JP4181261B2 - 反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学異方体と偏光板とを備え、コントラストのよい反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ技術の進展による、表示性能の格段の向上によって、電卓からワードプロセッサやパーソナルコンピュータのディスプレイヘと液晶表示装置の応用用途は拡大を遂げて来た。さらに、液晶表示装置の有する薄型軽量なる特徴を大きく活かせる、携帯型情報端末機器のディスプレイとしての市場拡大の期待が高まっている。携帯型用途としては通常バッテリー駆動であるがために消費電力を抑えることが重要な課題となっている。そのために携帯型用途の液晶表示装置等としては、電力の消費が大きいバックライトを使用しないで済み、低消費電力化、薄型化、軽量化が可能である反射型液晶表示装置が特に注目されている。
【0003】
従来、液晶表示装置としては、TN(ツイステッドネマチック)方式及びSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式のものが主に用いられている。
【0004】
上記TN方式の液晶表示装置は、一般的には液晶セルを一対の偏光板で挟んだ構造を有し、反射型液晶表示装置の場合は、通常さらにその外側に反射板を配置する構成を有している。
【0005】
以下に従来の反射型液晶表示装置について、図3の断面図を参照して説明する。図3において、液晶物質の層3Aは透明電極3Bが内面に形成された2枚の基板3Cの間、且つ基板周辺に印刷塗布形成したシール樹脂3Dの内側に封入されている。液晶物質の層3Aは透明電極3B上に印刷形成された配向膜3Eに配向処理を施すことにより所定の方向に配向させられている。さらに上下の基板の外側に上側偏光板1、下側偏光板6、上側偏光板1と液晶セル3の間に位相差板2、一方の下側偏光板6の外側に反射板4を貼り付けている。透明電極に外部の駆動回路装置よりオン、オフの表示電圧信号を印加させ、明状態と暗状態の表示を実現させている。
【0006】
しかしながら、TN方式の液晶表示装置においては、前記偏光板の透過率は偏光軸に平行に直線偏光を入射させた場合においても約90%であり、2枚の偏光板を使用する従来の構成では十分な明るさを得ることができないという問題点がある。特に、反射型液晶表示装置の場合、バックライトを使用しない上に、入射した光が出射するまでに偏光板を合計4回通過することになるので光量の減衰が問題となる。
【0007】
この問題を解決する従来の技術として、特開平8−76111号公報には、偏光板、ねじれ構造を有する位相差板、液晶セル及び反射板がこの順に積層された構成の液晶表示装置が開示されている。このような構成とすることによって、一般に用いられているTN型液晶セルを用いた反射型液晶表示素子等から反射板側の偏光板を除いた構成とすることができ、入射した光が出射するまでに偏光板を通過する回数が2回となり、必然的に高輝度が得られ、高反射率な白表示が出来ることが期待される。しかしながら、このような構成を有する反射型液晶表示装置を形成する場合、反射前後の偏光を一枚の偏光板で兼ねるという構造上の自由度の低さに起因して、位相差板等の各層を、良好な高コントラストの表示を与えるよう構成することが困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、反射率が高く、且つコントラストの良好な表示が得られる反射型液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電極を有する一対の基板及びその間に挿入された液晶物質を有する液晶セルと、偏光板と、反射板と、光学異方体とを備える反射型液晶表示装置において、
前記偏光板が前記液晶物質の層の一方の面側のみに配置され、
前記反射板が前記液晶物質の層の他方の面側に配置され、
前記光学異方体が前記偏光板及び前記反射板の間に配置され、
前記液晶セル内の前記液晶物質の層における偏光板側から反射板側への液晶物質分子のねじれ角θ1、前記光学異方体の遅相軸の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ2、前記光学異方体と前記液晶物質の層との向き合う面の軸同士の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ3、及び前記偏光板の吸収軸から前記光学異方体の偏光板側の面上における遅相軸への角度θ4が、下記式A1〜A5:
θ1=+40〜+70° ・・・(A1)
θ2=−40〜−70° ・・・(A2)
