JP4179740B2 - 耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材 - Google Patents

耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水用ポンプの羽根軸の摺動部材に係り、特に珪砂等の土砂粒を含む海水と接触するような苛酷な使用環境においても羽根軸の腐食・摩耗損傷を効果的に抑制緩和し、ポンプ機能の安定保持に有効な耐孔食性及び耐土砂摩耗浸食性を備えた摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
高耐摩耗性を要求される摺動部材の摺動面形成材料として、Co系超硬合金(WC−12Co等)が広く使用されている。例えば排水ポンプでは、羽根軸の摺動面をCo系超硬合金で形成し、これにセラミックスを相手材(軸受材)として軸受部を構成することも提案されている(特公昭63-67048号公報)。
Co系超硬合金は卓抜した耐摩耗性を有していはいるが、耐塩水性に乏しい。このため、例えば排水ポンプの軸部材として、海水にさらされる使用環境に供される場合、摺動面の健全性を損なわれ易く耐久性に問題がある。
【0003】
耐塩水性の用途に供される構造材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、JIS G4303 SUS304,SUS316L)や、Ni基合金である「ハステイロイC合金」(14-17%Cr,15-17%Mo,3-5%W,4-7%Fe,Ni残)、「インコネル625合金」(20-23%Cr,8-10%Mo,3.15-4.15%(Nb+Ta),5%≧Fe,Ni残)等が知られている。しかし、これらの材料はいずれも耐摩耗性に乏しく、特に珪砂などが混入した海水に曝される摺動部材として使用される場合、懸濁粒子の衝突・接触による摩耗減肉(土砂摩耗浸食)を生じやすく、摺動部材としての安定性に欠ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、摺動部材に関する上記問題を解消することを目的とし、排水用ポンプの安定性・耐久性の改善のために、羽根軸の耐食・耐摩耗性、特に珪砂等の硬質粒子を含む海水と接触するような苛酷な使用環境においても摩耗および腐食作用に対する優れた抵抗性を羽根軸に付与することができる排水用ポンプの羽根軸の摺動部材を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排水用ポンプの羽根軸の摺動部材は、羽根軸に嵌着されて軸受に対する摺動面となる表面層を有し、その表面層はマトリックスとなる金属粉末と分散相となる硬質粒子との混合物の焼結体又は溶接肉盛層として中空円筒形状の基部材の外表面に形成される、マトリックスと40〜80重量%を占める硬質粒子とからなる複合体であって、
(i)マトリックスは、Cr:14〜17重量%、Mo:15〜17重量%、W:3〜5重量%、Fe:4〜7重量%、残部Ni及び不可避的不純物である、複合体の孔食電位は400mV以上である(請求項1)、
(ii)マトリックスは、Cr:20〜23重量%、Mo:8〜10重量%、Nb+Ta:3.15〜4.15重量%、Fe:5重量%以下、残部Ni及び不可避的不純物である、孔食電位400mV以上のNi基合金からなり、複合体の孔食電位は400mV以上である(請求項2)、
(iii)マトリックスは、Cr:20〜50重量%、Mo,Wの1種又は2種:10〜30重量%(2種の場合は合計量)、残部Ni及び不可避的不純物である、孔食電位400mV以上のNi基合金からなり、複合体の孔食電位は400mV以上である(請求項3)。
【0006】
本発明に規定される孔食電位は、JIS G0577(1981)「ステンレス鋼の孔食電位測定方法」の規定に則って測定されるものである。測定条件は、人工海水(3.5%塩化ナトリウム溶液),液温25℃,電位掃引速度20mV/min,Ar脱気であり、電流密度100μA/cmでの電位(Vc'100)を孔食電位とする。
【0007】
