JP4176542B2 - 可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路 - Google Patents
可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路に関し、特に、出力段に差動増幅器を用いた可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高周波アンプ等においては可変利得回路が数多く用いられている。可変利得回路は、アンプの利得を可変とするために用いられる回路であり、アンプとともにこれを用いることによって自動利得制御回路や自動レベル制御回路を構成することができる。
【0003】
図14は、従来の可変利得回路の回路図である。
【0004】
図14に示す可変利得回路は、並列に設けられた2つの差動増幅器10−1,10−2からなり、差動増幅器10−1に含まれる入力端子1と差動増幅器10−2に含まれる入力端子2との間に与えられた入力電圧Vinを増幅又は減衰して出力電圧Voutを生成し、差動増幅器10−1に含まれる出力端子3と差動増幅器10−2に含まれる出力端子4との間に供給する回路である。本明細書においては、簡単のため「増幅又は減衰」をまとめて「増幅」と呼ぶ。
【0005】
差動増幅器10−1は、エミッタが共通接続されたNPN型のバイポーラトランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と言う)Q1,Q2と、トランジスタQ1,Q2の共通エミッタ接続点と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ5及び定電流源11と、トランジスタQ2のコレクタと電源電位Vccとの間に設けられた抵抗RC1とを備えている。トランジスタQ1のコレクタは電源電位Vccに直列接続されている。同様に、差動増幅器10−2は、エミッタが共通接続されたトランジスタQ3,Q4と、トランジスタQ3,Q4の共通エミッタ接続点と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ6及び定電流源12と、トランジスタQ3のコレクタと電源電位Vccとの間に設けられた抵抗RC2とを備えている。トランジスタQ4のコレクタは電源電位Vccに直列接続されている。さらに、トランジスタQ5のエミッタとトランジスタQ6のエミッタとの間には抵抗REが設けられている。定電流源11と定電流源12は互いに同じ量の定電流Ieを流す回路であり、抵抗RC1と抵抗RC2の抵抗値は互いに等しく設定されている。
【0006】
このような構成において、トランジスタQ5のベースは一方の入力端子1を構成し、トランジスタQ6のベースは他方の入力端子2を構成している。また、トランジスタQ2と抵抗RC1との接続点(トランジスタQ2のコレクタ)は出力端子3を構成し、トランジスタQ3と抵抗RC2との接続点(トランジスタQ3のコレクタ)は出力端子4を構成している。さらに、トランジスタQ2のベースとトランジスタQ3のベースは短絡されて一方の制御端子5を構成しており、トランジスタQ1のベースとトランジスタQ4のベースは短絡されて他方の制御端子6を構成している。これら制御端子5,6間に供給される制御電圧Vctrlは、図14に示す可変利得回路の電圧利得(Vout/Vin)を調整するために用いられる。
【0007】
次に、図14に示す従来の可変利得回路の動作について説明する。
【0008】
まず、一対の入力端子1,2間に入力電圧Vinが与えられると、トランジスタQ5,Q6によってこれが電流値に変換される。つまり、定電流源11,12が流す電流は互いに等しいことから(いずれもIe)、入力電圧VinがゼロであればトランジスタQ5を流れる電流I5とトランジスタQ6を流れる電流I6との関係は、
I5=I6=Ie
となり、差動増幅器10−1,10−2のエミッタ電流は互いに一致する。このため、入力電圧VinがゼロであればトランジスタQ2のコレクタ電流I2とトランジスタQ3のコレクタ電流I3は一致し、その結果、出力電圧Voutもゼロとなる。
【0009】
一方、入力電圧Vinが正の値(入力端子1の電位の方が高い場合)であれば、
I5>I6
となり、逆に、入力電圧Vinが負の値(入力端子2の電位の方が高い場合)であれば、
I5<I6
となるので、差動増幅器10−1のエミッタ電流と差動増幅器10−2のエミッタ電流との間には、入力電圧Vinのレベルに応じたアンバランスが生じる。このため、入力電圧Vinが正の値であれば、
I2>I3
となるので、出力電圧Voutは負の値(出力端子4の電位の方が高い状態)となり、逆に、入力電圧Vinが負の値であれば、
I2<I3
となるので、出力電圧Voutは正の値(出力端子3の電位の方が高い状態)となる。
【0010】
このようにして、図14に示す可変利得回路は、入力電圧Vinを増幅し出力電圧Voutを生成することができる。
【0011】
そして、電圧利得(Vout/Vin)を調整する場合、一対の制御端子5,6間に与えられる制御電圧Vctrlを変化させればよい。具体的には、制御電圧Vctrlを高くすればするほど(制御端子5の電位の方が高いほど)、トランジスタQ2,Q3に流れる電流が増えることから電圧利得が増大し、制御電圧Vctrlを低くすればするほど(制御端子6の電位の方が高いほど)、トランジスタQ2,Q3に流れる電流が減ることから電圧利得が減少する。
【0012】
制御電圧Vctrlによる電圧利得の調整について、より具体的に説明する。まず、差動増幅器10−1に含まれるトランジスタQ2を流れる電流I2は、
【0013】
【数1】
で表され、差動増幅器10−2に含まれるトランジスタQ3を流れる電流I3は、
【0014】
【数2】
で表される。ここで、Vtは熱電圧でkT/qに等しく、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは素電荷である。したがって、出力電圧Voutは、
【0015】
【数3】
となり、
Rc2=Rc1
とすれば、
【0016】
【数4】
となる。ここで、
I6−I5=−2Vin/RE
であるから、出力電圧Voutは、
【0017】
【数5】
で表されることになる。このように、制御電圧Vctrlにより電圧利得を調整可能であることが分かる。
【0018】
【特許文献1】
特開2000−196386号公報
【発明が解決しようとする課題】
通常、可変利得回路には、利得調整のために与えられる外部制御信号に対して出力電圧Voutが指数関数的に変化することが求められる。換言すれば、電圧利得をデシベル換算した値(以下、本明細書において「電圧利得」というときには、デシベル換算した値を意味する)が外部制御信号に対してリニア(直線的)であることが要求される。
