JP4178201B2

JP4178201B2 - 穿刺装置

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Publication number: JP4178201B2
Application number: JP2002555693A
Authority: JP
Inventors: 義治佐藤; 悦夫平尾; 眞彦福沢; 隆年内垣
Original assignee: Arkray Inc
Current assignee: Arkray Inc
Priority date: 2001-01-12
Filing date: 2002-01-11
Publication date: 2008-11-12
Anticipated expiration: 2022-01-11
Also published as: KR100788305B1; KR20060101792A; CN1531409A; US20070016239A1; EP1356768A4; US20040059366A1; US7758602B2; CN101849829A; US7131984B2; EP1356768A1; KR100852354B1; CN101199422B; EP2361556A2; JP4621871B2; KR20070087083A; WO2002054953A1; KR20030081375A; CN100374078C; KR20080003461A; JP2008183457A

Description

【０００１】
【技術分野】
本発明は、検査用の血液その他の体液あるいは組織を採取する場合に、針を皮膚に突き刺すのに用いられる穿刺装置に関する。
【０００３】
【背景技術】
従来、この種の穿刺装置の一例としては、日本国特開平１１−９５７７号公報に所載のものがある。この公報に記載の穿刺装置は、本願の図３１に示すように、略円筒状のハウジング９０内に、ランセットＬを保持するランセットホルダ９２が設けられた構造を有している。ハウジング９０の一端部には、逆止弁９１を備えた筒状のプランジャ９３が嵌合している。詳細な説明は省略するが、この穿刺装置では、プランジャ９３を矢印Ｎａ方向に押圧操作すると、ランセットホルダ９２がハウジング９０内の所定箇所にラッチされている状態が強制的に解除されることとなって、このランセットホルダ９２はバネ９５の弾発力によってハウジング９０の先端開口部９０ａに向けて前進するようになっている。図面には表われていないが、ハウジング９０の先端は皮膚に押し当てられているために、上記したランセットホルダ９２の前進動作により、皮膚にはランセットＬの先端が突き刺さる。
【０００４】
ランセットホルダ９２が前進した後には、ランセットホルダ９２は、戻しバネ９４の弾発力によって後退するようになっている。また、プランジャ９３は、バネ９６の弾発力によって元の位置に復帰する。その際、プランジャ９３内の空間部９７の体積は増加するため、ハウジング９０内には負圧が生じる。また、部材９８ａ，９８ｂが元の位置に復帰する動作によってもハウジング９０内に負圧を生じさせることができる。したがって、ハウジング９０の先端がいまだ皮膚に押し当てられたままであると、その皮膚には上記負圧が作用し、ランセットＬが穿刺された部分からの出血が促進される。逆止弁９１は、プランジャ９３の後退時には閉となって上記負圧を有効に発生させるとともに、プランジャ９３の前進時には開となってプランジャ９３の前進動作をスムーズにする役割を果たす。
【０００５】
しかしながら、上記従来の穿刺装置においては、次のような不具合があった。
【０００６】
すなわち、ランセットＬが突き刺された部分からの出血量には、個人差があり、また同一人であっても、その身体には出血し易い部分と出血し難い部分とがある。ところが、従来においては、ハウジング９０内に発生する負圧は、常に略一定となっていた。したがって、従来においては、ハウジング９０内の負圧作用によっては、充分な出血量を得ることができなかったり、あるいは反対に、出血量が必要以上に多くなる場合があった。
【０００７】
また、従来においては、ランセットＬを皮膚に突き刺した後でなければ、ハウジング９０内に負圧を生じさせることができないようにされている。その一方、たとえば皮膚が薄く、かつ弛み易い部分に穿刺を行う場合には、ランセットＬを突き刺した後に負圧を生じさせるよりも、先に負圧を生じさせて皮膚をある程度盛り上げた状態にしてからランセットＬを突き刺す方が好ましい場合がある。ところが、従来においては、そのようなことが行えず、この点においても不便を生じる場合があった。
【０００８】
さらに、穿刺装置は、体力の少ない病人や高齢者が用いる機会が多いものであるから、その取り扱いができる限り容易なものとされていることが望まれる。
【０００９】
【発明の開示】
本発明の第１の側面において提供される負圧発生機構を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部は、上記押圧部の外部に排気口を介して連通可能であるとともに上記押圧部の内部に吸気口を介して連通可能な圧力室を構成するシリンダおよびプランジャと、上記動作機構の操作とは異なる操作により、上記プランジャおよび上記シリンダのうちの一方を他方に相対させて往復動可能とする操作機構と、上記排気口を開閉可能に設けられており、かつ上記圧力室の容積が縮小させられるときに上記排気口を開放状態とする第１の逆止弁と、上記吸気口を開閉可能に設けられており、かつ上記圧力室の容積が増大させられるときに上記吸気口を開放状態とする第２の逆止弁と、を備えていることを特徴としている。
【００１１】
上記ポンプ機構部は、上記操作機構の往復操作回数によって上記負圧の調整が可能に構成するのが好ましい。
【００１３】
上記排気口および第１の逆止弁は、たとえばシリンダあるいはプランジャに設けられる。
【００１４】
本発明の第２の側面において提供される負圧発生機構を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部による負圧発生は、上記動作機構によって上記移動体を前進させる前と後とのいずれにおいても選択的に可能とされていることを特徴とする。
【００１６】
本発明の第３の側面において提供される負圧発生機構を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動とにより容積が増減する圧力室と、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより弾発力が蓄えられるとともに、その弾発力を開放することにより上記可動部を上記第２の方向に移動させる弾発力発生部とを備えており、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより上記負圧を発生させるように構成されていることを特徴とする。
【００１７】
本発明の第４の側面において提供される負圧発生機構を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動により容積が増減する圧力室と、を備えており、上記動作機構は、上記移動体に設けられた第１係合部と、上記移動体を前進方向に向けて付勢するための上記移動体前進用の弾性部と、上記第１係合部と係合し、上記ハウジング内において上記移動体をラッチさせるための第２係合部と、少なくとも一部分が上記ハウジングの外部に露出するように設けられた穿刺操作用部材と、この穿刺操作用部材が操作されたときにこの穿刺操作用部材と一体に動き、上記第１係合部と上記第２係合部との係合部分に作用して、上記移動体のラッチ状態を解除するラッチ解除用作用部と、を備えていることを特徴とする。
【００１８】
好ましくは、圧力室は、シリンダおよびプランジャによって構成されており、かつ上記ハウジングの外部に排気口を介して連通可能であるとともに上記押圧部の内部に吸気口を介して連通可能であり、上記シリンダは、上記ハウジングに相対して移動可能であり、かつ上記ラッチ解除用作用部が上記移動体のラッチ状態を解除する動作は、上記シリンダが上記ラッチ解除用作用部を直接または間接的に押圧することにより行われる構成とされている。
