JP4180940B2 - 可変動弁機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リフト量の異なる複数の回転カムと各回転カムに当接して押圧されるロッカアームとを有し、内燃機関の回転速度や負荷に応じた回転カムをロッカアームを連結、切離して選択、切替する可変動弁機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の可変動弁機構として、バルブ押圧部82を備えた低速用ロッカアーム81と、高速用ロッカアーム83と、低速用ロッカアーム81を押圧して揺動させる低速用回転カム84と、高速用ロッカアーム83を押圧して揺動させると共に低速用回転カム84よりも突出量を大きい高速用回転カム85と、低速用ロッカアーム81と高速用ロッカアーム83との連結する位置と連結を解除する位置との間で移動する連結ピン86を備えたものがある。
この可変動弁機構は、低リフトを必要とする運転状況下では、連結ピン86を連結解除位置に移動させることにより、図8(a)に示すように、低速用ロッカアーム81が低速用回転カム84に押圧されてバルブ87を低リフトし、高速用ロッカアーム83は高速用回転カム85に押圧されるが空揺動する。
また、高リフトを必要とする運転状況下では、図8(b)に示すベース時に連結ピン86を連結位置まで移動させることにより、図9(a)に示すように、高速用回転カム85により高速用ロッカアーム83と、連結された低速用ロッカアーム81とが大きく揺動させられて、バルブ87が高リフトするとともに、低速用ロッカアーム81は低速用回転カム84と離間するようになっている。
しかし、図9(a)に示すように、連結ピン86を連結解除位置から連結位置に(又は連結位置から連結解除位置に)移動するタイミングが悪いと、図9(b)に示すように、高リフト中に連結が外れて低速用ロッカアーム81がバルブスプリング88に押し戻されて低速用回転カム84に叩きつけられ、図10に示すように異音を発生させる原因になった。またその時の衝撃荷重で低速用ロッカアーム81が損傷する恐れがあった。
そこで、回転カムの回転と連結ピンの移動タイミングを同期させることにより、連結ピンの意図しない連結又は解除を起こらないようにして異音の発生を防止するものがある(例えば、特許文献1参照。)。その可変動弁機構は、第一ロッカアームと第二ロッカアームとを連結する位置と、連結状態を解除する位置との間で移動する連結ピンに対し、第一ロッカアームが開弁方向に揺動動作をしている時に連結ピンに係合してピストンの移動を規制して、それ以外の時だけ連結ピンの移動を許容するタイミング板を設けたものである。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−31611号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の可変動弁機構では、タイミング板を新たに設けるだけでなく、ロッカアームにタイミング板が摺合する溝を設けたり、連結ピンの一部にタイミング板が係合する係合溝を設けたりする必要があり、可変動弁機構自体を設計しなおす必要があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来の構造を大きく変更することなく異音レベルを抑制し、構造を簡素化することで多機種展開できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の可変動弁機構は、ロッカアームと、該ロッカアームに対応する回転カムとを複数備え、少なくとも二つの前記ロッカアームの切離及び連結を切り替える切替機構を備え、少なくとも二つの前記ロッカアームのうち一つは低速用ロッカアームであり、前記ロッカアームが切離されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、各ロッカアームが対応する回転カムにそれぞれ押圧されて変位し、前記ロッカアームが連結されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、連結されている前記ロッカアームのうち低速用ロッカアームが、対応する低速用回転カムから離間した状態で空変位し、その際に前記連結が外れると前記低速用回転カムから離間している前記低速用ロッカアームが、バルブスプリングの付勢により、対応する前記低速用回転カムに押し戻されて再び接触する可変動弁機構において、前記低速用ロッカアームが対応する前記低速用回転カムに再び接触する際に生じる衝撃を緩和する下記の緩衝機構を設けたことを特徴としている。なお、本明細書において「回転カム」は、突出量の変化するものに限らず、突出量の変化しないものを含む広い意味で取り扱い、カムシャフトの外周面や、カムシャフトと同軸上に形成された環状隆起部等を含む。