θ1+θ2=−10〜+10°・・・(A3)
θ3=+80〜+100° ・・・(A4)
{θ4=−20〜+20°若しくは+70〜+110°}・・・(A5)
の全てを満足し、
前記液晶セル内における前記液晶物質の屈折率異方性△n1と前記液晶物質の層の厚みd1との積△n1・d1、及び前記光学異方体の屈折率異方性△n2と前記光学異方体の厚みd2との積△n2・d2が下記式a1:
{△n1・d1=230〜600nm、△n2・d2=230〜600nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a1)
を満足することを特徴とする反射型液晶表示装置が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、△n1・d1及び△n2・d2が、下記式a2:
{△n1・d1=250〜370nm、△n2・d2=250〜370nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a2)
を満足することを特徴とする前記反射型液晶表示装置が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、△n1・d1及び△n2・d2が、下記式a3:
{△n1・d1=450〜550nm、△n2・d2=450〜550nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a3)
を満足することを特徴とする前記反射型液晶表示装置が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の反射型液晶表示装置は、液晶セルと、偏光板と、反射板と、光学異方体とを備える。
【0013】
前記液晶セルは、電極を備える一対の基板及びその間に挿入された液晶物質を有する。前記基板としては、前記液晶物質を特定の配向方向に配向させるものを用いることができる。具体的には、基板自体が前記液晶物質を配向させる性質を有していても良く、また、前記液晶物質を配向させる性質を有する配向膜等をさらに備えるものであっても良い。このような特定の配向方向を有する基板を、該配向がねじれた関係となる対にすること等により、前記液晶物質の層に、特定のねじれ角を与えることができる。また、前記電極は、通常、前記基板の前記液晶物質に面する側の面上に設けることができ、前記配向膜を有する基板の場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶物質としては、通常TN型液晶表示装置に用いられる各種のもの等を用いることができる。
【0014】
前記偏光板は、前記液晶物質の層の一方の面側のみに配置される。具体的には、例えば前記液晶セル上の一方の面上に直接設けることもでき、前記光学異方体等の他の構成部材を介して設けることもできる。前記偏光板としては特に限定されず吸収軸を有する一般的な各種のものを用いることができるが、反射率の高い反射型液晶表示装置を得るには、透過率の高い偏光板を用いるのが好ましい。具体的には、一軸に延伸されたポリビニルアルコールフィルム(PVA)に、偏光度の高いヨウ素分子を一定方向に配列してつくるハロゲン偏光フィルムや直接染料で染色したポリビニルアルコールフィルム等を他の支持フィルムに挟んだものが、高透過率な偏光板として使用できる。
【0015】
前記反射板は、前記液晶物質の層の他方の面側、即ち前記偏光板の反対側に配置される。具体的には、前記液晶セルの、前記偏光板が設けられる面の反対側に配置することができ、又は前記液晶セルの内部の、前記偏光板から遠い方の前記基板と、前記液晶物質の層との間に配置することもできる。前記反射板は、反射板側の前記電極を兼ねるものであってもよい。前記反射板の層としては、アルミニウム、銀などが使用でき、真空蒸着法などにより、ガラス等の基板上に反射層を形成できる。
【0016】
前記光学異方体とは、光学異方軸を有し、且つその一方の面から他方の面にかけて前記光学異方軸がねじれた構造を有するものである。従って、光学的に異方性を持った層を、その光学異方軸が連続的にツイストするように多層重ね合わせたものと同等の特性を有し、通常のTN液晶セル等と同様に、ねじれ角を有する。
【0017】
前記光学異方体としてはツイスト配向された液晶セルそのもの、液晶性フィルム、また位相差フィルムの積層体を使用できる。この中でも液晶性フィルムが好ましい。
【0018】
前記光学異方体用のツイスト配向された液晶セルとしては、駆動用の前記液晶セルと同様に液晶物質及び配向を有する基板を含むもの等を用いることができ、同様の手法によりねじれ角を与えることができる。