【００１９】
上記第２係合部は、たとえば上記ハウジングに固定され、かつ上記移動体とともに上記前進用の弾性部および上記後退用の弾性部を収容するための収容空間を形成するラッチ用部材に設けられている。
【００２０】
上記シリンダは、たとえばハウジングに往復動可能に嵌入されている。
【００２１】
好ましくは、本発明の穿刺装置は、上記移動体のラッチ状態が解除された後に上記穿刺操作用部材がさらに操作されたときには、上記押圧部の内部が上記ハウジングの外部に連通するように構成される。
【００２２】
上記穿刺操作用部材を操作するときの抵抗は、上記移動体のラッチ状態が解除される前よりも解除後の方が大きくなるように構成するのが好ましい。
【００２３】
上記動作機構は、上記移動体が前進した後に上記移動体に後退力を付与するとともに、上記移動体前進用の弾性部に対して直列配置された上記移動体後退用の弾性部をさらに備えているのが好ましい。
【００２４】
本発明の第５の側面において提供される負圧発生機構を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動により容積が増減する圧力室と、を備えている一方、上記可動部を移動させるための、上記ハウジングに対して往復動する減圧操作用部材をさらに備えており、上記押圧部は、上記減圧操作用部材が上記ハウジングに対して往復動するときにその往復動作力によってその中心軸周りに回転するように構成されていることを特徴とする。
【００３１】
本発明の第６の側面において提供される負圧発生機能を備えた穿刺装置は、ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより弾発力が蓄えられるとともに、その弾発力を開放することにより上記可動部を上記第２の方向に移動させる弾発力発生部と、を有しており、かつ、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより上記負圧を発生させるように構成されていることを特徴とする。
【００３８】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の第１の実施の形態に係る負圧発生機能を有する穿刺装置を、図１ないし図１０を参照して説明する。
【００３９】
図１に良く表われているように、本実施形態の穿刺装置Ａ１は、ランセット１０を保持するためのランセットホルダ１、このランセットホルダ１を内部に収容するハウジング２、ポンプ機構部３、このポンプ機構部３を動作させるための操作用ケーシング４、ランセットホルダ１の前進動作を行わせるための操作キャップ５、およびその他の後述する部材を具備して構成されている。
【００４０】
ランセット１０は、たとえば合成樹脂製の本体部１０ａの先端面から金属製の針部１０ｂが突出した形態を有している。
【００４１】
ハウジング２は、第１ないし第３筒状部２０Ａ，２０Ｂ，２０Ｃを有しており、このハウジング２の内部にはランセットホルダ１の収容やその往復動作を可能とする空間部２１が形成されている。後述するように、この穿刺装置Ａ１を用いて穿刺を行うときには、第２筒状部２０Ｂの先端部が穿刺対象部位となる皮膚Ｓｋに押し当てられる。第２筒状部２０Ｂにはサンプリングされる体液が誤って付着する虞れがあるため、この第２筒状部２０Ｂについては、第１筒状部２０Ａに着脱自在として、その取り替えが可能なキャップ式のものにすることもできる。第１筒状部２０Ａについては、単一部材によって形成することができるが、複数の部材を組み合わせて構成することもできる。
【００４２】
操作用ケーシング４は、ポンプ機構部３を動作させるためのものであり、ハウジング２およびポンプ機構部３を囲み込む筒状に形成されている。この操作用ケーシング４は、矢印Ｎ１，Ｎ２に示すハウジング２の長手方向に往復操作可能である。
【００４３】
ポンプ機構部３は、圧力室３０を内部に形成するシリンダ３１、このシリンダ３１に対して摺動可能に嵌入されたプランジャ３２、第１の逆止弁３３Ａ、第２の逆止弁３３Ｂ、およびリターン用のバネ３４を具備して構成されている。プランジャ３２は、ハウジング２の第１筒状部２０Ａに突設されている第１の支持部２１ａに一体的に形成されている。もちろん、プランジャ３２をハウジング２とは別体として形成し、これを第１筒状部２０Ａに固定した構成であってもよい。これに対し、シリンダ３１は、ハウジング２やプランジャ３２に相対して矢印Ｎ１，Ｎ２方向に往復動可能である。このシリンダ３１の基端部（図面では上部）のフランジ部３１ａには、操作用ケーシング４の凸部４０が係合している。このことにより、操作用ケーシング４が矢印Ｎ１方向に下降前進するように操作されるときには、図５に示すように、シリンダ３１はそれに伴って下降し、圧力室３０の容積が増大するようになっている。
【００４４】
リターン用のバネ３４は、たとえば圧縮コイルバネであり、ハウジング２の第１筒状部２０Ａに突設されている第２の支持部２１ｂとシリンダ３１のフランジ部３１ａとの間に介装されている。このバネ３４は、操作用ケーシング４に伴ってシリンダ３１が矢印Ｎ１方向に下降前進すると、フランジ部３１ａと第２の支持部２１ｂとの間において圧縮し、シリンダ３１および操作用ケーシング４を上昇させようとする所定の弾発力を発揮するようになっている。
【００４５】
第１の逆止弁３３Ａは、シリンダ３１の先端部に形成された排気口３６を開閉するためのものであり、圧力室３０内の空気が排気口３６を介して圧力室３０の外部へ排出されることは許容するものの、それとは反対の空気流通は阻止する。プランジャ３２は、貫通孔３２ａを有する中空状であり、このプランジャ３２の先端部には吸気口３５が形成されている。第２の逆止弁３３Ｂは、この吸気口３５を開閉するためのものであり、プランジャ３２の貫通孔３２ａから圧力室３０内に空気が流入することは許容するものの、それとは反対の空気流通は阻止する。貫通孔３２ａは、プランジャ３２の基端部とハウジング２の第１の支持部２１ａとの間に形成された空気流路６０を介して、ハウジング２内の空間部２１に連通している。空間部２１は、空気流路６０の近傍部分とハウジング２の先端開口部とが互いに連通した構造となっており、後述するように、ポンプ機構部３の圧力室３０に負圧を発生させるときには、この負圧をハウジング２の先端開口部に作用させることが可能となっている。
【００４６】
ランセットホルダ１は、図１ないし図３に示したように矢印Ｎ１，Ｎ２方向に延びた形状を有している。ランセットホルダ１は、これをラッチ用部材１３に係合して先端方向へ付勢し、その係合状態を操作キャップ５の押圧操作によって解除することにより先端方向（図１ないし図３のＮ１方向）に向けて前進できるように構成されている。ランセットホルダ１は、全体がハーフパイプ状とされている。ランセットホルダ１の先端部１１ａは、筒状とされており、この部分にランセット１０が保持される。ランセットホルダ１の他端部１１ｂには一対の突起１２が設けられている。これらの突起１２は、第１係合部を構成している。
【００４７】
ラッチ用部材１３もまた、矢印Ｎ１，Ｎ２方向に延びた形状を有している。ララッチ用部材１３の端部には、第２係合部１４が設けられている。第２係合部１４は、板バネ様に構成されているとともに、一対の係合用突起１４ａが設けられている。これらの係合用突起１４ａは、一対の突起１２と係合するものである。ラッチ用部材１３の中央部には、ラッチ用部材１３をハウジング２に固定するための係合片１５が設けられている。
【００４８】
ラッチ用部材１３は、ランセットホルダ１とともに収容空間１６を形成するものであり、その収容空間１６内にコイルバネ１７ａ，１７ｂが直列に配置されている。これらのコイルバネ１７ａ，１７ｂは、その一端部がラッチ用部材１３に設けられた固定部１８に固定されている。一方、コイルバネ１７ａ，１７ｂの他端部は、ラッチ用部材１３に対しては自由端とされているものの、ランセットホルダ１の壁部１９ａ、１９ｂと干渉しうる。
