JP2004284098A - 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置 Download PDF

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JP2004284098A JP2003076717A JP2003076717A JP2004284098A JP 2004284098 A JP2004284098 A JP 2004284098A JP 2003076717 A JP2003076717 A JP 2003076717A JP 2003076717 A JP2003076717 A JP 2003076717A JP 2004284098 A JP2004284098 A JP 2004284098A
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Shinji Tanaka
田中  慎二
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Abstract

【課題】振動板と電極との吸着防止のために形成する凸部の規定が十分でなく、信頼性が得られない。
【解決手段】凸部21が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、振動板21の短辺長をa、凸部25の高さをt凸、空隙長をGair、振動板21と第2電極22間のギャップ内の絶縁膜23、24の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、振動板長辺方向において凸部25が配置されない凸部25間の間隔をBwとしたとき、次の(1)式が充足される。
【数1】
Figure 2004284098

【選択図】 図11

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−170506号公報
【特許文献2】特開2001−322273号公報
【特許文献3】特開2001−260346号公報
【特許文献4】特開2001−010052号公報
【特許文献5】特開2002−160363号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(インク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔からインク滴を吐出させる。
【0004】
なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成する静電型マイクロアクチュエータは、例えばマイクロポンプ、マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力センサなどのマイクロデバイスにも適用することができる。
【0005】
ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型(圧電型)のもの、吐出内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるサーマル型のもの、吐出室の壁面を形成する振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出させる静電型のものなどがある。
【0006】
近年、環境問題から鉛フリーであるサーマル型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え低消費電力の観点からも環境に影響が少ない静電型のものが多く提案されている。
【0007】
この静電型のインクジェットヘッドの駆動方式としては、振動板が電極に当接する(実際には電極表面の保護膜である絶縁膜に当接する)まで変形変位させる当接駆動方式と、振動板が電極に当接しない非当接駆動方式とがある。当接駆動方式は、振動板の変位量を稼げて、且つ一定にすることができるため、低電圧化及びインク滴吐出量の均一化等が図られ、非当接駆動方式に比べ優れている。
【0008】
ところが、この当接駆動方式では、振動板と電極保護膜との接触面積が大きくなると、振動板、或いは電極保護膜表面の水分の影響によって振動板が電極保護膜に吸着してしまい、振動板の変位量を低下させ、インク吐出量の不均一が生じ、著しく信頼性を低下させてしまうことがある。
【0009】
そこで、例えば、
【特許文献1】ないし
【特許文献5】に開示されているように、振動板、或いは電極に凸構造を設けることにより、当接時の振動板と電極との当接面積を低減させ、吸着を抑制しようとするものがある。
【0010】
ここで、
【特許文献1】では振動板と電極が接触することによる酸化膜損傷,電気的短絡を防止するために、電極側に凸構造を設け、振動板側と電極側は凸部でのみ接触する構成を採り、凸部の高さは電極よりも0.1〜0.03μm高くしている。
【0011】
【特許文献2】では絶縁膜が形成された振動板と電極が接触することにより、絶縁膜上には残留電荷が発生するのであるが、この残留電荷の発生を抑えることを目的として、凸部を振動板の裏面に設け、凸部に対向する電極部分は電気的にフロートにするなどし、凸部の高さは0.01μm以上とし、凸配置は格子状,千鳥状などの形態を採っている。
【0012】
【特許文献3】でも振動板と電極が接触することによる残留電荷の発生を抑えることを目的とし、凸部において、振動板と電極の電位が同じとなる構成を採っている。
【0013】
【特許文献4】では振動板と電極が接触することによる残留電荷の発生を抑えることを目的として凸構成を形成しているが、凸は電極のラフネスに起因するものであり、その高さ,配置等は制御されていない。
【0014】
【特許文献5】ではプロセス上発生する残留電荷,原子間力により、振動板が電極に張り付くスティキングを防止するために凸部を形成しており、凸部の高さは凸部の最小径の×0.1以下としている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの
