JP4181273B2 - 消波施設構造及びその構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は消波施設構造に関し、海岸の侵食を防止するために水際線を構造物で固めるものである。
【0002】
【従来の技術】
消波施設構造としては、基本的には従来よりコンクリートケーソン等による築堤物が知られており、その他にテトラポッド(登録商標)等の異形コンクリートブロックの敷設がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、異形コンクリートブロックの敷設には、積層する場合にはブロック脚部(つの部)が相互にからみ合うことで上下方向の結合はなされるものの、水平方向ではブロック相互の連結が必要となり、そのためにU字形フックをブロック側壁部に埋め込んでこれをシャックルにて結合することなどの連結手段を必要とする。この連結作業は敷設した水底において一つ々々行うのが通例であり、したがって、潜水作業が不可欠となる。
【0004】
しかも、連結手段の多くは金具であるから耐食性に欠けるので耐久性に欠け、長期的見地からすると好ましいものとは言い難い。また、連結手段に耐久性を持たせようとするとコストが高くなる。
【0005】
そこで、この発明はブロック相互の連結に潜水作業を必要とせず、構築作業性の優れた消波施設構造及びその構築方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる消波施設構造は、請求項1に記載したように、内底部と該内底部を囲む側壁部を有し上面が開口し内底部中央に中心孔が穿設されている平面形状略三角形のコンクリートブロックを前記中心孔に支柱を介して積層したものをその略三角形のコンクリートブロック鋭角頂部を対面させて組み合わせた組と、内底部と該内底部を囲む側壁部を有し上面が開口した平面形状略三角形のコンクリートブロックの複数を積層したものをその略三角形のコンクリートブロックの側壁部を対面させて組み合わせた組との繰り返しで水際線に沿って配置されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0007】
そして、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の発明において、略三角形のコンクリートブロックは前記内底部を囲む側壁部に所定間隔で整列した複数のスリットを有することを特徴とする。また、請求項3にかかる発明は、請求項1又は2記載の発明において、支柱は水底に載置固定する基版に立設されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3いずれか記載の発明において、略三角形のコンクリートブロックは前記略三角形の頂部における前記側壁部に上下方向で貫通したガイド孔が複数穿設され、前記基版に支柱間で3本のガイドロッドが略三角形の配置で立設され、このガイドロッドは略三角形のコンクリートブロックのガイド孔に挿通することを特徴とする。また、請求項5にかかる発明は、請求項3又は4記載の発明において、支柱、基版がプレキャストコンクリートからなることを特徴とする。また、請求項6にかかる発明は、請求項4又は5記載の発明において、 ガイドロッドがプレキャストコンクリートからなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項7にかかる発明は、複数の支柱を所定間隔で立設した基版を水底に投入して固定し、支柱の頂部が水面付近に位置する状態において該支柱に、予め略三角形のコンクリートブロックに穿設してある中心孔を挿通することによって複数の略三角形のコンクリートブロックを上下方向で積層して配置した後、最上層の略三角形のコンクリートブロックを押さえるフレームを前記支柱の頂部間に連結することを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項8にかかる発明は、複数の支柱とガイドロッドを所定間隔で立設した基版を水底に投入して固定し、支柱及びガイドロッドの頂部が水面付近に位置する状態において該支柱及びガイドロッドに、予め略三角形のコンクリートブロックに穿設してある中心孔及びガイド孔を挿通することによって複数の略三角形のコンクリートブロックを上下方向で案内してその向きを揃えて積層して配置した後、最上層の略三角形のコンクリートブロックを押さえるフレームを前記支柱の頂部間に連結することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1及び図2に示すように、消波堤を設置すべき水域における水底WBに基版1を固定し、この基版1に立設された複数の支柱2のそれぞれに、異形コンクリートブロック3の中心孔4を挿通して積層する。支柱2はその頂部が水面WLに近接して配置され、水面WLに浮かぶ作業船(図示省略)等から異形コンクリートブロック3をクレーン等で一つ一つ吊支し、又は、予め所定個数を中心孔4を合わせて積層したものをまとめてクレーン等で吊支して支柱2に中心孔4を挿通するものである。したがって、各異形コンクリートブロック3を連結するための潜水作業を必要としない。
