本発明は、遊技盤と遊技球発射装置とを備え遊技球を遊技盤に発射してゲームを行う弾球遊技機に関し、なお詳細には、遊技球発射装置から遊技盤に向けて発射される遊技球の発射角度を容易に調整し得る弾球遊技機用の発射補助機構に関する。
遊技盤と遊技球発射装置を備え遊技球を遊技盤に発射してゲームを行う弾球遊技機として、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機等が一般に広く知られている。この種の弾球遊技機の代表とされるパチンコ機では、開閉搭載枠たる前枠の上部に遊技盤を収容する収容枠が設けられ、前面に遊技領域が形成された遊技盤が立設姿勢で収容保持されている。収容枠の下方に位置する前枠の下部領域(「遊技補助盤」という)には、遊技球を打ち出す発射機構および打ち出された遊技球を上方の遊技盤に向けて導く発射レールを備えた遊技球発射装置が設けられている。遊技盤には遊技球発射装置から発射された遊技球を受けて遊技領域に案内する半円弧状の案内レールが設けられており、遊技球発射装置から発射された遊技球が案内レールに沿って遊技領域の上部に導かれ、遊技釘に弾かれながら遊技領域を落下してゲームが行われるようになっている。
遊技球発射装置は、遊技者が自らの意思で遊技球を遊技領域の所望位置に発射できるように、発射ハンドルの操作量(回動角度位置)に応じた発射強度で遊技球を打ち出すように構成されている。ここで、発射ハンドルの操作量が一定なら発射機構のハンマによる叩打力が一定になり、遊技球の到達位置も一定になるように考えられる。ところが、遊技球発射装置は多数の構成要素からなる複雑な系であり、発射ハンドルに内蔵されたポテンショメータ、発射機構の作動を制御する制御基板、発射機構のハンマを駆動するロータリーソレノイド、ハンマの先端に固定されたコイルバネのバネ定数、遊技球の叩打位置、発射レールの傾き角などの微少な誤差が複雑に絡み合っている。このため、現実的には、発射ハンドルの操作量が同一であっても、発射された遊技球の到達位置(球飛び)に個体差が生じている。
このような背景の下、近年では、遊技球発射装置から発射された遊技球が案内レールに当接する位置(「着座点」という)の変化が、球飛びに影響を与えていると考えられるようになってきた。そこで、着座点を調整する手段として、発射レールの終端側を上下に変位させることで発射レールを弾性変形させ、レール面のプロフィール(発射レールが延びる方向のレール面の断面形状)を変化さることで発射角度を調整する調整機構が提案されている(特許文献1を参照)。
特開平6−304303号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、発射レール自体を弾性変形させる構成のため、発射レールの終端側を変位させたときにその影響が基端側にも及び、球飛び安定化の重要な要素のひとつである遊技球の叩打位置、すなわちハンマと遊技球との接触位置にも変化が生じるおそれがあった。また、発射レールを弾性変形させて発射角度を調整する構成のため、調整時に変形量に応じた反力が発生する。このため、変形量(調整量)が大きくなると、これに比例して反力も大きくなり、この反力に抗しながら微妙な角度調整をすることが難しいという課題があった。
また、発射機構のハンマに叩打された遊技球の運動方向を安定させるためには遊技球をガイドするレール長さをできるだけ長く確保することが好ましい。しかしながら、収容枠の支持面よりも上方ではその直後後方に遊技盤が収容されるため、レールを支持面よりも上方に設けると当該レールが遊技盤の下部前方に位置して突出配設されることとなり、遊技盤の着脱作業を行いにくくさせる。特に、遊技盤を前枠の前面側(パチンコ機の正面側)から収容枠に着脱する遊技盤前方脱着形態のパチンコ機では、上方に突出したレール端部が障害となって着脱操作が煩雑になり、また遊技盤の着脱時にレールを変形させてしまうおそれもある、という課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、遊技球発射装置を構成する各構成部品の精度向上のみでは抑制しきれない球飛びのばらつきを容易に均一化し得るとともに、遊技盤の着脱作業に際して作業の障害になったり損傷を受けたりすることがないような弾球遊技機用の発射補助機構を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明は、上向きに開く円弧状の内レールおよびこの内レールの上方を覆って下向きに開く円弧状の案内レールに囲まれて略円形の遊技領域が基板の前面に設けられるとともに、内レールの外側に所定間隔を隔てて右斜め下方に延びる案内レールと内レールとの間に上部で遊技領域に繋がり遊技球が移動可能な発射通路が設けられた遊技盤と、前方に開く開口を有して遊技盤の側縁を囲む枠状に形成され遊技盤を収容保持する遊技盤収容部を備えた前枠と、遊技盤収容部の下方に位置する前枠の下部領域に設けられ右下端の打撃位置を基準として前記開口の下縁まで左斜め上方に延び所定の傾斜角度で固定された発射レール、および遊技球を叩打するハンマを有し打撃位置に位置決め支持された遊技球をハンマにより叩打して発射レールに沿って発射通路に打ち出す発射機構を備えた遊技球発射装置とを備えた弾球遊技機に好適な発射補助機構(例えば、実施形態における発射角度調整機構HM1,HM2)である。そのうえで、この発射補助機構では、遊技球をガイドする補助レール部を有する補助レールユニット(例えば、実施形態における角度調整ユニット100,200)が前枠の下部領域に前後に延びる軸まわりに上下に揺動自在に取り付けられ、補助レール部が発射レールと案内レールとの間に位置して前記開口の内方に突出して配設されるとともに、補助レール部の右下端部が発射レールの左上端部に隣接して発射レールから発射通路に向けて移動する遊技球をガイドするように配設される第1位置と、補助レールユニット全体が前記開口よりも下方の前枠の下部領域に待避して配設される第2位置とに設定可能に構成される。
本発明において、補助レールユニットは、前枠の下部領域に前後に延びる軸まわりに上下に傾動可能に取り付けられた支持部材と、補助レール部を有し支持部材に前後に延びる軸まわりに相対傾動可能に支持されたガイド部材と、支持部材に対するガイド部材の傾動角度位置を調整可能な傾角設定手段(例えば、実施形態における傾角設定構造130,230)とを有し、補助レールユニットを第1位置に設定した状態において、傾角設定手段により発射レールに対する補助レール部の傾き角を調整することにより遊技球発射装置から発射されて発射通路に向かう遊技球の発射角度が調整設定され、補助レールユニットを倒伏させた第2位置から再び第1位置に設定したときに、遊技球の発射角度が傾角設定手段により予め調整設定された発射角度に設定されるように構成することが好ましい。
なお、本発明は、遊技盤が弾球遊技機の前方から遊技盤収容部に収容保持されるような構成形態の弾球遊技機において特に好ましい。
また、補助レールユニットには、補助レールユニットを第1位置に設定した状態において、補助レール部の後方に位置して上方に突出し左右に延びるサイドレール部を有し、当該サイドレール部の右端側は補助レール部よりも右方に突出して発射レールの後部上方に張り出す突出片が形成され、補助レールユニットを第1位置に設定した状態において、突出片が遊技盤収容部に収容保持された遊技盤の下縁前方に配設されるように構成することが好ましく、突出片の前面には発射レール側から補助レール部側に移動する遊技球が接触したときに当該遊技球を前方に誘導する傾斜面が設けられることが好ましい。
さらに、前枠の下部領域に取り付けられてガイド部材の下部前方を覆うケースカバーを備え、このケースカバーには、補助レール部よりも左側の領域に、発射レールの延長線よりも上方に位置して左斜め上方に延び、案内レールの下部前方を覆う壁面状の飛送ガイドが形成されることが好ましい。
この発射補助機構では、遊技球をガイドする補助レール部を有する補助レールユニットが前枠の下部領域に上下に揺動自在に取り付けられる。そして、補助レール部が発射レールと案内レールとの間に位置して遊技盤を収容する遊技盤収容部の開口の内方に突出して配設されるとともに、補助レール部の右下端部が発射レールの左上端部に隣接して発射レールから発射通路に向けて移動する遊技球をガイドするように配設配設される第1位置と、補助レールユニット全体が前記開口よりも下方の前枠の下部領域に待避して配設される第2位置とに設定可能に構成される。
補助レールユニットは、補助レール部を有して支持部材に相対傾動可能に支持されたガイド部材と、支持部材に対するガイド部材の傾動角度位置を調整可能な傾角設定手段とを有して、上記第1位置と第2位置とに変位可能に取り付けられており、補助レールユニットを倒伏させた第2位置から再び第1位置に設定したときに、補助レール部が発射レールと案内レールとの間に位置して開口の内方に突出して配設されるとともに、補助レール部の右下端部が発射レールの左上端部に隣接して傾き角を調整可能に配設され、発射通路に向かう遊技球の発射角度が傾角設定手段により予め調整設定された発射角度に設定される。このため、機体ごとに遊技球の球飛びに差異があったとしても傾角設定手段を利用して遊技球の発射角度を調整することができ、これにより案内レールへの着座点を微調整して球飛びを均一化することができる。
