JP4182274B2 - 軟水化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、硬度成分を含む原水を軟水にイオン交換処理する軟水化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ボイラ,温水器あるいは冷却器等の冷熱機器類への給水ラインには、冷熱機器内でのスケール付着を防止する必要から、供給水に含まれる硬度成分を除去するための装置が接続されており、なかでもイオン交換樹脂を用いて硬度成分を除去する方式の自動再生式軟水器が広く普及している。この種の軟水器は、Na+型イオン交換樹脂を用い、水中に含まれる硬度成分のCa2+あるいはMg2+等の金属陽イオンをNa+と置換させ、硬度成分を取り除くものである。そして、前記イオン交換樹脂が陽イオンと置換して飽和状態になり、硬度成分の除去能力を失った場合には塩水と反応させて、能力を再生する再生作動を行うようにしている。
【0003】
一般的に、再生作動を効率的に行うためには、前記イオン交換樹脂の飽和度合を検出して、その状態に応じた必要最小量の再生用塩水を供給したり、飽和度合に応じて適切なタイミングで再生制御を行うことが望ましい。従来の制御方法として、前記軟水器を設置する場合、あらかじめその場所の供給水の硬度を測定し、その測定値に基づいて、所定容量の前記イオン交換樹脂が処理することができる処理水量(すなわち、前記イオン交換樹脂が再生作動に至るまでに軟水化処理することができる水量)を算出し、この算出した処理水量に供給水の通水量が達した時点で再生作動を行う流量再生方式がある。
【0004】
ところで、前記流量再生方式において、原水ラインへ供給する供給水の硬度の検出は、前記軟水器の設置時に供給する供給水(地下水,水道水等)の硬度をあらかじめ検出し、この検出値に基づいて処理水量を算出している。しかしながら、前記供給水,とくに地下水の硬度は、季節的な要因で変動する。そのため、前記イオン交換樹脂が破過状態(硬度もれの状態)にならないように、前記算出した処理水量から減量し、安全側となるような処理水量に設定している。そのため、前記イオン交換樹脂に処理能力がある場合(いわゆる残存能力がある場合)においても、再生作動を行うこととなることがあり、再生用の塩水が無駄となるおそれがある。
【0005】
また、前記軟水器が組込まれるボイラ設備等にあっては、24時間以上に亘る連続運転が行われており、これに対応して、前記軟水器も24時間以上に亘って処理水を連続供給する必要がある。しかしながら、前記軟水器は、前記のように、再生作動を行うことが必要であり、この再生作動中は、処理水を供給できないと云う問題点がある。この問題点に対しては、前記軟水器を複数台用いる等の種々の改良がなされているが、依然として、再生用の塩水が無駄となるおそれがある点に関しては、未だ解消されておらず、とくに複数台用いた場合の塩水の無駄が膨大となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記課題に鑑み、24時間以上に亘る処理水の連続供給を可能とし、かつ塩水の節約を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、軟水器1への供給水の硬度を測定する入口硬度測定手段9と、前記軟水器1通過後の処理水の流量を測定する処理水量測定手段10とを備えた軟水化装置を複数台並列設置し、これらの各軟水化装置の通水作動,再生作動を切換可能に接続するとともに、前記軟水器1,前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10を制御器13と接続した軟水化装置であって、前記制御器13は、前記各軟水器1におけるイオン交換樹脂の処理能力から次回再生までの硬度除去量の設定値をあらかじめ設定し、前記入口硬度測定手段9の検出値と前記処理水量検出手段10の検出値から通水作動中の前記軟水器1における硬度除去量の積算値を経時的に求め、前記積算値が前記設定値と等しくなったとき、通水作動を停止して再生作動を開始するように制御するものであり、前記入口硬度測定手段9は、供給水を所定量収容した容器へ硬度測定用指示薬を添加して、硬度測定用指示薬の反応による供給水の色相の変化を特定波長の光を照射したときの吸光度から検出し、供給水中の硬度を測定するものであることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記各軟水器への給水ラインに前記各軟水器へ供給水を分岐する分岐部を設け、また前記各軟水器からの処理水を合流させる合流手段を設けるとともに、この合流手段に処理水ラインを接続したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記分岐部の上流側に前記入口硬度測定手段