JP3055897B1 - 歯付きベルト - Google Patents
歯付きベルトInfo
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Abstract
力を高め、歯付きベルトの耐久性を強化してその走行寿
命を伸ばす。 【解決手段】 歯付きベルト10の歯ゴム層12の一方
の面に歯部14および歯底部15を交互に形成し、その
外表面に帆布20を設ける。歯ゴム層12の他方の面に
背ゴム層16を一体的に設け、歯ゴム層12および背ゴ
ム層16の境界面に心線18を埋設する。心線18と歯
ゴム層12および心線18と背ゴム層16との間に歯ゴ
ム層および背ゴム層のゴム組成とは異るゴム組成を有す
る接着ゴム層22を設ける。歯ゴム層および背ゴム層が
ヨウ素価11ないし28の水素添加ニトリルゴムに過酸
化水素系加硫剤を添加した配合ゴムから得られ、接着ゴ
ム層がヨウ素価10以下の水素添加ニトリルゴムにイオ
ウ系加硫剤と過酸化物系加硫剤とを添加した配合ゴムか
ら得られる。
Description
おいて、エンジンの出力軸、エアコンディショナ、オル
タネータ等の間において、各軸に回転力を伝達する歯付
きベルトに関する。
え、この歯ゴム層の一方の面には歯部および歯底部が長
手方向に交互に形成される。歯ゴム層の他方の面には背
ゴム層が一体的に設けられ、歯ゴム層と背ゴム層との間
には長手方向に延びる心線が埋設される。
クランク軸の回転数が上がり、種々の補機を回転駆動さ
せるために使用される歯付きベルトには一層大きな負荷
がかかるようになってきている。また、内燃機関の小型
化および高負荷化により歯付きベルトには一層厳しい環
境になってきている。
負荷伝動が可能であり、かつ長寿命であることが求めら
れる。このため、歯ゴム層および背ゴム層に用いられる
原料ゴムは従来のクロロプレンから耐熱性に優れた水素
添加ニトリルゴムへ切替えられ、歯付きベルトの耐熱性
および弾性を伴う剛性を高めるために、原料ゴムの加硫
剤は従来のイオウ系加硫剤に代えて過酸化物系加硫剤が
用いられるようになってきた。
行うと、過酸化物系加硫剤から発生したラジカルのため
に歯ゴム層および背ゴム層と心線との接着阻害を起こす
ことがあり、歯付きベルトにおける歯部の歯欠けが早ま
り走行寿命が低下するという問題が発生する。
のであり、歯ゴム層および背ゴム層と心線との接着を強
固にし、歯欠けを防止することにより、走行寿命の長い
歯付きベルトを得ることが目的である。
トは、一方の面に長手方向に沿って歯部および歯底部が
交互に形成される歯ゴム層と、歯部および歯底部の外表
面を覆う帆布と、歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴ
ム層と、歯ゴム層と背ゴム層との間に埋設され、長手方
向に延びる複数の心線と、少なくとも心線と歯ゴム層と
の間に、歯ゴム層および背ゴム層のゴム組成とは異なる
ゴム組成を有する接着ゴム層とを備え、歯ゴム層および
背ゴム層がヨウ素価11ないし28の水素添加ニトリル
ゴムに過酸化物系加硫剤を添加した配合ゴムから得ら
れ、接着ゴム層がヨウ素価10以下の水素添加ニトリル
ゴムにイオウ系加硫剤と過酸化物系加硫剤とを添加した
配合ゴムから得られることを特徴としている。
ゴム層が、心線と歯ゴム層との間と、心線と背ゴム層と
の間の双方に設けられる。
ス繊維フィラメントを束ねて下撚りをかけたストランド
を複数本備えることが好ましい。さらにこれら複数本の
ストランドのうち所定の本数のストランドが束ねられ、
これら所定の本数のストランドを中心にして残りのスト
ランドが規則的に配置され、全ストランドが長手方向に
張力を付与されながら上撚りが施される。心線には、ク
ロロスルホン化ポリエチレンのゴムのり溶液によるオー
バーコート層が形成されてもよい。
の実施形態について添付図面を参照して説明する。
が示される。同図には、歯付きベルト10の切り取られ
た一部が斜視図として示される。図2には、図1に示す
歯底部15の部分拡大断面図が示される。
この歯ゴム層12の一方の面には長手方向に沿って歯部