【0007】
ロッカアームは、本明細書においてはロッカアームに限定されず、バルブリフタを含む意味である。
【0008】
ロッカアームの数は、特に限定されず、二つでも三つ以上でもよい。
【0009】
ロッカアームとバルブとの対応は、特に限定されず、少なくとも一つのロッカアームが対応するバルブを備えていればよく、全てのロッカアームが対応するバルブを備えてもよい。また、一つのロッカアームに対応するバルブの数は、特に限定されず、一つでも二つ以上あってもよい。
【0010】
切替機構は、特に限定されないが、ロッカアームに摺動可能に支持された連結ピンと、別のロッカアームに設けられた連結ピンの係合する係合穴と、連結ピンを摺動させるための駆動装置とを備えたものを例示できる。駆動装置は、特に限定されないが、油圧を用いたものが好ましい。
【0011】
緩衝機構の具体的構成としては、次の態様を挙げる。
(1)低速用ロッカアームに接触する接触部材と、シリンダヘッドに形成されて接触部材を長さ方向に摺動可能に支持する支持部材と、接触部材の伸張側摺動の限界位置を決める規制手段と、支持部材から接触部材を伸張側に摺動させる方向に、接触部材を付勢する付勢手段とで構成された態様。
(2)低速用ロッカアームとシリンダヘッドとにバネ部材が懸架された態様。
【0012】
上記(1)において、接触部材は、特に限定されないが、棒材若しくは有底筒状のもの等を例示できる。また、支持部材は、特に限定されないが、有底筒状のものが好ましい。
【0013】
上記(1)において、規制手段は、特に限定されないが、接触部材の基端に支持部材からの脱落を防ぐよう、接触部材の長さ方向に対して略垂直な方向に延びる凸部若しくはフランジ部等が形成されたものを例示できる。
【0014】
上記(1)において、付勢手段は、特に限定されないが、バネ弾性、油圧、空圧又はそれらのいずれか二つ以上を組み合わせたもの等を例示できる。
【0015】
上記(1)において、緩衝機構のロッカアームへの作用部位は、特に限定されないが、ロッカアームの各所(例えば、連結ピンを支持する連結部、バルブ押圧部、バルブ押圧部に螺入量調整可能に取付けられたネジ付きピンの基端部)等を例示できる。
【0016】
上記(2)において、バネ部材のロッカアーム又はシリンダヘッドに対する懸架位置としては、いずれも特に限定されない。
【0017】
緩衝機構の作用範囲としては、特に限定されないが、次の態様を例示できる。
(a)ロッカアームが(押し戻され始める時には作用せず)回転カムに再び接触する位置まで押し戻される途中で作用し始める態様。
例えば(1)の緩衝機構の場合は、高リフト時にロッカアームと接触部材との間に隙間が生じるように設置すればよい。また、(2)の緩衝機構の場合は、前記途中の位置にロッカアームが到達した時に、バネ部材が自然長となるように設置すればよい。
(b)ロッカアームの揺動範囲全域でロッカアームに作用する態様。
例えば、(1)の緩衝機構の場合は、高リフト時にもロッカアームと接触部材とが接触するように設置すればよく、(2)の緩衝機構の場合は、バルブのリフト量によらずバネ部材が常に引き延ばされた状態となる長さのバネ部材を設置すればよい。
【0018】
ロッカアームの回転カムに押圧される部位は、特に限定されず、ロッカアームに設けられた硬質チップ部でも、ロッカアームに回転可能に軸着されたローラでもよい。但し、摺動抵抗や磨耗を低減するためには、ロッカアームに回転可能に軸着されたローラが好ましい。
【0019】
なお、本発明の可変動弁機構は、吸気バルブ又は排気バルブの何れか一方に適用することもできるが、両方に適用することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した可変動弁機構について図を参照して説明する。
