JP4185303B2 - 水素供給システム、前記水素供給システムにおける水素供給方法および液体燃料充填方法 - Google Patents
水素供給システム、前記水素供給システムにおける水素供給方法および液体燃料充填方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両搭載用の水素供給システム、前記水素供給システムにおける水素供給方法および液体燃料充填方法に関するものであり、より詳しく述べると、液体燃料を反応させて水素を発生させる水素供給システムにおいて、限られた空間でより多量の水素を発生せさることが可能な水素供給システム、前記水素供給システムにおける水素供給方法および液体燃料充填方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油等の天然資源の枯渇化や二酸化炭素による地球温暖化の観点から石油に代わる代替燃料として、水素が注目されている。
今日、このような水素の製造方法として、工業用水素の90%は石油または天然ガスから水蒸気改質法或いは部分酸化法で製造されている。
これら以外の他の水素を製造する方法としては、石炭を原料とする方法(COG法や発生炉ガス化法)、食塩電解槽からの副生水素の回収、水電解法等が従来から行われてきている。
そして、最近は熱化学水素製造法や太陽光を利用した水素製造方法も研究されている。
【0003】
さらに水素の製造方法として、選択性のよい固体触媒を使用して炭化水素から脱水素反応等により水素を製造する方法がある。
しかしながら、この方法で製造した水素を内燃機関等に供給する水素供給システムでは、炭化水素から水素を取り出した後の反応生成物として脱水素化合物が生成されるので、液体燃料貯蔵装置として2つの容器、すなわち液体燃料を貯蔵する液体燃料貯蔵容器と脱水素化合物を貯蔵する脱水素化合物貯蔵容器とが必要になるため、水素供給システムを車両に搭載する場合には設置スペースが大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、設置スペースを小さくできる水素供給システムとして、液体燃料貯蔵装置の液体燃料貯蔵容器を小さくした、例えば特開2001−68138号公報に開示された液体燃料貯蔵容器がある。
この液体燃料貯蔵容器は、図9に示すように、液体燃料貯蔵容器100内を可動仕切りで2室、すなわち回収室と燃料室とに区画し、脱水素化合物を回収するための伸縮式容器101を備えているものである。
この液体燃料貯蔵容器100は、このような構成により、液体燃料から水素を取り出した脱水素化合物をこの伸縮式容器101に回収・貯蔵し、液体燃料の消費による液体燃料の減量と脱水素化合物の増量とを1つの液体燃料貯蔵容器100内でバランスさせることができるように2室の容積を自律調整できるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような伸縮式容器101を備えた液体燃料貯蔵容器100は、伸縮自在な可動仕切りを備えているため、車両の加速・減速時に伴う液体燃料の液面の振動等により荷重を受けると、可動仕切りの寿命が短くなるという問題があった。
さらに、燃料タンクを車両等に搭載する場合には、車両等の限られたスペースに燃料タンクを配置する必要がある。
したがって、本発明の課題は、限られたスペース内で最大限の液体燃料を最大限搭載することが可能な、すなわちより多量の水素を発生することが可能な水素供給システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討を繰り返した結果、副生成物を回収する容器と燃料供給用の補助容器を複数分割して兼用し、これらの分割された容器のうちの1つを初期状態、すなわちシステムの起動時において、副生成物回収容器として使用することによって前記課題を解決することを見出して本発明を創作するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の項目に関するものである。
本発明は、液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記反応器に接続され、未反応の液体燃料と、副生成物とを分離する液体燃料分離装置、前記液体燃料分離装置と接続され、水素を回収するための水素分離装置、前記水素分離装置により回収された水素を消費する水素消費器、および前記液体燃料分離装置と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、前記水素分離装置により水素と分離された未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻すように構成し、前記副生成物貯蔵用容器が、2以上のサブタンクから構成され、かつ、前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねなおかつそのうちの少なくとも1つが該水素供給システムの始動時において副生成物貯蔵用容器として機能することを特徴とする水素供給システム(請求項1)。
また本発明は、液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記反応器に接続され、水素を回収するための水素分離装置、前記水素分離装置により回収された水素を消費する水素消費器、および前記水素分離装置と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、前記水素分離装置と前記副生成物貯蔵用容器との間に設けられ、未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に回収する分配弁と、前記水素分離装置と前記分配弁との間に設けられ、前記未反応の液体燃料の濃度を検知する濃度センサと、を備え、前記濃度センサにより検知された前記未反応の液体燃料の濃度が所定濃度以上の場合、前記未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻すように構成し、前記副生成物貯蔵用容器が、2以上のサブタンクから構成され、かつ、前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねなおかつそのうちの少なくとも1つが該水素供給システムの始動時において副生成物貯蔵用容器として機能することを特徴とする水素供給システム(請求項2)。
【0008】
このように構成された本発明の水素供給システムは、始動時において少なくとも2以上、好ましくは3以上分割された副生成物貯蔵用容器のうちのいくつか、例えば3分割された場合、1つを副生成物貯蔵用容器とし、そして残りの2つを燃料供給補助容器として使用する。
【0009】
この際に、燃料供給用容器(燃料メインタンク)に燃料供給補助容器から液体燃料を供給することができる。一方、反応により生成した副生成物および未反応の燃料は、同様にして前記副生成物貯蔵用容器に回収される。
また、燃料を燃料供給用容器に充填しきった(すなわち、空の)燃料供給補助容器は、そのまま副生成物貯蔵用容器として使用される。
【0010】
このように構成された本発明の水素供給システムは、副生成物貯蔵用容器の一部が燃料供給補助容器として使用することが可能であるので、限られたスペースで最大限の燃料を充填することが可能となる。さらに、複数の副生成物回収用の容器(燃料供給補助容器)の配置を、限られたスペース内に区分して配置することが可能となるので水素供給システムのレイアウトの自由度が増加する。
【0011】
本発明において使用される用語「液体燃料」とは、反応器内および燃料供給用容器および副生成物貯蔵用容器内の条件(温度、圧力)下で液体であり、反応器内で反応して水素を発生する燃料を言い、液体燃料から発生した水素燃料と区別される。
