本発明は、火力発電所などで化石燃料の転換によって発生し大気に排出されている二酸化炭素を、乾式再生吸収技術を用いて、大気に放出される前に回収する上で必要な乾式再生二酸化炭素吸収剤に関する。
二酸化炭素は、温室ガス(greenhouse gas)の一つであり、化石燃料(fossil fuels)の使用増加による二酸化炭素(carbon dioxide)の大気排出(emission)による地球温暖化(global warming)に最も深刻な影響を及ぼすものと知られている。かかる二酸化炭素の大気排出を制御(control)しないと、地球温暖化による地球環境の災難を招くことは自明である。したがって、化石燃料の燃焼から発生したガス気流(gas stream)、すなわち排ガス(flue gas)、石炭ガス化(coal gasification)から生成された合成ガス(syngas)、天然ガスの改質(reforming)から生成された合成ガス気流(通常、燃料ガス(fuel gas)と称する。)から二酸化炭素を除去する必要がある。すなわち、排ガスや燃料ガスから二酸化炭素を除去する必要がある。排ガスから二酸化炭素を除去する方法には、湿式化学吸収(wet chemical absorption)、吸着(adsorption)、膜分離(membranes)、低温冷却分離(low temperature distillation)などがあるが、コストが高くかかるために、特に大容量排ガスから二酸化炭素を回収(capture)するのには使用し難い。
排ガスから二酸化炭素を除去する方法として、乾式化学洗浄(dry chemical scrubbing)がある。この方法は、湿式化学洗浄で使用する液体溶媒(liquid solvent)の代わりに固体吸収剤を使用する技術である。固体吸収剤(solid sorbent)にある活性成分(active component)と二酸化炭素とが、吸収反応器(absorber)で化学反応をして炭酸塩(carbonate)または重炭酸塩(bicarbonate)を生成することによってガス気流から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を吸収した吸収剤は、再生反応器(regenerator or calcinator)で熱を加えて再生させて繰り返し使用可能にする技術を乾式再生吸収技術(dry regenerable sorbent technology)という。
乾式再生吸収技術は、素材が低価であり、再生して再使用可能であり、設計柔軟性(design flexibility)、親環境的、低エネルギー吸収工程適用性、高効率二酸化炭素吸収能(sorption capacity)及び高反応速度(reaction rate)などの特長を有し、他の技術に比べて持続的な成長・開発が可能な未来的技術といえよう。
米国エネルギー省(United States Department of Energy)のペンラインに許与された米国特許第6,387,337B1(2002年5月14日)には、移動層型反応器(moving-bed reactor)でアルカリ金属(alkali metal)またはアルカリ土金属(alkali earth metal)化合物を使って93〜1093℃(200〜2000°F)の温度範囲で連続して二酸化炭素の吸収と再生を通じて二酸化炭素を回収する方法を提示している。ここで、吸収剤は、アルカリ金属またはアルカリ土金属化合物を支持体に担持(deposit)した吸収剤に限定している。
本発明は、流動層(fluidized-bed)または高速流動層(transport)の吸収反応器と流動層または高速流動層の再生反応器で、固体吸収剤を使って二酸化炭素を回収する上で必要な吸収剤に関するものである。流動層または高速流動層工程で吸収剤を再生して数回使用するためには、吸収剤の反応性(reactivity、吸収能と反応速度)の他に、吸収剤の形状と機械的強度が重要になってくる。固体粒子(吸収剤)が両反応器の間を高速で循環する間に、粒子が衝突(collision)、摩擦(abrasion)、破損(fracture)または亀裂(crack)などによって一層微細な粒子(fine powder)となる。吸収剤の摩耗(attrition)は、吸収剤の動きによる物理的摩耗と、化学反応による体積膨脹/収縮(expansion/shrinkage)から起こる化学的摩耗とがある。
摩耗を最小限にすべく、多種多様な方法で吸収剤を成形加工して、強度を向上させることが好ましい。また、この種の複合吸収剤(composite sorbent)の多孔性、つまり気孔特性と比表面積(specific surface area)などの組織構造(morphology)が、全体反応速度と密接に関連してある。したがって、CO2と実質的に反応する活性成分の利用率(utilization)を極大化すると同時に、摩耗による損失を最小限にするのが最も肝心である。しかしながら、吸収剤の強度を増大させると相対的に反応性が減少する特性があり、よって、この特性を同時に満足する吸収剤の開発が望まれる。
固体吸収剤は、1)吸収能(sorption capacity)が高く、反応速度(sorption rate)が速く、2)排ガスまたはガス気流条件に符合し、3)低濃度までCO2を除去することができ、4)回収されたCO2の純度が高いなどの条件を満足すべきである。また、適当な工程で使用すべく、物理・化学的強度(耐久性)が高く、再生可能で、工程に適する流動特性(flow character)を持たねばならない。
高い反応性、特に吸収能は、要求される吸収剤の量を軽減させ、取扱及び再生費用(regeneration cost)が節減されるようにし、結果として、投資費及び運転コストの節減という効果をもたらす。既存の回収方法は、排ガス気流を圧縮したり冷却したりしなければならないので、排ガス条件下で回収可能な方法が好ましい。また、排ガス気流でCO2を低い濃度まで除去することで除去率を高めることができ、再生過程で吸収剤から発生したガスがCO2だけであれば回収過程がより効果的になる。
本発明で提示する固体乾式再生吸収技術は、上記の特徴を全て備えうるため、本発明の吸収剤は、火力発電所などにおけるボイラーの排ガスの他に、ガス化複合発電などの新技術発電の燃料ガスなどにも適用可能である。