【0019】
前記液晶性フィルムとは、1枚のフィルム内で光学異方軸を持った層が連続的にツイストする構造を有するフィルムである。この液晶性フィルムは一般的にはねじれ特性を有する液晶性物質をフィルム化することにより得ることができる。前記液晶性物質としては、例えば棒状等といった分子の形状や、低分子、高分子を問わず、光学的に正の一軸性を示しうる液晶性化合物若しくは液晶性組成物を意味する。前記ねじれ特性を有する液晶性物質としては、ねじれを誘起する単位を有する高分子液晶、例えば液晶性を示すポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖型高分子液晶、又はポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの側鎖型高分子液晶等を使用することができる。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの適切さからポリエステルが好ましい。ねじれを誘起する単位としては、光学活性な2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1,4−ブタンジオール、2−フルオロ−1,4−ブタンジオール、2−ブロモ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオールあるいは2−プロピル−1,4−ブタンジオール又はこれらの誘導体(例えばジアセトキシ化合物などの誘導体)から誘導される単位を用いることができる。用いられるジオール類はR体、S体のいずれでも良く、またR体及びS体の混合物であっても良い。
【0020】
なお、前記液晶性フィルムとは、当該液晶性物質をフィルム化することにより得られるものを意味するものであり、当該フィルム自体が液晶性を呈するか否かは問わない。当該液晶性フィルムは、通常、液晶状態において上記の如き液晶性物質が形成した配向状態を、例えば、光架橋、熱架橋、又は冷却といった方法によって固定化することにより得ることができる。
【0021】
前記位相差フィルムとしては、一般的には、ポリカーボネート、ポリメタクリレートに代表される透明プラスチックフィルムを精度よく一軸延伸して形成されるフィルムの積層体を挙げることができる。このフィルムの光学異方軸を1枚毎に徐々にずらし、複数枚積層することによりねじれ角を持つ積層体として使用することが出来る。
【0022】
前記光学異方体としては、温度によって後述する△n2・d2の値が変化する温度補償効果を有するものを用いると使用温度域が広がるのでより好ましい。このようなものを用いることにより、周囲温度が変化しても、色の発色が変動せず良好な反射型白黒表示装置を提供できる。この場合に、△n2・d2の温度による変化は、前記液晶セル中の液晶物質の層の△n1・d1の温度による変化とほば同様であるように前記光学異方体を設けることが望ましい。
【0023】
前記光学異方体として、波長により光学異方性の分散が異なるものを用いることも好ましい。これにより無彩色をさらに改良した反射型白黒表示装置を提供できる。
【0024】
前記光学異方体は前記偏光板及び前記反射板の間に配置される。具体的には、例えば前記偏光板と前記液晶セルとの間、又は前記液晶セルと前記反射板との間に配置することができるが、前記偏光板と前記液晶セルとの間に設けることが特に好ましい。
【0025】
本発明の反射型液晶表示装置では、前記液晶セル内の前記液晶物質の層における偏光板側から反射板側への液晶物質分子のねじれ角θ1、前記光学異方体の遅相軸の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ2、前記光学異方体と前記液晶物質の層との向き合う面の軸同士の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ3及び前記偏光板の吸収軸から前記光学異方体の偏光板側の面上における遅相軸への角度θ4が、前記式A1〜A5の全てを満足する。なお、前記光学異方体と前記液晶物質の層との向き合う面とは、前記光学異方体の前記液晶物質の層側の面、及び前記液晶物質の層の前記光学異方体側の面をいう。
【0026】
なお、本明細書においては、角度の+方向及び−方向とは、相対的な角度の回転方向を意味し、前記偏光板から前記反射板に向かって反時計回り方向を+とすれば時計回り方向は−となり、逆に時計回り方向を+とすれば反時計回り方向が−となるが、どちらを+とした場合も、本発明の範囲に包含され、同等の効果を得ることができる。
【0027】
