JP4184234B2 - 原動機のフライホイール装置 - Google Patents

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本発明は、車両などの駆動系に用いられ、原動機のトルクを、その変動およびねじり振動をそれぞれ減衰させた状態で伝達する原動機のフライホイール装置に関する。
従来のフライホイール装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このフライホイール装置は、内燃機関とクラッチの間に設けられており、内燃機関のクランク軸に同軸状に取り付けられた第1回転質量体と、クラッチを介して入力軸に連結された第2回転質量体と、第1および第2回転質量体の間に設けられた減衰装置および摩擦装置とを備え、これらを一体に組み立てたものである。
減衰装置は、クランク軸のねじり振動を減衰させるためのものであり、第1回転質量体にその周方向に間隔を隔てて配置された複数のコイルばねを有している。これらのコイルばねは、それぞれ第1および第2回転質量体の双方に連結されており、クランク軸が回転すると、その回転が、第1回転質量体から減衰装置のコイルばねを介して第2回転質量体に伝達され、さらにクラッチが接続されることによって、入力軸に伝達される。その際、第1および第2回転質量体によって内燃機関のトルク変動が、減衰装置によってねじり振動が、それぞれ減衰される。
このような減衰装置のみが設けられている場合は、例えば、始動時のようにクラッチが接続されておらず、内燃機関がフライホイール装置以外の負荷がない状態で比較的低回転で回転するようなときには、両回転質量体間にねじり振動が発生しやすく、それにより、特にフライホイール装置とクランク軸などとの接続部に大きな負荷が生じやすい。摩擦装置は、このような始動時などに両回転質量体間にねじり振動が発生するのを防止するためのものであり、第1および第2回転質量体の間において減衰装置よりもクランク軸の径方向の外方に設けられ、クランク軸の径方向の内方に向かってテーパ状に幅が狭くなる摩擦シューと、第1回転質量体に形成され、摩擦シューのテーパ状の側面に当接する斜面状のシュー当接部などによって構成されている。また、第2回転質量体には、その外端部から第1回転質量体に向かって突出する突起部が設けられており、この突起部の内側にばねが取り付けられていて、摩擦シューは、このばねを介して、径方向の内方に付勢された状態で、第1回転質量体のシュー当接部と第2回転質量体の内燃機関側の側面を押圧している。
このようなフライホイール装置によれば、減衰装置および摩擦装置は、内燃機関の回転に伴い、第1および第2回転質量体とともに回転する。その際、回転数が低いときには、摩擦シューに作用する遠心力よりもばねの付勢力が勝るので、摩擦シューと両回転質量体との間に摩擦力が発生し、この摩擦力が、両回転質量体の間の回転抵抗として作用する。これにより、減衰装置のみでは防止できない低回転時におけるねじり振動の発生が防止される。回転数がある程度、上昇すると、摩擦シューに作用する遠心力がばねの付勢力を上回るので、摩擦シューがばねの付勢力に抗して径方向の外方に移動し、第1回転質量体から離れ、摩擦力が作用しなくなる。それにより、出力軸からのねじり振動は、減衰装置によって減衰された状態で、入力軸に伝達される。したがって、内燃機関の回転数に応じて、トルク変動およびねじり振動を適切に減衰させることができ、トルクを入力軸に安定した状態で伝達することができる。
しかし、上述した特許文献1のフライホイール装置には、以下のような問題がある。すなわち、前述した摩擦装置では、摩擦シューと両回転質量体の間に所要の摩擦力を安定して発生させるためには、ある程度、大きな接触面積を確保する必要がある。そのため、摩擦装置は、回転質量体の半径方向の中央から外端部にわたって比較的大きな長さで配置されるとともに、摩擦シューの移動ストロークを径方向に確保する必要があるため、摩擦装置のサイズが、特に径方向に大きくなってしまう。また、同じ理由により、クラッチが接続されると、それによる荷重が摩擦装置に作用し、摩擦シューが両回転質量体によって挟まれることにより、発生する摩擦力の大きさが変化するおそれがあり、そのため、所要の摩擦力を得られないおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、原動機のトルクを被駆動軸に安定した状態で伝達できるとともに、コンパクトで、高い耐久性を有する原動機のフライホイール装置を提供することを目的としている。
特開平10−196724号公報 (第5頁、第4図)
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、原動機(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン)の出力軸(クランク軸2)とこれによって駆動される被駆動軸(入力軸4)との間に設けられ、原動機のトルクをそのトルク変動およびねじり振動を減衰させた状態で被駆動軸に伝達する原動機のフライホイール装置1であって、出力軸に設けられた第1回転質量体(第1フライホイール11)と、被駆動軸に連結された第2回転質量体(第2フライホイール12)と、第1および第2回転質量体の間に連結され、出力軸のねじり振動を減衰させるためのばね機構30と、ばね機構30よりも出力軸の径方向の内方に配置されるとともに第1および第2回転質量体の間に連結され、第1および第2回転質量体の間に回転抵抗を発生させるための減衰機構50と、を備え、減衰機構50は、出力軸の軸線方向に移動自在に設けられたカム部材54と、カム部材54と軸線方向に対向するように設けられた保持部材51と、カム部材54と保持部材51の間に設けられ、第1および第2回転質量体にそれぞれ連結されるとともに互いに係合する第1および第2摩擦部材(第1および第2摩擦板58、59)と、カム部材54を第1および第2摩擦部材側に付勢することにより、カム部材54による押圧によって、第1および第2摩擦部材の間に摩擦力を発生させるばね部材(皿ばね57)と、カム部材54と保持部材51の間に保持され、原動機の回転数の上昇に伴い、カム部材54をばね部材の付勢力に抗して第1および第2摩擦部材と反対側に移動させることにより、摩擦力を減少させるウエイト部材(ウエイトボール60)と、を有し、第2回転質量体は、軸線と同軸状の開口12aを有するリング状に形成され、開口12aの内周面に軸線方向に延びるスプライン溝12eを有し、第2摩擦部材は、第2回転質量体のスプライン溝12eに係合していることを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、出力軸に設けられた第1回転質量体と、被駆動軸に連結された第2回転質量体との間に、ばね機構が設けられており、このばね機構により、出力軸のねじり振動が減衰される。