JP4185701B2 - 歯付ベルト及びその製造方法 - Google Patents

歯付ベルト及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
OA(オフィスオートメーション)機器を含む精密機器では、動力伝達のために小ピッチ歯付ベルトが使用されている。かかる歯付きベルトの一例としては、例えば、クロロプレンゴム(CR)で形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面がレゾルシン・ホルマリン(以下「RF」という)の付着した補強布で被覆されたものを挙げることができる。そして、そのような歯付ベルトに対しては、ベルト走行中にゴム粉が落ちないということが要求される。ベルトから落ちるかかるゴム粉は、ベルト成形時に補強布の糸間の隙間を通ってしみ出したゴムがプーリに擦れることにより生じるものであることが分かっている。従って、補強布からのゴムのしみ出しをなくすことにより、ゴム粉が落ちるのを防止することができることとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本出願の課題は、歯付ベルトの補強布からのゴムのしみ出しを抑止し、ベルト走行中にゴム粉が落ちないようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトであって、
上記補強布は、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施された布であって、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物が該布の質量に対して60質量%以上付着したもので構成されていることを特徴とする歯付ベルトである。
【0005】
請求項2に係る発明は、エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトであって、
上記補強布は、ビニルピリジンラテックスに浸漬された後に乾燥され、続いて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施された布であって、ビニルピリジンの被膜及びレゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物が該布の質量に対して50質量%以上付着したもので構成されていることを特徴とする歯付ベルトである。
【0006】
請求項3に係る発明は、エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
上記補強布となる布に対し、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施し、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物を該布の質量に対して60質量%以上付着させることを特徴とする歯付ベルトの製造方法である。
【0007】
請求項4に係る発明は、エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
上記補強布となる布に対し、ビニルピリジンラテックスに浸漬した後に乾燥させ、続いて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施し、ビニルピリジンの被膜及びレゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物を該布の質量に対して50質量%以上付着させることを特徴とする歯付ベルトの製造方法である。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、布の糸間の隙間からのゴムのしみ出しを抑止し、従って、ベルト走行中にゴム粉が落ちるのを抑えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る歯付ベルト10を示す。この歯付ベルト10は、精密機器に組み込まれるベルト幅5mm程度及びベルト周長250mm程度の小型のものである。
【0011】
この歯付ベルト10は、歯付ベルト本体11が、ベルト内側に長手方向に所定ピッチで設けられたベルト歯を形成する歯ゴム部11aと、ベルト外側の背ゴム部11bと、が一体となって構成されている。また、歯付ベルト本体11の歯ゴム部11aと背ゴム部11bとの間には、心線12が略ベルト長手方向に延びるようにベルト幅方向にピッチを形成して螺旋状に設けられている。さらに、歯付ベルト本体11のベルト内側であるベルト歯側には、その表面を被覆する補強布13が設けられている。
【0012】