【0019】
ここで、式(5)を参照すれば、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされる範囲においては、出力電圧Voutが制御電圧Vctrlに対して指数関数的であり、リニアリティが良好であるが、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
の条件から外れるほど、出力電圧Voutが制御電圧Vctrlに対して指数関数的ではなくなり、リニアリティが悪化してしまう。このようなリニアリティの悪化は、制御電圧Vctrlが正の値である場合、特に顕著となる。このように、図14に示す従来の可変利得回路は、制御電圧Vctrlに対する電圧利得の変化が直線的である範囲が狭いことから、制御電圧Vctrlを外部から与えることによって電圧利得を制御しようとすると、正しく制御できる範囲が狭くなるという問題があった。
【0020】
したがって、本発明の目的は、電圧利得のリニアリティが改善された可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明による制御信号生成回路は、利得調整のための外部制御信号を増幅段に供給する内部制御信号に変換する制御信号生成回路であって、前記外部制御信号に対してリニアな制御電流を生成する第1の手段と、一対の入力端子を有する第1の差動回路と、前記第1の差動回路の入力端子間に前記外部制御信号に対してリニアな電位差を与える第2の手段と、少なくとも前記制御電流及び前記第1の差動回路の出力電流又はこれに比例した電流である補正電流に基づいて前記内部制御信号を生成する第3の手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、外部制御信号のレベルに応じて内部制御信号が補正されることから、外部制御信号に対する電圧利得の変化が直線的である範囲を広げることが可能となる。これにより、電圧利得のリニアリティが大幅に改善される。
【0022】
また、前記第3の手段は、前記制御電流と前記補正電流との差分に基づいて前記内部制御信号を生成することが好ましく、本発明の好ましい実施の形態においては、直列接続された第1の抵抗及び前記制御電流を流す第1の電流源と、直列接続された第2の抵抗及び実質的に一定の電流を流す第2の電流源とをさらに備え、前記第3の手段は、前記第1の電流源と前記第1の抵抗との接続点である第1の接続点の電位と、前記第2の電流源と前記第2の抵抗との接続点である第2の接続点の電位との差又はこれに比例する電位差を前記内部制御信号として用いている。この場合、前記第3の手段は、前記第1の接続点又は前記第2の接続点に前記補正電流を加えるか、前記第1の接続点又は前記第2の接続点から前記補正電流を差し引くことにより、内部制御信号を生成することができる。
【0023】
さらに、前記第1の手段は、前記制御電流に所定の温度特性を与える機能を有していることが好ましい。これによれば、外部制御信号と電圧利得との間における温度依存性をキャンセルすることが可能となる。
【0024】
この場合、前記第1の手段は、一対の入力端子を有する第2の差動回路と、前記第2の差動回路の入力端子間に所定の電位差を与える手段と、前記第2の差動回路を構成する一方のトランジスタのコレクタに接続された定電流回路と、前記第2の差動回路の共通エミッタに前記外部制御信号に対してリニアな電流を流す手段とを含み、前記一方のトランジスタのコレクタに流れる第1の電流に基づいて前記制御電流を生成することが好ましく、一対の入力端子を有する第3の差動回路と、前記第3の差動回路の入力端子間に所定の電位差を与える手段と、前記第3の差動回路の共通エミッタに接続された定電流源とをさらに含み、前記定電流回路を流れる第2の電流は、前記第3の差動回路を構成する一方のトランジスタのコレクタを流れる第3の電流に基づき生成されていることがより好ましい。この場合、前記定電流回路を流れる第2の電流と前記第1の電流との差に基づいて前記制御電流を生成することができ、カレントミラー回路の入力電流を第3の電流とし、出力電流を第2の電流とすることができる。
【0025】
本発明による可変利得回路は、上述した制御信号生成回路と内部制御信号によって利得を調整可能な増幅段によって構成される。
【0026】
この場合、前記増幅段は、入力信号と前記内部制御信号とを合成する1段目回路と、前記1段目回路の後段に設けられ出力信号を生成する2段目回路とを含むことが好ましい。これによれば、低い電源電圧によって動作することができるので、消費電力を低減することが可能となる。
【0027】
さらにこの場合、前記2段目回路は、それぞれ一対の入力端子を有する第4及び第5の差動回路を含み、前記1段目回路は、前記第4の差動回路の入力端子間及び前記第5の差動回路の入力端子間にいずれも前記内部制御信号に応じた電位差を与えるとともに、前記第4の差動回路の一方の入力端子とこれに対応する前記第5の差動回路の一方の入力端子との間及び前記第4の差動回路の他方の入力端子と前記第5の差動回路の他方の入力端子との間に、いずれも前記入力信号に応じた電位差を与えることがより好ましい。
【0028】
前記1段目回路は、前記入力信号が供給される第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のトランジスタに前記内部制御信号に基づく電流を流す手段と、前記第1のトランジスタに接続された少なくとも一つの第1の抵抗と、前記第2のトランジスタに接続された少なくとも一つの第2の抵抗とを含み、前記第1の抵抗の一端に現れる電圧を前記第4の差動回路の一方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一端に現れる電圧を前記第5の差動回路の一方の入力端子に供給することが好ましい。この場合、前記第1の抵抗の一端及び他端に現れる電圧をそれぞれ前記第4の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一端及び他端に現れる電圧をそれぞれ前記第5の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給することができる。
【0029】