14および歯底部15が交互に一体的に形成される。歯
ゴム層12の歯部14および歯底部15の外表面は、帆
布20によって覆われる。この帆布20は、アラミド繊
維およびナイロン繊維から成る折り布として形成され
る。
6が設けられる。歯ゴム層12と背ゴム層16との間に
は、複数の心線18が埋設される。心線18は歯付きベ
ルト10の長手方向に平行である。心線18は、例えば
一対の心線コードを歯付ベルト10の長手方向に沿って
螺旋状に巻回することにより得られる。このとき、一対
の心線コードの一方はS撚り心線コードとされ、その他
方はZ撚り心線コードとされる。
ム層16との間の境界面には、心線18との接着性が良
好な接着ゴム層22が設けられる。即ち、歯ゴム層12
と心線18との間には接着ゴム層22が介在し、背ゴム
層16と心線18との間にも接着ゴム層22が介在す
る。
うに、接着ゴム層22の厚みThは心線18の直径dよ
り大きく、心線18は接着ゴム層22内に完全に埋め込
まれている。歯部14の内側に位置する接着ゴム層22
は、歯部14の頂部に沿って突出している。
との接着性が低いために、高負荷下における走行に十分
に耐え得る歯付きベルトが得られなかったが、本実施形
態の歯付きベルト10においては歯ゴム層12と心線1
8、および背ゴム層16と心線18との接着剤として接
着ゴム層22が設けられているので、従来の歯付きベル
トに比べてその走行寿命を伸ばすことができる。
のようにして製造される。図3に示すように、所定長さ
の帆布材料20’は予めコルゲート状に予成形されてお
り、配合ゴムシート12’および配合ゴムシート22’
が帆布材料20’の形状に応じて、帆布材料20’と一
体的に予成形される。予成形された配合ゴムシート1
2’には歯部14’および歯底部15’が交互に形成さ
れる。このように予成形された中間製品は成形ドラム3
4に巻付けられ、切断縁辺が互いに当接させられる。成
形ドラム34には、歯付きベルト10の輪郭形状に対応
した歯部36および歯底部38が形成される。
15’を備えた配合ゴムシート12’、および配合ゴム
シート22’は、それぞれ仕上げ歯付きベルト10の帆
布20、歯部14および歯底部15を備えた歯ゴム層1
2、および接着ゴム層22となるものである。
は、一対の心線コード18’が螺旋状に巻付けられ、さ
らにその心線コード18’の外周に配合ゴムシート2
2’および背ゴム層16となるべき配合ゴムシート1
6’が巻付けられる。その後、ベルト構成部品12’、
16’、18’、20’および22’を持つ成形ドラム
34は、図示しない加硫オーブンに入れられ、そこで所
定の温度および圧力下で加硫処理を受ける。この加硫処
理により、ベルト構成部品12’、16’、18’、2
0’および22’間の隙間は除去される。
形の歯付きベルトストラブ10’が加硫成形される。歯
付きベルトストラブ10’は加硫オーブンから取出され
て、グラインダ等により研磨処理された後、適当な幅に
輪切り状に切断される。以上の処理により、所望の幅の
仕上げ歯付きベルト10が得られる。なお、図6におい
て、歯付きベルトストラブ10’の各構成部品について
は、仕上げ歯付きベルト10のそれぞれの構成部品と同
じ参照符号が付されている。
ムとして、ヨウ素価11ないし28の水素添加ニトリル
ゴムが用いられ、この水素添加ニトリルゴムの加硫剤と
して有機過酸化物が用いられる。また接着ゴム層22の
原料ゴムとして、ヨウ素価10以下の水素添加ニトリル
ゴムが用いられ、この接着ゴム層22の加硫剤として、
イオウが添加された過酸化物が用いられる。
材であり、そのヨウ素価が低いほど耐熱性が良好である
ことが知られている。歯付きベルト10の走行中には、
心線18の周囲に負荷が最も多くかかるため、心線18
の周囲のゴム層は高温になり易く、劣化して心線18と
の界面における接着力が弱くなる。このような理由によ
り、接着ゴム層22の原料ゴムには、歯ゴム層12およ
び背ゴム層16の水素添加ニトリルゴムよりヨウ素価が
低い、即ち耐熱性の優れた水素添加ニトリルゴムが用い
られる。
硫した場合、同じヨウ素価の水素添加ニトリルゴムをイ
オウ添加の過酸化物で加硫した場合よりも耐熱性が良好