【特許文献1】ないし
【特許文献5】に開示されたものにあっては、凸部の高さ,配置は、ほぼ固定された構成において経験から導き出された値であって、振動板と電極が凸部以外で接触しない凸部構成であるとは言えない。特に、インクジェット記録装置のヘッドを構成するアクチュエータの集積度は、100dpiから150dpi,300dpi,600dpiへと高密度化されているため、ある凸部構成(高さ,配置など)を採用したからといって高密度化に対応することができるものではないという課題がある。
【0016】
すなわち、振動板と電極は凸部以外で接触してはならないが、凸部の高さ,配置を決めるためには、凸部において振動板と電極が接触する最小電圧V凸と、凸部以外で振動板と電極が接触する最小電圧Vthが必要であり、これらのパラメータは、静電アクチュエータの短辺長,ギャップ(Gap)長,絶縁膜厚み,振動板の厚み,材料定数など多数のパラメータに、加えて凸部の高さ,配置に関する多数のパラメータを全て固定しなければ導き出せないのである。
【0017】
したがって、従来開示されているように凸部の高さの規定だけでは、振動板と電極が凸部以外で接触しない構成を得ることができない。
【0018】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、信頼性の高液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた信頼性の高い液体吐出装置、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸としたとき、凸部以外の部分で振動板が対向面に接触するための最小印加電圧が1.4×V凸以上である構成とした。
【0020】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、振動板の短辺長をa、凸部の高さをt凸、空隙長をGair、第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、振動板長辺方向において凸部が配置されない凸部間の間隔をBwとしたとき、次の(1)式が充足される構成とした。
【0021】
【数4】
Figure 2004284098
【0022】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、振動板の短辺長をa、凸部の高さをt凸、空隙長をGair、第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、このとき前記(1)式が満たされる間隔Bwを用いて、振動板短辺端の或るM点から振動板長辺方向±Bwとなる範囲において、M点とM点に最も近い凸部の端の振動板短辺方向間隔をAwとしたとき、次の(2)式が充足される構成とした。
【0023】
【数5】
Figure 2004284098
【0024】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、振動板の短辺長をa、凸部の高さをt凸、空隙長をGair、第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、このとき前記(1)式が満たされる間隔Bwを用いて、振動板短辺端の或るM点から振動板長辺方向±Bwとなる範囲において、M点とM点に最も近い前記凸部の端の振動板短辺方向間隔をAwとし、さらに異なる凸部の端の間隔をCwとしたとき、次の(3)式が充足される構成とした。
【0025】
【数6】
Figure 2004284098
【0026】
本発明に係る液滴吐出装置は、本発明に係るいずれかの液滴吐出ヘッドを備えたものである。
【0027】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るいずれかの液滴吐出ヘッドを備えたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の第1実施形態について図1及び図2をも参照して説明する。なお、図1は静電型液滴吐出ヘッドの基本構成を説明する振動板長手方向の断面説明図、図2は同じく振動板短辺方向の断面説明図である。
【0029】
このヘッドは、第1基板1と、第2基板2と、第3基板3とを接合した積層構造となっており、これらの各基板1、2、3を接合することによって、インク滴を吐出する複数のノズル孔4が連通する液室6、各液室6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室(共通インク室)8などを形成している。
【0030】
第1基板1は、例えばシリコン基板からなり、液室6を形成するための凹部と、各々の液室6にインクを供給するための共通液室8を形成するための凹部と、液室6と共通液室8とを連通する流体抵抗部7となる溝部を有し、液室6の壁面である底面を形成するシリコンから形成した第1電極となる導電層である振動板10を形成している。
【0031】
第2基板2は、シリコン基板11上に熱酸化膜などの絶縁膜12を形成し、この絶縁膜12に溝部13を彫り込んで、この溝部13の底面に振動板10に所定の空隙16(ギャップ長Gair)を介して対向する第2電極14を形成している。これらの第1電極である振動板10とこれに対向する第2電極14とで静電型アクチュエータを構成し、マルチノズルヘッドにおいては各ノズルに対応して複数の静電型アクチュエータを備える。
【0032】
そして、振動板10の電極側表面には凸部17を形成し、振動板10の電極側表面及び第2電極14の振動板側表面にはそれぞれ当接時の電気的ショート等を防止するための酸化膜などの絶縁膜18、19を形成している。なお、凸部17は第2電極14側に形成することもでき、あるいは、振動板10側及び第2電極14側の両方に形成することもできる。
【0033】