一方、前記第1及び第2の抵抗は少なくとも2つの抵抗を含み、前記第1の抵抗の一方及び他方の一端に現れる電圧をそれぞれ前記第4の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一方及び他方の一端に現れる電圧をそれぞれ前記第4の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給することもできる。これによれば、増幅可能な入力電圧の範囲をより広くとることが可能となる。この場合、前記第1の抵抗の前記一方に流れる電流と前記第2の抵抗の前記一方に流れる電流とが等しく、前記第1の抵抗の前記他方に流れる電流と前記第2の抵抗の前記他方に流れる電流とが等しいことが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明する前に、本発明の原理について簡単に説明する。
【0031】
まず、図14に示した可変利得回路において、トランジスタQ5を流れる電流I5とトランジスタQ2を流れる電流I2との比(I2/I5)を「電流利得A」と定義すると、電流利得Aは次式によって定義することができる。
【0032】
【数6】
電流利得Aも電圧利得と同様、電流の比を対数表示した値でのリニアリティが要求され、式(6)において対数関数(exp関数)の性質を示す範囲(近似できる範囲)では、制御電圧Vctrlと電流利得Aの関係はこの要求を満たすが、式(6)において対数関数(exp関数)の性質を示さない範囲(近似できない範囲)では、この要求を満たすことができない。
【0033】
そこで式(6)の性質を検討すると、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされる範囲では、式(6)を対数関数(exp関数)に近似できる。つまりこの範囲では、外部からの制御信号(外部制御信号)を制御電圧Vctrlとして直接使用しても外部制御信号と電流利得A(又は電圧利得)とのリニアリティを得ることができる。
【0034】
しかしながら、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされない範囲では、式(6)を対数関数(exp関数)に近似できない。つまりこの範囲では、外部からの制御信号(外部制御信号)を制御電圧Vctrlとして直接使用すると、外部制御信号と電流利得A(又は電圧利得)とのリニアリティを得ることができなくなる。
【0035】
したがって、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされない範囲において外部制御信号と電流利得A(又は電圧利得)とのリニアリティを得るためには、外部制御信号に基づき生成される制御電圧Vctrlに補正を加える必要がある。つまり、外部制御信号と電流利得A(又は電圧利得)とのリニアリティが得られるような制御電圧Vctrlを生成する回路が必要となる。
【0036】
本発明は、このような観点からなされたものであって、外部制御信号に対してリニアな制御電流を生成するとともに、外部制御信号に基づいて補正電流を生成し、これら制御電流及び補正電流に基づいて生成した内部制御信号によって、増幅段の利得を制御するものである。以下、好ましい実施の形態について詳細に説明を進める。
【0037】
図1は、本発明の好ましい実施形態による可変利得回路100の回路図である。
【0038】
本実施形態による可変利得回路100は、外部制御信号Vgcに基づき制御電流Ictrlを生成する制御電流生成段110と、制御電流Ictrlに基づき制御電圧Vctrlを生成する制御電圧生成段120と、制御電圧生成段120に補正電流Iaを供給することにより制御電圧Vctrlを補正する補正段130と、制御電圧Vctrlに基づき、入力電圧Vinを増幅して出力電圧Voutを生成する増幅段140とを備えて構成されている。制御電圧Vctrlは増幅段140の利得を調整するための信号であり、本明細書においては「内部制御信号」と呼ぶことがある。制御電流生成段110、制御電圧生成段120及び補正段130は、外部制御信号Vgcを制御電圧Vctrlに変換する制御信号生成回路を構成している。
【0039】
図1に示すように、増幅段140の回路構成は図14に示した従来の可変利得回路と同様の構成である。つまり、本実施形態による可変利得回路100は、従来の可変利得回路に対し、制御電流生成段110、制御電圧生成段120及び補正段130を追加したものである。増幅段140の回路構成及びその動作については図14を用いて既に説明したことから、同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
制御電流生成段110は、非反転入力端子(+)が制御端子111に接続されたオペアンプ112と、ベースがオペアンプ112の出力端に接続され、エミッタがオペアンプ112の反転入力端子(−)に接続されたトランジスタQ11と、トランジスタQ11のエミッタと接地電位GNDとの間に設けられた抵抗R11と、電源電位VccとトランジスタQ11のコレクタとの間に設けられた定電流源113とを備えており、定電流源113とトランジスタQ11との接続点(トランジスタQ11のコレクタ)から分岐する配線114へ制御電流Ictrlを流す役割を果たす。制御電流Ictrlは、定電流源113を流れる電流をI113とし、トランジスタQ11を流れる電流をI11とした場合、
Ictrl=I113−I11
によって与えられ、その値は、制御端子111に供給される外部制御信号Vgcによって調整することができる。
【0041】
制御電圧生成段120は、トランジスタQ11のコレクタ(配線114)と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ12及び抵抗R12と、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R13、トランジスタQ13及び抵抗R14とを備えており、トランジスタQ12のベース−コレクタ間は短絡され、トランジスタQ12のベースとトランジスタQ13のベースも短絡されている。また、抵抗R12と抵抗R14は互いに同じ抵抗値に設定され、これによりトランジスタQ12とトランジスタQ13はカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ13に流れる電流値も制御電流Ictrlに一致することになる。
【0042】
制御電圧生成段120はさらに、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R15及び定電流源115を備えており、これらの接続点b1の電位Vb1は、定電流源115を流れる電流I115と抵抗R15の抵抗値によって決まる。以下に詳述するが、抵抗R13とトランジスタQ13の接続点a1(トランジスタQ13のコレクタ)の電位Va1と電位Vb1との差(Va1−Vb1)は、最終的に制御電圧Vctrlとして用いられる。つまり、
Vctrl=Va1−Vb1
と定義される。尚、抵抗R13と抵抗R15については、互いに同じ抵抗値に設定しても、異なる抵抗値に設定しても構わない。