本発明において副生成物貯蔵用容器に回収される副生成物とは、液体燃料が反応器内で反応することによって発生し、そして水素消費器により消費された水素以外の成分、すなわち副反応生成物や未反応の燃料を含んでいる。
【0013】
また、前記副生成物貯蔵用容器が2以上のサブタンクから構成されることにより、本発明の水素供給システムを設計する際の自由度がさらに増加することになる。すなわち、限られたスペース内で副生成物貯蔵用容器および/または燃料供給補助容器を離間配置することが可能となる。
【0015】
また、燃料供給補助容器から燃料供給用容器への液体燃料の供給を、燃料供給用容器から反応器への液体燃料の供給量に応じて、連続的または回分式に行うことを特徴とする(請求項3)。
【0016】
回分式(バッチ式)とは、例えば反応器内で液体燃料が反応すると所定量の副生成物(および未反応の液体燃料)が回収される場合、その回収量に応じた量の液体燃料を燃料供給補助容器から燃料供給用容器に供給する方式およびある燃料供給補助容器が空になるまで供給し(および/または副生成物貯蔵用容器が満杯となるまで)、続いて、次の燃料供給補助容器から燃料供給用容器(メインタンク)へ供給を開始する(および/または次の空の副生成物貯蔵用容器への回収を開始する)方式を含むことを意味する。
この際に、空となった燃料供給補助容器は、副生成物貯蔵用容器として機能する。従ってこの実施の形態において、ある副生成物貯蔵用容器が満杯となるのと対応して液体燃料を供給する燃料供給補助容器が空となるのが同時となるように設定することが好ましい。
【0017】
また、「連続的に供給する」および「連続的に回収する」とは、燃料供給補助容器(補助タンク)から燃料供給用容器(メインタンク)への液体燃料の供給量に応じて、あるいは反応器から副生成物貯蔵用容器への副反応生成物(未反応燃料を含む)の回収量に応じて、順次燃料の供給および副生成物の回収を行うことを意味するものである。
【0018】
従って、本発明においては燃料供給用容器から反応器への液体燃料の供給量に応じて、燃料供給補助容器から燃料供給用容器への液体燃料の供給を連続的でも回分式でも行うことが可能である。なお、水素発生反応条件下において燃料供給用容器から反応器への液体燃料の供給量、反応器からの副生成物の回収量は略等しいので、燃料供給用容器から反応器への液体燃料の供給量と反応器からの副生成物の回収量とを一元的に制御することも可能である。このように、本発明の水素供給システムは、液体燃料の供給および副生成物の回収を所望に応じて連続的または回分式で行うことが可能であるので、設計の自由度が増加する。
【0019】
また、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水素供給システムを搭載した車両(請求項4)。
以上のようにして構成された本発明の水素供給システムは、限られたスペースに最大限の燃料である液体燃料を搭載することが可能であるので、水素を燃料とする車両、例えばハイブリッド燃料車両や燃料電池搭載車両の水素供給システムとして非常に好適に適用することが可能となる。
【0020】
また本発明は、液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記反応器と接続され、水素を回収するための水素分離装置、前記水素分離装置により回収された水素を消費するための水素消費器、および前記反応器と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムにおける水素供給方法であって、
(a)前記燃料供給用容器から液体燃料を反応器へ供給して水素発生反応を行う段階、
(b)水素発生反応により生成した水素を水素導出管から水素消費器へ導出しつつ、反応により発生した副生成物を、第一の副生成物貯蔵用容器に回収する段階、
(c)段階(a)で供給した液体燃料の供給量に応じて第一の燃料供給補助容器から燃料供給用容器へ液体燃料を供給する段階、
(d)前記第一の燃料供給補助容器が空になった際に、この第一の燃料供給補助容器を第二の副生成物貯蔵用容器として使用する段階、
(e)第二またはそれ以降の燃料供給補助容器が空になった際に、この第二またはそれ以降の燃料供給補助容器を第三またはそれ以降の副生成物貯蔵用容器として使用する段階、
(f)前記水素分離装置により水素と分離された未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻す段階、を含むことを特徴とする水素供給方法(請求項5)。
【0021】
このように構成された本発明の水素供給方法は、副生成物貯蔵用容器の一部が燃料供給補助容器として使用することが可能であるので、限られたスペースで最大限の燃料を充填することが可能となる。さらに、複数の副生成物貯蔵用容器(燃料供給補助容器)の配置を、限られたスペース内に区分して配置することが可能となるので水素供給システムのレイアウトの自由度が増加する。
【0022】
また本発明は、液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記液体燃料の反応により生成した水素を消費するための水素消費器、および前記反応器と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、前記副生成物貯蔵用容器が2以上のサブタンクから構成されかつ少なくとも1つの前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねた水素供給システムにおける液体燃料の充填方法であって、
(I) 各容器の液体燃料および回収された副生成物の充填状態を調査する段階、
(II) 副生成物が回収された容器から副生成物を取り出す段階、および
(III) 全容器のうち少なくとも1個の容器を除いて液体燃料を充填する段階
を含むことを特徴とする水素供給システムにおける液体燃料の充填方法(請求項6)。
【0023】
このように構成することによって、本発明の水素供給システムにおいて、1つ容器を除いた全て残りの容器に液体燃料を充填する操作が確実かつ容易に行うことが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第一実施形態)
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、本発明の水素発生機構を図1(a)に基づいて説明する。図1(a)は、本発明の水素供給システムの概略を示す模式図である。なお、図1(b)は、参考例としての水素供給システムの概略を示す模式図である。
なお、以下の説明において、本発明の水素供給システムを、燃料電池を搭載した車両に適用した場合について主として説明するが、本発明の水素供給システムは、このような特定の実施の形態に限定されるものではなく、幅広く適用可能である。
【0025】
図1(a)に示す本発明の水素供給システムは、液体燃料を加熱して脱水素反応させて水素と副生成物とを生成させる反応系1と、反応系において生成した水素を燃料として消費する後段の水素消費系2(例えば、燃料電池)と、前記脱水素反応により生成した副生成物を回収するための副生成物回収系3とから主として構成されている。
本発明においては、後述の通り副生成物回収系3が所定の条件で液体燃料サブタンク10’として機能することを特徴とするものである。
【0026】
図1(a)に示す通り、本発明における反応系1は、脱水素反応させる液体燃料を保存しそして後段へ送るための液体燃料メインタンク10、液体燃料メインタンク10から送られた液体を加熱・気化させるための図示しない加熱手段、加熱気化した液体燃料を気相脱水素反応させるための反応器11、反応生成物から未反応の液体燃料と、副生成物を分離する液体燃料分離装置12、反応生成物を気液分離し水素を回収するための膜等から構成される水素分離装置13から主として構成されている。
