JP4184873B2 - 車両用自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は車両用自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧によってクラッチやブレーキなどの構成要素が操作される車両用自動変速機は一般に、その操作用油圧を内燃機関と連動して作動するオイルポンプによって発生させている。そのため、発生する油圧は、内燃機関の運転状態によって変動する。さらに、電子制御式の自動変速機では、PWM駆動された電磁ソレノイドにより制御油圧を調圧するため、その振動が制御油圧に脈動を与える。この制御油圧の脈動や急激な油圧の変化を緩和し、操作対象(油圧ピストンなど)の動きを滑らかにするため、一般にアキュムレータが用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平06−207602号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このアキュムレータは、その特性から有効範囲が制御範囲より狭い領域で作動するように設計(選択)されるため、油圧が高くなるにつれて飽和する領域が増える。また、アキュムレータが作動する(比較的油圧が低い)領域では、脈動が除去される代わり、応答がやや低下する。即ち、アキュムレータの飽和の有無は静的(定常特性)には問題とならないが、油圧の過渡応答(応答性)など動的な性能(動特性)においては大きな影響を与える。
【0005】
油圧制御においてはアキュムレータの飽和の有無に関わらず、安定した制御性が得られることが望ましいが、上記した特許文献1を含む、従来の車両用自動変速機の油圧制御においては、アキュムレータの飽和の有無(制御対象の動作点)による動特性の変化は考慮されていなかった。そのため、動作点によって制御対象の応答性が変化し、変速ショックが発生するなどドライバビリティの低下の一因となると共に、開発段階において制御特性のセッティング工数の増大を招くという問題があった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した不具合を解消し、アキュムレータの飽和の有無による動特性の変化に関わらず、油圧制御範囲の全域で良好な目標値追従性を示すと共に、安定性においても優れた車両用自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両に搭載される自動変速機の油圧制御装置において、前記自動変速機の油圧アクチュエータに供給される作動油を調圧して出力する調圧バルブと、前記調圧バルブと前記油圧アクチュエータの間の油路に配置されるアキュムレータとを備えると共に、前記アキュムレータが飽和したときと飽和していないときの動特性をそれぞれ記述するモデルに対して設計された複数の補償器と、前記アキュムレータの作動状態に応じて前記複数の補償器の少なくともいずれかを使用して前記調圧バルブの出力を制御する油圧制御手段とを備える如く構成した。
【0008】
油圧アクチュエータに供給される作動油を調圧して出力する調圧バルブと油圧アクチュエータの間の油路に配置されるアキュムレータが飽和したときと飽和していないときの動特性をそれぞれ記述するモデルに対して設計された複数の補償器を備え、アキュムレータの作動状態、例えば油路の油圧に応じてそれらの少なくともいずれかを使用して調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、アキュムレータの飽和の有無による動特性の変化に関わらず、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が良好であると、優れた安定性を得ることができ、それによって変速ショックを低減できるなどドライバビリティを向上させることができる。また、同等の商品性を得るまでの開発段階における実車での制御面のセッティング工数を節減することができる。さらに、加重平均値を算出することで、補償器の切り換えを滑らかに行なうことができる。
【0009】
請求項2項にあっては、前記調圧バルブは電磁ソレノイドによってスプールが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて決定される重みを用いて前記複数の補償器の出力の加重平均値を求め、前記求めた加重平均値を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで前記調圧バルブの出力を制御する如く構成した。
【0010】
検出される油圧に応じて決定される重みを用いて複数の補償器の出力の加重平均値を求め、求めた加重平均値を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、補償器の切り換えを一層滑らかに行なうことができ、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が一層良好であると、一層優れた安定性を得ることができる。
【0011】
請求項3項にあっては、前記調圧バルブは電磁ソレノイドによってスプールが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて前記複数の補償器のいずれかを選択し、前記選択した補償器の出力を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで前記調圧バルブの出力を制御する如く構成した。