固体活性成分には、排ガスまたは燃料ガスに適用可能なアルカリ金属化合物(200℃以下で使用可)と高温で使用可能なアルカリ土金属化合物及び各種の混合酸化物(mixed oxides)(200〜900℃で使用可)がある。
米国特許第6,280,503B1(2001年8月28日)には、沈殿法(precipitation method)で製造した炭酸アルカリ金属増進剤(promoter)と酸化マグネシウム(MgO)を含む吸着剤(adsorbent)を使って300〜500℃で二酸化炭素を吸着することを提示した。
日本東芝(Toshiba)社が獲得した米国特許第6,387,845B1(2002年5月14日)では、混合酸化物であるリチウムシリケート(lithium silicate)吸収剤またはリチウムシリケートと炭酸カリウム(potassium carbonate)混合粉末吸収剤を用いて500℃温度領域で二酸化炭素を除去する固定層過程を提示した。
UTC社(United Technologies Corporation)が獲得した米国特許第5,079,209(1992日1月7日)、第5,091,358(1992月2月25日)及び第5,480,625(1996年1月2日)では、酸化銀(AgO)を基本的に担持(impregnation)した吸収剤に関連したもので、活性成分、支持体、無機塩結合剤(inorganic salt binder)、増進剤(promoter)概念を導入し、常温で二酸化炭素を吸収して回収し、約160〜250℃で再生可能であることを提示したが、CO2吸収能は提示しなかった。
本発明の吸収剤と相違するが、常温領域で吸着剤(adsorbent)として使用する目的から支持体にアミンを担持したものが知られた。
UTC社(United Technologies Corporation)が獲得した米国特許第5,492,683(1996年2月20日)と第5,876,488(1999年3月2日)では、液体アミンを担持した固体吸着剤(solid adsorbent)を用いて常温領域で二酸化炭素を除去しうることを開示した。
アライドシグナル社(Allied Signal Inc.)が獲得した米国特許第4,810,266(1989年3月7日)では、アミンを炭素分子ふるい(carbon molecular sieve)に担持した固体吸着剤(solid adsorbent)を用いて常温領域で二酸化炭素を除去することを開示した。
これらの登録特許は、主に支持体に活性成分を担持した吸収剤または活性成分自体に関連したもので、固体吸収剤粒子が吸収と再生の両反応器の間を連続して速く循環しながら二酸化炭素を回収・分離する流動層または高速流動層工程に適用するのには向いておらず、効率的かつ経済的方法でCO
2を回収・分離するのに適用可能な形状と性能を揃えていなかった。
米国特許第6,387,337B1
米国特許第6,280,503B1
米国特許第6,387,845B1
米国特許第5,079,209
米国特許第5,091,358
米国特許第5,480,625
米国特許第5,492,683
米国特許第5,876,488
米国特許第4,810,266
本発明の第1の目的は、火力発電所などで化石燃料の転換によって生じて大気に排出されている二酸化炭素を、乾式再生吸収技術を用いて大気に放出される前に回収する上で必要な乾式再生二酸化炭素吸収剤に関するもので、流動層または高速流動層CO2回収工程に好適な形状(shape)、粒子大きさ(size)及び粒子分布(size distribution)、強度(mechanical strength or attrition resistance)及び反応性(reactivity)を持つ再生可能な吸収剤(regenerable sorbent)を提供することにある。
本発明の第2の目的は、流動層または高速流動層工程に好適な形状、粒子大きさ及び粒子分布を持つ流動化可能な固体吸収剤粒子を製造するために、噴霧乾燥技術(spray drying technology)を用いて、球形に近い形状(semispherical shape)で、粒子の平均大きさ(average particle size)が40〜180μm、より具体的には60〜160μmで、粒子分布が30〜500μm、より具体的には40〜300μmである固体吸収剤を提供することにある。
本発明の第3の目的は、二酸化炭素と選択的に反応してガス気流で二酸化炭素を効率よく回収(capture)しうる物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩若しくはこのような炭酸塩に転換可能な成分を5〜70wt%(重量百分率)含む吸収剤を提供することにある。
本発明の第4の目的は、二酸化炭素吸収のための活性成分が吸収剤粒子内に均一に分布されるように(uniform distribution)して反応性を高め、反応に必要な水分を吸着または吸収する特性を持つ、比表面積の大きい支持体としてそれ自体が親水性(hydrophilic)を有するか、吸収剤に親水性を与えるものとしてアルミナ(alumina)とシリカ(silica)を含むセラミック類(ceramic)、天然または合成ゼオライト(natural or synthesized zeolite)、または炭素分子ふるい(carbon molecular sieve、carbon nano tubes)を5〜70wt%含む吸収剤を提供することにある。
本発明の第5の目的は、流動層または高速流動層二酸化炭素回収工程に使用可能な強度を与えるために、ケイ酸カルシウム(calcium silicate)とアルミン酸カルシウム(calcium aluminate)のようなセメント類無機結合剤(cement-like inorganic binders)、ベントナイト(bentonite)とカオリン(kaolin)のような粘土類無機結合剤(clay-like inorganic binders)、アルミナゾル(alumina sol)、シリカゾル(silica sol)、ベーマイト(擬べーマイト)などのようなセラミック類無機結合剤(ceramic-like inorganic binders)など、吸収剤に強度を与えうる無機結合剤を5〜70wt%含む吸収剤を提供することにある。