これらの角度の関係を、図1に示される例を参照して具体的に説明する。図1において、液晶セル3中の液晶物質の層の、偏光板1側の面上における配向方向31と、反射板4側の面上における配向方向32とは、角度θ1をなしている。光学異方体2の、偏光板1側の面上における遅相軸の向き21と、反射板4側の面上における遅相軸の向き22とは、角度θ2をなしている。また、光学異方体2の反射板4側の面上における遅相軸の向き22と、液晶セル3中の液晶物質の層の、偏光板1側の面上における配向方向31とは、角度θ3をなしている。さらに、偏光板1の吸収軸11と、光学異方体2の偏光板1側の面上における遅相軸の向き21とは角度θ4をなしている。これらを前記偏光板側から前記反射板側に向かって重ね合わせて見た場合の位置関係を、同一の記号を用いて図4に示す。尚、図1及び図4において、θ1〜θ4は、説明の便宜上全て偏光板から反射板に向かって反時計回り、つまり相対的に同じ方向に回転させているが、本発明の液晶表示装置においては、θ2の回転方向は、常にθ1及びθ3と反対の方向となる。
【0028】
また、ここでは、光学異方体を偏光板側、液晶セルを反射板側に配置したので、θ3は光学異方体の反射板側の面上における遅相軸の向きから、液晶物質の層の偏光板側の面上における配向方向への角度となるが、逆に光学異方体を反射板側、液晶セルを偏光板側に配置した場合は、θ3は液晶物質の層の反射板側の面上における配向方向から、光学異方体の偏光板側の面上における遅相軸の向きへの角度を意味することとなる。
【0029】
特に、より明るく無彩色な表現を実現するためには、θ1とθ2との関係が、θ1+θ2=−5〜+5°であることが好ましく、さらにはθ1=θ2であることがより好ましい。また、角度θ3は、θ3=+85〜+95°であることが好ましく、さらにはθ3=90°であることがより好ましい。また、角度θ4は、前記光学異方体が前記偏光板と前記液晶物質の層との間に配置される場合はθ4=+70〜+110°であることが好ましく、また前記光学異方体が前記液晶物質の層と前記反射板との間に配置される場合はθ4=−20〜+20°であることが好ましい。
【0030】
本発明の反射型液晶表示装置では、前記液晶セル内における前記液晶物質の屈折率異方性△n1と前記液晶物質の層の厚みd1との積△n1・d1、及び前記光学異方体の屈折率異方性△n2と前記光学異方体の厚みd2との積△n2・d2が前記式a1を満足する。即ち、△n1・d1=230〜600nmであり、△n2・d2=230〜600nmであり、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nmである。特に、より明るく無彩色な表現を実現するためには、△n1・d1と△n2・d2との関係が△n1・d1−△n2・d2=−5〜+5nmであることが好ましく、さらには△n1・d1=△n2・d2であることがより好ましい。また、より良好なコントラストを実現するためには、△n1・d1及び△n2・d2がいずれも250〜370nmの範囲であるか、又はいずれも450〜550nmの範囲であることが好ましいが、いずれも450〜550nmの範囲である場合、さらに前記液晶セルの駆動電圧を低電圧化できる点でより好ましい。
【0031】
本発明の反射型液晶表示装置においては、偏光板を液晶セルの片面側のみにおいて使用するので、光は前記偏光板を通過して入射し、前記光学異方体及び液晶物質の層を通過し、さらに反射層によって反射せしめられ、前記光学異方体及び液晶物質の層を逆方向に通過し、さらに偏光板を通過して出射せしめられる。
【0032】
この際、オフ電圧状態においては、互いに略光学補償関係にある液晶物質の層及び光学異方体を楕円偏光状態となりながら通過した光は、入射時の直線偏光状態に近い状態となり、反射板にて反射される。再び、液晶物質の層及び光学異方体を通過した後は、再度、入射時と同様の直線偏光状態に戻る。従って、偏光板により光吸収の最も少ない状態で出射され、明状態となる。また、オン電圧状態にあっては、駆動される液晶物質の層中の液晶物質の分子の配向変形が起こることから有効な複屈折量が減少する。入射した光は駆動される液晶層と光学異方体との複屈折量の差に相当する複屈折の影響を受け、反射して戻ってきた光はオフ電圧状態とは異なり楕円偏光状態となる。前記液晶層と前記光学異方体のねじれ角、液晶層の屈折率異方性Δn1と液晶層の厚みd1との積Δn1・d1、光学異方体の屈折率異方性Δn2と光学異方体の厚みd2との積Δn2・d2、及び駆動電圧を調整して、複屈折量の差が約140nm、つまり可視光における中心光波長の4分の1に相当する量になるとき、反射して再び、液晶層を通過した後の光は、入射直線偏光状態に直行する方向の直線偏光に近い状態となる。従って、このとき暗状態が実現できる。