【0027】
図1(a)に示す装置においては、燃料分離装置12が反応器11と水素分離装置13との間に配置され、反応生成物を副生成物排出管14を介して副生成物回収系3(副生成物回収タンク31)に排出し、かつ未反応の(気体状態の)液体燃料と水素を含む気体を次段の気液分離装置13へ送る構成としている。水素分離装置13では、水素と未反応の液体燃料を多量に含む副生成物とに分離し、水素を次段の水素消費系2へ送るとともに、未反応の液体燃料を多量に含む副生成物を液体燃料メインタンク10へリサイクルして液体燃料として再利用する構成となっている。
【0028】
このように構成するメリットは、副生成物に含まれる比較的に多量の未反応の燃料を再利用することが可能である点である。例えば、イソプロパノール/アセトン系(反応系/生成系)の液体燃料を使用する場合、イソプロパノール/アセトンの容量比は70vol%/30vol%程度までが液体燃料として使用可能な許容レベルであると言われている。すなわち、この程度の反応系/生成系のレベルとなるまでリサイクルすることが可能となる。これらの反応系/生成系の許容レベルは本発明の水素供給システムの用途、使用する液体燃料等により適宜選択することが可能である。なお、本発明に適用可能な液体燃料の具体例については後述する。
【0029】
他方、図1(b)に示す装置においては、図1(a)に示すような水素分離装置13によって分離された未反応の液体燃料と反応生成物とをメインタンク10に戻さず、副生成物回収系3で回収することを特徴としている。すなわち、図1(b)に示す装置では、未反応の液体燃料と反応生成物とを冷却器15によって適温に冷却して回収する。
このように構成することによって、常に純粋な液体燃料がメインタンク10に貯蔵されることになり、その貯蔵した液体燃料を反応器に供給したときに水素反応効率が向上する。
このような反応系1の構成は、使用する液体燃料の種類等に応じて適宜選択することが可能である。
【0030】
本発明の水素供給システムにおいて使用される液体燃料は、液体燃料タンク10の内部条件(代表的には温度条件および圧力条件)下で液体として保存され、そして本発明の反応器11内で反応して水素を発生する化合物(含水素化合物またはケミカルハイドライド)であれば特に限定されない。本発明において使用される液体燃料は、液体の保存性から常温・常圧で液体である化合物であることが好ましい。これらの水素を発生するための液体燃料は、当該技術分野に公知の液体燃料から適宜選択される。これらのうち、代表的な液体燃料として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物、特にイソプロパノール燃料(以下、IPA(Isopropyl Alchol)と略称する)、炭化水素、例えばベンゼン等が挙げられる。
【0031】
図1(b)に示す水素供給システムにおいて、液体燃料としてIPAを使用した場合について説明する。
IPAは、以下の式に従って水素を発生し、そして副生成物としてアセトンを生成する。
(CH3)2CHOH=(CH3)2CO+H2−100.4kJ/mol
このようなIPAを液体燃料として使用する場合、反応器11は、一般には固定床式の反応器が使用される。
【0032】
反応は、ルテニウム、ルテニウム触媒と同属の白金属系の金属触媒、例えばパラジウムや水素化触媒として使用されているニッケル等の脱水素触媒の存在下に約80℃の温度で進行する。
従って、反応器11で反応を行う場合には、反応器内の雰囲気は80℃以上、好ましくは約100℃の温度とする。
【0033】
一般に、この反応はケミカルヒートポンプに使用される平衡反応として良く知られている。すなわち一定容積中では、この反応は時間の経過と共に進まなくなってしまうが、本発明の水素供給システムでは下流側に燃料電池等の水素消費系2があり、水素が消費系2により消費されるので、反応はルシャトリエの平衡移動の法則により右側にのみ進行する。
【0034】
なお、反応に必要な温度(約80℃)に加熱するための熱源としては、特に限定されるものではなく、例えば、本発明の水素供給システムを燃料電池に適用する場合には、約80℃程度に加熱された状態にある燃料電池の冷却水や電気ヒータなどを使用することができる。ちなみに、このような脱水素反応の反応系としては、IPA/アセトン系の他に、シクロヘキサン/ベンゼン系やデカリン/ナフタレン系も挙げられる。エネルギ効率の面からは、反応温度がなるべく低温で、且つ、液体燃料の単位モル数当たりの水素の収量(モル数)が大きい方が望ましい。
【0035】
反応器11内での液体燃料の反応は、気相反応である。すなわち、反応器11の反応雰囲気下で、液体燃料であるIPAは気化してIPAガスの状態であり、発生する水素は水素ガスの状態であり、そして反応の際に生成する副生成物であるアセトンも気体の状態で存在する。
【0036】
このようにして発生した水素は、水素分離装置13により他の気体から分離され、そして水素導出口より後段の消費系2へ放出される。一方、反応に伴って発生した副生成物(例えば、IPA/アセトン系燃料の場合はアセトン)および未反応の燃料(例えば、IPA/アセトン系燃料の場合はIPA)は、気体の状態で排出口から排出された後、冷却器15により冷却されて液体として後段の回収系へと送られる構成となっている(図1(b)参照)。
なお、一般に反応に使用された液体燃料の容量と反応後に回収された未反応液体燃料を含む副生成物の容量とは、略同一である。
【0037】
このような反応系を有する本発明の水素供給システムは、反応系1から排出された未反応副生成物は、回収するため回収系3へと送られる。
本発明においては、回収系3である副生成物貯蔵用容器31が少なくとも2分割、好ましくは3分割またはそれ以上に分割され、そしてこの副生成物貯蔵用容器31が反応系1である燃料供給補助容器10’を兼ねていることを特徴とするものである。
本発明は、この副生成物貯蔵用容器31が反応系1である燃料供給補助容器10’を兼ねる副生成物貯蔵用容器の分割の仕方により、第一および第二実施形態に分類される。以下、これらの容器の分割による実施形態を説明する。
【0038】
図2(a)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムのある状態を示す図面であり、図2(b)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムの別の状態を示す図面であり、そして図2(c)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムのさらに別の状態を示す図面である。
【0039】
なお、図2において液体燃料供給メインタンク10以外の反応系1(図1参照)および水素消費系2は省略し、そして液体燃料およびその反応系1への流れを斜線で示し、そして反応系1にて反応した後の未反応の液体燃料を含む副生成物(以下、単に副生成物と言う)およびその流れを黒く塗りつぶして示す。なお、以下の実施形態において、代表例として容器を5つのサブタンクから構成した例を示すが、本発明は、サブタンクの数に限定されるものではない。また、これらのサブタンクを整列して並べて示すが、これらのサブタンクは互いに離間配置されてもよい。
【0040】
本発明の第一実施形態に係る水素供給システムの始動時における動作を図2を用いて説明する。