また、ばね機構よりも出力軸の径方向の内方には、減衰機構が配置されており、この減衰機構により、第1および第2回転質量体の間に回転抵抗が発生する。具体的には、原動機の回転数が低いときには、ばね部材の付勢により、軸線方向に移動自在のカム部材が第1および第2摩擦部材を押圧することによって、第1および第2摩擦部材の間に摩擦力を発生させる。この摩擦力が、両回転質量体の間の回転抵抗として作用する。これにより、低回転時において、ばね機構のみでは両回転質量体の間に発生しやすいねじり振動が減衰される。
また、第1および第2摩擦部材を押圧するカム部材と保持部材の間に保持されたウエイト部材が、カム部材を、ばね部材の付勢力に抗して、両摩擦部材と反対側に原動機の回転数の上昇に応じたストロークで移動させ、それにより、両摩擦部材の間の摩擦力を減少させる。すなわち、第1および第2回転質量体の間の回転抵抗の大きさは、ばね部材の付勢力と原動機の回転数の関係によって定まり、回転数の上昇に伴い、減衰機構を介して伝達されるトルクの割合が減少する一方、ばね機構を介して伝達される割合は増大し、高回転時において、ねじり振動の減衰が効果的に得られる。
また、カム部材がウエイト部材により移動することで、そのストロークが原動機の回転数に応じて連続的に変化するので、減衰機構により、第1および第2回転質量体間の回転抵抗を、原動機の回転数の変化に追随してスムーズに変化させることができる。したがって、ばね機構および減衰機構を介して伝達される原動機のトルクの割合が、回転数に応じてスムーズに変化する。それにより、ばね機構および減衰機構による出力軸のねじり振動の減衰を、回転数に応じた適切な割合で行わせることができる。以上により、原動機の回転数に拘らず、そのトルクを安定した状態で被駆動軸に伝達することができる。
また、前述したように、減衰機構は、ばね機構よりも出力軸の径方向の内方に設けられており、通常、ばね機構はコイルばねを主として構成されていて、比較的、軽量であるのに対し、減衰機構は、上述したように多くの部品で構成されており、比較的、大きな重量を有する。したがって、本発明によれば、このような軽量なばね機構を外方に、比較的、大きな重量を有する減衰機構を内方に、それぞれ配置することにより、フライホイール装置の質量分布を、出力軸側に偏らせることができるので、フライホイール装置の慣性モーメントを小さくすることができる。その結果、フライホイール装置と、原動機の出力軸および被駆動軸との連結部に作用するねじりモーメントを低減できるので、フライホイール装置を含む駆動系の耐久性を向上させることができる。
また、前述したように、この減衰機構は多くの部品によって構成されているため、各部品の精度や組立て精度などのばらつきによって、組み立てられた減衰機構の重量や質量分布にもばらつきが生じやすい。しかし、そのような場合でも、減衰機構が出力軸により近い位置に配置されていることにより、そのようなばらつきによるフライホイール装置全体の慣性モーメントの影響が小さくなる。それにより、減衰機構の重量などのばらつきに起因するフライホイール装置の回転特性のばらつきが小さくなる。したがって、特に各部品の重量を均一に保つための厳密な管理が不要になるので、量産した場合の各部品の管理コストを削減することができ、ひいてはフライホイール装置の製造コストを削減することができる。
さらに、前述した従来の摩擦装置では、摩擦シューを径方向に移動させることにより、回転抵抗を発生させるのに対し、減衰機構は、カム部材を軸線方向に移動させることにより、両回転質量体の間に回転抵抗を発生させるので、径方向についてそれほど大きな長さを必要としない。そのため、減衰機構を、特に径方向にコンパクトに構成することができ、したがって、ばね機構の配置の自由度を、より大きくすることができる。
また、第2回転質量体の開口の内周面に形成されたスプライン溝に第2摩擦部材を係合させ、軸線方向にスライドさせるだけでスプライン係合させることができ、第2摩擦部材を第2回転質量体に簡単に取り付けることができる。それにより、フライホイール装置の組立てを簡略化することができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項に記載の原動機のフライホイール装置において、第1回転質量体および保持部材51の一方は、他方に向かって突出する凸部11dを有し、第1回転質量体および保持部材51の他方は、凸部11dに軸線方向に対向する位置に、凸部11dが嵌合する凹部52bを有することを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、第1回転質量体および保持部材は、その一方に設けられた凸部を、他方に設けられた凹部に嵌合させることにより、互いに位置決めされた状態で取り付けられている。それにより、フライホイール装置の組立ての際、第1回転質量体または保持部材の凸部を他方の凹部に単純に嵌合させるだけで取り付けることができるとともに、両者を精度よく位置決めできる。したがって、例えば組立て後の検査を簡略化できるなど、製造管理に要するコストを削減することができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の原動機のフライホイール装置において、第1回転質量体は、ばね部材を取り付けるための係止部11fをさらに有し、ばね部材は、出力軸の周りに配置され、内端部が第1回転質量体の係止部11fに係止されたリング状の皿ばね57で構成されていることを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、ばね部材は、出力軸の周りに配置されたリング状の皿ばねによって構成されており、その内端部が、第1回転質量体に設けられた係止部に係止されている。