JP4183849B2 - 光計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射する光束の光量を計測する光計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばシンチレータから発せられる蛍光のような微弱な光を計測する計測装置として、入射した光束の光量に応じた光電子を放出させ、当該光電子数を計数することによって入射した光束の光量を計測する光計測装置が知られている。かかる光計測装置は、光検出素子である光電子増倍管と、光電子増倍管からの出力信号を基準値と比較する比較器と、比較器からの出力を計数するカウンタとを主として備えて構成される。光電子増倍管に光束が入射すると、光電子増倍管の光電面から当該光束の光量に応じた光電子が順次放出され、当該光電子に対応した出力信号が出力される。光電子増倍管からの出力信号は、比較器によって、常に基準値と比較される。ここで、光電子増倍管に光束が入射していない場合は光電子が放出されないため、光電子増倍管からの出力信号が基準値を超えず、比較器からは論理値0が出力される。一方、光電子増倍管に光束が入射して1つの光電子が放出された場合は、光電子増倍管からの出力信号が基準値を超え、比較器からは論理値1が出力される。従って、カウンタにより、比較器からの出力を計数することで、放出された光電子数を計数することができ、入射した光束の光量を計測することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術にかかる光計測装置には、以下に示すような問題点があった。すなわち、上記従来技術にかかる光計測装置においては、複数の光電子が極めて短い時間間隔を持って放出された場合に、複数の光電子を分離して検出することができず、1つの光電子が放出されたものとして計数を行ってしまう。従って、入射する光束の光量が小さく、放出される光電子が少ない範囲においては実用に耐えるが、入射する光束の光量が大きくなり、放出される光電子数が多くなるに従って、光電子の数え落としが大きくなる。
【0004】
ここで、光電子の数え落とし率ξは、光電子増倍管のパルスペア分解能τ(s)、真のカウントレートn(1/s)を用いて、
【数1】
Figure 0004183849
と表される。従って、光電子増倍管のパルスペア分解能τが8nsの場合、真のカウントレートnが10MCPS(Mega Count Per Second)のときで7%、nが20MCPSのときで14%、nが50MCPSのときで29%の数え落としがそれぞれ発生する。
【0005】
さらに、上記従来技術にかかる光計測装置においては、同時に2つ、3つ等複数の光電子が放出された場合であっても、1つの光電子が放出されたものとして計数を行ってしまうため、同時に複数の光電子が放出される場合は光電子数を正確に計数することができず、入射する光束の光量を正確に計測することができない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、入射する光束の光量を正確に計測することができる光計測装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の光計測装置は、入射する光束の光量に応じた光電子を放出し、該光電子の数に応じた出力信号を出力する光検出手段と、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号の継続時間よりも小さい周期を有する周期信号を生成する周期信号生成手段と、上記周期信号生成手段によって生成された上記周期信号に基づいて上記光検出手段から出力された上記出力信号をA/D変換するA/D変換手段と、上記A/D変換手段によってA/D変換された上記出力信号を加算する加算手段と、上記加算手段によって加算された上記A/D変換手段の上記出力信号の加算値m、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号の継続時間Toと上記周期信号生成手段の周期信号の周期Tsとの比s=To/Ts、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号の最大値Voと上記A/D変換手段のチャネル幅Vcとの比r=Vo/Vc、及び、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号が上記光検出手段の出力信号の継続時間Toに対してVo/2以上となる時間kに基づいて下記式
q=m/(k×s×r)