を設けるとともに、前記合流手段の下流側に前記処理水量測定手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明は、塩水タンクを単数個設け、この塩水タンクと前記各軟水器とを塩水ラインに設けた切換手段を介してそれぞれ切換可能に接続したことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、軟水器への供給水の硬度を軟水器の入口側において測定する手段と、軟水器通過後の処理水の流量を測定する手段とを備え、前記入口硬度測定手段の検出値と処理水量から前記軟水器の再生作動を制御する制御器を設けた構成の軟水化装置において実施することができる。
【0012】
前記軟水化装置の基本的な構成として、イオン交換樹脂を充填した樹脂筒とコントロールバルブとを備えてなる。このコントロールバルブには、前記樹脂筒へ水を供給する給水ラインと、軟水化処理された処理水を軟水タンクへ供給する処理水ラインが接続されている。また、このコントロールバルブには、塩水ラインを介して塩水タンクが接続されているとともに、ドレンラインが接続されている。そして、前記給水ラインには、供給水の硬度を測定する硬度検出手段としての入口硬度測定手段が設けられており、また前記処理水ラインには、処理水量測定手段が設けられている。さらに、前記コントロールバルブ,前記入口硬度測定手段および前記処理水量測定手段は、信号線を介してそれぞれ制御器に接続されている。
【0013】
そして、処理水を24時間連続的に供給するための対応として、軟水化装置を複数台並列設置している。この場合の基本的な構成として、前記コントロールバルブ,前記入口硬度測定手段,前記処理水量測定手段等を備えた軟水化装置をそれぞれ並列状態で複数台設置している。これらの各軟水化装置は、それぞれ独立して通水作動,再生作動等を行うことができるように、切換可能に接続されている。すなわち、給水ラインと処理水ラインとの間に、それぞれ独立して軟水化処理機能を有する複数台の軟水化装置が並列状態で切換可能に接続されている。したがって、前記各軟水化装置を通水状態,再生状態,待機状態等に切り換えることができ、よって処理水の24時間以上に亘る連続供給に対応することとなる。
【0014】
また、前記各軟水化装置の複数台並列装置の形態にあっては、前記各軟水化装置を構成する機器のうち共通化可能な機器は、共通化できるように接続されている。
【0015】
すなわち、まず前記入口硬度測定手段にあっては、前記給水ラインに前記各軟水化装置へ供給水をそれぞれ供給するために、前記給水ラインを分岐する分岐部を設け、この分岐部の上流側に前記入口硬度測定手段を設けた構成としている。これにより、前記各軟水化装置への供給水の入口硬度を一つの測定手段で検出することができる。
【0016】
つぎに、前記処理水量測定手段にあっては、前記処理水ラインに前記各軟水化装置からの処理水の合流手段を設け、この合流手段の下流側に前記処理水量測定手段を設けた構成としている。これにより、前記各軟水化装置の通水作動中における処理水量を一つの測定手段でそれぞれ個別に検出することができる。
【0017】
さて、ここで、前記構成の軟水化装置の制御について説明する。ここにおける制御は、前記各軟水器におけるイオン交換樹脂の処理能力から次回再生までの硬度除去量の設定値をあらかじめ設定し、水を供給する給水ラインに設けた入口硬度測定手段の検出値と、軟水化処理された処理水の処理水量検出手段の検出値から硬度除去量の積算値を経時的に求め、前記積算値が前記設定値と等しくなったとき、軟水器の再生作動を開始するものである。すなわち、再生作動の開始は、軟水器の樹脂筒に充填したイオン交換樹脂の交換能力と、前記入口硬度測定手段により測定した硬度と前記処理水量検出手段の流量とによる硬度除去量の積算値(すなわち、イオン交換を行ったイオン交換樹脂の交換量)とがほぼ等量になったとき制御器へ通報し、再生作動を開始するものである。
【0018】
以上のように、この発明における軟水化装置によれば、イオン交換樹脂の再生を効率よく行うことができるとともに、再生を確実,かつ的確に行うことができる。さらには、24時間以上に亘る処理水の連続供給が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1に基づいて、この発明の軟水化装置の基本構成となる軟水器について説明する。図1は、軟水器の基本構成を概略的に示す説明図である。
【0020】
図1において、軟水器1の基本構成として、イオン交換樹脂(図示省略)を充填した樹脂筒2とコントロールバルブ3とを備えている。このコントロールバルブ3には、このコントロールバルブ3へ水を供給する給水ライン4と、軟水化処理された処理水を軟水タンク(図示省略)へ供給する処理水ライン5がそれぞれ接続されている。また、前記コントロールバルブ3には、前記イオン交換樹脂を再生するための塩水を貯留した塩水タンク6が塩水ライン7を介して接続されている。さらに、前記塩水ライン7の接続側の反対側にはドレンライン8を接続している。