【００４９】
一対の突起１２と一対の係合用突起１４ａとを係合すれば、収容空間１６内においてコイルバネ１７ａが圧縮される。これにより、ランセットホルダ１を前進させるための弾発力が蓄えられる。なお、一対の係合用突起１４ａに対する一対の突起１２の係合は、ランセットホルダ１をハウジング２の先端部側から基端部側に押し込むことによって行なうことができる。ランセットホルダ１のラッチ状態が解除すれば、コイルバネ１７ａの弾発力によってランセットホルダ１が矢印Ｎ１方向に勢いよく前進する。ランセットホルダ１が矢印Ｎ１方向に前進した場合には、コイルバネ１７ｂが圧縮される。そのため、ランセットホルダ１が矢印Ｎ１方向に所定量前進した後は、コイルバネ１７ａの弾発力によってランセットホルダ１が適当量だけ後退し、皮膚Ｓｋから針部１０ｂが引き抜かれる。もちろん、コイルバネ１７ａ，１７ｂに代えて、蛇腹状バネ、スポンジ、発泡ゴムなどを採用してもよい。
【００５０】
穿刺装置Ａ１では、ランセットホルダ１に前進力を付与するコイルバネ１７ａと後退力を付与するコイルバネ１７ｂとが直列に配置されており、コイルバネを並列に配置する構成に比べれば、穿刺機構の周りの小型化を達成することができる。また、ランセットホルダを外套するようにしてコイルバネを配置する構成と比べてバネの内径を小さくでき、またランセットホルダの周りにコイルバネのための空間を設ける必要がない。その結果、穿刺機構の周りの容積を小さくし、ポンプ機構部３によって外部に放出すべき気体量を少なくできる。したがって、ポンプ機構部３を不都合なく小型化し、あるいは皮膚に作用させる負圧を大きく確保できるようになる。
【００５１】
操作キャップ５は、ハウジング２の第３筒状部２０Ｃを覆うようにして、ハウジング２に対してスライド可能なように操作用ケーシング４に嵌入されている。この操作キャップ５は、固定部５０に対して、突出部５１を有するラッチ解除用作用部５２を保持したものである。固定部５０とラッチ解除用作用部５２との間には、Ｏリング５３が配置されている。これにより、ハウジング２の内部の気密性を確保しつつ、操作キャップ５がハウジング２（第３筒状部２０Ｃ）に対して矢印Ｎ１，Ｎ２方向に相対動する。操作キャップ５の内部には、第３筒状部２０Ｃを外套するようにしてコイルバネ５４が配置されている。このコイルバネ５４の下端は、第３筒状部２０Ｃの段部２０ｃに係止されている。このため、矢印Ｎ１方向に操作キャップ５を押圧すれば、コイルバネ５４を圧縮しつつ操作キャップ５が下動する。このとき、操作キャップ５が所定距離下動すれば、ラッチ解除用作用部５２が一対の突起１２と一対の係合用突起１４ａとの係合部分に作用して、ランセットホルダ１のラッチ状態が解除される。一方、操作キャップ５への押圧力を解除すれば、コイルバネ５４の弾発力によって、操作キャップ５が矢印Ｎ２方向に移動し、元の位置に復帰する。
【００５２】
図４Ａおよび図４Ｂに示したように、第３筒状部２０Ｃには、空気流通用の凹部５５が設けられている。操作キャップ５がラッチ解除位置よりも上方に位置する場合には、Ｏリング５３が凹部５５よりも上方に位置する。一方、操作キャップ５がラッチ解除位置よりも若干下方に位置する場合には、Ｏリング５３が凹部５５に対応する部位に位置する。このため、ラッチ解除位置からさらに下方（矢印Ｎ１方向）に操作キャップ５を移動させれば、凹部５５を介して外部の空気がハウジング２内に流入する。これにより、ハウジング２内の負圧を解除することができる。
【００５３】
次に、穿刺装置Ａ１の使用例ならびに作用について説明する。
【００５４】
まず、ランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺すのに先立って、皮膚Ｓｋに負圧を作用させたい場合には、図５に示すように、ハウジング２の先端部を皮膚Ｓｋに当接させた状態において、操作用ケーシング４をハウジング２に相対させて矢印Ｎ１方向に押し下げる。この操作により、シリンダ３１はプランジャ３２に相対して下降し、圧力室３０の容積が増加するために、この圧力室３０内は減圧され、第２の逆止弁３３Ｂが開く。すると、ハウジング２内の空間部２１の空気は、空気流路６０や貫通孔３２ａを介して圧力室３０内に流入する。その結果、ハウジング２内に負圧を発生させて、この負圧を皮膚Ｓｋに作用させることができる。
【００５５】
操作用ケーシング４を押し下げた後には、バネ３４の弾性復元力を利用して操作用ケーシング４およびシリンダ３１を元の位置に簡単に復帰させることができる。図６に示すように、操作用ケーシング４およびシリンダ３１が矢印Ｎ２方向に上昇復帰するときには、圧力室３０の容積が減少していくために、第２の逆止弁３３Ｂは閉じるとともに、第１の逆止弁３３Ａは開く。したがって、シリンダ３１を元の位置に復帰させるときには、ハウジング２内の空間部２１の負圧状態を維持しつつ、圧力室３０内の空気を排気口３６を介して適切に外部に排出させることができる。
【００５６】
このように、操作用ケーシング４およびシリンダ３１を元の位置に復帰させる際にハウジング２内の空間部２１の負圧状態を維持できるようにすれば、操作用ケーシング４をその後再度押し下げた場合には、ハウジング２内の空間部２１をさらに減圧して、空間部２１の負圧を大きくする（絶対圧を下げる）ことができる。その結果、この穿刺装置Ａ１においては、操作用ケーシング４の往復操作回数を多くしたり、あるいは少なくすることによって、皮膚Ｓｋに作用する負圧を適度に調整することができる。
【００５７】
次いで、ランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺すには、図２および図７に示すように、操作キャップ５を矢印Ｎ１方向に押し下げて、ランセットホルダ１のラッチ状態を解除させる。これにより、図２および図８に示すように、コイルバネ１７ａの弾発力を利用してランセットホルダ１を前進させて、ランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺すことができる。ランセット１０が皮膚Ｓｋに突き刺さった後には、バネ１７ｂ（図２参照）の弾発力によってランセットホルダ１が後退するため、ランセット１０は皮膚Ｓｋから即座に引き抜かれる。皮膚Ｓｋには先に発生させていた負圧が作用しているために、ランセット１０が突き刺された部分からの出血が促進される。このことは、ランセット１０の突き刺し量を小さくしつつ、出血量を比較的多くするのに役立つ。
【００５８】
図４Ａおよび図４Ｂに示すように、操作キャップ５をさらに矢印Ｎ１方向に押し下げると、ハウジング２内の空間部２１は操作キャップ５の凹部５５を介して外部と連通し、この凹部５５を介して外部の空気が空間部２１内に流入する。これにより、空間部２１は大気圧に復帰する。このようにすると、ハウジング２を皮膚Ｓｋから簡単に離反させることができる。
【００５９】
この穿刺装置Ａ１においては、操作キャップ５を操作することによってランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺した後に、さらに操作キャップ５を押圧しなければ、皮膚Ｓｋに作用している負圧状態を簡単には解除できないようになっている。したがって、皮膚Ｓｋに作用している負圧状態が、ランセット１０を突き刺す前に誤って解除されないようにし、皮膚Ｓｋを盛り上げ、かつ血行を良くした状態でランセット１０を突き刺すことが確実化される。また、ランセット１０の突き刺し操作および負圧状態の解除操作は、いずれも操作キャップ５を押圧することによって連続的に行うことができるために、それらの操作も簡単となる。
【００６０】