本発明の第一実施形態に係る水素供給システムは、5つの独立したサブタンク50a、50b、50c、50dおよび50eを有している。これらのサブタンク50a、50b、50c、50dおよび50eは、副生成物貯蔵容器31と燃料供給補助容器10’を兼用する容器であり、黒く塗りつぶして示した回収系の配管14と図示しない開閉バルブ(例えば、ECUと接続された電磁式の開閉バルブ)を介して接続されているとともに液体燃料供給メインタンク10と図示しない開閉バルブを介して斜線で示す配管で接続されている。
【0041】
図2(a)に示す状態で、水素供給システムが始動する場合は、サブタンク50a〜50eのうちいずれか1つのタンクは、副生成物を回収するのに充分な空き容量があることが必須である。副生成物を回収するのに充分な空き容量とは、液体燃料を液体燃料メインタンク10に供給するタンクが空となる間、反応系1(図1参照)により反応した際に回収される副生成物を回収するのに充分な量を意味する。本発明においては、始動時において、少なくとも1つのサブタンクが空であることが好ましい。なお、以下の説明においては、始動時にサブタンク50aが空の(もしくは副生成物の回収するのに充分な空き容量がある)状態であり、サブタンク50bから液体燃料供給メインタンク10に液体燃料を補充する場合を想定する。この際に、各配管と接続される開閉バルブは以下の表1に示す通りである。
【0042】
【表1】
【0043】
この際、燃料メインタンク10へのサブタンクからの燃料の補充方法は、(1)液体燃料の補充を連続式に行う方法、(2)所定量、例えば1リットルの液体燃料が消費された際に1リットルの液体燃料を補充する方法(半回分式)、(3)例えば1つのサブタンクの液体燃料が終わった後、次のサブタンクの液体燃料を補充する方法(回分式)、および(4)これらの方法を組合せて用いる方法(例えば、メインタンク中の液体燃料の量が比較的多量の際には(1)または(2)の方法を採用し、メインタンク中の液体燃料の量が所定値より少なくなった際に(3)の方法を採用する等)が挙げられる。本発明においてはこのような燃料の供給方法に限定されるものではない。
【0044】
同様にして、反応系1で反応した結果生成しそして反応系1から排出される副生成物は、冷却手段により冷却されて液体として回収用タンク(例えばサブタンク50a)で回収されるが、この副生成物の回収も、例えば冷却手段の構成およびポンプの稼動方式を当該技術分野に公知の方法により工夫して連続式、半連続式または回分式によって行うことが可能である。本発明は、このように回収系への回収方式により限定されるものではない。
【0045】
以下の例では、図2に示す液体燃料供給システムにおいて、所定の量の液体燃料を補助タンク(50b〜50c)で半連続的に導入し、かつ副生成物の回収を連続的に行う場合を中心に説明する。
水素供給システムの始動時において、まず燃料メインタンク10から反応系1へ液体燃料を供給すると、反応系1から気体として排出された副生成物が冷却手段により液化されて始動時に副生成物貯蔵容器31として機能する空のサブタンク50aに連続的に回収される。その際に、液体燃料メインタンク11から反応系1へ回収された副生成物とほぼ同量の液体燃料が供給されて反応に供せられる。
所定時間経過すると、第一の液体燃料補助タンクとしてサブタンク50bから所定量の液体燃料が液体燃料メインタンク10へ送られる。
【0046】
このようにして、反応系1からの副生成物のサブタンク50aへの回収およびサブタンク50bから液体燃料メインタンク10への液体燃料の供給を繰り返すと、図2(b)に示す通り、サブタンク50aは副生成物で満たされて満タンとなる。これとほぼ同時に、サブタンク50bは、充填してあった液体燃料を全て液体燃料メインタンク10へ導入することによって空となる。なお、サブタンクの状態、すなわち副生成物回収タンクが満タンになったか否かおよび燃料供給中の燃料供給補助タンクが空になったか否かは、レベルゲージ、重量センサ等によりモニタすることが可能である。
【0047】
このようにして、サブタンク50aが満タンとなり、かつサブタンク50bが空となると、例えばレベルゲージからECUへ送られた信号により各バルブを以下の表2に示す通り切り替える。すなわち、空となったサブタンク50bを副生成物回収用タンクとして使用し、そして燃料が満タンの状態であるサブタンク50cを液体燃料供給補助タンクとして用いて液体燃料を液体燃料メインタンク10に供給する。
【0048】
【表2】
【0049】
このような操作を繰り返すと、最後に図2(c)に示す通り最初の状態に液体燃料を搭載していたサブタンク50eの液体燃料が消費し尽くされる。このようにして全ての液体燃料が使い尽くされると、電磁式の開閉バルブを表3に示すように切り替えて、液体燃料メインタンクに残った液体燃料を使用するとともに、最後の空のタンクであるサブタンク50eを副生成物回収用タンクとして使用する。
【0050】
【表3】
【0051】
このように、本発明において、初期状態にサブタンク50b〜サブタンク50eに液体燃料を充填することが可能であり、そして反応後に発生する副生成物をサブタンク50a〜50eで全て回収することが可能であるので、サブタンク50b〜50eに搭載する分だけ多量の初期状態において液体燃料を搭載することが可能となる。従って、例えば本発明の水素供給システムを車両に適用した場合、限られたスペースでより多量の液体燃料を搭載することが可能となり、車両の走行距離を増加させることが可能となる。
【0052】
ちなみに、反応前の液体燃料の量と反応後の液体燃料の量とが略等しいと仮定すると、最大限搭載可能な液体燃料の量はサブタンク50a〜50eの容量の総和、すなわち最大限回収可能な量である。
次に、第一実施形態の変更態様の変形例として、回分式に液体燃料を供給する場合の例を表4に示す。なお、表4に示す実施形態において、液体燃料をサブタンク50c、50dおよび50eから逐次液体燃料メインタンク10に以下の通りに回分式に供給するものとする。
【0053】
【表4】
【0054】
(I) 水素供給システムの始動時において、図1に示す水素供給システムのサブタンク50aおよびサブタンク50bは空であり、サブタンク50c、サブタンク50dおよびサブタンク50eには液体燃料が充填されているものとする(すなわち、サブタンク50bの液体燃料全てを液体燃料メインタンク10に充填した状態)。
(II) 次に、サブタンク50cから液体燃料メインタンク10に液体燃料を一度に充填する(表中、供給と示す:以下同様)。この際に、反応により生じた副生成物は空のタンクaに回収される(表中、回収中と示す:以下同様)。
【0055】
(III) そして、燃料サブタンク50aが副生成物で満タンとなった際に(表中、回収終了と示す:以下同様)、サブタンク50dから液体燃料メインタンク10に液体燃料を一度に充填する。この際に、反応により生じた副生成物は空のサブタンク50bに回収される。
(IV) 引き続いて、燃料サブタンク50bが副生成物で満タンとなった際に、サブタンク50eから液体燃料メインタンク10に液体燃料を一度に充填する。この際に、反応により生じた副生成物は前記(II)の操作で空となったサブタンク50cに回収される。
【0056】
(V) 続いて、燃料サブタンク50cが副生成物で満タンとなった際に、バルブを切り替えて反応により生じた副生成物を前記(III)の操作で空となったサブタンク50dに回収する。
(VI) 同様にして、燃料サブタンク50dが副生成物で満タンとなった際に、バルブを切り替えて反応により生じた副生成物を前記(IV)の操作で空となったサブタンク50eに回収する。
(VII) 最後に、サブタンク50eに全ての副生成物を回収する。
【0057】
このようにして、回分式に液体燃料補助タンクから液体燃料メインタンク10に液体燃料を供給しても同様の効果を奏する。