まず、図1〜図5は第一実施形態の可変動弁機構を示しており、ロッカシャフト1に独立して揺動可能に軸着された低速用ロッカアーム20及び高速用ロッカアーム30と、低速用ロッカアーム20に対応して低速用ロッカアーム20を押圧する低速用回転カム11と、高速用ロッカアーム30に対応して高速用ロッカアーム30を押圧する高速用回転カム12と、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30の切離及び連結を切り替える切替機構とを備えている。
【0021】
ロッカシャフト1の下方には、ロッカシャフト1と平行にカムシャフト10が回転可能に軸支されている。カムシャフト10には、低速用回転カム11と高速用回転カム12とが形成されている。
【0022】
低速用回転カム11は、ベース円11aと、突出量が漸増するノーズ漸増部11bと、最大突出量となるノーズ11cと、突出量が漸減するノーズ漸減部11dとからなっている。
【0023】
高速用回転カム12は、ベース円12aと、突出量が漸増するノーズ漸増部12bと、ノーズ11cよりも大きい最大突出量をもつノーズ12cと、突出量が漸減するノーズ漸減部12dとからなっていて、低速用回転カム11と高速用回転カム12とは同位相(即ち、ノーズ11cとノーズ12cとがカムシャフト10を基準として同一方向に)に形成されている。なお、低速用回転カム11と高速用回転カム12との位相を相対的にずらしてもよい。
【0024】
低速用ロッカアーム20は、その被軸着部から低速用回転カム11の上方に向かって延びて、その先端部には低速用回転カム11に当接して押圧される低速用ローラ21が低速用回転カム11側にやや突出するように配されて、該低速用ローラ21は低速用ロッカアーム20の揺動面に垂直な軸線の周りに回転可能に軸着されている。また、低速用ロッカアーム20には、バルブ押圧部23と、高速用ロッカアーム30と連結するための連結アーム部22とが形成されている。
【0025】
バルブ押圧部23は、低速用ロッカアーム20の被軸着部から低速用ローラ21の反対側に向かって略水平に延出され、その先端に形成された雌ネジには、バルブ2を押圧する雄ネジ付きピン24が突出量調節可能に螺入され、ナットにより固定されている。また、雄ネジ付きピン24の下側には、バルブスプリング3により基端側(図3(a)における上方向)へ付勢されたバルブ2が設けられている。
【0026】
連結アーム部22は、低速用ロッカアーム20の被軸着部から斜め上方に延出しており、その先端部には後述するガイド穴22aが形成されている。
【0027】
高速用ロッカアーム30は、低速用ロッカアーム20からバルブ押圧部23を取り除いたのと略同一の形状に形成され、高速用回転カム12の上方に向かって延びたフォーク内には、高速用回転カム12に当接して押圧される高速用ローラ31が、高速用回転カム12側にやや突出するように配されて、該フォークの側壁に直交する軸線の周りに回転可能に軸着されている。また、高速用ロッカアーム30には、高速用ローラ31が高速用回転カム12に常に当接するように高速用ロッカアーム30を(図3(a)における右回転方向に)付勢する付勢手段(図示略)が設けられている。また、低速用ロッカアーム20の連結アーム部22に対応する位置には、低速用ロッカアーム20と連結するための連結アーム部32が形成されている。高速用ローラ31は、低速用ローラ21と略等しい外径を備えている。
【0028】
切替機構は、低速用ロッカアーム20の連結アーム部22に設けられたガイド穴22aと、ガイド穴22aに摺動可能に係合する連結ピン27と、高速用ロッカアーム30の連結アーム部32に設けられた係合穴33と、連結ピン27をガイド穴22a内で摺動させるための連結ピン駆動装置(図示略)とからなっている。
【0029】
ガイド穴22aは、連結アーム部22の先端寄りの位置に、ロッカシャフト1の軸線方向と平行に延びる丸穴状に形成されている。また、連結ピン27は丸棒状に形成され、ガイド穴22aの内側にガイド穴22aの延びる方向に摺動可能に支持されている。連結ピン27の先端(高速用ロッカアーム30側)には、面取り部27aが形成されている。
【0030】
係合穴33は、連結アーム部32の先端寄りの位置に、ロッカシャフト1の軸線方向と平行に延びる丸穴状に形成されている。係合穴33はガイド穴22aと略同一寸法の内径に形成され、その内部にはリターンスプリング34が係合穴33と軸線方向を一致させて備えらている。また、係合穴33の低速用ロッカアーム20側の開放端には、面取り部33aが形成されている。