また、この発射補助機構では、発射角度の調整を行う発射補助機構の主要部が補助レールユニットとして一体に形成され、この補助レールユニットを第1位置(発射角度調整位置)に配設したときに、補助レール部が傾角設定手段により調整設定された元の傾き角に再現されて発射レールと案内レールとの間に配設される。一方、補助レールユニットを第2位置(待避位置)に配設したときには、補助レール部が発射レールと案内レールとの間から遊技盤収容部の開口よりも下方の前枠の下部領域に待避して配設される。このため、発射補助機構の組み立てやユニット配設位置の切り替えを容易に行えるとともに、例えば前述した遊技盤前方脱着形態のパチンコ機等においては特に、補助レールユニットを第2位置に変位させることで、遊技盤の着脱作業の障害になったり損傷を受けたりすることがなく良好な作業性を得ることができる。このため、遊技球発射装置を構成する構成部品の精度上のばらつきに起因して球飛びに差異が生じても、発射レールと案内レールの間に位置する補助レール部の傾き角を傾角設定手段を利用して調整することにより発射通路に向けて飛翔する遊技球の発射角度を容易に調整することができ、これにより案内レールへの着座点を微調整して球飛びを均一化することができる。
なお、補助レールユニットに、この補助レールユニットを第1位置に設定した状態において補助レール部の後方に位置して上方に突出するサイドレール部を設けるとともに、補助レール部よりも右方に突出して発射レールの後部上方に張り出す突出片を形成し、この突出片が遊技盤の下縁前方に配設されるような構成によれば、万が一、遊技盤の表面に張られたセルが剥離したような場合であっても、遊技球が剥離したセルや遊技板の下縁角部等に引っかかるようなことがない。この場合において、突出片の前面に発射レール側から移動する遊技球(発射球)が接触したときに遊技球を前方に誘導する傾斜面を設けた構成によれば、発射球が遊技盤寄りの経路を移動してきた場合でもサイドレールにより誘導して発射通路に飛翔させることができる。さらに、前枠の下部領域にガイド部材の下部前方を覆うケースカバーを設け、このケースカバーに発射レールの延長線よりも上方に位置して左斜め上方に延びる飛送ガイドを形成した構成によれば、遊技盤から離れた経路を落下移動する遊技球や、サイドレールに接して前方に案内された遊技球が飛翔ガイドに接して案内され、ガラス板に直接衝突するようなことがない。
従って、本発明の発射補助機構によれば、遊技球発射装置を構成する各構成部品の精度向上のみでは抑制しきれない球飛びのばらつきを、ガイド部材の傾動角度位置を調整することで発射角度を調整して容易に均一化し得るとともに、遊技盤の着脱作業に際して作業の障害になったり損傷を受けたりすることがない発射補助機構を提供することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1にガラス扉5および上球皿6を開放した状態におけるパチンコ機PMの正面図を示しており、まずこの図面を参照してパチンコ機PMの全体概要について説明する。
パチンコ機PMは外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持用枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面上部には、前枠2の前面域に合わせた方形状のガラス扉5および上球皿6が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4および球皿施錠装置を利用して前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤30を着脱可能に収容保持する収容枠2aが設けられており、この収容枠2aに遊技盤30が立設姿勢で収容保持され常には閉鎖施錠されるガラス扉5に前面域を臨ませている。なお、収容枠の構成形態には、遊技盤30を前枠2の前面側から着脱する遊技盤前方脱着形態と、前枠の後面側(裏面側)から着脱する遊技盤後方脱着形態とがあり、本発明はいずれの形態の遊技機に対しても適用可能であるが、実施形態では遊技盤後方脱着形態のパチンコ機に適用した場合を例示して説明する。
遊技盤30は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けて所定形状にルーター加工した化粧板(「ベニヤ」とも称される)31を基板として構成される。化粧板31の前面側には、帯板状の内レール32と案内レール(外レールとも称される)33とに囲まれて略円形の遊技領域PAが区画形成され、この遊技領域PA内に多数本の遊技釘とともに風車や各種入賞具35、遊技の進行状況に応じて図柄を表示させる画像表示装置36などの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域PAの下端部には遊技球を遊技盤30の裏面側に排出させるアウト口37が設けられている。案内レール33は内レール32の外側に所定間隔をおいて略平行に延び、これらのレール32,33に挟まれて下方に開く発射通路34が形成される。
収容枠2aの下方に位置する前枠2の下部領域には、遊技補助盤と称される補助機構部が形成され、その下側に下球皿7および発射ハンドル8が取り付けられている。遊技補助盤10には発射ハンドル8の回動操作に基づいて、その回動操作角度位置に応じた発射強度で遊技球を打ち出す発射機構21、および打ち出された遊技球を遊技盤30の発射通路34に向けて斜め上方に導く発射レール23を備えた遊技球発射装置20が設けられている。
発射機構21には種々のタイプがあるが、例えば、ロータリーソレノイドの駆動軸に取り付けられたハンマを揺動制御し、あるいは揺動自在に支持されて捻りバネで付勢されたハンマをモータとカム機構を利用して揺動制御して、ハンマヘッドに固着されたコイルバネで遊技球を叩打する発射機構が利用される。発射レール23は、右下端の打撃位置を基準として所定の傾斜角度(例えば23度程度の傾斜角度)で固定設置され、その上端部が左斜め上方の発射通路34に向けて収容枠2aの支持面の高さ位置まで設けられる。発射レール23のレール面は傾斜下端に向けて深くなるV溝状に折り曲げられており、下端部上方にはレール面に送り出された遊技球を打撃位置に位置決めする支持ブロック24が取り付けられるとともに、この支持ブロック24とV溝状のレール面との間にハンマヘッドのコイルバネを挿通させる叩打口が形成されている。
一方、遊技盤側の案内レール33は、下端部が発射レール23の上端部の左方に所定間隔を隔てて固定され、左上方に円弧状に延びて所定高さで発射レールの延長線と浅い交差角で接するように形成されている。このため遊技球発射装置20から発射された遊技球が案内レール33に沿って滑らかに遊技領域PAの上部に導かれ、遊技領域PAを落下してゲームが行われるようになっている。
以上のように概要構成されるパチンコ機PMにあって、発射機構21および発射レール23が取り付けられて遊技球発射装置20の基準とされる遊技補助盤10に、遊技球発射装置20から案内レール33に向けて発射される遊技球の発射角度を調整し得る発射角度調整機構HMが設けられている。
以下では、まず図2〜図9の各図を参照して第1実施例の発射角度調整機構HM1について説明する。ここで、図2は発射角度調整機構HM1の正面図、図3は発射角度調整機構HM1の平面図、図4はケースカバー11を取り外した状態で斜め前方から見た発射角度調整機構HM1の分解斜視図、図5は発射角度調整機構HM1の分解図(正面図)、図6および図7はそれぞれ図2中のVI−VI矢視およびVII−VII矢視の側断面図、図8は角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに設定したときの正面図、図9は角度調整ユニット100を待避位置EPに設定したときの正面図である。
発射角度調整機構HM1は、補助レール部123の傾き角を調整可能な傾角設定構造130を有して、発射角度調整位置SPと待避位置EPとに揺動変位可能に遊技補助盤10に取り付けられた角度調整ユニット100を主体として構成され、角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに設定したときに、補助レール部123が遊技盤30の前方に位置して発射レール23と案内レール33との間に配設され、傾角設定構造130により補助レール部123の傾き角を調整することで遊技球発射装置20から案内レール33に向けて発射される遊技球(以下「発射球」という)BHの発射角度を無段階に調整可能に構成される。また、角度調整ユニット100を揺動させて待避位置EPに設定したときには、補助レール部123が遊技盤30の前方から遊技補助盤10側に待避して配設され、収容枠2aの支持面よりも上方に突出しないように構成される。