であることは周知である。しかし、例えば接着ゴム層2
2の加硫剤に過酸化物のみを用いると、耐熱性は良いが
心線18との接着性が低下し、歯付きベルト10に不適
である。そこで本実施形態では、接着ゴム層22の加硫
剤としてイオウが添加された過酸化物を使用し、心線1
8との接着性を向上させている。
び背ゴム層16との水素添加ニトリルゴムのヨウ素価が
等しく、接着ゴム層22の加硫剤としてイオウが添加さ
れた過酸化物を使用し、歯ゴム層12および背ゴム層1
6の加硫剤として過酸化物のみを使用すれば、心線18
と接着ゴム層22との接着は良好になるが、接着ゴム層
22の耐熱性は歯ゴム層12および背ゴム層16よりも
劣ることとなり、歯付きベルト10の耐久性の向上は望
めない。
の水素添加ニトリルゴムよりもヨウ素価の低い水素添加
ニトリルゴムを接着ゴム層22に用いることにより、歯
ゴム層12および背ゴム層16と同等、あるいはそれ以
上の耐熱性を有する接着ゴム層22を得ることができ、
心線18と接着ゴム層22との接着性が向上できるとと
もに歯付きベルト10の耐久性を飛躍的に向上させるこ
とができる。
が、歯ゴム層12および背ゴム層16の耐熱性と同等、
あるいはそれ以上となるように、接着ゴム層22に用い
る水素添加ニトリルゴムのヨウ素価、および加硫剤とし
てのイオウの添加量が適宜定められる。
の各構成要素12、16、18、22は一括して加硫処
理されるため、各構成要素における加硫速度が略等しく
なるように、接着ゴム層22、歯ゴム層12および背ゴ
ム層16のそれぞれのゴム配合、特に原料ゴムに対する
加硫剤の混入量が定められる。これは、各構成要素にお
いて加硫速度が異なると、各構成要素の加硫接着がうま
く行われない、即ち歯ゴム層12と接着ゴム層22、背
ゴム層16と接着ゴム層22、あるいは接着ゴム層22
と心線18との境界面で接着不良が生じてしまうためで
ある。
に沿う複合糸と、歯付きベルト10の幅方向に沿う非伸
縮性糸とで綾織された織り布から形成されるが、その他
の織り布、例えば朱子織、平織、あるいは種々の変成織
により得られる織り布によって形成されてもよい。
芯糸の周囲に巻付いている紡績糸と、さらにその外側に
紡績糸の巻きと逆の方向に巻付いている捲縮糸とで構成
される。芯糸としてはポリウレタン系の弾性糸が、紡績
糸としては耐熱性に優れたアラミド繊維が、捲縮糸とし
ては耐摩耗性に優れた脂肪族系合成繊維のナイロン繊維
が好適に用いられる。帆布20の非伸縮性糸は、剛性お
よび耐熱性に優れたものが好ましく、例えばナイロン繊
維のフィラメント糸等が適している。
10の長手方向に沿って伸縮性のある複合糸が用いら
れ、歯付きベルト10の幅方向に沿って非伸縮性糸が用
いられる。これにより、帆布20には歯付きベルト10
の長手方向に沿う伸縮性が与えられ、耐摩耗性および耐
熱性の向上が図られる。
コードの一方、即ちS撚り心線コード30が一部破断し
て示される。図6はS撚り心線コード30の断面図であ
る。心線18には例えば高強度ガラス繊維が好適に用い
られる。
ラメント32が例えば200本ずつ収束されて1本の糸
34とされる。高強度ガラス繊維の直径は好ましくは7
μmとされる。各フィラメント32には防水等のための
処理、例えばレゾルシン−ホルマリン−ラテックス、即
ちRFL溶液による処理が施される。詳述すると、フィ
ラメント32が多数収束された糸34が3本集められ、
これら3本の糸34がRFL溶液に浸漬された後に乾燥
させられ、これにより各フィラメント32に対してRF
L層が形成される。その後これら3本の糸34にはZ方
向に下撚りがかけられ、1本のストランド38とされ
る。
3本集めてコアが形成され、このコアの周囲に8本のス
トランド38が均等に配置される。コアにおいて3本の
ストランド38は、それら3つの中心38aによって正
三角形が形成されるように配される。また、コアの周囲
に配された8本のストランド38において、それぞれの
中心38bはS撚り心線コード30の中心からの距離が
互いに略等しい位置にあり、隣り合う2本のストランド
38の中心38b同士の間の円周方向の距離は、全て等