【0021】
さて、前記給水ライン4には、前記軟水器の1の入口側の供給水の硬度を検出する入口硬度測定手段9が設けられている。そして、前記処理水ライン5には、前記軟水器1を通過した処理水の流量を測定する処理水量測定手段10と、前記軟水器1を通過した処理水の硬度を測定し、硬度もれを検出する硬度もれ検出手段11がそれぞれ設けられている。さらに、前記コントロールバルブ3,前記入口硬度測定手段9,処理水量測定手段10および前記硬度もれ検出手段11は、信号線12を介してそれぞれ制御器13に接続されている。この制御器13には、硬度もれを外部へ報知する警報器14を備えている。
【0022】
前記入口硬度測定手段9は、供給水中に含まれる硬度を正確に検出する硬度測定装置であって、たとえば硬度測定用指示薬を添加したときの発色により硬度を判定する方法等が用いられる。前記硬度測定用指示薬を用いる方法は、供給水を所定量収容した透明容器(図示省略)へ前記硬度測定用指示薬を添加して、前記硬度測定用指示薬の反応による供給水の色相の変化を特定波長の光を照射したときの吸光度から、供給水中の硬度を測定するものである。そして、測定した供給水の硬度を前記制御器13へ通報する。
【0023】
前記構成における軟水器1の再生制御は、供給水中の硬度が季節的な要因等により変動したとき、前記イオン交換樹脂の再生開始時期を効率的に制御するものである。そこで、まず前記軟水器1におけるイオン交換樹脂の処理能力から、次回の再生までに硬度除去が可能な硬度除去量の設定値をあらかじめ設定する。ついで、通水作動中における前記入口硬度測定手段9の検出値(入口硬度)と前記処理水量測定手段10の検出値(処理水量)に基づいて、通水作動中の硬度除去量の積算値を経時的に求める。そして、この積算値が前記設定値と等しくなった時点で通水作動を停止し、再生作動を開始するように制御する。すなわち、前記設定値と前記積算値とに基づいて、前記イオン交換樹脂の再生開始時期を制御するものである。
【0024】
そして、前記再生開始時期の制御は、前記軟水器1の入口側の供給水の硬度測定の結果から、前記イオン交換樹脂への通水量を増減することにより行う。この通水量の増減は、実際には、通水時間の長短で行なわれることになる。すなわち、入口硬度が高いときは、前記積算値が比較的早く前記設定値に到達するので、通水時間は比較的短時間となる。また、入口硬度が低いときは、前記積算値が比較的遅く前記設定値に到達することになり、したがって通水時間が反対に比較的長時間となる。したがって、この制御方法によれば、供給水の入口硬度に対応して、前記イオン交換樹脂の前記設定値に応じた通水量を特定することができる。
【0025】
一方、再生作動に関しては、前記イオン交換樹脂の処理能力が無くなった時点,すなわち前記設定値と前記積算値とが等しくなった時点で再生作動を開始するので、塩水の必要最小量での再生が可能になり、塩水の無駄が無くなる。すなわち、前記イオン交換樹脂の残存能力が残っている時点での再生開始を無くすることができ、塩水の無駄が無くなる。
【0026】
さらに、前記硬度もれ検出手段11は、供給水を軟水化処理しているときのバックアップ制御手段であって、前記硬度もれ検出手段11から硬度もれが前記制御器13へ通報されると、前記制御器13からは、前記イオン交換樹脂の劣化等と判断し、前記警報器14から警報を発して硬度もれを通報するとともに、直ちに前記軟水器1を再生作動へ移行させる。
【0027】
さて、この発明の第一実施例を図2に基づいて詳細に説明する。この第一実施例を示す図2において、前記軟水器1の基本構成を示す図1において使用した符号と同一の符号は、同一の部材名を表しており、その詳細な説明は省略する。そして、図2は、軟水化装置による処理水の24時間以上に亘る連続供給に対応するための形態であり、前記軟水器1を2台並列に設置した場合の説明図である。また、この図2においては、前記軟水化装置を構成する機器のうち、共通化可能な機器は、共通化したものとして図示している。
【0028】
図2において、第一軟水器21と第二軟水器22は、前記給水ライン4と前記処理水ライン5との間に並列状態で設置されており、それぞれ独立して通水作動状態(軟水化処理作動)と再生作動状態となることができるように接続されている。
【0029】