角度調整ユニット100は、ガイド部材支持ボス112が設けられた支持部材110と、遊技球をガイドする補助レール部123を有してガイド部材支持ボス112に相対傾動可能に支持されたガイド部材120と、ガイド部材支持ボスに支持されたガイド部材110の傾動角度位置を調整することで補助レール部123の傾き角を調整可能に構成された傾角設定構造130とを主体として構成される。
支持部材110は、角度調整ユニット100の基体をなすベースプレート部111、ベースプレート部111の上部中央に固着されて前方に突出する円筒状のガイド部材支持ボス112、ベースプレート部111の上端部に形成されたセル浮き上がり防止辺部113、ベースプレート部111の下部に穿設された軸受孔114、ベースプレート部111の左辺が前方に直角に折り曲げられて形成されたサイドプレート部115、サイドプレート部115の下部に穿設されたネジ挿通孔と整合してその右面側に固着されたナット116、およびガイド部材側の指標127と整合する高さ位置に刻印やマーキング等の手段で形成された傾角目盛り117などからなり、例えば、板厚1〜1.5mm程度のステンレス鋼板や冷間圧延鋼板を打ち抜きおよび曲げ成形し、各所定位置にガイド部材支持ボス112およびナット116を固設して形成される。
ガイド部材支持ボス112は中空円筒状の支軸であり、外周にガイド部材120を支持する支持面、中心に傾動支持ネジ128と螺合するネジ受容孔が形成されている。ガイド部材支持ボス112は、金属製、樹脂製のいずれを用いることも可能であるが、金属材料を加工成形して用いる場合には、カシメ圧着や溶着、リベット止めなどの手段によりベースプレート部111の所定位置に固着される。なお、樹脂材料を成型して用いる場合にはベースプレート部111の裏面側からサラ小ネジを螺合締結して固定される。
ベースプレート部111の右辺下部は、発射レール23の下部傾斜面の配設位置および形態に合わせて斜めに切り落とされ、位置決め傾斜辺111sが形成されている。位置決め傾斜辺111sは、角度調整ユニット100が遊技補助盤10に取り付けられて時計回りに揺動されたときに、発射角度調整位置に該当する角度位置で発射レール23の下部傾斜面に当接してこの方向への揺動を規制し、角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに位置決めする機能を有している。
位置決め傾斜辺111sと対峙するベースプレート111の左辺側は、前方に直角に折り曲げられており、補助レール部123のレール幅よりも幾分小さめの曲げ起こし高さを有するサイドプレート部115が形成されている。サイドプレート部115の上端部は、角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに設定された状態において収容枠2aの支持面の高さ位置と略一致する高さ位置まで形成されている。
サイドプレート部115の下部には、傾角調整構造130の傾角調整ネジ131を挿通させるネジ挿通孔が穿設されるとともに、ガイドプレート部115の右側面側にはネジ挿通孔と整合してナット116がカシメ圧着や溶着等の手段により固着されており、傾角調整ネジ131を螺合支持し得るようになっている。サイドプレート部115の上部には、図5中に部分断面図を付記するように、ファール球緩衝部材140を位置決め係止する嵌合孔115bが穿設され、その上方にファール球緩衝部材140を固定するためのサラ孔形態のネジ挿通孔115cが形成されている。
ファール球緩衝部材140は、サイドプレート部115の曲げ起こし高さと略同一の前後方向幅を有して下方に厚くなる楔状をなし、その正面左側にファール球を受け止める緩衝斜面141、右側にサイドプレート部115の嵌合孔115bと嵌脱自在に係合する嵌合突起145bおよびネジ挿通孔115cと位置整合するネジ受容孔145c、正面にサラ孔形態の係止ネジ挿通孔147が形成されている。
ファール球緩衝部材140における下端側の厚さ寸法は、ガイド部材120を正方向の最大傾動角度位置に設定した状態における傾角調整ネジ131のボルト頭部の左端位置よりも左側に位置する厚さで形成されている。換言すれば、角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに設定された状態において、ファール球緩衝部材140が傾角調整ネジ131の上方に位置して傾角調整ネジ131を覆い、上方から落下してくるファール球が傾角調整ネジ131に直接衝突しないように構成されている。
ベースプレート部111の上部は、発射レール23と所定間隔をおいてサイドプレート部115よりも上方に延び、上方に凸の三角形状のセル浮き上がり防止辺部113に繋がっている。セル浮き上がり防止辺部113の右端側は、ベースプレート部111から右方に突出して舌片状に形成されており、角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに設定したときに、セル浮き上がり防止辺部113が化粧板31の直前に位置し、右方に突出する突出片113aが発射レール23の端部上方に配設されるようになっている(図7および図8を参照)。セル浮き上がり防止辺部113の補助レール部123に対する高さは遊技球の半径よりも大きく設定されており、遊技球発射装置20から打ち出された発射球BHが化粧板31の下端角部に接触しないようになっている。
ガイド部材120は、平板状の後方壁面とこの後方壁面からリブ状に前方に延びる左右の側壁および中間壁を組み合わせて形成された本体部121、この本体部121の上部中央に前後を連通して形成された円孔状の軸受部122、本体部121の上端に形成された補助レール部123などからなり、例えばABS樹脂等の樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段によりブロック状に一体成型される。
本体部121の上部中央に形成された軸受部122は、その内径が支持部材側のガイド部材支持ボス112の外径よりもわずかに大きめで嵌脱自在に形成されており、この軸受部122をガイド部材支持ボス112に嵌合支持させることで、ガイド部材120が支持部材110に対して左右に傾動自在に支持されるようになっている。本体部121の中央で上下に延びる中間壁の下部には、支持部材側のナット116の軸線高さに合わせて、上下方向に延びる長孔状のピン係合溝125が形成されている。本体部121の下部領域は下端に向けて鋭角に成型され、支持部材110に対するガイド部材120の傾角設定位置を見るための指標127となっている。
補助レール部123は、発射レール23と略同一のレール幅を有して斜め左右に延び、その傾き角は、図2に示すように角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに設定し、ガイド部材120を傾き角の基準となる±0度の傾動角度位置に設定した状態(ガイド部材の指標127を支持部材の傾角目盛り117における中央の目盛り線に合わせた状態)で、発射レール23の傾斜角と一致するように形成される。なお、本明細書では、ガイド部材120の傾動角度位置について、補助レール部123が発射球BHの進行方向に見て上向きになる方向を正の角度位置、下向きになる方向を負の角度位置と規定して説明する。
補助レール部123の導入側(発射レール23側)は滑らかな曲面状に形成されており、ガイド部材120を正・負いずれの傾動角度位置に設定した場合でも、発射レール23から案内レール33に向かって移動する発射球BHが、補助レール部123に沿って滑らかにガイドされるようになっている(図8を参照)。導入部の下方では、軸受部122よりも下側の壁面が中間壁寄りにオフセットされており、ガイド部材120を負の方向に傾動させたときでも右側壁が発射レール23に当接しないようになっている。また補助レール部123の射出側は、本体部121の左側壁よりも左方に延びてサイドプレート部115の上方まで延出されており、ファール球回収口の開口幅を狭めることなく補助レール部123のレール長さ、すなわち補助レール部123による発射球BHのガイド長さを確保した形態になっている。
傾角設定構造130は、支持部材110のナット116に螺合支持された傾角調整ネジ131を主体とし、傾角調整ネジ131の先端に形成された係合ピン135と、ガイド部材120に形成されたピン係合溝125との係合連関により構成される。