なお、本実施形態では、図2(a)に示す水素供給システムの状態を始動時として、説明したが、本発明は、図2(b)または図2(c)に示すいずれの状態から始動することが可能である。すなわち、本発明の水素供給システムは、液体燃料メインタンク10に液体燃料が存在し、なおかつ、全てのサブタンク(50a、50b、50c、50dおよび50e)が副生成物で満たされていない限り、始動することが可能である。
【0058】
また、反応器11からの副生成物の回収について、上記の説明では主として連続的に行ってきたが、本発明の水素供給システムにおける副生成物の回収は連続的回収に限定されるものではない。例えば、冷却器15において所定量貯えられた副生成物を所定のサブタンク(50a、50b、50c、50dおよび50e)に一度に圧送する構成とすることも本発明の範囲である(回分式)。
【0059】
本発明の第一実施形態に係る水素供給システムは、5つの独立したサブタンク50a、50b、50c、50dおよび50eを有している。これらのサブタンク50a、50b、50c、50dおよび50eは、副生成物貯蔵容器31と燃料供給補助容器10’を兼用する容器であり、黒く塗りつぶして示した回収系の配管14と図示しない開閉バルブ(例えば、ECUと接続された電磁式の開閉バルブ)を介して接続されているとともに液体燃料供給メインタンク10と図示しない開閉バルブを介して斜線で示す配管で接続されている。そして、液体燃料の補給および副生成物の取り出しは、図示しないサービスステーションにおいて、まず副生成物を取り出す。
【0060】
副生成物の取り出しは、副生成物を回収した容器を取外す構成としてもよく、回収系の配管を延長し、サービスステーションの吸引ポンプと接続可能な状態に構成することによって、副生成物の取り出しを行う構成としてもよい。
【0061】
この際に、サブタンク50a〜50eに充填されている内容物が回収された副生成物であるかあるいは液体燃料であるかの判定は、例えば各タンクに燃料濃度計を設け、燃料濃度計の値により燃料か副生成物から判定する方法により行うことができる。
なお、取り出された副生成物には、相当量の未反応燃料を含んでいるので、燃料を水蒸気蒸留等の当該技術分野の方法により副生成物から分離してリサイクルすることができる。
【0062】
そして、サブタンク50a〜50eから副生成物を取り出した後、サービスステーションから液体燃料をサブタンク50a〜50eに補給する。なお、この際に、後述するようにサブタンク50a〜50eのうちの少なくとも1個のタンクを空のままとする必要がある。なお、副生成物をサブタンク50a〜50eから全て回収した後、少量の液体燃料により共洗して、共洗液を取り出した後に、液体燃料を補給することも可能である。
【0063】
以下、本発明の第二実施形態を図3に基づいて説明する。なお、第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の部材は同一の符号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
図3は、本発明の第二実施形態に係る水素供給システムの要部を示す図面である。
【0064】
(第二実施形態)
図3に示す第二実施形態では第一実施形態と容器の分割の仕方が異なる以外は全て同一の構成を有している。すなわち、第一実施形態において、サブタンク50a、50b、50c、50d、50eが独立した容器であったのに対して、第二実施形態では、各々固定式の仕切り板51a、51b、51c、51dにより仕切られたサブタンク50a、50b、50c、50d、50eにより構成されている点だけ第一実施形態と相違する。このように構成することによって、第一実施形態と同様な作用・効果を奏することが可能である。さらに、容器に固定式仕切り板によって容器を仕切るだけなので、構成を簡易化することができる。
【0065】
(第三実施形態)
次に、図4に基づいて本発明の第三実施形態を説明する。
図4に示す通り、第三実施形態の水素供給システムは、図1に示す第一実施形態の水素供給システムの構成に加えて、冷却器15とタンク50との間の配管に分配弁31’を設けている。配管14に設けた濃度センサCSによって回収された副生成物中に存在する未反応の液体燃料の濃度を検知し、濃度が所定濃度以上の場合はリサイクルするので、液体燃料メインタンク10へ、所定濃度以下の場合は50のサブタンクのいずれかに回収液を分配する構成としている。
なお、この構成の水素分離装置において、冷却器15と分配弁31’との間に図示しないクッションタンクを設けて、副生成物中に存在する未反応の液体燃料の濃度に応じて液体燃料メインタンク10へ、所定濃度以下の場合は50のサブタンクのいずれかに回収液をクッションタンクから回分式に分配する構成としてもよい。
【0066】
次に、本発明の水素供給システムの動作を図5〜図8に基づいて説明する。
図5は、本発明の水素供給システムにおいて液体燃料の充填直後における液体燃料の供給/副生成物の回収フローを示すフローチャートであり、図6は、本発明の水素供給システムを途中で終了した後、再び運転した場合の液体燃料の供給/副生成物の回収フローを示すフローチャートであり、図7は、本発明の水素供給システムにおいてサブタンクの燃料を全て供給した後に液体燃料を充填するためのフローを示すフローチャートであり、そして、図8は、本発明の水素供給システムにおいてサブタンクの一部に液体燃料が残存している場合に液体燃料を充填(補充)するためのフローを示すフローチャートである。
まず、図5および図6を用いて、液体燃料の供給/副生成物の回収フローを説明する。
【0067】
以下の説明において、本発明の水素供給システムは車両に搭載され、車両におけるECUにより制御されているものとする。また、副生成物回収タンクおよび液体燃料供給補助タンク(以下、サブタンク1、2、3、4と略称する)の数を便宜上4個あるものとして説明する。各々のサブタンクには液体燃料供給用のバルブVO1、VO2、VO3、VO4および副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4を有しているものと想定する。そして、液体燃料メインタンクと各補助タンクとを接続する配管の液体燃料メインタンク側にはバルブVmが配置されているものと想定する。これらのバルブはECUの信号により開閉される。
【0068】
最初に、図5を用いて、メインタンクと、サブタンク2〜4に液体燃料が充填された状態における液体燃料の供給/副生成物の回収を説明する。
まず、ECUは、サブタンクの状態をチェックし、バルブの開閉を行う(ステップ1)。このサブタンクの状態は、後述する充填フロー終了後にECUに記憶された液体燃料供給用のバルブVO1、VO2、VO3、VO4および副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4の状態に復元したものである。
すなわち、液体燃料を充填した直後の状態では、各バルブの開閉状態およびサブタンクの状態は表5に示す通りである。
【0069】
【表5】
【0070】
すなわち、始動時には、空であるサブタンク1に副生成物を回収するためにサブタンク1の副生成物回収用バルブVI1を開き他の副生成物回収用バルブVI2〜4を閉状態とする。一方、サブタンク2から液体燃料メインタンクに液体燃料を供給するためにサブタンクVO2を開き他の副生成物回収用バルブVO1、3、4を閉状態とする。
このようにして、液体燃料をサブタンク2からメインタンクに供給する準備がととのったら、液体燃料をサブタンク2からメインタンクに供給するとともに、メインタンクから反応器への液体燃料の供給を開始して、水素を発生させる(S2)。
【0071】
続いて、サブタンク2の燃料が空となったか否か(サブタンク2空?)および/またはサブタンク1が副生成物により満タンとなったか否か(サブタンク1満タン?)を判断する(S3)。