このようなヘッドにおいては、第1電極を兼ねる振動板10と第2電極14との間に所定の駆動電圧Vを印加することによって、振動板10と第2電極14との間に静電力が作用して振動板10が変位量δだけ第2電極14側に変位し(図3の仮想線図示の位置に変位し)、このとき液室6内にインクが補給され、この状態で駆動電圧Vを0にすることによって振動板10が復元して液室6内のインクが加圧され、ノズル孔4からある滴速度Vjで、滴体積Mjのインク滴が吐出される。
【0034】
なお、凸部17を振動板10に形成する代わりに、図4に示すように第2電極14側の絶縁膜19で形成したり、図5に示すように振動板10側の絶縁膜18で形成したりすることもできる。
【0035】
そこで、まず、表1に示すパラメータ構成を有するヘッドを作製した。そして、このヘッドについて、駆動電圧Vを変化させたときの振動板変位量δ、滴速度Vj、滴体積Mjを測定して、変位量δ−駆動電圧V特性(図6)、滴速度Vj−駆動電圧V特性(図7)、滴体積Mj−駆動電圧V特性(図8)を得た。
【0036】
【表1】
Figure 2004284098
【0037】
ここで、図6に示す変位量δ−駆動電圧V特性から、振動板14が第2電極14に接触する最小電圧は33V程度であることが分かる。また、図7に示す滴速度Vj−駆動電圧V特性において、Vj=7m/s の特性値に注目し、10℃〜35℃の範囲で液滴の吐出を考えると、温度補償に対して4Vのマージンが必要になることが分かる。したがって、割合にすると、4/33=12% となる。
【0038】
同様に、表2に示すパラメータ構成を有するヘッドを作製した。そして、このヘッドについて、駆動電圧Vを変化させたときの振動板変位量δ、滴速度Vjを測定して、変位量δ−駆動電圧V特性(図9)、滴速度Vj−駆動電圧V特性(図10)を得た。
【0039】
【表2】
Figure 2004284098
【0040】
図9に示す変位量δ−駆動電圧V特性から振動板が電極に接触する最小電圧は66V程度であることが分かる。また、図10に示す滴速度Vj−駆動電圧V特性において Vj=7m/s の特性値に注目し、10℃〜35℃の範囲で液滴の吐出を考える。図10では、35℃での特性値が得られていないが、図7の結果からの類推により、7.3Vのマージンが必要になると考えられる。割合にすると、7.3/66=11% となる。
【0041】
なお、図9では図6と異なり、駆動電圧Vが65V→66Vと変化したときに変位量δが急激に増加する。これは、静電力を利用したアクチュエータの特徴である。一方、図6の特性が得られるのは、酸化膜とエアギャップで構成される実効Gapに対して、エアギャップの比率が相対的に小さいことと、短辺長を加味した振動板の剛性が低いことに拠っている。
【0042】
そこで、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧V凸と、凸部以外の部分で振動板が対向面に接触するための最小印加電圧Vthとの関係を検討する。
アクチュエーターにおいて、振動板と電極は凸部以外で接触してはならないので、最小印加電圧Vthは実用最大電圧より大きくなければならない。
【0043】
試作したアクチュエータの特性値から判断して、静電アクチュエータの特性バラツキを電圧で表すと、最小印加電圧V凸の値が仕様値に対して±5%のバラツキを生じる。振動板厚みの僅かなバラツキでも、最小印加電圧V凸には大きな影響を与えるため、この程度のバラツキは限界に近いと考えられる。
【0044】
また、液滴吐出ヘッドは実用上吐出条件の変更を余儀なくされる場合があり、その最たる項目は環境温度の変化に対する補償であり、特に、低温時のインクの高粘度化に対しては、駆動電圧を上げて補償を行う必要がある。この温度補償における駆動電圧の上昇は、最小印加電圧V凸の15%前後(10〜20%)程度である。
【0045】
その他 例えば画質モードの変更に対応する吐出条件の変更,ヘッド作製における接合バラツキに対する補償などに対して、最小印加電圧V凸の10%程度の電圧をマージンとする必要がある。
【0046】
ここで、インク粘度の違い、ノズル径などの流体パラメータなどによっても温度補償のための電圧は変わるように思われるが、このようなパラメータが変化した場合、最小印加電圧V凸そのものが変化するので、結果として、最小印加電圧V凸に対する比率そのものは大きく変化しない。すなわち、ヘッド,インクの全てのパラメータを反映した最小印加電圧V凸を基準とすることで、最小印加電圧Vthが採るべき値が大きく変化していないと考えられる。
【0047】
以上から、最小印加電圧Vthの値は最小印加電圧V凸に対して、少なくとも(2×5%+20%+10%)大きく採った値とすることが好ましい。したがって、凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸としたとき、凸部以外の部分で振動板が対向面に接触するための最小印加電圧Vthが1.4×V凸以上(Vth>1.4×V凸)とすることで、凸部を設けた場合、振動板と電極が凸部以外で接触しないという条件を満たすことができ、ヘッドの信頼性が向上する。
【0048】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。ここでは、凸部が振動板の裏面に形成された場合で説明する。
まず、図11ないし図13に示すように各パラメータを定義する。なお、図12は振動板短辺方向の説明図、図12は凸部が1列形成された振動板の平面説明図、図13は凸部が2列形成された振動板の平面説明図である。
【0049】
この定義説明図のヘッドは、振動板21と第2電極22とを所定の空隙26を介して配置し、振動板21の電極側表面に絶縁膜23を、第2電極22の振動板側表面に絶縁膜24をそれぞれ形成し、振動板21側の絶縁膜23上に凸部24を形成した構成としている。
【0050】