【0012】
検出される油圧に応じて複数の補償器のいずれかを選択し、選択した補償器の出力を用いて電磁ソレノイドへの通電量を決定することで調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、補償器の切り換えの滑らかさは若干低下するが、前記したと同様の効果を得ることができると共に、補償器の演算量を低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る車両用自動変速機の油圧制御装置について説明する。
【0014】
図1はその車両用自動変速機の油圧制御装置を全体的に示す概略図である。図示の形態の場合、車両用自動変速機としてベルト式の無段変速機(CVT)を備える。
【0015】
図において、符号10は内燃機関(以下「エンジン」という)を示す。エンジン10は吸気管12およびその途中の配置されたスロットルバルブ14を備える。エンジン10の出力軸(クランク軸)20は、ベルト式無段変速機(CVT。以下「トランスミッション」という)24に接続される。
【0016】
より詳しくは、エンジン10の出力軸20は、デュアルマスフライホイール26を介してトランスミッション24の入力軸28に接続される。エンジン10およびトランスミッション24は、車両(図示せず)に搭載される。
【0017】
トランスミッション24は、入力軸28とカウンタ軸30との間に配設された金属Vベルト機構32と、入力軸28とドライブ側可動プーリ34との間に配設された遊星歯車式前後進切換機構36と、カウンタ軸30とディファレンシャル機構40との間に配設された発進クラッチ(油圧アクチュエータ)42とから構成される。ディファレンシャル機構40に伝達された動力は、ドライブ軸(図示せず)を介して左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
【0018】
金属Vベルト機構32は、前記したドライブ側可動プーリ34と、カウンタ軸30上に配設されたドリブン側可動プーリ46と、両プーリ間に巻掛けられた金属Vベルト48とからなる。ドライブ側可動プーリ34は、入力軸28上に配置された固定プーリ半体50と、この固定プーリ半体50に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体52とからなる。
【0019】
可動プーリ半体52の側方には、固定プーリ半体に結合されたシリンダ壁50aにより囲まれてドライブ側シリンダ室54が形成されており、ドライブ側シリンダ室54内に油路54aを介して供給される油圧により可動プーリ半体52を軸方向に移動させる側圧が発生する。
【0020】
ドリブン側可動プーリ46は、カウンタ軸30に配置された固定プーリ半体56と、この固定プーリ半体56に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体58とからなる。可動プーリ半体58の側方には固定プーリ半体56に結合されたシリンダ壁56aにより囲まれてドリブン側シリンダ室60が形成され、ドリブン側シリンダ室60内に油路60aを介して供給される油圧により可動プーリ半体58を軸方向に移動させる側圧が発生する。
【0021】
上記ドライブ側シリンダ室54およびドリブン側シリンダ室60に供給するプーリ制御油圧を決定するレギュレータバルブ群64と、各シリンダ室54,60へのプーリ制御油圧を供給する変速制御バルブ群66とが設けられ、それらによってVベルト48の滑りが発生することがない適切なプーリ側圧が設定されると共に、両プーリ34,46のプーリ幅を変化させ、Vベルト48の巻掛け半径を変化させて変速比を無段階に変化させる。
【0022】
遊星歯車式前後進切換機構36は、入力軸に結合されたサンギヤ68と、固定プーリ半体50に結合されたキャリア70と、後進用ブレーキ72により固定保持可能なリングギヤ74と、サンギヤ68とキャリア70とを連結可能な前進用クラッチ76とからなる。
【0023】
前進用クラッチ76が係合されると、全ギヤが入力軸28と一体に回転し、ドライブ側プーリ34は入力軸28と同方向(前進方向)に駆動される。後進用ブレーキ72が係合されると、リングギヤ74が固定保持されるためキャリア70はサンギヤ68とは逆方向に駆動され、ドライブ側プーリ34は入力軸28とは逆方向(後進方向)に駆動される。また、前進用クラッチ76及び後進用ブレーキ72が共に解放されると、この前後進切換機構36を介しての動力伝達が断たれ、エンジン10とドライブ側駆動プーリ34との間の動力伝達が行われなくなる。
【0024】
発進クラッチ42はカウンタ軸30とディファレンシャル機構40との間の動力伝達をオン(係合)・オフ(解放)するクラッチであり、これがオン(係合)すると、金属Vベルト機構32により変速されたエンジン出力が、ギヤ78,80,82,84を介してディファレンシャル機構40により左右の車輪(図示せず)に分割されて伝達される。発進クラッチ42がオフ(解放)のとき、トランスミッション24は中立状態となる。
【0025】
発進クラッチ42の作動制御は発進クラッチ用のバルブ群88(後述)により行われると共に、前後進切換機構36の後進用ブレーキ72と前進用クラッチ76の作動制御は、図示しないマニュアルシフトレバーの操作に応じてマニュアルシフトバルブ90により行われる。
【0026】
