以下図示の本発明を利用した製本装置に基づいて本発明を詳述する。
図1(a)は、本発明を利用した製本システムの全体構成の説明図であり、図1(b)はその要部の説明図である。図2は集積トレイユニットの全体説明図であり、図6は束搬送機構部の全体説明図である。図19は表紙搬送機構の要部説明図であり、図26は糊塗布ユニットの動作説明図である。
図1に示す製本システムは、シートに順次印刷を施す画像印刷ユニットAと、この画像印刷ユニットAからのシートの搬出経路に表紙シートをインサートするインサータユニットBと、画像印刷ユニットAからのシートをページ順に積載する集積トレイユニットCと、この集積トレイユニットCからシート束を糊付部に移送する束搬送機構部ユニットDと、糊付部で糊付け処理する糊付ユニットEと、糊付け後のシート束と表紙シートとを綴合わせる綴合わせ部ユニットと、この製本部からの製本済みシートをカッティングするトリミングユニットと、最終の製本済み冊子シートを収納する収納スタックユニットから構成してある。これら各構成ユニットの機能と特徴とする構成を以下に説明する。
「画像印刷ユニット」
コンピュータ、ワードプロセッサなどのシステムに組み込まれ、一連の文書をシート上に印刷して排紙口から搬出する。レーザプリンタ、インクジェットプリンタその他の印刷手段が採用可能であり、図示の実施例に格段の特徴とする構成はなく、既に公知の種々の印刷その他、画像形成装置の構成が採用可能である。
「インサータユニット」
上述の画像印刷ユニットから搬出されたシートは製本処理のため後述の集積トレイユニットに向けて搬出される。インサータユニットはこの排紙経路に表紙シートを補給する。その為、表紙シートを供給するホッパーと、このホッパーから1枚ずつシートを繰り出す分離機構と、シートを排紙経路に搬送する搬送機構で構成される。尚、図示の実施例に格段の特徴とする構成はなく、既に公知のインサータの構成が採用可能である。
「集積トレイユニット」
集積トレイユニットは、前記画像印刷ユニットの排紙口から順次搬出されるシートをページ順に上下に積み上げて束状に部揃いする。この為、排紙口の下方に配置され、シートを順次積層するトレイ手段で構成される。そしてこのトレイ手段にはシートの端縁を突当て規制する後端規制部材と、この後端規制部材にシートを送る正逆転ローラなどの補助搬送手段と、シートの幅方向左右をサイド基準或いはセンター基準で幅寄せする整合手段が備えられる。
そこで図示実施例の装置は第1に、トレイの一部(可動トレイ)を搬送方向に伸縮移動自在に構成してあり、シートの搬送方向長さ信号によってシート先端を支持する位置を前後方向に変更することを特徴としている。これによってシートの長さサイズに拘わらず安定して位置ズレなくシートを支持するのと同時にシートの腰付け湾曲部の位置を調節することが可能となりシートを正確な位置に整合することが可能となる。
第2に、トレイが集積位置と次工程の処理位置に向けてシート束を搬送する働きを兼用したことを特徴としている。詳細にはシートを積載する積載位置とシートを次工程に搬出する搬出位置との間で上下昇降自在にしてあり、これによってシート束の搬送機構の簡素化と装置の小型化を図っている。
「束搬送機構部ユニット」
束搬送機構部ユニットは、上述の集積トレイユニットで束状に重ね合わせられたシートを整合手段で正しい姿勢に整え、次工程の後処理位置に搬送する。この束搬送は略々水平姿勢のトレイから糊付けなどの後処理のため略々垂直姿勢に旋回して偏向され後処理位置に移送する。そして、図示実施例の装置は、集積トレイから次工程の後処理位置にシート束を第1のグリップ搬送手段と第2のグリップ搬送手段で移送することを特徴としている。
これと同時に、トレイ手段は上記第1のグリップ搬送手段と協働してシートを積載する積載位置から所定量距離を隔てた下方のシート搬出位置に降下移動させて、その後第2のグリップ搬送手段にシート束を移送するようにしている。そこで第2のグリップ搬送手段はシート束を所定角度旋回させて略々垂直姿勢で後処理位置に移送するが、このときトレイ手段を所定量下側に降下させて、第2のグリップ搬送手段に引き渡した後、このグリップ搬送手段を旋回するためシートを旋回するエリア(シートの旋回軌跡)を確保するための排紙経路を必要以上に装置上方に配置する必要がなく装置レイアウトのコンパクト化が可能である。
また、図示実施例の装置は、第2のグリップ搬送手段でシート束を後処理位置に移送する際に、後処理位置にシート束の処理端縁を突き当て規制する規制部材を設け、この規制部材にシート束の処理端縁を突き当ててシート束の姿勢を後処理の基準位置に位置合わせするようにしている。これによってシート束の搬送過程でシートの束姿勢に位置ずれが生じても処理部で姿勢が矯正され正しい後処理が可能となる。
「糊付ユニット」
糊付ユニットは、束状に集積したシート束の背部に相当するシート端縁に糊などの接着剤を塗布する。この場合、シート束の姿勢は垂直方向に倒立した姿勢であることが要求される。そして、図示実施例の装置は、糊付ユニットEの糊トレイをシート束の移動経路から側方に退避させることが出来、糊付け後のシート束を直線経路で送るように構成したことを特徴としている。また、この糊付ユニットを退避させた状態でシート束の処理端縁を突当て規制する基準部材を配置し、これによって、シート束の搬送パスを複雑に構成する必要がなくなる。これと同時に糊付ユニットはシート束の処理端(背部)に接着糊を塗布するローラと、このローラに糊を供給するトレイを小型に形成してローラと共にトレイが移動する構成により糊付けユニットのコンパクト化を図っている。
「綴合わせ部ユニット」
綴合わせ部ユニットは、糊付けされたシート束を上述のインサータから給送された表紙シートの中央部に位置合わせして接合し、この状態で表紙シートを折り畳んでシート束をくるみ綴じする。従って、上述の糊付ユニットはシート束の搬送経路から退避し、この経路と略々直交する経路から表紙シートを給送する。このシートの中央部でセンターラインに沿って垂直姿勢のシート束の糊付けされた端面を突き合わせて両者を逆T字状に接合し、その後、折りローラで表紙シートでシート束をくるむように折り曲げる。図示実施例の装置は、表紙シートと内部のシート束とを背表紙部と肩部を綺麗にプレスするバックアップ部材と背折りブロックを設けたことを特徴としている。
「トリミングユニット」
トリミングユニットは、上述の表装されたシート束の糊付け背部以外のシート端縁をカットすることによって、製本を完成させる。この為シート束を旋回可能にグリップ手段で保持し、順次カッター部材で側縁をカットする。尚、図示の実施例に特徴とする構成はなく、既に公知のカッティング機構が採用可能である。
「収納スタックユニット」
上述のように冊子状に製本されたシート束を収納スタックする。尚、図示の実施例に格段の特徴とする構成はなく、既に公知のスタック装置が採用可能である。
以下、上記各ユニットの構成を説明する。
「画像印刷ユニットA」
画像印刷ユニットAは図1に示すように、静電ドラムなどの印刷ドラム101と、この印刷ドラム101にシートを供給する給紙カセット102と、印刷ドラム101に画像を形成するレーザなどの印刷ヘッド103と、現像器104と定着器105とから構成されている。そして給紙カセット102から給紙経路106にシートを供給する。この給紙経路106には印刷ドラム101が配置され、この印刷ドラム101には印刷ヘッド103で潜画像が形成され現像器104でトナーインクが付着してある。そして印刷ドラム101上に形成されたトナー像をシート上に転写し定着器105で定着した後、排紙口107から排出する。