【0031】
連結ピン駆動装置は、低速用ロッカアーム20の脇に設けられ、連結ピン27を係合穴33側に押動するようになっている。従って、低速用ローラ21が低速用回転カム11のベース円11aに当接し、高速用ローラ31が高速用回転カム12のベース円12aに当接している時に、ガイド穴22aと係合穴33とが同軸上に位置するようになっており、このときに連結ピン駆動装置を作動させると、連結ピン27がリターンスプリング34による付勢に抗して係合穴33側に押動され、連結ピン27はガイド穴22aと係合穴33とに連通した位置(連結位置)に達し、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とが連結ピン27により連結される。また、連結ピン駆動装置を停止させると、連結ピン27がリターンスプリング34の付勢により係合穴33から押し出されてガイド穴22aのみに係合した位置(切離位置)に戻り、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とが切離されるようになっている。
【0032】
従って、連結ピン27が切離位置にあり、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とが切離されている時に、低速用回転カム11と高速用回転カム12とが低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とをそれぞれ押圧すると、低速用ロッカアーム20は低速用回転カム11に押圧されて揺動してバルブ2を低リフトさせるとともに、高速用ロッカアーム30は高速用回転カム12に押圧されて空揺動するようになっている。
【0033】
また、連結ピン27が連結位置にあり、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とが連結されている時に、低速用回転カム11と高速用回転カム12とが低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とを押圧すると、低速用ロッカアーム20が低速用回転カム11から離間した状態で空変位してバルブ2が高リフトされる。その高リフトの際に連結が外れると低速用回転カム11から離間している低速用ロッカアーム20が、低速用回転カム11に押し戻されて再び接触するようになっている。
【0034】
また、高リフトの際に、連結が外れて低速用回転カム11から離関している低速用ロッカアーム20が、低速用回転カム11に押し戻される際に、低速用ロッカアーム20が低速用回転カムに再び接触する位置まで押し戻される途中で作用し始めることにより、低速用ロッカアーム20が低速用回転カム11に再び接触する際に生じる衝撃を緩和する緩衝機構が設けられている。緩衝機構としては、バルブスプリング3による荷重よりも小さい荷重で、バルブスプリング3による荷重方向とは逆の方向に低速用ロッカアーム20を付勢するダンパーユニット14が設けられている。
【0035】
ダンパーユニット14は、図3(a)に示すように、互いに開口側を対峙させて当接及び離間可能に側周壁が内外に係合したカップ状の内側部材15及びシリンダヘッドに形成された外側部材16と、内側部材15のカップ内底面と外側部材16の内底面との間に圧縮状態で設置されて外側部材16から内側部材15を離間方向に付勢するロストモーションスプリングとしてのコイルスプリング17とからなっている。
【0036】
内側部材15は、シリンダヘッドの外側部材16の内側にガイドされて摺動するようになっていて、その基端には外側部材16から内側部材15が抜け出さないように係合するフランジ15aが形成されている。また、内側部材15の先端は、連結アーム部22の低速用回転カム11側の側面に当接され、低速用ロッカアーム20はバルブ2をリフトさせる方向に付勢されるが、コイルスプリング17はバルブスプリング3よりも弱いスプリングが使用されているため、バルブ2を閉じる動作に影響が出ないようになっている。
【0037】