これらバルブ群の制御は、マイクロコンピュータよりなるトランスミッション制御部100からの制御信号に基づいて行われる。
【0027】
ここで、エンジン10のカム軸(図示せず)付近などの適宜位置にはクランク角センサ102が設けられ、クランク角度(それをカウントしてエンジン回転数NEが算出される)に比例した信号を出力する。また、吸気管12においてスロットルバルブ14の下流の適宜位置には絶対圧センサ104が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAに比例した信号Pを出力する。
【0028】
また、シリンダブロック(図示せず)の適宜位置には水温センサ106が設けられ、機関冷却水温TWに比例した信号を出力する。また、スロットルバルブ14の付近にはスロットル開度センサ108が設けられ、スロットル開度θTHに比例した信号を出力する。
【0029】
トランスミッション24において、入力軸28の付近には回転数センサ114が設けられ、入力軸28の回転数NDRに比例した信号を出力すると共に、ドリブン側可動プーリ46の付近には回転数センサ116が設けられ、ドリブン側可動プーリ46の回転数、即ち、発進クラッチ42の入力軸(カウンタ軸30)の回転数NDNに比例した信号を出力する。また、ギヤ78の付近には回転数センサ118が設けられ、ギヤ78の回転数、即ち、発進クラッチ42の出力軸の回転数NOUTに比例した信号を出力する。
【0030】
更に、ディファレンシャル機構40に連結されたドライブ軸(図示せず)の付近には車速センサ122が設けられ、車速Vに比例した信号を出力する。また、運転席床面のシフトレバー(図示せず)の付近にはシフトレバーポジションスイッチ124が設けられ、運転者によって選択されたレンジ位置(D,N,P,..など)に比例した信号を出力する。
【0031】
前記した如く、この装置は、トランスミッション制御部100を備えると共に、同様にマイクロコンピュータよりなり、エンジン10の燃料噴射などを制御するエンジン制御部126を備える。前記したセンサ群のうち、クランク角センサ102、絶対圧センサ104、スロットル開度センサ108および回転数センサ114,116、118ならびに車速センサ122の出力は、トランスミッション制御部に共に入力される。また、クランク角センサ102、絶対圧センサ104、水温センサ106、スロットル開度センサ108の出力は、エンジン制御部126に入力される。
【0032】
トランスミッション制御部100は、目標変速比、即ち、前記した入力回転数NDRの目標値を決定し、決定した目標NDRとなるように、可動プーリ34,46を駆動し、変速比を制御する。ここで、目標NDRはトランスミッション24のドライブ側可動プーリ34の目標回転数であり、車速Vに対して目標NDRを定義することで変速比(レシオ)が一義的に決定され、制御される。
【0033】
前記した発進クラッチ用のバルブ群88およびそれらと発進クラッチ42の間の油路に配置されるアキュムレータなどの油圧構成要素を説明する。
【0034】
図2はそれら油圧構成要素の詳細を示す油圧回路図である。
【0035】
図示の如く、タンク(リザーバ)130から、エンジン10によって回転させられるオイルポンプ132で汲み上げられた作動油(ATF。オイル)は、PH制御バルブおよびPH調圧バルブ(共に図示せず)によって所定の高圧PHに調圧された後、クラッチ減圧バルブ(図示せず)に供給され、そこでPHより低圧のクラッチ圧(CR)に減圧される。減圧された作動油は、発進クラッチ制御バルブ134に供給される。尚、同図でxはドレンを示す。
【0036】
発進クラッチ制御バルブ134は、リニアソレノイド(電磁ソレノイド)134aを備えた電磁ソレノイドバルブとして構成され、バルブボディ内には変位自在なスプール134bが配置される。トランスミッション制御部によって後述のように通電指令値ICMDが決定されて図示しない駆動回路を介して出力(PWM駆動)されると、リニアソレノイド134aは車載バッテリ(図示せず)から通電されて励磁され、そのプランジャ134a1が同図で左方向に突出してスプール134bを押圧してバルブボティ内で変位させる。
【0037】
発進クラッチ制御バルブ134の出力ポート134dは油路136に接続される。油路136は中途で分岐してフィードバックポート134eを介して発進クラッチ制御バルブ134に帰還させられると共に、他方ではシフトインヒビタバルブ140を介して発進クラッチ42に接続されて制御油圧(クラッチ圧)PSCを供給する。
【0038】
発進クラッチ42は制御油圧PSCでそのピストン42aが移動自在に構成され、ピストン42aが押圧されてクラッチ42bを係合すると、変速されたエンジン出力がディファレンシャル機構40を介して左右の車輪に伝達される一方、ピストン42aが後退してクラッチ42bを開放すると、この動力伝達が中断される。
【0039】
発進クラッチ制御バルブ134と発進クラッチ42の間の油路136には、アキュムレータ142が配置(接続)される。リニアソレノイド134aは励磁されるときPWM駆動されるため、スプール134bが振動し、出力される制御油圧が脈動することから、アキュムレータ142はその脈動を除去する意図で設置される。
【0040】
アキュムレータ142は、図示の如く、スプール(ピストン)142aと、スプール142aを閉じ方向(不飽和方向)に付勢するスプリング142bとからなる。アキュムレータ142は油路136から供給される制御油圧の上昇につれてスプール142aがスプリング142bのバネ力に抗して後退し、その容積が変化する。スプール142aが壁面に突き当たった時点で、アキュムレータ142の容積は最大となる(飽和する)。