傾角調整ネジ131は、小型の六角ボルトを利用し、ネジ部134の先端に小径の係合ピン135を形成して構成される。傾角調整ネジ131における係合ピン135の外径は、ピン係合溝125の溝幅と略同一に形成されており、ピン係合溝125の溝幅方向にガタなく嵌合する一方、溝の延びる方向には一定範囲で相対変位を許容する(図7を参照)。係合ピン135の基端側には、ネジ部134に向けて拡大するテーパ面が形成されネジ部134と滑らかに繋がっている。また係合ピンの先端側にはEリング(E型止め輪)136を嵌着するリング溝が形成されている。テーパ面とリング溝との間隔は、ピン係合溝125が形成された壁面の厚さと略同一寸法に形成されており、ピン係合溝125に係合ピン135を嵌合させてリング溝にEリング136を嵌着したときに、傾角調整ネジ131の軸方向にガタなく係合するとともに、上記テーパ面の作用により一定の相対傾斜を許容し得る構成になっている。
一方、遊技補助盤10には、発射レール23の左側に位置して円筒突起状のユニット支持ボス154が前方に突出成型されている。ユニット支持ボス154の外径は支持部材110における軸受孔114の内径よりもわずかに小さく、突出高さはベースプレート部111の板厚よりもわずかに大きめに形成されるとともに、ボスの軸心に揺動支持ネジ118を螺合支持するネジ受容孔が形成されている。このため、軸受孔114をユニット支持ボス154に嵌合させて支持させ、ユニット支持ボス154の前方から平座金を介してネジ受容孔に揺動支持ネジ118を螺合させ締め込むことで、支持部材110(角度調整ユニット100)がユニット支持ボス154に揺動自在に支持されるようになっている。
ユニット支持ボス154の左斜め上方に位置して係止ネジ受容孔157が形成されている。係止ネジ受容孔157の形成位置は、角度調整ユニット100をユニット支持ボス154に支持させて発射角度調整位置SPに設定したときに、ファール球緩衝部材140における係止ネジ挿通孔147の軸心が通る位置、換言すれば、係止ネジ挿通孔147に係止ネジ158を挿通して係止ネジ受容孔157に螺合させ、角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPに係止固定できる位置に形成されている。
一方、角度調整ユニット100の待避位置EPについては、角度調整ユニットが遊技補助盤10側に収容される揺動角度位置、本実施例に則していえば、セル浮き上がり防止辺部113が収容枠2aの支持面よりも上方に突出しない揺動角度の範囲内であれば任意に設定することができる。例えば、角度調整ユニット100を下向きに倒伏させて下方のファール球回収通路に支持させた揺動角度位置とすることができるほか、図2および図9に二点鎖線で付記するように、遊技補助盤10(または角度調整ユニット100の前面を覆うケースカバー11)にガイド部材120(または支持部材110)を受け止め支持する係止ピンまたは係止突起159を設けて揺動角度位置を規定し、あるいは支持部材110の下端部を軸受孔114よりも下方に延長して待避係合辺部を形成し発射レール23の基台であるベースプレート25の下縁と当接して揺動角度位置を規定するように構成することもできる。
以上のように構成される支持部材110、ガイド部材120、傾角設定構造130およびファール球緩衝部材140が組み立てられて角度調整ユニット100が形成され、この角度調整ユニット100が遊技補助盤10に組み付けられて発射角度調整機構HM1が構成される。
角度調整ユニット100の組み立ては、まず支持部材110にファール球緩衝部材140を組み付けることから始められる。ファール球緩衝部材140は、サイドプレート部115の右側面側からネジ挿通孔115cにサラ小ネジを挿通し、サイドプレート部115の左側面側に支持したファール球緩衝部材のネジ受容孔145cに螺合させて一定量ねじ込み、嵌合突起145bを嵌合孔115bに嵌合させて位置決めした状態でサラ小ネジを締め込むことでサイドプレート部115の上部に位置決め固定される。
次いで、ガイド部材120の軸受部122をガイド部材支持ボス112に嵌合させて支持させ、ガイド部材支持ボス112のネジ受容孔に平座金を介して傾動支持ネジ128を締結することで左右に(反時計回りおよび時計回りに)傾動可能に支持される。
傾斜調整ネジ131は、支持部材のサイドプレート部115に固着されたナット116にネジ部134を螺合させることで支持部材110に取り付けられる。そしてネジ先端の係合ピン135をガイド部材のピン係合溝125に嵌合させ、中間壁の右側に突出した係合ピン135の先端側にEリング136を嵌着することで、ガイド部材120と係合連結される。
このように各部材が組み付けられ、傾角調整ネジ131とガイド部材120とが係合連結されると、傾角調整ネジ131を回動操作することで支持部材110に対するガイド部材120の相対的な傾動角度位置を調整することができる状態、すなわち角度調整ユニット100が形成される。
そして角度調整ユニット100の軸受孔114を、遊技補助盤10のユニット支持ボス154に嵌合させて支持させ、ユニット支持ボス154のネジ受容孔に前方から平座金を介して揺動支持ネジ118を螺合して締め込むことで、角度調整ユニット100が遊技補助盤10に左右に(反時計回りおよび時計回りに)揺動自在に取り付けられ、発射角度調整機構HM1が構成される。
発射角度調整機構HM1では、角度調整ユニット100を時計回りに回動させて支持部材110の位置決め傾斜辺111sを発射レール23の傾斜下端部に当接させることで発射角度調整位置SPに位置決めされ、この発射角度調整位置で位置整合するファール球緩衝部材の係止ネジ挿通孔147と遊技補助盤の係止ネジ受容孔157に対して、係止ネジ挿通孔147の前方から係止ネジ158を挿通して係止ネジ受容孔157に螺合させ締め込むことで、角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに固定される。
そしてこのように角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに設定されると、発射レール23の上端部に隣接して補助レール部123が配設され、傾角調整ネジ131を回動操作することで補助レール部123の傾き角を調整することができる。例えば、傾角調整ネジ131を時計回りに回動すると、傾角調整ネジ131がナット116との螺合に応じて(ネジピッチと回動角度との関係に応じて)右動し、係合ピン135の基端側のテーパ面がピン係合溝125の周縁を右方に押圧して、ガイド部材120をガイド部材支持ボス112まわりに傾動させ、補助レール部123の先端側が下向きになる負の傾斜角度方向に傾動される。逆に傾角調整ネジ131を反時計回りに回動すると、傾角調整ネジ131がナット116との螺合に応じて左動し、Eリング136がピン係合溝125の周縁を左方に引き込んで、ガイド部材120をガイド部材支持ボス112まわりに傾動させ、補助レール部123の先端側が上向きになる正の傾斜角度方向に傾動される。
ここで、傾角調整ネジ131の回動角度とガイド部材120の傾動角度との関係は、傾角調整ネジ131のネジピッチと、この傾角調整ネジ131によって傾動されるガイド部材120の腕の長さ(軸受部122とピン係合溝125との距離)とによって規定され、傾角調整ネジを1ピッチ分回動させても、ガイド部材120はそのピッチを腕の長さで除した角度分しか傾動されない。このことは、ガイド部材120の微少な傾動角度の変化が、より大きな回動操作角度(操作量)に拡大変換されること、より具体的には微少な角度調整が可能なことを意味する。
このため、傾角調整ネジ131を回動することで、ガイド部材120を左右に傾動させることができ、傾動角度位置の調整においては、ガイド部材120の傾動角度位置を連続的にかつ細かく調整することができる。なおガイド部材支持ボス112の突出高さは軸受部122の深さ寸法よりも小さめに設定されており、ガイド部材120の傾動角度位置の調整が完了したときに傾動支持ネジ128を締め込むことでガイド部材120を当該傾動角度位置に係止設定可能になっている。また、サイドプレート部115から左側に突出する傾角調整ネジのネジ部134に、ナット116と対峙してロックナットを螺合させ、傾動角度位置の調整後にロックナットを係止して傾角固定ネジ131の回動を固定する構成とすることもでき、これによりガイド部材120の傾角設定位置での固定をより強固にすることができる。
一方、角度調整ユニット100の前方に取り付けられるケースカバー11には、遊技補助盤10の前面の中央部から左側方にかけて盤面を覆うケースカバー11が取り付けられる。ケースカバー11には、発射レール23の延長線よりも上方に位置して左斜め上方に延びる飛送ガイド12が形成され、その後方には補助レール部123と案内レール33との間で上方に開口するファール球回収口13が形成される。ファール球回収口13の下方には下球皿7に繋がるファール球回収通路が形成されており、遊技領域PAに到達できずに案内レール33に沿って落下してきたファール球がファール球回収口13に落入し、ファール球回収通路を通って下球皿7に回収されるようになっている。ケースカバー11の裏面側では、ファール球緩衝部材140の緩衝斜面141がファール球回収口13に臨んで配設される。