そして、凸部25が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、振動板21の短辺長をa、凸部25の高さをt凸、空隙長をGair、振動板21と第2電極22間のギャップ26内の絶縁膜23、24の全体厚みと比誘電率をそれぞれts(ts=ts1+ts2)及びεs、振動板長辺方向において凸部25が配置されない凸部25、25間の間隔をBw、振動板短辺端の或るM点とM点に最も近い凸部25の端の振動板短辺方向間隔をAw、振動板21の厚みをtDとする。
【0051】
ここで、図14に示すように、振動板21の凸部25が電極22に接触した後の構成を見てみると、短辺幅がBw、空隙長が凸部25の高さt凸となった静電アクチュエータとみなすことができる。
【0052】
アクチュエータの実用域において、振動板21は凸部25以外において電極22に接触しない構成にするため、上述したようにVth>1.4×V凸 の関係を充足しなくてはならない。しかしながら、アクチュエータが採り得る構成,材料定数は無限に有り、それぞれにおいて上記関係を満たす構成条件を逐一見出すことは困難であり、開発効率が著しく悪くなる。そこで、有限要素法によるシミュレータを用いることにより、多数の計算を行い、アクチュエーターの構成,材料定数に関する一般化された関係式を得ることにした。
【0053】
ここで行った計算は、図11ないし図13において、パラメータとして振動板短辺長a,凸部25の高さt凸,振動板長辺方向の凸部間間隔Bw,ギャップ内の絶縁膜の全体厚みts,絶縁膜の比誘電率εs,ギャップ長(空隙長)Gair,振動板厚みtD,振動板の材料定数を振って、凸部25が対向面と接触するための最小印加電圧V凸,凸部25以外の部分が対向面と接触する(B点が当接する)最小印加電圧Vthの値を導出し、相関関係を検討した。この結果、V凸、Vth、及びその他のパラメータの間に次の(4)式の関係があることを見出した。
【0054】
【数7】
Figure 2004284098
【0055】
したがって、凸部間隔Bwに依存しない最小印加電圧V凸の値が分かれば、最小印加電圧V凸とスケールパラメータのみから最小印加電圧Vthを導出できる。最小印加電圧V凸のみであれば、シミュレーションにより簡単に導出できる。さらに、利用価値が高い点は、最小印加電圧V凸の値が不明でも、最小印加電圧V凸に対する最小印加電圧Vthの比を設定するだけで、採り得るスケールパラメータを知ることができることである。ちなみに、(4)式は、振動板の厚み,材料定数に依存しない関係式になっている。また、定義からも分かるが、(4)式は図15に示すように、棒状の凸部25が長辺方向の両端に伸びている場合には適用されない。
【0056】
ここで、アクチュエーターは、Vth>1.4×V凸の関係式を満たす必要があるため、最終的に次の(1)式の関係を満たす必要があることが分かる。
【0057】
【数8】
Figure 2004284098
【0058】
次に、凸部がランダムに配置された場合について図16を参照して説明する。図16において、振動板長辺方向において凸部が配置されない凸部間間隔はBw1、Bw2、…、Bw6の範囲である。これらのBwi(i=1、2、…、6)を各々(1)式のBwに代入にして、同式を満たす必要がある。
【0059】
ここで、上述した凸部25が規則正しく1列,2列に配置された場合においては、(1)式は満たすべき唯一の条件であったが、ランダムに配置された場合は、(1)式は満たすべき最低限の条件である。
【0060】
これらの(1)式及び(4)式については次の点に注意しなければならない。これらは以下に導出する(5)式、(2)式、(3)式に対しても同様である。
凸部は振動板裏面,電極表面のどちらに設けられていても良いし、両方に設けられていても良い。また、凸部は1列のみに限る必要は無く、2列,3列、…と何列有していても良いし、千鳥配置でもランダムな配置でも良い。また、説明において、凸部は矩形の島状,棒状の形状を示しているが、形状は限定されるものではなく、棒状である場合も直線である必要はなく、曲線状であっても良い。
【0061】
(4)式及び(1)式では、Gap内絶縁層である電極上絶縁膜,振動板裏面絶縁膜を同一の材料として扱ったが、異なる材料で形成されていれば、それに応じてts/εsの部分を変える必要がある。電極上,振動板裏面のどちらか一方の絶縁層が無い場合、もしくは多層である場合も同様の変更が必要である。
【0062】
また、凸部の絶縁材料は、電極上,振動板裏面の絶縁層の材料と同一である必要はない。なお、凸部の総面積は、振動板の面積に対して十分小さいため、絶縁材料で形成された凸の存在がV凸に与える影響も僅かであり、(4)式及び(1)式には含まれていない。
【0063】
(4)式を導出するためのシミュレーションにおいて、アクチュエータは真空中におけるもの、つまりGap内外に気体が存在しないものとして計算した。しかし、実際には、アクチュエータは大気中に存在し、通常Gap内にもガスが封入されている。ここで、最小印加電位V凸、Vthは、ガスが無いとした計算値と、大気中での実測値では各々同程度のズレが生じる。したがって、最小印加電圧V凸とVthの比で表した(4)式及び(1)式は、大気中でのアクチュエータの振る舞いに対しても同様に適用することが可能である。
【0064】
凸部の形成目的に拠っては、第1電極,第2電極の少なくとも一方の凸部に対応する電極を無くした構成、或いはその部分のみ電気的にフロートにした構成が採られる。これらの場合も、最小印加電圧V凸,Vthは変化するが、その比は大きく変化しないので、(4)式及び(1)式をそのまま用いることができる。
【0065】
また、説明において、振動板短辺長と電極短辺長は同じ長さとして説明しているが、両者の長さが異なり、かつ凸部が電極上に形成された場合にも、注目すべきは振動板短辺長aであって、(1)式におけるaは、振動板短辺長である。
【0066】
凸部の高さt凸は(1)式を満たしていれば十分である。しかしながら、凸部が高すぎると吐出滴の体積Mjに対する影響が大きい。したがって、経験的に、凸部の高さは空隙長Gairの1/3以下とするのが好ましい。