すなわち、しばらく運転を続けると、サブタンク2の液体燃料全量がメインタンクに供給されてサブタンク2が空となる。それと同時にあるいは別に反応により生成された副生成物によりサブタンク1が満タンとなる。本発明においては、レベルゲージによりサブタンク内の液面の高さ等を絶えずモニタすることによって判断する。
サブタンク2が空でない場合および/またはサブタンク1が満タンではない場合(No)、ステップ2へ戻り、液体燃料の供給を続ける。
【0072】
サブタンク2が空である場合および/またはサブタンク1が満タンである場合(Yes)、サブタンク1の副生成物回収用バルブVI1およびサブタンク2の燃料供給バルブVO2を閉じ、副生成物をサブタンク2へ回収するためにサブタンク2の副生成物回収用バルブVI2を開くと同時に液体燃料のメインタンクへの供給を開始するためにサブタンク3の燃料供給バルブVO3を開き、そしてサブタンク1の副生成物回収用バルブVI1およびサブタンク2の燃料供給バルブVO2の開閉履歴をチェックしてECUに記憶させる(S3)。なお、この間、液体燃料メインタンクから反応系への液体燃料の供給は続行されている。すなわち、水素が発生している状態である。
【0073】
【表6】
【0074】
このようにバルブの開閉状態および開閉履歴により、ECUは常にサブタンクの状態を把握することが可能となる。
すなわち、この状態において、初期状態で空であったサブタンク1は副生成物回収用バルブが開(副生成物回収)閉(副生成物回収終了)したので、副生成物で満タンであることが把握される。一方、サブタンク2は、燃料供給用バルブが開(燃料供給)閉(燃料供給終了)したので(開から閉に切り替わったので)、空となったことが判る。そして、サブタンク2は、副生成物供給用バルブが開状態となっているので、副生成物が回収されつつあることも判る。
このような状態で、ECUから水素供給を停止させる信号が送信された場合、各バルブの開閉状態およびバルブの開閉履歴を記憶した後、全てのバルブを閉じ停止する(燃料の供給ストップ、図中の開閉状態の記憶1)。
【0075】
同様にして、サブタンク3の燃料が空となったか否か(サブタンク3空?)および/またはサブタンク2が副生成物により満タンとなったか否か(サブタンク2満タン?)を判断し(S5)、Noの場合にはステップ4に戻り、燃料の供給を続ける。一方、ステップ5でYesの場合、サブタンク2の副生成物回収用バルブVI2およびサブタンク3の燃料供給バルブVO3を閉じ、副生成物をサブタンク3へ回収するためにサブタンク3の副生成物回収用バルブVI3を開くと同時に液体燃料のメインタンクへの供給を開始するためにサブタンク4の燃料供給バルブVO4を開き、そしてサブタンク2の副生成物回収用バルブVI2およびサブタンク3の燃料供給バルブVO3の開閉履歴をチェックしてECUに記憶させる(S6)。なお、この間、液体燃料メインタンクから反応系への液体燃料の供給は続行されている。すなわち、水素が発生している状態である。
【0076】
そしてサブタンク4の燃料が空となったか否か(サブタンク4空?)および/またはサブタンク3が副生成物により満タンとなったか否か(サブタンク3満タン?)を判断し(S7)、Noの場合には、ステップ6を繰返し、Yesの場合、すなわちサブタンク4の燃料が空となったかあるいはサブタンク3が副生成物により満タンとなった場合、液体燃料補給シグナル並びに現在のバルブの開閉状態およびバルブの回収履歴をECUに送る(S8)。
この時のバルブの開閉状態およびバルブの回収履歴を表7に示す。
【0077】
【表7】
【0078】
なお、その後も、液体燃料メインタンクに液体燃料があるので、水素の発生は続行可能である。
【0079】
最初に、図6を用いて、一旦本発明の水素供給システムを停止した後、再び運転する場合について説明する。なお、図5で説明した内容と同一の内容の説明は省略するものとする。
なお、以下の説明において、図5に示す液体燃料の供給/副生成物の回収フローにおいて、S4状態で停止した状態から水素供給システムを再び運転することを想定している。この時のバルブの開閉状態およびバルブの開閉履歴は、表6に示す通りである。
【0080】
まず、ECUは、前回停止した際のバルブの開閉状態をチェックし、表6に示す通りにバルブを開閉するのと同時に液体燃料メインタンクから反応系へ液体燃料を供給し水素発生反応を開始する(S1’)。すなわち、サブタンク2の副生成物回収用バルブVI2を開き、サブタンク3液体燃料供給用バルブVO3を開き、そして水素発生反応により水素を供給する。以下、図6におけるS5以下のステップを繰り返す。このようにして、停止状態のバルブの開閉状態および開閉履歴により前回停止した状態(S4)を復元することが可能となる。
【0081】
以上、連続式の液体燃料の供給/副生成物の回収フローについて説明したが、回分式でも同様な操作を行うことが可能である。すなわち、回分式の場合には、液体燃料供給用バルブの開閉および液体燃料メインタンクのバルブの開閉を適宜設定することによって同様な動作を行うことが可能である。
【0082】
次に、図7および図8に基づいて、本発明の水素供給システムへ液体燃料を充填する動作(方法)を説明する。なお、本発明における液体燃料の充填は、図示しないサービスステーションなどにおいて行うものとする。 まず、図7に基づいて、本発明の水素供給システムにおいてサブタンクの燃料が全て供給した後に液体燃料を充填する場合を説明する。
図7に示す実施の形態において、サブタンク1〜4およびこれらのバルブの開閉状態は、表7に示す通りである。
【0083】
サービスステーションにおいて、まず、液体燃料を充填する際に、ECUに記憶してあったバルブの開閉状態を参照して、各サブタンクの副生成物の回収状態および液体燃料の残存状態を調査する(S11)。すなわち、表7に示す通り、ECUは、サブタンク1〜3は、副生成物で満たされおり(副生成物満タン)、そしてサブタンク4は空であるか副生成物の回収中で満たされていることを認識する(図5および6の開閉状態の記憶2を参照)。
【0084】
次いで、副生成物で満たされているサブタンク1〜4の副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4を開く(S12)。
次に、サブタンク1〜4から副生成物を取り出し(S13)、そしてサブタンク1〜4に副生成物が残存するか否かを判断する(副生成物残存?)(S14)。副生成物の残存の判断は、例えば各タンクに設けられた重量センサ等により行うことができる。
【0085】
ステップS14において副生成物がなおも残存する場合(Yes)、S13に戻り再び副生成物の取り出しを行う。
ステップS14において副生成物が残存しない場合(No)、副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4を閉じ、全ての副生成物回収用のバルブを閉状態とする(S15)。
【0086】
所望に応じてS16〜S21の共洗工程を行う
次いで、液体燃料供給用のバルブVO1、VO2、VO3、VO4を開き、少量の液体燃料により共洗する(S16)。そして、液体燃料供給用のバルブVO1、VO2、VO3、VO4を再び閉じ(S17)、副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4を再び開いて(S18)、共洗液を取り出す(S19)。引き続いて、サブタンク1〜3に共洗液が残存するか否かを判断する(共洗液残存?)(S20)。共洗液が残存する場合(Yes)、ステップ19に戻り、再び共洗液を取り出す。
【0087】
共洗液が残存しない場合(No)、副生成物回収用のバルブVI1、VI2、VI3、VI4を再び閉じて、全ての副生成物回収用のバルブを閉状態とし(S21)、そして引き続いての液体燃料充填ステップに移行する。