上記した使用例においては、ハウジング２内の空間部２１に負圧を発生させた後にランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺しているが、この穿刺装置Ａ１においては、これとは逆の手順にすることもできる。すなわち、まず操作キャップ５を押圧することによりランセット１０を皮膚に突き刺した後に、操作用ケーシング４を操作することによってランセット１０が突き刺された部分に負圧を作用させることもできる。このような手順であっても、ランセット１０が突き刺された部分からの出血を負圧により促進することが可能である。このように、この穿刺装置Ａ１では、ランセット１０を皮膚Ｓｋに突き刺す前後のいずれの時期に負圧を発生させるかを、ユーザが任意に選択できるので便利である。また、この穿刺装置Ａ１では、負圧を発生させようとして操作用ケーシング４を往復動させるときには、ハウジング２の先端部が皮膚Ｓｋをマッサージすることとなり、これによって皮膚Ｓｋの血行を一層良くすることも可能となる。
【００６１】
この穿刺装置Ａ１においては、リターン用のバネ３４の力に抗して操作用ケーシング４を押し下げるときに負圧が発生するように構成されているために、負圧を即座に発生させることができるのに加え、次のような利点も得られる。すなわち、本実施形態とは異なった構成のポンプ機構部としては、たとえば図１０Ａに示すように、プランジャ３２′をバネ３４′の弾発力Ｒに抗して押し下げるときに圧力室３０′の容積が減少し、かつその後図１０Ｂに示すように、バネ３４′の弾発力Ｒによってプランジャ３２′が上昇復帰するときに圧力室３０′の容積が増大して負圧を生じる構成とすることも考えられる。ところが、このような構成においては、バネ３４′の弾発力Ｒとしては、プランジャ３２′とシリンダ３３′との摩擦抵抗に打ち勝ってプランジャ３２′を上昇させる力と、大気圧に抗して圧力室３０′内に負圧を発生させるための力とのトータルの力が必要となる。プランジャ３２′を押し下げるのに必要な力Ｆは、バネ３４′の弾発力Ｒよりも大きな力となる。
【００６２】
これに対し、本実施形態の構成においては、リターン用のバネ３４が圧縮された後に元の状態に復帰するときには圧力室３０内に負圧を発生させないために、バネ３４の弾発力としては、プランジャ３２とシリンダ３１との摩擦抵抗に打ち勝ってシリンダ３１を元の位置に上昇復帰させる力があればよいこととなる。したがって、図１０Ａおよび図１０Ｂに示すバネ３４′のバネ定数よりも、本実施形態のリターン用のバネ３４の方が、バネ定数の小さなものを用いることができる。その結果、本実施形態においては、バネ３４の弾発力に抗してシリンダ３１および操作用ケーシング４を押し下げるのに必要な力は、それだけ小さくてすむこととなり、その操作性が一層良好となるのである。
【００６３】
穿刺装置Ａ１では、ハウジング２内に発生する負圧を調整できるように構成されていたが、最大負圧をどの程度に設定するか、あるいは最大負圧に漸近するまで必要とされる操作用ケーシング４の往復回数をどの程度に設定するかは、次に示す実験結果から得られる知見に基づいて設定される。
【００６４】
本発明者らは、操作用ケーシング４を往復動させる回数とハウジング２内の圧力の変化との関係を調べた。その結果については、図１１Ａ〜図１１Ｃに示した。各図には、圧力室３０のデッドボリューム（自然状態での圧力室３０の容積）Ｖ２と圧力室３０の最大達成容積からデッドボリュームＶ２を除いた容積（圧力室３０の最大増加容積）Ｖ３とを固定する一方で、ハウジング２の実質容積（気体が存在する容積（ただし、図１の流路６０やプランジャ３２の貫通孔３２ａの容積を含んでいる））Ｖ１を変化させた複数の条件の結果を同時に示した。Ｖ１ないしＶ３は、管径を同一とし、その高さを変化させることにより調整した。各実施例１〜３におけるＶ１〜Ｖ３は下記表１に示したとおりである。
【００６５】
【表１】

【００６６】
図１１Ａ〜図１１Ｃから分かるように、ハウジング２内の実質容積Ｖ１を小さくすれば、ハウジング２内が最大負圧に漸近するのに必要な吸引回数が少なくなる。また、各図から同様な傾向が現れているように、ハウジング２内の実質容積Ｖ１が大きいほど、ハウジング２内が最大負圧に漸近するのに必要な吸引回数が多くなる。つまり、１度の吸引操作で相対的に大きな負圧を作用させたい場合には、ハウジング２の実質容積Ｖ１を小さく設定し、逆に目的とする負圧まで徐々に負圧を大きくしつつ近づける場合には、ハウジング２の実質容積Ｖ１を大きく設定すればよい。一方、圧力室３０の最大増加容積Ｖ３を大きくすると最大負圧は大きくなり、逆に最大増加容積Ｖ３を小さくすると最大負圧が小さくなる。このように、圧力室３０の最大増加容積Ｖ３を選択することによりハウジング２内において達成できる最大負圧を調整し、ハウジング２の実質容積Ｖ１を選択することにより最大負圧に漸近するのに必要な吸引回数を調整することができる。
【００６７】
ただし、図１１Ａ〜図１１Ｃは、あくまでも圧力室３０のデッドボリュームＶ２を一定とする場合の結果である。逆に、Ｖ２を変化させて、Ｖ３を固定させても最大負圧を調整することが可能である。
【００６８】
次に、本発明の第２の実施の形態に係る穿刺装置Ａ２を、図１２を参照しつつ説明する。図１２においては、先に説明した穿刺装置Ａ１と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【００６９】
この穿刺装置Ａ２は、図１２に示したように先に説明した穿刺装置Ａ１とは、異なる穿刺機構を有している。この穿刺機構は、ランセットホルダ１Ａ、操作キャップ５Ａ、前進用のバネ１７ａ、および後退用のバネ１７ｂを有している。
【００７０】
穿刺装置Ａ２では、ランセットホルダ１Ａは、複数のラッチ用爪１２Ａを有している。これらのラッチ用爪１２Ａは、ハウジング２Ａ内に設けられている段部１４Ａに係合させるためのものである。段部１４Ａへのラッチ用爪１２Ａの係合は、ランセットホルダ１Ａをハウジング２Ａの先端部側から基端部側に押し込むことによって行なうことができる。
【００７１】
操作キャップ５Ａは、操作用ケーシング４にスライド可能に嵌入されている。この操作キャップ５Ａには、プッシュロッド（ラッチ解除用作用部）５０Ａが係止されている。プッシュロッド５０Ａは、ハウジング２Ａの第３筒状部２０Ｃに対して気密性をもってスライド可能に嵌入している。プッシュロッド５０Ａの外周面には、空気流通用の凹部５５Ａが設けられている。凹部５５Ａは、ハウジング２Ａの外部とは連通しているものの、常時は、このハウジング２Ａ内の空間部２１と連通した状態にはない。これに対し、操作キャップ５Ａを適当量だけ押圧操作したときには、凹部５５Ａが空間部２１と連通し、凹部５５Ａを介して、空間部２１と外部との間が連通する。
【００７２】
前進用バネ１７ａは、上端部がプッシュロッド５０Ａに係止され、下端部がランセットホルダ１Ａに係止されている。この前進用のバネ１７ａは、ラッチ用爪１２Ａをハウジング２Ａ内に設けられている段部１４Ａに係合させた状態では、圧縮される。
【００７３】
一方、後退用バネ１７ｂは、上端部がランセットホルダ１Ａに係止され、下端部がハウジング２Ａ（第２筒状部２０Ｂ）の段部２０ｂに係止されている。このバネ１７ｂは、ランセットホルダ１Ａが前進した場合に圧縮される。
【００７４】
以上に説明した穿刺機構では、操作キャップ５Ａが矢印Ｎ１方向に押圧されると、この操作キャップ５Ａに掛止されているプッシュロッド５０Ａが、前進用のバネ１７ａを圧縮させながら前進し、複数のラッチ用爪１２Ａを押圧するようになっている。複数のラッチ用爪１２Ａは、プッシュロッド５０Ａによって押圧されることにより段部１４Ａとの係合状態（ラッチ状態）が解除されるように構成されており、上記係合状態が解除されると、ランセットホルダ１はバネ１７ａの弾発力によって矢印Ｎ１方向に勢いよく前進するようになっている。また、ランセットホルダ１Ａは、ハウジング２Ａの先端に向けて所定量だけ前進した後には、ハウジング２Ａ内に設けられたバネ１７ｂの弾発力によって適当量だけ後退するようになっている。
【００７５】
さらに操作キャップ５Ａを押圧操作すれば、プッシュロッド５０Ａの凹部５５Ａを介して、空間部２１と外部とが連通する。したがって、ポンプ機構部３においてハウジング２内に負圧を発生させていた場合には、操作キャップ５Ａを押圧することによって、負圧を解消することができる。
【００７６】