を用いて上記光検出手段に入射した光子数qを計数し、上記光検出手段に入射した光束の光量を算出する光量算出手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
放出された光電子の数に応じた出力信号を光子検出手段から出力し、当該出力信号をA/D変換手段によってA/D変換することで、入射した光束の光量に応じた出力信号をA/D変換手段から出力することが可能となる。従って、入射した光束の光量が大きくなり、同時に複数の光電子が放出された場合であっても、複数個の光電子が放出されたものとして計数を行うことができる。また、1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間よりも小さい周期でA/D変換を行い、A/D変換された出力信号の加算値m、1つの光電子が放出された場合に光検出手段から出力される出力信号の継続時間Toと周期信号生成手段の周期信号の周期Tsとの比s=To/Ts、1つの光電子が放出された場合に光検出手段から出力される出力信号の最大値VoとA/D変換手段のチャネル幅Vcとの比r=Vo/Vc、及び、1つの光電子が放出された場合に光検出手段から出力される出力信号が光検出手段の出力信号の継続時間Toに対してVo/2以上となる時間kに基づいて上記式を用いて光電子数を計数することで、1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間よりも短い時間間隔を持って放出された複数の光電子数の検出確率が高まる。
【0009】
また、本発明の光計測装置においては、上記光検出手段は、真空気密された容器と、上記容器内に配置され、入射する光束の光量に応じた光電子を放出する光電面と、上記光電面から放出された上記光電子を加速する加速手段と、上記容器内に配置され、上記加速手段によって加速された上記光電子を入射させ、該光電子の数に応じた出力信号を出力する半導体検出器とを備えたことを特徴としてもよい。
【0010】
上記光電面、加速手段及び半導体検出器を備えた光子検出手段を用いることで、同時に、あるいは極めて近い時間間隔をもって放出される光電子数を効果的に検出することができる。
【0011】
また、本発明の光計測装置においては、上記半導体検出器は、アバランシェフォトダイオードであることを特徴とすることが好適である。
【0012】
また、本発明の光計測装置においては、上記周期信号生成手段は、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号の継続時間の1/2以下の周期を有する周期信号を生成することを特徴としてもよい。
【0013】
上記周期信号を、1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間の1/2よりも小さくすることで、短い時間間隔を持って放出された複数の光電子数の検出確率がさらに高まる。
【0014】
また、本発明の光計測装置においては、上記A/D変換手段は、1つの光電子が放出された場合に上記光検出手段から出力される出力信号の最大値と略等しいチャネル幅を有することを特徴としてもよい。
【0015】
A/D変換手段のチャネル幅を出力信号の最大値と略等しくすることで、放出された光電子数をそのままA/D変換手段の出力値とすることが可能となる。
【0016】
また、本発明の光計測装置においては、上記A/D変換手段は、1つの光電子が放出された場合に上記光子検出手段から出力される出力信号の最大値よりも小さいチャネル幅を有することを特徴としてもよい。
【0017】
A/D変換手段のチャネル幅を出力信号の最大値よりも小さくすることで、放出された光電子数を精度よく検出することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る光計測装置について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る光計測装置の構成について説明する。図1は本実施形態に係る光計測装置の構成図である。
【0019】
本実施形態にかかる光計測装置10は、光子検出部12(光子検出手段)、タイミング信号発生回路14(周期信号生成手段)、A/D変換器16(A/D変換手段)、加算器18(加算手段)、CPU20(計数手段)、表示部22及びメモリ23を備えて構成される。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0020】