【0043】
また、補正段130は、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R16、トランジスタQ14及び抵抗R17と、同じく電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R18及び定電流源131とを備えている。トランジスタQ14のベースは、制御電圧生成段120に含まれるトランジスタQ12のベースに接続されている。また、抵抗R17は抵抗R12と同じ抵抗値に設定されており、これによりトランジスタQ12とトランジスタQ14もカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ14に流れる電流値も制御電流Ictrlに一致することになる。
【0044】
したがって、抵抗R16とトランジスタQ14の接続点c1(トランジスタQ14のコレクタ)の電位Vc1は、
Vc1=Vcc−R16×Ictrl
で与えられる。一方、定電流源131に流れる電流をI131とすると、抵抗R18と定電流源131の接続点d1の電位Vd1は、
Vd1=Vcc−R18×I131
で与えられる。ここで、Vcc,R16,R18,I131は固定値であるから、電位Vc1と電位Vd1の差は、制御電流Ictrlの値によって決まることになる。
【0045】
補正段130はさらに、エミッタが共通接続されたトランジスタQ15,Q16と、これらトランジスタQ15,Q16の共通エミッタと接地電位GNDとの間に設けられた定電流源132とを備えており、トランジスタQ15のベースは接続点c1に接続され、トランジスタQ16のベースは接続点d1に接続されている。したがって、トランジスタQ15のベースとトランジスタQ16のベースとの間には、外部制御信号Vgcに対してリニアな電位差が与えられることになる。トランジスタQ15,Q16及び定電流源132は差動回路を構成し、トランジスタQ15のコレクタは、Pチャンネル型MOSトランジスタ(以下、単に「MOSトランジスタ」という)Q17,Q18からなるカレントミラー回路の入力側に接続されている。トランジスタQ16のコレクタは電源電位Vccに接続されている。
【0046】
このカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ17は電源電位Vccと接続点a1との間に接続され、MOSトランジスタQ18は電源電位VccとトランジスタQ15のコレクタとの間に接続されている。MOSトランジスタ18のゲート−ドレイン間は短絡され、さらに、MOSトランジスタ18のゲートとMOSトランジスタQ17のゲートとの間も短絡されている。これにより、上述の通り、トランジスタQ15のコレクタがカレントミラー回路の入力端となり、接続点a1がカレントミラー回路の出力端となっている。
【0047】
かかるカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ17のゲート幅とMOSトランジスタQ18のゲート幅は、K1:1に設定されており、このため、カレントミラー回路の出力電流である補正電流Iaの値は、トランジスタQ15を流れる電流I15のK1倍となる。上述の通り、MOSトランジスタQ17のドレインは接続点a1に接続されており、このため、抵抗R13に流れる電流I13は、
I13=Ictrl−Ia
で与えられることなる。ここで、接続点a1の電位Va1は、
Va1=Vcc−R13×I13
によって与えられることから、接続点a1の電位Va1は、制御電流Ictrlの値のみならず、補正電流Iaの値にも依存することになる。つまり、制御電流Ictrlと補正電流Iaとの差分電流によって接続点a1の電位Va1が決まることになる。
【0048】
増幅段140の回路構成については、図14に示した可変利得回路と同様である。
【0049】
以上が本実施形態による可変利得回路100の回路構成である。次に、その動作について説明する。
【0050】
まず、制御端子111に供給する外部制御信号Vgcを変化させると、これに連動してトランジスタQ11のエミッタ電位も変化することから、抵抗R11の両端間には実質的に外部制御信号Vgcと同じ電圧が印加される。このため、抵抗R11を流れる電流I11(=トランジスタQ11を流れる電流)は、
I11=Vgc/R11
で与えられることになる。つまり、外部制御信号Vgcを高く設定すればするほど、電流I11は増大する。したがって、制御電流Ictrlは外部制御信号Vgcを高く設定すればするほど減少することになる。
【0051】
このようにして生成された制御電流Ictrlは、トランジスタQ11のコレクタを入力端とするカレントミラー回路に入力されることから、これと同じ電流がトランジスタQ14を流れることになる。したがって、制御電流Ictrlが少ないほど、つまり外部制御信号Vgcが高いほど接続点c1の電位Vc1は高くなり、補正電流Iaの量も多くなる。一方、制御電流Ictrlが多いほど、つまり外部制御信号Vgcが低いほど接続点c1の電位Vc1は低くなり、補正電流Iaの量は少なくなる。
【0052】
ここで、補正電流Iaの値は、次式によって与えられる。
【0053】
【数7】
式(7)を参照すれば、制御電流Ictrlが小さいほど(外部制御信号Vgcが大きいほど)、補正電流Iaは大きくなることが分かる。
【0054】
以上より、電位Va1と電位Vb1との差電圧である制御電圧Vctrlは、次式によって与えられることになる。
【0055】
【数8】
このように、外部制御信号Vgcと制御電圧Vctrlとの関係はリニアではなく、補正電流Iaに応じた補正が加えられた制御電圧Vctrlが生成され、これが増幅段140に供給される。その結果、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされない範囲では、外部制御信号Vgcと制御電圧Vctrlとの関係がリニアではなくなるが、外部制御信号Vgcに対する電圧利得(又は電流利得)の直線性は保たれ、良好なリニアリティを得ることができる。
【0056】
このように、本実施形態による可変利得回路100では、外部制御信号Vgcに比例した制御電流Ictrlを生成するとともに、外部制御信号Vgcに基づいて補正電流Iaを生成し、これら制御電流Ictrlと補正電流Iaとの差分電流に対してリニアな制御電圧Vctrlを用いて増幅段140の利得を制御していることから、従来の回路では
exp(−Vctrl/Vt)≫1
が満たされない範囲でも良好なリニアリティを得ることができる。
【0057】
図2は、本実施形態の効果を説明するためのグラフであり、曲線21は純粋なexp関数を示し、曲線22は式(6)に式(8)を代入した関数を示し、曲線23は式(6)に