【0088】
なお、このように共洗を行うことによって、副生成物で満たされていたサブタンクから副生成物を取り出す際に、サブタンクの壁面に残存していた副生成物を洗い出すことが可能であり、より純粋な液体燃料を充填することが可能となる。また、反応器に液体燃料を供給した際に、水素反応の効率が向上する。なお、共洗液は、100%純度の液体燃料であってもあるいはある程度の副生成物(例えば、10%濃度程度)を含有する液体燃料であってもよい。回収した副生成物および共洗液は、その後、副生成物と残留する液体燃料とに分離され、液体燃料はそのままリサイクルに供され、一方副生成物は一般に他の用途の原料として使用される。
【0089】
ここで、本発明による液体燃料の充填において、サブタンクのうちのいずれか1つを空にして残りのタンクに液体燃料を充填することが重要であることを再び記載しておく。
すなわち、サブタンク1を空にして、残りのタンクに液体燃料を充填することが重要である。なお、サブタンク1〜4については、各々のタンクに固定の番号が付与されていてもあるいはECUにおいて適宜割り振られる動的番号であってもよい。本明細書において、サブタンク1は、充填終了状態で空の状態とするタンクであることを意味する。
【0090】
液体燃料を充填するに当たって、液体燃料を充填すべきサブタンク2〜4の液体燃料供給用のバルブVO2、VO3、VO4を開き、そしてサブタンク1の液体燃料供給用のバルブVO1をそのまま閉状態とする(S22)。
次に、液体燃料メインタンク中の液体燃料が所定量以上であるか否かを判断する(メインタンク残量判断)(S23)。液体燃料メインタンク中の液体燃料が所定量以上である場合、メインタンクのバルブVmを閉じる(S24:メインタンクには液体燃料を充填せず)。一方、液体燃料メインタンク中の液体燃料が所定量未満である場合、メインタンクのバルブVmを開く(S24’:メインタンクには液体燃料を充填)。
なお、メインタンクにおける液体燃料の残量の所定値は、メインタンクの容量、液体燃料を充填する各サブタンクの容量および総量、サブタンクからメインタンクへの供給方法および反応後に発生する副生成物の量等を加味して適宜決定されるものであり、本発明の水素供給システムの運転に支障がなければ特に限定されるものではない。
【0091】
続いて、サービスステーションより液体燃料の充填を開始し(S25)、充填すべきタンクが満タンとなったか否か(メインタンクの場合には所定量充填されたか否か)を判断する(S26)。S26においてNoである場合には、S25へ戻り再び充填を続ける。 S26でYesの場合、すなわち充填すべき全てのタンク(サブタンク1を除く全てのタンク)に所定量の液体燃料が充填された場合、表5に示すバルブの開閉状態およびバルブ開閉履歴をECUへ記憶し(開閉状態の記憶3)、充填完了信号をECUに送る(S27)。
このように開閉状態およびバルブ開閉履歴を記憶することにより、充填完了後、本発明の水素供給システムを運転する際に、図5に示したフローに従って、運転を行うことが可能となる。
【0092】
次に、図8に基づいて、サブタンク内に液体燃料がまだ残っている際に、液体燃料を充填する場合を説明する。なお、この実施の形態は、例えば表6に示す状態(図5の開閉状態の記憶1)の状態で液体燃料の補給する場合を例にとって説明する。
図7に示す実施の形態と同様にして、サービスステーションンにおいて、まず、液体燃料を充填する際に、ECUに記憶してあったバルブの開閉状態を参照して、各サブタンクの副生成物の回収状態および液体燃料の残存状態を調査する(S31)。
【0093】
この場合、サブタンク1およびサブタンク2には副生成物が回収されているので、まずサブタンク1およびサブタンク2から副生成物を取り出す必要がある。従って、副生成物が回収されているサブタンク1および2の副生成物回収用のバルブVI1、VI2を開く(S32)。
【0094】
次に、サブタンク1および2から副生成物を取り出す(S33)、そしてサブタンク1および2に副生成物が残存するか否かを判断する(副生成物残存?)(S34)。
ステップS34において副生成物がなおも残存する場合(Yes)、S13に戻り再び副生成物の取り出しを行う。
ステップS34において副生成物が残存しない場合(No)、副生成物回収用のバルブVI1、VI2を閉じ、全ての副生成物回収用のバルブを閉状態とする(S35)。
所望に応じて、図7に示す実施の形態と同様にして共洗工程を行う。なおこの際に、共洗を行う対象となるタンクはサブタンク1およびサブタンク2であることに注意すべきである。
【0095】
次に、液体燃料を充填工程に移行する。
表6に示す通り、サブタンク3は液体燃料を供給中であり、そしてサブタンク4は液体燃料が満タンの状態である。なお、メインタンクは、途中充填であので、液体燃料を補給しなくてもよいと考えられる。従って、本実施の形態では、サブタンク2およびサブタンク3に液体燃料を充填する必要がある。
【0096】
従って、液体燃料を充填すべきサブタンク2および3の液体燃料供給用のバルブVO2、VO3を開き、そしてサブタンク1および4の液体燃料供給用のバルブVO1、VO4をそのまま閉状態とする(S36)。続いて、サービスステーションより液体燃料の充填を開始し(S37)、充填すべきタンクが満タンとなったか否か(メインタンクの場合には所定量充填されたか否か)を判断する(S38)。S38においてNoである場合には、S37へ戻り再び充填を続ける。
【0097】
S38でYesの場合、すなわち充填すべき全てのタンク(サブタンク1を除く全てのタンク)に所定量の液体燃料が充填された場合、表5に示すバルブの開閉状態およびバルブ開閉履歴をECUへ記憶し(開閉状態の記憶3)、充填完了信号をECUに送る(S38)。
このように開閉状態およびバルブ開閉履歴を記憶することにより、充填完了後、本発明の水素供給システムを運転する際に、図5に示したフローに従って、運転を行うことが可能となる。
なお、図5〜図8に示す実施の形態においてはタンクの状態をバルブの開閉およびその履歴によりモニタしたが、例えばレベル計、バルブの開閉回数を示すバッチカウンタ等により行うことも可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は次の優れた効果を奏する。
請求項1および請求項2によると、副生成物貯蔵用容器の一部が燃料供給補助容器として使用することが可能であるので、限られたスペースで最大限の燃料を充填することが可能となる。さらに、複数の副生成物貯蔵用容器(燃料供給補助容器)の配置を、限られたスペース内に区分して配置することが可能となるので水素供給システムのレイアウトの自由度が増加する。
【0099】
請求項1および請求項2によると、本発明の水素供給システムを設計する際の自由度がさらに増加することになる。すなわち、限られたスペース内で副生成物貯蔵用容器および/または燃料供給補助容器を離間配置することが可能となる。
【0100】
請求項3によると、本発明の水素供給システムは、液体燃料の供給および副生成物の回収を所望に応じて連続的または回分式で行うことが可能であるので、設計の自由度が増加する。
請求項4によると、限られたスペースに最大限の燃料である液体燃料を搭載することが可能であるので、水素を燃料とする車両、例えばハイブリッド車両や燃料電池搭載車両の水素供給システムとして非常に好適に適用することが可能となる。
【0101】
請求項5によると、副生成物貯蔵用容器の一部が燃料供給補助容器として使用することが可能であるので、限られたスペースで最大限の燃料を充填することが可能となる。さらに、複数の副生成物貯蔵用容器(燃料供給補助容器)の配置を、限られたスペース内に区分して配置することが可能となるので水素供給システムのレイアウトの自由度が増加する。