歯付ベルト本体11は、カーボンブラック等のゴム薬品が混合されたエチレン・プロピレンゴム(EPM、EDDM)で形成されている。
【0013】
心線12は、ガラス繊維束に対しRFL水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施してなるストランドを複数本集め、それらを撚り合わせたもので構成されている。
【0014】
補強布13は、綾織物で構成されている。その綾織物は、ベルト長手方向に延びる糸がウレタン繊維等の伸縮性繊維に6,6−ナイロン繊維等を巻き付けた伸縮糸で、ベルト幅方向に延びる糸が6,6−ナイロン繊維等の撚糸であり、ベルト長手方向に伸性を有するものである。また、その綾織物は、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液に浸漬された後に加熱温度110℃以下及び加熱時間2分以下で加熱される処理が施され、歯付ベルト本体11側となる面にゴム糊がコートされたものである。
【0015】
次に、上記歯付ベルト10の製造方法について説明する。
【0016】
まず、歯付ベルト本体11となるエチレン・プロピレンゴムの未加硫ゴムシート、心線12及び補強布13となる綾織物を準備する。ここで、上記のように、心線12は、ガラス繊維束に対しRFL水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施したストランドを複数本集め、それらを撚り合わせることにより作製される。また、綾織物には、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液に浸漬した後に加熱温度110℃以下及び加熱時間2分以下で加熱する処理が施され、その後、歯付ベルト本体11側となる面にゴム糊がコートされる。
【0017】
次いで、金型周面に軸方向に延びる凹溝が周方向に等間隔をおいて形成された円筒金型を綾織物で被覆する。このとき、綾織物の伸び方向が円筒金型の周方向(ベルト長手方向)に一致するようにする。
【0018】
次いで、円筒金型上の綾織物の上に心線12を螺旋状に巻き付け、さらにその上に未加硫ゴムシートを巻き付ける。
【0019】
続いて、綾織物、心線及び未加硫ゴムシートをセットした円筒状金型を加硫釜に入れて加熱及び加圧する。このとき、加熱及び加圧によりゴムが円筒金型側に流動し、特に凹溝部分では、ゴムの押圧により綾織物が凹溝表面に沿うように伸長されてベルト歯が形成される。また、歯付ベルト本体11が形成されると共にそれと心線12及び綾織物(補強布13)とが一体化する。
【0020】
そして、加硫釜から円筒金型を取り出し、円筒金型から筒状のスラブを取り外す。
【0021】
最後に、スラブの背面を研磨して厚さを均等にした後、所定幅に輪切りする。
【0022】
上記構成の歯付ベルト10によれば、RFL水溶液への浸漬後の加熱処理の加熱温度が低く且つ加熱時間が短いので、RF樹脂の架橋が不完全な状態となり、RFLが付着することにより綾織物の伸性が受ける影響が小さいものとなる。このため、補強布13となる綾織物が十分に伸性を有した状態でベルト成形することができ、ベルト歯が形成される際でもゴムの押圧によって綾織物が容易に伸長するので、綾織物の糸間の隙間からのゴムのしみ出しが抑止され、従って、このようにして製造された歯付ベルト10では、ベルト走行中にゴム粉が落ちるのを抑えることができる。
【0023】
(実施形態2)
実施形態2に係る歯付ベルトでは、補強布は、ベルト長手方向に伸性を有する綾織物で構成されている。その綾織物は、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施されたものであり、RFLの被膜のゴム状付着物が綾織物の質量に対して50質量%以上付着している。そして、歯付ベルト本体側の面へのゴム糊のコートはなされていない。
【0024】
その他の構成は実施形態1と同一である。
【0025】
上記構成の歯付きベルトによれば、補強布へのRFLの被膜のゴム状付着物の付着量が多く、補強布の糸間の隙間がゴム状付着物で埋められて目留めされるので、綾織物の糸間の隙間からのゴムのしみ出しが抑止され、従って、ベルト走行中にゴム粉が落ちるのを抑えることができる。
【0026】
また、補強布となる綾織物を処理するためのRFL水溶液のラテックスとしてエポキシ化ポリエチレンラテックスが用いられており、しかも、RFLの被膜が綾織物の質量に対して50質量%以上付着しているので、歯付ベルト本体が接着性の乏しいエチレン・プロピレンゴムで形成されているにもかかわらず、それに対する補強布の極めて高い接着力を得ることができる。
【0027】
(実施形態3)
