JP4182208B2 - 発電機能付熱交換器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は燃料ガスを燃焼させ熱を得る通常のガス燃焼器に、電気を発生する能力を持つ特殊な熱交換器を組み込むことにより、熱出力を損なうことなく、電力を外部に取り出すことを可能にする発電機能付熱交換器の製造方法に関する。
通常、都市ガス、プロパンガスなどの燃料ガスは、熱出力を得るために燃焼器で燃焼させられる。燃料ガスは空気と一定の比率で混合され燃焼ノズル部分に供給され、ある部分からは1000℃程度の燃焼炎を形成し燃焼する。燃焼の効率を良くするためには、燃焼によって得られた熱の一部を用いて燃料ガスや空気を予熱することが行われる。すなわち図1に示すように熱の一部を回収し、燃料ガスや空気の温度を上昇させ、より燃焼が容易な状態にして燃焼ノズルに導入する。しかしながら、この過程では燃焼炎温度と導入される燃料ガスの温度の違いを利用してエネルギーを外部に取り出す仕組みは存在せず、単に燃焼によって得られた熱しか取り出せない。
一方、温度差を利用して電力を取り出す方法としては、熱電変換がある。図2に示すように熱電変換ではP型の材料とN型の材料を電気的には直列に、熱的には並列につなぎあわせ、温度差から起電力を得る。負荷を接続すれば外部に出力を取り出すことができる。1つのPN接合では起電力が小さいため、多数のPN対を直列接続し、利用しやすい電圧を取り出す形をとる。これらの技術は公知である。ガス燃焼炎や未利用排熱等に利用される場合、通常は図3のように設置され、熱は高温側から低温側へ熱電材料内部を伝熱していき、低温側に放出される。このエネルギー流のうちの数%程度が電力として外部に回収される。従って、低温側に放出される熱は全て無駄になる。これはシステムとして考えると非常に問題である。つまり例えば5Wの発電するために95Wの熱を低温熱源側に無駄に捨てなくてはならない。
変換効率を向上させ、無駄な伝熱をさせないためには、熱電性能指数Zの高い材料を見いだすことが重要であるとされている。すなわち
性能指数Z=[熱電能]2/([抵抗率]×[熱伝導率]) (1)
で示される指標が重要であり、この値が0.001〜0.003程度以上になると、発電用に利用が可能とされている。式(1)で熱伝導率を用いない式は出力因子と呼ばれ
出力因子=[熱電能]2/[抵抗率] (2)
で表され、同じく熱電材料の発電能力の指標とされ、0.001〜0.003以上が良い材料の一つの目安である。
現実にはこのような性能指数を実現する材料はビスマス、テルル、アンチモン、コバルトなどからなるごく一部の化合物半導体であり、大量に利用される事を想定すると、資源枯渇の問題、環境汚染の問題が顕在化してくると懸念されている。
また高温側は常に高温で動作したり、または高温と低温を往復したりするため、材料の接合部の信頼性が重要であるが、半導体同士、または半導体と金属の接合はまだ研究すべき課題が多く、ましてやこのような接合部が数十、数百と直列に接続されることを考えると著しく信頼性に乏しいシステムになることが予想される。また大量の金属、半導体の形を整形する方法として、ダイアモンドホイールソーやバンドソーによる切断加工が必要であったが、この作業は通常湿式であり、のり付け、切断、剥離等、工程数が多く、加工に時間がかかるという問題もあった。切断によって材料がきられた後はメッキ処理して金属ロウ付け作業を行い、接合を形成しているため、接合形成のために多くの工程が存在していると言わざるを得ない。価格の抑制のためにはこのプロセス技術についても抜本的な改良が必要である。
本発明は以上の既存技術が抱える問題点を解決する具体的な手法を提供するものである。すなわち、
・ガスを燃焼させて熱を得る通常の燃焼器の機能だけではなく、燃焼熱から電気を取り出すことのできる熱交換器であり、かつ電気を取り出すことによって熱が燃焼系外部へ出ることのない、効率の良い発電機能付の熱交換器。
・燃焼炎温度で動作させても熱応力による破損、化学的安定性の問題が生じない、信頼性の高い発電機能付の熱交換器。
・発電する為に必要な多くの接合を信頼性高く形成する発電機能付の熱交換器の製造技術。