【0067】
静電アクチュエータにおいて、振動板は内部応力を有する薄層であることが少なくない。そのために、振動板は四辺を固定されているものの、内部応力により撓んで凹凸形状を有する場合がある。このような場合は、Gairとして振動板短辺方向の中央部の空隙長をGairとして(4)式及び(1)式に用いる必要がある。
【0068】
振動板長辺方向の端部は難変位領域であり、必ずしも(1)を満たす必要はないが、長辺端を凸端と見なして同様の構成を採ると良い。
【0069】
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。ここでも、凸部が振動板裏面面に形成された場合について説明する。
先ず簡単のために凸部が1列(図12)もしくは2列(図13)で形成された構成を示す。図12及び図13において、振動板短辺端と最短距離にある凸部の端との間の部分(C点)が電極に接触する最小印加電圧をVthとする。
【0070】
アクチュエータの実用域において、振動板の凸部以外の部分は電極に接触しない構成にするため、Vth>1.4×V凸の関係を満たさなくてはならない。ここでも、有限要素法によるシミュレータを用いることにより、多数の計算を行い、アクチュエーターの構成,材料定数に関する一般化された関係式を得ることにした。
【0071】
ここで行った計算は、図11ないし図13において、パラメータとして振動板短辺長a,凸部25の高さt凸,振動板短辺端のあるM点から振動板長辺方向に±Bwとなる範囲においてM点に最も近い凸部25の端と振動板端辺方向端との間隔Aw,ギャップ内の絶縁膜の全体厚みts,絶縁膜の比誘電率εs,ギャップ長(空隙長)Gair,振動板厚みtD,振動板の材料定数を振って、凸部25が対向面と接触するための最小印加電圧V凸,凸部25以外の部分が対向面と接触する(C点が当接する)最小印加電圧Vthの値を導出し、相関関係を検討した。この結果、V凸、Vth、及びその他のパラメータの間に次の(5)式の関係があることを見出した。
【0072】
【数9】
Figure 2004284098
【0073】
したがって、振動板短辺端のあるM点から振動板長辺方向に±Bwとなる範囲においてM点に最も近い凸部25の端と振動板端辺方向端との間隔Awに依存しない最小印加電圧V凸の値が分かれば、最小印加電圧V凸とスケールパラメータのみからC点が当接する最小印加電圧Vthを導出できる。最小印加電圧V凸のみであれば、シミュレーションにより簡単に導出できる。
【0074】
また、(4)式及び(1)式と同様に、最小印加電圧V凸の値が不明でも、最小印加電圧V凸に対する最小印加電圧Vthの比を設定するだけで、採り得るスケールパラメータを知ることができ、利用価値が高い。ちなみに、(5)式は振動板の厚みtD,材料定数に依存しない関係式になっている。また、定義からも分かるが、(5)式及び(2)式は図15に示すように、棒状の凸部が振動板長辺方向の両端に伸びている場合にも適用される。
【0075】
ここで、アクチュエータは、Vth>1.4×V凸の関係式を満たす必要があるため、最終的に(2)式の関係を満たす必要があることが分かる。
【0076】
【数10】
Figure 2004284098
【0077】
次に、凸部がランダムに配置された場合について、図17を参照して説明する。凸部25aに注目すると、凸部25aの端と振動板短辺端との間隔Aw11、Aw12を各々(2)式のAwに代入して、同式を満たす必要があるように見える。しかしながら、凸部25bとの長辺方向間隔Bw11を、(1)式のBwに代入して同式を満たすならば、凸部25aの端と振動板短辺端との間隔Aw11を(2)式のAwに代入して同式を満たす必要はなく、満たすべきは凸部25bの端と振動板短辺端との間隔Aw13を(2)式のAwに代入した式である。一方、長辺方向間隔Bw12を(1)式のBwに代入して同式を満たさないならば、やはり長辺方向間隔Bw12(2)式のAwに代入して同式を満たす必要がある。
【0078】
ここで、上述した凸部25が規則正しく1列,2列に配置された場合においては、(2)式は満たすべき唯一の条件であったが、ランダムに配置された場合は、(2)式は満たすべき最低限の条件である。
【0079】
ここで、表3に試作したアクチュエータの仕様と、実測された最低印加電圧V凸とVthを示している。ただし、同表中、「真空中での実測値」というのは、脱気中(10mmHg)での実測値から比例導出した値である。同表から、最低印加電圧Vthの実測値36.5と計算値36.7は非常に良く一致している((Vth(実測)/Vth(計算)=0.99)。
【0080】
【表3】
Figure 2004284098
【0081】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
先ず凸部25が電極表面に2列形成された場合について図18を参照して説明する。この場合、電極短辺長と振動板短辺長は同じとする。
図18において、振動板端と最短距離にある凸部25端の間の部分(C点)に振動板が接触する最小印加電圧をVth1とし、2列の凸部25間の部分(D点)に振動板21が接触する最小印加電圧をVth2とする。
【0082】
このときアクチュエーターは、後述する理由により(6)式を満たす必要がある。
【0083】
【数11】
Figure 2004284098
【0084】
振動板21が電極22上の凸部25に接触すると、図19のような構図となるが、最小印加電圧Vth2が最小印加電圧Vth1よりも小さいと、電圧を上昇させた際に、振動板端−凸部端の部分(図中Awの範囲)よりも、凸部間間隔Cwの部分(図19中Cwの範囲)がより撓み易いことになる。このとき、振動板21の凸部間の部分(Cw)は電極21側に引かれるが、振動板端−凸部端の部分(Aw)は凸部が構造上のストッパとなり、電圧の上昇に対して効果的に撓み難くなる、という不具合が生じる。
【0085】