本発明の第6の目的は、上記の第1の目的を達成するために、上記の第3乃至第5の目的に記述した吸収剤構成物質を基本組成とする吸収剤原料を噴霧乾燥器するための前段階として、基本原料を溶媒(solvent)の水と分散剤(dispersant)と流動性改良剤(flow control agent)、消泡剤(defoamer)、有機結合剤(organic binder)などの有機添加剤(organic additives)と均質化(homogenizing)して噴霧乾燥器で吸収剤を成形しうるようにスラリーを製造する方法を提供することにある。
本発明の第7の目的は、上記した第6の目的のスラリー製造段階で、高濃度アルカリ性電解質水溶液(high concentration of alkaline electrolyte aqueous solution)で原料粒子をナノ粒子(nano particle)大きさに細かく粉砕(comminute)して分散(disperse)し安定化(stabilize)させるように有機添加剤を使用することと粉砕する方法を提供することにある。
本発明の第8の目的は、よく分散されて安定でかつ流動性のあるスラリー(well dispersed、stable and free-flow slurry)の濃度を15wt%〜50wt%で製造し、噴霧・乾燥して成形された素地(green body)に強度を付与・保持するために、固体原料の総重量を基準に、分散剤と流動性改良剤(flow control agent)を0.01〜10wt%、消泡剤を0.001〜1wt%、有機結合剤を0.5〜5wt%含ませてスラリーを製造する方法を提供することにある。
本発明の第9の目的は、スラリーを噴霧乾燥器に入れて成形した吸収剤顆粒を、予備乾燥し熱処理(焼成)する方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、二酸化炭素吸収のための活性成分(active component)(本明細書ではこれを単に「活性成分」あるいは「吸収成分」とも記す。)、支持体(support)及び無機結合剤(inorganic binder)で構成された基本吸収剤組成物を、水に混合分散(dispersion)してスラリー(slurry)を製造し、これを噴霧乾燥器(spray dryer)で成形して粒子(particle)を作り、焼成(熱処理、calcination)して、流動層または高速流動層反応器で40〜110℃の温度領域でCO2吸収反応(carbonation)をし、80〜200℃温度領域で再生反応(regeneration or calcination)をして、繰り返し使用可能な乾式再生用二酸化炭素吸収剤を製造することを特徴とし、この製造技術は、200℃以上の高温で運転されるのに使用される二酸化炭素吸収剤の製造にも直接適用可能であることをも特徴とする。
また、吸収剤配合(sorbent formulation)は、一定量の水に分散剤を添加し混合して活性成分である炭酸アルカリ(alkali metal carbonate)または重炭酸アルカリ(alkali metal bicarbonate)を添加して、可能なかぎり多くの活性成分が水に溶けるようにする。この混合水溶液に比表面積(BET)の大きい支持体としてセラミック(ceramic))、ゼオライト(zeolite))、炭素分子ふるい(carbon molecular sieve)などの支持体またはそれらの複合支持体(composite support)を添加し混合し、セメント類(cement-like)、粘土類(clay-like)、セラミック類(ceramic-like)の無機結合剤(inorganic binders)またはそれらの複合無機結合剤(a combination of inorganic binder)を添加して高濃度混合スラリーを製造した後に、高エネルギーミル(high energy mill)で原料粒子を粉砕(comminution)し分散して安定したスラリーを製造し、続いて、この物質(ホコリ、乾いたスラリーの塊または不純物)を除去してスラリーを製造した後に噴霧乾燥器を使って造粒化した(forming)吸収剤を製造することを特徴とする二酸化炭素回収用吸収剤の組成とその製造方法を提供する。
本発明によれば、火力発電所、製鉄所、石乳化学、セメント産業などの大規模の燃焼設備で発生する二酸化炭素を経済的に分離回収して、大気にCO2が排出されるのを抑え、窮極的に地球温暖化などの環境問題を解決するための大量CO2回収技術に好適であり、かつ、経済的でエネルギー消費の少ない二酸化炭素回収用工程に好適な乾式再生吸収剤及びその製造方法を提供することが可能になる。
また、本発明の乾式再生吸収剤の原料は、殆どアルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物であるため、価格が低廉で、使用可能な温度範囲も、発電所の排ガス温度範囲である200℃以下であり、別途の熱源を供給しなくて済むため、乾式再生吸収剤を用いたCO2回収処理技術は、費用節減とエネルギー節減という2つの問題を同時に解決することができる。
本発明では、流動層または高速流動層工程に好適な形状、粒子大きさ及び粒子分布を持つ流動化可能な固体吸収剤粒子(free flow solid sorbent particles)を製造し、二酸化炭素と效率的に反応する固体吸収剤を製造するために、噴霧乾燥技術を使用することを特徴とする。より詳細には、本発明は、二酸化炭素吸収剤製造するにおいて、噴霧乾燥器で吸収剤を成形するために固体吸収剤原料の組成(composition)、この固体吸収剤原料の配合比(formulation)及び均質化(homogenizing)を通じて、水に固体原料、粒子分散及び流動性制御に必要な分散剤、消泡剤、有機結合剤などの有機添加剤を添加してスラリーを製造し、このように製造されたスラリーを噴霧乾燥して成形した後に、成形された吸収剤を焼成して二酸化炭素吸収剤を製造する方法とその過程に関する。
固体吸収剤原料は、活性成分、支持体、無機結合剤で構成される。
二酸化炭素を吸収するための活性成分は、二酸化炭素と選択的に反応してガス気流で二酸化炭素を効率的に回収分離しうる物質で、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩若しくはこのような炭酸塩に転換可能な成分であり、総固体原料の5〜70wt%(重量百分率)、より具体的には10〜50wt%を占めることを特徴とする。吸収成分は、ガス気流中で二酸化炭素及び水と反応して金属重炭酸塩(MHCO3)を生成するか、または、二酸化炭素と反応して炭酸塩(carbonate)を生成しうる、金属炭酸塩(metal carbonates)、金属重炭酸塩(metal bicarbonates)、金属酸化物(metal oxides)であって、本発明は、合成原料または自然産原料についての制限はないが、本発明に使用される活性成分は98%以上の純度を有するのが好ましい。