まず、前記両軟水器21,22における供給水の入口側について説明すると、前記両軟水器21,22と前記給水ライン4とは、前記給水ライン4から分岐した第一給水ライン23と第二給水ライン24を介してそれぞれ接続されている。そして、これら両給水ライン23,24の分岐部25の上流側(すなわち、前記給水ライン4の部分)には、前記入口硬度測定手段9が設けられている。これにより、前記入口硬度測定手段9を一つ設けるのみで、前記両軟水器21,22への供給水の入口硬度を検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9を前記両給水ライン23,24のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0030】
つぎに、前記両軟水器21,22における処理水の出口側について説明すると、前記第一軟水器21の第一処理水ライン26と前記第二軟水器22の第二処理水ライン27とは、三方弁等の合流手段28を介して合流しており、この合流手段28と前記処理水ライン5とが接続している。この合流手段28の切換操作により、前記両処理水ライン26,27のいずれかと前記処理水ライン5とが連通する。そして、前記合流手段28の下流側(すなわち、前記処理水ライン5の部分)には、前記処理水量測定手段10が設けられている。これにより、前記処理水量測定手段10を一つ設けるのみで、前記両軟水器21,22の通水時における処理水量をそれぞれ個別に検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9と同様、前記処理水量測定手段10を前記両処理水ライン26,27のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0031】
つぎに、前記塩水タンク6について説明すると、この実施例における具体例として、前記塩水タンク6を一個設けた場合の構成について説明する。前記塩水ライン7は、その下流側,すなわち前記両軟水器21,22に近い側において、三方弁等の切換手段29を介して第一塩水ライン30と第二塩水ライン31とに分岐し、前記第一塩水ライン30は前記第一軟水器21のコントロールバルブ3と接続し、また前記第二塩水ライン31は前記第二軟水器22のコントロールバルブ3と接続している。したがって、前記切換手段29の切換操作により、前記塩水タンク6内の塩水を前記両軟水器21,22のいずれかへ供給する。ここにおいて、前記塩水タンク6は、前記両軟水器21,22のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0032】
さらに、前記硬度もれ検出手段11について説明すると、この硬度もれ検出手段11は、前記処理水量測定手段10の下流側に一個設けられている。これにより、前記各軟水器21,22の通水時における硬度もれを一つの検出手段でそれぞれ個別に検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10と同様、前記硬度もれ検出手段11を前記両処理水ライン26,27のそれぞれに設けることも,すなわち前記硬度もれ検出手段11を前記両軟水器21,22のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0033】
ここで、この第一実施例における作用を説明する。まず、前記両軟水器21,22の個々の再生制御は、図1に示した軟水器1の再生制御と同様、通水作動中となっているいずれかの軟水器の前記積算値が前記設定値に到達した時点で、その軟水器の再生作動を開始するようになっている。
【0034】
この第一実施例について、たとえば前記第一軟水器21が通水作動中であり、前記第二軟水器22が再生作動を終了した待機状態である場合について説明すると、この状態において、前記第一軟水器21は、前記第一給水ライン23を介して前記給水ライン4と連通しており、また前記第一処理水ライン26を介して前記処理水ライン5と連通している。また、前記第一軟水器21は、前記塩水タンク6とは、前記塩水ライン7および前記第一塩水ライン30を介して連通している。一方、前記第二軟水器22は、前記第二給水ライン24を介して前記給水ライン4と連通しているが、前記合流手段28および前記切換手段29の作用により、前記処理水ライン5および前記塩水ライン7との連通は遮断されている。
【0035】
さて、前記第一軟水器21の通水作動が継続しているとき、前記制御器13は、前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10からの検出値に基づいて、前記第一軟水器21の硬度除去量の積算値を経時的に演算する。そして、前記第一軟水器21の前記積算値が前記設定値に到達すると、前記制御器13は、前記第一軟水器21の通水作動を停止するとともに、再生作動を開始させる。これと同時に、前記合流手段28を切換操作して前記第二軟水器22の前記第二処理水ライン27と前記処理水ライン5とを連通させる。これにより、前記第一軟水器21の前記第一処理水ライン26と前記処理水ライン5との連通が遮断される。したがって、前記第一軟水器21が再生作動状態となるとともに、前記第二軟水器22が通水作動状態となる。