【0041】
油路136においてアキュムレータ142の付近には油圧センサ144が配置され、油路136の油圧(制御油圧)に応じた出力を生じる。油圧センサ144の出力は、トランスミッション制御部100に送出される。尚、油圧センサ144に代え、演算で油路136の油圧を推定しても良い。
【0042】
次いで、図3を参照してこの実施の形態に係る車両用自動変速機の油圧制御装置の動作、より具体的にはトランスミッション制御部100の動作を説明する。尚、図示のプログラムは、例えば、10[msec]ごとに実行される。
【0043】
先ずS10において目標油圧PCCMDを算出する。目標油圧PCCMDは、車速V、エンジン回転数NEなどの車両情報に基づいて適宜最適な値に算出(決定)する。次いでS12に進み、油圧センサ144の出力から油路136の実油圧(制御油圧)PSCを検出する。この制御油圧PSCの検出は具体的には、センサ検出値にフィルタ処理を行うことで行う。
【0044】
次いでS14に進み、検出された制御油圧PSCに応じて切り換え係数(重み)αを算出する。これは具体的には、図4に示す特性を検出された制御油圧(実油圧)PSCで検索することで算出する。
【0045】
次いでS16に進み、非飽和領域操作量ICMD1を算出する。
【0046】
図5は図3フロー・チャートの処理を説明するブロック図であるが、図示の如く、非飽和領域コントローラ(アキュムレータ142が非飽和領域にあるときの動特性を記述する線形モデル(後述)に対して設計された第1のコントローラ(補償器))K1(s)を用い、発進クラッチ制御バルブ134のリニアソレノイド134aに対する通電量(操作量)ICMD1を算出する。
【0047】
図3フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS18に進み、飽和領域操作量ICMD2を算出する。即ち、飽和領域コントローラ(アキュムレータ142が飽和領域にあるときの動特性を記述する線形モデル(同様に後述)に対して設計された第2のコントローラ(補償器))K2(s)を用い、同様には発進クラッチ制御バルブ134のリニアソレノイド134aに対する通電量(操作量)ICMD2を算出する。
【0048】
次いでS20に進み、先に算出した切り換え係数(重み)αを用いて算出した通電量ICMD1,2の加重平均を求め、求めた値を最終操作量ICMDと決定(算出)する。尚、図示は省略するが、同時に、図示しない駆動回路を介して発進クラッチ制御バルブ134のリニアソレノイド134aに出力する。
【0049】
このように、目標油圧PCCMDと検出された油圧PSCの偏差が減少するように操作量(制御入力)ICMD(後述するISCに等価)を算出する複数(より正確には第1、第2からなる2個の)補償器(コントローラ)K1(s),K2(s)を備えると共に、エンジン回転数NE、検出された油圧PSCに応じて決定される重み(切り換え係数)αを用いてこれら複数の補償器の出力の加重平均値を求め、求めた加重平均値を用いてリニアソレノイド134aへの通電量を制御する。
【0050】
ここで、上記した第1、第2からなる2個の補償器(コントローラ)K1(s),K2(s)の設計の前提となる、前記した2つの線形モデルについて説明する。
【0051】
発進クラッチ42の制御対象は、上記したように発進クラッチ制御バルブ134のリニアソレノイド134aを中心とするリニアソレノイド部と、アキュムレータ142を中心とするアキュムレータ部に大別されるが、この実施の形態においては、それらの物理的特性に基づき、それらの動特性を記述する数式モデルを導出するようにした。
【0052】
リニアソレノイド部の概略図を改めて図6に示す。また、そのモデル化で用いた諸定数の説明を図7に示す。
【0053】
リニアソレノイド部では、電流ISCと推力FSCの特性を数1に示すように1次遅れ系で近似することが多く、また定常特性は図8に示すようにほぼ比例関係にある。
【0054】
【数1】
【0055】
より厳密なモデルを得るため、定常特性については図8の特性を3次多項式で近似した数2に示す式を用いる。尚、数1で、TIFは時定数であり、一般に20[msec]程度である。
【0056】
【数2】
【0057】
スプール134bに対する力の釣り合いから、推力FSCとスプール変位xSCについて数3に示す関係が成り立つ。数3で、xSCの可動範囲は0≦xSC≦xSCmaxである。また、DSCは粘性摩擦係数であり、油温によって変化する。
【0058】
【数3】
【0059】
リニアソレノイド部の開口部における流量QSCは、数4に示す式で表わされる。
【0060】
【数4】
【0061】
上式で、Cは流量係数であり、油温によって変化する。また、開口面積ASCは、図9に示すようにxSCに依存し、数5に示す式で与えられる。
【0062】
【数5】
【0063】
スプール134bのフィードバックポート134eに流れる流量Qfと油圧Pfの関係は、オリフィスの特性により数6と数7に示す式で表わされる。ただし、2つのオリフィスは1つのオリフィスdoと等価であるとした。尚、数7においてKは体積弾性係数であり、油温や油中の空気混入率によって変化する。
【0064】
【数6】
【0065】
【数7】
【0066】
アキュムレータ部の概略図を改めて図10に示す。また、モデル化で用いた諸定数の説明を図11に示す。