活性成分を吸収剤粒子内によく分布されるようにして反応性を高め、反応に必要な水分を吸着または吸収しうる特性を持つ比表面積の大きい支持体として、自体的に親水性を持つか、吸収剤に親水性を与えうるアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニアを含むセラミック類(ceramics)、天然または合成ゼオライト(natural or synthesized zeolite)、珪藻土(Celite or diatomaceous earth)または炭素分子ふるい(carbon molecular sieve or carbon nano tubes)を、総固体原料中に5〜70wt%、より具体的には15〜40wt%を含ませることを特徴とする。これら支持体の中で、本発明で試用した支持体は、珪藻土(Celite)、ゼオライトである分子ふるい13X(molecular sieve 13X、Tricat Zeolites GmbHZeosorb 13X powder)、またはアルミナ(Versal G Alumina powder)であった。このZeosorb 13Xは、SiO2含有量が45.4wt%で、SiO2/Al2O3モル比率(mol ratio)が2.5%と、比表面積が733m2/gである。アルミナは、Al2O3含有量が99.8%と、比表面積は150m2/g(VGL-15)または250m2/g(VGL-25)である。
吸収剤に強度を与えるために使用可能な無機結合剤は、ケイ酸カルシウムとアルミン酸カルシウムのようなセメント類無機結合剤、ベントナイトとカオリンのような粘土類無機結合剤、アルミナゾル、シリカゾル、べーマイト(boehmite)のようなセラミック類無機結合剤などがあり、総固体原料中に5〜70wt%含ませ、より具体的には10〜50wt%を含ませることを特徴とする。
本発明に使用するセメント類無機結合剤に特に制限はないし、本発明に好ましく使用可能なセメント類無機結合剤は、水和セメント(hydraulic cement)の中でもポートランドセメント(Portland cement)(または、無水ケイ酸カルシウム(anhydrous calcium silicate))である。
本発明に使用する粘土類結合剤は、天然、加工または合成粘土類結合剤に特に制限されないが、本発明に好ましく使用される粘土類結合剤は、スメクタイト(smectites)とカンダイト(kandites)に属するものとして、水溶液で可塑性があることを特徴とする天然ナトリウムベントナイト(sodium bentonite)またはカオリン(kaolin)である。
本発明では、セラミック類結合剤として、主にナノ粒子大きさ、または水でナノ粒子大きさに分散されるアルミナ、シリカ、ジルコニア(zirconia)、チタニア(titania)、マグネシア(magnesia)などのセラミック粉末(ceramic powder)またはセラミックゾル(ceramic sol)と擬べーマイト(擬べーマイト)を使用する。
本発明で固体原料を均質化するために使用する有機添加剤は、分散剤または分散剤の一種であるスラリー流動性改良剤、消泡剤及び有機結合剤で構成されたことを特徴とする。固体原料自体だけを水に入れた場合に、可塑性が少なくて分散し難いため、混合及びコロイドスラリーを製造するのが困難である。また、微細粉末にさらに粉砕する場合にも、微細粒子どうしが相互に凝り固まる凝集現象が起こるため、粉砕効率が低下する。固体粒子分布が、ナノ領域(約10nm〜5000nm)である場合には、分散剤の使用が必須である。本発明で使用する分散剤には、陰イオン系(anionic)、非イオン系(nonionic)、陽イオン系(cationic)及び両性(amphoteric or zwitterion)の分散剤(dispersant)またはこれらの組合せがあり、15〜60wt%の高濃度スラリー製造に適するものでる。具体的に、本発明では、非イオン系と陰イオン系の分散剤を使用し、相溶性に優れておらねばならない。本発明に使用可能な非イオン系界面活性剤に特に制限はないが、デュポン(DuPont)または3Mのふっ素系界面活性剤(fluorosurfactant)が好ましい。本発明における非イオン系分散剤の使用量は、総固体原料100を基準に、0.01〜0.3%とする。本発明に使用可能な陰イオン系分散剤に特に制限はないが、ポリカルボキシル酸、ポリカルボキシル酸アミン、ポリカルボキシル酸アミン塩、またはポリカルボキシル酸ソーダ塩が好ましい。本発明で陰イオン分散剤は、総固体原料100を基準に、0.1〜10%を含むことを特徴とする。
本発明に使用した消泡剤は、非イオン系と陰イオン系分散剤及び有機結合剤を適用したスラリーの気泡を除去しうるものであって、金属石鹸系とポリエステル系の非イオン性界面活性剤であることを特徴とする。本発明で消泡剤は、総固体原料100を基準に、0.001〜1%で含まれることを特徴とする。
本発明では、有機結合剤をスラリー製造段階で添加してスラリーの可塑性(plasticity)と流動性を与え、窮極的には噴霧乾燥成形で造粒された吸収剤素地(green body)に強度を与えることで、予備乾燥及び焼成に先立って素地の取り扱い性を良くすることを特徴とする。好ましくは、本発明では、ポリビニルアルコール系(PVA)、ポリエチレングリコール系(PEG)またはメチルセルローズ(methyl celluloses)系若しくはこれらの組合せで構成された混合有機結合剤を使用する。本発明では、有機結合剤を、総固体原料100を基準に0.5〜5%を含むことを特徴とする。
本発明では、固体原料を組成に応じて水に添加してよく混合し、必要によって有機添加剤を添加してよく混合されるようにする混合過程と、水に混合されたスラリーの粒子を湿式粉砕して微細化(comminution)し、スラリーの分散と均質化を遂行する過程とを含むことを特徴とする。ここで、使用した原料粒子の大きさが数マイクロメートル以下のものであれば、粉砕過程を省略してもいい。さらに、本発明は、上記のように製造された、よく分散されて安定でかつ流動性のあるスラリーに含まれた異物(ホコリ、乾燥したスラリーの塊、粒子の大きい原料及びその他の異物)を除去するふるい分け過程を含むことを特徴とする。