図示108は反転経路で片面に画像印刷されたシートを表裏反転して再び印刷ドラム101に導きシートの裏面側に印刷するデュープレックスパスである。また図示109は大容量カセットであり、汎用のシートを大量に供給するユニットであり、シートホッパー110はシートの残量に応じて上下に昇降するようになっている。図示120は原稿供給装置であり、オリジナル原稿が書類(ドキュメント)データであるとき、原稿をスタッカ上にセットし、順次1枚ずつ読取部に供給して原画像を光電変換して前述の印刷ヘッド103のデータ貯蔵部に供給する。一方、このデータ貯蔵部には、コンピュータ、ワードプロセッサなどのオリジナルが電子データである外部機器に接続され、これらのプロセッサから原稿データの供給を受ける。尚、図示の画像印刷ユニットAはレーザプリンタを示したが、本発明はこれに限らず、インクジェットプリンタ、シルク印刷、オフセット印刷など種々の印刷方式が採用可能である。
「インサータユニットB」
画像印刷ユニットAの排紙口107には順次画像形成済みのシートが搬出され、通常はこの排紙口107に排紙スタッカが準備される。本発明はこの排紙口107に後述する製本装置としてのシート搬入経路501が連結され、このシート搬入経路501にインサータユニットBが取付けられる。インサータユニットBはシートをスタックする1段若しくは複数段、図示のものは2段のスタックトレイ201と、このスタックトレイ201上のシートを1枚ずつ分離するピックアップ手段202と、このピックアップ手段202からのシートをシート搬入経路501に案内する給紙経路203とから構成される。
そしてスタックトレイ201上にセットされたシートは画像印刷ユニットAの排紙口107から順次搬出されるシートの間にシート搬入経路501に供給される。つまり画像印刷ユニットAから一連のシートが画像形成されて搬出された後、この最終シートの後にスタックトレイ201からシートが供給される。従ってスタックトレイ201には表紙シートとして厚紙或いはコーティング紙などの特殊シートが準備され、後述する製本装置からの制御信号でスタックトレイ201上のシートはシート搬入経路501に搬入される。またスタックトレイ201を2段設けたのは、種類の異なる表紙シートを予めスタッカに準備出来るようにしたものであり、選択された1つのスタッカから表紙シートが供給される。
「集積トレイユニットC」
前述のシート搬入経路501は図1に示すように装置中央を横断するパスで構成され、その先端には排紙スタッカユニット502が連結され、画像印刷ユニットAからのシートに製本処理を施さない場合はこの排紙スタッカユニット502に導いて収納する。
そこでシート搬入経路501の上方には画像形成された一連のシートを束状に集積する集積トレイユニットCと、この集積トレイユニットCからのシートを糊付ユニットE位置に搬送する束搬送機構部ユニットDとが配置されている。シート搬入経路501には装置上方に分岐する排紙経路301が設けられ、この排紙経路301はシート搬入経路501の上方で略々水平姿勢でシートを排出するように構成され、紙送りローラ302、シートセンサ303などが配置されている。
この排紙経路301の排紙口304には所定の段差を形成してその下方にトレイ手段305が設けられ排紙口304からのシートを積載支持する。トレイ手段305は装置フレームFに固定して配置しても良いが、図示のものは次の構成にしてある。
まずこのトレイ手段305は所定のシートを積載した後、その束状シートと伴に次工程の処理位置の方向に移動する構成にする。図示のものはシートを積載する積載位置(以下上昇位置という)とこの積載位置より所定量下側の降下位置(以下降下位置という)との間で昇降自在に構成する。このようにトレイ手段305を移動自在に構成したのは積載したシート束を荷崩れ状態に乱すことなく搬送する為と、その搬送機構をコンパクトに構成する為である。そこでトレイ手段305は出来るだけ小型で軽量であることが好ましく、図示のものはシートの搬送方向長さよりトレイ部材の長さを短かくシート先端がトレイ外部に垂下するように設定してある。
次にトレイ手段305には後述する整合手段314が設けられ、シートの幅方向(図1表裏方向)を幅寄せ整合するが、この幅寄せの際にシートを搬送方向に屈曲するように湾曲させる必要がある。この為トレイ手段305は固定支持部305aと可動支持部305bとで構成し、この可動支持部305bにはシートサイズに応じて可動支持部305bを最適位置に移動する駆動モータM1が備えられている。
図2に示すようにトレイ手段305は装置フレームFに上下昇降自在に取付けられるが、その昇降構造は後述する。トレイ手段305は固定支持部305aと可動支持部305bで構成され、板部材306に構成される。排紙口304の下方に板部材306が配置され、この板部材306には排紙方向上流側(シート後端側)にシートを載置支持する固定支持部305aが形成され、その上流側には段差部307(図3参照)が設けられ、この段差部307にレバー状の可動支持板が配置され、この可動支持板で可動支持部305bが形成してある。板部材306には櫛歯状のスリット溝308が形成してあり、この溝に可動支持部305bに形成した突起308bが嵌合してあり、このスリット溝308と突起308bは可動支持部305bを排紙方向前後に移動自在に構成している。そしてこの可動支持部305bは図3に示すように板部材306の背面(シートを支持する面の裏面側)側に設けたラック309とトレイ部材306に設けたピニオン310が噛合してあり、ピニオン310には駆動モータM1が連結してある。
つまり可動支持部305bは固定支持部305aに排紙方向に沿って摺動自在に支持され、ラック309、ピニオン310及び駆動モータM1から構成される駆動手段によって可動支持部305bは排紙方向に移動自在となっている。
上記構成のトレイ手段305は少なくともその固定支持部305a側が図示のように傾斜配置され、またトレイ手段305にはシートの後端を突き当て規制する第1の規制手段311が配置されている。この第1の規制手段311はトレイ上に一体に突起壁を設けても良いが、図示のものはこのトレイを上下昇降するように可動な構成としている関係で移動によるガタつきなどの位置ズレを防止する為トレイ部材とは分離した断面逆L字状の規制部材311で構成している。
またトレイ部材の上方には排紙口304からのシートを案内するガイド部材312が設けてある。このガイド部材312は排紙口からのシートがトレイに沿って搬出されるように排紙口304の上方に位置してシートが飛散しないようにガイドするのと、後述する正逆転ローラでシートを第1の規制手段311に移送する際にシートを案内する板状部材で構成する。
適宜形状の板状部材から成るガイド部材312は基端を回転軸313に支持され、この回転軸313には図示しないステッピングモータが連結され、このモータのステップ制御でガイド部材312はトレイ上方に退避した位置と、排紙口上方に位置して排紙口からシートをトレイ上に案内する位置と、トレイ上のシートを第1の規制手段311に導く位置との間で移動制御される。
ガイド部材312の下流側には正逆転ローラ113が上下昇降自在に配置されている。この正逆転ローラ113は補助搬送手段として排紙口304からトレイ(固定支持部)上に進入するシートを接する位置で排紙方向(正回転方向)に回転し、シート後端が排紙口304から離脱した見込み時間の後、逆方向(逆転方向)に回転してシート先端を第1の規制手段311に向けて移送する。この為正逆転ローラ113はその回転軸を揺動自在のアーム部材(ブラケット)に軸支され、正逆転モータに連結されている。そしてこのアーム部材はワンウェイクラッチなどを介してモータの回転方向でシートから退避したトレイ上方に退避するように構成されている。
上述のトレイ手段305にはシートサイドを幅寄せ規制する整合手段314と押圧手段320が配置される。整合手段314は排紙方向と直交するシートの側縁を基準位置に位置決めする左右一対の整合部材315a、315bで構成される。その構造は、センター基準として左右の整合部材を同一量シートセンタに向けて幅寄せ移動するものと、片側基準として一方の整合部材を固定し反対側の整合部材を所定量幅寄せ移動するものが知られ、その構造は周知であるのでその概略をまとめる。