【0067】
アキュムレータ部による容積変化を考慮すると、発進クラッチ42に供給される制御油圧(クラッチ圧PSC)について数8の関係が成り立つ。
【0068】
【数8】
【0069】
アキュムレータ部のスプール142aに対する力の釣り合いから、PSCとスプール変位xACについて数9に示す式が成り立つ。
【0070】
【数9】
【0071】
上式で、xACの可動範囲は0≦xAC≦xACmaxである。また、DACは粘性摩擦係数であり、油温によって変化する。
【0072】
流量QSCの計算式として数4、数5に示す式を用いた場合のシミュレーション結果の例を図12および図13に示す。図12におけるPSCの波形は基本的には2次系に近い応答となっているが、ブロックで囲まれた部分において傾きが非常に緩やかになっている。そこで、そのときのxACの値を調べると、スプール134bが0.8から1.2[mm]の範囲で動作しており、ちょうどQSCが0となる場合に対応している。
【0073】
ところで、PSCは数8で与えられるため、QSCが0のときPSCの変化は小さくなり、それが図12においてブロックで囲まれた部分として現れていると考えられる。
【0074】
図14は、リニアソレノイド部にステップ入力(通電量ICMD)を与えた場合の制御油圧(クラッチ油圧)PSCの応答を示す実験結果であるが、図14に示す実験応答ではそのような部分は現れていない。そこで、これまで無視していた漏れ流量を考慮することで、その問題の解決を図る。ただし、厳密に漏れ流量を考慮すると、系が非常に複雑になるので、ここでは簡単のため、図15に示すように疑似的に漏れ流量を考慮する方法を提案する。
【0075】
先ず、補間範囲を決めるパラメータとしてΔx1、Δx2を選ぶ。次に、一般的なQSCの計算式(数4)を用いてxSC=xd−Δx1,x0+Δx2のそれぞれにおける流量を計算し、それらの値をQSC1, QSC2とする。そして、xd−Δx1からx0+Δx2までの流量特性を(xd−Δx1, QSC1)と(x0+Δx2, QSC2)を結ぶ直線を与えることにする(図15における破線部分)。これから、補間範囲の流量計算式は、数10に示すようになる。
【0076】
【数10】
【0077】
数10で、ΔQSC=QSC2−QSC1, ΔxSC=(xo+Δx2)−(xd−Δx1)であり、それぞれ数11のように求められる。尚、シミュレータではΔx1, Δx2の値は、0.04[mm]と設定する。また、補間範囲外においては一般的な数4に示す式を用いて計算する。
【0078】
【数11】
【0079】
以上の方法によって漏れ流量を考慮した場合のシミュレーション結果の例を図16に示す。図16の結果から、漏れ流量を考慮した方が、より実験結果(図14)に近い応答が得られると考えられる。
【0080】
数3の式で示されるFSC−xSC特性においては流体力を無視していたが、より厳密なモデルを得るためには流体力も考慮することが望ましい。流体力は流速の二乗に比例する量であり、数12に示す式で与えられる。
【0081】
【数12】
【0082】
ただし、φ=48[deg]とする。また、xd−Δx1<xSC<x0+Δx2の範囲については、xSC−QSC特性の場合と同様、数13に示すように補間を行なう。
【0083】
【数13】
【0084】
ここで、ΔFfld=Ffld2−Ffld1である。また、Ffld1, Ffld2はそれぞれxSC=xd−Δx1, x0+Δx2における流体力であり、数14のように求められる。
【0085】
【数14】
【0086】
流体力を考慮した場合、FSC−xSC特性は、数15で与えられる。
【0087】
【数15】
【0088】
次いで、各式の線形化について説明すると、ISC−FSC特性に関しては、図17に示す範囲では、ISCとFSCの関係は、線形とみなして問題ないと思われる。尚、この範囲は具体的には、0≦ISC≦1.2[A]である。そこで、数16に示す式のように最小二乗法により原点を含む直線で近似する。
【0089】
【数16】
【0090】
FSC−xSC特性に関しては、数15に示す式において、動作点からの微小変化分に着目して数17のようにおくと、定常値との間に数18で示す関係が成立している。数17を数15に代入して線形化を行い、数18を差し引くと、数19に示す式を得る。
【0091】
【数17】
【0092】
【数18】
【0093】
【数19】
【0094】
xSC−QSC特性に関しては、数4、数10について、動作点(xSC0, PSC0)のまわりで前記したのと同様の手順で線形化を行なうと、数20を得る。
【0095】
【数20】
【0096】
ただし、上式で、KSCx, KSCPについては下記の数21に示す式のように変位xSCに従って対応するものを選ぶものとする。
【0097】
【数21】
【0098】
Qf−Pf特性に関しては、先ず、数6について動作点(PSC0、Pf0)のまわりで線形化すると、数22を得る。ただし、式中のKfは、数23のように求められる。
【0099】
【数22】
【0100】
【数23】
【0101】
しかし、動作点をPSC0=Pf0と選んだ場合、Kfの分母が0となって問題が生じる。そこで、図18に示す如く、PSC0=Pf0の近傍においてはQfを線形式で補間し、Kfを数24のように求める。
【0102】
【数24】
【0103】
PSC0=Pf0の近傍ではKfに対して数24の式を適用し、それ以外の場合は数23の式を用いる。
【0104】