実施形態3に係る歯付ベルトでは、補強布は、ベルト長手方向に伸性を有する綾織物で構成されている。その綾織物は、ビニルピリジンラテックスに浸漬された後に乾燥され、次いで、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施されたものであり、RFLの被膜及びビニルピリジンの被膜のゴム状付着物が綾織物の質量に対して50質量%以上付着している。そして、歯付ベルト本体側の面へのゴム糊のコートはなされていない。
【0028】
その他の構成は実施形態1と同一である。
【0029】
上記構成の歯付ベルトによれば、RFLの被膜が付着する前にビニルピリジンが下地として補強布となる綾織物に付着すると共に、その上にRFLの被膜が付着し、ベルト成形における加熱時にビニルピリジンが溶融して造膜してRFLの被膜とビニルピリジンの被膜とが合わさってゴム状付着物となり、そのために補強布の糸間の隙間がゴム状付着物で埋められて目留めされるので、綾織物の糸間の隙間からのゴムのしみ出しが抑止され、従って、ベルト走行中にゴム粉が落ちるのを抑えることができる。
【0030】
また、補強布となる綾織物を処理するためのRFL水溶液のラテックスとしてエポキシ化ポリエチレンラテックスが用いられているので、歯付ベルト本体が接着性の乏しいエチレン・プロピレンゴムで形成されているにもかかわらず、それに対する補強布の高い接着力を得ることができる。
【0031】
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜3では、歯付ベルト本体11をエチレン・プロピレンゴムで形成したが、特にこれに限定されるものではなく、クロロプレンゴム(CR)等で形成してもよい。
【0032】
また、上記実施形態1〜3では、心線12をガラス繊維で構成されたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、アラミド繊維心線やポリエステル繊維心線であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態1〜3では、補強布13となる布として綾織物を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、編物や不織布であってもよい。
【0034】
【実施例】
(試験1)
<試験用織物>
以下の各例に係る織物を作成した。各構成を表1にも示す。
【0035】
−例1・1−
一方の方向に延びる糸がウレタン繊維に6,6−ナイロン繊維を巻き付けた伸縮糸であり他方の方向に延びる糸が6,6−ナイロン繊維の撚糸である綾織物に対し、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液(RF/L=1/2)に浸漬した後に加熱温度110℃及び加熱時間2分で加熱する処理を施し、RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して60質量%付着させたものを例1・1とした。
【0036】
−例1・2−
RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して30質量%付着させたことを除いて例1・1と同一構成のものを例1・2とした。
【0037】
−例1・3−
RFL水溶液への浸漬前に、ビニルピリジンラテックスに浸漬した後に乾燥する処理を施し、RFLの被膜及びビニルピリジンの被膜を合わせて織物の質量に対して50質量%付着させたことを除いて例1・1と同一構成のものを例1・3とした。
【0038】
−例1・4−
RFL水溶液に浸漬した後の加熱温度を150℃とし、RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して15質量%付着させたことを除いて例1・1と同一構成のものを例1・4とした。
【0039】
−例1・5−
例1・4の織物の一方の面にゴム糊をコートしたものを例1・5とした。
【0040】
−例1・6−
RF水溶液に浸漬した後に加熱温度110℃及び加熱時間2分で加熱する処理を施し、RFによる被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して5質量%付着させた後、一方の面にゴム糊をコートしたことを除いて例1・1と同一構成のものを例1・6とした。
【0041】
【表1】
Figure 0004185701
【0042】
<試験方法>
−織物伸性−
例1・1〜例1・6の各織物について、伸び方向が長手方向となるように幅2.54cmの短冊状の試験片を作成し、それを室温下で長手方向に伸長させる引張試験を行い、そのとき50%変形させるのに要した力を測定した。
【0043】
−ベルト試験−