光子検出部12は、ハイブリッドフォトディテクタ(以下、HPD24という)とトランスインピーダンスアンプ(以下、TZアンプ26という)とを備えて構成され、入射した光子数(入力した光束の光量に対応する)に応じた出力信号を出力する。
【0021】
HPD24は、入射する光子の数に応じた光電子を放出する光電面24aと光電面24aから放出された光電子の数に応じた出力信号を出力する半導体検出器であるアバランシェフォトダイオード(以下、APD24bという)とを、真空筐体24c内に対向配置して構成されている。ここで、光電面24aには、高圧電源24d(加速手段)によって負の高電圧(例えば−8kV)が印加されており、APD24bのアノード−カソード間には、バイアス回路24eによって逆バイアス電圧(例えば+150V)が印加されている。また、HPD24には、図示しない電子レンズ部が設けられており、光電面24aから放出された光電子を効率よくAPD24bに入射させることができるようになっている。
【0022】
以下、説明を簡略化するため、光電面24aの量子効率(光子から光電子への変換効率)を100%とし、光子が1つ入射すれば、光電面24aから光電子が1つ放出されるとして説明する。
【0023】
光電面24aに光子が入射すると、光電面24aからは入射した光子の数に応じた光電子が放出される。かかる光電子は電界の作用によって加速され、電子レンズ部の作用によって収束されてAPD24bに入射する。APD24bに入射した光電子は、そのエネルギーを失う際に多数の正孔−電子対を生成し、これが初段の増倍率になる。初段の増倍率は、電子の加速電圧(光電面に印加した電圧)に依存し、かかる電圧が−8kVの場合で約1200となる。その後、電子はさらに50倍程度にアバランシェ増倍する。その結果、APD24b全体で約60000倍のゲインが得られる。ここで、初段の増倍率が約1200と極めて大きいことから、APD24bを用いたHPD24の増倍ゆらぎは極めて小さい。従って、HPD24を用いることにより、図2に示すマルチフォトンに対する出力波高分布図からわかるように、入射した光子がいくつであるかを区別して検出することができる。ここで、図2は、光電面24aの印加電圧を−8kV、APD24bの逆バイアス電圧を+150Vとし、オルテック社の型番142Aのプリアンプを用いて測定した結果である。また、HPD24のゲインが約60000となることと、HPD24からの1電子に対応する出力波形の半値幅(FWHM)が約6nsとなることを考慮すると、HPD24から出力される電流のピーク値は、1光子あたり約2.0μAとなる。
【0024】
TZアンプ26は、HPD24のAPD24bから出力された電流信号を増幅するとともに、電圧に変換して出力する電流電圧変換回路である。かかるTZアンプ26としては、1μAを50mV程度に増幅する増幅率を有し、300MHz程度の帯域を有することが好ましく、例えばMiteq社のAU−1494−300(商品名)等が好適である。
【0025】
ここで、上記増幅率により、TZアンプ26から出力される電圧のピーク値Voは、1光子あたり約0.1Vとなる。また、TZアンプ26から出力される出力信号の波形は、APD24bの応答波形に依存する。ここで、例えば有効径が3mmのAPD24bを用いると、出力信号は、ライズタイムが1ns、フォールタイムが13nsの波形となる。すなわち、1つの光子が入射した場合にTZアンプ26から出力される出力信号の継続時間Toは14nsとなる。
【0026】
タイミング信号発生回路14は、上記HPD24に1つの光子が入射して光電面24aから1つの光電子が放出された場合にTZアンプ26から出力される出力信号の継続時間Toよりも小さい周期Tsを有する周期信号であるタイミング信号を生成する。より詳細には、1つの光子が入射した場合にTZアンプ26から出力される出力信号は図3(a)に示すような波形となっており、その継続時間Toは14nsである。ここで、タイミング信号発生回路14は、図3(b)に示すように、周期Tsが3.5ns(上記継続時間Toの1/4)のパルス信号であるタイミング信号を生成する。また、タイミング信号発生回路14は、生成したタイミング信号をA/D変換器16に対して出力する。
【0027】