図4に示すように左右一対の整合部材315a、315bは装置フレームFに固定された軸に摺動自在に片持ち支持され、トレイ手段305を構成する固定支持部305aと可動支持部305bとの境界部に配置されている。このときシートは先端側が可動支持部305bからトレイ外部に突き当たって垂れ下がり、シートは全体として湾曲し、この湾曲部に左右の整合部材315a、315bが位置するような配置になっている。そこで一対の整合部材315a、315bにはラック316a、316bが設けられそれぞれにモータM2aのピニオンとモータM2bのピニオンが連結してある。このモータM2はステッピングモータで構成され、相反方向に回転することによって整合部材315a、315bはシートセンタを基準に同一量接近及び離反する。またこのモータM2はシートの幅サイズに応じて予め設定されたスタートポジションに整合部材315a、315bを移動する。
更にトレイ手段305にはシート押圧手段320が配置される。このシート押圧手段(以下押圧手段という)320はトレイ上に進入したシートの先端部を押圧して前述の可動支持部305bによるシートの湾曲を強制し、同時に整合手段304で整合したシートが位置ズレを起こさないように作用する。
通常この押圧手段320はトレイ上方にタラップ状に垂下するウェイト片で構成すれば良いが、図示のものは可動支持部305bがシートサイズに応じてその位置を移動するように構成した関係でこの押圧部材320もシートサイズに応じ移動するように構成する。
図4に示すようにシートの排紙方向に沿って一対のガイド軸321が装置フレームFに取付けてあり、このガイド軸321にスライド部材322が摺動自在に嵌合支持してあり、このスライド部材322に適宜複数の押圧片323がトレイ上のシートを押下するように配置してある。尚スライド部材322の駆動機構は図示しないがスライド部材322側にラックを設け、このラックに装置フレーム側に固定した駆動モータをピニオンを介して直結すれば良い。また装置フレームに設けた一対のプーリ、ワイヤ、ベルトなどを懸架し、このワイヤ或いはベルトにスライド部材322を固定する構造であっても良い。
尚、トレイ手段305には固定支持部305aの左右にウィング状の補助トレイ305cが設けられ、固定支持部305aから外部に突出したシートサイド(両側縁)を支持する。これはシートの幅サイズよりトレイ手段305を構成する固定支持部305aを小さく(狭く)構成してシート耳部がトレイ外部に突出する構成し、この耳部を後述するグリップ手段が把持出来るようにする為である。
つまり図5に示すようにトレイ手段305は固定支持部305aの排紙方向後端側に左右一対のウィング状の補助トレイ305cが、先端側に可動支持部305bが図示のように配置され、シートの幅方向全長を補助トレイ305cと可動支持部305bが支持し、中央一部を固定支持部305aが支持するようになっている。
「束搬送機構部ユニット」
上述のトレイ手段305には排紙経路301から順次画像形成されたシートが積み上げられ、第1の規制手段311と左右一対の整合部材315a、315bによってトレイ上の所定位置に整列される。そこでトレイ上のシート束を後続する後処理位置に搬出する。
図示実施例のものは、トレイ手段305をシートを積載する上昇位置から所定量降下した搬出位置に移動する。このトレイ手段305のエレベータ構造について説明する。
前述のトレイ手段305を構成する固定支持部305aは図6に示すような板部材306で構成され、この固定支持部305aにレバー形状の可動支持部305bが矢視排紙方向に移動自在に取付けられ、前記補助トレイ305cはブラケット330が固定支持部の背面(裏面)に固定してあり、このブラケット330に軸331が回転自在に支持され、この軸331に補助トレイ305cが一体に取付けてある。そして軸331の他端には扇形ギア338が固定してある。
このように構成された固定支持部(以下トレイ組332と称す)は、左右一対のガイド軸333で装置フレームFに摺動自在に嵌合支持されている。従ってトレイ組332は装置フレームFに図6上下方向に摺動自在に支持されている。そこで装置フレームFには昇降モータM3が取付けられ駆動軸334の先端に駆動ギア335が連結してあり、この駆動ギア335はトレイ組332に取付けたラック336に噛合してある。
従って、昇降モータM3を回転すると駆動ギア335が回転しラック336を上方若しくは下方に移動し、トレイ組332を上昇若しくは下降させる。図示位置で駆動ギア335の時計方向回転でトレイ組332は下方に降下し、反時計方向回転で上昇移動する。また装置フレームFにはラック337が左右一対に設けてあり、このラック337が扇形ギア338に噛合してあり、トレイ組332の上下動作に連動して軸331を回転し補助トレイ305cを回転する。
図示姿勢からトレイ組332が下降すると扇形ギア338は時計方向に回転し補助トレイ305cは時計方向に回転して積載したシートから離れるようになっている。尚図示しないがこのトレイ組332には上限位置と下降位置にそれぞれリミットスイッチが配置され、駆動モータM3の制御部に位置信号を伝達する。
このトレイ組332の上昇位置は図1に示すようにシートを排紙経路301から積載する位置に、また下限位置はトレイ上のシート束を後述するグリップ搬送手段に引き渡す搬出位置に設定してある。尚図示337はスプリングである。そこでトレイ組332の搬出位置への降下と同時にトレイ上のシート束を把持するグリップ搬送手段(以下第1グリップ搬送手段という)401が設けられている。
この第1グリップ搬送手段401は前記補助トレイ305c位置のシート束耳部を把持するように補助トレイ305cが先に説明した退避位置に移動した後シート両側端部を把持するように次の構成を備えている。図2に示すように装置フレームFを構成する左右の側枠F1、F2には図示水平方向のガイドレール408が左右対向する
ガイドレール408が左右対向する位置に配置してあり、このガイドレール408に沿って、移動自在に側枠フレーム409が嵌合支持してある。この側枠フレーム409は左右枠と底枠を一体化したフレーム構造でその全体がガイドレール408に沿って図2左右方向に移動自在に支持されている。そして側枠フレーム409には垂直方向に昇降する可動枠410が図示上下方向に移動可能に案内支持してあり、この可動枠410にはラック411が一体に形成してある。そしてこのラック411に側枠フレーム409に固定した駆動モータM8が噛合している。従って装置フレームF1、F2に側枠フレーム409が水平方向のガイドレール408で移動可能に取付けられている。
この側枠フレーム409はこのフレーム409に搭載した駆動モータM9とこれに連結したピニオン411(図18参照)が装置フレームF1、F2にガイドレール408と平行配置したラック412に噛合してあり、駆動モータM9の回転で側枠フレーム409はガイドレール408に沿って水平方向に移動する。また、側枠フレーム409には可動枠410が垂直(図2上下方向)方向に移動可能に取付けられ、側枠フレーム409に設けた駆動モータM8で垂直方向に移動する。
そこでこの可動枠410に左右一対のクランプ支持枠402が取付けられ、このクランプ支持枠402に上クランパ403と下クランパ404が取付けられている。まず左右のクランプ支持枠402は可動枠410に図2左右方向に移動自在に支持され、図示ラック413とピニオン414及びこのピニオンに連結した駆動モータM10で左右の支持枠402が互いに接近及び離反するようになっている。その構造は良く知られているので、図示しないが例えばシャーシ状に構成した可動枠の底板に左右のクランプ支持枠402を摺動自在にガイドレールで案内支持し、このクランプ支持枠402にラック413を設け、このラック413を可動枠410に設けたピニオン414と駆動モータM10に連結する。このときピニオン414の回転に対し左右のクランプ支持枠402は反対方向に移動するように噛合する。