上記のように構成された本発明の可変動弁機構の作用について説明する。連結ピン27が解除位置に駆動された状態では、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とは互いに独立して揺動できるので、低速用回転カム11に押圧された低速用ロッカアーム20は小さく揺動し、高速用回転カム12に押圧された高速用ロッカアーム30は大きく揺動する。このとき、バルブ2は低速用ロッカアーム20の揺動により基端を押圧されて低リフトし、高速用ロッカアーム30は空揺動する。また、このとき低速用ロッカアーム20は、常にダンパーユニット14の内側部材15に接触しつづけている。
【0038】
一方、連結ピン27を連結位置に駆動すると、低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30とは連結ピン27により連結されるので、低速用ロッカアーム20は高速用回転カム12に押圧された高速用ロッカアーム30と一体となって大きく揺動する。このとき、バルブ2は低速用ロッカアーム20の揺動により基端を押圧されて高リフトし、低速用ロッカアーム20の低速用ローラ21と低速用回転カム11とが離間する。
【0039】
また、連結ピン27の位置を解除位置から連結位置に駆動するタイミングが、バルブ2のリフトの開始直前から開始直後の間になってしまった場合、連結ピン27の先端の面取り部27aが係合穴33の面取り部33aに浅く引っ掛かった状態で、図4(a)に示すように、高速用ロッカアーム30が低速用ロッカアーム20を揺動させて高リフトを開始する。すると、高速用回転カム12に高速用ローラ31を押圧されてバルブ2をリフトする方向へ揺動する高速用ロッカアーム30に対し、低速用ロッカアーム20はバルブスプリング3による荷重を受けてバルブ2を閉じる方向に付勢されているので、連結ピン27と係合穴33とは連結ピン27の軸心に垂直な方向にずれようとする。そのために係合穴33の面取り部33aが連結ピン27の面取り部27aを押して、連結ピン27は係合穴33から抜け出す方向に力を受けて連結ピン27による低速用ロッカアーム20と高速用ロッカアーム30との連結が解除されてしまう。
【0040】
連結が解除された低速用ロッカアーム20は、バルブスプリング3の付勢により、低速用ローラ21を低速用回転カム11に近づける方向に押し戻される。しかし、図4(b)に示すように、低速用ローラ21が低速用回転カム11に当接する直前に、ダンパーユニット14の内側部材15が低速用ロッカアーム20の連結アーム部22に当接し始める。このとき、コイルスプリング17がバルブスプリング3よりも弱いバネを使用しているので、低速用ロッカアーム20は低速用ローラ21が低速用回転カム11に当接するまで揺動する。しかし、ダンパーユニット14が低速用ロッカアーム20に制動をかけて、低速用ロッカアーム20(詳しくは低速用ローラ21)が低速用回転カム11に再び接触する際に生じる衝撃を図5に示すように緩和するので、異音のレベルが抑えられる。また、衝撃の緩和により、低速用ロッカアーム20を衝撃による劣化や損傷から保護することができる。
【0041】
次に、本発明を実施した可変動弁機構の第二実施形態について、図6を参照して第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態の可変動弁機構は、バルブ、ロッカアーム及び回転カムの形状と数、緩衝機構の構成及び作用部位において第一実施形態と異なるものである。
【0042】
即ち、本実施形態の可変動弁機構は、カムシャフト10に回転カム13を対称面としてその両側に回転カム13のベース円と同径の隆起部18が形成されている。回転カム13に押圧される第一ロッカアーム40と、各隆起部18にそれぞれ当接する二つの第二ロッカアーム50とがロッカシャフト1に揺動可能に軸着されている。
【0043】
各第二ロッカアーム50の先端には、バルブ2を押圧する雄ネジ付きピン24が突出量調節可能に螺入され、ナットにより固定されている。また、各雄ネジ付きピン24の先端側には、バルブスプリング3により基端側(図6における上方向)へ付勢されたバルブ2がそれぞれ設けられている。
【0044】
各ロッカアーム40,50の途中部には、ローラの代わりに硬質チップ部40a、50aがそれぞれ形成されている。なお、第一実施形態と同様に、ローラを回転可能に設けて、回転カム13又は隆起部18にローラが当接するようにしてもよい。