A/D変換器16は、タイミング信号発生回路14からのタイミング信号をトリガとして、TZアンプ26から出力される出力信号をA/D変換する。ここで、A/D変換器16は、1つの光子が入射して1つの光電子が放出された場合にTZアンプ26から出力される出力信号の最大値Vo(0.1V)と略等しいチャネル幅Vcを有するように、分解能が調節されている。すなわち、入力レンジ(0〜0.4V)を4階調に分割し、入力電圧が0.05V以下の場合はデジタル値”0”、0.05V〜0.15V(チャネル幅0.1V)の場合はデジタル値”1”、入力電圧が0.15V〜0.25V(チャネル幅0.1V)の場合はデジタル値”2”、入力電圧が0.25V〜0.35V(チャネル幅0.1V)の場合はデジタル値”3”を出力する。分解能をこのように調節することで、HPD24に光子が入射していない場合はデジタル値”0”、HPD24に1つの光子が入射した場合はデジタル値”1”、2つの光子が入射したときはデジタル値”2”、3つの光子が入射したときはデジタル値”3”がそれぞれA/D変換器16から出力される。
【0028】
加算器18は、A/D変換器16から出力された出力信号を加算し、その加算値mをCPU20に対して出力する。
【0029】
CPU20は、加算器から出力された上記加算値mに基づいて、HPD24に入射した光子数を計数する。より詳細には、光子数qは、上記出力信号の継続時間Toと上記タイミング信号の周期Tsとの比s(=To/Ts)、上記出力信号の最大値Voと上記チャネル幅Vcとの比r(=Vo/Vc)、上記加算値mを用いて、
【数2】
Figure 0004183849
と表される。ここでkは、継続時間Toに対して上記出力信号がVo/2以上となる時間を表しており、例えば上記出力信号が三角波である場合はk=0.5、指数関数的に減少する波形である場合はk=0.31となる。CPU20はまた、装置全体の制御を行う。
【0030】
また、表示部22には光子数の計数結果等が表示され、また、メモリ23には種々の設定値、光子数の計数結果等が格納される。
【0031】
続いて、本実施形態にかかる光計測装置の動作及び作用について説明する。ここでは簡単のため、HPD24に1つの光子が入射した場合にTZアンプ26から出力される出力信号を、ライズタイムが0ns、フォールタイムが14ns、継続時間Toが14ns、最大値Voが0.1Vの三角波として考える。
【0032】
まず図4(a)に示すように、HPD24に1つの光子が入射した場合、TZアンプ26からの出力信号は、図4(b)に示すような三角波となる。尚、図4(b)の縦軸のTH1,TH2,TH3はそれぞれ、A/D変換器16がデジタル値”1”、”2”、”3”を出力するためのしきい値であり、それぞれ0.05V、0.15V、0.25Vとなっている。
【0033】
TZアンプ26から出力された出力信号は、A/D変換器16によってA/D変換され、加算器18によって加算される。ここで、A/D変換器16からの出力信号(出力値及び出力タイミング)は、TZアンプ26から出力された出力信号とタイミング信号発生回路14から出力されるタイミング信号との位相関係によって、例えば図4(c)のCase1あるいはCase2等のように変化する。ただし、Case1、Case2いずれの場合であっても、加算器18によって加算された加算値mは2となる。
【0034】
加算器18から出力された加算値はCPU20に入力され、CPU20によって入射した光子数が計数される。この場合、k=0.5、s(=To/Ts)=4、r(=Vo/Vc)=1であることから式(2)より、入射した光子数qが1であることが検出される。
【0035】
また、図5(a)に示すように、HPD24に同時に2つの光子が入射した場合は、TZアンプ26から出力信号は図5(b)に示すような三角波(最大値0.2V)となり、A/D変換器16からの出力信号は、例えば図5(c)のCase1あるいはCase2等のようになる。ただし、Case1、Case2いずれの場合であっても、加算器18によって加算された加算値mは4となる。この場合、式(2)より、入射した光子数qが2であることがCPU20によって検出される。
【0036】
また、図6(a)に示すように、HPD24に極めて近い時間間隔をもって4つの光子が入射した場合は、TZアンプ26から出力信号は図6(b)に示すように、一定の時間遅れを有する4つの三角波の合成波となり、A/D変換器16からの出力信号は、例えば図6(c)のCase1あるいはCase2等のようになる。ここで、A/D変換器16からの出力信号がCase1の場合は、加算器18によって加算される加算値mが7となり、Case2の場合は10となる。従って、CPU20によって計数される光子数qは、Case1の場合で3.5、Case2の場合で5となる(真値は4)。
【0037】
ここで、本実施形態にかかる光計測装置10における光子の計数誤差の評価を行う。まず、A/D変換によって生じる誤差(以下、A/D変換誤差σ1という)は、上記出力信号の最大値Voと上記チャネル幅Vcとの比r(=Vo/Vc)を用いて、