【0033】
本発明の反射型液晶表示装置は、必須の構成部材として備える液晶セル、偏光板、反射板及び前記光学異方体の他に、他の構成部材を備えても良い。具体的には、例えばカラーフィルターをさらに備えることにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができる反射型カラー液晶表示装置とすることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の反射型液晶表示装置は、偏光板を液晶物質の層の一方の面側のみに有し、且つ特定の液晶セル及び光学異方体を備えるため、反射率が高く、且つコントラストの良好な表示を実現でき、従来の反射型液晶表示に比べ、大幅に高い表示品位を得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
なお、本実施例においては、偏光板側から反射板側に向かって反時計回り方向を+、時計回り方向を−として装置を作成し、実験を行った。しかしながら偏光板側から反射板側に向かって時計回り方向を+、反時計回り方向を−として同様に実験を行っても全く同等の結果が得られる。
(実施例1)
図2に模式的に示されるTN型の反射型液晶表示装置を作成した。図2に示される通り、液晶セル3中、対向する一対の基板3Cは、それらの内側の面上に設けられた電極3Bと、その上に印刷形成され、配向処理が施された配向膜3Eとを備える。配向膜3Eと、基板周辺に印刷塗布形成したシール剤3Dにより規定される空間内に液晶物質が封入され液晶層3Aが形成される。配向膜3Eの配向処理方向を調節することにより液晶層3Aを所定の方向に配向させ、θ1=+63°にツイストさせた。また、液晶セル3中の液晶物質の屈折率異方性△n1と液晶層3Aの厚みd1との積△n1・d1は略270nmとした。
【0037】
液晶セル3の表示面側(図の上側)に偏光板1を配置し、一方液晶セル3の背面側(図の下側)に反射板4を配置した。偏光板1と液晶セル3との間に光学異方体2を配置した。光学異方体2の屈折率異方性△n2と厚みd2との積△n2・d2は略270nmとし、θ2=−63°とした。また、光学異方体2の反射板4側の面上における遅相軸から液晶層3Aの偏光板1側の面上における配向方向への角度θ3=+90°、偏光板1の吸収軸から光学異方体2の偏光板1側の面上における遅相軸への角度θ4=+93°とした。
【0038】
この液晶表示装置に、駆動回路(図示せず)から透明電極3Bに駆動電圧を印加し、反射率との関係を求めた。結果を図5に示す。また、印加電圧を0Vから反射率が最低になるまで増加させ、その間の色度変化を測定した。結果を、図6にCIE色度図として示す。また、オフ電圧0V及びオン電圧4Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果を表1に示す。
【0039】
図5の結果より、この液晶表示装置では、駆動電圧2V付近から、駆動電圧の増加に伴い大きな反射率の変化が得られることが分かる。また、図6の結果より、この液晶表示装置では、良好な白黒表示が達成されていることがわかる。
(実施例2)
△n1・d1をほば500nmとし、△n2・d2をほば500nmとし、θ1=+63°、θ2=−63°、θ3=+90°、θ4=+88°とした他は実施例1と同様の液晶表示装置を作成し、駆動電圧と反射率との関係及び印加電圧に対する色度変化を測定し、また、オフ電圧0V及びオン電圧3Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果をそれぞれ図7、図8及び表1に示す。
【0040】
図7及び図8の結果より、駆動電圧2V付近からの大きな反射率の変化及び良好な白黒表示が達成されていることがわかる。
(実施例3)
△n1・d1をほば340nmとし、△n2・d2をほば340nmとし、θ1=+50°、θ2=−50°、θ3=+90°、θ4=+80°とした他は実施例1と同様の液晶表示装置を作成し、駆動電圧と反射率との関係及び印加電圧に対する色度変化を測定し、また、オフ電圧0V及びオン電圧3Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果をそれぞれ図9、図10及び表1に示す。
【0041】
図9及び図10の結果より、駆動電圧2V付近からの大きな反射率の変化及び良好な白黒表示が達成されていることがわかる。
(実施例4)