【0012】
異形コンクリートブロック3は、図3〜5に示すように、正三角形の鋭角頂部3aを切除した略三角形の箱状体で、上方が開口した内底部3bが3つの側壁部3cにて形成され、その側壁部3cには複数のスリット3dが所定間隔にて整列し、しかもそのスリット3dは左右方向へ所定の角度で開いて方形窓3eに開放されたプレキャストコンクリートブロックである。内底部3bには中心孔4と水抜き孔3gがそれぞれ略台形断面形状にて穿設されている。なお、鋭角頂部3aは切除したが、製造後の取り扱いや搬送時にその形状を維持することが可能であれば、鋭角頂部3aは切除することなくあってもよい。したがって、スリット3dや水抜き孔3gが設けられているから、異形コンクリートブロック3は水中に沈み易く、また、側壁部3cで囲まれた内底部3bには小石等の充填物9を投入でき、海水の汚濁をろ過し、また水中小動・植物の生息及び繁茂場所となる。
【0013】
一方、基版1は、図6に示すように、コンクリートスラブ等からなる板体10に複数の支柱2を立設したものであって、支柱2は好ましくはプレキャストコンクリートからなり、その直径は前記中心孔4の最小内径よりも小なる直径であり、高さは異形コンクリートブロック3の高さにそれを積層する個数を乗じた高さとほぼ等しい寸法である。支柱2間の距離は、図2に示すように、異形コンクリートブロック3の鋭角頂部3aを対面させて整列する組と一辺(側壁部3c)を対面させて整列する組との繰り返しで複数の異形コンクリートブロック3を配置するものとして、鋭角頂部3a,3aを対面させた異形コンクリートブロック3,3における中心孔4,4間の距離とほぼ一致する距離、及び、側壁部3bを対面させて整列した異形コンクリートブロック3,3を鋭角頂部3a,3aを対面させた異形コンクリートブロック3,3で挟んだ配置の中心孔4,4間の距離である。なお、支柱2の頂部は図6中の円内に示すように円錐形仕上げとしてもよい。
【0014】
全ての支柱2に所定個数の異形コンクリートブロック3が積層されると、支柱2の頂部間にフレーム8を連結する。フレーム8は略方形の枠体で、好ましくはプレキャストコンクリートからなり、図2に示すように、隣接する一対の支柱2間を結んでそのフレーム8で囲まれる異形コンクリートブロック3を押さえる作用をするもので、支柱2が倒れた場合にそのフレーム8と基版1とで各異形コンクリートブロック3がばらばらにならないように保持する。なお、フレーム8と支柱2の連結は、一例として、支柱2の頂部にめねじ付きインサートを埋設しておくとともに、フレームにはそのインサートに対応する透孔を備えた凹部を形成しておき、その凹部から透孔にボルト13を挿入してインサートに締結したボルト固定部7を形成する。
【0015】
なお、中心孔4に支柱2を挿通して水中に落下させただけでは、各異形コンクリートブロック3の位置が定まらないので、各異形コンクリートブロック3を上下方向で整列させるために、図7に示すように、截頭頂部6にガイド孔5を穿設した異形コンクリートブロック30を形成することとしてもよい。このガイド孔5には基版1に立設したガイドロッド11が挿通される。異形コンクリートブロック30は、図8〜10に示すように、截頭頂部6にガイド孔5を穿設したこと以外は、前記異形コンクリートブロック3と全く同じ構造である。そして、図11に示すように、ガイドロッド11は支柱2,2間の中央部に略三角形配置で3本が立設される。このガイドロッド11はコンクリート製でなく金属棒であってもよい。したがって、中心孔4を支柱2に、ガイド孔5をガイドロッド11に、それぞれ挿通する限りにおいて、水中に没して積層される異形コンクリートブロック3の向きは皆同じとなり、向きが区々となることはなく施工性を向上させる。
【0016】