を提供することで、ガス燃料を供給するのみで電気と熱をエネルギーを取り出すことができる全く新規な燃焼システムを実現するものである。
発明の発電機能付熱交換器の製造方法は、熱電能が異なる2種類の第1の物質と第2の物質を交互に機械的かつ電気的に接合し、第1の物質から第2の物質に接合する接合端が燃料ガスの流入する上流側に、第2の物質から第1の物質に接合するもう一方の接合端が燃焼している炎中に位置するように、燃料ガスの流れの中に第1及び第2の物質の接合体を配置し、燃焼炎で得た熱を第1及び第2の物質の伝熱によって燃料ガス上流側に運び、燃料ガスを予熱すると同時に第1及び第2の物質の接合部から電圧を取り出すよう構成した発電機能付熱交換器の製造方法であって、前記第1の物質と第2の物質がそれぞれ10μV/K以上の熱電能の絶対値を有する金属、或いは100μV/K以上の熱電能の絶対値を有する半導体で構成し、連結部分により複数個連ねた前記第1の物質と第2の物質の板状部材をそれぞれフォトエッチング法により作製し、これら2種の異なる物質の板状部材を互いに位置あわせを行い、電気的及び機械的に接合した後、前記連結部分を切り離すものである。
また、本発明の発電機能付熱交換器の製造方法は、パターニングした単一の第1の物質に特定の箇所だけマスクを行い、メッキを施し、その後熱処理することで当該部分を電気的に第1の物質と異なるものに変質させ第2の物質の役割をさせ、2種の異なる物質の接合を複数個同時に形成するものである。
また、本発明の発電機能付熱交換器の製造方法は、パターニングした単一の第1の物質に特定の箇所だけマスクを行い、イオン注入処理することで当該部分を電気的に第1の物質と異なるものに変質させ第2の物質の役割をさせ、2種の異なる物質の接合を複数個同時に形成するものである。
本発明は、発電能力を有する熱交換器をガス燃焼器に設置することで、ガスを供給するだけで、熱と電気の両方得ることのできるシステムを構築することができる。
本発明は燃焼系に設置する熱交換器の材質、形状、およびその設置位置が特定の条件下にある時に、熱交換器に発電機能が発現することを中心に構成されたものである。
熱交換器は物質A、物質Bの2種の異なる導電性物質から構成され、これが、図4(右)のように互いに電気的に直列に接合される。電流の流れる順路に従って、物質Aから物質Bに接合される場所は燃焼炎の中にあるように、またその反対側である物質Bから物質Aに接合される場所は、燃料ガスが供給される上流側の燃料ノズル内にあるように素子を設置する。この時のガス流路の温度分布を考えると、燃料ガスの供給側では室温であるが、定常的に燃料が燃焼している炎の中は非常に高温になっている。従って、この場合、物質AおよびBの両端には温度差が発生し、熱起電力が発生する。
物質A物質Bで構成される1対が発生する起電力をEとすると、n対直列接続した場合にはV=E×nの起電力が発生する。
物質A、Bの内部には温度差と物質の熱伝導率に比例した熱流、すなわち熱伝導が発生し、図4(右)に示すように温度が高い燃焼炎近傍から燃料ガスの上流側に熱を運ぼうとする。しかしながら、上流側からは温度が低い燃料ガスが流入してくるため、物質A、Bの表面から熱を奪い、燃料ガスは予熱され、高温の燃料ガスとなって効果的に燃焼反応をおこなうことになる。物質A,Bはよく熱が奪われるよう、例えば、薄板の場合は長さに対して厚みが50分の1以下、または細線の場合は長さに対して20分の1であるため、物質A,B内を流れる伝熱による高温側からの熱流は非常に効果的に燃料ガスの対流により熱回収される。
このため、図3のような熱交換器の配置で通常の熱電で低温側に流れ出てしまう利用できない廃熱が存在せず、かつ、十分に物質内部に温度差が発生するため、発電が可能になる。物質AとBの熱伝導率は温度差を決定する一つではあるが、燃料ガスによる熱回収の効果の方が大きいため、通常、式(1)における熱伝導率が高いため性能指数が低いとされる、コバルト、コンスタンタン、などの金属材料でも温度差を維持することができ、温度差に相当した発電出力を取り出すことができる。例えば、ある燃焼状態で温度差ΔTが定常的に維持されたとすると、1対あたりの内部抵抗R(Ω)、1対あたりの熱電能がα(V/K)、対数nとすると、
開放起電力Voc=α×ΔT×n (3)
最大電力Pmax=α2ΔT2n/(4R) (4)