△n1・d1をほば480nmとし、△n2・d2をほば480nmとし、θ1=+50°、θ2=−50°、θ3=+90°、θ4=+95°とした他は実施例1と同様の液晶表示装置を作成し、駆動電圧と反射率との関係及び印加電圧に対する色度変化を測定し、また、オフ電圧0V及びオン電圧3.2Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果をそれぞれ図11、図12及び表1に示す。
【0042】
図11及び図12の結果より、駆動電圧2V付近からの大きな反射率の変化及び良好な白黒表示が達成されていることがわかる。
(比較例1)
△n1・d1をほば480nmとし、△n2・d2をほぼ480nmとし、θ1=+90°、θ2=−90°、θ3=+90°、θ4=−20°とした他は実施例1と同様の液晶表示装置を作成した。これは、等価型TFT−LCDで通常使用される90度TNモードの液晶表示装置に、さらに光学異方体を配置したものである。この装置について、駆動電圧と反射率との関係及び印加電圧に対する色度変化を測定し、また、オフ電圧0V及びオン電圧2.7Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果をそれぞれ図13、図14及び表1に示す。
【0043】
図13及び図14の結果より、駆動電圧の変化による反射率の変化が少なく、また明時から暗時にかけて色づき、良好な白黒表示が達成されていないことがわかる。
(比較例2)
図15に模式的に示される反射型液晶表示装置を作成した。図15に示す構成部材のうち、図3に示す装置のものと共通のものは同一の符号で示す。図15に示される通り、偏光板1に加えて、液晶セル3と反射板4との間にもう一枚の偏光板6を配置した。また、光学異方体は設けなかった。本比較例における偏光板6の吸収軸と、偏光板1の吸収軸等との関係を、図4と同様の手法により図16に示す。図16に示される各方向のうち、図4に示す方向と共通のものは同一の符号で示す。図16に示される、偏光板から反射板に向かって見た場合の偏光板1の吸収軸11から液晶セル3中の液晶物質の層の、偏光板1側の面上における配向方向31への角度をθ5とする。また、偏光板1の吸収軸11から偏光板6の吸収軸61への角度をθ6とする。
【0044】
△n1・d1は略480nmとし、θ1=+90°、θ5=0°、θ6=90°とした。
【0045】
この液晶表示装置に、駆動電圧を印加し、反射率との関係を求めた。結果を図17に示す。また、印加電圧に対する色度変化を測定した。結果を、図18にCIE色度図として示す。また、オフ電圧0V及びオン電圧4Vとして駆動したときのコントラスト及び明時の反射率(Y値)を求めた。結果を表1に示す。
【0046】
図17及び図18の結果より、この液晶表示装置では、駆動電圧の変化による反射率の変化が少ないことが分かる。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すコントラストの測定結果を比較することにより、本発明の反射型液晶表示装置は、比較例の装置と比較して、コントラストが著しく高く、白黒表示を達成しうることが分かる。
【0049】
また、表1に示すY値の測定結果を比較することにより、本発明の反射型液晶表示装置は、偏光板を液晶セルの両側に備える比較例2の装置と比較して、明るさ(反射率)が著しく高いことが分かる。
【0050】
以上の結果から、本発明の反射型液晶表示装置は、比較例の装置に比べ、大幅に高い表示品位を有することが確認できた。
(実施例5)
図19に模式的に示される、カラーフィルター7を含む反射型カラー液晶表示装置を作成した。図19に示す構成部材のうち、図2に示す装置のものと共通のものは同一の符号で示す。図19に示される通り、液晶セル3中の表示面側の基板3Cと透明電極3Bとの間に、赤、緑及び青の3色の画素を含むカラーフィルター7を挿入した。このような構成でカラーフィルター層を設けることにより、良好なマルチカラー又はフルカラーの表示を行うことが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置における、各構成部材の位置及び角度関係を説明する概略図である。
【図2】実施例1の装置を模式的に表す立面断面図である。
【図3】従来の反射型液晶表示装置を模式的に表わす立面断面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置における偏光板の吸収軸、液晶物質の層の配向方向及び光学異方体の遅相軸方向の角度関係を説明する平面図である。