しく、距離Sである。なお図6において、中心38bは
4本のストランド38についてのみ示す。
囲のストランド38の数は特に3本あるいは8本に限定
されない。またコアにおけるストランド38の配置も図
6に示す配置に限定されないが、略円形断面を有するス
トランド38を寄せ集めたときにコア内の間隙が少なく
なるように、ストランド38が配されることが望まし
い。
かけられながら、下撚りとは反対方向に上撚りが、即ち
S方向に撚りがかけられる。このようにしてS撚り心線
コード30が得られる。さらに、S撚り心線コード30
はクロロスルホン化ポリエチレンのゴムのり溶液に浸漬
した後に乾燥させられ、各ストランド38の外周にオー
バーコート層40が形成され得る。オーバーコート層4
0が設けられることにより、S撚り心線コード30の接
着ゴム層22または背ゴム層16に対する接着性が向上
する。
線コード (図示せず) については、下撚りがS撚りで上
撚りがZ撚りであること以外は、図5に示すS撚り心線
コード30と実質的に同じものである。このようにして
得られたS撚り心線コード30とZ撚り心線コードとが
併せられて、心線18として用いられる。
ランドはランダムに配置され、単に下撚りと反対方向に
撚られるだけであったため、上撚りの際に各ストランド
に不均等に張力がかかり、心線内、即ちストランド間の
間隙も不均一かつ大きくなることが否めない。しかし本
実施形態では、上撚りの際にストランド38が規則正し
く配置されているので、各ストランド38に均等に張力
がかかり、隣り合うストランド38の間隙が少なくな
る。即ち、従来よりもストランド38同士の密着度が向
上し、心線18内の空隙が少なくなる。従って、心線1
8の強度が向上すると共に、外部からの水が心線18内
部に滞留し難くなり、心線18の耐水性が向上する。
布20側および背ゴム層16側からは水が進入し難い
が、側面において心線18が露出しているために、毛管
現象により心線18の内部に水が進入し易いことが知ら
れている。水が心線18内に進入すると、RFL層等に
用いられる処理剤が膨潤および劣化し、心線18自体の
劣化を招く恐れがある。しかし、本実施形態の心線18
は上述したような構成により、耐水性が向上しており、
水の浸入による劣化が防止される。
示され、同図では、図1に示した歯付きベルトの構成要
素に対応する構成要素については同じ参照符号を用いて
示される。図7には歯底部15の部分拡大断面図が示さ
れる。第2実施形態では、接着ゴム層22が心線18と
歯ゴム層12との間にのみ設けられており、この点を除
けば第2実施形態は第1実施形態と実質的に同じもので
ある。即ち、心線18は歯ゴム層12側において直径d
の約1/ 2が接着ゴム層22に埋め込まれ、残りの約1
/ 2が背ゴム層16に埋め込まれている。
めに、製造工程(図3参照)において、成形ドラム34
に巻付けられた中間製品には、心線コード18’および
配合ゴムシート16’のみが巻付けられ、第1実施形態
のように配合ゴムシート22’は巻き付けられない。こ
れにより、心線18と背ゴム層16との間に接着ゴム層
が設けられない歯付きベルト10が得られる。
が心線18と歯ゴム層12との間に設けられることによ
り、最も負荷のかかる心線18と歯ゴム層12との境界
面の接着性が向上し、長寿命の歯付きベルト10を得る
ことができる。
を説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら
限定されるものではない。
表1に示すように、歯付きベルトに使用されるべき3種
類の配合ゴムAないしCが調整された。
の事項を表す。 ※1、※2、※3 日本ゼオン株式会社製の商品名、エ
チレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和重合ゴム ※4 水素添加率は百分率(単位は%) ※5 ヨウ素価は無名数 ※6 配合材料の種類およびゴム原料100重量部に対
する配合材料の重量部(単位はphr ) ※7 ジクミルペルオキシドと1,3−ビス(t−ブチ
ルペロキシ−イソプロピル)ベンゼンとから成る過酸化