このため、遊技球発射装置から発射され発射通路34に飛翔する発射球BHが、ガラス扉5のガラス板に直接衝突することなく案内レール33に向けて案内される。一方、遊技領域PAに到達できずに案内レール33に沿って落下してきたファール球は、遊技補助盤10の前面側に転落することなくファール球回収口13に落入して下球皿7に回収される。ここで、緩衝斜面141が斜めに張り出して傾角調整ネジ131の上方を覆うように形成されているため、ファール球回収口13に落入したファール球が緩衝斜面141に受け止められて左斜め下方に折り返され、傾斜調整ネジ131に直接衝突ないようになっている。
またケースカバー11には、発射角度調整位置に設定された角度調整ユニット100の配設位置に合わせて傾角設定窓17が開口形成されており、傾角調整ネジ131による傾き角の調整操作、傾動支持ネジ128および係止ネジ158の固定操作ならびに指標127が指し示す傾角の目視確認などを行い得るようになっている。
このため、以上のように構成される発射角度調整機構HM1では、傾動支持ネジ128を緩めて傾角調整ネジ131の螺合位置を調整することで、ガイド部材120の傾動角度位置、すなわち補助レール部123の傾き角を無段階に調整して発射球BHの発射角度を設定し、傾動支持ネジ128を締め込むことで当該調整後の発射角度に固定することができる。
遊技球の発射角度を調整する際には、初期設定とされるガイド部材110の基準角度位置設定、すなわちガイド部材の指標127が傾角目盛り117の中心を指す角度位置の設定において、発射機構21により打ち出される遊技球の発射強度を基準強度に設定し、発射された遊技球の案内レール33への着座点が所定位置になるようにガイド部材110の傾動角度位置を調整することで行われる。
ここで、発射機構21により打ち出される遊技球の発射強度を基準強度に設定するには種々の方法があるが、例えば、発射ハンドル8の回動角度位置を所定の回動角度位置に設定し、あるいは当該回動角度位置に対応する操作信号を発射機構21の制御基板に入力し、または発射機構21の駆動源(ロータリーソレノイドやモータ)に基準電力の指令信号を入力するなどにより、一定の基準強度で遊技球を打ち出させることができる。
発射機構21のハンマに叩打され左方向に打ち出された遊技球は、斜め上方に向けて延びる発射レール23との相対作用(反力)により下向きの分力を有するため、発射レール23に押しつけられるようにレール面に沿って転動し、補助レール部123を通ってファール球回収口13の上方を発射通路34に向けて飛翔する。
ここで、補助レール部123にはセル浮き上がり防止辺部113が設けられ、このセル浮き上がり防止辺部113が化粧板31の下縁前方に配設されている。このため、万が一、化粧板31の表面に張られたセルが剥離しても、セル浮き上がり防止辺部113が剥離したセルを押さえ、発射球が剥離したセルに引っかかったり、セルの剥離を進行させるようなことがない。一方、遊技球が遊技盤30から離れた前方の経路を移動した遊技球や、セル浮き上がり防止辺部113に接して斜め前方に案内された遊技球は、ケースカバーの飛翔ガイド12に接して案内され、ガラス扉5のガラス板に直接衝突することなく案内レール33に向けて飛翔する。
発射通路34を飛翔した発射球BHは、遊技球発射装置20をはじめとする各構成要素の組み合わせに応じた高さ位置で案内レール33に着座する。そこで、観測された着座点とこのパチンコ機PMにおける基準の着座点とを比較しその高・低を判断する。着座点の判定は、例えば盤面に合致した機種固有のテンプレートやゲージを利用して行うことができるほか、案内レール33のレール面に感圧紙を貼り付けて接触点を観察する方法等によっても行うことができる。
そして、観測された着座点が基準の着座点よりも高いと判断されたときには、傾動支持ネジ128を緩めてガイド部材120の係止を解除し、傾角調整ネジ131を時計回りに回動してガイド部材120を負の傾角方向に傾動させ、補助レール部123の傾き角を発射球BHの進行方向に見て下向きに調整して傾動支持ネジ128を締め込む(図22を参照)。傾動支持ネジ128が締め込まれるとガイド部材120が当該傾動角度位置、すなわち補助レール部123の傾き角が下向きに調整された角度位置に係止保持される。これにより、補助レール部123を通って発射される発射球BHの発射角度は、調整前よりも下向きに変化し案内レール33への着座点が低くなる。
一方、観測された着座点が基準の着座点よりも低いと判断されたときには、傾角調整ネジ131を反時計回りに回動し、ガイド部材120を正の傾角方向に傾動させて補助レール部123の傾き角を発射球BHの進行方向に見て上向きに調整して傾動支持ネジ128を締め込む。傾動支持ネジ128が締め込まれるとガイド部材120が当該傾動角度位置、すなわち補助レール部123の傾き角が上向きに調整された角度位置に係止保持される。これにより、補助レール部123を通って発射される発射球BHの発射角度は、調整前よりも上向きに変化し案内レール33への着座点が高くなる。
傾き角の調整操作は、傾角調整ネジ131を時計回り、または反時計回りに回動することで連続的に行うことができ、かつ前述したように操作量が拡大変換される構成のため微少な傾斜角度の調整を容易に行うことができる。また調整操作に際しては、傾角目盛り117に対する指標127の位置が、補助レール部123の傾き方向およびその程度を示す目安となり、観測された着座点の高・低およびその量に応じて傾角目盛り117に対する指標127の位置を参照しながら回動操作することで、遊技球の発射角度を調整し、案内レール33への着座点を容易に調整することができる。発射角度の調整後は、傾動支持ネジ128を締め込むことによりガイド部材120を当該調整後の傾動角度位置に係止固定することができ、長期間にわたって安定した球飛び状態を維持させることができる。
発射角度調整機構HM1では、このように調整設定した発射角度を保持させたまま角度調整ユニット100を待避位置EPに一時的に待避させることができ、発射角度調整位置SPに戻したときに元の発射角度に再設定することができる。角度調整ユニット100の待避位置EPは、前述したように適宜な角度位置に設定することができるが、ここでは係止ピン159を設けて待避位置EPを設定した場合について説明する。
角度調整ユニット100を待避位置EPに待避させる際には、係止ネジ158を緩めてこのネジを前方に移動させ、遊技補助盤側の係止ネジ受容孔157との螺合を解除させる。これにより角度調整ユニット100はユニット支持ボス154と軸受孔114との嵌合軸を軸心として反時計回りの方向に揺動自在に支持される。そこで角度調整ユニット100を反時計回りに揺動させると、ガイド部材120の左側壁上部が係止ピン159に当接する角度位置まで揺動されて当該角度位置で揺動規制され、角度調整ユニット100が待避位置EPに係止される。
待避位置EPでは、セル浮き上がり防止辺部113が収容枠2aの支持面よりも下方の遊技補助盤10側に収容され、化粧板31の前面にセル浮き上がり防止片113や補助レール部123が突出して配設されることがない。このため、例えば遊技盤30の着脱交換作業等を行う場合であっても、発射角度調整機構HM1が作業の障害になったり、遊技盤の下縁を発射角度調整機構HM1に当接させて損傷を与えてしまったりすることがなく、安心して遊技盤30の着脱交換作業等を行うことができる。
一方、角度調整ユニット100を元の状態に復帰させるには、角度調整ユニット100を待避位置EPから時計回りに揺動させる。角度調整ユニット100を時計回りに揺動させると、支持部材110の位置決め傾斜片111sが発射レール23の下部傾斜面に当接する角度位置で揺動規制され、角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに位置決めされる。そこで、係止ネジ158を締め込むとネジ先端部が遊技補助盤側の係止ネジ受容孔157に螺合してファール球緩衝部材140が固定され、角度調整ユニット100が発射角度調整位置SPに固定される。
このように、発射角度調整位置SPでは、角度調整ユニット100が一定の角度位置に位置決めされて固定されるため、ガイド部材120は角度調整ユニット100が待避位置EPに揺動される以前の傾動角度位置に復帰して配設され、これにより予め調整設定された発射角度が高い精度で再現される。
従って、以上説明した発射角度調整機構HM1によれば、傾角調整ネジ131を回動操作することで遊技球の発射角度を簡単に無段階調整できるため、パチンコ機の各構成部品のばらつきに起因して球飛びに個体差が生じても、遊技球の発射角度を調整することにより案内レール33への着座点を微調整して球飛びを均一化することができ、ガイド部材120の傾動角度が拡大した操作量に変換されるため、補助レール部123の微少な角度調整を容易に行うことができる。