次に、本発明の第３の実施の形態に係る穿刺装置Ａ３を、図１３を参照しつつ説明する。この図においては、先に説明した穿刺装置Ａ１，Ａ２と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【００７７】
この穿刺装置Ａ３は、図１３に示したようにランセット１０の移動方向Ｎ１に対してポンプ機構部３Ａが直交して配置された構成となっている。これに応じて、操作用ケーシング４Ａは、ランセットホルダ１Ａなどを収容する第１部分４１からポンプ機構部３Ａを収容する第２部分４２が垂直（矢印Ｎ４方向）に突出した形態とされている。
【００７８】
ポンプ機構部３Ａは、その基本的な構成が先に説明した穿刺装置Ａ１と同様である。すなわち、ポンプ機構部３Ａは、吸気口３５を有するプランジャ３２Ａ、このプランジャ３２Ａとともに圧力室３０を形成し、かつ排気口３６を有するシリンダ３１Ａ、逆止弁３３Ａ，３３Ｂ、およびリターン用のバネ３４を備えている。
【００７９】
ただし、シリンダ３１Ａは、操作部５９に固定されている。操作部５９は、操作用ケーシング４Ａの第２部分４２に形成された開口部４２ａから突出している。一方、プランジャ３２Ａは、操作用ケーシング４Ａの第２部分４２に固定して取り付けられている。このプランジャ３２Ａは、チューブＣを介してハウジング２Ａに繋げられている。これにより、圧力室３０の内部は、プランジャ３２Ａの貫通孔およびチューブＣの内部を介して、ハウジング２Ａの内部と連通している。
【００８０】
ポンプ機構部３Ａでは、操作部５９に対して矢印Ｎ３方向に力を作用させることにより、シリンダ３１Ａが矢印Ｎ３方向に移動して圧力室３０の容積が増大する。このとき、逆止弁３３Ｂが開いてハウジング２Ａの内部の空気がチューブＣを介して圧力室３０内に流入し、ハウジング２Ａの内部に負圧が発生する。このとき、バネ３４に弾発力が蓄えられる。一方、矢印Ｎ３方向に作用する力を解除すれば、バネ３４の弾発力により、シリンダ３１Ａが矢印Ｎ４方向に移動する。このとき、逆止弁３３Ａが開いて圧力室３０内の空気が排気口３６を介して排出され、圧力室３０の容積が減少する。
【００８１】
次に、本発明の第４の実施の形態に係る穿刺装置Ａ４を、図１４Ａおよび図１４Ｂを参照しつつ説明する。この図においては、先に説明した穿刺装置Ａ１〜Ａ３と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【００８２】
この穿刺装置Ａ４は、図１４Ａおよび図１４Ｂに示したように矢印Ｎ５，Ｎ６方向に操作レバー５９Ａを往復移動させることにより、負圧を発生させることができるように構成されている。この穿刺装置Ａ４においても、穿刺装置Ａ１〜Ａ３と類似な構成のポンプ機構部３Ｂを有している。ただし、その基本的な構成は先に説明した穿刺装置Ａ１と同様である。すなわち、ポンプ機構部３Ｂは、シリンダ３１Ｂ、プランジャ３２Ｂ、リターン用のバネ３４、および逆止弁（図示略）を備えている。
【００８３】
操作用ケーシング４Ｂには、２つの支持部４３Ａ，４３Ｂが設けられている。支持部４３Ａには、操作レバー５９Ａが回動可能に支持されている。支持部４３Ａには、貫通孔４３ａが設けられており、この貫通孔４３ａによりシリンダ３１ＢのＮ１，Ｎ２方向への移動か許容されるとともに、シリンダ３１Ｂの移動がガイドされている。シリンダ３１Ｂの上端部は係止部とされており、この係止部と支持部４３Ａとの間にはシリンダ３１Ｂを外套するようにしてバネ３４が介装されている。一方、支持部４３Ｂには、プランジャ３２Ｂが固定されている。シリンダ３１Ｂの上端部と操作レバー５９Ａとの間は、リンク部材５９ａにより接続されている。なお、図面上には表れていないが、ハウジング（図示略）の内部とプランジャ３２Ｂの内部との間は、支持部４３Ｂ内に設けられた流路を介して連通している。
【００８４】
穿刺装置Ａ４では、操作レバー５９Ａを矢印Ｎ５方向に移動させれば、リンク部材５９ａによりシリンダ３１Ｂが矢印Ｎ１方向に移動して圧力室の容積が増大する。これにより、ハウジングの内部の空気が圧力室内に流入し、ハウジング内に負圧が発生する。このとき、バネ３４には弾発力が蓄えられる。一方、操作レバー５９Ａに作用する力を解除すれば、バネ３４の弾発力によりシリンダ３１Ｂが矢印Ｎ２方向に移動してリンク部材５９ａにより操作レバー５９Ａが矢印Ｎ６方向に移動させられる。このとき、圧力室から空気が排出されての圧力室の容積が減少する。
【００８５】
次に、本発明の第５の実施の形態に係る穿刺装置Ａ５を、図１５ないし図２２を参照しつつ説明する。これらの図においては、先に説明した穿刺装置Ａ１〜Ａ４と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【００８６】
本実施形態の穿刺装置Ａ５では、操作用ケーシング４Ｃの操作によって動作するポンプ機構部３Ｃと、操作キャップ５Ｃの操作によって動作する穿刺機構部がハウジング２Ｃ内に設けられている。ハウジング２Ｃは、３つのスリーブ２０ＣＡ〜２０ＣＣを連結した構成とされている。
【００８７】
図１６に示したように、ポンプ機構部３Ｃは、圧力室３０を形成するシリンダ３１Ｃおよびプランジャ３２Ｃと、第１および第２の逆止弁３３Ａ，３３Ｂとを備えている。
【００８８】
操作用ケーシング４Ｃは、ハウジング２Ｃに対してその軸長方向Ｎ１，Ｎ２方向に往復動可能に外套されている。この操作用ケーシング４Ｃがハウジング２Ｃに相対して押し下げられたときには、バネ３４の弾発力によって操作用ケーシング４Ｃが元の位置に復帰できるように構成されている。
【００８９】
シリンダ３１Ｃは、ハウジング２Ｃの上部（頭部）に一定のストロークの範囲内で往復動可能に嵌入されている。このシリンダ３１Ｃの上部には、押圧操作用の操作キャップ５Ｃがハウジング２Ｃの上端よりも上部に突出するように装着されており、この操作キャップ５Ｃが下方に押圧操作されると、このシリンダ３１Ｃも下降するように構成されている。シリンダ３１Ｃの下方にはバネ５４Ｃが設けられており、シリンダ３１Ｃは、その下降後にはコイルバネ５４Ｃの弾発力によって元の位置に復帰できるように構成されている。
【００９０】
プランジャ３２Ｃは、シリンダ３１Ｃに往復摺動可能に嵌入されている。図１７によく表われているように、このプランジャ３２Ｃには、操作用ケーシング４Ｃの上部との連結が図られた一対のアーム３７が連設されている。したがって、このプランジャ３１Ｃは、操作用ケーシング４Ｃが矢印Ｎ１、Ｎ２方向に往復動されると、これに伴ってシリンダ３１Ｃ内において往復動を行うこととなる。
【００９１】
逆止弁３３Ａは、その排気口３６を開閉可能であり、プランジャ３２Ｃに装着されている。この逆止弁３３Ａは、圧力室３０からハウジング２Ｃの外部へのエア流通は許容するものの、外部から圧力室３０内へのエア流通を阻止する。
【００９２】
シリンダ３１Ｃの底部には、ハウジング２Ｃ内のエアを圧力室３０内に流入させるための吸気口３５が設けられている。ハウジング２Ｃ内には、この吸気口３５をハウジング２Ｃの先端内部に連通させるための連通路が一連に形成されている。より具体的には、吸気口３５は、後述する第１および第２の押動体７１Ａ，７１Ｂのそれぞれに設けられた貫通孔と、ランセットホルダ１Ｃの上部に設けられた複数のスリット７２と、ハウジング２Ｃの段部７３とランセットホルダ１Ｃとの間に設けられた隙間７４とを介してハウジング２Ｃの先端内部に連通している。
【００９３】
逆止弁３３Ｂは、吸気口３５を開閉するものである。この逆止弁３３Ｂは、圧力室３０の外部から圧力室３０内へのエア流通は許容するものの、圧力室３０からその外部へのエア流通を阻止する。
【００９４】
図１８によく表われているように、穿刺機構部は、ランセットホルダ１Ｃを先端側に向けて移動させるためのものである。穿刺機構部は、スリーブ７０と、このスリーブ７０に往復動可能に嵌入された第１および第２の押動体７１Ａ，７１Ｂとを備えている。スリーブ７０は、ハウジング２Ｃ内においてシリンダ３１Ｃよりも下方に固定されている。このスリーブ７０の下部近傍には、ランセットホルダ１Ｃの一対のラッチ用の係合爪１２Ｃを係合させるための一対の孔部７５が設けられている。ランセットホルダ１Ｃの上部内には、上端が第２の押動体７１Ｂに当接するコイルバネ１７ａが設けられており、ランセットホルダ１Ｃは、コイルバネ１７ａを圧縮させた状態で、各係合爪１２Ｃと孔部７５との係合作用によりスリーブ７０にラッチ可能である。