そして各クランプ支持枠402には上下クランパが取付けられている。上クランパ403はゴムなどの弾性パッドをクランプ支持枠402に一体に取付けてあり、トレイ組332上のシート束に対し可動枠410の駆動モータM8によって係合及び離反するように上下動自在に構成される。
一方、下クランパ404はクランプ支持枠402に摺動自在に取付けたプランジャ405に取付けられ、ゴムなどの弾性パッドで構成されている。そしてこのプランジャ405は内部に弾圧スプリングを内蔵し、クランプ支持枠402に図示上下方向に移動自在に取付けられ、ラック406を一体に備えている。このラック406にはピニオン407が噛合し、このピニオン407には伝動軸415を介して駆動モータM4が連結してある。尚伝動軸415にはピニオン407が軸方向に移動自在に嵌合してあり、クランプ支持枠402が図2左右方向に移動するとピニオン407も伝動軸415に沿って移動するようになっている。
従って、駆動モータM10を制御して左右の支持枠402を接近及び離反することによって上下のクランパはトレイ組332上のシート耳部と係合する位置に移動し、前記駆動モータM8を回転駆動することによって上クランパ403がシート束の上面と係合し、駆動モータM4を回転駆動することによって下クランパ404がシート束下面と係合する。更にこの上下のクランパはシート束を把持した状態で駆動モータM9を回転することによってシート束を図2右方向に水平移動することとなる。
このようにトレイ組332は積載位置(上昇位置)から搬出位置(下降位置)に移動降下し、これと同時に第1グリップ搬送手段401はトレイ上のシート束を上クランパ403と下クランパ404とで把持した状態でトレイ組332と一緒に降下する。この搬出位置でシート束は第1グリップ搬送手段401から第2グリップ搬送手段420に引き継がれる。
この第2グリップ搬送手段420は、第1グリップ搬送手段401から略々水平姿勢で受取ったシート束を90度旋廻させて垂直姿勢に偏向し、次いで次工程の処理位置に移動する。この為、第2グリップ搬送手段420は図7に示すようにトレイ組322に隣接する位置で装置フレームの左右側枠F1、F2に設けられ、メインクランパ421とサブクランパ422とから構成される。メインクランパ421はトレイ組322から送り出されたシート束の端縁の全長を把持するように上クランパ421aと下クランパ421bとから構成され、サブクランパ422はシート束をメインクランパ421に案内し、同時にシート束の中央部を把持するように上下クランパ422a、422bで構成されメインクランパ421に回動自在に支持されている。
そこでメインクランパ421とサブクランパ422とは装置フレームF1、F2に旋廻動自在に取付けられ、シート束を把持した後旋廻して垂直姿勢に偏向する。図8は第2グリップ搬送手段420のユニット構造を示し、左右の側枠423a、423bが装置フレームF1、F2に回転軸424で回転自在に取付けられ、左右の側枠には扇形ギア425が一体に固定してある。一方装置フレームF1、F2には旋廻モータM5とこれに連結したピニオン426が扇形ギア425に噛合してあり、モータM5の回転で左右側枠は回転軸424を中心に回転する。図示427は復帰スプリングである。
この左右側枠423a、423bには図8上下方向にガイドレール428が左右一対設けてあり、このガイドレール428に可動側枠429が摺動自在に嵌合してある。そして可動側枠429にメインクランパ421とサブクランパ422が取付けてある。メインクランパ421を構成する固定クランパ421aは左右の可動側枠429に固定され、可動クランパ421bは軸受430に嵌合したロッド431に取付けてある。このロッド431にはラック432が設けてあり駆動モータM6に連結したピニオン433が噛合してある。
また上記可動側枠429は図8、9において破断線で切欠いてあるがこれは説明上の図示であり、実際には図示ラック434が一体に形成してあり、このラック434には固定側枠423に取付けた駆動モータM7のピニオン435が噛合してある。従って固定側枠423で装置フレームFに回動自在に取付けたクランパユニットはその可動側枠429が駆動モータM7によって図示上下方向に移動自在となり、この側枠429に固定クランパ421aと可動クランパ421bが取付けられている。
図8はメインクランパ421の構造と、図9は要部の拡大図、図10(a)は矢視方向を上に前記第1グリップ搬送手段401から水平方向のシート束を受取る状態の説明図であり、図10(b)は矢視方向を上に回転軸424を中心に90度旋廻しシート束を垂直姿勢に偏向した状態の説明図である。
次にサブクランパ422の構成について説明する。前記図10(a)に示す第1グリップ搬送手段401からシート束を受取る状態において、固定クランパ421aには下側サブクランパ422aが、また可動クランパ421bには上側サブクランパ422bが次のように取付けられている。
図11に示すようにこのサブクランパ422aは第1グリップ搬送手段401からのシート束をメインクランパ421に案内するガイドプレート形状で同時にシート束の中央部を把持するように構成される。この上下のサブクランパの取付構造は同一であり、図示の上側サブクランパ422bについて説明する。可動クランパ421bにはブラケット450が取付けられ、このブラケット450に軸支持した軸451に取付座452を介して上側クランパ422bが取付けられ、下側クランパ422aも同様に固定クランパ421aに軸で回転自在に取付けられている。
そして取付軸451と取付座452との間には蓄勢スプリング453が介在させてあり、図12に示すように軸451を中心にサブクランパ422bは姿勢を保持するスプリング454、455が図示のように設けてある。従ってサブクランパ422bは軸451を挟んで左右に位置するスプリング454、455によって図示の姿勢に維持され、更にロック爪456が設けてある。
このロック爪456はサブクランパ422b側に設けられ、メインクランパ421b側のブラケット450に形成した係合溝457に係脱自在に構成され、係合した状態でサブクランパ422が軸451廻りに回転するのを阻止する。図示458はクランプ状態の検知センサである。
そこでメインクランパ421を前述の駆動モータM6で可動クランパ421bをシート束を把持する方向に移動するとサブクランパ422aと422bとが互いに接近し、シート束と係合する。シート束を挟んだ後は蓄勢スプリング453に蓄力しながらメインクランパ421は更に接近する。このときロック解除片459がロック爪456を解除する。これによってロック爪456は係合溝457から離脱し、サブクランパ422aと422bは軸451を中心に回動自在となる。これと相前後してメインクランパ421がシート束を挟持する。
つまり図示実施例のものは、メインクランパ421にサブクランパ422aと422bを回動自在に取付け、同時にサブクランパ422aと422bはメインクランパ421にシート束を案内するガイドプレートの機能を備え、シート束がメインクランパに挟持されるまではサブクランパ422aと422bはロック爪によって回動を阻止し、メインクランパ421に挟持された後はサブクランパ422aは回動自在となるように構成されている。尚、サブクランパ422aを回動自在にしたのは次工程で後述するシート東の偏り姿勢を矯正する為である。
またメインクランパ421とサブクランパ422aと422bとをそれぞれ個別の駆動手段でクランプ動作を行わせることなくメインクランパ421のクランプ動作でサブクランパ422aと422bのクランプ動作を実行するようにしている。その為の構造は互いに接近及び離反自在のメインクランパ421に蓄勢スプリング453を介してサブクランパ422aと422bをそれぞれに取付け、メインクランパ421の接近動作でまずサブクランパ422aと422bがシート束をニップし、そのニップ後は蓄勢スプリング453の作用で蓄勢しながらメインクランパ421がシート束を把持する。