が得られる。
発電の効果を大きくするためには、これらの物質の熱電能αは大きいほど良い。単体の金属材料は通常、熱電能の大きさは数μV/K程度であるが、合金化することで10μV/K以上の熱電能にすることは可能である。Ni-Cu合金やFe-Si合金などではぞれぞれ、-45μV/K、200μV/Kと熱電能が大きくなる。本発明では10μV/K以上の熱電能を有する金属を複数接続すれば、発電機能がより顕著になる。また半導体で利用する場合も同様に熱電能が大きい方が良いが、特に100μV/K以上の熱電能を有する材料を利用した場合、効果が顕著になる。
温度差を維持する機構は主に燃料ガスによる熱回収であるから、熱伝導率は関係ない。つまり、式1で示す性能指数が大きい材料を探索する必要がなく、式2で示す出力因子が大きい材料を用いれば良いことになる。このため、発電機能付熱交換器に用いる材料の選択肢が大幅に広がる。つまり、Sb、Te、Se、Biなどの重金属を含む熱伝導率の非常に低い化合物を用いなくても、例えば、コンスタンタンのような出力因子だけ大きい材料を選ぶことで発電することが可能である。
また熱交換器を構成する材料に制限がなくなると、熱交換器の加工方法、製造方法にもメリットが現れる。例えば、酸に溶ける無機材料であればフォトエッチング法を利用して複雑な形状を有した熱交換器部品の大量生産ができる。また展性や延性に富んだ金属材料であれば希望の形状にあらかじめ打ち抜き用の金型を作製しておくことで打ち抜き加工による大量生産が可能となる。また接合の形成では、金属のように熱衝撃に強く脆性破壊しない材料では、材料同士を重ねて電流を流し、ジュール発熱で接合する、スポット溶接法も利用可能となる。このようなプロセスを利用して作る熱交換部品の接合は強固であり、電気的にも熱的にも非常に良好である。また金属材料同士を重ねて圧力をかけ、そのままの状態で温度を上げることにより元素を相互に拡散させ接合を形成する拡散接合も利用できる。上記のような方法を利用して各部材の接合を形成すれば、温度衝撃に強い接合を効率良く形成することができる。
また、上述のように異種の材料をそれぞれあらかじめ加工して、後に接合する手法を用いなくても、本発明で必要とする接合を形成することができる。
例えば、単一の種類の材料Aであらかじめ高温側と低温側を往復するような経路を作製しておき、このうち、往復経路のうちの一方、例えば電流経路を一方向に定めた時に、高温側から低温側に向かう経路の表面に異種材料Cをメッキし、後に熱処理を行うと、材料Cが材料A中に拡散していき、この経路部分の抵抗率や熱電能が変化し新しい物性をもつ材料Dになる。すると、最終的には材料Aと材料Dが互いに接続された、本発明が意図する熱交換器が形成され、目的の機能が発現する。
同様の理由から、メッキ処理と熱処理によらなくても、一般的な半導体デバイス製造プロセス、例えばイオン注入法を用いることでも同様の効果を発現させることができる。
メッキ法の場合と同様、あらかじめ単一の種類の材料Aであらかじめ高温側と低温側を往復するような経路を作製しておき、このうち、往復経路のうちの一方、例えば電流経路を一方向に定めた時に、高温側から低温側に向かう経路部分に材料Cのイオン注入を行い、、後に熱処理を行うと、材料Cが材料A中に拡散していき、この経路部分の抵抗率や熱電能が変化し新しい物性をもつ材料Dになる。すると、最終的には材料Aと材料Dが互いに接続された、本発明が意図する熱交換器が形成され、燃焼炎の中に設置したときに発電する、という、本発明が目的とする機能が発現する。
なお、ここで重要なのは、パターニングされた金属や半導体材料は、必ずしも機械的に自立する必要がないということである。つまり電気的に影響しない耐熱性絶縁基板の上に上記のような導電性の経路を形成して、これを熱交換器とし、燃料炎中に配置しても同様の効果が期待できる。例えば10μm程度の金属材料は柔らかく曲がりやすいために機械的に自立させることは困難であるが、100μmのガラス基板上にスパッタ法、蒸着法などで10μmの金属膜を形成すれば、取り扱いが非常に簡単になる。