物系加硫剤(前者はハーキューリーズ社製のダイカップ
40Cとして入手可能であり、後者は日本油脂株式会社
製のペロキシモンF40として入手可能) なお、表中、“***”は未配合を示す。
ム原料として水素添加率99%、ヨウ素価4の水素添加
ニトリルゴムの100重量部に対して、1重量部のステ
アリン酸と、10重量部の酸化亜鉛と、1.5重量部の
老化防止剤と、20重量部のカーボンブラックと、25
重量部のメタクリル酸亜鉛と、15重量部の過酸化物系
加硫剤と、1.8重量部のイオウと、10重量部の可塑
剤とを加えたものである。この配合ゴムAから配合ゴム
シート(A)が押出成形により得られ、次いでこの配合
ゴムシート(A)が加硫された。
90%、ヨウ素価28の水素添加ニトリルゴムの100
重量部に対して、1重量部のステアリン酸と、5重量部
の酸化亜鉛と、1重量部の老化防止剤と、60重量部の
カーボンブラックと、0.5重量部のイオウと、2.7
重量部の加硫助剤と、10重量部の可塑剤とを加えたも
のである。この配合ゴムBから配合ゴムシート(B)が
押出成形により得られ、この配合ゴムシート(B)が加
硫された。
95%、ヨウ素価11の水素添加ニトリルゴムの100
重量部に対して、1重量部のステアリン酸と、10重量
部の酸化亜鉛と、1.5重量部の老化防止剤と、20重
量部のカーボンブラックと、25重量部のメタクリル酸
亜鉛と、18重量部の過酸化物系加硫剤と、6重量部の
加硫助剤と、10重量部の可塑剤とを加えたものであ
る。この配合ゴムCから配合ゴムシート(C)を押出成
形により得た後、配合ゴムシート(C)を加硫した。
(B)および(C)から接着強度試験用の試料片が作成
され、それぞれの試料片を用いて、心線との接着強度試
験が行われた。
度試験に用いられた試料片50の斜視図を示している。
試料片50の製作の一例として、実施例試料片1の製作
方法を示す。先ず、幅25mm、長さ120mmの配合ゴム
シート(A)がゴムシート52として用意される。この
ゴムシート52の上に心線54が28本並べられ、さら
にこれらの心線54の上に補助的に布56が被せられ
る。この状態でプレスにより加熱加圧され、これにより
試料片50、即ち実施例試料片1が得られる。
着強度試験において、心線54として表2に示す心線B
が使用された。
径7μmの高強度ガラス繊維を200本収束した糸が3
本集められ、RFL処理が施された後、Z撚り(S撚
り)に下撚りがかけられ、ストランドとされた。さらに
このストランドがランダムに11本集められて、下撚り
とは反対方向であるS撚り(Z撚り)に上撚りがかけら
れ、これがS(Z)撚り心線コードとされた。さらに各
心線コードにクロロスルホン化ポリエチレンのゴム溶液
によるオーバーコート処理が施された。一対のS撚り心
線コードおよびZ撚り心線コードが螺旋状に巻回され、
これが心線Bとされた。
配合ゴムシート(B)が用いられること以外の構成およ
び処理は実施例試料片1と同様である。
配合ゴムシート(C)が用いられること以外の構成およ
び処理は実施例試料片1と同様である。
料片50が引張試験機へ取付けられた状態を示してい
る。図9を参照して試験方法を説明する。試料片50の
一端において、心線54の表面が均一に見えるように心
線54とゴムシート52との間には切れ目が入れられ
る。剥がされた心線54の端部とゴムシート52との端
部は、それぞれチャック58に取付けられ、引張試験機
により1分間に50mmの引張速さで引張られる。接着力
は心線54とゴムシート52との剥離する力を測定する
ことにより評価される。
と熱処理後の試料片50との双方についてそれぞれ行わ
れた。常態の試料片50は上述のように製造された直後
の試料片であり、常温環境下で試験された。耐熱試験後
の試料片50は、上述のように製造された後、温度14
0℃の環境下で280時間放置する熱処理が施された試
料片であり、試料片50が常温に戻った後、常温環境下
で試験された。
表3の下段に示される。なお、表3中、“・・・”は測
定時にゴムシート52が破断して測定不能であったこと
を示す。
おいて、実施例試料片1および比較例試料片1が比較例