Vctrl=R15×I115−R13×Ictrl
を代入した関数を示す。つまり、曲線22は本実施形態における制御電圧Vctrlと電流利得Aとの関係を示し、曲線23は本実施形態から補正段130を削除した場合(補正電流Iaが常にゼロである場合)における外部制御信号Vgcと電流利得Aとの関係を示している。
【0058】
曲線23に示すように、補正電流Iaがゼロである場合、
exp(−Vctrl/Vt)≫1
から外れるにつれて、曲線21から乖離してしまう。これに対し、本実施形態のように補正電流Iaを加えると、増幅段140を構成する差動増幅器10−1,10−2がリミッタ状態となるまで、精度良く曲線21と近似させることができる。
【0059】
図3は、本実施形態による可変利得回路100の増幅特性を示すグラフであり、曲線24は本実施形態における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を示している。図3に示すように、本実施形態においては、電圧利得が約−40dBから約10dBまでの領域において、外部制御信号Vgcと電圧利得との関係が直線的であることが分かる。つまり、外部制御信号Vgcに対する電圧利得の変化が直線的である範囲が広く、リニアリティが良好であることが分かる。また、図3には、本実施形態による可変利得回路100から補正段130を削除した場合における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を示す曲線25も併せて示されており、補正段130を削除するとリニアリティが低下することが確認できる。
【0060】
図4は、変形例による可変利得回路101の回路図である。図4に示す可変利得回路101は、可変利得回路100に含まれる補正段130の代わりに補正段133を用いた構成を有している。補正段133は、補正段130に含まれるトランジスタQ15〜Q18及び定電流源132の代わりに、エミッタが共通接続されたPNP型のバイポーラトランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と言う)Q61,Q62と、電源電位VccとトランジスタQ61,Q62の共通エミッタ接続点との間に接続された定電流源134が備えられている。
【0061】
トランジスタQ61のコレクタは接地電位GNDに接続されるとともに、トランジスタQ62のコレクタは接続点a1に接続されている。これにより、接続点a1にはトランジスタQ62のコレクタ電流である補正電流Iaが直接流入する。つまり、図1に示した補正段130のように、カレントミラー回路(トランジスタQ17,Q18)を用いて差動回路(トランジスタQ15,Q16)の出力電流をK1倍した補正電流Iaを生成し、これを接続点a1へ流入させるのではなく、差動回路(トランジスタQ61,Q62)の出力電流を直接補正電流Iaとして用い、これを接続点a1へ流入させている。
【0062】
かかる構成においても、補正電流Iaが増大するにつれて接続点a1の電位Va1が上昇することから、図1に示す可変利得回路と同様の補正を行うことが可能となる。
【0063】
図5は、他の変形例による可変利得回路102の回路図である。図5に示す可変利得回路102は、可変利得回路100に含まれる補正段130の代わりに補正段135を用いた構成を有しており、補正電流Iaによって接続点b1の電位Vb1を制御し、これによってリニアリティを改善するものである。
【0064】
図5に示すように、補正段135にはトランジスタQ63,Q64からなるカレントミラー回路が備えられており、その入力端はトランジスタQ17,Q18からなるカレントミラー回路の出力端に接続され、出力端は接続点b1に接続されている。かかる構成により、補正電流Iaが増大するにつれて接続点b1の電位Vb1が低下することから、図1に示す可変利得回路と同様の補正を行うことが可能となる。
【0065】
図6は、さらに他の変形例による可変利得回路103の回路図である。図6に示す可変利得回路103は、可変利得回路100に含まれる補正段130の代わりに補正段136を用いた構成を有している。補正段136は、補正段130に含まれるカレントミラー回路(トランジスタQ17,Q18)が削除されるとともに、トランジスタQ15のコレクタが接続点b1に直接接続された構成を有している。
【0066】
これにより、接続点b1からはトランジスタQ15のコレクタ電流である補正電流Iaが直接流出する。つまり、図5に示した補正段135のように、2つのカレントミラー回路(トランジスタQ17,Q18及びトランジスタQ63,Q64)を用いて差動回路(トランジスタQ15,Q16)の出力電流をK1倍した補正電流Iaを生成し、これを接続点b1から流出させるのではなく、差動回路(トランジスタQ15,Q16)の出力電流を直接補正電流Iaとして用い、これを接続点b1から流出させている。
【0067】
かかる構成においても、補正電流Iaが増大するにつれて接続点b1の電位Vb1が低下することから、図1に示す可変利得回路と同様の補正を行うことが可能となる。
【0068】
図7は、さらに他の変形例による可変利得回路104の回路図である。図7に示す可変利得回路104は、可変利得回路100に含まれる制御電圧生成段120の代わりに電流変換段320を用い、補正段130の代わりに補正段137を用いた構成を有している。
【0069】
電流変換段320は、トランジスタQ11のコレクタ(配線114)と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ31及び抵抗R31と、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された定電流源321、トランジスタQ32及び抵抗R32とを備えており、トランジスタQ31のベース−コレクタ間は短絡され、トランジスタQ31のベースとトランジスタQ32のベースも短絡されている。また、抵抗R31と抵抗R32は互いに同じ抵抗値(=R17)に設定され、これにより、トランジスタQ31とトランジスタQ32はカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ32に流れる電流値も制御電流Ictrlに一致する。したがって、定電流源321に流れる電流をI321とすると、定電流源321とトランジスタQ32との接続点(トランジスタQ32のコレクタ)から分岐する配線322へ流れる電流は
I321−Ictrl
で与えられることになる。
【0070】