かくして、複数の支柱2又は支柱2とガイドロッド11を所定間隔で立設した基版1を水底に投入して固定し、支柱2又は支柱2とガイドロッド11の頂部が水面付近に位置する状態において該支柱2又は支柱2とガイドロッド11に、予め異形コンクリートブロックに穿設してある中心孔4又は中心孔4とガイド孔5を挿通することによって複数の異形コンクリートブロック3を上下方向で案内してその向きを揃えて積層した後、最上層の前記異形コンクリートブロック3,30を押さえるフレーム8を前記支柱2の頂部間に連結する。また、異形コンクリートブロック3,30の内底部に充填物9を投入しつつ積層すれば、潜水作業を要することなく、水面上からコンクリートブロック3,30を重ねて安定した消波施設14が水中に構築される。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したこの発明によれば、支柱の頂部を水面付近に位置させた状態でその支柱に中心孔を挿通して異形コンクリートブロックを積層するために、各異形コンクリートブロックを連結するための潜水作業やブロック相互の連結金具を不要にする、コスト安価な消波施設を簡便迅速かつ容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態としての消波施設の正面図である。
【図2】この発明の実施の形態としての消波施設の平面図である。
【図3】この発明の消波施設に用いる異形コンクリートブロックの平面図である。
【図4】この発明の消波施設に用いる異形コンクリートブロックの正面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】この発明の消波施設に用いる支柱を立設した基版の斜視図である。
【図7】この発明の他の実施の形態としての消波施設の要部平面図である。
【図8】図7の消波施設に用いる異形コンクリートブロックの平面図である。
【図9】図7の消波施設に用いる異形コンクリートブロックの正面図である。
【図10】図8のB−B断面図である。
【図11】図7の消波施設に用いる支柱とガイドロッドを立設した基版の斜視図である。
【符号の説明】
WB…水底
1…基版
2…支柱
3,30…異形コンクリートブロック
3b…内底部
3c…側壁部
3d…スリット
4…中心孔
5…ガイド孔
6…截頭頂部
7…ボルト固定部
8…フレーム
9…充填物
11…ガイドロッド
13…ボルト
14…消波施設

Claims (8)

  1. 内底部と該内底部を囲む側壁部を有し上面が開口し内底部中央に中心孔が穿設されている平面形状略三角形のコンクリートブロックの複数を前記中心孔に支柱を介して積層したものをその略三角形のコンクリートブロック鋭角頂部を対面させて組み合わせた組と、内底部と該内底部を囲む側壁部を有し上面が開口した平面形状略三角形のコンクリートブロックの複数を積層したものをその略三角形のコンクリートブロックの側壁部を対面させて組み合わせた組との繰り返しで水際線の方向に配置されていることを特徴とすることを特徴とする消波施設構造。
  2. 略三角形のコンクリートブロックは前記内底部を囲む側壁部に所定間隔で整列した複数のスリットを有することを特徴とする請求項1記載の消波施設構造。
  3. 支柱は水底に載置固定する基版に立設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の消波施設構造。
  4. 略三角形のコンクリートブロックは前記略三角形の頂部における前記側壁部に上下方向で貫通したガイド孔が複数穿設され、前記基版に支柱間で3本のガイドロッドが略三角形の配置で立設され、このガイドロッドは略三角形のコンクリートブロックのガイド孔に挿通することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の消波施設構造。
  5. 支柱、基版がプレキャストコンクリートからなることを特徴とする請求項3又は4記載の消波施設構造。
  6. ガイドロッドがプレキャストコンクリートからなることを特徴とする請求項4又は5記載の消波施設構造。
  7. 数の支柱を所定間隔で立設した基版を水底に投入して固定し、支柱の頂部が水面付近に位置する状態において該支柱に、予め略三角形のコンクリートブロックに穿設してある中心孔を挿通することによって複数の略三角形のコンクリートブロックを上下方向で積層して配置した後、最上層の略三角形のコンクリートブロックを押さえるフレームを前記支柱の頂部間に連結することを特徴とする消波施設構造の構築方法。
  8. 数の支柱とガイドロッドを所定間隔で立設した基版を水底に投入して固定し、支柱及びガイドロッドの頂部が水面付近に位置する状態において該支柱及びガイドロッドに、予め略三角形のコンクリートブロックに穿設してある中心孔及びガイド孔を挿通することによって複数の略三角形のコンクリートブロックを上下方向で案内してその向きを揃えて積層して配置した後、最上層の略三角形のコンクリートブロックを押さえるフレームを前記支柱の頂部間に連結することを特徴とする消波施設構造の構築方法。
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