詳細に説明すると、上記の組成を用いた二酸化炭素回収用吸収剤の製造過程は、それぞれの原料を正確に計量した後に、まずスラリー濃度、つまり、固体対液体比率(重量比基準)を勘案して液体比率に該当するだけの蒸留水を適当な大きさの容器に入れ、分散剤と消泡剤を添加してよく混合する。ソーダ灰などの活性物質を完全に溶解した後に、支持体の分子体13X、無機結合剤のケイ酸カルシウム、擬ベーマイト(擬べーマイト)、ベントナイトなどを添加した。重ソーダ灰のように溶解度の低い活性成分は、まず支持体と無機結合剤などを混合した水溶液に、最後に添加し混合した。このときに、スラリーに流動性を与えてスラリーを構成する原料等の円満な混合を可能にする上で必要な分散剤または流動性改良剤(flow control agent)を、消泡剤と共に添加して混合する。過量の分散剤使用を防止するためにスラリーの濃度を水で調整することができ、このときに混合されたスラリーの濃度は15〜60wt%である。原料を水に混合してスラリーを製造するときに、原料をよく混合するために混合器を使用し、本発明では特別な制限はないが、一般の撹はん器(mechanical stirrer)、均質器(homogenizer)、超音波均質器(ultrasonic homogenizer)、混合器(high shear blender)、二重螺旋撹はん器(double helix mixer)などを原料の量に応じて使用することができる。
この混合製造されたスラリー中にある固体原料を1μm以下、つまり、ナノ大きさに粉砕し、このように粉砕された粒子を含んだあらゆる原料粒子を均質に分散させ、このように分散されたスラリー中の粒子は、既に添加した分散剤または流動性改良剤などの界面活性剤によって凝集が防止されるため、安定したスラリーを製造することができる。
本発明で湿式粉砕技術(wet milling technique)を用いて固体原料を機械的に粉砕(comminution)するときには、空気ジェットミル(air-jet mill)、roller mill(roller mill)、ボールミル(ball mill)、摩耗ミル(attrition mill)、振動ミル(vibratory mill)、遊星ミル(planetary mill)、またはビーズミル(bead mill)など様々な機構または装備を使用することができ、本発明では高エネルギービーズミル(high energy bead mill)が好ましい。この高エネルギービーズミルは、回転子(rotor)と固定子(stator)間のすき間があり、ここに粉砕媒質(media)を体積の60〜80%充填して粒子粉砕及びスラリーの均質化を遂行することができる。粉砕媒質には、摩耗による原料の汚染を防止するために、イットリウム安定化ジルコニアボール(yttrium stabilized zirconia bead)を使用する。本発明では0.3mm〜1.25mm大きさ範囲の単一大きさのボールを使用した。本発明では、1μm以下の粒子を得るために2回以上スラリーをミリング(milling)または湿式粉砕(wet comminution)する。最初にミリングしたスラリーは、2番目のミリングのために濃度または流動性改良剤(または、分散剤)と消泡剤を添加して、ポンプで移送しミリングしうるようにスラリーの流動性を調節する。
本発明によって製造された全てのスラリーは、有機結合剤を添加し、必要によって分散剤と消泡剤を添加したり、スラリーの濃度を調整するために水を添加してスラリーの特性を調整した後に、熟成(aging)過程を経てふるいにかけて異物を除去した後に、ポンプで移送されて噴霧乾燥器に送られる。本発明では各種の有機結合剤を使用することができるが、主として変性ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)を0.5〜5%使用する。本発明において、最終スラリーの流動性と関連して特別な制限はなく、ポンプで移送可能な粘度であれば良い。本発明では、スラリーの粘度を300cP以上とし、ポンプを使って噴霧乾燥器に移送した。
本発明では、安定でかつ均質で、よく分散された流動性スラリーを噴霧乾燥器で成形して球形の吸収剤素地(green body)を製造した。噴霧乾燥器の運転条件は、吸収剤の粒度分布が30〜500μmとなるように選定した。吸収剤粒子の形状、粒子大きさと分布、吸収剤の組織(morphology or texture)に影響を及ぼす因子には、スラリーの濃度と粘度、分散程度、スラリーの注入圧力と量、噴霧乾燥器の乾燥容量及び温度などがある。これら変数は、噴霧乾燥器の構造とアトマイザー(atomizer)の形態によって異なる。
本発明に使用した噴霧乾燥器に特別な制限はないが、本発明では、自体設計し製作したものとして、乾燥筒(drying chamber)の大きさは、高さ2m、直径1mであり、円錐筒を含む長さは2.94mである電熱器で乾燥する噴霧乾燥器を使用した。この噴霧乾燥器は、上部にロータリーホイールアトマイザー(Rotary Wheel Atomizer)または加圧ノズル(a centrifugal pressure nozzle)を使って並流式(co-current)で噴霧乾燥可能であり、また、下部に設置された加圧ノズルを使って向流式(counter-current fountain configuration)で噴霧乾燥可能なように設計された。本発明では、上記の噴霧乾燥器で平均粒子を約40〜180μmの大きさにするために、乾燥器の内部から噴きつけられた粒子の滞留時間を増加させる必要があるが、このために、噴霧乾燥器下部の加圧ノズル(Centrifugal Pressure Nozzle)を使用する向流式(Counter-Current Fountain Configuration)噴霧方式を採用した。代表的な噴霧乾燥器の運転条件は、注入圧力範囲6〜30kg/cm2(10kg/cm2)、加圧ノズルの内径0.51mm、噴霧乾燥器の入口温度260〜300℃、噴霧乾燥器の出口温度90〜150℃である。