このような構成によれば、ばね部材を第1回転質量体の係止部に係止させるだけで、その位置決めを容易に行うことができ、それにより、フライホイール装置の組立てを簡略化することができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、第2回転質量体は、摩擦クラッチ3を介して被駆動軸に連結されるとともに、摩擦クラッチ3の押圧力が作用する摩擦面12bを有し、第1および第2摩擦部材は、摩擦面12bに対して出力軸の径方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、第2回転質量体と被駆動軸の間には、摩擦クラッチが設けられており、摩擦クラッチの押圧力は、第2回転質量体にその摩擦面を介して作用する。また、減衰機構の第1および第2摩擦部材は、第2回転質量体の摩擦面に対して出力軸の径方向にずれた位置に配置されている。したがって、摩擦クラッチが接続されたときに、それによる押圧力が、第2回転質量体を介して両摩擦部材に直接、作用することがない。すなわち、第1および第2摩擦部材の間に発生する摩擦力は、摩擦クラッチの押圧力の影響を受けることなく原動機の回転数とばね部材の付勢力の関係によってのみ定まるので、ばね機構と減衰機構に配分されるトルクの割合にも影響が及ばないことで、原動機の回転数に応じたねじり振動の減衰効果を維持することができる。また、摩擦クラッチの押圧力によって、両摩擦部材が、互いにあるいは他の部材に押し付けられることがなくなり、それにより、両摩擦部材の間に過大な摩擦力が生じてしまうことがないので、減衰機構、ひいてはフライホイール装置の耐久性を向上させることができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置において、第1回転質量体および保持部材51は、互いに対応する位置にボルト挿入孔11g,51aをそれぞれ有し、これらのボルト挿入孔11g,51aに挿入された共通のボルト20により、出力軸に取り付けられていることを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、第1回転質量体および保持部材を、両者にそれぞれ形成されたボルト挿入孔に挿入された共通のボルトにより、原動機の出力軸に容易に取り付けることができる。また、両者のボルト挿入孔の位置を合わせるだけで、出力軸に対して精度よく位置決めでき、製造管理に要するコストを削減することができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置において、第1および第2回転質量体の一方に設けられ、減衰機構50を覆うためのカバー部材21をさらに備えていることを特徴とする。
このフライホイール装置によれば、その減衰機構は、第1および第2回転質量体の一方に設けられたカバー部材によって覆われている。したがって、ばね機構および減衰機構によるねじり振動の減衰を妨げることなく、減衰機構内に異物が侵入するのを防止することができ、減衰機構のスムーズな動作を確保することができる。また、例えば、特にその第1および第2摩擦部材周りにグリースなどを注入する場合には、それを密閉するようにカバー部材を設けることにより、グリースの漏れを防止でき、減衰機構のスムーズな動作をより確実に確保することができる。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置において、減衰機構50を覆うためのカバー部材21をさらに備え、第1回転質量体、保持部材51およびカバー部材21は、互いに対応する位置にボルト挿入孔11g,51a,21aをそれぞれ有し、これらのボルト挿入孔11g,51a,21aに挿入された共通のボルト20により、出力軸に取り付けられていることを特徴とする。

このフライホイール装置によれば、第1回転質量体、保持部材、およびカバー部材にそれぞれ形成されたボルト挿入孔に挿入された共通のボルトにより、これら3者を原動機の出力軸に容易に取り付けることができる。また、これら3者のボルト挿入孔の位置を合わせた状態でボルトを挿入するだけで、出力軸に対して精度よく位置決めでき、製造管理に要するコストを削減することができる。
本発明による原動機のフライホイール装置を含む車両駆動系の一部の半径方向に沿う断面図である。 図1のフライホイール装置の減衰機構を示す断面図を拡大した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る原動機のフライホイール装置を詳細に説明する。図1および2は、フライホイール装置1を含む車両駆動系の一部を概略的に示している。同図に示すように、この車両駆動系では、フライホイール装置1が、エンジン(原動機)のクランク軸2(出力軸)に設けられるとともに、摩擦クラッチ3を介して変速機の入力軸4(被駆動軸)に連結されている。また、クランク軸2と変速機の入力軸4は、同軸状に互いに対向している。
フライホイール装置1は、フライホイール10、ばね機構30および減衰機構50などを一体に組み立てたものである。このフライホイール10は、エンジン側(図1の左側)の第1フライホイール11(第1回転質量体)および変速機側(図1の右側)の第2フライホイール12(第2回転質量体)を有しており、両者11,12は、クランク軸2と同軸状に、且つその軸線方向に互いに対抗するように配置されている。以下、クランク軸2の軸線方向および径方向を、それぞれ単に「軸線方向」および「径方向」という。
第1フライホイール11は、円板状に形成されており、図1に示すような半径方向に沿う断面形状を有している。この第1フライホイール11は、中央に開口11aを有しており、この開口11aの周辺部において複数のボルト20(1つのみ図示)によって、後述する保持部材51およびカバー部材21とともにクランク軸2に固定されることにより、クランク軸2に同軸状に取り付けられている。また、この第1フライホイール11の半径のほぼ中央に相当する位置には、径方向の内側から順に第1および第2フランジ部11b,11cが、互いに所定の間隔を隔てて形成されている。これらは、第2フライホイール12側に突出するとともに周方向に延びており、それにより、両者11b,11cの間に溝14が形成されている。