厚み100μmのクロメル製シート、コンスタンタン製シートを入手し、これらの部材をフォトエッチング法により加工した。加工の形状は図5に示す通りである。図中、1は各部材をつなぎ止めておく連結部分、2はスポット溶接を行うための接合部分、3は発電のために温度差をかける細長い板状の部分、4は各板状部材を等間隔で保持し、接合形成後に切り離すための外枠部分、5は電力を取り出すための電圧取り出し端子部分である。細長い板状の金属部分3(図4の物質A或いは物質Bに相当)の本数は20本であり、長さは10mm、幅は各0.5mmとなっている。この細長い板状金属部分3のそれぞれの長さ方向の両側には、矩形形状の接合部2が一体に形成される。この接合部は、後述のようにスポット溶接して、電気的に直列につながれた20対のクロメルとコンスタンタン素子を形成するように、長さ方向の一方の端に位置する接合部が幅方向の右側に形成されるときには、他方は左側に形成される。そして、最も端に位置する1つの接合部は、他の物質素子とは結合されず、電圧取り出し端子5となる。
図5のようなパターンをクロメル(熱電能は正)、コンスタンタン(熱電能は負)についてそれぞれ作製し、これをお互いに向い合せになるように位置あわせを行い、接合部2が互いに一致するように配置し、接合部2をスポット溶接する。図5の例では対数は20対あり両側は電圧取り出し端子5になっているので、スポット溶接する箇所は39か所となる。スポット溶接は各箇所につき1回でもよいし、少し位置をずらして数回行うとより電気的、機械的に強固に接合できる。全ての接合を形成したら、連結部分1を全て切り離すことで、電気的に直列につながれた20対のクロメルとコンスタンタン素子が形成される。
図6、図7に完成した熱交換器の概略図および写真を示す。図中、部材8と9はクロメルとコンスタンタンであり、接合部6で電気的に接続されている。使用する際は一対の電圧取り出し端子7から熱起電力を取り出す。この熱交換器はシート状金属で構成されているため、可撓性をもち、柔軟であり、熱衝撃や機械衝撃にもたえられる。通常のペルチェモジュールに代表される半導体熱電モジュールとは全く異なる。
フォトエッチング法は5μm程度までの細かいパターンにまで対応できるので、サイズは先述のサイズに限らず、対数は20対に限らず、100対でも1000対でも原理的に対応可能である。対数を増やすことで、先述の通り開放起電力が大きくなる。またスポット溶接法も自動化処理をすることで、信頼性を確保しながら高速に全ての接合を形成することができる。このように、それぞれのパターンをフォトエッチング法により形成し、重ねあわせ、スポット溶接することによって、柔軟で、機械的や熱的に衝撃につよい構造を持つ、発電機能を有する熱交換器を効率良く作製することが可能であることが示された。
発電機能付熱交換器に利用される金属材料が実際に発電能力を有することを示すために、実施例1で示したクロメルシート、コンスタンタンシートの熱電能と抵抗率を測定した。測定温度範囲は320Kから950K近傍までとした。図8に抵抗率の温度依存性を、図9に熱電能の温度依存性を、そして図10には式(2)により計算される出力因子を示した。
通常熱電材料として利用されているBi-Sb-Te-Seから構成される化合物半導体では出力因子は4mW/mK2であることを考えると、電気的な特徴だけを考えれば金属でも十分に発電利用が可能であることが、上記測定から明らかである。
さらにこの輸送特性を用いて、実施例1で示したサイズの素子を発電能力を試算した。この結果を図11に示した。横軸は高温側接合部と低温側接合部の間の温度差であり、縦軸は開放起電力および発電出力である。また、図中データ点横に記された数値は20対分の内部抵抗である。これにより、たとえば、高温側接合部と低温側接合部の間で600K温度差がついたと仮定すると、0.95Vの開放起電力および、48mWの負荷整合時の出力が得られることが分かる。
本発明で提案する熱交換器が実際に発電能力をもつことを示すため、実施例1で示したクロメルとコンスタンタンから構成される熱交換器を熱容量の十分大きい高温熱源と低温熱源のあいだに保持し、発電出力を実測した。
図12は、低温側と高温側の温度差をそれぞれ135K、178K、244Kに保持したときの、20対素子の電流−電圧特性、および電流−出力特性を示したものである。図より明らかなように温度差244Kのときに最大出力5mW、開放起電力0.31Vが得られており、実施例1で作製した素子が発電のために有効に機能することが分かる。
