体ドラム502に結像する。現像器508は、図示しないトナーカートリッジからトナーを供給されて感光体ドラム502をトナーにより現像する。クリーナ510は転写後に感光体ドラム502上に残っているトナーを回収し、必要があれば、回収したトナーをトナーカートリッジに返却する。転写ユニット512は印刷用紙Pを介して感光体ドラム502と対向している。転写ユニット512はコロナ(放電)ワイヤを用いた公知の転写器を使用することができる。コロナワイヤから感光体ドラム502に電流(これは「転写電流」と呼ばれる)を流すことによって感光体ドラム502に形成されたトナー像を吸引することができる。
【0059】
搬送ベルト514は、図1に示す搬送ベルト206、図2に示す搬送ベルト216、図5に示す搬送ベルト220及び図6に示す搬送ベルト230のいずれかの構造を有する。いずれの構造によっても印刷用紙Pは搬送べルト514に強固に吸着されて搬送されることができる。搬送ローラ516は図示しないモータなどによって駆動され、搬送ベルト514を回転駆動させる。定着ローラ518は印刷用紙P上にあるトナーを加熱及び加圧することにより定着させる。
【0060】
動作においては、帯電器510により一様に帯電されている感光体ドラム502に露光用レーザ光506が照射される。すると、感光体ドラム502上の均一な帯電はレーザ光506による露光で画像に対応する部分が消失し、これにより潜像が形成される。その後、潜像は現像器508によって現像される。即ち、荷電粒子(又は紛体)であるトナーが感光体ドラム502の表面の静電力により吸引され。この結果、感光体ドラム502の潜像はトナー像になる。トナー像は、転写ユニット512において、搬送ベルト514によってタイミング良く送られてきた印刷用紙Pに転写される。即ち、転写位置に印刷用紙Pが到達すると、転写ユニット512は印刷用紙Pの感光体ドラム502とは反対側の面からコロナワイヤに電圧を印加する。この結果、感光体ドラム502の表面のトナー像が印刷用紙Pに吸引されて付着し、トナー像は印刷用紙Pに転写される。残余している感光体ドラム502上のトナーはクリーナ510によって回収される。その後、印刷用紙Pは定着ローラ518を通過して定着された後に装置500の外部に排出される。
【0061】
このように、電子写真式記録装置500はトナーと呼ばれる微細な帯電粒子を使用している。図1、2、5及び6に関連して上述したインク滴はかかるトナーに全く同様に置きかえることができるために、本発明の電子写真式記録装置500も搬送ユニット514の構造を適当に選択することにより上述したインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができることが理解されるであろう。
【0062】
以上、発明の実施例を説明したが、本発明はこれに限らず、その要旨の範囲内で様々な変形及び変更が可能である。例えば、本発明の搬送ベルトは被記録体の搬送に限定されず、例えば、紙幣の搬送にも適用することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐久性などの機械的特性に優れ、高速及び高品位記録が可能な記録装置及び方法、並びに、搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙及び搬送ベルト間の帯電関係を説明するための模式図である。
【図2】 本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙及び搬送ベルト間の帯電関係を説明するための別の模式図である。
【図3】 インク滴の帯電量を測定装置及び測定結果の評価方法を説明するための図である。
【図4】 被記録体と搬送ベルトの主成分となり得る材料の帯電系列である。
【図5】 図1の変形例であり、本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙、搬送ベルトの吸着部及び基材間の帯電関係を説明するための模式図である。
【図6】 図2の変形例であり、本発明の記録装置に適用可能な記録媒体としてのインク滴、被記録体としての印刷用紙、搬送ベルトの吸着部及び基材間の帯電関係を説明するための別の模式図である。
【図7】 表面処理装置としてのマイクロ波プラズマ処理装置400の概略ブロック図である。
【図8】 インクジェットプリンタの概観斜視図である。
【図9】 図8に示すインクジェットプリンタに適用可能なインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図10】 図9に示すインクジェットヘッドの部分拡大側面図である。
【図11】 電子写真式記録装置の記録系と搬送系の要部断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
100 インクジェットヘッド
140 搬送ベルト
202 インク滴
204 印刷用紙
206 搬送ベルト
212 インク滴
214 印刷用紙
216 搬送ベルト
220 搬送ベルト
222 基材
224 吸着部
230 搬送ベルト
232 基材
234 吸着部
400 マイクロ波プラズマ処理装置
414 搬送ベルト
500 電子写真式記録装置
514 搬送ベルト

Claims (10)

  1. 記録媒体を被記録体に付着させる記録部と、
    前記被記録体を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、
    前記被記録体を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、
    前記搬送ベルトは、
    基材と、
    当該基材の表面に設けられ、前記被記録体と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、
    帯電系列において前記吸着部は前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記記録媒体は前記第1の極性とは逆の第2の極性側に帯電しやすく、前記吸着部は前記基材に対して前記第1の極性側に帯電しやすい記録装置。
  2. 前記吸着部は、前記基材を表面処理することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  3. 記録媒体を被記録体に付着させる記録部と、
    前記被記録体を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、
    前記被記録体を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、
    前記搬送ベルトは、
    基材と、
    当該基材の表面に設けられ、前記被記録体と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、
    帯電系列において前記吸着部は前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記記録媒体は前記第1の極性とは逆の第2の極性側に帯電しやすく、前記基材は前記被記録体に対して前記第2の極性側に帯電しやすい記録装置。
  4. 前記吸着部は、前記基材を表面処理することによって形成されたものであることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
  5. 被記録体を搬送可能な搬送ベルトの基材に表面処理を施して、帯電系列において前記被記録体に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく前記基材に対して前記第1の極性側に帯電しやすい吸着部を前記基材上に形成する工程と、
    前記搬送ベルトを駆動して前記吸着部により前記被記録体を静電的に吸着させたまま搬送する工程と、前記第1の極性とは逆の第2の極性側に帯電しやすい記録媒体を前記被記録体に付着させる工程とを有する記録方法。
  6. 前記吸着部形成工程は、前記基材を溶剤に浸漬することによって行う請求項5記載の記録方法。
  7. 前記吸着部形成工程は、前記基材に所定の雰囲気下で紫外線を照射することによって行う請求項5記載の記録方法。
  8. 前記吸着部形成工程は、前記基材に所定の雰囲気下でレーザを照射することによって行う請求項5記載の記録方法。
  9. 前記吸着部形成工程は、前記基材に所定の雰囲気下でプラズマ処理することによって行う請求項5記載の記録方法。
  10. 紙状部材を静電的に吸着して搬送することができる搬送ベルトと、
    前記紙状部材を搬送するために前記搬送ベルトを駆動する駆動部とを有し、
    前記搬送ベルトは、
    基材と、
    当該基材を表面処理することによって形成され、前記紙状部材と静電的に吸着可能な吸着部とを有し、
    帯電系列において前記紙状部材は前記吸着部に対してプラス及びマイナスから選択される第1の極性側に帯電しやすく、前記基材は前記吸着部に対して前記第1の極性に帯電しやすい搬送装置。
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