本発明の摺動部材における表面層の複合材料について、孔食電位を400mV以上と規定したのは、耐塩水用途の代表例な従来材である、オーステナイト系ステンレス鋼[JIS G4303 SUS316L](その孔食電位は約370mVである)を上廻る高電位(400mV)の効果として、摺動部材の実機使用における改良された耐塩水性を確保するためである。
本発明は、硬質粒子を分散相(強化材)として含有する複合体であることの効果として、珪砂等を含むスラリーと接触する使用環境に対する優れた摩耗抵抗性(耐土砂摩耗浸食性)を備えている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の複合材料は、耐塩水性を確保するための必要条件として、マトリックスを、孔食電位400mV以上の金属材種で形成している。マトリックスの材種はこの条件を満たすものであれば特に限定されないが、具体的には、Ni基合金から適宜選択される。その好ましい例として、下記の化学組成を有する合金が挙げられる。合金組成を示す%は重量基準である。
【0009】
[Ni基合金]
Ni基合金1
Cr:14〜17%、Mo:15〜17%、W:3〜5%、Fe:4〜7%、残部Niおよび不可避的不純物
Ni基合金2
Cr:20〜23%、Mo:8〜10%、Nb+Ta:3.15〜4.15%、Fe:5%以下、残部Niおよび不可避的不純物
Ni基合金3
Cr:20〜50%、Mo,Wの1種又は2種:10〜30%(2種の場合は合計量)、残部Niおよび不可避的不純物。
【0010】
本発明複合材料の分散相(強化材)である硬質粒子は、炭化物,窒化物,珪化物,酸化物等の各種セラミックス粒子が適用される。特に、炭化物窒化物は、高硬度を有すると共に、摺動性に優れている点で好適である。そのようなセラミックスの例として、炭化物では、WC,WC,TiC,NbC,VC,MoC,Cr,TaC,ZrC等、また窒化物では、TiN,CrN等が挙げられる。
【0011】
複合材料(金属マトリックスと硬質粒子との複合体)の孔食電位は、一般にマトリックスを形成する金属の孔食電位よりも低く、硬質粒子の配合量の増加と共に孔食電位は低下する傾向にある。従って硬質粒子の配合量は、複合材料の孔食電位(400mV以上)が確保される範囲内に制限される。
なお、Ti系,Zr系,Hf系の各硬質粒子は、複合材料の孔食電位の低下が少なく比較的多量の配合が許容され、またV系,Nb系,又はTa系の各硬質粒子は、その配合に伴って複合材料の孔食電位が高められるという特異な傾向を示す。従って、本発明の複合材料の分散相粒子として特に好適である。
【0012】
硬質粒子の含有量について、下限量を40重量%と規定しているのは、分散強化作用による耐摩耗性の改善効果を明瞭ならしめるためである。増量と共に耐摩耗性は増強されるが、過度に増量すると脆化および孔食電位の不足をきたす。このため、80重量%を上限としている。なお、V,Nb,Ta系の硬質粒子を使用する場合は、複合材料の孔食電位を高める効果が得られるが、その配合量が80重量%を超えると、複合材料の延靭性の低下が大きくなるので、これらの硬質粒子を使用する場合も、80重量%を上限としている。
【0013】
本発明の複合材料からなる表面層を有する摺動部材は、熱間静水圧加圧プレス処理(HIP処理)等による加圧成形体(焼結体)として、または図1に示すように、適宜形状の金属部材(図は中空円筒体の例である)(2)を基部材とし、その摺動面となる側(図では外側周面)に複合材料からなる表面層(1)を有する積層体として作製される。摺動面となる表面層(1)は、後記のようにHIP処理による焼結体層,または溶接肉盛層等として形成される。
【0014】
積層構造の摺動部材を製作する場合、基部材(2)には、表面層(複合材料層である)(1)のマトリックスと同種材料を適用するのが望ましい。異種材料の積層構造では、腐食環境において材料間に局部電池が形成されやすく、局部電池による腐食損傷が助長される。この現象は材料間の孔食電位の差が大きいほど顕著である。この腐食現象を抑制防止するために、基部材と表面層(複合材料層)とに同種材料を適用すれば、孔食電位差は小さくなり耐食性の面で有利である。