試料片2に比べて配合ゴムシートと心線との接着力が極
めて大きい。この理由として、実施例試料片1では加硫
剤としてイオウ添加の過酸化物を、比較例試料片1では
イオウのみを用いたのに対し、比較例試料片2では加硫
剤として過酸化物のみを用いたため接着性が劣ったと考
えられる。
試料片1が比較例試料片2に比べて接着力が極めて大き
く、比較例試料片1に関しては破断して測定すらできな
かった。この理由として、比較例試料片2が加硫剤とし
てイオウのみを用いたため、耐熱性が悪くなったと考え
られる。
を用いた配合ゴムシート(A)が、常態の接着力および
熱老化後の接着力の双方が共に高く、歯付きベルト10
の心線18の周囲に設けられる接着ゴム層22に最も好
適である。加硫剤としてイオウのみを用いた配合ゴムシ
ート(B)は、常温での接着性は高いが熱老化後の接着
力が低く、高温下で使用される歯付きベルトの接着ゴム
層22には不適である。また加硫剤として過酸化物のみ
を用いた配合ゴムシート(C)においては常温および高
温環境下の双方において心線との接着力が不十分であ
り、接着ゴム層22には不適である。
ムシート(A)が歯付きベルト10の心線18の接着剤
として用いられる接着ゴム層22に最も好適であること
がわかる。
の3種類の配合ゴムシート(A)、(B)、および
(C)を用いることにより、本発明による歯付きベルト
の実施例として3つのタイプのものが製造され、これら
3つのタイプの歯付きベルトは、それぞれ実施例ベルト
1、2、および3として以下に言及される。また本発明
による歯付きベルトの比較例として2つのタイプの歯付
きベルトが製造され、これらは比較例ベルト1および2
として以下に言及される。
4の構成については、以下の表4に示す通りである。
例ベルト1は歯ゴム層12および背ゴム層16として配
合ゴムシート(C)が用いられ、接着ゴム層22として
配合ゴムシート(A)が用いられた。接着ゴム層22は
心線18の歯ゴム層12側および背ゴム層16側の双方
に設けられた。帆布20として上述したような折り布組
織のもの、即ち表5に示す帆布Aが使用された。
布とされ、その伸縮性の複合糸が長手方向の糸とされ、
その密度は150本/5cmである。各複合糸には芯糸と
して420dのウレタン弾性糸が使用され、この芯糸の
周りに200dのアラミド繊維紡績糸が650回/mの
割合で一方向に巻付けられ、さらにその外側には捲縮糸
として100dの6,6−ナイロン糸がアラミド繊維紡
績糸とは逆方向に巻付けられた。一方、非伸縮性の幅方
向の糸として100dの6,6−ナイロン糸が用いら
れ、その密度は170本/5cmである。
ド・ラテックス(RFL)溶液で予め帆布処理が施され
る。即ち、RFL液に浸漬後、乾燥処理され、帆布表面
にRFL層が形成され、これにより配合ゴムシートに対
する接着性が高められる。RFL溶液のラテックス成分
はカルボキシル化ニトリルゴムであり、必要に応じてR
FL溶液にクロロフェノールホルムアルデヒド縮合物、
例えば2,6−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニルメ
チル)−4−クロロフェノール誘導体重合体(商品名;
バルカボンドE、ICI-VULNAX社製)を添加してもよい。
て表2に示す心線Aが使用された。心線Aは、上述した
心線18の構成を備えたものであり、上撚りの撚り方が
異なること以外は心線Bと実質的に同じである。
3本集めてコアが形成され、このコアの周囲に8本のス
トランド38が均等に配置された(図5)。これら11
本のストランドには張力がかけられながらS(Z)方向
に上撚りがかけられた。
例ベルト2において、実施例ベルト1と同様に歯ゴム層
12および背ゴム層16として配合ゴムシート(C)が
用いられ、接着ゴム層22として配合ゴムシート(A)
が用いられた。接着ゴム層22は心線18の歯ゴム層1
2側のみに設けられた。心線18として心線Aが用いら
れ、帆布20として帆布Aが用いられた。実施例ベルト
2は、心線18の背ゴム層16側に接着ゴム層22が設
けられていない点を除けば、実施例ベルト1と実質的に
同じものである。
