JP4180246B2 - エレベータのかご - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの、人などが搭乗するかごの構造、特にかご壁を固定するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータのかごは、かご床と、このかご床上に立設され、人等が乗る空間すなわちかご室を囲うかご壁と、天井と、これらに囲まれたかご室に出入りするための扉を含む。
【0003】
図7は、エレベータのかご110を上方より見た図であり、特にかご壁112を構成するかご壁板114の従来の固定構造にかかる概略図である。かご壁112は、かご床116上に立設され、また四方の内、一つの面の一部が開放されて形成され、開放部分の端部には、タテ柱118が設けられている。また、かご壁112の開放部分には、扉118が設けられている。かご壁板114の下辺両端は、かご床116にボルト120にて固定され、隣接するかご壁板114どうしは、図8に示すようにボルト122、ナット124および座金126を用いて結合されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような、かご壁板114の固定構造においては、かご壁板114をかご床116または隣接するかご壁板114と締結するためのボルトなどは、かご室内側からでは締め付け作業を行えない位置に設けられていた。したがって、これらのボルト締め付け作業をかご室の外側から行わなければならず、このためエレベータの昇降路内に足場を組み、ここで作業を行わなければならなかった。また、ボルトの締め付け位置がかご壁板の上部、下部の広範囲に及び、作業姿勢が不安定なものとなる場合があった。
【0005】
本発明は、前述の問題点を考慮してなされたものであり、かご壁を組み立てる際に、昇降路内に足場を組む必要がなく、また、作業姿勢が安定したものとなるかご壁の構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明にかかるエレベータのかごは、かご床上にかご壁板の下辺付近がかご内側より当接する壁取り付け枠と、かご壁を構成するかご壁板とを有している。特に、かご壁板は、締結固定手段によって、下辺の一方の端付近にてのみ前記かご床に固定され、また、左右の一方の辺に、この辺に沿って延設される差し込み溝と、さらに左右の他方の辺に、隣接する前記かご壁板に向けて突出して設けられ、その隣接する前記かご壁板の差し込み溝に差し込まれる差し込み刃とを含んでいる。かご壁板が、締結固定手段によってかご床に固定される側の端は、複数のかご壁板において共通する側の端である。
【0007】
かご壁の組み立てにおいては、かご壁の一端から順番にかご壁板を固定していく。隣接するかご壁板どうしの係合は、一方のかご壁板の差し込み溝と他方のかご壁板の差し込み刃の係合によって達成される。作業者は、すでに固定されたかご板壁の差し込み溝または差し込み刃に対して、今回固定するかご板壁の差し込み刃または差し込み溝を係合する。かご床への固定は、かご壁板の下辺の一方の端にて、例えばボルトなどを用いて行う。ボルトを用いる場合、その位置としては、作業者がかご室側に位置し、そこから手が届く位置とすることが好適である。この作業を繰り返して、かご壁を形成する。作業は全て、かご室内側から可能であり、昇降路内の足場を用いる必要がなくなる。
【0008】
差し込み刃と差し込み溝の係合方向は、かご壁面に沿う方向とすることが望ましい。これにより、隣接するかご壁板の面を容易に面一にすることができ、また左右方向の取り付け位置の調整が可能となる。
【0009】
さらに、差し込み溝と差し込み刃の少なくとも一方の接触部分をこれらの接触を緩衝する緩衝材で構成することができる。これにより組み付け時およびエレベータの使用の際の接触音が低減される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態のエレベータかご10の概略構成を示す水平断面図である。かご床12には、断面略L字形の壁取り付け枠14がボルト16にて固定されている。かご壁18は四方のうち一方が開放して形成され、この開放部には扉20が設けられる。また、開放部の縁、すなわちかご壁18の端には、タテ柱22がボルト24にてかご床22に固定されている。
【0011】
かご壁18は、複数のかご壁板26から構成され、かご室28を画定している。かご壁板26は、かご室28に向いた意匠面と、この意匠面の縁に略直角に曲げられ、かご床12、かご天井(不図示)または隣接するかご壁板26との結合に用いられるフランジ部を有している。下辺のフランジ部30の一端は、ボルト32によってかご床12に固定されている。かご室28側から見て左辺のフランジ部34は、鉛直方向に延びる差し込み溝36を形成する受け部材38を含む。右辺のフランジ部40は、延長方向に延びる差し込み刃42を含む。
【0012】