また、補正段137には、接続点a1’と接地電位GNDとの間に設けられた抵抗R19と、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された定電流源135及び抵抗R20とを備えており、接続点a1’の電位Va1’と、定電流源135と抵抗R20の接続点b1’の電位Vb1’との差が制御電圧Vctrlとして用いられる。
【0071】
電流変換段320により引き出される配線322には、補正段137に含まれるMOSトランジスタQ17のドレインが接続されており、このため、補正段137を通過した配線323には、
Ictrl2=I321−Ictrl+Ia
に一致する電流が流れることになる。かかる電流Ictrl2は抵抗R19によって電圧Va1’に変換され、上述の通り、接続点b1’の電位Vb1’との差が制御電圧Vctrlとして用いられる。
【0072】
かかる構成においても、補正電流Iaが増大するにつれて接続点a1’の電位Va1’が上昇することから、図1に示す可変利得回路と同様の補正を行うことが可能となる。
【0073】
次に、本発明の好ましい他の実施形態による可変利得回路について説明する。本実施形態による可変利得回路は、上述した可変利得回路100の機能に加え、増幅段140の温度依存性を補正する機能を付加した例である。以下、詳細に説明する。
【0074】
図8は、本発明の好ましい他の実施形態による可変利得回路200の回路図である。
【0075】
本実施形態による可変利得回路200は、上述した可変利得回路100に含まれる制御電流生成段110の代わりに、温度特性補償機能付き制御電流生成段(以下、単に「制御電流生成段」という)210を設けた構成を有している。その他の構成は上述した可変利得回路100と同様であるので、同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
制御電流生成段210は、図1に示した制御電流生成段110と同様、外部制御信号Vgcを受けて制御電流Ictrlを生成する回路であるが、式(5)に含まれる係数Vtの温度依存性がキャンセルされるよう、制御電流Ictrlの値を補正する点において制御電流生成段110とは相違する。以下、制御電流生成段210の具体的な回路構成について説明する。
【0077】
制御電流生成段210は、非反転入力端子(+)が制御端子211に接続されたオペアンプ212と、ベースがオペアンプ212の出力端に接続され、エミッタがオペアンプ212の反転入力端子(−)に接続され、コレクタが電源電位Vccに接続されたトランジスタQ21と、トランジスタQ21のエミッタと接地電位GNDとの間に設けられた抵抗R21とを備えている。制御端子211には外部制御信号Vgcが与えられ、これにより、トランジスタQ21のベース電圧は実質的にVgc+Vbe(Vbeは、トランジスタのベース−エミッタ間電圧)となる。
【0078】
制御電流生成段210はさらに、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された定電流源213、抵抗R22、並びに、ダイオード接続されたトランジスタQ22及びトランジスタQ23を備えている。また、制御電流生成段210は、エミッタが共通接続されたトランジスタQ24,Q25と、これらトランジスタQ24,Q25の共通エミッタと接地電位GNDとの間に設けられた定電流源214とを備えており、トランジスタQ24のベースは接続点a2に接続され、トランジスタQ25のベースは接続点b2に接続されている。図8に示すように、接続点a2とは抵抗R22の一端(高位側)であり、接続点b2とは抵抗R22の他端(低位側)である。これにより、トランジスタQ24,Q25及び定電流源214は差動回路を構成し、トランジスタQ25のコレクタは、MOSトランジスタQ26,Q27からなるカレントミラー回路の入力側に接続されている。トランジスタQ24のコレクタは電源電位Vccに接続されている。
【0079】
このカレントミラー回路を構成する一方のMOSトランジスタQ26は、電源電位VccとトランジスタQ25との間に設けられるとともにそのゲート−ドレイン間が短絡されており、これにより、トランジスタQ25のコレクタはカレントミラー回路の入力端となる。一方、カレントミラー回路を構成する他方のMOSトランジスタQ27は、電源電位Vccと後述するトランジスタQ29との間に設けられるとともにそのゲートがMOSトランジスタQ26のゲートに接続されていることから、トランジスタQ29のコレクタはカレントミラー回路の出力端となる。
【0080】
かかるカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ26のゲート幅とMOSトランジスタQ27のゲート幅は、1:K2に設定されており、このため、カレントミラー回路の出力電流であるI27の値は、トランジスタQ25を流れる電流I25のK2倍となる。
【0081】
制御電流生成段210はさらに、電源電位Vccとオペアンプ212の出力端(トランジスタQ21のベース)との間に直列接続された定電流源215及び抵抗R23を備えている。また、制御電流生成段210は、エミッタが共通接続されたトランジスタQ28,Q29と、これらトランジスタQ28,Q29の共通エミッタと接地電位GNDとの間に設けられた抵抗R24とを備えており、トランジスタQ28のベースは接続点c2に接続され、トランジスタQ29のベースは接続点d2に接続されている。図8に示すように、接続点c2とは抵抗R23の一端(高位側)であり、接続点d2とは抵抗R23の他端(低位側)である。これにより、トランジスタQ28,Q29及び抵抗R24は差動回路を構成し、トランジスタQ29のコレクタは、上述の通り、MOSトランジスタQ26,Q27からなるカレントミラー回路の出力側に接続されている。トランジスタQ28のコレクタは電源電位Vccに接続されている。
【0082】
このような構成において、MOSトランジスタQ27とトランジスタQ29との接続点(トランジスタQ29のコレクタ)から分岐する配線216へ流れる電流が制御電流Ictrlとなる。制御電流Ictrlは制御電圧生成段120に供給されて制御電圧Vctrlに変換され、さらに、制御電圧Vctrlは補正段130による補正を受けた後、増幅段140に供給される。制御電圧生成段120、補正段130及び増幅段140の回路構成及びその動作については既に説明したとおりである。
【0083】
次に、制御電流生成段210の動作について説明する。
【0084】
まず、差動回路を構成するトランジスタQ24のベースとトランジスタQ25のベースとの間には抵抗R22が設けられていることから、これらトランジスタのベース間には、定電流源213を流れる電流をI213とした場合、
I213×R22
で定義される一定の電圧差が与えられる。このため、定電流源214を流れる電流をI214とした場合、トランジスタQ25に流れる電流I25は、