【数3】
Figure 0004183849
と表される。また、上記出力信号を三角波と仮定すると、q個の光子が入射した場合の計数誤差σは、上記出力信号の継続時間Toと上記タイミング信号の周期Tsとの比s(=To/Ts)及びA/D変換誤差σ1とを用いて、
【数4】
Figure 0004183849
と表される。
【0038】
例えば、入射する光子の数qを10000個とし、上記s及びrを種々に変化させた場合の計数誤差σを図7に示す。入射する光子の数qが10000個である場合は、光子数の量子的なゆらぎが100個(10000の平方根)となり、量子的なゆらぎによる誤差は0.01(=100/10000)である。一方、本実施形態にかかる光計測装置10は、図7に示すように、s、rが1以上の範囲にあっては、計数誤差σが光子数の量子的なゆらぎによる誤差である0.01(=100/10000)よりも十分小さくなることがわかる。これは、光計測装置10により、必要な計測精度が得られることを意味している。また、本実施形態にかかる光計測装置10は、s、rを大きくすることでさらに計数誤差σを小さくすることが可能となる。
【0039】
さらに、本実施形態にかかる光計測装置10のダイナミックレンジの評価を行う。一般に光計測装置のダイナミックレンジは、A/D変換器の変換能力(A/D変換器の階調、すなわち、所定時間(ほぼパルスペア分解能以内)に入射した光子数をいくつまでA/D変換できるか)によって決まる。ここで、パルスペア分解能τを10nsとした場合の、真のカウントレートnと数え落とし率ξとの関係を図8に示す。図8中、「従来型」と示されているのは、光電子増倍管の出力を常に基準値と比較して基準値を超えた回数を計数する従来型の光計測装置についての関係であり、「d=4」と示されているのは、本実施形態にかかる光計測装置であって、s=4、A/D変換器の階調d=4(2ビット)であるものの関係であり、「d=8」と示されているのは、本実施形態にかかる光計測装置であって、s=4、A/D変換器の階調d=8(3ビット)であるものの関係である。
【0040】
ここで、数え落とし率ξを5%以下とするためには、「従来型」の光計測装置においては、真のカウントレートnを4×106(1/s)程度に抑えなければならず、すなわち、ダイナミックレンジは4×106(1/s)程度となる。これに対して、「d=4」、「d=8」の本実施形態にかかる光計測装置10のダイナミックレンジはそれぞれ1×108(1/s)程度、3×108(1/s)程度となり、極めて広い(「従来型」と比較して2桁大きい)ダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0041】
尚、実際の計測において、A/D変換器16の変換能力を越える数の光子が入射することがあらかじめわかっている場合、あるいは、計測の結果、A/D変換器16の変換能力を越える数の光子が入射したことがわかった場合、ダイナミックレンジを広げるためには、TZアンプ26のゲインを下げることが効果的である。この場合、上記出力信号の最大値Voと上記チャネル幅Vcとの比r(=Vo/Vc)が小さくなるので、図4に示すように計数誤差は大きくなるものの、HPD24における入出力関係の線形性が確保される限度まで光計測装置10のダイナミックレンジを大きくすることが可能となる。ここで、HPD24においては、出力電流が100μA以上まで上記線形性が確保されるので、1×1010(1/s)程度まで光計測装置10ダイナミックレンジを広げることが可能となる。
【0042】
更に、入射光子数が光計測装置10のダイナミックレンジの上限を越える場合は、精度の高い計数を行うためには、HPD24のゲインを下げることも有効である。HPD24のゲインは、光電面24aに印加する電圧、APD24bに印加する逆バイアス電圧によって10〜60000の間で調整可能である。また、上述のTZアンプ26のゲイン、HPD24のゲインは、CPU20から制御するものとしてもよい。
【0043】