第1フライホイール11の内端部には、変速機側に突出するように凸部11dが形成されている。この凸部11dは、後述する保持部材51を取り付ける際の位置決めのためのものであり、周方向に延びている。また、外端部には、変速機側に突出するように周壁11eが形成されており、この周壁11eは周方向に延びている。この周壁11eの外周面には、スタータリングギヤ15が取り付けられていて、このスタータリングギヤ15は、エンジンの始動時に図示しないスタータにより回転駆動される。また、第1フライホイール11の周壁11eと第2フランジ11cの間には、周方向に所定の間隔で複数の凹部13(1つのみ図示)が形成されており、これらの凹部13が、それぞればね機構収容部になっていて、各ばね機構収容部にばね機構30の後述するトーションばね31が収容されている。また、周壁11eには、このばね機構30を覆うためのばね機構カバー部材16が取り付けられている。このばね機構カバー部材16は、ドーナツ板状のものであり、その外端部が周壁11eの変速機側の端部に、例えば溶接により堅固に固定されている。また、このばね機構カバー部材16は、第1および第2フライホイール11,12の間を径方向に延びており、内端が、前述した第2フランジ部11cの内端とほぼ同じ径方向位置に位置している。
第2フライホイール12は、その中央に開口12aを有するリング状のものであり、半径方向に沿う所定の断面形状を有しており、第1フライホイール11の半径の中央に相当する位置から外端部にわたって径方向に延びている。また、変速機側の側面には、その径方向の中央から軸線側の部分に摩擦面12bが設けられていて、この摩擦面12bを介して、後述するクラッチ3が連結されるようになっている。第2フライホイール12のエンジン側の側面からは、摩擦面12bとほぼ同じ径方向位置からフランジ部12cが突出している。このフランジ部12cは、前述した第1フライホイール11の溝14よりもやや小さな幅(径方向長さ)を有しており、周方向に延び、溝14に嵌合している。また、このフランジ部12cの外周面には、ばね機構30のトーションばね31に周方向に対応する位置に、軸線方向に延びる複数のスプライン溝12dが形成されており、各スプライン溝12dを介してばね機構30に連結されている。また、この第2フライホイール12の内周面には、エンジン側の部分に、複数のスプライン溝12eが設けられている。各スプライン溝12eは、軸線方向に延び、周方向にわたって形成されており、後述するように、減衰機構50がスプライン溝12eに連結されている。
第1フライホイール11の溝14内には、ブッシュベアリング18が設けられている。このブッシュベアリング18は、第1および第2フライホイール11,12を相対回転可能に支持するものであり、周方向に延びている。また、このブッシュベアリング18は、溝14の底面から側面に沿ってL字形に延びており、これらの底面および側面と、第2フライホイール12のフランジ部12cとの間に狭持されている。
ばね機構30は、前述したばね機構収容部にそれぞれ収容されたトーションばね31と、共通のばね受けフランジ32などによって構成されている。ばね受けフランジ32は、ドーナツ板状のものであり、その外端部には、径方向の外方に延びる複数のアーム部32a(1つのみ図示)が、ばね機構30のトーションばね31に対応する周方向位置にそれぞれ2本づつ設けられている。また、周方向のばね機構収容部と重ならない位置には、複数の固定部32bが径方向の外方に突出しており、各固定部32bには、これを軸線方向に貫通するとともに所定の長さで周方向に延びるリベット挿入孔32cが形成されている。ばね受けフランジ32は、このリベット挿入孔32cに挿入されたリベット23によって、リベット挿入孔32cの長さの範囲で回動自在に第1フライホイール11に取り付けられている。また、その内周面には、軸線方向に延びる複数のスプライン歯32dが径方向の内方に突出するように形成されており、これらのスプライン歯32dは、前述した第2フライホイール12のスプライン溝12dにスプライン係合している。
各トーションばね31は、所定の長さのコイルばねで構成されており、ばねホルダ33を介してばね機構収容部に収容されている。また、トーションばね31の両端部は、ばね受けフランジ32のアーム部32aと係合している。また、ばね受けフランジ32と第2フランジ部11cの間、およびばね受けフランジ32とばね機構カバー部材16の間の隙間には、リング状のシール部材22,22がそれぞれ配置されており、これらにより、ばね機構収容部が密閉されている
減衰機構50は、第2フライホイール12の開口12a内に設けられている。図2に示すように、この減衰機構50は、第1および第2フライホイール11,12の間に連結されており、両者11,12の間にエンジンの回転数に応じた回転抵抗を発生させるためのものであり、保持部材51と、これに軸線方向に対向するカム部材54と、これらの間に設けられた複数の第1および第2摩擦板58,59(第1および第2摩擦部材)ならびに多数のウエイトボール60(ウエイト部材)とを有している。
保持部材51は、ドーナツ状に形成されており、エンジン側の本体部52と、これよりも大きな径を有する円板状のつば部53によって構成されている。このつば部53の外端部のエンジン側の側面には、周方向に延びる凹部53aが形成されている。また、本体部52のエンジン側の外周面には、軸線方向に延びる複数のスプライン溝52aが周方向に所定の間隔で形成されており、また、内端のエンジン側の縁部には、周方向に延びる凹部52bが形成されている。また、この保持部材51には、軸線方向に貫通する複数のボルト挿入孔51a(1つのみ図示)が周方向に間隔を隔てて形成されており、さらに、ボルト挿入孔51aと重ならない位置には、このボルト挿入孔51aよりも小さな径を有する複数のリベット挿入孔51b(1つのみ図示)が、周方向に間隔を隔てて形成されている。このような保持部材51は、本体部52の凹部52bに第1フライホイール11の凸部11dを嵌合させた状態で、リベット挿入孔51bに通されたリベット19によって第1フライホイール11に堅固に固定された後、ボルト挿入孔51aに通されたボルト20によって、第1フライホイール11および減衰機構カバー部材21とともにクランク軸2に堅固に固定されている。
