JP4181649B2 - 双眼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対物レンズの間隔が固定で、接眼レンズの間隔を可変設定可能なプリズム双眼装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】
双眼装置では、使用者の目幅に応じて左右の接眼レンズ間隔を調節できるようにする必要がある。このような接眼レンズ間隔の調節(目幅調節)を可能にする双眼装置の構成としては、装置本体の左右部分を本体中央部を中心に折り曲げられるようにしたいわゆる中折れ式がある。
【0003】
但し、双眼装置には、いわゆる手ぶれ補正装置、オートフォーカス装置又は測距装置を内蔵する場合があり、この場合、上記中折れ式では、装置本体に上記各装置や電気回路基板などの部材を組み込むのに不都合である。このため、上記各装置を内蔵した双眼装置においては、対物レンズ間隔を固定し、接眼レンズを装置本体に対して左右に回動させて目幅調節を行う構成が採用されることが多い。また、双眼装置には、光軸方向寸法をできるだけ小さくするために、対物レンズからの入射光を接眼レンズに導く正立プリズムが用いられる。なお、図8には、対物レンズ10と接眼レンズ13との間に、2つの直角プリズム11,12を直交させて向き合わせた形のポロI型プリズムを配置した双眼装置を示している。また、特開平8−194165号公報には、ダハプリズムを使用した双眼装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダハプリズムは小型化に適したプリズムではあるが、高価であり、製造上の誤差により双眼装置の分解力が低下しやすいという欠点がある。これに対し、ポロI型プリズムは最も一般的に用いられるプリズムであるが、接眼レンズを装置本体に対して左右に回動させて目幅調節を行う双眼装置に用いると、図8に示すようにポロI型プリズムにおける光軸方向に後方に突出した部分12が接眼レンズ13に接近し、広視界型接眼レンズ等、径の大きなレンズの使用が制限される。なお、大きなポロI型プリズムを用いれば、径の大きなレンズを使用することも可能であるが、これではコストの増大や双眼装置の大型化につながる。
【0005】
また、使用者の目幅は個人差が大きく、できるだけ大きな範囲で目幅調節ができることが望ましい。しかしながら、接眼レンズのみをを回動させる双眼装置では、装置内部に設けられる左右の接眼レンズの回動を連動させる機構の大型化を避けるため、回動角をあまり大きくできない。
【0006】
そこで、本発明では、十分な目幅調節範囲を確保でき、安価で小型の双眼装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では、光軸間の距離が一定である一対の対物光学系と、一対の対物光学系を収容した装置本体と、一対の接眼光学系と、一対の対物光学系からの光を一対の接眼光学系に導く一対のポロII型プリズムと、接眼光学系およびポロII型プリズムをそれぞれ収容する一対の接眼鏡筒とを有する。一対の接眼鏡筒のそれぞれに歯車板が設けられており、該一対の接眼鏡筒が、各対物光学系の光軸位置を中心として、歯車板の噛み合いにより連動して装置本体に対して互いに逆向きに回動することで、一対の接眼光学系の光軸間の距離が変更される。一対の接眼光学系の光軸方向から見たときに、該各接眼光学系は、各対物光学系の光軸位置を通り、かつ両対物光学系の光軸位置を結ぶ線に直交する線を挟んだ両側に回動する。各ポロII型プリズムは、対物光学系および接眼光学系に対して、該対物光学系および接眼光学系の光軸に直交する方向に突出する直角プリズム部分を有し、該直角プリズム部分は、一対の接眼光学系の光軸間の方向において内側に突出するように配置され、該各接眼鏡筒は、各ポロII型プリズムの直角プリズム部分に沿う外観部分を有することを特徴とする。
【0008】
すなわち、ポロII型プリズムの突出部分(直角プリズム部分)を装置本体における一対の接眼光学系の光軸間方向での内側に向けて配置するようにして、ポロII型プリズムの装置本体からの突出を防止しつつポロII型プリズムによる接眼光学系の径の制限を回避している。