続いて、本実施形態にかかる光計測装置10の効果について説明する。本実施形態にかかる光計測装置10は、入射した光子数に応じた光電子を放出させ、当該光電子数に応じた出力信号を光子検出部12から出力し、当該出力信号をA/D変換器16によってA/D変換することで、放出された光電子数、すなわち入射した光子数に応じた出力信号をA/D変換器16から出力することが可能となる。従って、同時に複数の光子が入射した場合であっても、複数個の光子が入射したものとして計数を行うことができる。また、1つの光子が入射して1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間Toよりも小さい周期でA/D変換を行い、A/D変換された出力信号の加算値mに基づいて光子数qを計数することで、1つの光子が入射した場合の出力信号の継続時間Toよりも短い時間間隔を持って入射した複数の光子数の検出確率が高まる。その結果、同時に複数の光子が入射した場合や複数の光子が短い時間間隔を持って入射した場合であっても、入射した光子数を正確に計数することが可能となる。従って、例えばパルスレーザで繰り返し励起される蛍光など、1イベントに2以上の光子を含んでいる場合の光子の計数も、極めて正確に行うことが可能となり、1パルスあたりの蛍光に含まれる光子数の計数なども可能となる。さらに、複数の光子が短い時間間隔を持って入射した場合であっても、入射した光子数を正確に計数することが可能となることから、TZアンプ26、A/D変換器16に高速応答性が要求されなくなり、光計測装置10自体を安価に構成することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態にかかる光計測装置10は、HPD24を用いることで、同時に、あるいは極めて近い時間間隔をもって入射する光子数を効果的に検出することができる。
【0045】
また、本実施形態にかかる光計測装置10は、タイミング信号発生回路14が生成するタイミング信号の周期を、1つの光子が入射して1つの光電子が放出される場合の出力信号の継続時間Toの1/4とすることで、短い時間間隔を持って入射した複数の光子数の検出確率を高めることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態にかかる光計測装置10は、A/D変換器16のチャネル幅を出力信号の最大値Voと略等しくすることで、入射する光子数をそのままA/D変換器16の出力値とすることが可能となる。
【0047】
上記実施形態にかかる光計測装置10においては、タイミング信号発生回路14が生成するタイミング信号の周期を、1つの光子が入射した場合の出力信号の継続時間Toの1/4としていたが、1/2、1/8などにしてもよい。かかるタイミング信号の周期を小さくすれば光子の計数精度が高まり、一方、タイミング信号の周期を大きくすれば、A/D変換器16、加算器18、CPU20等の処理負担が軽減する。
【0048】
また、上記実施形態にかかる光計測装置10においては、A/D変換器16のチャネル幅を出力信号の最大値Voと略等しくしていたが、当該チャネル幅を力信号の最大値Voよりも小さくしてもよい。A/D変換器16のチャネル幅を出力信号の最大値Voよりも小さくすることで、入射する光子数を精度よく検出することが可能となる。
【0049】
また、上記実施形態にかかる光計測装置10においては、半導体検出器としてAPD24bを用いていたが、これは、フォトダイオードなどでもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明の光計測装置は、入射した光束の光量に応じた光電子を放出させ、当該光電子数に応じた出力信号を光子検出手段から出力し、当該出力信号をA/D変換手段によってA/D変換することで、放出された光電子数に応じた出力信号をA/D変換手段から出力することが可能となる。従って、同時に複数の光電子が放出された場合であっても、複数個の光電子が放出されたものとして計数を行うことができる。また、1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間よりも小さい周期でA/D変換を行い、A/D変換された出力信号の加算値に基づいて光電子数を計数することで、1つの光電子が放出された場合の出力信号の継続時間よりも短い時間間隔を持って放出された複数の光電子数の検出確率が高まる。その結果、入射する光束の光量が大きく、同時に複数の光電子が放出される場合や複数の光電子が短い時間間隔を持って放出される場合であっても、放出される光電子数を正確に計数することでき、入射した光束の光量を正確に計測することが可能となる。
【0051】
また、本発明の光計測装置においては、入射する光束の光量に応じた光電子を放出する光電面と、光電面から放出された光電子を加速する加速手段と、加速手段によって加速された光電子を入射させ、当該光電子の数に応じた出力信号を出力する半導体検出器とを備えた光子検出手段を用いることで、同時に、あるいは極めて近い時間間隔をもって放出される光電子数を効果的に検出することができる。
【0052】