【００９５】
第１の押動体７１Ａは、シリンダ３１Ｃの底部に連結されていることによりシリンダ３１Ｃに伴って往復動可能である。この第１の押動体７１Ａの下部は、スリーブ７０内に嵌入している。第２の押動体７１Ｂの上部はスリーブ７０内に往復動可能に嵌入しており、コイルバネ１７ａの弾発力によって第１の押動体７１Ａの底面部に当接している。この第２の押動体７１Ｂは、本発明でいうラッチ解除用作用部の一例に相当し、ランセットホルダ１Ｃの各係合爪１２Ｃの上方に位置する一対の突起７２ａを有している。各突起７２ａおよび各係合爪１２Ｃには、互いに対応する所定のテーパ面が形成されており、各突起７２ａが図１８に示す状態よりも下方に下降すると、各突起７２ａは、各係合爪１２Ｃを内側に変形させるように押圧し、各係合爪１２Ｃとスリーブ７０との係合状態を解除するようになっている。ランセットホルダ１Ｃは、コイルバネ１７ｂによって外套されており、このコイルバネ１７ｂの弾発力を利用して、穿刺後のランセットホルダ１Ｃが矢印Ｎ２方向に移動させられる。
【００９６】
第１の押動体７１Ａにはゴム製などのＯリング７６が装着されており、第１の押動体７１Ａとスリーブ７０の内周面との間の気密性が保持できるように構成されている。ただし、スリーブ７０の内周面には段差部７７が設けられており、操作キャップ５Ｃを押圧操作することにより第１の押動体７１Ａを下降させていくときには、その操作に対する抵抗が変化するように構成されている。より具体的には、スリーブ７０の上部の内径Ｄ１は、その下方の内径Ｄ２よりも僅かに大きくされている。Ｏリング７６が第１の押動体７１Ａに伴って下降する場合、第２の押動体７１Ｂが各係合爪１２Ｃとスリーブ７０との係合状態を解除させたときには、Ｏリング７６が段差部７７に丁度差しかかるように設定されている。図１９によく表われているように、第１の押動体７１Ａは、Ｏリング７６が内径Ｄ２の部分を通過し終えるまで下降可能であるが、このような状態になると、第１の押動体７１Ａとスリーブ７０との嵌合部分における気密状態が解消されるようになっている。
【００９７】
ランセットホルダ１Ｃの先端部には、ランセット１０を囲む補助キャップ７８が取り付けられている。ランセットホルダ１Ｃが前進したときには、この補助キャップ７８の先端面７８ａが皮膚に当接し、ランセット１０のうち、先端面７８ａよりも下方に突出した部分のみが皮膚に突き刺さるようになっている。したがって、この補助キャップ７８をランセットホルダ１Ｃの軸長方向に移動自在として、補助キャップ７８の先端からランセット１０が突出する寸法Ｓを増減できるようにすれば、皮膚に対するランセット１０の突き刺し深さを自在に変更できることとなる。ただし、本発明においては、このような手段を設けることは必須ではない。ハウジング２Ｃの先端内部には、補助キャップ７８が前進したときにこれをガイドするための略筒状のガイド体７９が設けられている。このガイド体７９やハウジング２Ｃの先端部を透明にし、皮膚からの出血を目視できるようにすることもできる。
【００９８】
次に、上記構成の穿刺装置Ａ５の使用例ならびに作用について説明する。
【００９９】
図１６および図１７に示すように、この穿刺装置Ａ５を使用するには、まずランセット１０が装着されたランセットホルダ１Ｃをスリーブ７０にラッチさせた状態に設定しておく。次いで、図１５に示すように、ハウジング２Ｃの先端を皮膚に当接させ、その後皮膚に負圧を作用させる場合には、操作用ケーシング４Ｃを上下に往復動させる。操作用ケーシング４Ｃは把持し易く、しかも操作用ケーシング４Ｃを押し下げた後には、コイルバネ３４の弾発力によって操作用ケーシング４Ｃを上昇させることができるため、その操作性が良い。
【０１００】
図２０Ａに示すように、操作用ケーシング４が矢印Ｎ１方向に下降するときには、プランジャ３２Ｃも下降する。その際には、逆止弁３３Ｂは閉であるとともに、逆止弁３３Ａは開となり、圧力室３０内のエアは排気口３６を介してハウジング２Ｃの外部にスムーズに排出される。これに対し、図２０Ｂに示すように、その後操作用ケーシング４Ｃが矢印Ｎ２方向に上昇するときには、プランジャ３２Ｃも上昇するため、圧力室３０の容積が増大し、圧力室３０内には負圧を生じる。この際、逆止弁３３Ａは閉であるのに対し、逆止弁３３Ｂは開となる。したがって、ハウジング２Ｃの先端内部にも負圧が発生することとなって、この負圧を皮膚に作用させることができる。
【０１０１】
上記した操作に引き続いて操作用ケーシング４Ｃをさらに往復動させる場合、プランジャ３２Ｃの下降時には、逆止弁３３Ｂが閉じられるため、ハウジング２Ｃの先端内部の負圧状態は適切に維持される。したがって、操作用ケーシング４Ｃの往復動操作を繰り返す都度、圧力室３０およびハウジング２Ｃの先端内部の負圧を徐々に大きく（絶対圧を下げる）していくことができる。その結果、この穿刺装置Ａ５においては、操作用ケーシング４Ｃを往復させる回数を多くしたり、あるいは少なくすることによって、皮膚に作用する負圧を適度に調整することができる。
【０１０２】
次いで、ランセット１０を皮膚に突き刺すには、操作キャップ５Ｃを指で押し下げる。この操作により、シリンダ３１Ｃと第１および第２の押動体７１Ａ，７１Ｂとがハウジング２Ｃに相対して下降するため、第２の押動体７１Ｂはランセットホルダ１Ｃの各係合爪１２Ｃを押圧し、スリーブ７０にランセットホルダ１Ｃがラッチされた状態が解除される。すると、図２１によく表われているように、ランセットホルダ１Ｃは、コイルバネ１７ａの弾発力によって、ハウジング２Ｃの先端の開口部に向けて矢印Ｎ１方向に勢いよく前進し、ランセット１０が皮膚に突き刺さる。この状態から、さらに操作キャップ５Ｃを指で押そうとする場合には、図１８に示した第１の押動体７１ＡのＯリング７６がスリーブ７０の内径Ｄ１の部分から内径Ｄ２の部分に移行することとなり、それ以前よりも大きな抵抗力が発生する。したがって、このような抵抗力の増大に基づき、ユーザはランセット１０の前進動作が終えたことを的確に察知することができる。皮膚にランセット１０が突き刺さった後には、コイルバネ１７ｂがランセットホルダ１Ｃを適当量だけ後退させることとなり、皮膚からランセット１０が抜き外れることとなる。
【０１０３】
図２２に示すように、その後さらに操作キャップ５Ｃを押圧すると、図１８に示したように、Ｏリング７６がスリーブ７０の内径Ｄ２の部分を通過する位置まで下降する。すると、ハウジング２Ｃの先端内部からシリンダ３１Ｃの吸気口３６に到るまでの連通路の気密性が解除され、ハウジング２Ｃの先端内部は大気圧に復帰する。このため、ハウジング２Ｃを皮膚から簡単に離反させることができる。
【０１０４】
この穿刺装置Ａ５においては、操作キャップ５Ｃを押圧することによってランセット１０を皮膚に突き刺した後に、さらに操作キャップ５Ｃを押圧しなければ、皮膚に作用している負圧状態を解除することができない。したがって、皮膚に作用している負圧状態が、ランセット１０を突き刺す前に誤って解除されないようにすることができる。このため、上記負圧作用を利用して皮膚を盛り上げ、かつ血行を良くした状態でランセット１０を突き刺すことが確実化される。また、ランセット１０の突き刺し操作および負圧状態の解除操作は、いずれも操作キャップ５Ｃを押圧することによって行うことができるために、それらの操作も簡単である。
【０１０５】
上記した使用例においては、ハウジング２Ｃの先端内部に負圧を発生させた後にランセット１０を皮膚に突き刺しているが、この穿刺装置Ａ５においては、これとは逆の手順にすることもできる。すなわち、まず操作キャップ５Ｃを押圧することによりランセット１０を皮膚に突き刺した後に、操作用ケーシング４Ｃを往復させることによってランセット１０が突き刺された部分に負圧を作用させることもできる。このような手順であっても、ランセット１０が突き刺された部分からの出血を負圧により促進することが可能である。このように、この穿刺装置Ａ５では、ランセット１０を皮膚に突き刺す前後のいずれの時期に負圧を発生させるかを、ユーザが任意に選択できるので便利である。また、この穿刺装置Ａ５では、負圧を発生させようとして操作用ケーシング４Ｃを往復動させるときには、ハウジング２Ｃの先端が皮膚をマッサージすることとなり、これによって皮膚の血行を一層良くすることも可能となる。