【0085】
【数9】
となり、これを受けるカレントミラー回路(MOSトランジスタQ26,Q27)の出力電流である電流I27の値は、
I25×K2
で与えられることになる。
【0086】
一方、上述の通り、トランジスタQ21のベース電圧は実質的にVgc+Vbeであることから、トランジスタQ28及びトランジスタQ29の共通エミッタ接続点の電圧は実質的に外部制御信号Vgcと一致する。したがって、抵抗R24に流れる電流I24は、
Vgc/R24
で与えられ、外部制御信号Vgcに対して直線的に変化することになる。さらに、これらトランジスタQ28とトランジスタQ29のベース間には、定電流源215を流れる電流をI215とした場合、
I215×R23
で定義される一定の電圧差が与えられることから、トランジスタQ29に流れる補正電流Icは、
【0087】
【数10】
となる。
【0088】
したがって、制御電流Ictrlは
【0089】
【数11】
となり、式(11)のうち、I213,I214,I215,R22,R23,K2は定数であり、I24は上述の通り外部制御信号Vgcに対して直線的に変化する値であることから、式(11)に含まれるこれら定数を適切に設定すれば、制御電流Ictrlに所望の温度特性を与えることが可能となる。つまり、式(11)に含まれる上記定数を調整することにより、制御電圧Vctrlの係数Vtにかかる温度依存性を実質的にキャンセルできることになる。このようにして式(5)に含まれる係数Vtの温度依存性をキャンセルするような温度特性を与えれば、式(5)によって表される出力電圧Voutの温度依存性をキャンセルすることが可能となる。
【0090】
このように、本実施形態による可変利得回路200では、外部制御信号Vgcに対してリニアな制御電流Ictrlに増幅段140の温度依存性(係数Vtの温度依存性)をキャンセルするような温度特性を与えることができる制御電流生成段210を用いることにより、上述した可変利得回路100による効果に加え、温度特性に優れるという効果を得ることが可能となる。
【0091】
図9は、本実施形態の効果を説明するためのグラフであり、外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を温度ごとに示している。図9に示すように、本実施形態による可変利得回路200では、リニアリティに優れるのみならず、温度依存性がほとんどないことが確認できる。一方、図10は、可変利得回路100における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を温度ごとに示すグラフであり、リニアリティには優れているものの、本実施形態による可変利得回路200よりも温度依存性が大きいことが分かる。
【0092】
次に、本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路について説明する。本実施形態による可変利得回路は、上述した可変利得回路100の機能に加え、電源電位Vccの低電圧化を可能とした例である。以下、詳細に説明する。
【0093】
図11は、本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路300の回路図である。
【0094】
本実施形態による可変利得回路300は、上述した可変利得回路100に含まれる制御電圧生成段120の代わりに図7に示した電流変換段320を用い、増幅段140の代わりに低電圧動作タイプの増幅段340を用いている。その他の構成は上述した可変利得回路100と同様であるので、同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0095】
電流変換段320の構成は既に説明したとおりであり、補正段130を通過した配線323には、
Ictrl2=I321−Ictrl+Ia
に一致する電流が流れることになる。
【0096】
一方、増幅段340は、配線323と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ41及び抵抗R41と、電源電位VccとトランジスタQ41のベースとの間に接続され、ベースがトランジスタQ41のコレクタに接続されたトランジスタQ42と、電源電位Vccと接地電位GNDとの間に直列接続された定電流源341、トランジスタQ43及び抵抗R42とを備えている。図11に示すように、トランジスタQ41のベースとトランジスタQ43のベースは短絡され、また抵抗R41と抵抗R42は互いに同じ抵抗値に設定されており、これによってトランジスタQ41とトランジスタQ43はカレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタQ43に流れる電流値も制御電流Ictrl2に一致することになる。したがって、定電流源341に流れる定電流をI341とすると、定電流源341とトランジスタQ43との接続点(トランジスタQ43のコレクタ)から分岐する配線342へ流れる電流Ictrl3は
I341−Ictrl2
で与えられることになる。
【0097】
制御電流Ictrl2,Ictrl3は増幅段340の利得を調整するための信号であり、本明細書においては上述した制御電圧Vctrlと同様、「内部制御信号」と呼ぶことがある。
【0098】
増幅段340はさらに、配線342と接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ44及び抵抗R43と、電源電位VccとトランジスタQ44のベースとの間に接続され、ベースがトランジスタQ44のコレクタに接続されたトランジスタQ45とを備えている。
【0099】
増幅段340はさらに、コレクタがいずれも電源電位Vccに接続されたトランジスタQ46,Q47と、トランジスタQ46のエミッタと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R44、トランジスタQ48及び抵抗R45と、同じくトランジスタQ46のエミッタと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R46、トランジスタQ49及び抵抗R47と、トランジスタQ47のエミッタと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R48、トランジスタQ50及び抵抗R49と、同じくトランジスタQ47のエミッタと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R50、トランジスタQ51及び抵抗R51とを備えている。トランジスタQ46のベースは一方の入力端子1を構成しており、トランジスタQ47のベースは他方の入力端子2を構成している。また、トランジスタQ49,Q51のベースはトランジスタQ41のベースに接続され、トランジスタQ48,Q50のベースはトランジスタQ44のベースに接続されている。