【0015】
また、表面層(1)のマトリックスと基部材(2)とに、同種材料を適用することは、積層界面の残留応力等に起因する損傷を防止するのに有効である。すなわち、基部材として耐食用構造材料であるオーステナイト系ステンレス鋼等を使用した場合は、表面層(複合材料層)との熱膨張係数の差が大きく、製品摺動部材に大きな残留応力が残り、破損を誘起するおそれがあるのに対し、基部材をマトリックスと同種材料とする場合は、熱膨張係数の差が小さくなり、耐破損性が高められる。
【0016】
なお、マトリックスと基部材の構成材料について、「同種材料」とは、例えば前述のNi基合金(マトリックス形成金属)でいえば、マトリックスに「Ni基合金1」を適用する場合、基材層として、そこに記載された「Ni基合金1」の組成範囲に属するものを使用すればよいということである。
【0017】
次に、HIP処理又は肉盛溶接による摺動部材の作製について説明する。
HIP処理は、マトリックスとなる金属粉末と強化材である硬質粒子との均一な粉末混合物をカプセルに充填(脱気密封)し、加圧・加熱下に適当時間保持することにより行なわれる。好ましくは、処理温度は約900〜1300℃、加圧力は約70〜150MPaの範囲で適宜設定される。処理時間は約1〜10Hrである。処理後、カプセルを機械加工で除去して摺動部材を得る。
摺動部材を、積層構造体(図1)として作製する場合は、粉末混合物(表面層形成材料)と基部材とをカプセル内に積層充填してHIP処理すればよい。形成される表面層(焼結体)と基部材との界面はHIP処理で生じる拡散接合の効果として強固に結合一体化される。
【0018】
表面層として溶接肉盛層を有する摺動部材を製作する場合は、粉体プラズマ溶接肉盛法等を適用し、粉末混合物(マトリックスとなる金属粉末と強化材である硬質粒子との混合物)を基部材の表面に供給しながら、プラズマアーク熱で金属粉末を溶融し、硬質粒子を含む溶融プールを生成し、凝固することにより表面層を形成する。
【0019】
なお、肉盛溶接施工ではプラズマアーク熱で基部材の表層を溶融する。このことは、基部材と表面層との強固な冶金的結合を形成するのに必要ではあるが、基部材の材種が、表面層(複合材料層)のマトリックスと異なるもの(例えばオーステナイト系ステンレス鋼等)である場合は、表面層のマトリックスを希釈し、表面層の性能(耐塩水性等)を損なう要因となる。前述のようにマトリックスと基部材とに同種材料を適用した場合は、このような不具合を抑制防止する効果をも得ることができる。
【0020】
2は、軸体(5)の所定個所(軸受6と向い合う部位)に、前記図1の中空円筒状摺動部材(以下「複層スリーブ」)(3)を嵌着して駆動側摺動部材を構成した例である。複層スリーブ(3)の表面層(複合材料層である)(1)が固定側摺動部材(軸受)(6)に対する摺動面となる。
図3は参考例として、軸体(5)の所定部位(軸受6と向い合う部位)に、軸表面を一周する凹陥溝(5)を設け、凹陥溝(g)に複合材料からなる表面層(1)を形成して回転側摺動部材を構成した例である。凹陥溝(5)内の表面層(1)は、焼結体層または肉盛溶接層として形成することができる。表面層(1)の層厚は例えば1〜5mmである。
【0021】
凹陥溝(g)の表面層(1)を、HIP処理で形成する場合に必要な凹陥溝(g)内の粉末混合物(マトリックス金属粉末と硬質粒子の混合物)の充填は、軸体(5)の周面を被包する適宜形状のカプセルを用いて行なえばよい。HIP後、カプセルを除去(機械加工)し、表面層(焼結体としての複合材料層)を有する摺動部材を得る。肉盛溶接で凹陥溝(g)内の表面層(1)を形成する場合は、軸体(5)を回転装置に水平設置し、凹陥溝(g)内に粉末混合物を供給しつつプラズマアーク熱で溶融するビード形成操作を軸体の回転下に円周方向に沿って行なえばよい。溶接施工後、ビード表面に仕上げ機械加工を施して表面層(複合材料肉盛層)を有する摺動部材を得る。
【0023】
【実施例】
[供試材の作製]
金属粉末(マトリックス形成原料)と硬質粒子との粉末混合物を焼結原料とし、HIP処理を施して供試材を得る。供試材の構成および諸物性を表1および2に示す。