カム部材54もまた、ドーナツ状に形成されており、ほぼT字形の断面を有している。このカム部材54は、径方向に延びる基部55と、この基部55から変速機側に軸線方向に突出する突出部56によって構成されている。基部55の内端部には、軸線方向に延びる複数のスプライン歯55aが形成されており、前述した本体部52のスプライン溝52aにスプライン係合している。これにより、カム部材54は、保持部材51に対して軸線方向に移動自在になっている。また、突出部56の変速機側の端部は、前述したつば部53の凹部53aに入り込んでおり、この突出部56の外周面には、その全体にわたって、軸線方向に延びる複数のスプライン溝56aが、周方向に間隔を隔てて形成されている。
また、カム部材54と第1フライホイール11の間には、皿ばね57(ばね部材)が配置されている。この皿ばね57は、その一端部が、第1フライホイール11の内端部の変速機側の側面に設けられた係止部11fに係止され、他端部がカム部材54のエンジン側の側面に当接しており、それにより、カム部材54を変速機側に付勢している。また、カム部材54の基部55の外端部と、保持部材51のつば部53の外端部との間には、例えば、4枚の第1摩擦板58および3枚の第2摩擦板59が、軸線方向に交互に並ぶように配置されている。両者58,59は、ともにドーナツ板状のものであり、第1摩擦板58の内端部には、周方向に間隔を隔てて複数のスプライン歯58aが形成されていて、このスプライン歯58aは、前述したカム部材54のスプライン溝56aにスプライン係合している。また、第2摩擦板59の外端部にも、周方向に間隔を隔てて複数のスプライン歯59aが形成されており、このスプライン歯59aは、前述した第2回転質量体12のスプライン溝12eにスプライン係合している。また、カム部材54が皿ばね57によって変速機側に付勢されていることにより、第1および第2摩擦板58,59は、カム部材54の基部55と、保持部材51のつば部53の間に狭持されている。
カム部材54の基部55の内端部と、保持部材51のつば部53の凹部53aよりも内側の部分は、互いに軸線方向に対向している。両者の互いに対向する側面は、径方向の外方に向かって互いに近づくように傾斜しており、それにより、両者の間隔が、径方向外方に向かって次第に狭くなるように構成されている。これらの保持部材51およびカム部材54の両側面などによって取り囲まれた空間には、所定の重量を有する多数のウエイトボール60が収容されており、両側面に当接した状態で両者51,54によって保持されている。
このような減衰機構50は、カバー部材21によって、変速機側から覆われている。このカバー部材21もまたドーナツ板状に形成されており、その内端部に形成されたボルト挿入孔21aおよびリベット挿入孔21bを介して、前述したボルト20およびリベット19によって、保持部材51に固定されている。また、このカバー部材21は、前述した皿ばね57と同様のものであり、その外端部が、第2フライホイール12の内端部の変速機側の縁に形成され、周方向に延びる凹部12fに係合し、この凹部12fを介して第2フライホイール12をエンジン側に付勢している。これにより、第1および第2フライホイール11,12、ブッシュベアリング18、保持部材51、並びにカバー部材21によって取り囲まれ、第1および第2摩擦板58,59などを配置した空間が密閉されており、この密閉された空間には、例えば、減衰機構50の動作を円滑にするためのグリースが充填されている。
摩擦クラッチ3は、例えば乾燥単板式のものであり、クラッチディスク40と、プレッシャプレート41を介してクラッチディスク40を第2フライホイール12に押し付けるダイヤフラムばね42と、このダイヤフラムばね42を駆動するレリーズベアリング(図示せず)と、第2フライホイール12に取り付けられたカバー44などによって構成されている。
クラッチディスク40は、変速機の入力軸4にスプライン結合されており、互いに軸線方向に移動自在かつ回転不能になっている。クラッチディスク40の両面には、その中央部から外端にわたって、摩擦板40a、40aが取り付けられており、第2フライホイール12とプレッシャプレート41の間に延びている。また、プレッシャプレート41のクラッチディスク40と反対側の面には、ダイヤフラムばね42の外端部が当接している。ダイヤフラムばね42は、スポーク状に延びる複数の板ばね(1つのみ図示)で構成されており、その内端部は、レリーズベアリングに連結され、その途中の部分で支点42aを介してカバー44に支持されている。レリーズベアリングは、レリーズアーム(図示せず)を介してクラッチペダル(図示せず)に連結されている。
以上の構成によれば、エンジンのトルクは、クランク軸2から順に、フライホイール装置1および摩擦クラッチ3を介して、変速機の入力軸4に伝達される。その際、クラッチペダルが踏み込まれていないときには、ダイヤフラムばね42の付勢力によって、クラッチディスク40が摩擦面12bを介して第2フライホイール12に押し付けられることにより、クラッチ3が接続され、クランク軸2の回転が変速機の入力軸4に伝達される。また、クラッチペダルが踏み込まれたときには、レリーズアームがレリーズベアリング43を第2フライホイール12側に押圧することによって、ダイヤフラムばね42の外端部がクラッチディスク40と反対側に移動する。それにより、プレッシャプレート41がクラッチディスク40から離れることによって、クラッチ3が遮断され、第2フライホイール12が変速機の入力軸4に対して空回りする。
また、フライホイール装置1においては、エンジンのトルクは、第1フライホイール11から、減衰機構50およびばね機構30をそれぞれ介した2つの経路で第2フライホイール12に伝達され、その際、両者50,30を介して伝達されるトルクの割合は、エンジンの回転数に応じて次のように変化する。