【0036】
そして、前記第二軟水器22の前記積算値が前記設定値に到達すると、前記と同様、前記第二軟水器22の通水作動が停止し、再生作動を開始する。一方、再生作動が終了して待機状態となっている前記第一軟水器21の通水作動が開始する。以下、このような制御を繰り返し、前記両軟水器21,22を交互に通水作動と再生作動とへ移行させ、24時間以上に亘る処理水の連続供給を可能としている。
【0037】
ところで、前記両軟水器21,22の再生作動について簡単に説明すると、この再生作動は、通常行われている再生作動と同様、逆洗工程,塩水再生工程,水洗工程,補水工程等を含むもので、これらの各工程は、前記両軟水器21,22の各コントロールバルブ3の制御により、それぞれ個別に行われる。
【0038】
したがって、この第一実施例においては、前記各工程が終了した時点で、前記制御器13は、前記切換手段29を切換操作し、通水作動中の軟水器のコントロールバルブ3と前記塩水ライン7とを連通させる。すなわち、通水作動中の軟水器は、通水初期においては、前記塩水ライン7とは遮断された状態となっているが、もう一方の軟水器の前記各工程が終了した時点で連通状態となる。そして、もう一方の軟水器は、つぎの通水作動に備えての待機状態となる。
【0039】
さらに、前記制御器13は、待機状態となった軟水器におけるイオン交換樹脂の処理能力から、その軟水器について、次回再生までの硬度除去量をあらかじめ設定する。
【0040】
ここで、前記硬度もれ検出手段11の作用について説明すると、前記硬度もれ検出手段11は、供給水を軟水化処理しているときのバックアップ制御手段であって、前記硬度もれ検出手段11から硬度もれが前記制御器13へ通報されると、前記制御器13からは、前記イオン交換樹脂の劣化等と判断し、前記警報器14から警報を発して硬度もれを通報するとともに、直ちに通水作動中の軟水器を再生作動へ移行させる。これと同時に、前記制御器13は、待機状態の軟水器に通水作動を開始させる。
【0041】
以上のように、この第一実施例によれば、処理水の24時間以上に亘る連続供給が可能となる。
【0042】
つぎに、この発明の第二実施例を図3に基づいて詳細に説明する。この第二実施例を示す図3において、図1および図2において使用した符号と同一の符号は、同一の部材名を表しており、その詳細な説明は省略する。
【0043】
さて、図3は、軟水化装置による処理水の24時間以上に亘る連続供給が必要となる場合に対応するための他の形態であり、前記軟水器1を3台並列に設置した場合の説明図である。また、この図3においては、前記軟水化装置を構成する機器のうち、共通化可能な機器は、共通化したものとして図示している。
【0044】
図3において、第三軟水器41と第四軟水器42と第五軟水器43は、前記給水ライン4と前記処理水ライン5との間に並列状態で設置されており、それぞれ独立して通水作動状態(軟水化処理作動)と再生作動状態となることができるように接続されている。
【0045】
まず、前記各軟水器41,42,43における供給水の入口側について説明すると、前記各軟水器41,42,43と前記給水ライン4とは、前記給水ライン4から分岐した第三給水ライン44,第四給水ライン45および第五給水ライン46を介してそれぞれ接続されている。そして、これらの各給水ライン44,45,46の分岐部25の上流側(すなわち、前記給水ライン4の部分)には、前記入口硬度測定手段9が設けられている。これにより、前記入口硬度測定手段9を一つ設けるのみで、前記各軟水器41,42,43への供給水の入口硬度を検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9を前記各給水ライン44,45,46のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0046】
つぎに、前記各軟水器41,42,43における処理水の出口側について説明すると、前記第三軟水器41の第三処理水ライン47,前記第四軟水器42の第四処理水ライン48および前記第五軟水器43の第五処理水ライン49は、四方弁等の合流手段50を介して合流しており、この合流手段50と前記処理水ライン5とが接続している。この合流手段50の切換操作により、前記各処理水ライン47,48,49のいずれかと前記処理水ライン5とが連通する。そして、前記合流手段50の下流側(すなわち、前記処理水ライン5の部分)には、前記処理水量測定手段10が設けられている。これにより、前記処理水量測定手段10を一つ設けるのみで、前記各軟水器41,42,43の通水時における処理水量をそれぞれ個別に検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9と同様、前記処理水量測定手段10を前記各処理水ライン47,48,49のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0047】