ここで、振動板端部を含む間隔Awの部分の撓みは、振動板21の戻り力に大きく影響するが、振動板端辺方向間隔Cwの部分の撓みは、振動板端辺方向間隔Cwが振動板短辺幅aよりも狭く撓みが小さいこともあり、振動板21の戻り力対する影響は間隔Awの部分の撓み程ではない。
【0086】
この結果、(6)式を満たさない構成の場合、電圧の上昇に対して振動板の戻り力の増加が、ひいては、液滴吐出において滴速度Vj,滴体積Mjの増加が十分とはいえないものとなる。つまり、電圧を上昇させて、滴の吐出効率を上げるためには、間隔Awの部分がより撓む構成にする必要がある。
【0087】
そこで、(4)式及び(5)式を利用すると、(6)式は、(3)式のように書きなおせる。
【0088】
【数12】
Figure 2004284098
【0089】
凸部と凸部の振動板端辺方向間隔Cwが広くなる場合には、凸部自身の幅を多少大きくして間隔Cwを狭くするか、もしくは間隔Cw内にさらに1列配置して3列にすると良い。また、経験的には、振動板の短辺端と凸部端の間隔Awは、振動板短辺長の1/3以上空けておいた方が好ましい。
【0090】
次に、電極側の凸部がランダムに配置された場合について図20を参照して説明する。
凸部25d,25fに注目すると、間隔Aw21,Aw25を各々(3)式のAwに代入して、間隔Aw23を(3)式のCwに代入して、同式が成立する必要があるように見える。
【0091】
しかし、ここで、凸部25dと凸部25gとの長辺方向間隔Bw21を、(1)式Bwに代入して同式を満たすならば、間隔Aw21を(3)式のAwに代入し、間隔Aw23を(3)式のCwに代入して、同式を満たす必要はない。満たすべき条件は、間隔Aw21,Aw25を各々(3)式のAwに代入し、間隔Aw23,Aw24を各々(3)式のCwに代入した場合の関係式である。
【0092】
ここで、上述した凸部が規則正しく2列に配置された場合においては、(3)式は満たすべき唯一の条件であったが、ランダムに配置された場合は、(3)式は満たすべき最低限の条件である。
【0093】
次に、画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図21及び図22を参照して説明する。なお、図21は本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を説明する構成図、図22は同記録装置の要部平面説明図である。
【0094】
このインクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド101とステー102とでキャリッジ103を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ104でタイミングベルト105を介して図22で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
【0095】
このキャリッジ103には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドである4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド107を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0096】
また、キャリッジ103には、記録ヘッド107に各色のインクを供給するための各色のサブタンク108を搭載している。このサブタンク108には図示しないインク供給チューブを介してメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0097】
一方、給紙カセット110などの用紙積載部(圧板)111上に積載した用紙112を給紙するための給紙部として、用紙積載部111から用紙112を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)113及び給紙コロ113に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド114を備え、この分離パッド114は給紙コロ113側に付勢されている。
【0098】
そして、この給紙部から給紙された用紙112を記録ヘッド107の下方側で搬送するための搬送部として、用紙112を静電吸着して搬送するための搬送ベルト121と、給紙部からガイド115を介して送られる用紙112を搬送ベルト121との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ122と、略鉛直上方に送られる用紙112を略90°方向転換させて搬送ベルト121上に倣わせるための搬送ガイド123と、押さえ部材124で搬送ベルト121側に付勢された先端加圧コロ125とを備えている。また、搬送ベルト121表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ126を備えている。
【0099】
ここで、搬送ベルト121は、無端状ベルトであり、搬送ローラ127とテンションローラ128との間に掛け渡されて、電動機である副走査モータ131からタイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ127が回転されることで、矢示方向(ベルト搬送方向)に周回するように構成している。
【0100】
この搬送ベルト121は、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層21aと、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0101】
帯電ローラ126は、搬送ベルト121の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ローラ127はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト121の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0102】