例1・1〜例1・6の各織物について、伸び方向がベルト長手方向となるようにした歯付ベルトを作製した。このとき、例1・1〜例1・5については、歯付ベルト本体をエチレンプロピレンゴム(EPDM)で形成し、例1・6については、歯付ベルト本体をクロロプレンゴム(CR)で形成した。また、ゴム糊をコートしたものはゴム糊側が歯付ベルト本体側になるようにした。そのベルト歯側表面のゴムのしみ出し状態を目視観察評価し、ベルト走行させたときにゴム粉が落ちるか否かを評価した。評価は、しみ出しなし及びゴム粉落ちなしを◎、しみ出しあり及びゴム粉落ちなしを○、しみ出しあり及びゴム粉落ちありを△、しみ出し多数あり及びゴム粉落ちありを×とした。
【0044】
−接着試験−
例1・1〜例1・6の各織物について、伸び方向が長手方向となるようにした幅2.54cmの短冊状のものと上記のベルト試験で歯付ベルト本体に使用したゴムとを加熱及び加圧により一体化させた板状の試験片を作成し、雰囲気温度100℃下でゴムから織物を長手方向に剥離する際に要する力を測定した。
【0045】
<試験結果>
試験結果を表1に示す。
【0046】
例1・1〜例1・4の比較によれば、織物へのゴム状付着物が織物の質量に対して50質量%及び60質量%である例1・3及び例1・1では、ベルト走行時におけるゴム粉落ちが無かったのに対し、織物へのゴム状付着物が織物の質量に対して30質量%及び15質量%である例1・2及び例1・4では、ベルト走行時におけるゴム粉落ちがあったことより、ゴム状付着物の量が多いほどベルト走行時におけるゴム粉落ちを抑える効果が高いことが分かる。これは、補強布へのゴム状付着物の付着量が多くなれば、補強布の糸間の隙間がゴム状付着物で埋められて目留めされる効果が高まり、それによって織物の糸間の隙間からのゴムのしみ出しが抑止され、従って、ベルト走行中にゴム粉が落ちるのが抑えられるためであると考えられる。例1・5及び例1・6では、ゴム状付着物の付着量が織物の質量に対して15質量%であるにも関わらず、ベルト走行時におけるゴム粉落ちが無かったが、これは、織物にコートしたゴム糊がゴムのしみ出しを遮断したためであると考えられる。つまり、織物へのゴム状付着物の付着量を高めれば、かかる糊ゴムのコートが無くてもゴムのしみ出しを抑止することができるということである。
【0047】
例1・1、例1・2及び例1・4の比較によれば、織物、すなわち、補強布へのRFLの被膜のゴム状付着物の付着量が多いほど、そのゴムへの接着性が高いということが分かる。しかも、RFLの被膜の付着量が織物の質量に対して60質量%である例1・1では、織物のゴムに対する接着力、すなわち、補強布の歯付ベルト本体に対する接着力が、被着ゴムがクロロプレンゴム(CR)であると共にRFL水溶液のラテックスがビニルピリジンラテックスである例1・6の織物のゴムに対する接着力、すなわち、従来の構成の補強布の歯付ベルト本体に対する接着力と同等である。これは、被着ゴムとRFLのラテックス種との組み合わせが良く、RFLの被膜の付着量が多くなることにより接着性が向上することを示すものである。但し、例1・3を考慮すれば、織物、すなわち、補強布へのゴム状付着物の付着量が多くても、そのゴム状付着物にビニルピリジンが含まれていると、接着力が低くなっており、従って、この接着力はゴム状付着物のうちRFLの被膜の付着量に依存するものと考えられる。
【0048】
例1・1〜例1・3の比較によれば、RFL水溶液による処理の前にビニルピリジンラテックスによる処理を施した例1・3では、ゴムのしみ出しが観察されていないのに対し、かかる処理の施されていない他の2つではゴムのしみ出しが観察されている。これは、RFLの被膜の下地にビニルピリジンの被膜が存在するために、補強布の糸間の隙間がゴム状付着物で埋められて目留めされる効果が高くなるためであると考えられる。
【0049】
(試験2)
<試験用織物>
以下の各例に係る試験用織物を作成した。各構成を表2にも示す。
【0050】
−例2・1−
一方の方向に延びる糸がウレタン繊維に6,6−ナイロン繊維を巻き付けた伸縮糸であり他方の方向に延びる糸が6,6−ナイロン繊維の撚糸である綾織物に対し、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるRFL水溶液(RF/L=1/2)に浸漬した後に加熱温度110℃及び加熱時間2分で加熱する処理を施し、RFLの被膜を織物の質量に対して10質量%付着させ、一方の面にゴム糊をコートしたものを例2・1とした。このものは、RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して10質量%付着させ、一方の面にゴム糊をコートしたことを除いて例1・1と同一構成である。
【0051】
−例2・2−
RFL水溶液に浸漬した後の加熱時間を5分とし、RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して7質量%付着させたことを除いて例2・1と同一構成のものを例2・2とした。
【0052】
−例2・3−