【0009】
しかも、本発明では、一対の接眼光学系の光軸方向から見たときに、各接眼光学系を、各対物光学系の光軸位置を通り、かつ両対物光学系の光軸位置を結ぶ線に直交する線を挟んだ両側に(例えば、同回動角度ずつ)回動可能として、小さな回動角度量で(つまりは、小さなプリズムおよび接眼レンズ連動機構)で十分な目幅調節ができるようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態である双眼鏡(双眼装置)を示している。同図において、1は一対の対物レンズ、2は双眼鏡本体、2aは本体2の対物レンズ光軸を中心に左右一対設けられた軸受け、3は一対の接眼レンズ、4は一対の正立プリズムであるポロII型プリズム、5はプリズム取付け板、6は接眼鏡筒、7は歯車板である。
【0011】
対物レンズ1からの入射光により形成される像は、ポロII型プリズム4を通して正立した像として接眼レンズ3の前に結像する。この像は接眼レンズ3で拡大されて、使用者に観察される。プリズム4は、鋼板製のプリズム取付け板5に弾性接着剤を用いて接合されていて、取付け板5は接眼鏡筒6にビス8によって取り付けられている。接眼鏡筒6は中心が対物レンズ2の光軸位置と一致した軸受け2aに回動のみ可能に取り付けられていて、この接眼鏡筒6の回動により目幅調節を行うことができる。左右の接眼鏡筒6,6は、図4にも示すように、互いに噛み合う歯車板7,7を介して連結されている。
【0012】
図4から分かるように、左右の接眼鏡筒6,6にビス9で取り付けられた歯車板7,7は、本体2の左右方向中間付近で歯7a,7aで噛み合っている。このため、使用者が一方の接眼鏡筒6を回動させると、この回動が歯車板7,7を介して他方の接眼鏡筒6に伝達され、左右の接眼鏡筒6,6が連動して互いに逆方向に同角度だけ回動する。なお、ポロII型プリズム4,4は接眼鏡筒6,6と一体的に回動する。
【0013】
2b,2cは本体2に設けられた回動ストッパーであり、本体2に対して所定角度回動した歯車板7に当接して、接眼鏡筒6,6のそれ以上の回動を阻止する。
【0014】
図2には、ポロII型プリズム4の詳しい構造を示している。同図において、4aは大きな直角プリズムであり、4b,4cは小さな直角プリズムであり、ポロII型プリズム4はこれら3個のプリズムを接合して構成されている。図1に示すように、直角プリズム4aは、対物レンズ(対物光学系)1および接眼レンズ(接眼光学系)3に対して、該対物レンズ1および接眼レンズ3の光軸に直交する方向に突出している。
【0015】
そして、このように構成された一対のポロII型プリズム4,4は、図に示すように、大きな直角プリズム4a,4aを左右方向(一対の接眼レンズ3,3の光軸間の方向)における内方に向けて互いに対向するように配置されている。このため、ポロII型プリズム4(特に、直角プリズム4a)は、図4に示すように光軸方向視において、双眼鏡本体2からはみ出すことなく配置される。
【0016】
また、ポロII型プリズム4を用いることにより、図1から分かるように、接眼レンズ3に近接配置されたプリズム4により接眼レンズ3のレンズ径が制限されることがなくなり、接眼レンズ3として広視界型接眼レンズ等の径の大きなレンズを使用することが可能となる。
【0017】
なお、本実施形態では、3つの直角プリズムを接合したポロII型プリズムを用いているが、このポロII型プリズムに代えて、図3に示す2つのプリズム34a,34bを接合して構成したものを用いてもよい。
【0018】
次に、このように構成された双眼鏡における目幅調節について説明する。図5には、接眼鏡筒6を目幅調節方向の中立位置にセットした状態を示している。この状態では、各接眼鏡筒6の光軸(接眼レンズ3の光軸)Bは、各対物レンズ1の光軸Aの位置を通り、かつ両対物レンズ1,1の光軸Aの位置を結ぶ線Cに直交する線D上に位置する。この状態での両接眼鏡筒6,6(つまりは両接眼レンズ3,3)の光軸間距離(目幅)はD0である。
【0019】