図2〜図4は、かご壁板26どうしの接合部分の詳細を示す図である。図2は、かご壁板26どうしの接合状態を示す図であり、図3は接合面から見た左辺のフランジ部34の詳細図、また図4は接合面から見た右辺のフランジ部40の詳細図である。左辺のフランジ部34は、かご壁板26のかご室28に面した意匠面44から連続する一体部分46と、前述の受け部材38を含む。一体部分46と受け部材38は、平ビス48、座金50およびナット52により締結されている。受け部材38に形成される差し込み溝36の内面には、ゴムなどの緩衝材54がはり付けられている。この緩衝材54は、差し込み溝36内に差し込まれる差し込み刃42と受け部材38の間に介在し、これらの直接の接触を防止するようにしている。これにより、組み立て時および組み立て後において、かご壁板26どうしの接触による音の発生を抑えることができる。また、緩衝材54の弾性により、差し込み溝36と差し込み刃42をがたつくことなく係合することができる。また、受け部材38は、壁取り付け枠14に、緩衝材56を介して当接している。これにより、組み立て時などに衝突による騒音が発生することが防止される。
【0013】
右辺のフランジ部40は、意匠面44と平行に延び、前述の差し込み溝36内に差し込まれる差し込み刃42を含む。また、下辺のフランジ部30の右端付近には、長穴56が設けられ、ここにボルト32のねじ部が挿入され、座金58を介してかご壁板26をかご床12に固定している。
【0014】
次に、かご壁の組み立て作業について説明する。まず、かご床12に壁取り付け枠14を固定する。図1に示すように本実施形態の壁取り付け枠14は5本あるが、これを全て固定する。このときには、扉20は取り付けられていない。次に、図5(a)に示すように、かご室28内から見て右側のタテ柱22−1をボルト24−1にて固定する。図示するように、この作業は、かご床12上にいる作業者がタテ柱22−1の裏側に手を入れるようにして作業を行う。次に、タテ柱22−1と、これに続くかご壁板26−1とを係合させる。図5(b)に示すように、タテ柱22−1には、差し込み刃42−0が設けられており、これをかご壁板26−1に設けられた差し込み溝36−0に差し込むようにして前記の係合が達成される。このかご壁板26−1を下辺の右端付近でボルト32−1にてかご床12に固定する。この作業も図5(c)に示すように、作業者はかご床12上に位置して行う。次に、図6に示すように、かご壁板26−1の差し込み刃42−1に、次のかご壁板の差し込み溝36−2を係合し、そしてボルトにてかご床12に固定する。これを繰り返す。
【0015】
最後のかご壁板26−7を固定後、これに左側のタテ柱22−2をかご床12に固定する。この作業も、図5(d)に示すように、作業者はかご床12上に位置して行うことができる。その後、扉20の取り付けを行う。
【0016】
【発明の効果】
以上のように、かご壁の組み立て作業を、かご床上にて行うことができ、この作業のために昇降路内に足場を組む必要がなくなる。また、かご壁板の接合部分には緩衝材を用いているので、ガタをなくすことができ、これにより生じる騒音の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のエレベータかごの概略構成を示す図である。
【図2】 かご壁板の接合部を示す図である。
【図3】 かご壁板を、かご壁板どうしの接合面から見た図である。
【図4】 かご壁板を、かご壁板どうしの接合面から見た図である。
【図5】 かご壁の組み立てにかかる説明図である。
【図6】 かご壁板どうしの係合にかかる説明図である。
【図7】 従来のかご壁の構造を示す図である。
【図8】 従来のかご壁板の接合部を示す図である。
【符号の説明】
10 エレベータかご、12 かご床、14 壁取り付け枠、18 かご壁、26 かご壁板、28 かご室、30 下辺のフランジ部、34 左辺のフランジ部、36 差し込み溝、40 右辺のフランジ部、42 差し込み刃、54 緩衝材。

Claims (3)

  1. かご床に立設されるかご壁を有するエレベータかごの構造であって、
    前記かご壁を構成する複数のかご壁板と、
    前記かご床上に設けられ、前記かご壁板の下辺付近がかご内側より当接する壁取り付け枠を有し、
    前記複数のかご壁板は、それぞれ
    締結固定手段によって、下辺の一方の端付近にてのみ前記かご床に固定され、
    右の一方の辺に、この辺に沿って延設される差し込み溝と、
    右の他方の辺に、隣接する前記かご壁板に向けて突出して設けられ、隣接する前記かご壁板の差し込み溝に差し込まれる差し込み刃と、
    を有し、
    前記複数のかご壁板が前記締結固定手段によりかご床に固定される側の端は、各かご壁板において共通の側の端であり、
    隣接する前記かご壁板どうしの直接の係合は、前記差し込み溝と前記差し込み刃の係合にのみよる、エレベータかごの構造。
  2. 前記差し込み溝と前記差し込み刃の係合方向は、当該かご壁の壁面に沿った方向である、請求項1に記載のエレベータかごの構造。
  3. 前記差し込み溝と前記差し込み刃の少なくとも一方の接触部分は、これらの接触を緩衝する緩衝材で構成される、請求項1または2に記載のエレベータかごの構造。
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