請求項6によると、本発明の水素供給システムにおいて、1つの容器を除いた全て残りの容器に液体燃料を充填する操作が確実かつ容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素供給システムの概略を示す模式図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムのある状態を示す図面であり、図2(b)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムの別の状態を示す図面であり、そして図2(c)は、本発明の第一実施形態に係る水素供給システムのさらに別の状態を示す図面である。
【図3】図3は、本発明の第二実施形態に係る水素供給システムの要部を示す図面である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る水素供給システムの概略を示す図面である。
【図5】本発明の水素供給システムにおいて液体燃料の充填直後における液体燃料の供給/副生成物の回収フローを示すフローチャートである。
【図6】本発明の水素供給システムを途中で終了した後、再び運転した場合の液体燃料の供給/副生成物の回収フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の水素供給システムにおいてサブタンクの燃料が全て供給した後に液体燃料を充填するためのフローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の水素供給システムにおいてサブタンクの一部に液体燃料が残存している場合に液体燃料を充填(補充)するためのフローを示すフローチャートである。
【図9】従来の水素供給システムの概略を示す模式図である。
【符号の説明】
1 反応系
10 液体燃料供給メインタンク(燃料供給用容器)
10’ 液体燃料供給補助タンク(燃料供給補助容器)
11 反応器
12 液体燃料分離装置
13 水素分離装置
15 冷却器
2 水素消費系
3 回収系
31 副生成物回収タンク(副生成物貯蔵用容器)
50a、50b、50c、50d、50e サブタンク
Claims (6)
- 液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、
前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、
前記反応器に接続され、未反応の液体燃料と、副生成物とを分離する液体燃料分離装置、
前記液体燃料分離装置と接続され、水素を回収するための水素分離装置、
前記水素分離装置により回収された水素を消費する水素消費器、および
前記液体燃料分離装置と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、
前記水素分離装置により水素と分離された未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻すように構成し、
前記副生成物貯蔵用容器が、2以上のサブタンクから構成され、かつ、前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねなおかつそのうちの少なくとも1つが該水素供給システムの始動時において副生成物貯蔵用容器として機能することを特徴とする水素供給システム。 - 液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、
前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、
前記反応器に接続され、水素を回収するための水素分離装置、
前記水素分離装置により回収された水素を消費する水素消費器、および
前記水素分離装置と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、
前記水素分離装置と前記副生成物貯蔵用容器との間に設けられ、未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に回収する分配弁と、
前記水素分離装置と前記分配弁との間に設けられ、前記未反応の液体燃料の濃度を検知する濃度センサと、を備え、
前記濃度センサにより検知された前記未反応の液体燃料の濃度が所定濃度以上の場合、前記未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻すように構成し、
前記副生成物貯蔵用容器が、2以上のサブタンクから構成され、かつ、前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねなおかつそのうちの少なくとも1つが該水素供給システムの始動時において副生成物貯蔵用容器として機能することを特徴とする水素供給システム。 - 前記燃料供給補助容器から前記燃料供給用容器への液体燃料の供給を、前記燃料供給用容器から前記反応器への液体燃料の供給量に応じて、連続的または回分式に行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素供給システム。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水素供給システムを搭載した車両。
- 液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記反応器と接続され、水素を回収するための水素分離装置、前記水素分離装置により回収された水素を消費するための水素消費器、および前記反応器と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムにおける水素供給方法であって、
(a)前記燃料供給用容器から液体燃料を反応器へ供給して水素発生反応を行う段階、
(b)水素発生反応により生成した水素を水素導出管から水素消費器へ導出しつつ、反応により発生した副生成物を、第一の副生成物貯蔵用容器に回収する段階、
(c)段階(a)で供給した液体燃料の供給量に応じて第一の燃料供給補助容器から燃料供給用容器へ液体燃料を供給する段階、
(d)前記第一の燃料供給補助容器が空になった際に、この第一の燃料供給補助容器を第二の副生成物貯蔵用容器として使用する段階、
(e)第二またはそれ以降の燃料供給補助容器が空になった際に、この第二またはそれ以降の燃料供給補助容器を第三またはそれ以降の副生成物貯蔵用容器として使用する段階、
(f)前記水素分離装置により水素と分離された未反応の液体燃料を前記燃料供給用容器に戻す段階、を含むことを特徴とする水素供給方法。 - 液体燃料を反応させて水素を得るための反応器、前記反応器と配管により接続された燃料供給用容器、前記液体燃料の反応により生成した水素を消費するための水素消費器、および前記反応器と接続され、前記液体燃料の反応により生成した副生成物を貯蔵するための副生成物貯蔵用容器を備えた水素供給システムであって、前記副生成物貯蔵用容器が2以上のサブタンクから構成されかつ少なくとも1つの前記副生成物貯蔵用容器が燃料供給補助容器を兼ねた水素供給システムにおける液体燃料の充填方法であって、
(I) 各容器の液体燃料および回収された副生成物の充填状態を調査する段階、
(II) 副生成物が回収された容器から副生成物を取り出す段階、および
(III) 全容器のうち少なくとも1個の容器を除いて液体燃料を充填する段階
を含むことを特徴とする水素供給システムにおける液体燃料の充填方法。
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