【０１０６】
この穿刺装置Ａ５においては、負圧を発生させるためのシリンダ３１Ｃがハウジング２Ｃ内に挿入されていることにより、操作キャップ５Ｃが押圧操作されたときにはこのシリンダ３１Ｃがランセットホルダ１Ｃのラッチ状態を解除するための動作に役立つようにされている。また、排気口３６や逆止弁３３Ａがプランジャ３２Ｃに設けられていることにより、これらがシリンダ３１Ｃの外部にはみ出さないようにされている。さらには、ハウジング２Ｃの先端内部から吸気口３５に到るまでの連通路は、第１および第２の押動体７１Ａ，７１Ｂの中心に設けられた貫通孔を利用して形成されている。このようなことにより、この穿刺装置Ａ５では、各構成部品がスペース効率良く、かつ合理的に組み立てられた構造となっており、全体の小型化あるいはスリム化が達成可能である。
【０１０７】
プランジャ３２Ｃのリターン用のバネ３４は、操作用ケーシング４Ｃとハウジング２Ｃとの隙間にスペース効率良く設けられており、圧力室３０内にはリターン用のバネやその他の部品が配されていない構成とされている。したがって、この穿刺装置Ａ５では、圧力室３０内にリターン用のバネなどが配されている場合と比較すると、圧力室３０の有効容積を大きくすることができ、プランジャ３２Ｃの１回の往復動作によって大きな負圧を発生させることが可能となる。このことは、同じ負圧を発生させる場合に、操作用ケーシング４Ｃおよびプランジャ３２Ｃを往復させる回数を少なくするのに役立つ。
【０１０８】
図２３および図２４は、本発明の第６の実施の形態に係る穿刺装置を示している。これらの図においては、先に説明した穿刺装置Ａ１〜Ａ５と同一または同種の部材または要素については、同一の符号を付してあり、それらのものについての重複説明は省略するものとする。
【０１０９】
穿刺装置Ａ６の操作用ケーシング４Ｃの先端部外周面には、一対の螺旋状の長孔４９が形成されている。ハウジング２Ｃのスリーブ２０ＣＢの先端部の外面部には、各長孔４９に嵌合する突起２９が設けられており、操作用ケーシング４Ｃが矢印Ｎ１，Ｎ２方向に上下動すると、スリーブ２０ＣＢは、突起２９が長孔４９の縁部と当接する作用によって矢印Ｎｆ方向に回転するように構成されている。
【０１１０】
このような構成によれば、ハウジング２Ｃの先端内部に負圧を生じさせようとして操作用ケーシング４Ｃを上下に往復動させるときに、皮膚に当接しているスリーブ２０ＣＢが同時に回転し、皮膚をマッサージする。したがって、ハウジング２Ｃ内に発生する負圧作用に加えて、このマッサージ作用によっても、出血が促進され、出血し難い部分からの採血が容易化される。
【０１１１】
図２５ないし図２７には、本発明の第７ないし第９の実施の形態に係る穿刺装置を示した。これらの図に示した穿刺装置Ａ７〜Ａ９は、ポンプ機構部３Ｅがハウジング２Ｅに横並びして設けられている。
【０１１２】
図２５に示した穿刺装置Ａ７では、シリンダ３１Ｅ側に設けられた流路６０Ｅを介してハウジング２Ｅ内と連通している。一方、図２６に示した穿刺装置Ａ８では、プランジャ３２Ｅとハウジング２Ｅとの間がチューブＣを介して連通した構成とされている。これらの穿刺装置Ａ７，Ａ８では、操作用ケーシング４Ｅの上下動に連動してプランジャ３２Ｅが移動し、圧力室３０の容積が増減する。そして、操作用ケーシング４Ｅを往復動させる回数に応じて、ハウジング２Ｅ内の負圧を調整することができる。
【０１１３】
図２７に示した穿刺装置Ａ９では、穿刺用の操作キャップ５Ｅとは別に、操作ボタン８が設けられている。プランジャ３２Ｅは、操作ボタン８を押圧することによってＮ１方向に下動し、圧力室３０の容積が減少するようになっている。この穿刺装置Ａ９においては、操作ボタン８を操作する回数に応じて、ハウジング２Ｅ内の負圧を調整することができる。
【０１１４】
本発明に係る穿刺装置は、上述した実施形態の内容に限定されず、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【０１１５】
たとえば、第１および第２の逆止弁としては、各実施形態のものとは異なる構造のものを採用することが可能であり、またこれらは複数ずつ設けられていてもよく、その具体的な個数も問わない。
【０１１６】
本発明は、ランセットホルダにランセットを保持させる穿刺装置に限らず、図２８に示したようにランセットホルダに相当する移動体１Ｆに対して、針部１０ｂを一体化させた構成に対しても適用可能である。
【０１１７】
また、図２９に示したように、ランセット１０がカバー（スリーブ）２０ＧＢに保持され、移動体としてのハンマー１Ｇの押圧力によってランセット１０(針部１０ｂ)を前進させる構成においても、本発明を適用できる。ハンマー１Ｇの移動には、先に説明したラッチ機構が採用されている。この構成では、ハンマー１Ｇのラッチ状態を解除することによってハンマー１Ｇが先端側に移動し、ランセット１０が先端側へ移動させられて皮膚に針部１０ｂが刺しこまれる。穿刺後においては、コイルバネ１７ｂの弾発力によってランセット１０が反対側に移動し、皮膚から針部１０ｂが抜き取られる。
【０１１８】
コイルバネに代えて、図３０に示したように板バネ１７ｂ′を採用し、板バネ１７ｂ′の弾発力により穿刺後にランセット１０の針部１０ｂを皮膚から抜き取るような構成であってもよい。板バネ１７ｂ′は、同図に示したようにカバー２０ＧＢとともに一体的成形されたものであってもよいし、カバー２０ＧＢとは別体として形成したものをカバー２０ＧＢに一体化させてもよい。
【０１１９】
本発明でいうポンプ機構部としては、シリンダとプランジャとを組み合わせたものに限らず、ダイヤフラム方式やその他の方式のポンプ機構を採用することもできる。本発明でいうランセットホルダ(移動体)用の動作機構は、要は、ランセットホルダ(移動体)を先端に向けて前進可能とする機構であればよく、上記実施形態とは異なる機構にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の第１の実施の形態に係る穿刺装置の断面図である。
【図２】図２は、穿刺機構を説明するための要部断面図である。
【図３】図３は、ランセットホルダおよびラッチ用係合片を示す斜視図である。
【図４】図４Ａおよび図４Ｂは、操作キャップ周りの断面図である。
【図５】図５は、図１に示した穿刺装置での減圧動作を説明するための断面図である。
【図６】図６は、図１に示した穿刺装置での減圧動作を説明するための断面図である。
【図７】図７は、図１に示した穿刺装置での穿刺動作を説明するための断面図である。
【図８】図８は、図１に示した穿刺装置での穿刺動作を説明するための断面図である。
【図９】図９は、図１に示した穿刺装置での負圧解除動作を説明するための断面図である。
【図１０】図１０Ａおよび図１０Ｂは、比較例の減圧原理を説明するための要部断面図である。
【図１１】図１１Ａ〜図１１Ｃは、吸引回数と負圧との関係を示すグラフである。
【図１２】図１２は、本発明の第２の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図１３】図１３は、本発明の第３の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図１４】図１４Ａおよび図１４Ｂは、本発明の第４の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図１５】図１５は、本発明の第５の実施の形態に係る穿刺装置を示す全体斜視図である。
【図１６】図１６は、図１５のＸVI−ＸVI線に沿う断面図である。
【図１７】図１７は、図１６のＸVII−ＸVII線に沿う断面図である。