本発明で提案する熱交換器が実際に発電能力をもつことを示すため、実施例1で示したクロメルとコンスタンタンから構成される熱交換器を燃焼炎のなかに図4のように設置し、発電特性を評価した。
燃料には空気とブタンガスの混合燃料ガスを用い、ニードルバルブとフローメータによって燃料ガスの供給量をコントロールした。燃料の吹き出しノズルは5mm×30mmであり、ノズルの高さは4mm程度あり、ノズル部分はセラミクスで作製した。この中から実施例1で作製した素子を、ちょうど燃焼炎の部分に素子の高温側接合部が入るような形で、図4に示した通り金属素子が燃料ガス流中に浮くような状態で保持した。素子の低温側接合部には温度を監視するため温度センサーを取り付けた。燃料ガスに着火し、燃料ガス流量を0.4L/min.の状態にして、定常状態になるまで1分ほど待ち、素子の発電特性を測定した。
図13に電圧−電流特性および電流−出力特性を示した。図から明らかなように素子は約0.8Vの開放電圧と約28mWの発電能力を有している。開放電圧から式(3)により温度差を逆算すると、約500K程度の温度差が、金属素子の低温側と高温側の間に定常的に発生していると考えられる。
素子の高温側は赤熱していたが、10分間の発電でもなんら出力に変化は生じなかった。またこの発電実験を10回以上繰り返したが、素子になんら故障は発生せず、また特性の劣化も認められなかった。
素子が熱伝導性のよい金属で構成されているにも関わらず、500Kの温度差が発生した理由としては、室温の燃料ガス流中に素子を平行に保持したことにより、素子の表面から熱が効果的にガス中に回収されたためと考えられる。
ここで重要なのは素子の体積と表面積の比率であり、実施例1で作製した素子の場合は長さと素子厚みの関係である。素子厚み(100μm)が長さ(1cm)に対して100分の1であることが、今回の発明の重要な点であり、この比率は大きい方が、より表面からの熱回収が効果的になることから、金属素子に温度差を与えやすくなる。今回の様なシート状の金属素子の長さと厚みの比率は最低でも50:1程度以上あるべきであり、望ましくは今回の事例のように100:1あるいはそれ以上大きい方が効果的である。ただし、素子の長さを際限なく長くして比率を大きくしていくと、温度差はつくものの、素子の電流経路が長くなり内部抵抗が大きくなるため、式(4)により示される外部に取り出せる発電電力が小さくなるので発電用には利用できなくなる。
本発明の素子の配置方法の有効性を示すため、本発明の示す通り素子をガス流中に平行に置いた場合と、垂直に置いた場合で、温度差の付き方の違いを観察した。図14左に示す、本発明の設置方法では、実施例4のように約500Kの温度差が得られた。図14右図のような素子をガス流に対して垂直な方向にセットした場合、温度差は200Kしか得られず、従って発電量も小さいものになった。また右図の場合は素子を流れた熱流は最終的に周りの空気をあたため、燃焼には全く寄与しないことになるが、本発明の場合、燃料ガスを予熱することになるため、エネルギー収支的にも効果的である。従って本発明の着眼点である、素子を燃料ガス流中にに設置するという点は、有効であることが明らかとなった。
実施例4と同じ実験装置を利用して、熱交換器の具体的な設置場所についても、実験的な検討をおこなった。図15が実際に実験を行った熱交換器とその燃料吹き出し用のノズル近傍の模式図である。10は実施例1のクロメルとコンスタンタンからなる熱交換器であり、11はセラミクス製の燃料ノズルであり、12は燃料ガスの導入口であり、13はアルミ製の密閉容器である。図中の熱交換器が燃料ノズルから露出している長さLを、11のセラミクス製の部材の高さを調整することで変更し、発電への影響を見た。燃料の供給量は実施例4と同じである。結果は表1に示す通りであり、熱交換器の高温側接合部がまったく炎の中に位置していない場合(素子路支出長がー3mmの場合がこれに相当)や十分に炎の中に位置していない場合(素子路支出長が2mmの場合がこれに相当)では起電力が小さく、発明の効果が小さいことが明らかである。よって、熱交換器の設置位置が高温側接合部が燃焼炎中にあるように配慮して、燃焼器および熱交換器を設計することが望ましい。