【図5】実施例1の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図6】実施例1の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図7】実施例2の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図8】実施例2の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図9】実施例3の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図10】実施例3の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図11】実施例4の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図12】実施例4の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図13】比較例1の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図14】比較例1の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図15】比較例2の装置を模式的に表す立面断面図である。
【図16】比較例2における偏光板の吸収軸、液晶物質の層の配向方向及び光学異方体の遅相軸方向の角度関係を説明する平面図である。
【図17】比較例2の装置の駆動電圧変化に対する反射率の変化を示す図である。
【図18】比較例2の装置の駆動電圧変化に対する色度の変化を示す図である。
【図19】実施例5の装置を模式的に表す立面断面図である。
【符号の説明】
1:偏光板
2:光学異方体
3:液晶層
4:反射層
5:外光
6:偏光板
7:カラーフィルター
11:偏光板の吸収軸
21:光学異方体の偏光板側の面上の遅相軸
22:光学異方体の反射板側の面上の遅相軸
31:液晶物質の層の偏光板側の面上における液晶物質の分子の配向方向
32:液晶物質の層の反射板側の面上における液晶物質の分子の配向方向
61:偏光板の吸収軸
Claims (4)
- 電極を有する一対の基板及びその間に挿入された液晶物質を有する液晶セルと、偏光板と、反射板と、光学異方体とを備える反射型液晶表示装置において、
前記偏光板が前記液晶物質の層の一方の面側のみに配置され、
前記反射板が前記液晶物質の層の他方の面側に配置され、
前記光学異方体が前記偏光板及び前記反射板の間に配置され、
前記液晶セル内の前記液晶物質の層における偏光板側から反射板側への液晶物質分子のねじれ角θ1、前記光学異方体の遅相軸の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ2、前記光学異方体と前記液晶物質の層との向き合う面の軸同士の偏光板側から反射板側へのねじれ角θ3、及び前記偏光板の吸収軸から前記光学異方体の偏光板側の面上における遅相軸への角度θ4が、下記式A1〜A5:
θ1=+40〜+70° ・・・(A1)
θ2=−40〜−70° ・・・(A2)
θ1+θ2=−10〜+10°・・・(A3)
θ3=+80〜+100° ・・・(A4)
{θ4=−20〜+20°若しくは+70〜+110°}・・・(A5)
の全てを満足し、
前記液晶セル内における前記液晶物質の屈折率異方性△n1と前記液晶物質の層の厚みd1との積△n1・d1、及び前記光学異方体の屈折率異方性△n2と前記光学異方体の厚みd2との積△n2・d2が下記式a1:
{△n1・d1=230〜600nm、△n2・d2=230〜600nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a1)
を満足することを特徴とする反射型液晶表示装置。 - △n1・d1及び△n2・d2が、下記式a2:
{△n1・d1=250〜370nm、△n2・d2=250〜370nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a2)
を満足することを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示装置。 - △n1・d1及び△n2・d2が、下記式a3:
{△n1・d1=450〜550nm、△n2・d2=450〜550nm、且つ△n1・d1−△n2・d2=−30〜+30nm}・・・(a3)
を満足することを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示装置。 - 前記光学異方体が液晶性フィルムである請求項1〜3のいずれか1項記載の反射型液晶表示装置。
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