噴霧乾燥成形製造された吸収剤素地は、110〜150℃空気雰囲気の還流乾燥器で、2時間以上乾燥した。乾燥した素地は、空気雰囲気で昇温速度2℃/minと、350〜1000℃の温度範囲で2時間以上焼成して最終吸収剤を製造する。より具体的には、本発明では350〜850℃の温度範囲で2時間以上焼成した。本発明では、焼成過程で溶媒と有機添加剤を效率的に除去するために、200℃と500℃温度でそれぞれ1〜2時間程度保持した後に、350〜850℃まで昇温した。
次に、本発明を具体的な実施例に上げて詳細に説明するが、下記の実施例は、本発明を例示するもので、本発明を制限するためのものではない。
本実施例は、合計2kgの固体原料を、活性成分の天然ソーダ灰(soda ash)(Na2CO3)20〜50%、支持体の珪藻土(Celite or Diatomaceous earth)0〜20%、無機結合剤50〜60%を組成比として吸収剤を製造する例である。スラリー濃度が約35%となるように、水に原料を順次的にまたは一挙に添加し、分散剤及び消泡剤を添加した後に、10000〜25000rpmに調整して撹はん可能な乳化撹はん器(homogenizer)で混合した。混合スラリー(mixed slurry)は、2次にわたり高エネルギービーズミルを使ってコロイドスラリーを製造した。コロイドスラリーにポリエチレングリコール(PEG)有機結合剤(Sannopco Korea,HS-BD-20A)を約1.25wt%添加してよく撹はんした後に、2時間以上熟成させ、ふるいにかけて異物を除去した。最終スラリーの濃度は、約28〜32wt%範囲に調整して噴霧乾燥した。このように成形製造された吸収剤素地(green body)を、乾燥器で120℃で2時間以上予備乾燥した後に焼成炉(furnace)で650℃で2時間以上焼成して吸収剤を製造した。焼成温度に至る前の200℃、400℃、500℃で1時間程度滞留し、昇温速度は約5℃/minだった。このように製造された吸収剤は、活性成分の量によって吸収剤A、B及びCで表記した。
表1に、珪藻土を支持体とした吸収剤の組成とスラリー特性をまとめて示す。
乾式再生高比表面積吸収剤を製造するために、上記の実施例1で製造された吸収剤Bと類似する組成を使用した。ただし、支持体としてmolecular sieve 13X(733m2/g)を使用して総固体原料15kgを計量して吸収剤を製造した。
蒸留水24.5lに、非イオン系分散剤(3M Florad Fluorosurfactant FC 4430)5gと消泡剤(Sannopco Korea、NOPCO NXZ)2mlを添加して二重螺旋撹はん器で2分間よく撹はんした。この水溶液を撹はんしながらソーダ灰(Na2CO3)4.5kgを徐々に添加した(27℃におけるpHは11.04)。この混合物(mixture)にmolecular sieve 13X 3kg、擬ベーマイト1.5kg、天然ナトリウムベントナイト1.5kg、ケイ酸カルシウム(Celite Korea、Microcel C)5.25kgを順次に、徐々に加えた。全ての固体原料を水に添加した後に、約1時間混合溶液を撹はんした(24℃におけるpHは10.8)。この混合スラリー(mixed slurry)をぜん動ポンプ(peristaltic pump)を使って高エネルギービーズミルに移送して固体原料を粉砕(comminution)すると同時に分散させた。1次ミリングしたスラリーに、水7.5lをさらに添加して二重螺旋撹はん器でよく撹はんした後に、2次ミリングした。2次ミリングしたスラリーにPEG 420g、水6l、消泡剤1mlをさらに添加して二重螺旋撹はん器でよく撹はんした後にふるいにかけて異物(other materials or impurities)を除去した。このスラリーを24時間以上熟成(aging)させた。最終スラリー濃度と粘度をそれぞれ約26%と1100cPに調整した後に、モイノ・キャビティポンプ(moyno cavity pump)を使ってスラリーを移送し、ノズルから噴霧乾燥し成形した。成形された吸収剤素地は、上記の実施例1と略同様にして予備乾燥及び焼成をして吸収剤Dを製造した。ただし、最終焼成は500℃で実施した。
乾式再生高比表面積吸収剤を製造するために、上記の実施例2と類似する組成を使用した。ただし、活性成分として重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を使用して総固体原料15kgを計量して吸収剤を製造した。
蒸留水29lに、非イオン分散剤(3M、FC 4430)4gと消泡剤(Sannopco Korea、NOPCO NXZ)2mlを添加し、二重螺旋撹はん器で2分間よく撹はんした。この混合液にケイ酸カルシウム(Celite Korea、Microcel C)5.25kg、天然ナトリウムベントナイト1.5kg、擬ベーマイト1.5kg及びMolecular sieve 13X 3kgを順次的に徐々に添加した。この混合物(mixture)を撹はんしながら重炭酸ナトリウム(NaHCO3)4.5kgを徐々に添加した。全ての固体原料を水に添加した後に、約10分間混合溶液を撹はんした(17℃におけるpHは8.2)。
この混合スラリーをぜん動ポンプを使って高エネルギービーズミルに移送し、固体原料を1回通過させてスラリーを製造した。1次ミリングしたスラリーを15時間以上熟成させた後に、2次ミリングした。1次と2次ミリング過程で水を約7lさらに添加した。2次ミリングしたスラリーにPEG有機結合剤(Sannopco Korea、HS-BD-20A)420g、水3l、消泡剤1mlをさらに添加して二重螺旋撹はん器でよく撹はんした後に、ふるいにかけて異物を除去した。このスラリーを、24時間以上熟成させた。スラリーに陰イオン分散剤(Sannopco Dispersant SN-5468)と消泡剤(Sannopco Korea HS-Defoamer 551)2mlを添加してスラリー粘度を約1200cPに調整した。これを15時間以上熟成(aging)させた。モイノ・キャビティポンプ(Moyno cavity pump)(または、eccentrical pump)でスラリーを移送し、ノズルから噴霧乾燥し成形した。成形された吸収剤素地(green body)は、上記の実施例1と略同様にして予備乾燥及び焼成して吸収剤Eを製造した。ただし、最終焼成は、500℃で実施した。