そして、各接眼鏡筒6(つまりは各接眼レンズ3)は、各対物レンズ1の光軸Aの位置を中心に上記線Dを挟んだ左右両側に同じ角度ずつ回動可能である。図6に示すように、各接眼鏡筒6を左右方向外方端(歯車板7が回動ストッパー2bに当接する位置)まで回動させると、両接眼鏡筒6,6の目幅は最大D1となり、各接眼鏡筒6を左右方向内方端(歯車板7が回動ストッパー2cに当接する位置)まで回動させると、両接眼鏡筒6,6の目幅は最小D2になる。
【0020】
このように、両接眼鏡筒6,6を上記線Dを挟んだ左右両側に同じ角度ずつ回動可能にすることにより、例えば、両接眼鏡筒を上記線Dよりも左右方向内方でのみ回動可能に構成する場合に比べて、同じ回動角で目幅調節範囲(D1−D2)を最大にすることができる。
【0021】
しかも、歯車板7,7からなる左右の回動連動機構を大型化させることなく、つまりは双眼鏡を小型化を図りつつ、一般に必要とされる目幅調節範囲である55から75mm位を確保することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ポロII型プリズムにおける、対物光学系および接眼光学系に対する該対物光学系および接眼光学系の光軸に直交する方向への突出部分である直角プリズム部分を、一対の接眼光学系の光軸間の方向における内側に向けて互いに対向するように配置しているので、ポロII型プリズムの装置本体からの突出防止による双眼装置の小型化を図りつつ、ポロII型プリズムによる接眼光学系の径の制限を回避することができる。しかも、使用者が一方の接眼鏡筒を回動させることにより、これに連動させて他方の接眼鏡筒を逆方向に回動させて目幅調節を行うことができる。
【0023】
しかも、各接眼光学系を、各対物光学系の光軸位置を通り、かつ両対物光学系の光軸位置を結ぶ線に直交する線を挟んだ両側に回動可能とすれば、小さな回動角度量で十分な目幅調節量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である双眼鏡の断面図である。
【図2】上記双眼鏡に用いられるポロII型プリズムの斜視図である。
【図3】上記双眼鏡に用いられる他の形態のポロII型プリズムの斜視図である。
【図4】上記双眼鏡の光軸方向視の断面図である。
【図5】上記双眼鏡におけるプリズム配置と眼幅調節の説明図である。
【図6】上記双眼鏡におけるプリズム配置と眼幅調節の説明図である。
【図7】上記双眼鏡におけるプリズム配置と眼幅調節の説明図である。
【図8】従来の双眼鏡の光学系構成図である。
【符号の説明】
1,10・・・対物レンズ
2・・・双眼鏡本体
2a・・・軸受け
2b,2c・・・回動ストッパー
3,13・・・接眼レンズ
4・・・ポロII型プリズム
5・・・プリズム取付け板
6・・・接眼鏡筒
7・・・歯車板
7a・・・歯
11,12・・・直角プリズム(ポロI型プリズム)
Claims (1)
- 光軸間の距離が一定である一対の対物光学系と、前記一対の対物光学系を収容した装置本体と、一対の接眼光学系と、前記一対の対物光学系からの光を前記一対の接眼光学系に導く一対のポロII型プリズムと、前記接眼光学系および前記ポロII型プリズムをそれぞれ収容する一対の接眼鏡筒とを有し、
前記一対の接眼鏡筒のそれぞれに歯車板が設けられており、該一対の接眼鏡筒が、前記各対物光学系の光軸位置を中心として、前記歯車板の噛み合いにより連動して前記装置本体に対して互いに逆向きに回動することで、前記一対の接眼光学系の光軸間の距離が変更され、
前記一対の接眼光学系の光軸方向から見たときに、該各接眼光学系は、前記各対物光学系の光軸位置を通り、かつ前記両対物光学系の光軸位置を結ぶ線に直交する線を挟んだ両側に回動し、
前記各ポロII型プリズムは、前記対物光学系および接眼光学系に対して、前記対物光学系および前記接眼光学系の光軸に直交する方向に突出する直角プリズム部分を有し、該直角プリズム部分は、前記一対の接眼光学系の光軸間の方向において内側に突出するように配置され、前記各接眼鏡筒は、前記各ポロII型プリズムの前記直角プリズム部分に沿う外観部分を有していることを特徴とする双眼装置。
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