また、発射角度調整機構HM1の主要部が角度調整ユニット100に一体化されているため、発射角度調整機構の組み立てや配設位置の切り替えを容易に行うことができる。さらに、角度調整ユニット100を発射角度調整位置SPと待避位置EPとに繰り返し切り替えても、一度調整した補助レール部123の傾き角が高い再現性をもって再現されることに加えて、角度調整ユニット100を待避位置EPに揺動変位させたときに遊技補助盤側に収容される構成のため、遊技盤着脱作業の障害になったり遊技盤の下縁を当接させて損傷を与えたりすることがなく、揺動角度位置の簡単な切り替え操作で安心して作業を行うことができる。
なお、本実施例では、ガイド部材120の中間壁にピン係合溝125を形成し、このピン係合溝125に嵌合させた係合ピン135の先端側にEリング136を嵌着して中間壁を挟み込むように係合させる構成例を示したが、傾角調整ネジ131はガイド部材120の傾動角度位置を調整可能な構成であればよい。例えば、傾角調整ネジ131の先端を丸先ないし棒先として中間壁に当接させる一方、中間壁を傾角調整ネジ131の方向に付勢するバネ等の付勢手段を設け、傾角調整ネジ131の螺合に応じてガイド部材120が傾動する構成にすることもできる。
第2実施例
次に、第2実施例の発射角度調整機構HM2について、図10〜図15の各図を参照して説明する。ここで図10はケースカバー11を取り外した状態で斜め前方から見た発射角度調整機構HM2の分解斜視図、図11は発射角度調整機構HM2の分解図(正面図)、図12は角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに設定した状態で左側方から見た側断面図(図6に相当する側断面図)、図13は角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに設定した状態で中央部で切断した側断面図(図7に相当する側断面図)、図14は角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに設定したときの正面図、図15は角度調整ユニット200を待避位置EPに設定したときの正面図である。
発射角度調整機構HM2は、補助レール部223の傾き角を調整可能な傾角設定構造230を有して、発射角度調整位置SPと待避位置EPとに揺動変位可能に遊技補助盤10に取り付けられた角度調整ユニット200を主体として構成され、角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに設定したときに、補助レール部223が遊技盤30の前方に位置して発射レール23と案内レール33との間に配設され、傾角設定構造230により補助レール部223の傾き角を調整することで遊技球発射装置20から案内レール33に向けて発射される発射球BHの発射角度を複数段階に調整可能に構成される。また、角度調整ユニット200を揺動させて待避位置EPに設定したときには、補助レール部223が遊技盤30の前方から遊技補助盤10側に待避して配設され、収容枠2aの支持面よりも上方に突出しないように構成される。
角度調整ユニット200は、ガイド部材支持ボス212が設けられた支持部材210と、遊技球をガイドする補助レール部223を有してガイド部材支持ボス212に相対傾動可能に支持されたガイド部材220と、ガイド部材支持ボスに支持されたガイド部材220の傾動角度位置を調整することで補助レール部223の傾き角を調整可能に構成された傾角設定構造230とを主体として構成される。
支持部材210は、角度調整ユニット100の基体をなすベースプレート部211、ベースプレート部211の上部中央に立設されて前方に突出する円筒状のガイド部材支持ボス212、ベースプレート部211の上端部に形成されたセル浮き上がり防止辺部213、ベースプレート部211の下部に形成されたボス受部214、ベースプレート部の左側部から下部にかけて側枠状に形成されたガード壁216、ガード壁216と繋がってベースプレート部の下部内側に形成された傾角設定溝215、ガード壁216の上部側方に形成された係止ネジ挿通孔217などからなり、例えば、ABS樹脂などの樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段により一体に形成される。
ガイド部材支持ボス212は、外周にガイド部材220を支持する支持面、中心に傾動支持ネジ228を螺合支持するネジ受容孔を有して中空円筒の支軸状をなし、ベースプレート部211の上部中央に一体に形成されている。なお金属材料を用いて加工成形してもよく、この場合にはベースプレート部211の裏面側からサラ小ネジを螺合締結して固定される。
ベースプレート部211の上部は、角度調整ユニット200を角度調整位置に設定した状態において収容枠2aの支持面よりも上方に延び、上方に凸の三角形状のセル浮き上がり防止辺部213に繋がっている。セル浮き上がり防止辺部213の右端側は、ベースプレート部211から右方に突出して舌片状に形成されており、角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに設定したときに、セル浮き上がり防止辺部213が化粧板31の直前に位置し、右方に突出する突出片213aが発射レール23の端部上方に配設されるようになっている(図13および図14を参照)。セル浮き上がり防止辺部213の補助レール部223に対する高さは遊技球の半径よりも大きく設定されるとともに、セル浮き上がり防止辺部213の左右の端部には、前方を通る発射球を滑らかに案内する傾斜案内面213bが形成されており、遊技球発射装置20から打ち出された発射球BHが化粧板31の下端角部に接触しないようになっている。
ベースプレート部211の右辺下部は、発射レール23の下部傾斜面の配設位置および形態に合わせて斜面状に成型され、前述した位置決め傾斜辺111sと同様の位置決め機能を有する位置決め傾斜辺211sが形成されている。ベースプレート211の左辺側には前方に突出して上下に延びる側枠状のガード壁216が立設されており、その上端部は角度調整ユニット200が発射角度調整位置SPに設定された状態において収容枠2aの支持面の高さ位置と略一致する高さ位置まで形成されている。
ガード壁216の下端側は、ベースプレート部211の下部領域を囲んで略水平に形成され、その内側の壁面に、ガイド部材220の係止突起225と係脱可能なV字溝状の傾角設定溝215が複数形成されている。本実施例では、ガイド部材220を基準となる傾動角度位置に設定したときに係止突起225と係合する中央の傾角設定溝の左右に、それぞれ2箇所づつ、合計5箇所の傾角設定溝215を形成した例を示しており、ガイド部材220を傾動させて係止突起225をいずれかの傾角設定溝に係合させることで、補助レール部223の傾き角を、発射レール23の傾き角と一致する±0度の基準角度位置を中心として、発射球の進行方向に上向きとなる正の傾き方向に2段階、発射球の進行方向に下向きとなる負の傾き方向に2段階の計5段階に設定可能な構成になっている。
傾角設定溝215の下側に位置してボス受部214が形成されている。ボス受部214の中心部には揺動支持ネジ218を挿通させるネジ挿通孔が前後連通して形成されるとともに、ボス受部214の前面側に押さえプレート260を支持する円環状の支持面が、後面側に遊技補助盤側のユニット支持ボス254と嵌脱自在に係合するザグリ穴状の軸受穴が形成されている。
ガイド部材220は、平板状の前方壁面とこの前方壁面から後方に延びる囲壁とからなる中空箱状の本体部221、この本体部221の上部中央に形成された軸受部222、本体部221の上面に形成された補助レール部223、本体部221の左右の囲壁が鋭角に交叉して下端に形成された係止突起225などからなり、支持部材210と同様の樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段により一体成型される。
本体部221の上部中央に形成された軸受部222は、支持部材210側のガイド部材支持ボス212の外径よりもわずかに大きめの溝幅で上下に延びる長孔形態をなし、本体部221の前後を連通する筒状に形成されている。補助レール部223は、発射レール23と略同一のレール幅を有して斜め左右に延び、その傾き角はガイド部材220を基準となる中央の傾動角度位置に設定した状態(係止突起225を中央の傾角設定溝に係合させた状態)で、発射レール23の傾斜角と一致するように形成される。補助レール部223の導入側は滑らかな曲面状に形成され、ガイド部材220を正・負いずれの角度位置に設定した場合でも、上方を通過する発射球BHが滑らかにガイドされるようになっている。また導入部の下方では、軸受部222よりも下側の右側壁面が中間壁寄りにオフセットされており、ガイド部材220を負の方向に傾動させたときでも右側壁が発射レール23に当接しないようになっている。