逆に解除動作はまずメインクランパ421がシート束から離脱し、次いでサブクランパ422aと422bがシート束から離脱する。そしてシート束をメインクランパ421が解除、サブクランパ422aと422bが把持する状態ではシート束はサブクランパ422aと422bがと伴に軸451を中心に回動自在となる。またシート束をサブクランパ422aと422bと同時にメインクランパ421が把持するときにはシート束は回転することなくその姿勢を維持する。またメインクランパ421には図7に示す位置決め部材436がクランパを構成する部材と一体の突起で構成してありその構造を作用と共に説明する。
図15に動作状態を示し、(a)と(e)が同一態様を示し、(b)と(f)、(c)と(g)、(d)と(h)がそれぞれ同一の態様を示している。(a)及び(e)は第1グリップ搬送手段401からメインクランパ421及びサブクランパ422にシートを引渡し、前記駆動モータM6で可動クランパ421bを作動してシート束Sを把持した状態であり、このときシート束Sが若干傾いて把持された場合を示す。
この(a)の状態でシート束Sはメインクランパ421及びサブクランパ422両者に把持され、第1グリップ搬送手段401から略水平方向姿勢で受取ったシート束を略90度旋回して垂直姿勢に偏向した状態である。
次に(b)及び(f)は駆動モータM6を駆動して各クランパを第1の把持位置から若干緩めた第2の把持状態にした状態であり、このときメインクランパ421はシート束から非係合の解除位置、サブクランパ422はシート束を把持した作動位置にある。従ってシート束Sはメインクランパ421から分離し、前記スプリング454、455に支持され、その自重で下方の処理位置に接近した状態にある。
次いで(c)、(g)は駆動モータM7(図8参照)を駆動してシート束を処理位置に移送した状態を示す。このとき処理位置にはシート束の端縁を突当て規制する基準部材437が設けられている。従ってシート束Sはその処理端縁を基準部材437に突当てた状態で傾き姿勢が矯正される。またメインクランパ421は位置決め部材436がこの基準部材437に突き当たった状態で駆動モータM7が停止する。この駆動モータM7の制御はメインクランパ421が基準部材437に突き当たった状態をセンサで検出し、その信号でモータを停止すれば良い。
次に(d)、(h)はシート束Sとメインクランパ421が基準部材に突き当たった状態であり、このとき駆動モータM6を把持方向に回転して可動クランパがシート束を把持する状態にする。従ってこの(d)の状態でシート束はメインクランパ421とサブクランパ422に確実に把持されその姿勢が保持される。次いで駆動モータM7を先と逆方向に回転駆動してシート束を上方向に移動し、(a)の状態に戻し、次工程の処理に備える。
次に上記各ユニットの動作について図16のS1乃至S11に示す状態図に基づいて説明する。S1は排紙経路107からシートをトレイ手段305に搬出し、束状に積重ねる状態を示す。まず製本システムのジョブ信号を得て、インサータユニットBは搬出されるシートのサイズを認識する。このシートサイズの認識は画像印刷ユニットAから画像形成されたシートのサイズ信号を受信するか、或いは排紙経路107中にサイズ検出センサを配置し、このセンサで検出するか、若しくはオペレーションパネルからオペレータが用紙サイズを入力するかいずれかの方法を採用する。そしてシートの排紙方向長さを基準にサイズを識別し、駆動モータM1を制御して可動支持部305bを所定の位置に移動しその位置に停止する。また押圧片323も同様に図示しない駆動モータを制御して押圧片323を所定の位置に移動する。
この可動支持部305bと押圧片323はシート先端部がトレイ外部に垂下して湾曲するシート形状が、整合手段314でシートを幅寄せする動作が確実に実行され、同時に回転軸313がシート先端を第1の規制部材311に移送する動作が確実に実行できる位置に予め設定してある。
そこで給紙経路203からシートSが搬出され、このときガイド部材312は排紙口304の上方に位置してシートを固定支持部305aに案内し、回転軸313はトレイ上方に待機し整合部材315a、315bはシートの幅方向外側に待機している。そしてS2の状態にシートがトレイ上に進入すると、まず回転軸313がトレイ上のシートと接する位置に降下し、時計方向に回転してシートの進入を補助する。S3の状態にシート後端がトレイ上に進入すると回転軸313は上昇し、ガイド部材312は図示のトレイに上に沿ってシートを案内する位置に移動する。
次いで回転軸313がS4の状態にトレイ上のシートと接する位置に降下し、この回転軸313は反時計方向に逆転し、シート後端(図示右端)を第1規制手段に向けて移動し、ガイド部材312はこれを案内する。図示S5の状態にシート先端が第1規制手段に到達する見込み時間の後、回転軸313は停止し、S6の状態にまずガイド部材312がトレイ上方に退避し、次いでS7の状態に回転軸313が上方に退避する。
この状態でシートはトレイの固定支持部305a及び可動支持部305bに支持され押圧片323で押圧される以外フリーな状態に置かれる。この図示S7の状態で左右の整合部材315a、315bは駆動モータM2a、M2bによってS8の待機位置からS9のシート側縁と係合してセンターラインを基準にシートを幅寄せ移動する。整合部材315a、315bはS10のシートを幅寄せ移動した状態から矢印方向に移動しS11の待機位置に復帰する。
この図示S1からS11の動作を繰返すことによってシートは排紙口304からトレイ手段上に積重ねて集積される。この時束状のシートは個々に第1の規制部材311に後端を、左右の整合部材315a、315bに左右両サイドを位置決め規制され整然と積み上げられる。このようにして一連のシートが、ページ順に集積され、画像印刷ユニットAからエンド信号を受信して集積工程を終える。
次いでインサータユニットBは束搬送機構ユニットによってシート束を次工程に搬出する。図17のT1乃至T4は第1グリップ搬送手段401の動作を示し、トレイ手段305上のシート両端部に位置する左右の上部クランパ403と下部クランパ404がともにシートサイズに適合する位置に駆動モータM10とラック413によって移動する。次いでシート上面に位置するクランパ403がT2の状態に駆動モータで移動しT3の状態にシート上面に当接する。これと相前後して駆動モータM4がラック406を上方に移動し、シート下面に位置するクランパ404を上昇しシート下面と当接する。尚この時トレイ組332は、駆動モータM3で下降し、扇形ギア338の作用で補助トレイ305cはシートから退避した位置に移動し、クランパ404の把持動作と干渉しないように配慮してある。
次に図17のT5乃至T8はトレイ組332の昇降動作を示し、T5はシートを積載収納した状態を示し、トレイ組332は上昇位置に、T6は下降位置でシート束の搬出位置にある。前記駆動モータM3の回転で回転軸334を図6時計方向に回転するとトレイ組332は上昇位置(T5の状態)から搬出位置(T6の状態)に移動降下する。このトレイ組の降下と連動してウィング状の補助トレイ305cは扇形ギア338の回転で図6時計方向に回転しシート束から離れた位置に移動する。この補助トレイ305cの移動後、第1グリップ搬送手段401は前述のT1からT4の動作を実行し、シート束を把持した後、前述の駆動モータM1の回転でトレイ組332と同期して同一速度でT5位置(上昇位置)からT6位置(搬出位置)に降下する。
T6位置には第2グリップ搬送手段420が、メインクランパ421とサブクランパ422で構成され待機している。第1グリップ搬送手段401はT6位置から図示矢印方向に移動し、トレイ組332上のシート束を第2グリッブ搬送手段420に向かって搬出する。この第1グリップ搬送手段401は、ガイドレール408に沿ってチャンネル状ガイドレール402が案内されラック434に噛合する駆動モータM1によって移動する。
次いでトレイ組332からシート束が搬出されたT7の状態で第1グリップ搬送手段401は停止し、トレイ組332は駆動モータM3の逆方向回転で上昇位置に向かって上昇を開始する。これと同時に第2グリップ搬送手段420は駆動モータM6(図10(a)参照)を回転して可動クランパ421bを対向する固定クランパ421a側に移動する。