すなわち、エンジンの回転数が低回転域にあるときは、減衰機構50のウエイトボール60に作用する遠心力が小さいため、カム部材54への押圧力も小さい。このため、この押圧力の軸線方向の分力もまた小さいので、第1および第2摩擦板58,59は、皿ばね57の付勢力により互いに押圧された状態に維持される。したがって、両摩擦板58,59の間に十分な摩擦力が作用するので、第1および第2フライホイール11,12は、減衰機構50を介して一体に回転し、エンジンのトルクは、主として減衰機構50を介した経路で伝達される。
一方、エンジンの回転数が上昇するのに従い、クランク軸2の回転速度が大きくなることにより、ウエイトボール60に作用する遠心力が増大するので、カム部材54への軸線方向の分力もまた増大する。この分力の増大により、カム部材54は、ウエイトボール60が皿ばね57の付勢力に抗して径方向の外方へ移動するのに伴い、ウエイトボール60によって軸線方向にエンジン側へ駆動される。その結果、カム部材54と保持部材51によって狭持されている第1および第2摩擦板58,59への押圧力が減少するため、両摩擦板58,59の間の摩擦力も減少し、減衰機構50を介して第2フライホイール12に伝達されるトルクが減少する。
この減衰機構50を介して伝達されるトルクの減少分は、ばね機構30を介して、クランク軸2のねじり振動が減衰された状態で第2フライホイール12に伝達される。以上のように、エンジンの回転数の上昇に従い、ウエイトボール60がカム部材54の突出部56に当接するまで、減衰機構50側から伝達されるトルクが徐々に減少する一方、ばね機構30側から伝達されるトルクは徐々に増大する。
次いで、上述したフライホイール装置1の組立てについて説明する。フライホイール装置1は、以下に述べる手順に従い、第1フライホイール11をベースとし、その上に他の構成部品を積み上げるようにして組み立てられる。まず、ブッシュベアリング18を、第1フライホイール11の第1フランジ部11bの外側の溝14内に、もしくは、第2フライホイール12のフランジ部12cに、その底面から側面に沿うように圧入して取り付ける。次いで、トーションばね31の両端にばねホルダ33を差し込んで取り付けた後、これらを第1フライホイール11の所定の位置にセットする。
次いで、エンジン側のシール部材22を、第2フランジ部11c上に配置し、その後に、ばね受けフランジ32を、そのアーム部32aをトーションばね31の端部に係合させ、エンジン側のシール部材22上に載置する。次いで、変速機側のシール部材22を、ばね受けフランジ32を間に挟んでエンジン側のシール部材22と同じ径方向位置に載置し、ばね機構収容部内に、グリースを充填する。次に、ばね機構カバー部材16をばね機構30上の所定の位置に配置し、ばね機構カバー部材16の外端部と第1フライホイール11の周壁11eの端部とを溶接する。そして、リベット23を、ばね機構カバー部材16、第1フライホイール11およびばね受けフランジ32のリベット挿入孔16a,11h,32cに挿入し、リベット23のエンジン側の端部をかしめることにより、第1フライホール11へのばね機構30の取付けが完了する。
次いで、皿ばね57の内端部を、第1フライホイール11の係止部11fに係止させる。次に、カム部材54、第1および第2摩擦板58,59を、この順に皿ばね57上の所定の位置に配置する。その際、第2摩擦板59のスプライン歯59aを周方向に互いに合わせるために、治具を用いるとよい。次に、保持部材51の本体部52を、そのスプライン溝52aがカム部材54のスプライン歯55aにスプライン係合するとともに、本体部52の凹部52bが第1フライホイールの凸部11dに嵌合するようにして、第1フライホイール11上に配置する。その際、本体部52と第1フライホイール11のボルト挿入孔51a,11gの位置を合わせるための治具を用いるとよい。次に、本体部52とカム部材54の間の空間に、多数のウエイトボール60を配置し、その後、第1および第2摩擦板58,59の周囲にグリースを充填する。そして、つば部53を、本体部32上の所定の位置に載置する。
次いで、第2フライホイール12を、そのスプライン溝12d,12eにばね機構30のスプライン歯32dおよび減衰機構50のスプライン歯59aをそれぞれスプライン係合させながら、軸線方向にスライドさせることにより、第1フライホイール11上に配置する。次に、カバー部材21を減衰機構50上の所定の位置にセットし、最後に、リベット19を、カバー部材21、保持部材51および第1フライホイール11のリベット挿入孔21b、51b、11hに挿入し、エンジン側の端部をかしめることにより、減衰機構50が第1フライホイール11に固定され、以上によりフライホイール装置1の組立てが完了する。このような手順により、フライホイール装置1は、精度よく且つ容易に組み立てられる。
以上のようなフライホイール装置1によれば、クランク軸2に設けられた第1フライホイール11と、入力軸4が設けられた第2フライホイール12との間に、ばね機構30が設けられており、このばね機構30により、クランク軸2のねじり振動が減衰される。また、ばね機構30よりもクランク軸2の径方向の内方には、減衰機構50が配置されており、この減衰機構50により、第1および第2フライホイール11,12の間に回転抵抗が発生する。具体的には、エンジンの回転数が低いときには、皿ばね57の付勢により、軸線方向に移動自在のカム部材54が第1および第2摩擦板58,59を押圧することによって、第1および第2摩擦板58,59の間に摩擦力を発生させる。この摩擦力が、両フライホイール11,12の間の回転抵抗として作用する。これにより、低回転時において、ばね機構30のみでは両フライホイール11,12の間に発生しやすいねじり振動が減衰される。
また、第1および第2摩擦板58,59を押圧するカム部材54と保持部材51の間に保持された多数のウエイトボール60が、カム部材54を、皿ばね57の付勢力に抗して両摩擦部材58,59と反対側にエンジンの回転数の上昇に応じたストロークで移動させ、それにより、両摩擦部材58,59の間の摩擦力を減少させる。すなわち、第1および第2フライホイール11,12の間の回転抵抗の大きさは、皿ばね57の付勢力とエンジンの回転数の関係によって定まり、回転数の上昇に伴い、減衰機構50を介して伝達されるトルクの割合が減少する一方、ばね機構30を介して伝達される割合は増大し、高回転時において、ねじり振動の減衰が効果的に得られる。