【0045】
また、緩衝機構が、内部にオイル63が満たされたオイルダンパー60に変更されている。オイルダンパー60は、外側部材16の内部であって内側部材15の基端側に第一油室61が形成され、外側部材16の内部であって内側部材15の軸部側方に第二油室62が形成され、両油室内にはオイル63が満たされている。また、フランジ部15aが外側部材16の内径よりもやや小さく形成されているために第一油室61と第二油室62とはオイル63が双方向に連通可能となっている。
【0046】
また、オイルダンパー60の作用部位が第二ロッカアーム50に螺入された雄ネジ付きピン24の基端部に変更されている。即ち、オイルダンパー60は、バルブ2の軸心に内側部材15の軸心を一致させ、雄ネジ付きピン24の基端に内側部材15の先端が当接するように、外側部材16がシリンダヘッドに取付けられている。
【0047】
二つの第二ロッカアーム50と一つの第一ロッカアーム40とには、周知の連結機構(図示略)が設けられ、連結が解除された状態では第二ロッカアーム50と第一ロッカアーム40とは隆起部18と回転カム13とにそれぞれ常に摺接して、第一ロッカアーム40だけが空揺動し、二つのバルブ2はリフト休止状態となる。また、二つの第二ロッカアーム50と一つの第一ロッカアーム40とが連結された状態になると、回転カム13の押圧により二つの第二ロッカアーム50が各隆起部18と離間するとともに、第一ロッカアーム40と一体となって揺動し、二つのバルブ2はリフトするようになっている。
【0048】
本実施形態の可変動弁機構によれば、バルブ2のリフト中に連結が解除されて二つの第二ロッカアーム50がバルブスプリング3に押し戻されても、二つのオイルダンパー60が雄ネジ付きピン24の基端部を介して第二ロッカアーム50に制動をかける。従って、硬質チップ部50aが隆起部18に接触するときの衝撃を緩和して異音のレベルを抑えると共に、第二ロッカアーム50を衝撃による劣化や損傷から保護することができる。
【0049】
次に、本発明を実施した可変動弁機構の第三実施形態について、図7を参照して第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態の可変動弁機構は、緩衝機構の構成と作用部位とが第一実施形態と異なるものである。
【0050】
即ち、本実施形態の可変動弁機構は、低速用ロッカアーム20とシリンダヘッドとの間に、低速用ロッカアーム20をバルブスプリング3の付勢に抗して付勢する緩衝機構としてのコイルバネ70が設けられている。コイルバネ70は、低速用ロッカアーム20のバルブ押圧部23基端と、シリンダヘッドのバルブ支持部71の脇との間に引き延ばされた状態で懸架されている。また、コイルバネ70はバルブスプリング3よりも弱い荷重を発生するものが用いられ、バルブ2の開閉動作には影響を与えない。しかし、高リフトの最中に連結が外れてバルブスプリング3に押し戻される低速用ロッカアーム20を、バルブスプリング3の付勢に抗して引張るので低速用ローラ21が低速用回転カム11に接触する時の衝撃を緩和して異音のレベルと抑えると共に、低速用ロッカアーム20を衝撃による劣化や損傷から保護することができる。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更して具体化することもできる。
(1)低速用ロッカアーム及び高速用ロッカアームの他に、一つ以上の中速用ロッカアームを備えた可変動弁機構に適用して、低速用ロッカアーム及び中速用ロッカアームに緩衝機構を設けること。
(2)緩衝機構の構成を適宜変更すること。
【0052】
【発明の効果】
本発明の可変動弁機構は、従来の構造を大きく変更することなく異音レベルを抑制し、構造を簡素化することで多機種展開できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る可変動弁機構を示す斜視図である。
【図2】同機構を異なる角度から見た斜視図である。
【図3】同機構を示す(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図4】同機構の作用を示す側面図である。
【図5】同機構による異音レベルの低減を示すグラフである。