そしてT8に示すようにトレイ組332は上昇位置に復帰し、シート束は第2グリップ搬送手段420に把持され、また第1グリップ搬送手段401は図示矢印方向に復帰動作を開始する。この復帰動作は第2グリップ搬送手段420と同時にシート束を把持した図T9の状態から下クランパ404が下降してシート面から離れ、(T10の状態)、次いでT11の状態に上クランパが上昇してシート面から離れ、T12の初期状態に移動する。
この各クランパの解除動作と同時に第1グリップ搬送手段401は図T8の状態からT13の状態に水平方向に復帰し、次いでT14の状態に垂直方向に復帰する。
この第1グリップ搬送手段401の復帰動作と併行して第2グリップ搬送手段420は駆動モータM5を図10(a)の状態で時計方向に回転する。すると第2グリップ搬送手段420はシート束をT13の状態(水平姿勢)からT14の垂直姿勢に旋回する。このシート束を垂直姿勢に旋回したT15の状態でシート端縁に糊付け処理を施す後処理位置には基準部材437が設けてある。
そこで第2グリップ搬送手段420の駆動モータM6をグリップ解除方向に回転して可動クランパ421bを固定クランパ421aから引き渡す。この可動クランパ421bの解除はシート束からメインクランパ421が離れ、サブクランパ422a、422bはシート束を把持した状態にする。するとT6の状態にシート束はメインクランパ421が非係合でサブクランパ422a、422bで把持され、図12で説明したスプリング454、455の作用下で若干落下する。
次いで駆動モータM7を回転して図9に示す可動側枠429を所定量降下する。この第2グリップ搬送手段420がT17の状態に降下するとシート束は基準部材437に突き当たる。このサブクランパ422a、422bで把持された状態で基準部材437に突き当てられたシート束はサブクランパ422a、422bが軸451で回転自在に構成されている為スキューなどの傾きが矯正される。この第2グリップ搬送手段420はこのスキュー修正の後、前記駆動モータM6をグリップ方向に回転しメインクランパ421でシート束を把持する。このメインクランパ421の動作でシート束は回転することなくその姿勢に保持される。
「糊付ユニット」
図1に示すように糊付ユニットEは前述の第2グリップ搬送手段420がシート束を移送する略々垂直の経路(以下第1経路という)100に配置される。そして糊付ユニットEは第2グリップ搬送手段420で把持したシート束の下側端縁S2に糊を塗布する。糊付ユニットEは糊を収容する糊トレイ61と、このトレイに回転自在に取付けられた糊ロール62と、この糊ロール62を回転駆動する駆動モータM11と、上記トレイ61をシート束に沿って往復駆動するM12とから構成される。
図20にその概念図を示すが、シート束Sの下端縁S1に対し糊トレイ61は短い長さ(寸法)に形成してあり、これに取付けられた糊ロール62と伴にシート下端縁S1に沿って移動自在に構成される。この他シート束の下端縁S1の長さより大きいトレイ形状に糊トレイ61を構成し、糊ロール62のみが同図左右方向に移動するようにしても良い。従って図示のものは糊ロール62がシート束に糊を塗布する糊塗布部材を構成し、このロールは多孔質材で構成され糊を含侵してロール周に糊の層を盛り上がり形成する。
図19は図1の装置の糊付ユニットE及び後述の表紙シート搬送機構をユニット化した構造体であり、図1の装置に着脱自在に組み込んである。そして図示X−X方向に第1経路がシート束を搬送し、図示Y−Y方向に第2経路が表紙シートをそれぞれ矢視方向に搬送する。糊トレイ61はシート束と表紙シートとの接合ステージ150の上方に配置され、ガイドレール(ロッド)66に沿って移動案内され、このレールと並行するタイミングベルト65を介して駆動モータM11に連結してある。従って糊ユニットEは第2グリップ搬送手段420で把持されその位置に保持されたシート束Sの下端縁S1に沿って駆動モータM11で往復動自在となる。
一方、シート束Sは前述のようにメインクランパ421とサブクランパ422(以下単にクランプ部材420と総称する)を取付けた可動側枠429がガイドレール428に案内され垂直方向に移動自在に構成され、この可動側枠429はラック434、ピニオン435を介して駆動モータM7に連結してある。(図9及び図10(b)参照)そして前述のように駆動モータM7の正逆転によってシート束を把持するクランプ部材420は図20上下方向に移動自在に制御される。
かかる構成において糊付けユニットEによるシート束Sへの糊塗布方法を図27に基づいて説明する。図26はシート束Sの糊塗布端面であるシート下側端縁S1と糊ユニットEとの平面を示し、糊ユニットを構成する糊トレイ61はガイドレール66に沿って駆動モータM11によって往復動自在に構成され、同図(a)は往路を同図(b)は復路を示している。
そこで糊付け方法について図27に基づいて説明すると図示のものは、糊ロール62(糊塗布部材)がシート束の下側端縁S1を往復移動する。その往路ではロール表面をシート束に圧接してその端縁S1のシート間に糊を染み込ませる。その後復路では糊ロールのロール表面とシート端縁S1との間に少許のギャップ(間隙)を形成した状態でシート端縁S1に均一な糊付けを形成する。その手順は糊ユニットEをホームポジション(実線)からシート端縁に移動する(U1)。このシート端縁への移動はシートのサイズ上方に応じてホームポジションからシート端縁の距離を割り出す。
次にクランプ部材421を駆動モータM7を駆動して待機位置(U1)から所定量降下する(U3)。このクランプ部材の移動量は駆動モータM7がステッピングモータで構成してあり、クランプ部材420の初期位置(ホームポジション)からモータのパルス制御によって移動量を制御している。特に糊付けユニットEの往路ではシート束の下側端縁S1と糊ロール62の表面(外周面)とが互いに圧接した状態にしてある。つまりガイドレール66に摺動自在に支持された糊トレイに固定された糊ロール62に対し、シート束の下側縁S1がオーバラップする位置までクランプ部材420が降下する。
このオーバラップ量はシート端縁S2と糊ロールとの圧接力によって設定し、この両者間の圧接力はシート端縁が変形してバラけて糊がシート間に透み込む状況によって設定する。更に図示のものは、糊付ユニットEの往路におけるオーバラップ量は、予め設定してあるがシート束の厚さによってオーバラップ量を異ならせても良く、この場合はシート束が厚い程オーバラップ量を大きく、即ち圧接力を強くする。尚シート束の厚さ検出については後述する。
このようなシート束と糊ロールとの位置関係でU3の状態に糊ロール62をシート束の一端(右端)から他端に移動する。この時糊ロール62は図示矢印方向に回転する。糊ロール62がU4の状態にシート束の他端縁(左端)に至ると糊ロール62及び糊付ユニットEを停止する。そこで第2グリップ搬送手段のクランプ部材420を上昇させてホームポジションに戻す(U5参照)。次に再び駆動ローラM7を回転させてクランプ部材420をシート下側端縁S1と糊ロール62との間に少隙の間隙(ギャップ)が形成される位置に降下移動させる。前回と同様に駆動モータのパルス制御によって移動量をコントロールする。このシートの下側端縁S1と糊ロール62表面との間のギャップは糊ロール表面に形成される糊の盛り上がり層が端縁S1に接触する程度で、シート側に付着する糊量を実験的に求めて最適値に設定する。この条件の設定後、糊ロール62はU6の状態に復帰移動させる。
このように糊塗布動作を束状のシート間に糊を透み込ませる塗布動作と、この塗布動作の後シート端縁と糊ロールとの間にギャップを形成して塗布動作を行うと、束状のシートにはシート間と同時に束状端面には均一な厚さの糊層が形成される。尚、この場合シート束の端縁の左右エッジ部には余剰の糊が付着することがあり、そのエッジ処理が必要な場合がある。