【0024】
(1)マトリックス金属の材種(組成重量%)と物性(孔食電位,硬度)
Ni基合金▲1▼
Cr:15.5,Mo:16.0,W:3.56,Fe:6.3,Ni:Bal
孔食電位:739mV
硬度(HRC):15
【0025】
Ni基合金▲2▼
Cr:20.9,Mo:9.1,Nb:3.4,Ta:0.3
,Fe:2.7,Ni:Bal
孔食電位:745mV
硬度(HRC):17
【0026】
Ni基合金▲3▼
Cr:36.2,Mo:15.4,Ni:Bal
孔食電位:695mV
硬度(HRC):42
【0027】
Ti基合金
Al:6.1,V:4.2,Ti:Bal。
孔食電位:1200mV
硬度(HRC):13
【0028】
(2)硬質粒子の材種および粒径(カッコ内平均粒径)
TiC:75〜150μm
ZrC:2〜4μm(3.1μm)
HfC:1〜2μm(1.5μm)
VC:75〜150μm
NbC:75〜150μm
TaC:75〜1570μm
CR:2〜4μm(3.2μm)
MoC:2〜4μm(2.9μm)
C:100〜200μm
【0030】
(3)熱間静水圧加圧(HIP)処理
金属粉末と硬質粒子とをボールミルで均一に混合し、カプセル(軟鋼製容器)に充填(脱気密封)してHIP処理(1100℃×10MPa×2Hr)を施す。HIP後、カプセルを除去(機械加工)して供試材(焼結体)を取出す。
【0031】
[供試材の物性]
(1)孔食電位(Vc'100)の測定(JIS G0577による)
試験液:人工海水(3.5%NaCl溶液),液温25℃,掃引速度20mV/min,
Ar脱気。
試験片:φ14.8×2t
【0032】
(2)摩耗試験a
大越式迅速摩耗試験機による耐摩耗性の評価。
平面試験片を相手材(回転円盤)に押付け、試験片表面に生じた摩耗痕の深さ、幅等から摩耗量(mm/N)を算出する。
相手材 :窒化珪素セラミックス
試験距離:400m
周速度 :3.38m/秒
荷重 :61N
【0033】
(3)摩耗試験b(スラリー摩耗試験)
土砂摩耗浸食に対する抵抗性の評価。
円筒形状の試験材を、シャフト(回転駆動装置に連結されている)に同軸に取付け、相手材(軸受)を配置してスラリー中で回転運動を行わせる。所定時間経過後、試験材の外径および相手材(軸受)の内径の変化量を測定し、変化量の合計値を摩耗量として算出する。
相手材(軸受):窒化珪素セラミックス
摺動径 :φ30mm
周速度 :5.7m/秒
スラリー懸濁粒子:8号珪砂
スラリー濃度:5000ppm
試験時間 :100Hr
【0034】
(4)曲げ強度の測定
試験法:3点曲げ試験(JIS B1601)
試験片:3×4×40,mm
スパン距離:30mm
試験温度:室温
【0035】
【表1】
Figure 0004179740
【0036】
表中、比較例No.101〜104は、硬質粒子を含有しない金属単相材(金属材種は発明例のマトリックス金属と同じ)の例、No.105,
No.106はマトリックス金属と硬質粒子とからなる複合材であるが、硬質粒子の含有量が不足または過剰の例である。
【0037】
比較例No.101〜104は、高い孔食電位および曲げ強度を有してはいるが、耐摩耗性に劣る。他方、発明例は、高孔食電位および十分な曲げ強度を備えていると共に、卓抜した耐摩耗性(セラミックスに対する摺動摩耗抵抗およびスラリーに対する土砂摩耗抵抗性)を有している。その孔食電位は、耐摩耗用途の代表材であるWC-12Co超硬合金(その孔食電位は200mVに満たない)はむろん、代表的耐食材料であるオーステナイト系ステンレス鋼316Lの孔食電位(約370mV)を大きく上廻っている
比較例No.105,No.106は発明例に類似した複合材料であるが、前者は硬質粒子の不足により耐摩耗性の改善効果が乏しく、後者は硬質粒子の過剰含有のために脆く、曲げ強度が著しく不足し構造材料としての適性に欠ける。
【0038】
【発明の効果】