Figure 0004182208
本発明の熱交換器がメッキ法を利用することでも作成可能であることを以下に示す。
図16に示すパターンを単一の材料、例えば銅で作成する。14、15、16は全て銅で一体となっている部材である。14は銅そのままの部分、15はその上からニッケルがメッキされている部分、16は電圧取り出し端子を示している。
作製の方法を説明する。パターンの作成方法にはフォトエッチング法を用いると簡単であるが、特に他の手法でパターンを作製しても構わない。要は高温側と低温側を往復するような形で電流経路が形成されていればよい。次にこの銅のパターンにマスクを施し、15の部分だけにニッケルメッキが施されるようにする。例えば、対薬品製のレジストによって15の部分以外の全ての部分を覆い、次に無電解ニッケルメッキ液の中につけ、所定の温度で必要な時間だけ保持しニッケルメッキを行う。銅の厚みが100μmであれば表と裏それぞれ25μmほどメッキを行う。
その後洗浄した後、アルゴン気流中1000℃の中で、約24時間熱処理した。このことで、ニッケルは銅と合金化し、組成比が銅:ニッケル=1:1の銅ニッケル合金となり、この部分はコンスタンタンと同様、負の熱電能をもつ材料に変化する。この状態で試料は銅と銅ニッケル合金という2種類の異なる材料から構成される熱交換器となり、燃焼炎中に設置することで発電機能を提供することができる。
本発明の発電機能付き熱交換器が、イオン注入法を利用した半導体薄膜でも同じ機能を提供できることを示すために実施例を示す。
厚さ0.2mmのガラス基板上に図17上図に示すようなシリコン薄膜のパターン17を形成する。このシリコンの厚みは、機能を確認する目的では例えば1μmでよいが、より厚い方が内部抵抗が小さくなるため、発電能力が高くなる。このシリコン膜は不純物を含まない純物質であり、導電性に乏しい。
イオン注入法ではマスクを併用することで、特定の領域に任意の濃度のイオン化原子を注入することができる。この方法を用いて図17中図に示す18の斜線部領域のみにシリコンにN型の導電性を付与する元素例えばPを1021cm-3の濃度で注入する。イオン注入直後の状態ではシリコン中に打ち込まれたP原子はシリコンの結晶格子を壊しながら侵入しており、十分に導電性は出ていない。
次に図17下図に示す19の斜線部領域のみにP型の導電性を付与するボロンのイオンを1021cm-3の濃度で注入する。さらにこの後、不活性雰囲気中で900℃で5分間熱処理することで、結晶格子の規則性が回復し、各領域でN型、P型の導電性が発現してくる。かくして図17に示したとおり8個のPN対からなる発電機能付き熱交換器が形成される。このパターンを形成しているガラス基板ごと、燃焼装置の中にいれ、実施例4と同様に高温側の接合部が燃焼炎の中に入り、低温側の接合部が燃料ガス上流側に位置するように設置することで、シリコンのパターン内に温度差が付き、起電力が発生し、両端の端子から電力を外部に取り出すことができる。
本発明を実際のガス燃焼機器に組み込んで利用した場合の実施例を説明する。
図18は通常の調理用ガスコンロの内部に本発明の発電機能付き熱交換器を組み込んだ場合の模式図である。図中、20は実施例1のように金属によって構成された発電機能付き熱交換器であり、21の電線で一方の熱交換器の(+)端子ともう一方の熱交換器の(−)端子を接続して、複数の熱交換器を直列または並列に接続して、電圧、または電流を大きくし、最終的には1つの(+)端子と1つの(−)端子から端次台24を経て燃焼容器22の外側に電線を取り出している。23の燃料ガス入り口から22の燃焼器に燃料ガスは送り込まれ、熱交換器20が設置されている燃料ガス吹き出し口から吹き出して燃焼炎を形成する。
実施例4で用いた熱交換器は開放電圧役0.8V、負荷整合出力約30mWの発電能力をもつが、この熱交換器を100個直列に接続したとすると、開放電圧、80V、出力3Wの発電が可能である。このように本発明を適用すると従来の燃焼器とほとんど同じ燃料ガス消費量で、従来と同じ燃焼熱と同時に電力を新たに取り出すことができる。この電気出力は温度制御機器、ガス燃焼¥制御機器用電源、通信用電源、等に利用が可能である。