次に、数7の式について線形化を行なうと、数25を得る。ただし、同式においてVf=Vf0−AfxSC0である。
【0105】
【数25】
【0106】
QSC−PSC特性に関しては、数8の式について、動作点からの微小変化分に着目すると、数26を得る。ただし、数26で、VCL=VCL0+AACxAC0である。
【0107】
【数26】
【0108】
PSC−xAC特性に関しては、数9の式について、動作点からの微小変化分に着目すると、数27を得る。
【0109】
【数27】
【0110】
流体力Ff1dに関しては、数12と数13の式について、動作点からの微小変化分に着目して線形化を行なうと、数28を得る。ただし、数28で、Kf1dx, Kf1dpについては、数29のように変位xSCに従って対応するものを選ぶものとする。
【0111】
【数28】
【0112】
【数29】
【0113】
上記で得られた線形化式に基づいて線形モデルの状態空間表現を示す。状態をδx、入力をリニアソレノイド部への入力電流δISC、出力をδyとすると、線形モデルの状態空間表現を図19および数30のように示すことができる。
【0114】
【数30】
【0115】
ただし、アキュムレータ部のスプール変位xACは油圧PSCの上昇に伴って飽和し、動特性が大きく変化するので、線形モデルはxACが飽和する領域と飽和しない領域とに分けて導出する必要がある。
【0116】
xACが飽和しない領域においては、xACの動特性も考慮する必要があるので、状態δxとしてスプール変位xSC, xACとその速度xSC(ドット),xAC(ドット)、油圧PSC, Pfおよびリニアソレノイド部の推力FSCの微小変化量を選ぶ。従って、数31に示す如く、全体では7次の系となる。
【0117】
【数31】
【0118】
この場合、数30における行列(A,B,C)は、数32のように与えられる。尚、数32の行列A,Bの要素は数33で与えられる。
【0119】
【数32】
【0120】
【数33】
【0121】
他方、xACが飽和する領域においてはxACの動特性を考慮する必要がないので、状態δxとしてスプール変位xSCとその速度xSC(ドット)、油圧PSC, Pfおよびリニアソレノイド部の推力FSCの微小変化量を選ぶ。従って、全体では数34に示す如く、5次の系となる。
【0122】
【数34】
【0123】
この場合、数30における行列(A,B,C)は、数35のように与えられる。また、数35の行列A,Bの要素は数36で与えられる。
【0124】
【数35】
【0125】
【数36】
【0126】
上記の如くして求めた、アキュムレータ142が飽和しない領域における動特性を記述する線形モデルと飽和する領域における動特性を記述する線形モデルに対してそれぞれコントローラを設計すると共に、それらをコントローラK1(s)とコントローラK2(s)とする。この実施の形態の特徴はアキュムレータ142の動特性を2つの線形モデルで表現したことにあり、それに基づいて設計されるコントローラ自体にはないので、コントローラK1(s)あるいはK2(s)は、図5に関して述べたように目標油圧PCCMDと検出油圧PSCの偏差を解消できるものであれば、PID制御則を用いるものでも、H∞制御則を用いるものでも、あるいはその他の制御理論に基づくものであっても良い。
【0127】
これらのコントローラは、アキュムレータ142の動作点、即ち、制御油圧PSCによって持ち換えれば良い。この実施の形態においては図5を参照して図3フロー・チャートの処理で説明したように、検出された油圧PSCに応じて決定される重み(切り換え係数)αを用いて両者の出力の加重平均値を算出することで、切り換え点でコントローラが不連続とならないようにした。
【0128】
尚、2つのコントローラでは、目標油圧PCCMDと検出された油圧PSCの偏差が減少するように行列演算やマップ値を用いて最終操作量(制御入力)ICMD(ISCに等価)が算出される。算出された操作量は、図示しない駆動回路を介して発進クラッチ制御バルブ134のリニアソレノイド134aに出力され、制御対象(プラントP(s))である発進クラッチ系に与えられる。
【0129】
この実施の形態は上記の如く構成したので、アキュムレータ142の飽和の有無による動特性の変化に関わらず、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が良好であると共に、優れた安定性を得ることができ、それによって変速ショックを低減できるなどドライバビリティを向上させることができる。また、同等の商品性を得るまでの開発段階における実車での制御面のセッティング工数を節減することができる。さらに、加重平均値を算出することで、コントローラの切り換えを一層滑らかに行なうことができる。
【0130】
尚、上記で、2つのコントローラの出力の加重平均を算出するようにしたが、単純平均あるいは移動平均などを算出しても良い。
【0131】
また、先にH∞制御則あるいはその他の制御理論などを用いても良いと述べたが、それについてさらに敷衍すると、プラントをスケジューリングパラメータを持つ線形システムとみなして記述し、これに周波数重みなどを加えた拡大系(一般化プラント)を設定し、LPV(Linear Parameter Varying)システムと呼ばれるモデル表現にし、H∞/LMI制御を代表とするロバスト制御理論を用いてコントローラを設計(ゲインスケジューリング)することも可能である。
【0132】