また、本発明の光計測装置は、周期信号生成手段によって生成する周期信号を、1つの光電子が放出される場合の出力信号の継続時間の1/2よりも小さくすることで、短い時間間隔を持って放出された複数の光電子数の検出確率を高めることが可能となる。
【0053】
また、本発明の光計測装置においては、A/D変換手段のチャネル幅を出力信号の最大値と略等しくすることで、放出される光電子数をそのままA/D変換手段の出力値とすることが可能となる。
【0054】
また、本発明の光計測装置においては、A/D変換手段のチャネル幅を出力信号の最大値よりも小さくすることで、放出される光電子数を精度よく検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光計測装置の構成図である。
【図2】出力波高分布図である。
【図3】出力信号とタイミング信号との波形を示す図である。
【図4】A/D変換器の出力を示す図である。
【図5】A/D変換器の出力を示す図である。
【図6】A/D変換器の出力を示す図である。
【図7】計数誤差を示すグラフである。
【図8】数え落とし率を示すグラフである。
【符号の説明】
10…光計測装置、12…光子検出部、14…タイミング信号発生回路、16…A/D変換器、18…加算器、20…CPU、22…表示部、23…メモリ、24…HPD、26…TZアンプ

Claims (6)

  1. 入射する光束の光量に応じた光電子を放出し、該光電子の数に応じた出力信号を出力する光検出手段と、
    1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号の継続時間よりも小さい周期を有する周期信号を生成する周期信号生成手段と、
    前記周期信号生成手段によって生成された前記周期信号に基づいて前記光検出手段から出力された前記出力信号をA/D変換するA/D変換手段と、
    前記A/D変換手段によってA/D変換された前記出力信号を加算する加算手段と、
    前記加算手段によって加算された前記A/D変換手段の前記出力信号の加算値m、1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号の継続時間Toと前記周期信号生成手段の周期信号の周期Tsとの比s=To/Ts、1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号の最大値Voと前記A/D変換手段のチャネル幅Vcとの比r=Vo/Vc、及び、1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号が前記光検出手段の出力信号の継続時間Toに対してVo/2以上となる時間kに基づいて下記式
    q=m/(k×s×r)
    を用いて前記光検出手段に入射した光子数qを計数し、前記光検出手段に入射した光束の光量を算出する光量算出手段と
    を備えたことを特徴とする光計測装置。
  2. 前記光検出手段は、
    真空気密された容器と、
    前記容器内に配置され、入射する光束の光量に応じた光電子を放出する光電面と、
    前記光電面から放出された前記光電子を加速する加速手段と、
    前記容器内に配置され、前記加速手段によって加速された前記光電子を入射させ、該光電子の数に応じた出力信号を出力する半導体検出器と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
  3. 前記半導体検出器は、アバランシェフォトダイオードであることを特徴とする請求項2に記載の光計測装置。
  4. 前記周期信号生成手段は、1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号の継続時間の1/2以下の周期を有する周期信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光計測装置。
  5. 前記A/D変換手段は、1つの光電子が放出された場合に前記光検出手段から出力される出力信号の最大値と略等しいチャネル幅を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光計測装置。
  6. 前記A/D変換手段は、1つの光電子が放出された場合に前記光子検出手段から出力される出力信号の最大値よりも小さいチャネル幅を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光計測装置。
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