例ベルト3において、実施例ベルト2と同様に歯ゴム層
12および背ゴム層16として配合ゴムシート(C)が
用いられ、接着ゴム層22として配合ゴムシート(A)
が用いられた。接着ゴム層22は実施例ベルト2と同様
に心線18の歯ゴム層12側のみに設けられた。心線1
8として心線Bが用いられ、帆布20として帆布Aが用
いられた。実施例ベルト3は、心線18に心線Bが用い
られる点を除けば実施例ベルト2と実質的に同じもので
ある。
例ベルト1において、実施例ベルト1と同様に歯ゴム層
12および背ゴム層16として配合ゴムシート(C)が
用いられ、接着ゴム層22は設けられなかった。心線1
8として心線Aが用いられ、帆布20として帆布Aが用
いられた。比較例ベルト1は、接着ゴム層22が設けら
れていない点を除けば、実施例ベルト1と実質的に同じ
ものである。
例ベルト2において、歯ゴム層12および背ゴム層16
として配合ゴムシート(B)が用いられ、接着ゴム層2
2は設けられなかった。心線18として心線Bが用いら
れ、帆布20として表5に示す帆布Bが用いられた。比
較例ベルト2は、心線18および帆布20に心線Bおよ
び帆布Bがそれぞれ用いられる点と、接着ゴム層22が
設けられていない点とを除けば、実施例ベルト1と実質
的に同じものである。
なること以外は帆布Aと実質的に同一のものである。長
手方向の糸には420dの6,6−ナイロン捲縮糸が用
いられ、その密度は170本/5cmである。また幅方向
の糸として、210dの6,6−ナイロン糸が用いら
れ、その密度は170本/5cmである。
価〕以上のような5種の歯付きベルト、即ち実施例ベル
ト1ないし3、比較例ベルト1および2を用いて、第1
および第2の走行試験が行われた。
示す図である。第1の走行試験装置は、3つの歯付きホ
イール62、64および66と、歯付きホイール66お
よび62間に設けられたテンショナ68とから成る。被
試験歯付きベルト61は図10に示すような態様で3つ
の歯付きホイール62、64および66とテンショナ6
8とに架け渡される。
1、2および3と、比較例ベルト1および2のそれぞれ
について、同一条件下で走行試験が行われた。その走行
試験の評価のために、走行開始から歯欠けに至るまでの
各歯付きベルトの走行時間がそれぞれ測定された。
れる。実施例ベルト1の走行時間は700時間であり、
実施例ベルト1の走行時間は576時間、実施例ベルト
1の走行時間は487時間であった。これに対し、比較
例ベルト1および2の走行時間はそれぞれ349時間お
よび32時間に過ぎなかった。
い比較例ベルト1および2に比べて、接着ゴム層を少な
くとも歯ゴム層側に設けた実施例ベルト1ないし3が耐
久性が良いことが分かる。特に、接着ゴム層を歯ゴム側
および背ゴム側の双方に設けた実施例ベルト1が最も耐
久性が良いことは明らかである。また、心線の構成のみ
が異なる実施例ベルト2および3を比較すると、心線A
を用いた実施例ベルト2が心線Bを用いた実施例ベルト
3に比べて耐久性が良いことがわかる。
る。第2の走行試験装置は、2つの歯付きホイール72
および74と、歯付きホイール74および72間に設け
られたテンショナ76とから成る。被試験歯付きベルト
71は図11に示すような態様で2つの歯付きホイール
72および74とテンショナ76とに架け渡される。歯
付きホイール72と被試験歯付きベルト71との間にお
いて、1時間当たり1Lの割合で注水が行われる。
および3のそれぞれについて、同一条件下で走行試験が
2回ずつ行われた。その走行試験の評価のために、走行
前のベルト引っ張り強度および走行試験後のベルト引っ
張り強度がそれぞれ測定され、走行前のベルト引っ張り
強度に対する走行試験後のベルト引っ張り強度の割合、
即ちベルト引っ張り強度残存保持率が求められた。
される。表4において、各数値はベルト引っ張り強度残
存保持率を表し、その単位は%である。なお、表中“#
##”は、走行試験が行われなかったことを表す。
保持率は66%および61%であり、これに対し、実施
例ベルト3のベルト引っ張り強度残存保持率は50%お
よび45%に過ぎず、実施例ベルト2のベルト引っ張り