U7はそのエッジ処理を示し、上記往路と復路でそれぞれ糊付けした後、糊付ユニットEをエッジ部に戻し過剰糊層を除去する。ナイフエッジロールでエッジ部の糊層を少なくする。次いで糊付けユニットEを他端側に移動(U8参照)し、他端側の余剰糊を除去する。以上の動作で糊塗布を終え、糊付けユニットEはホームポジションへ移動(U11及びU12の状態)し、同様にシート束を把持する。クランプ部材320もホームポジションへ復帰する。
尚図示実施例では糊付ユニットEの復路での糊塗布動作をシート束下端縁S1と糊ロール表面とを接触しない状態で少許のギャップを形成する場合について説明したが、これはシート束下端縁S1と糊ロール表面とを接触した状態で往路における両者の接触圧により弱い接触圧に設定しても良い。この場合も糊付ユニットEは往路ではシート相互間に糊を透み込ませ、復路では、シート束の端面(背部)にほぼ均一な糊面層を形成する。
「表紙シート搬送機構」
図1のシステムにおいて、シート搬入経路501にはインサータユニットBの給紙経路203が連結され、集積トレイユニットCの排紙経路301が連なっている。このシート搬入経路501には表紙シートの移送経路(以下第2経路という)200が経路切換片201を介して連結されインサータBからの表紙シートを第2経路200に導く。この第2経路200は第1経路100と直交するように交わり、第1経路からシート束と第2経路から表紙シートを逆T状に接合するようになっている。
この第2経路200は上下に所定間隔で対向する上部搬送ガイド63と下部搬送ガイド64で構成され、上部搬送ガイド63は第1経路との交差部を境に右側の第1上部搬送ガイド63aと左側の第2上部搬送ガイド63bに区割され左右の搬送ガイドが個別に開閉動するようになっている。そして第1経路100と第2経路200との交差部に接合ステージ150が交差空間として形成され、このステージでシート束と表紙シートとが略々逆T字状に接合される。
そこで第2経路には表紙シートの給紙方向を位置合わせする第1の整合手段130と表紙シートの給紙直交方向の位置合わせを行う第2の整合手段135と、この第1、第2の整合手段130、135で整合された表紙シートを接合ステージ150に移送するオフセット移送手段140が配置される。そして第2経路中で接合ステージ150の上流側に第1、第2の整合手段を配置し表紙シートの搬送方向及びこれと直交する方向の位置合わせを行い、この整合した表紙シートをオフセット移送手段140で正確に所定距離送ることによって接合ステージ上に表紙シートをセットする。図示の第1の整合手段130及び第2の整合手段135は次の1つのユニット機構で両者を兼用している。
図1(b)に示すように排紙経路301と第2経路200との分岐点に図24に示す整合ユニット75が設けてある。この整合ユニット75は図23に示すストッパ部材72とシート端を係止する段差壁72aとを備え、表紙シートの搬入方向(図示矢印)と図示の位置関係にしてある。そして図23に示すように上部ペーパーガイド72bが一体に取付けられ、この整合ユニット75は固定フレーム76に図示左右方向に移動自在に取付けてある。
つまり固定フレーム76には図示しないガイドレールが設けてあり、このレールに整合ユニット75が移動可能に嵌合してある。また固定フレーム76には正逆転可能なステッピングモータM12が設けてあり、このモータM12と整合ユニット75が連結してある。図示79は伝動ベルト図示78はそのプーリである。そして伝動ベルト79と整合ユニット75とは固定部材80で固定してある。従って駆動モータM12を駆動することによって整合ユニット75は図示左右方向に移動自在となる。図示LSはリミットセンサである。
そこでストッパ72は図24に示すように複数設けられ軸72bで回転自在に構成され図示位置では整合ユニット75のステップ部75aとの間に表紙シートをニップしてホールドし、軸72bを図示時計方向に回転するとストッパ72は起立してシート端縁を段差壁72aと共に係止する。図示SOLはその作動ソレノイドである。このストッパ72は前記シート搬入経路に配置され、作動ソレノイドSOLをオフして倒伏姿勢にすると表紙シートを第2経路に案内し、その後、作動ソレノイドSOLをオンして起立姿勢にするとスイッチバックして逆送する表紙シートを突き当てて停止する。更に表紙シートを突き当て停止した状態で起立状態から倒伏状態にするとシート端縁をニップするように構成されている。
第2経路には上記整合ユニットの下流側に逆転ローラ68が設けられている。このローラ68は表紙シートと係合する位置と退避して非係合の位置に昇降自在に配置され、揺動自在の支持アーム92に取付けられている。そしてこのローラ68には表紙シートを給送方向と反対方向に移送するように駆動モータM13が連結されている。この駆動モータM13は正回転で支持アーム92を上昇させてシートから退避する位置に移動するようにバネクラッチを介して支持アーム92の基端部に連結してあり、その逆回転で支持アーム92をシートと係合する位置に降下し、ローラ68を逆回転する構造になっている。図示93はその伝動ベルトである。図示S71はシートの先端を検出するセンサであり、シートをスイッチバックさせるため上記駆動モータM13を制御するタイミング信号を得る。
また第2経路には図19(a)に示すように複数、図示のものは第1上部搬送ガイド63aに2列の搬送ローラ69が配置され、また整合ユニット75の上流側には搬送ローラ(入口ローラ)70が配置されている。この搬送ローラ69が後述するオフセット移送手段を構成し、上記整合ユニット75で整合されたシートを所定量搬送する。
その構造を動作と共に説明すると図25はその動作状態図を示す。U1に示すように第2経路に進入した表紙シート(以下単にシートという)はセンサS71で先端が検出され、搬送ローラ70及び搬送ローラ69で送られる。このとき整合ユニットのストッパ72は伏した状態で表紙シートを進入させ、また逆転ローラ68は経路から退避した状態に置かれる。シートの後端がセンサS71からの信号で整合ユニット75を通過する遅延時間の後、搬送ローラ70及び搬送ローラ69をシートから退避させる(U3)。この各搬送ローラ69、70の退避構造については後述する。
そこで逆転ローラ68をシートと係合する位置に降下し(U4)、同時にシートと係合する全ての搬送ローラをシートから上方に退避させる(U5)。そして逆転ローラ68を駆動しシートを給紙方向と反対方向に移動する。この時ストッパ72は作動ソレノイドSOLによって起立した状態にする。するとシートの後端はストッパ72に係止され、その直後に逆転ローラ68を停止するのと同時にシートから離間させる。尚この逆転ローラ68の停止タイミングはセンサS71がシート後端を検出した信号から算出する(U6)。
そこで作動ソレノイドSOLの電源を断ってストッパ72を初期姿勢に戻す(U7)。するとシート後端は整合ユニット75のステップ部(板)75aとストッパ72とにニップされる。この状態で駆動モータM12を起動すると整合ユニット75は給紙方向と直交する方向に移動し、ストッパ72にニップされたシートも同時に移動する。
図25Cに示すように整合ユニット75を移動可能に支持する固定フレーム76には給紙直交方向に複数のセンサS94、S95が配置してある。そして例えば図25Dに示すようにセンサがOFFのとき(U14)にはシートをセンサ方向に移動するように整合ユニット75を移動し、センサがONしたときから所定量移動することによってシートの横方向の位置を割り出す(U15)。またセンサがONのとき(U16)には整合ユニット75を反対方向に移動し、シート側縁がセンサを過ってOFFになったときから所定量移動することによってシートの横方向の位置を割り出す。
このようなシートの給紙直交方向の位置を割出(整合)した後、搬送ローラ69及び70をシートと係合する位置に降下し(U9)、次いで全ての搬送ローラをシートと係合され、逆転ローラ68のみをシートから退避した位置に置く(U10)。そこで再び作動ソレノイドSOLをONしてストッパを起立方向に回動し、その後搬送ローラ69を回転駆動する(U11)。するとシートは第2経路200を下流側に搬送され、ストッパ72は初期状態の倒伏姿勢に復帰してその後に備える。