一方、遊技補助盤10には、発射レール23の左側に位置して円筒突起状のユニット支持ボス254が前方に突出成型されている。ユニット支持ボス254の外径は、ボス受部214における軸受穴の内径よりもわずかに小さく形成されるとともに、軸心に揺動支持ネジ218を螺合支持するネジ受容孔が形成されている。このため、ユニット支持ボス254にボス受部214を嵌合支持させ、ボス受部214の前方から押さえプレート260を介して揺動支持ネジ218を挿通させ、ユニット支持ボス254のネジ受容孔に螺合させ締め込むことで、支持部材210(角度調整ユニット100)がユニット支持ボス254に揺動自在に支持されるようになっている。なお、押さえプレート260は係止突起225の前面と係合することによりガイド部材220の下端部を押さえて係止を補助する部材であり、例えば透明樹脂材料を打ち抜いて形成することにより、係止突起225の係合位置を視認確認可能に構成される。
ユニット支持ボス254の左斜め上方に位置して係止ネジ受容孔257が形成されている。係止ネジ受容孔257の形成位置は、角度調整ユニット200をユニット支持ボス254に支持させて発射角度調整位置SPに設定したときに、支持部材210における係止ネジ挿通孔217の軸心が通る位置、換言すれば、係止ネジ挿通孔217に係止ネジ258を挿通して係止ネジ受容孔257に螺合させ、角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPに係止固定できる位置に形成されている。
一方、角度調整ユニットの待避位置EPについては、前述したように角度調整ユニットが遊技補助盤10側に収容される揺動角度位置であればよく、本実施例では、セル浮き上がり防止辺部213が収容枠2aの支持面よりも上方に突出することなく遊技補助盤10側に収容される位置にガイド部材220を受け止め支持する係止ピン259を設けて待避位置EPを規定している(図15を参照)。
以上のように構成される支持部材210にガイド部材220を組み付けることで角度調整ユニット200が形成され、この角度調整ユニット200を遊技補助盤10に組み付けることで発射角度調整機構HM2が構成される。
ガイド部材220は、軸受部222をガイド部材支持ボス212に嵌合支持させ、その前方から座金を介して傾動支持ネジ228を螺合締結することで支持部材210に組み付けられる。ガイド部材220が組み付けられると、ガイド部材220はこのガイド部材支持ボス212の軸まわりに傾動可能、軸受部222の長孔の延びる方向にスライド可能に支持され、ガイド部材220の係止突起225が支持部材210の傾角設定溝215と係脱可能になり、角度調整ユニット200が形成される。すなわち、本体部221を摘んでガイド部材220を上方にスライドさせ、適宜な角度位置で下方にスライドさせることで、係止突起225を任意の傾角設定溝215に係合させることができ、ガイド部材220を当該傾動角度位置に係止することができる。なお、図11中に二点差線で付記するように、本体部221に指掛け操作容易な指掛け突起221mまたは係合凹部を設けてもよく、これによりガイド部材220の傾角調整操作をさらに容易化することも可能である。
そして角度調整ユニット200のボス受部224を、遊技補助盤10のユニット支持ボス254に嵌合させて支持させ、ボス受部224の前面側に押さえ部材260を当てて、その前方から揺動支持ネジ218を挿通してユニット支持ボス254のネジ受容孔に螺合締結することで、角度調整ユニット200が遊技補助盤10に左右に(反時計回りおよび時計回りに)揺動可能に取り付けられ、発射角度調整機構HM2が構成される。
発射角度調整機構HM2では、角度調整ユニット200を時計回りに回動させて支持部材210の位置決め傾斜辺211sを発射レール23の傾斜下端部に当接させることで発射角度調整位置SPに位置決めされ、この発射角度調整位置で位置整合する支持部材の係止ネジ挿通孔217と遊技補助盤の係止ネジ受容孔257に対して、係止ネジ挿通孔217の前方から係止ネジ258を挿通して係止ネジ受容孔257に螺合させ締め込むことで、角度調整ユニット200が発射角度調整位置SPに固定される。
そしてこのように角度調整ユニット200が発射角度調整位置SPに設定されると、発射レール23の上端部に隣接して補助レール部223が配設され、ガイド部材220の傾動角度位置を調整設定することで、補助レール部223の傾き角を段階的に調整して発射球BHの発射角度を設定することができる。すなわち、傾動支持ネジ228を緩めてガイド部材220を上動、傾動、下動させることで、傾動支持ネジ228から係止突起225までの腕の長さと傾角設定溝215の形成ピッチとの関係で定まる所定の角度ピッチで、補助レール部223の傾き角を複数段階に調整設定することができ、設定した傾動角度位置で傾動支持ネジ228を締め込むことで当該角度位置に固定することができる。
このように、本実施例の発射角度調整機構HM2では、ガイド部材220の下端に形成された係止突起225と、支持部材210に形成された複数の傾角設定溝215とを主体として傾角設定構造230が構成され、ガイド部材の係止突起225をいずれかの傾角設定溝215に係合させて係止することにより、予め設定された複数の傾動角度位置のいずれかに固定することができる。
角度調整ユニット200の前方に、既述した発射角度調整機構HM1におけるケースカバー11と同様のケースカバーが取り付けられる(図1および図2を参照)。ケースカバー11には発射レール23の上端部から左斜め上方に延びる飛送ガイド12が形成され、その後方にガード壁216と案内レール33との間で上方に開口するファール球回収口13が形成されている。ファール球回収口13の下方には下球皿7に繋がるファール球回収通路が形成されており、遊技領域PAに到達できずに案内レール33に沿って落下してきたファール球がファール球回収口13に落入し、ファール球回収通路を通って下球皿7に回収されるようになっている。
このため、遊技球発射装置20から発射された発射球BHが、ガラス扉5のガラス板に直接衝突することなく案内レール33に向けてガイドされるとともに、遊技領域PAに到達できずに案内レール33に沿って落下してきたファール球が、遊技補助盤10の前面側に転落することなくファール球回収口13に落入して下球皿7に回収される。このときファール球回収口13に落入したファール球は、ガード壁216に受け止められてファール球回収通路に導かれ、ガイド部材220に衝突し難い構成になっている。ケースカバー11の前面には、ガイド部材220の傾動角度調整および角度調整ユニット200の揺動角度位置を設定し得る傾角設定窓(17図2を参照)が開口形成されている。
以上のように構成される発射角度調整機構HM2では、傾動支持ネジ228を緩めてガイド部材220を上動、傾動、下動させることで、ガイド部材220の傾動角度位置、すなわち補助レール部223の傾き角を段階的に調整して発射球BHの発射角度を設定し、傾動支持ネジ228を締め込むことで当該調整後の発射角度に固定することができる。
遊技球の発射角度を調整する際には、初期設定とされるガイド部材220の基準角度位置設定、すなわち係止突起225が鉛直下方を指す角度設定において、発射機構21により打ち出される遊技球の発射強度を前述した基準強度に設定し、発射された遊技球の案内レール33への着座点が所定位置になるようにガイド部材220の傾動角度位置を調整することで行われる。
発射機構21のハンマに叩打され左方向に打ち出された遊技球は、斜め上方に向けて延びる発射レール23との相対作用により発射レール23に押しつけられるようにレール面に沿って転動し、補助レール部223を通ってファール球回収口13の上方を発射通路34に向けて飛翔する。
ここで、補助レール部223の後方にセル浮き上がり防止辺部213が配設され、このセル浮き上がり防止辺部213の左右端部には滑らかな傾斜案内面213bが形成されている。このため、発射球は一般的には発射レール23のV溝構成によりレール面の中心線上を移動してセル浮き上がり防止辺部213に接することなく補助レール部223を通過するが、例えば、遊技球が発射レール下端の打撃位置に安定する以前にハンマに叩打されて遊技盤寄りの経路を移動してきた場合であっても、セル浮き上がり防止辺部213に滑らかに案内されて発射通路34に飛翔する。
またセル浮き上がり防止辺部213が化粧板31の下縁前方に配設されているため、万が一、化粧板31の表面に張られたセルが剥離したり化粧板に反りが生じたりしても、発射球が剥離したセルや化粧板31の下縁角部等に引っかかるようなことがない。さらに、遊技球が遊技盤30から離れた経路を移動してきた場合や、セル浮き上がり防止辺部213に接して斜め前方に案内された遊技球は、ケースカバーの飛翔ガイド12に接して案内され、ガラス扉5のガラス板に衝突することなく案内レール33に向けて飛翔する。
発射通路34を飛翔した発射球BHは、遊技球発射装置20をはじめとする各構成要素の組み合わせに応じた高さ位置で案内レール33に着座する。そこで、観測された着座点と、このパチンコ機PMにおける基準の着座点の範囲とを比較し、基準着座点の範囲外であるときにその高・低を判断する。なお着座点の判定には既述した各手法を用いることができる。