また、カム部材54がウエイトボール60により移動することで、そのストロークがエンジンの回転数に応じて連続的に変化するので、減衰機構50により、第1および第2フライホイール11,12の間の回転抵抗を、エンジンの回転数の変化に追随してスムーズに変化させることができる。したがって、ばね機構30および減衰機構50を介して伝達されるエンジンのトルクの割合が、回転数に応じてスムーズに変化する。それにより、ばね機構30および減衰機構50によるクランク軸2のねじり振動の減衰を、回転数に応じた適切な割合で行わせることができる。以上により、エンジンの回転数に拘らず、そのトルクを安定した状態で入力軸4に伝達することができる。
また、前述したように、減衰機構50はばね機構30よりもクランク軸2の径方向の内方に設けられており、ばね機構30はコイルばねを主として構成されていて、比較的軽量であるのに対し、減衰機構50は、前述したように多くの部品で構成されており、比較的大きな重量を有する。したがって、本発明によれば、このような軽量なばね機構30を外方に、大きな重量を有する減衰機構50を内方にそれぞれ配置することにより、フライホイール装置1の質量分布を、クランク軸2の軸線側に偏らせることができるので、フライホイール装置1の慣性モーメントを小さくすることができる。その結果、フライホイール装置1と、エンジンのクランク軸2および入力軸4との連結部に作用するねじりモーメントを低減できるので、フライホイール装置1を含む駆動系の耐久性を向上させることができる。
また、前述したように、この減衰機構50は多くの部品によって構成されているため、各部品の精度や組立て精度などのばらつきによって、組み立てられた減衰機構50の重量や質量分布にもばらつきが生じやすい。しかし、そのような場合でも、減衰機構50がクランク軸2により近い位置に配置されていることにより、そのようなばらつきによるフライホイール装置1全体の慣性モーメントの影響が小さくなる。それにより、減衰機構50の重量などのばらつきに起因するフライホイール装置1の回転特性のばらつきが小さくなる。したがって、特に各部品の重量を均一に保つための厳密な管理が不要になるので、量産した場合の各部品の管理コストを削減することができ、ひいてはフライホイール装置1の製造コストを削減することができる。
さらに、前述した従来の摩擦装置では、摩擦シューを径方向に移動させることにより、回転抵抗を発生させるのに対し、減衰機構50は、カム部材54を軸線方向に移動させることにより、両フライホイール11,12の間に回転抵抗を発生させるので、径方向についてそれほど大きな長さを必要としない。そのため、減衰機構50を、特に径方向にコンパクトに構成することができ、したがって、ばね機構30の配置の自由度を、より大きくすることができる。
また、第2フライホイール12の開口12aの内周面に形成されたスプライン溝12eに第2摩擦板59を係合させ、軸線方向にスライドさせるだけでスプライン係合させることができ、第2摩擦板を第2フライホイール12に簡単に取り付けることができる。それにより、フライホイール装置1の組立てを簡略化することができる。
また、第1フライホイール11と保持部材51は、これらの凸部11dと凹部52bを互いに嵌合させることにより組み立てられる。したがって、フライホイール装置1の組立ての際、第1フライホイール11の凸部11dを保持部材51の凹部52bに単純に嵌合させるだけで取り付けることができるとともに、両者11,51を精度よく位置決めできる。したがって、例えば組立て後の検査を簡略化できるなど、製造管理に要するコストを削減することができる。
また、クランク軸2の周りに配置されたリング状の皿ばね57の内端部が、第1フライホイール11に設けられた係止部11fに係止されている。このような構成によれば、皿ばね57を第1フライホイール11の係止部11fに係止させるだけで、その位置決めを容易に行うことができ、それにより、フライホイール装置1の組立てを簡略化することができる。
また、第2フライホイール12と入力軸4の間に設けられた摩擦クラッチ3の押圧力は、第2フライホイール12にその摩擦面12bを介して作用する。また、減衰機構50の第1および第2摩擦板58,59は、第2フライホイール12の摩擦面12bに対して径方向にずれた位置に配置されている。したがって、摩擦クラッチ3が接続されたときに、それによる押圧力が、第2フライホイール12を介して両摩擦板58、59に直接、作用することがない。すなわち、第1および第2摩擦板58,59の間に発生する摩擦力は、摩擦クラッチ3の押圧力の影響を受けることなくエンジンの回転数と皿ばね57の付勢力の関係によってのみ定まるので、ばね機構30と減衰機構50に配分されるトルクの割合にも影響が及ばないことで、エンジンの回転数に応じたねじり振動の減衰効果を維持することができる。また、摩擦クラッチ3の押圧力によって両摩擦板58,59が互いにあるいは他の部材に押し付けられることがなくなり、それにより、両摩擦板58,59の間に過大な摩擦力が生じてしまうことがないので、減衰機構50、ひいてはフライホイール装置1の耐久性を向上させることができる。
また、減衰機構50は、第1フライホイール11に保持部材51などを介して取り付けられたカバー部材21によって覆われている。したがって、ばね機構30および減衰機構50によるねじり振動の減衰を妨げることなく、減衰機構50内に異物が侵入するのを防止することができ、減衰機構50のスムーズな動作を確保することができる。また、第1および第2摩擦板58,59を密封するようにカバー部材21が取り付けられていることにより、グリースの漏れを防止でき、減衰機構50のスムーズな動作をより確実に確保することができる。