そこで上記搬送ローラ70及び69の昇降機構について説明する。これらローラは上述のようにシートと接してこれを搬送する状態と、シートから離れて非作動状態とに制御されるが搬送ローラ69は、図20(a)に示すように上部搬送ガイド63に設けた支持ステー82に両サイドを軸受け支持されている。そしてこの支持ステーは82は装置フレームに複数設けた揺動アーム83に取付けてあり、装置フレームの左右側枠それぞれに少なくともシート搬送方向前後に2箇所設けられた揺動アームで搬送ガイドと搬送ローラとは略々平行に上下動するように支持されている。
そこでこの揺動アーム83は軸支部のギア85を駆動モータM14に連結した伝動ギア85aに連結され、モータの回動で上記搬送ガイドと搬送ローラの昇降位置を制御することが出来る。尚この駆動モータM14は搬送ローラをシートから若干退避した非作動位置と、上部搬送ガイドを下部搬送ガイドから大きく開いた位置とに揺動アーム83を2段階に角度制御する。尚、図示84は揺動アームの復帰スプリングである。そして搬送ローラ69と同一の構造で搬送ローラ69bが前述の第2搬送ガイド63bに支持ステー82bで取付けられ、この支持ステーは揺動アーム83bで貨幣自在に支持されている。ただし接合ステージの左側(下流側)に位置する揺動アーム83bは上記右側に位置する揺動アーム83aと反対方向に回動紙し対象の動作をするように構成され、駆動モータM15でアームを回動するようになっている。
このように構成された搬送ローラ69は駆動モータM13に連結され、制御CPUによって制御される。制御CPUは図示しないが上記のストッパ72で位置決めされた表紙シートを給送方向と直交する方向に幅寄せする第2の整合動作を実行させ、その完了後駆動モータM14を起動して搬送ローラ69がシートと接する作動位置に降下させ、その後駆動モータM13を起動して表紙シートを接合ステージ150に向けて所定量搬送する。
この搬送ローラ69の制御は、まず制御CPUは表紙シートのサイズ(搬送方向長さ)と第1経路100から送られるシート束の厚さからシートの中心が接合ステージの中心と一致する搬送量を算出し、その結果に基づいてステッピングモータで構成される駆動モータM13のステップ数を割り出し、電源パルスを供給する。この場合シートの長さサイズのみから送り量を算出する場合と、シートの長さサイズと第1経路からのシート束の厚さから送り量を算出する場合のいずれかを選択する。
前者はシート束の厚さ検出が不要で送り量算出も容易であるがシート束の厚さが異なると表紙シートとシート束を折り合わせた際に両者の縁が不揃いとなる問題がありシート束の厚さがほぼ均一な装置仕様に適する。また、後者はシート束の検出精度によって同様の不揃いの恐れがあるが、多様な厚さの製本を必要とする装置仕様に適する。シート束の厚さ検出は例えば前述の糊付け時の接触圧を調整する為のシート束の厚さ検出方法を適用することが出来る。以上の搬送ローラ69及びその制御手段(例えば上述の制御CPU)がオフセット移送手段を構成することとなる。
「シート束と表紙シートの接合機構」
上記第1経路100と第2経路200との交点には接合ステージ150が形成され、この接合ステージで第1経路からのシート束と第2経路からの表紙シートが逆T字状に接合される。まず第1経路100では第2グリップ搬送手段420に把持されたシート束に糊塗布ユニットEで下側端縁に糊付けが施され、糊トレイ61は経路外に退避する(前述のU12参照)。これと同時に第2経路200では接合ステージ150に表紙シートがセットされている(前述のU12参照)。
図28に基づいてシート束と表紙シートの接合の構造と動作を同時に説明する。図示W1に示す状態にシート束と表紙シートはセットされ、シート束は第2グリップ搬送手段420で支持している。図示437は前述の基準部材であり、63aは第1上部搬送ガイド、63bは第2上部搬送ガイドである。また接合ステージ150には表紙シートCSの背面を支持するバックアップ部材151と、背折りブロック155が設けられている。このバックアップ部材151と、背折ブロック155の構造は後述する。
そこで駆動モータM15を回転して第2上部搬送ガイドを図示W2の状態に第2下部搬送ガイド64開放すると基準部材437はこのガイドと一体に第1経路から退避する。そこで第2グリップ搬送手段(以下メインクランパ421で説明する)を駆動モータM7を駆動することによってシート束を下流側に移送する。すると図示W3の状態に表紙シートCSとシート束Sとは接合し、このときバックアップ部材151が表紙シートの背面を支持する。尚このバックアップ部材151と下部搬送ガイドとの間にはギャップが形成してあり、このギャップに背折ブロック155が進入するようになっている。
次に、第1上部搬送ガイド63aを先の第2搬送ガイドと同様に下部搬送ガイド64aから離間させる。W4の状態で表紙シートCSは上部側が開放され自由となる。この表紙シートが自由な状態で背折ブロック155がW5の状態に表紙シートを折り曲げる。この背折ブロック155は左右一対のブロックで互いに離間したW4の位置からシート束の肩部をプレスするように開閉自在に構成され、バックアップ部材151と共に冊子処理の背部をプレス整形する。
次いで、シート束の肩部から背折ブロック155を源位置に復帰し(W6)、その後メインクランパ421をシート束Sから解除する(W7)。この解除後にメインクランパ421を第1経路の上流側に後退させ(W8)、再びメインクランパ421でシートを把持する(W9)。従ってメインクランパ421はシート束を接合動作時(上述のW1からW5の動作)はシート束の下端縁部を把持し、その後はシート束の中央部を把持することとなる。このように接合動作時にシート束の下端縁部を把持したのは接合時に作用するプレス圧によってシート束がバラけるのを防止するためである。
次にメインクランパ421がシート束の把持位置を変更した後、メインクランパ421をバックさせバックアップ部材151から表紙シートを引き離す(W10)。このクランパの後退動作は前述の駆動モータM7のパルス制御で行う。表紙シートCSが引き離された後、バックアップ部材151を第1経路からW11の状態に退避させる。
一方、接合ステージ150の下流側には第1経路に折り搬送手段が設けられ、図示のものは一対の折りロール160で構成してあり、この一対のロールは互いに圧接及び離間自在に構成され、図示しない圧接スプリングで圧接し、作動ソレノイドで離間するようになっている。そこでこの折りロール160を離間させ(W12)、メインクランパ421を第1経路に沿って下流側に下降させる(W13)。このシート束の位置をセンサで検出して折りロール160を圧接状態にする(W14)。次いでメインクランパ421をシート束から解除(W15)して折りロール160を搬出方向に回転させシート束を搬出する(W16)。以上の構造及びその動作でシート束と表紙シートとは互いに冊子状に接合され折り畳まれることなるが、各構成の復帰動作について説明する。
W17はメインクランパ421の復帰動作でシート束の後端が接合ステージ150を通過した後、センサでシート後端を検出した信号で、メインクランパ421を含む第2グリップ搬送手段420はその姿勢を90度変換して後続するシート束を受け入れる姿勢に復帰する。これと同時に第1及び第2の上部搬送ガイドも後続する表紙シートを搬送する原位置に復帰する。
W18及びW19は折りロール16が圧接状態から離間した状態に復帰する状態を示し、W20はバックアップ部材151と背折りブロック155が原位置に復帰した状態をそれぞれ示す。このように冊子状に綴合わせられたシート束は折り搬出手段である折ロールからトリミングユニットに送られ、糊綴じ縁を除く3方向の縁をカッティングされ、収納スタックトレイに収納される。