RFLの被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して5質量%付着させたことを除いて例2・2と同一構成のものを例2・3とした。
【0053】
−例2・4−
RFL水溶液に浸漬した後の加熱温度を150℃及び加熱時間を10分としたことを除いて例2・1と同一構成のものを例2・4とした。
【0054】
−例2・5−
RF水溶液に浸漬した後に加熱温度110℃及び加熱時間3分で加熱する処理を施し、RFによる被膜のゴム状付着物を織物の質量に対して5質量%付着させたことを除いて例2・1と同一構成のものを例2・5とした。このものは、RF水溶液に浸漬した後の加熱時間を3分としたことを除いて例1・6と同一構成である。
【0055】
【表2】
Figure 0004185701
【0056】
<試験方法>
試験1と同様の方法で織物伸性、ベルト試験及び接着試験の試験を行った。
【0057】
<試験結果>
試験結果を表2に示す。
【0058】
例2・1〜例2・5の比較によれば、RF水溶液又はRFL水溶液への浸漬後の加熱処理の加熱温度が110℃で且つ加熱時間が5分以下である例2・1〜例2・3及び例2・5では、ゴム粉落ちが無かったのに対し、加熱温度が150℃で且つ加熱時間が10分である例2・4ではゴム粉落ちがあったことより、加熱条件が緩いほどベルト走行時におけるゴム粉落ちを抑える効果が高いことが分かる。これは、RFL水溶液又はRF水溶液への浸漬後の加熱処理の加熱温度が低く且つ加熱時間が短く、RF樹脂の架橋が不完全な状態となり、RFL又はRFが付着することにより織物の伸性が受ける影響が小さいものとなり、そのため、補強布となる織物が十分に伸性を有した状態でベルト成形することができ、ベルト歯が形成される際でもゴムの押圧によって織物が容易に伸長するので、織物の糸間の隙間からのゴムのしみ出しが抑止されるためであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る歯付ベルトの側面図である。
【符号の説明】
10 歯付ベルト
11 歯付ベルト本体
11a 歯ゴム部
11b 背ゴム部
12 心線
13 補強布

Claims (4)

  1. エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトであって、
    上記補強布は、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施された布であって、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物が該布の質量に対して0質量%以上付着したもので構成されていることを特徴とする歯付ベルト。
  2. エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトであって、
    上記補強布は、ビニルピリジンラテックスに浸漬された後に乾燥され、続いて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬された後に加熱される処理が施された布であって、ビニルピリジンの被膜及びレゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物が該布の質量に対して50質量%以上付着したもので構成されていることを特徴とする歯付ベルト。
  3. エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
    上記補強布となる布に対し、ラテックスがエポキシ化ポリエチレンラテックスであるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施し、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物を該布の質量に対して0質量%以上付着させることを特徴とする歯付ベルトの製造方法。
  4. エチレン・プロピレンゴムで形成された歯付ベルト本体のベルト歯側表面が補強布で被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
    上記補強布となる布に対し、ビニルピリジンラテックスに浸漬した後に乾燥させ、続いて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液に浸漬した後に加熱する処理を施し、ビニルピリジンの被膜及びレゾルシン・ホルマリン・ラテックスの被膜を含むゴム状付着物を該布の質量に対して50質量%以上付着させることを特徴とする歯付ベルトの製造方法。
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