【図6】本発明の第二実施形態に係る可変動弁機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の第三実施形態に関わる可変動弁機構を示す側面図である。
【図8】従来の可変動弁機構の作用を示す側面図である。
【図9】同機構の作用を示す側面図である。
【図10】同機構の異音発生の状況を示すグラフである。
【符号の説明】
2 バルブ
3 バルブスプリング
11 低速用回転カム
12 高速用回転カム
14 緩衝機構としてのダンパーユニット
20 低速用ロッカアーム
22a ガイド穴
27 連結ピン
30 高速用ロッカアーム
33 係合穴
Claims (6)
- ロッカアームと、該ロッカアームに対応する回転カムとを複数備え、少なくとも二つの前記ロッカアームの切離及び連結を切り替える切替機構を備え、少なくとも二つの前記ロッカアームのうち一つは低速用ロッカアームであり、前記ロッカアームが切離されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、各ロッカアームが対応する回転カムにそれぞれ押圧されて変位し、前記ロッカアームが連結されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、連結されている前記ロッカアームのうち低速用ロッカアームが、対応する低速用回転カムから離間した状態で空変位し、その際に前記連結が外れると前記低速用回転カムから離間している前記低速用ロッカアームが、バルブスプリングの付勢により、対応する前記低速用回転カムに押し戻されて再び接触する可変動弁機構において、
前記低速用ロッカアームが対応する前記低速用回転カムに再び接触する際に生じる衝撃を緩和する緩衝機構を設け、該緩衝機構を、前記低速用ロッカアームに接触する接触部材と、シリンダヘッドに形成されて該接触部材を長さ方向に摺動可能に支持する支持部材と、該接触部材の伸張側摺動の限界位置を決める規制手段と、前記支持部材から前記接触部材を伸張側に摺動させる方向に、前記接触部材を付勢する付勢手段とで構成した可変動弁機構。 - 前記緩衝機構が、前記低速用ロッカアームが前記低速用回転カムに再び接触する位置まで押し戻される途中で作用し始めるように、高リフト時に前記低速用ロッカアームと前記接触部材との間に隙間が生じるように設置した請求項1記載の可変動弁機構。
- 前記緩衝機構が、前記低速用ロッカアームの揺動範囲全域で前記低速用ロッカアームに作用するように、高リフト時にも前記低速用ロッカアームと前記接触部材とが接触するように設置した請求項1記載の可変動弁機構。
- ロッカアームと、該ロッカアームに対応する回転カムとを複数備え、少なくとも二つの前記ロッカアームの切離及び連結を切り替える切替機構を備え、少なくとも二つの前記ロッカアームのうち一つは低速用ロッカアームであり、前記ロッカアームが切離されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、各ロッカアームが対応する回転カムにそれぞれ押圧されて変位し、前記ロッカアームが連結されている時に前記回転カムが前記ロッカアームを押圧すると、連結されている前記ロッカアームのうち低速用ロッカアームが、対応する低速用回転カムから離間した状態で空変位し、その際に前記連結が外れると前記低速用回転カムから離間している前記低速用ロッカアームが、バルブスプリングの付勢により、対応する前記低速用回転カムに押し戻されて再び接触する可変動弁機構において、
前記低速用ロッカアームが対応する前記低速用回転カムに再び接触する際に生じる衝撃を緩和する緩衝機構を設け、該緩衝機構を、前記低速用ロッカアームとシリンダヘッドとに懸架されたバネ部材とした可変動弁機構。 - 前記緩衝機構が、前記低速用ロッカアームが前記低速用回転カムに再び接触する位置まで押し戻される途中で作用し始めるように、前記途中の位置に前記低速用ロッカアームが到達した時に、前記バネ部材が自然長となるように設置した請求項4記載の可変動弁機構。
- 前記緩衝機構が、前記低速用ロッカアームの揺動範囲全域で前記低速用ロッカアームに作用するように、バルブのリフト量によらず前記バネ部材が常に引き延ばされた状態となる長さの前記バネ部材を設置した請求項4記載の可変動弁機構。
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