つぎに、前記塩水タンク6について説明すると、この実施例における具体例として、前記塩水タンク6を一個設けた場合の構成について説明する。前記塩水ライン7は、その下流側,すなわち前記各軟水器41,42,43に近い側において、四方弁等の切換手段51を介して第三塩水ライン52,第四塩水ライン53および第五塩水ライン54に分岐し、前記第三塩水ライン52は前記第三軟水器41のコントロールバルブ3と接続し、また前記第四塩水ライン42は前記第四軟水器42のコントロールバルブ3と接続し、さらに前記第五塩水ライン43は前記第五軟水器43のコントロールバルブ3と接続している。したがって、前記切換手段51の切換操作により、前記塩水タンク6内の塩水を前記各軟水器41,42,43のいずれかへ供給する。ここにおいて、前記塩水タンク6は、前記各軟水器41,42,43のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0048】
さらに、前記硬度もれ検出手段11について説明すると、この硬度もれ検出手段11は、前記第一実施例と同様、前記処理水量測定手段10の下流側に一個設けられている。これにより、前記各軟水器41,42,43の通水時における硬度もれを一つの検出手段でそれぞれ個別に検出することができる。もちろん、前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10と同様、前記硬度もれ検出手段11を前記各処理水ライン47,48,49のそれぞれに設けることも,すなわち前記硬度もれ検出手段11を前記各軟水器41,42,43のそれぞれに設けることも、実施に応じて好適である。
【0049】
ここで、この第二実施例における作用を説明する。まず、前記各軟水器41,42,43の個々の再生制御は、前記第一実施例の再生制御と同様、通水作動中となっているいずれかの軟水器の前記積算値が前記設定値に到達した時点で、その軟水器の再生作動を開始するようになっている。
【0050】
この第二実施例について、たとえば前記第三軟水器41が通水作動中であり、前記第四軟水器42が再生作動中であり、前記第五軟水器43が待機状態である場合について説明すると、この状態において、前記第三軟水器41は、前記第三給水ライン44を介して前記給水ライン4と連通しており、また前記第三処理水ライン47を介して前記処理水ライン5と連通している。また、前記第三軟水器41は、前記塩水タンク6とは、前記塩水ライン7および前記第三塩水ライン52を介して連通している。また、前記第四軟水器42は、前記第四給水ライン45を介して前記給水ライン4と連通しているが、前記合流手段50の作用により、前記処理水ライン5との連通は遮断されている。さらに、前記第五軟水器43は、前記第五給水ライン46を介して前記給水ライン4と連通しているが、前記合流手段50および前記切換手段51の作用により、前記処理水ライン5および前記塩水ライン7との連通は遮断されている。
【0051】
さて、前記第三軟水器41の通水作動が継続しているとき、前記制御器13は、前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10からの検出値に基づいて、前記第三軟水器41の硬度除去量の積算値を経時的に演算する。そして、前記第三軟水器41の前記積算値が前記設定値に到達すると、前記制御器13は、前記第三軟水器41の通水作動を停止するとともに、再生作動を開始させる。これと同時に、前記合流手段50を切換操作して前記第四軟水器42の前記第四処理水ライン48と前記処理水ライン5とを連通させる。また、同時に、前記切換手段51を切換操作して前記第三軟水器41の第三塩水ライン52と前記塩水ライン7とを連通させる。これにより、前記第三軟水器41の前記第三処理水ライン47と前記処理水ライン5との連通が遮断される。したがって、前記第三軟水器41が再生作動状態となるとともに、前記第四軟水器42が通水作動状態となり、さらに第五軟水器43が待機状態になる。
【0052】
そして、前記第四軟水器42の前記積算値が前記設定値に到達すると、前記と同様、前記第四軟水器42の通水作動が停止し、再生作動を開始する。また、待機状態となっていた前記第五軟水器43の通水作動が開始する。この時点では、前記第三軟水器41の再生作動が終了しており、待機状態となっている。以下、このような制御を繰り返し、前記各軟水器41,42,43をローテーションして通水作動状態と再生作動状態と待機状態とへ移行させ、24時間以上に亘る処理水の連続供給を可能としている。
【0053】