また、第1フライホイール11、保持部材51、およびカバー部材21にそれぞれ形成されたボルト挿入孔11g,51a,21aに挿入された共通のボルト20により、これら3者11,51,20をエンジンのクランク軸2に容易に取り付けることができる。また、これら3者11,51,20のボルト挿入孔11g,51a,21aの位置を互いに合わせるだけで、クランク軸2に対して精度よく位置決めでき、製造管理に要するコストを削減することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、第1フライホイール11および第2フライホイール12にそれぞれ凸部11dおよび凹部12fを形成しているが、これらを逆に配置してもよい。また、カム部材54の基部55と、保持部材51のつば部53との軸線方向に互いに対向する側面の傾斜の角度を、実施形態とは異なる値に設定することにより、ウエイトボール60からカム部材54に作用する軸線方向の分力の大きさを異ならせてもよい。また、実施形態では、互いに対向する両側面の双方を傾斜面としているが、これらのいずれか一方のみを傾斜面としてもよい。それにより、実施形態と同様に、カム部材54に軸線方向の分力を作用させることができる。
また、実施形態は、本発明のフライホイール装置1を、車両の駆動系に適用した例であるが、これに限定されることなく、他の産業用機械、例えば、クランク軸を鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機の駆動系にも適用可能である。その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
符号の説明
1 フライホイール装置
2 クランク軸(出力軸)
3 摩擦クラッチ
4 入力軸(被駆動軸)
11 第1フライホイール(第1回転質量体)
11d 凸部
11f 係止部
11g ボルト挿入孔
12 第2フライホイール(第2回転質量体)
12a 開口
12b 摩擦面
12e スプライン溝
20 ボルト
21 カバー部材
21a ボルト挿入孔
30 ばね機構
50 減衰機構
51 保持部材
52b 凹部
51a ボルト挿入孔
54 カム部材
57 皿ばね(ばね部材)
58 第1摩擦板(第1摩擦部材)
59 第2摩擦板(第2摩擦部材)
60 ウエイトボール(ウエイト部材)

Claims (7)

  1. 原動機の出力軸とこれによって駆動される被駆動軸との間に設けられ、前記原動機のトルクをそのトルク変動およびねじり振動を減衰させた状態で前記被駆動軸に伝達する原動機のフライホイール装置であって、
    前記出力軸に設けられた第1回転質量体と、
    前記被駆動軸に連結された第2回転質量体と、
    前記第1および第2回転質量体の間に連結され、前記出力軸のねじり振動を減衰させるためのばね機構と、
    当該ばね機構よりも前記出力軸の径方向の内方に配置されるとともに前記第1および第2回転質量体の間に連結され、当該第1および第2回転質量体の間に回転抵抗を発生させるための減衰機構と、
    を備え、
    当該減衰機構は、
    前記出力軸の軸線方向に移動自在に設けられたカム部材と、
    当該カム部材と前記軸線方向に対向するように設けられた保持部材と、
    前記カム部材と前記保持部材の間に設けられ、前記第1および第2回転質量体にそれぞれ連結されるとともに互いに係合する第1および第2摩擦部材と、
    前記カム部材を前記第1および第2摩擦部材側に付勢することにより、前記カム部材による押圧によって、当該第1および第2摩擦部材の間に摩擦力を発生させるばね部材と、
    前記カム部材と前記保持部材の間に保持され、前記原動機の回転数の上昇に伴い、前記カム部材を前記ばね部材の付勢力に抗して前記第1および第2摩擦部材と反対側に移動させることにより、前記摩擦力を減少させるウエイト部材と、を有し
    前記第2回転質量体は、前記軸線と同軸状の開口を有するリング状に形成され、当該開口の内周面に前記軸線方向に延びるスプライン溝を有し、
    前記第2摩擦部材は、前記第2回転質量体の前記スプライン溝に係合していることを特徴とする原動機のフライホイール装置。
  2. 前記第1回転質量体および前記保持部材の一方は、他方に向かって突出する凸部を有し、
    前記第1回転質量体および前記保持部材の他方は、前記凸部に前記軸線方向に対向する位置に、前記凸部が嵌合する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の原動機のフライホイール装置。
  3. 前記第1回転質量体は、前記ばね部材を取り付けるための係止部をさらに有し、
    前記ばね部材は、前記出力軸の周りに配置され、内端部が前記第1回転質量体の前記係止部に係止されたリング状の皿ばねで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の原動機のフライホイール装置。
  4. 前記第2回転質量体は、摩擦クラッチを介して前記被駆動軸に連結されるとともに、前記摩擦クラッチの押圧力が作用する摩擦面を有し、前記第1および第2摩擦部材は、前記摩擦面に対して前記出力軸の径方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置。
  5. 前記第1回転質量体および前記保持部材は、互いに対応する位置にボルト挿入孔をそれぞれ有し、これらのボルト挿入孔に挿入された共通のボルトにより、前記出力軸に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置。
  6. 前記第1および第2回転質量体の一方に設けられ、前記減衰機構を覆うためのカバー部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の原動機のフライホイール装置。
  7. 前記減衰機構を覆うためのカバー部材をさらに備え、
    前記第1回転質量体、前記保持部材および前記カバー部材は、互いに対応する位置にボルト挿入孔をそれぞれ有し、これらのボルト挿入孔に挿入された共通のボルトにより、前記出力軸に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の原動機のフライホイール装置。
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