図20は、この発明の第2の実施の形態に係る車両用自動変速機の油圧制御装置の動作を示す、図3と同様なフロー・チャートである。また、図21は、その処理を示す、図5と同様なフロー・チャートである。
【0133】
以下、説明すると、S100およびS102において第1の実施の形態と同様の処理を経た後、S104に進み、検出値をコントローラ切り換えしきい油圧Pα(例えば、4[kgf/cm2])と比較し、それ以下か否か判断する(図21にS104の判断を「supervisor」と示す)。
【0134】
S104で肯定されるときはS106に進み、非飽和領域操作量ICMD1を算出し、S108に進み、算出した値を最終操作量ICMDと決定する。他方、S104で否定されるときはS110に進み、飽和領域操作量ICMD2を算出し、S112に進み、算出した値を最終操作量ICMDと決定する。
【0135】
第2の実施の形態は上記の如く構成したので、第1の実施の形態と同様、アキュムレータ142の飽和の有無による動特性の変化に関わらず、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が良好であると共に、優れた安定性を得ることができ、それによって変速ショックを低減できるなどドライバビリティを向上させることができる。また、同等の商品性を得るまでの開発段階における実車での制御面のセッティング工数を節減することができる。さらに、コントローラを択一的に使用することで、コントローラの切り換えの滑らかさは若干低下するが、演算量を低減することができる。
【0136】
尚、第2の実施の形態において、図21に想像線で示す如く、n個までのコントローラを設け、それらを切り換えるようにしても良い。これは、第1の実施の形態においても同様で、n個までのコントローラを追加し、それらの間の加重平均を算出するようにしても良い。
【0137】
第1、第2の実施の形態は上記の如く、車両に搭載される内燃機関(エンジン)10の出力軸20に接続され、前記内燃機関の回転を変速する自動変速機(ベルト式無段変速機)24の油圧制御装置において、前記自動変速機の油圧アクチュエータ(発進クラッチ)42に供給される作動油を調圧して出力する調圧バルブ(発進クラッチ制御バルブ)134と、前記調圧バルブと前記油圧アクチュエータの間の油路に配置されるアキュムレータ142とを備えると共に、前記アキュムレータが飽和したときと飽和していないときの動特性をそれぞれ記述する線形モデルに対して設計された複数の補償器(コントローラKn(s))と、前記アキュムレータ142の作動状態、より具体的には、油路の油圧に応じて前記複数の補償器の少なくともいずれかを使用して前記調圧バルブの出力(制御油圧PSC)を制御する油圧制御手段(トランスミッション制御部100,S10からS20,S100からS112)とを備える如く構成した。
【0138】
具体的には、前記調圧バルブは電磁ソレノイド(リニアソレノイド134a)によってスプール134bが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて決定される重み(切り換え係数α)を用いて前記複数の補償器の出力の加重平均値を求め、前記求めた加重平均値を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量ICMDを決定することで前記調圧バルブの出力を制御する(トランスミッション制御部100,S10からS20)如く構成した。
【0139】
具体的には、前記調圧バルブは電磁ソレノイドによってスプールが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて前記複数の補償器のいずれかを選択し、前記選択した補償器の出力を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで前記調圧バルブの出力を制御する(トランスミッション制御部100,S100からS112)如く構成した。
【0140】
尚、上記において油路136の制御油圧を油圧センサ144で検出したが、油圧センサ144に代え、演算で油路136の制御油圧を推定しても良い。また、油路の油圧PSCをアキュムレータ142の作動状態を示すパラメータとしたが、それに限られるものではなく、アキュムレータ142のスプール(ピストン)142aのストロークなどを検出してその作動状態を示すパラメータとしても良い。
【0141】
尚、上記において油圧アクチュエータの例として発進クラッチを挙げたが、それに限られるものではない。
【0142】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、油圧アクチュエータに供給される作動油を調圧して出力する調圧バルブと油圧アクチュエータの間の油路に配置されるアキュムレータが飽和したときと飽和していないときの動特性をそれぞれ記述するモデルに対して設計された複数の補償器を備え、油路の油圧などのアキュムレータの作動状態に応じてそれらの少なくともいずれかを使用して調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、アキュムレータの飽和の有無による動特性の変化に関わらず、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が良好であると共に、優れた安定性を得ることができ、それによって変速ショックを低減できるなどドライバビリティを向上させることができる。また、同等の商品性を得るまでの開発段階における実車での制御面のセッティング工数を節減することができる。さらに、加重平均値を算出することで、補償器の切り換えを滑らかに行なうことができる。