ところで、前記各軟水器41,42,43の再生作動について簡単に説明すると、この再生作動は、前記第一実施例についての説明と同じく、通常行われている再生作動と同様、逆洗工程,塩水再生工程,水洗工程,補水工程等を含むもので、これらの各工程は、前記各軟水器41,42,43の各コントロールバルブ3の制御により、それぞれ個別に行われる。
【0054】
したがって、この第二実施例においては、前記各工程が終了した時点で、前記制御器13は、前記切換手段51を切換操作し、通水作動中の軟水器のコントロールバルブ3と前記塩水ライン7とを連結させる。すなわち、通水作動中の軟水器は、通水初期においては、前記塩水ライン7とは遮断された状態となっているが、再生作動をしている軟水器の前記各工程が終了した時点で連通状態となる。そして、再生作動を完了した軟水器は、つぎの通水作動に備えての待機状態となる。
【0055】
さらに、前記制御器13は、待機状態となった軟水器におけるイオン交換樹脂の処理能力から、その軟水器について、次回再生までの硬度除去量をあらかじめ設定する。
【0056】
ここで、前記硬度もれ検出手段11の作用について説明すると、前記硬度もれ検出手段11は、前記第一実施例の場合と同様、供給水を軟水化処理しているときのバックアップ制御手段であって、前記硬度もれ検出手段11から硬度もれが前記制御器13へ通報されると、前記制御器13からは、前記イオン交換樹脂の劣化等と判断し、前記警報器14から警報を発して硬度もれを通報するとともに、直ちに通水作動中の軟水器を再生作動へ移行させる。これと同時に、前記制御器13は、待機状態の軟水器に通水作動を開始させる。
【0057】
以上のように、この第二実施例によれば、処理水の24時間以上に亘る連続供給が可能となる。また、再生作動が通水作動に間に合わないときには、軟水器が2台の場合と異なり、待機状態の軟水器が存在するため、通水作動を停止することなく処理水を24時間以上確実に供給することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、イオン交換樹脂の再生を効率良く行うことができる。したがって、再生作動に必要な塩水を節約することができる。また、軟水化装置を複数台並列に設置することで、処理水の24時間以上に亘る連続供給が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軟水器の基本構成を概略的に示す説明図である。
【図2】この発明の第一実施例を概略的に示す説明図である。
【図3】この発明の第二実施例を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 軟水器
4 給水ライン
5 処理水ライン
6 塩水タンク
7 塩水ライン
9 入口硬度測定手段
10 処理水量測定手段
25 分岐部
28 合流手段
29 切換手段
50 合流手段
51 切換手段
Claims (4)
- 軟水器1への供給水の硬度を測定する入口硬度測定手段9と、前記軟水器1通過後の処理水の流量を測定する処理水量測定手段10とを備えた軟水化装置を複数台並列設置し、これらの各軟水化装置の通水作動,再生作動を切換可能に接続するとともに、前記軟水器1,前記入口硬度測定手段9および前記処理水量測定手段10を制御器13と接続した軟水化装置であって、前記制御器13は、前記各軟水器1におけるイオン交換樹脂の処理能力から次回再生までの硬度除去量の設定値をあらかじめ設定し、前記入口硬度測定手段9の検出値と前記処理水量検出手段10の検出値から通水作動中の前記軟水器1における硬度除去量の積算値を経時的に求め、前記積算値が前記設定値と等しくなったとき、通水作動を停止して再生作動を開始するように制御するものであり、前記入口硬度測定手段9は、供給水を所定量収容した容器へ硬度測定用指示薬を添加して、硬度測定用指示薬の反応による供給水の色相の変化を特定波長の光を照射したときの吸光度から検出し、供給水中の硬度を測定するものであることを特徴とする軟水化装置。
- 前記各軟水器1への給水ライン4に前記各軟水器1へ供給水を分岐する分岐部25を設け、また前記各軟水器1からの処理水を合流させる合流手段28,50を設けるとともに、この合流手段28,50に処理水ライン5を接続したことを特徴とする請求項1に記載の軟水化装置。
- 前記分岐部25の上流側に前記入口硬度測定手段9を設けるとともに、前記合流手段28,50の下流側に前記処理水量測定手段10を設けたことを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置。
- 塩水タンク6を単数個設け、この塩水タンク6と前記各軟水器1とを塩水ライン7に設けた切換手段29,51を介してそれぞれ切換可能に接続したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟水化装置。
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