【図１８】図１８は、図１７の要部拡大図である。
【図１９】図１９は、図１８に示した部分の動作説明図である。
【図２０】図２０Ａおよび図２０Ｂは、図１５ないし図１７に示した穿刺装置での減圧動作を説明するための断面図である。
【図２１】図２１は、図１５ないし図１７に示した穿刺装置での穿刺動作を説明するための断面図である。
【図２２】図２２は、図１５ないし図１７に示した穿刺装置での減圧解除動作を説明するための断面図である。
【図２３】図２３は、本発明の第６の実施の形態に係る穿刺装置を示す全体斜視図である。
【図２４】図２４は、図２３のＸＸIV−ＸＸIV線に沿う断面図である。
【図２５】図２５は、本発明の第７の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図２６】図２６は、本発明の第８の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図２７】図２７は、本発明の第９の実施の形態に係る穿刺装置を示す断面図である。
【図２８】図２８は、本発明の他の適用例を示す要部断面図である。
【図２９】図２９は、本発明の他の適用例を示す要部断面図である。
【図３０】図３０は、本発明の他の適用例を示す要部断面図である。
【図３１】図３１は、従来の穿刺装置を示す断面図である。

Claims

ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部は、
上記押圧部の外部に排気口を介して連通可能であるとともに上記押圧部の内部に吸気口を介して連通可能な圧力室を構成するシリンダおよびプランジャと、
上記動作機構の操作とは異なる操作により、上記プランジャおよび上記シリンダのうちの一方を他方に相対させて往復動可能とする操作機構と、
上記排気口を開閉可能に設けられており、かつ上記圧力室の容積が縮小させられるときに上記排気口を開放状態とする第１の逆止弁と、
上記吸気口を開閉可能に設けられており、かつ上記圧力室の容積が増大させられるときに上記吸気口を開放状態とする第２の逆止弁と、
を備えていることを特徴とする、負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記ポンプ機構部は、上記操作機構の往復操作回数によって上記負圧の調整が可能に構成されている、請求項１に記載の負圧発生機能を備えた穿刺装置。
上記排気口および上記第１の逆止弁は、上記シリンダに設けられている、請求項１または２に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記排気口および上記第１の逆止弁は、上記プランジャに設けられている、請求項１または２に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部による負圧発生は、上記動作機構によって上記移動体を前進させる前と後とのいずれにおいても選択的に可能とされていることを特徴とする、負圧発生機構を備えた穿刺装置。
ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動とにより容積が増減する圧力室と、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより弾発力が蓄えられるとともに、その弾発力を開放することにより上記可動部を上記第２の方向に移動させる弾発力発生部とを備えており、
上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより上記負圧を発生させるように構成されていることを特徴とする、負圧発生機能を備えた穿刺装置。
ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動により容積が増減する圧力室と、を備えており、
上記動作機構は、上記移動体に設けられた第１係合部と、上記移動体を前進方向に向けて付勢するための上記移動体前進用の弾性部と、上記第１係合部と係合し、上記ハウジング内において上記移動体をラッチさせるための第２係合部と、少なくとも一部分が上記ハウジングの外部に露出するように設けられた穿刺操作用部材と、この穿刺操作用部材が操作されたときにこの穿刺操作用部材と一体に動き、上記第１係合部と上記第２係合部との係合部分に作用して、上記移動体のラッチ状態を解除するラッチ解除用作用部と、を備えていることを特徴とする、負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記ラッチ解除用作用部は、上記穿刺操作用部材に固定されている、請求項７に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記圧力室は、シリンダおよびプランジャによって構成されており、かつ上記ハウジングの外部に排気口を介して連通可能であるとともに上記押圧部の内部に吸気口を介して連通可能であり、
上記シリンダは、上記ハウジングに相対して移動可能であり、かつ上記ラッチ解除用作用部が上記移動体のラッチ状態を解除する動作は、上記シリンダが上記ラッチ解除用作用部を直接または間接的に押圧することにより行われる構成とされている、請求項７に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記シリンダは、上記ハウジングに往復動可能に嵌入している、請求項９に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記移動体のラッチ状態が解除された後に上記穿刺操作用部材がさらに操作されたときには、上記押圧部の内部が上記ハウジングの外部に連通するように構成されている、請求項７に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記穿刺操作用部材を操作するときの抵抗は、上記移動体のラッチ状態が解除される前よりも解除後の方が大きくなるように構成されている、請求項７に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、この可動部の往復移動により容積が増減する圧力室と、を備えている一方、
上記可動部を移動させるための、上記ハウジングに対して往復動する減圧操作用部材をさらに備えており、
上記押圧部は、上記減圧操作用部材が上記ハウジングに対して往復動するときにその往復動作力によってその中心軸周りに回転するように構成されていることを特徴とする、負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記第２係合部は、上記ハウジングに固定され、かつ上記移動体とともに上記前進用の弾性部を収容するための収容空間を形成するラッチ用部材に設けられている、請求項７に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
上記移動体が前進した後に上記移動体に後退力を付与するとともに、上記移動体前進用の弾性部に対して直列配置された上記移動体後退用の弾性部をさらに備えている、請求項１４に記載の負圧発生機構を備えた穿刺装置。
ハウジングと、このハウジングに相対して移動可能に設けられ、かつ針部を前進させるための移動体と、この移動体を前進させるための動作機構と、上記ハウジングの先端部に設けられ、かつ穿刺対象部位と接触する中空の押圧部と、この押圧部の内部に負圧を作用させることが可能なポンプ機構部と、を具備している、負圧発生機構を備えた穿刺装置であって、
上記ポンプ機構部は、第１の方向およびこれとは反対の第２の方向に往復移動可能な可動部と、上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより弾発力が蓄えられるとともに、その弾発力を開放することにより上記可動部を上記第２の方向に移動させる弾発力発生部と、を有しており、かつ、
上記可動部を上記第１の方向に移動させることにより上記負圧を発生させるように構成されていることを特徴とする、負圧発生機能を備えた穿刺装置。