【0143】
請求項2項にあっては、検出される油圧に応じて決定される重みを用いて複数の補償器の出力の加重平均値を求め、求めた加重平均値を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、補償器の切り換えを一層滑らかに行なうことができ、油圧制御範囲の全域で目標値追従性が一層良好であると共に、一層優れた安定性を得ることができる。
【0144】
請求項3項にあっては、検出される油圧に応じて複数の補償器のいずれかを選択し、選択した補償器の出力を用いて電磁ソレノイドへの通電量を決定することで調圧バルブの出力を制御する如く構成したので、補償器の切り換えの滑らかさは若干低下するが、前記したと同様の効果を得ることができると共に、補償器の演算量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る車両用自動変速機の油圧制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す装置の発進クラッチの制御バルブなどの油圧構成要素の詳細を示す油圧回路図である。
【図3】図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートで使用される切り換え係数(重み)の特性を示す説明グラフである。
【図5】図3フロー・チャートに示す処理を機能的に示すブロック図である。
【図6】図2に示すリニアソレノイドの概略図である。
【図7】図6に示すリニアソレノイドのモデル化で用いた諸定数を説明する説明図である。
【図8】リニアソレノイドの通電電流ISCと推力FSCの特性を示すグラフである。
【図9】図6に示すリニアソレノイドの開口面積を示す説明図である。
【図10】図2に示すアキュムレータの概略図である。
【図11】図10に示すアキュムレータのモデル化で用いた諸定数を説明する説明図である。
【図12】流量の計算式として、ある式を用いた場合のシミュレーション結果を示すタイム・チャートである。
【図13】同様に、流量の計算式として、ある式を用いた場合のシミュレーション結果を示すタイム・チャートである。
【図14】図6に示すリニアソレノイドにステップ入力(通電量)を与えた場合の制御油圧(クラッチ油圧)PSCの応答についての実験結果を示すタイム・チャートである。
【図15】図6に示すリニアソレノイドのスプール変位と流量の関係を示すグラフである
【図16】リニアソレノイドの漏れ流量を考慮した場合のシミュレーション結果を示すタイム・チャートである。
【図17】図8と同様に、リニアソレノイドの通電電流ISCと推力FSCの特性を示すグラフである。
【図18】図8に示すリニアソレノイドのフィードバックポートの流量の線形化を説明するグラフである。
【図19】図6に示すリニアソレノイドと図10に示すアキュムレータを線形化して得たモデルを状態空間表現で示すブロック図である。
【図20】この発明の第2の実施の形態に係る車両用自動変速機の油圧制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図21】図20にフロー・チャートに示す処理を機能的に示すブロック図である。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン)
20 出力軸
24 ベルト式無段変速機(CVT。トランスミッション)
42 発進クラッチ(油圧アクチュエータ)
88 発進クラッチ用のバルブ群
100 トランスミッション制御部
134 発進クラッチ制御バルブ(調圧バルブ)
136 油路
142 アキュムレータ
144 油圧センサ
Claims (3)
- 車両に搭載される自動変速機の油圧制御装置において、前記自動変速機の油圧アクチュエータに供給される作動油を調圧して出力する調圧バルブと、前記調圧バルブと前記油圧アクチュエータの間の油路に配置されるアキュムレータとを備えると共に、前記アキュムレータが飽和したときと飽和していないときの動特性をそれぞれ記述するモデルに対して設計された複数の補償器と、前記アキュムレータの作動状態に応じて前記複数の補償器の少なくともいずれかを使用して前記調圧バルブの出力を制御する油圧制御手段とを備えたことを特徴とする車両用自動変速機の油圧制御装置。
- 前記調圧バルブは電磁ソレノイドによってスプールが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて決定される重みを用いて前記複数の補償器の出力の加重平均値を求め、前記求めた加重平均値を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで前記調圧バルブの出力を制御することを特徴とする請求項1項記載の車両用自動変速機の油圧制御装置。
- 前記調圧バルブは電磁ソレノイドによってスプールが変位してその出力を変えるものであると共に、前記油圧制御手段は、検出される油圧に応じて前記複数の補償器のいずれかを選択し、前記選択した補償器の出力を用いて前記電磁ソレノイドへの通電量を決定することで前記調圧バルブの出力を制御することを特徴とする請求項1項記載の車両用自動変速機の油圧制御装置。
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