また、搬送ベルト21の裏側には、記録ヘッド4による印写領域に対応してガイド部材136を配置している。このガイド部材136は、上面が搬送ベルト121を支持する2つのローラ(搬送ローラ127とテンションローラ128)の接線よりも記録ヘッド107側に突出している。これにより、搬送ベルト121は印写領域ではガイド部材136の上面にて押し上げられてガイドされる。
【0103】
さらに、記録ヘッド107で記録された用紙112を排紙するための排紙部として、搬送ベルト121から用紙112を分離するための分離部と、排紙ローラ142及び排紙コロ143と、排紙される用紙112をストックする排紙トレイ144とを備えている。また、背部には両面給紙ユニット151が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット151は搬送ベルト121の逆方向回転で戻される用紙112を取り込んで反転させて再度カウンタローラ122と搬送ベルト121との間に給紙する。
【0104】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙112が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙112はガイド115で案内され、搬送ベルト121とカウンタローラ122との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド123で案内されて先端加圧コロ125で搬送ベルト121に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0105】
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ126に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト121が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト121上に用紙112が給送されると、用紙112内で帯電パターンと反対の電荷に分極するので、平行接続されたコンデンサが形成されたこととなり、用紙112が搬送ベルト121に吸着され、搬送ベルト121の周回移動によって用紙112が副走査方向に搬送される。
【0106】
そこで、キャリッジ103を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド107を駆動することにより、停止している用紙112にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙112を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙112の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ144に排紙する。
【0107】
なお、上記実施形態においては、液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用し、このインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置の例で説明したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドとして、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用でき、また、インクジェット記録装置以外の画像形成装置、液滴吐出装置にも適用できる。
【0108】
また、静電型アクチュエータを備えるマイクロデバイスとしては、マイクロポンプ、光学デバイス(光変調デバイス)以外にも、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力センサなどにも適用することができる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、(1)式、(2)式、あるいは(3)式を充足する関係に規定したので、信頼性の高いヘッドを得ることができ、この液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置あるいはインクジェット記録装置の信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電型インクジェットヘッドの基本構成を説明する振動板長手方向に沿う模式的説明図
【図2】同じく振動板短辺方向に沿う模式的説明図
【図3】同ヘッドの動作説明に供する模式的説明図
【図4】他のヘッド構成を説明する模式的説明図
【図5】更に他のヘッド構成を説明する模式的説明図
【図6】本発明の第1実施形態の説明に供する変位量δ−駆動電圧V特性の一例を説明する説明図
【図7】同じく滴速度Vj−駆動電圧V特性の一例を説明する説明図
【図8】同じく滴体積Mj−駆動電圧V特性の一例を説明する説明図
【図9】同じく滴速度Vj−駆動電圧V特性の他の例を説明する説明図
【図10】同じく滴速度Vj−駆動電圧V特性の他の例を説明する説明図
【図11】本発明で用いるパラメータの定義の説明に供する振動板長辺方向の模式的説明図
【図12】同じく凸部が1列の場合の振動板の平面説明図
【図13】同じく凸部が2列の場合の振動板の平面説明図
【図14】本発明の第2実施形態の説明に供する凸部当接時の状態を説明する説明図
【図15】同じく凸部が長辺方向端部まで形成された場合の振動板の平面説明図
【図16】凸部がランダムに配置された場合の説明に供する平面説明図
【図17】本発明の第3実施形態の説明に供する凸部がランダムに配置された場合の説明に供する平面説明図