そして、観測された着座点が基準着座点の範囲よりも高いと判断されたときには、傾動支持ネジ228を緩めてガイド部材220の固定を解除し、ガイド部材220を負の傾角方向に傾動させ、補助レール部223の傾き角を発射球BHの進行方向に見て下向き方向に傾動させる。そして、例えば係止突起225を−1段目の傾角設定溝に係合させ、傾動支持ネジ228を仮締めする。そこで着座点の確認を行い基準着座点の範囲内にあるときには当該角度位置で傾動支持ネジ228を締め込む。これによりガイド部材220が−1段目の傾動角度位置に固定され、補助レール部223の傾き角が下向きに調整された角度位置に固定保持される。
一方、観測された着座点が基準の着座点の範囲よりも低いと判断されたときには、傾動支持ネジ228を緩めてガイド部材220の固定を解除し、ガイド部材220を正の傾角方向に傾動させ、補助レール部223の傾き角を発射球BHの進行方向に見て上向き方向に傾動させる。そして、例えば係止突起225を+1段目の傾角設定溝に係合させ、傾動支持ネジ228を仮締めする。そこで着座点の確認を行い基準着座点の範囲内にあるときには当該角度位置で傾動支持ネジ228を締め込む。これによりガイド部材220が+1段目の傾動角度位置に固定され、補助レール部223の傾き角が上向きに調整された角度位置に固定保持される。
発射角度調整機構HM2では、このように調整設定した発射角度を保持させたまま角度調整ユニット200を待避位置EPに一時的に待避させることができ、発射角度調整位置SPに戻したときに元の発射角度に再設定することができる。
角度調整ユニット200を待避位置EPに待避させる際には、係止ネジ258を緩めてこのネジを前方に移動させ、遊技補助盤側の係止ネジ受容孔257との螺合を解除させる。これにより角度調整ユニット200は、ユニット支持ボス254とボス受部214との嵌合軸を軸心として反時計回りの方向に揺動自在に支持される。そこで角度調整ユニット200を反時計回りに揺動させると、ガイド部材220の左側壁上端部が係止ピン259に当接する角度位置まで揺動されて当該角度位置で揺動規制され、角度調整ユニット200が待避位置EPに係止される。
待避位置EPでは、セル浮き上がり防止辺部213が収容枠2aの支持面よりも下方の遊技補助盤10側に収容され、化粧板31の前面にセル浮き上がり防止片213や補助レール部223が突出して配設されることがない。このため、例えば遊技盤30の着脱交換作業等を行う場合であっても、発射角度調整機構HM2が作業の障害になったり、遊技盤の下縁を発射角度調整機構HM2に当接させて損傷を与えてしまったりすることがなく、安心して遊技盤30の着脱交換作業等を行うことができる。
一方、角度調整ユニット200を元の状態に復帰させるには、角度調整ユニット200を待避位置EPから時計回りに揺動させる。角度調整ユニット200を時計回りに揺動させると、支持部材210の位置決め傾斜片211sが発射レール23の下部傾斜面に当接する角度位置で揺動規制され、角度調整ユニット200が発射角度調整位置SPに位置決めされる。そこで、係止ネジ258を締め込むとネジ先端部が遊技補助盤側の係止ネジ受容孔257に螺合して支持部材210が固定され、角度調整ユニット200が発射角度調整位置SPに固定される。
このように、発射角度調整位置SPでは、角度調整ユニット200が一定の角度位置に位置決めされて固定されるため、ガイド部材220は角度調整ユニット200が待避位置EPに揺動される以前の傾動角度位置に復帰して配設され、これにより予め調整設定された発射角度が高い精度で再現される。
従って、以上説明した発射角度調整機構HM2によれば、遊技球の発射角度の調整を簡単に行うことができるため、パチンコ機の各構成部品のばらつきに起因して球飛びに個体差が生じても、遊技球の発射角度を調整することにより案内レール33への着座点を一定範囲内に調整して球飛びを均一化することができる。また、発射角度調整機構HM2では、係止突起と傾角設定溝との係合によってガイド部材を係止する構成のため、調整した発射角度を長期間にわたって安定維持させることができる。
また、発射角度調整機構HM2の主要部が角度調整ユニット200に一体化されているため、発射角度調整機構の組み立てや配設位置の切り替えを容易に行うことができる。さらに、角度調整ユニット200を発射角度調整位置SPと待避位置EPとに繰り返し切り替えても、一度調整した補助レール部223の傾き角が高い再現性をもって再現されることに加えて、角度調整ユニット200を待避位置EPに揺動変位させたときに遊技補助盤側に収容される構成のため、遊技盤着脱作業の障害になったり遊技盤の下縁を当接させて損傷を与えたりすることがなく、揺動角度位置の簡単な切り替え操作で安心して作業を行うことができる。
なお、実施例では係合突起225をガイド部材220側に設け、傾角設定溝215を支持部材210に5段階設けた例を示したが、係合突起および傾角設定溝の配設位置関係を逆に構成し、あるいは段数を変更した構成としてもよい。
また、各実施例では、角度調整ユニットを発射角度調整位置に設定可能な形態として、角度調整ユニットを遊技補助盤に揺動可能に取り付け、角度調整ユニットを時計回り・反時計回りに揺動させることで発射角度調整位置と待避位置とに切り替え設定できる実施例を示したが、変位形態は上記のような揺動変位に限るものではなく、例えば、上下または左右方向へのスライド変位でもよく、これらを適宜組み合わせた形態であってもよい。また。角度調整ユニット側と遊技補助盤側に相互に嵌脱自在な係合突起と嵌合孔とを設けこれらの嵌合により角度調整ユニットを遊技補助盤に取り付けたときに発射角度調整位置に位置決めされるように構成することもできる。
ガラス扉5および上球皿6を開放した状態におけるパチンコ機PMの正面図
第1実施例の発射角度調整機構の正面図である。
第1実施例の発射角度調整機構の平面図である。
第1実施例の発射角度調整機構を斜め前方から見た分解斜視図である。
第1実施例の発射角度調整機構の分解図(正面図)である。
図2中のVI−VI矢視の側断面図である。
図2中のVII−VII矢視の側断面図である。
第1実施例の角度調整ユニットを発射角度調整位置に設定したときの正面図である。
第1実施例の角度調整ユニットを待避位置に設定したときの正面図である。
第2実施例の発射角度調整機構を斜め前方から見た分解斜視図である。
第2実施例の発射角度調整機構の分解図(正面図)である。
第2実施例の角度調整ユニットを発射角度調整位置に設定した状態で左側方から見た側断面図(図6に相当する側断面図)である。
第2実施例の角度調整ユニットを発射角度調整位置に設定した状態で中央部で切断した側断面図(図7に相当する側断面図)である。
第2実施例の角度調整ユニットを発射角度調整位置に設定したときの正面図である。
第2実施例の角度調整ユニットを待避位置に設定したときの正面図である。
符号の説明
BH 発射球
PA 遊技領域
PM パチンコ機
HM1 発射角度調整機構(第1実施例)
HM2 発射角度調整機構(第2実施例)
SP 発射角度調整位置
EP 待避位置
1 外枠
2 前枠(2a 収容枠)
4 施錠装置
5 ガラス扉
6 上球皿
7 下球皿
8 発射ハンドル
10 遊技補助盤
11 ケースカバー
12 飛送ガイド
13 ファール球回収口
17 傾角設定窓
20 遊技球発射装置
21 発射機構
23 発射レール
24 支持ブロック
25 ベースプレート
30 遊技盤
31 化粧板
32 内レール
33 案内レール
34 発射通路
35 入賞具
36 画像表示装置
37 アウト口
100 角度調整ユニット(第1実施例)
110 支持部材
111 ベースプレート部(111s 位置決め傾斜辺)
112 ガイド部材支持ボス
113 セル浮き上がり防止辺部(113a 突出片部)
114 軸受孔
115 サイドプレート部(115b 嵌合孔、115c ネジ挿通孔)
116 ナット
117 傾角目盛り
118 揺動支持ネジ
120 ガイド部材
121 本体部
122 軸受部
123 補助レール部
125 ピン係合溝
127 指標
128 傾動支持ネジ
130 傾角設定構造
131 傾角調整ネジ
134 ネジ部
135 係合ピン
136 Eリング
140 ファール球緩衝部材
141 緩衝斜面
145b 嵌合突起
145c ネジ受容孔
147 係止ネジ挿通孔
154 ユニット支持ボス
157 係止ネジ受容孔
158 係止ネジ
159 係止ピン
200 角度調整ユニット(第2実施例)
210 支持部材
211 ベースプレート部(211s 位置決め傾斜辺)
212 ガイド部材支持ボス
213 セル浮き上がり防止辺部(213a 突出片、213b 傾斜案内面)
214 ボス受部
215 傾角設定溝
216 ガード壁
217 係止ネジ挿通孔
218 揺動支持ネジ
220 ガイド部材
221 本体部(221m 指掛け突起)
222 軸受部
223 補助レール部
225 係止突起
228 傾動支持ネジ
230 傾角設定構造
254 ユニット支持ボス
257 係止ネジ受容孔
258 係止ネジ
259 係止ピン
260 押さえプレート