下記の表2には、Molecular sieve 13Xを使用した吸収剤の組成とスラリー特性をまとめて示す。
上記の実施例3のmolecular sieve 13X supportの代わりに高表面積アルミナ)を使用し、活性成分としてソーダ灰(soda ash or sodium carbonate)を使用して総固体原料20kgを計量して吸収剤を製造した。
蒸留水40lに、非イオン分散剤(3M、FC 4430)4gと陽イオン分散剤(Sannopco Korea、HS-DISPERSANT 6067M)750ml、3種消泡剤(Sannopco Korea、NOPCO NXZ、HS-Defoamer 551及びSN-Defoamer 485)をそれぞれ10ml、20ml10mlを添加し、二重螺旋撹はん器で約5分間よく混合した。この水溶液に炭酸ナトリウム(Na2CO3)6kgを添加し、二重螺旋撹はん器でよく混ぜて完全に溶かした。この混合物に、アルミナ粉末9.6kg、天然ナトリウムベントナイト1kg、擬べーマイト2kg、ケイ酸カルシウム(Celite Korea、Microce lC)1.4kgを順次的に徐々に添加しながら、同時に二重螺旋撹はん器で混合スラリーをよく撹はんした。全ての固体原料を水に添加した後に約10分間混合物を撹はんした(23.5℃におけるpHは10.74)。
ぜん動ポンプ(peristaltic pump)でこの混合スラリーを高エネルギービーズミルに移送し、固体原料を1次ミリングした。1次ミリングしたスラリーに水5lと分散剤6067M 400mlをさらに添加してスラリーの流動性を増加させた後に、高エネルギービーズミルで2次ミリングをした。2次ミリングしたスラリーにPEG有機結合剤(Sannopco Korea、HS-BD-20A)560g、蒸留水1lと分散剤 6067M 100mlをさらに添加して二重螺旋撹はん器で混合した後に、3次ミリングをした。3次ミリングしたスラリーを45μmのふるいを使用して真空ふるい分け(vacuum sieving)して異物を除去した。このスラリーを10時間程度熟成させた。このスラリーの濃度は、約29wt%で、pHは10.56(26.5℃)で、粘度は230,000cP(spindle# 4、0.6rpm)だった。モイノ・キャビティポンプ(Moyno cavity pump)(または、eccentrical pump)でこのスラリーを噴霧乾燥器に移送し、ノズルから噴霧乾燥し成形した。スラリー注入圧力は18〜21kg/cm2だった。成形された吸収剤素地は、上記の実施例1と略同様にして予備乾燥及び焼成をして吸収剤Fを製造した。ただし、最終焼成は、500〜650℃の温度で実施した。
下記の表3には、アルミナを支持体とした吸収剤Fの組成とスラリー特性をまとめて示す。
上記の実施例4と略同一であるが、活性成分として炭酸カリウムを使用した。
蒸留水42lに、非イオン系分散剤(非イオン分散剤)(3M、FC 4430)4gと陰イオン系分散剤(陽イオン分散剤)6067M(Sannopco Korea、HS-DISPERSANT 6067M)1100ml、Defaomer NOPCO NXZ、HS-Defoamer 551、及び SN-Defaomer 485(Sannopco Korea)を各々10ml、21ml、10ml添加し、二重螺旋撹はん器で約5分間よく混合した。この水溶液に、炭酸カリウム(Na2CO3)7kgを添加して二重螺旋撹はん器でよく混ぜて完全に溶かした。この混合物に、アルミナ粉末8.6kg、天然ナトリウムベントナイト1kg、擬べーマイト2kg、ケイ酸カルシウム(Celite Korea、Microcel C)1.4kgを順次的に徐々に添加しながら、同時に二重螺旋撹はん器で合スラリーをよく撹はんした。全ての固体原料を水に添加した後に、約10分間混合物を撹はんした。
ぜん動ポンプ(peristaltic pump)でこの混合スラリーを高エネルギービーズミルに移送して固体原料を1次ミリングした。1次ミリングしたスラリーに分散剤6067M 200mlをさらに添加してスラリーの流動性を増加させた後に、高エネルギービーズミルで2次ミリングした。2次ミリングしたスラリーにPEG有機結合剤(Sannopco Korea、HS-BD-20A)560g、蒸留水2l、分散剤6067M 200mlと消泡剤HS-Defoamer 551 10mlをさらに添加して二重螺旋撹はん器で混合した後に、3次ミリングした。3次ミリングしたスラリーをふるい(53μm)で真空ふるい分けをし、再び45μmふるいで真空ふるい分け(vacuum sieving)をして異物を除去した。このスラリーを、10時間程度老化させた。このスラリーの濃度は、約29.64wt%で、pHは11.31(21.2℃)で、粘度は44000〜82000cP(spindle# 4、1.5rpm)だった。Moyno cavity pump(または、eccentrical pump)でこのスラリーを噴霧乾燥器に移送してノズルから噴霧乾燥し成形した。スラリーの注入圧力は、12〜15kg/cm2だった。成形された吸収剤素地は、上記の実施例1と略同様に予備乾燥及び焼成をして吸収剤Gを製造した。ただし、最終焼成は、500〜650℃で実施した。上記の表3に、アルミナを支持体とした吸収剤Gの組成とスラリー特性をまとめて示した。
上記の実施例1乃至5で噴霧乾燥技術によって製造された吸収剤A〜Gの物性は、次のような分析方法で特徴付けられる:具体的に、吸収剤の形状はSEM、充填密度はタップ密度計(ASTMD 4164-88)、粒度及び粒度分布は粒度分析器(または、ふるい)、比表面積及び気孔容積は標準BET、気孔容積及び気孔率はHg気孔測定器(Hg porosimetry)を用いて測定した。
流動層における吸収剤の耐摩耗性は、ASTM D 5757-95に基づいて変形された3穴エアジェット摩耗試験機(three-hole air-jet attrition tester)で測定した。摩耗指数(attrition index:AI)は、上記のASTM法に記載されたように、5時間にかけて10slpm(standard liter per minute、分当たり標準体積)で測定した。摩耗指数は、5時間にかけて生成された微粉(fine)の比率で表す。比較対象として、Akzo及びDavisonの流動接触分解(fluidized catalytic cracking:FCC)触媒のAIはそれぞれ、同じ条件下で22.5及び18.4%だった。したがって、高速流動層反応器(transport reactor)で30%未満、さらには、バブリング流動層反応器で60%未満のAIを有する物質は、排ガスの大気圧排ガスでも十分に使用可能であり、この物質は、流動層CO2回収工程でも適用可能になる。摩耗指数(AI)が低いほど充填粒子の耐摩耗性は向上する。