通常の熱回収機構を有する燃焼器を示す図 一般的な熱電発電の原理図 一般的な熱回収型の熱電発電システムの構成 本発明の提案する、発電機能付熱交換器 発電機能付熱交換器の加工パターン(エッチングパターン) 2種の加工パターンをスポット溶接で接合して不要部分を取り去った、発電機能付熱交換器の完成図 2種の加工パターンをスポット溶接で接合して不要部分を取り去った、発電機能付熱交換器の完成写真 クロメル、コンスタンタンの抵抗率の温度依存性 クロメル、コンスタンタンの熱電能の温度依存性 クロメル、コンスタンタンの出力因子の温度依存性 20対型発電機能付熱交換器の発電特性の予測値 20対型発電機能付熱交換器の発電特性の実測値 20対型発電機能付熱交換器を燃焼器の中に設置した場合の発電特性の実測値 熱交換器の設置方法の比較例 熱交換器の設置位置の検討例 メッキ法を利用した熱交換器の試作実施例 イオン注入法を利用した熱交換器の試作実施例 熱交換器を調理用ガス燃焼器に組み込んだ事例

Claims (3)

  1. 熱電能が異なる2種類の第1の物質と第2の物質を交互に機械的かつ電気的に接合し、第1の物質から第2の物質に接合する接合端が燃料ガスの流入する上流側に、第2の物質から第1の物質に接合するもう一方の接合端が燃焼している炎中に位置するように、燃料ガスの流れの中に第1及び第2の物質の接合体を配置し、燃焼炎で得た熱を第1及び第2の物質の伝熱によって燃料ガス上流側に運び、燃料ガスを予熱すると同時に第1及び第2の物質の接合部から電圧を取り出すよう構成した発電機能付熱交換器の製造方法であって、
    前記第1の物質と第2の物質がそれぞれ10μV/K以上の熱電能の絶対値を有する金属、或いは100μV/K以上の熱電能の絶対値を有する半導体で構成し、
    連結部分により複数個連ねた前記第1の物質と第2の物質の板状部材をそれぞれフォトエッチング法により作製し、これら2種の異なる物質の板状部材を互いに位置あわせを行い、電気的及び機械的に接合した後、前記連結部分を切り離すことから成る発電機能付熱交換器の製造方法。
  2. 熱電能が異なる2種類の第1の物質と第2の物質を交互に機械的かつ電気的に接合し、第1の物質から第2の物質に接合する接合端が燃料ガスの流入する上流側に、第2の物質から第1の物質に接合するもう一方の接合端が燃焼している炎中に位置するように、燃料ガスの流れの中に第1及び第2の物質の接合体を配置し、燃焼炎で得た熱を第1及び第2の物質の伝熱によって燃料ガス上流側に運び、燃料ガスを予熱すると同時に第1及び第2の物質の接合部から電圧を取り出すよう構成した発電機能付熱交換器の製造方法であって、
    前記第1の物質と第2の物質がそれぞれ10μV/K以上の熱電能の絶対値を有する金属、或いは100μV/K以上の熱電能の絶対値を有する半導体で構成し、
    パターニングした単一の第1の物質に特定の箇所だけマスクを行い、メッキを施し、その後熱処理することで当該部分を電気的に第1の物質と異なるものに変質させ第2の物質の役割をさせ、2種の異なる物質の接合を複数個同時に形成することから成る発電機能付熱交換器の製造方法。
  3. 熱電能が異なる2種類の第1の物質と第2の物質を交互に機械的かつ電気的に接合し、第1の物質から第2の物質に接合する接合端が燃料ガスの流入する上流側に、第2の物質から第1の物質に接合するもう一方の接合端が燃焼している炎中に位置するように、燃料ガスの流れの中に第1及び第2の物質の接合体を配置し、燃焼炎で得た熱を第1及び第2の物質の伝熱によって燃料ガス上流側に運び、燃料ガスを予熱すると同時に第1及び第2の物質の接合部から電圧を取り出すよう構成した発電機能付熱交換器の製造方法であって、
    前記第1の物質と第2の物質がそれぞれ10μV/K以上の熱電能の絶対値を有する金属、或いは100μV/K以上の熱電能の絶対値を有する半導体で構成し、
    パターニングした単一の第1の物質に特定の箇所だけマスクを行い、イオン注入処理することで当該部分を電気的に第1の物質と異なるものに変質させ第2の物質の役割をさせ、2種の異なる物質の接合を複数個同時に形成することから成る発電機能付熱交換器の製造方法。
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