【図18】本発明の第4実施形態の説明に供する凸部が電極側に配置された場合の説明に供する平面説明図
【図19】同実施形態の計算方法の説明に供する模式的説明図
【図20】同実施形態の説明に供する凸部がランダムに配置された場合の説明に供する平面説明図
【図21】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の機構部を説明する概略構成図
【図22】同記録装置の要部概略平面説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…第基板、4…ノズル孔、6…液室、10、21…振動板、14、22…第2電極、17、25…凸部、18、19、23、24…絶縁膜。

Claims (6)

  1. 液滴を吐出するノズルが連通する液室と、この液室の少なくとも1つの壁面を形成する変形可能な第1電極として機能する導電層を含む振動板と、この振動板に対向して絶縁層と空隙をもって液室外に設けられた第2電極とを有し、前記振動板と第2電極間の対向する面の少なくとも一方には凸部を有し、前記第1電極と第2電極間に電圧を印加することにより振動板を変形させて前記ノズルから液滴を吐出することのできる静電アクチュエータを複数有する液滴吐出ヘッドにおいて、前記凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸としたとき、凸部以外の部分で振動板が対向面に接触するための最小印加電圧が1.4×V凸以上であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 液滴を吐出するノズルが連通する液室と、この液室の少なくとも1つの壁面を形成する変形可能な第1電極として機能する導電層を含む振動板と、この振動板に対向して絶縁層と空隙をもって液室外に設けられた第2電極とを有し、前記振動板と第2電極間の対向する面の少なくとも一方には凸部を有し、前記第1電極と第2電極間に電圧を印加することにより振動板を変形させて前記ノズルから液滴を吐出することのできる静電アクチュエータを複数有する液滴吐出ヘッドにおいて、前記凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、前記振動板の短辺長をa、前記凸部の高さをt凸、空隙長をGair、前記第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、振動板長辺方向において凸部が配置されない凸部間の間隔をBwとしたとき、次の(1)式が充足されることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
    Figure 2004284098
  3. 液滴を吐出するノズルが連通する液室と、この液室の少なくとも1つの壁面を形成する変形可能な第1電極として機能する導電層を含む振動板と、この振動板に対向して絶縁層と空隙をもって液室外に設けられた第2電極とを有し、前記振動板と第2電極間の対向する面の少なくとも一方には凸部を有し、前記第1電極と第2電極間に電圧を印加することにより振動板を変形させて前記ノズルから液滴を吐出することのできる静電アクチュエータを複数有する液滴吐出ヘッドにおいて、前記凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、前記振動板の短辺長をa、前記凸部の高さをt凸、空隙長をGair、前記第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、このとき前記(1)式が満たされる間隔Bwを用いて、振動板短辺端の或るM点から振動板長辺方向±Bwとなる範囲において、M点とM点に最も近い前記凸部の端の振動板短辺方向間隔をAwとしたとき、次の(2)式が充足されることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
    Figure 2004284098
  4. 液滴を吐出するノズルが連通する液室と、この液室の少なくとも1つの壁面を形成する変形可能な第1電極として機能する導電層を含む振動板と、この振動板に対向して絶縁層と空隙をもって液室外に設けられた第2電極とを有し、前記振動板と第2電極間の対向する面の少なくとも一方には凸部を有し、前記第1電極と第2電極間に電圧を印加することにより振動板を変形させて前記ノズルから液滴を吐出することのできる静電アクチュエータを複数有する液滴吐出ヘッドにおいて、前記凸部が対向面と接触するための最小印加電圧をV凸とし、前記振動板の短辺長をa、前記凸部の高さをt凸、空隙長をGair、前記第1電極と第2電極間のギャップ内の絶縁膜の全厚みと比誘電率をそれぞれts及びεsとし、このとき前記(1)式が満たされる間隔Bwを用いて、振動板短辺端の或るM点から振動板長辺方向±Bwとなる範囲において、M点とM点に最も近い前記凸部の端の振動板短辺方向間隔をAwとし、さらに異なる凸部の端の間隔をCwとしたとき、次の(3)式が充足されることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
    Figure 2004284098
  5. 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドが前記請求項2ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液滴吐出装置。
  6. インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載した画像形成装置において、前記インクジェットヘッドが前記請求項2ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
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