本発明の排水用ポンプ羽根軸の摺動部材は、苛酷な摺動摩耗,土砂摩耗浸食(スラリー摩耗)等に対する卓抜した抵抗性を有すると共に、従来の代表的な耐塩水性材料であるオーステナイト系ステンレス鋼を凌ぐ高耐塩水性、耐酸腐食性を備えている。従って、珪砂等の土砂粒を含む海水等に曝される排水用ポンプを構成する羽根軸の摺動部を構成する部材をはじめ、高耐摩耗性と高耐食性を要求される各種産業機器・装置の摺動部に好適であり、その耐久性の向上、メンテナンスの軽減等の効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材の実施例を示す正面断面図である。
【図2】本発明の摺動部材の実施例を示す部分切欠き正面図である。
【図3】 軸体の周面への表面層の形成形態を参考例として示す図 ( 部分切欠き正面図 ) である。
【符号の説明】
1:表面層
2:基部材
3:摺動部材
5:軸体
6:軸受

Claims (6)

  1. 排水用ポンプの羽根軸に嵌着され軸受に対する摺動面となる表面層を有する摺動部材であって、該表面層は、マトリックスとなる金属粉末と分散相となる硬質粒子との混合物の焼結体又は溶接肉盛層として中空円筒形状の基部材の外表面に形成された、マトリックスと40〜80重量%を占める硬質粒子とからなる複合体であり、マトリックスは、Cr:14〜17重量%、Mo:15〜17重量%、W:3〜5重量%、Fe:4〜7重量%、残部Ni及び不可避的不純物である、孔食電位400mV以上のNi基合金からなり、複合体の孔食電位は400mV以上である耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材。
  2. 排水用ポンプの羽根軸に嵌着され軸受に対する摺動面となる表面層を有する摺動部材であって、該表面層は、マトリックスとなる金属粉末と分散相となる硬質粒子との混合物の焼結体又は溶接肉盛層として中空円筒形状の基部材の外表面に形成された、マトリックスと40〜80重量%を占める硬質粒子とからなる複合体であり、マトリックスは、Cr:20〜23重量%、Mo:8〜10重量%、Nb+Ta:3.15〜4.15重量%、Fe:5重量%以下、残部Ni及び不可避的不純物である、孔食電位400mV以上のNi基合金からなり、複合体の孔食電位は400mV以上である耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材
  3. 排水用ポンプの羽根軸に嵌着され軸受に対する摺動面となる表面層を有する摺動部材であって、該表面層は、マトリックスとなる金属粉末と分散相となる硬質粒子との混合物の焼結体又は溶接肉盛層として中空円筒形状の基部材の外表面に形成された、マトリックスと40〜80重量%を占める硬質粒子とからなる複合体であり、
    マトリックスは、Cr:20〜50重量%、Mo,Wの1種又は2種:10〜30重量%(2種の場合は合計量)、残部Ni及び不可避的不純物である、孔食電位400mV以上のNi基合金からなり、複合体の孔食電位は400mV以上である耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材。
  4. 硬質粒子がTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,MoまたはWの炭化物、窒化物、珪化物又は酸化物から選ばれる1種又は2種以上の粒子である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材
  5. 炭化物は、WC,W2C,TiC,NbC,VC,Mo2C,Cr32,TaC,ZrCの1種又は2種以上、窒化物は、TiN,CrNの1種又は2種である請求項4に記載の耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材
  6. 基部材と、表面層である複合体のマトリックスとが同種材料からなる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の耐食性・耐摩耗性に優れた排水用ポンプの羽根軸の摺動部材
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