実施例1乃至5で製造された吸収剤A〜Gの化学的反応性を、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量計(DSC)という二重機能を有する同時熱分析計(simultaneous thermal analyzer、Rheometric Scientific STA 1500)で測定した。
吸収剤A〜Fの吸収反応を50〜70℃、吸収剤Gについては70〜100℃で遂行した。また、再生反応は、吸収剤A〜Fについては120℃未満で、吸収剤Gについては100〜160℃で遂行した。吸収剤A〜Fに対する模擬排ガス組成は、14.4vol%のCO2、5.4vol%のO2、10vol%のH2O(特定しない限り)及び残量のN2とした。吸収剤Gもまた、H2Oを5〜7vol%とした以外は、吸収剤A〜Fと同じ模擬排ガスの下で試験した。この試験のためのサンプルの使用量は、10mg程度だった。全体流速は60ml/min(標準)だった。再生ガスは、60std ml/minの流速を有する純粋N2ガスだった。
本発明で製造した吸収剤A〜Gに関する物理的特性と反応特性を表4にまとめて示した。ここで、耐摩耗度は、摩耗指数(attrition index:AI)を意味し、小さいほど耐摩耗性に優れるようになる。ここで、利用率は、各吸収剤の理論的CO2吸収能に対する測定したCO2吸収能の百分率で、各吸収剤に含まれた活性成分の利用率に対する指標である。
本発明では、噴霧乾燥技術を用いて流動層二酸化炭素回収工程に直接使用可能な形態の乾式再生吸収剤を製造することができることを示した。特に、アルカリ性活性物質を、支持体、無機結合剤、有機添加剤などと共に水溶性コロイドスラリーを製造して、噴霧乾燥成形する方法と製造過程を提示した。この方法は、量産が容易で、相対的に低コストとなるため、競争力のある技術である。特に、火力発電所などで使用している湿式アミン回収技術で活性成分として使用しているモノエタノールアミン(monoethanolamine:MEA)は、CO2と早く反応するが、二酸化炭素吸収能に劣る(例:15.3wt%MEA水溶液のCO2吸収能は、約3wt%水準で、利用率も約30%水準に止まる)。そこで、MEA濃度を30.3wt%まで増加させることでCO2吸収能を6wt%まで増加させようと試みているが、MEAの強い腐食性のゆえに20wt%以下の濃度で使用することが好ましいものと知られた。本発明で提示した吸収剤DとEは、活性成分の含有量が20〜30wt%で、純粋なソーダ灰(Na2CO3)と重ソーダ灰(NaHCO3)のCO2吸収能をはるかに上回るか、同等な性能を見せているし、湿式アミン方法で期待している吸収能6wt%をいずれも上回っている。表3に示すように、吸収剤A〜Cのように吸収剤の特性の中で、比表面積が小さいと、反応に必要な水分を吸収剤が自体的に吸着(adsorption)しうる能力が少なく、また、二酸化炭素が吸収剤の活性成分と接触する機会が少ない。この特性から、吸収剤を製造するに当たって高比表面積と多孔性を提供することが重要である。
表3に示すように、吸収剤FとGとも、流動層または高速流動層CO2回収工程に使用するのに好適な物理的・化学的特性を備えている。
したがって、本発明によれば、吸収剤支持体として、二酸化炭素との接触が容易である他に、反応に必須とされる水分を吸着するように、親水性と高比表面積を与えうる基剤(matrix)を使用して、造粒化(forming)し熱処理するため、支持体及び活性物質が内外部とも一体化した構造を持ち、かつ、固体粒子に活性成分が均質に分布する乾式再生CO2吸収剤を製造することが可能になる。
本発明は、排ガスから排出される二酸化炭素を回収分離する工程に適用する場合に、排ガスから発生する二酸化炭素を有効に除去可能であり、繰り返し使用可能であり、また、流動層工程で速い固体循環がなされることから摩耗による微細粉末が小さく生じるため、吸収剤の補充を減らすことができ、反応性(高い吸収能と速い吸収速度)と吸収剤利用率が高くて吸収剤を少なく使用することができ、工程を単純化(compact)させられるため、経済的である。
特に、吸収剤の重量よりは体積に基づいて流動層または高速流動層反応器を設計する。また、CO2除去率(the same CO2 removal duty)では、吸収剤の充填密度が高いほど吸収剤の重量流速(mass flowrate)が大きいため、吸収反応器での発熱反応を制御しやすくなり、投資費と運転費を節減することができる。本発明では、低い濃度の活性成分だけでもCO2吸収能が高いために、発熱反応にともなう固体吸収剤自体の温度上昇を抑制し、また、流動層工程で固体吸収剤粒子が早く循環しながらガス気流中にあるCO2を吸収し回収可能で、吸収反応器の温度制御が容易である。
天然または合成炭酸アルカリ(M2CO3、M=Na or K)を直接工程に適用する上で様々な問題(腐食性、下流工程の沈積)が予想されるが、本発明では、このような活性物質を、支持体と無機結合剤と混合した複合多孔性吸収剤としたため、純粋な活性物質に比べて腐食性が少なく、排ガスなどにある水分によって活性成分が溶出して工程下部に積もることから工程を中断しなければならない場合が、相対的に少なく発生する。
本発明で使用した原料物質は、相対的に低価のものであるため、吸収剤費用を節減することができる。
本発明で提示したソーダ系吸収剤(sodium-based sorbents)は、再生反応が120℃以下でほとんど完結され、カリウム灰(potassium ash)、カリウム系吸収剤(potassium-based sorbent)も約160℃以下の温度で再生されるため、本発明の吸収剤を用いたCO2回収工程を、排ガス温度範囲である200℃以下で運転することができ、別途の熱源を供給しなくてすむ。その結果、費用節減と効率的なエネルギー使用という2つの問題を同時に解決する乾式再生用二酸化炭素吸収剤を提供することが可能になる。また、この技術は、200℃以上の高温ガス気流における二酸化炭素回収にも適用可能である。