強度残存保持率に及ばなかった。
に心線Aが用いられているか否かの点のみであり、心線
Aが用いられている実施例ベルト2が、心線Aが用いら
れていない実施例ベルト3に比べて、ベルト引っ張り強
度残存保持率が高く耐水性に優れていることがわかる。
8の周囲に接着ゴム層22を設けることによりベルトの
耐久性が飛躍的に向上し、また心線18内の間隙を少な
くすることによりベルトの耐水性が向上することが示さ
れた。
層と心線との接着を強固にし、歯欠けを防止することに
より、走行寿命の長い歯付きベルトを得ることができ
る。
す部分斜視図である。
を拡大して示す部分拡大断面図である。
心線コードの巻付け工程及び配合ゴムシートの巻付け工
程示す概略工程図である。
加硫工程を示す概略工程図である。
視図である。
示す部分側面図である。
試験において使用される試料片を示す図である。
を示す図である。
の走行試験を行う第1の走行試験装置の概略図である。
の走行試験を行う第2の走行試験装置の概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 一方の面に長手方向に沿って歯部および
歯底部が交互に形成される歯ゴム層と、 前記歯部および前記歯底部の外表面を覆う帆布と、 前記歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴム層と、 前記歯ゴム層と前記背ゴム層との間に埋設され、長手方
向に延びる複数の心線と、 少なくとも前記心線と前記歯ゴム層との間に、前記歯ゴ
ム層および前記背ゴム層のゴム組成とは異なるゴム組成
を有する接着ゴム層とを備え、 前記歯ゴム層および前記背ゴム層がヨウ素価11ないし
28の水素添加ニトリルゴムに過酸化物系加硫剤を添加
した配合ゴムから得られ、前記接着ゴム層がヨウ素価1
0以下の水素添加ニトリルゴムにイオウ系加硫剤と過酸
化物系加硫剤とを添加した配合ゴムから得られ ることを
特徴とする歯付きベルト。 - 【請求項2】 前記接着ゴム層が、前記心線と前記歯ゴ
ム層との間と、前記心線と前記背ゴム層との間の双方に
設けられることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベ
ルト。 - 【請求項3】 前記心線が高強度ガラス繊維フィラメン
トを束ねて下撚りをかけたストランドを複数本備え、こ
れら複数本のストランドのうち所定の本数のストランド
が束ねられ、これら所定の本数のストランドを中心にし
て残りのストランドが規則的に配置され、全ストランド
が長手方向に張力を付与されながら上撚りが施されるこ
とを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。 - 【請求項4】 前記心線に、クロロスルホン化ポリエチ
レンのゴムのり溶液によるオーバーコート層が形成され
ることを特徴とする請求項3に記載の歯付きベルト。
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JP10367266A JP3055897B1 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 歯付きベルト |
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JP10367266A JP3055897B1 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 歯付きベルト |
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---|---|
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- 1998-12-24 JP JP10367266A patent/JP3055897B1/ja not_active Expired - Fee Related
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