【0100】
抵抗R41,R42,R43,R45,R47,R49,R51については全て同じ抵抗値に設定され、抵抗R44,R46,R48,R50についても全て同じ抵抗値に設定される。これにより、トランジスタQ41とトランジスタQ49,Q51はカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ44とトランジスタQ48,Q50もカレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタQ49,Q51に流れる電流値は制御電流Ictrl2に一致し、トランジスタQ48,Q50に流れる電流値は制御電流Ictrl3に一致することになる。
【0101】
増幅段340はさらに、増幅段140からトランジスタQ5,Q6を削除した構成の回路を備えており、トランジスタQ1のベースは抵抗R50とトランジスタQ51の接続点a3(トランジスタQ51のコレクタ)に接続され、トランジスタQ2のベースは抵抗R48とトランジスタQ50の接続点b3(トランジスタQ50のコレクタ)に接続され、トランジスタQ3のベースは抵抗R44とトランジスタQ48の接続点c3(トランジスタQ48のコレクタ)に接続され、トランジスタQ4のベースは抵抗R46とトランジスタQ49の接続点d3(トランジスタQ49のコレクタ)に接続されている。
【0102】
以上が増幅段340の回路構成であり、次に増幅段340の動作について説明する。
【0103】
上記構成を有する増幅段340においては、トランジスタQ46のベース(入力端子1)に与えられる電位をVpとし、トランジスタQ47のベース(入力端子2)に与えられる電位Vnとすると、その差電圧(Vp−Vn)が入力電圧Vinとなる。
【0104】
したがって、トランジスタQ46のエミッタ電位は
Vp−Vbe
となり、トランジスタQ47のエミッタ電位は
Vn−Vbe
となるので、抵抗R44,R46,R48,R50の抵抗値をRxとすれば、接続点a3,b3,c3,d3の電位Va3,Vb3,Vc3,Vd3はそれぞれ、
Va3=Vn−Vbe−Ictrl2×Rx
Vb3=Vn−Vbe−Ictrl3×Rx
Vc3=Vp−Vbe−Ictrl3×Rx
Vd3=Vp−Vbe−Ictrl2×Rx
で与えられることになる。つまり、入力信号Vinと、「内部制御信号」である制御電流Ictrl2,Ictrl3が合成される。
【0105】
したがって、トランジスタQ1,Q2の共通エミッタ接続点の電位をVe2とし、トランジスタQ3,Q4の共通エミッタ接続点の電位をVe1とすると、その差電圧(Ve1−Ve2)は、接続点a3の電位Va3と接続点d3の電位Vd3との差(Vd3−Va3)に等しく、且つ、接続点b3の電位Vb3と接続点c3の電位Vc3との差(Vc3−Vb3)に等しくなる。ここで、
Vd3−Va3=Vc3−Vb3=Vin
であるから、
Ve1−Ve2=Vin
である。
【0106】
これにより、トランジスタQ1,Q2の共通エミッタを流れる電流Ie2、並びに、トランジスタQ3,Q4の共通エミッタを流れる電流Ie1は、
Ie1=Ie+(Ve1−Ve2)/RE=Ie+Vin/RE
Ie2=Ie+(Ve2−Ve1)/RE=Ie−Vin/RE
で与えられるので、トランジスタQ2を流れる電流I2は、
【0107】
【数12】
となり、トランジスタQ3を流れる電流I3は、
【0108】
【数13】
となる。
【0109】
一方、接続点b3の電位Vb3と接続点a3の電位Va3との差は、
Vb3−Va3=Rx(Ictrl2−Ictrl3)
であり、接続点c3の電位Vc3と接続点d3の電位Vd3との差も、
Vc3−Vd3=Rx(Ictrl2−Ictrl3)
であることから、
Rx(Ictrl2−Ictrl3)=Vctrl
とすれば、出力電圧Voutは、
【0110】
【数14】
となり、
Rc2=Rc1
とすると、
【0111】
【数15】
となり、増幅段140と全く同じ式(式(5))で表されることになる。つまり、増幅段140と異なる構成によって同じ機能を実現することが可能となる。
【0112】
そして、この制御電圧Vctrlを決める制御電流Ictrl2は、基本的に外部制御信号Vgcに連動するとともに、既に説明したように、外部制御信号Vgcに応じた補正電流Iaが流れることから、従来の回路では
exp(−Vctrl/Vt)≫1
を満たさない範囲においても良好なリニアリティを得ることができる。これにより、従来の可変利得回路に比べて、制御電圧Vctrlに対する電圧利得の変化が直線的である範囲を広げることが可能となる。この点は、図1に示した可変利得回路100と同様である。
【0113】
このような効果に加え、本実施形態による可変利得回路300においては、増幅段340内のトランジスタQ1,Q2のエミッタと定電流源11との間にトランジスタQ5が存在せず、同様に、トランジスタQ3,Q4のエミッタと定電流源12との間にトランジスタQ6が存在しないことから、低い電源電位Vccによっても動作可能となる。これにより、消費電力を低減することが可能となる。一方、電源電位Vccを従来と同じレベルに設定した場合には、より広いダイナミックレンジを得ることが可能となる。
【0114】
図12は、可変利得回路300に含まれる増幅段340の代わりに用いることが可能な増幅段350の回路図である。
【0115】
図12に示す増幅段350は、増幅段340を構成するトランジスタQ43,Q44,Q45,Q48,Q50、抵抗R42,R43,R44,R45,R48,R49及び定電流源341を削除するとともに、トランジスタQ1のベースを抵抗R50の一端(高位側)である接続点a4に接続し、トランジスタQ2のベースを抵抗R50の他端(低位側)である接続点b4に接続し、トランジスタQ4のベースを抵抗R46の一端(高位側)である接続点d4に接続し、トランジスタQ3のベースを抵抗R46の他端(低位側)である接続点c4に接続している点において増幅段340と異なる。その他の点については増幅段340と同じ構成を有している。
【0116】
このような回路構成を有する増幅段350においては、接続点a4,b4,c4,d4の電位Va4,Vb4,Vc4,Vd4はそれぞれ、
Va4=Vn−Vbe
Vb4=Vn−Vbe−Ictrl2×Rx
Vc4=Vp−Vbe−Ictrl2×Rx
Vd4=Vp−Vbe
で与えられるので、トランジスタQ1,Q2の共通エミッタ接続点の電位とトランジスタQ3,Q4の共通エミッタ接続点の電位との差電圧(Ve1−Ve2)は、接続点a4の電位Va4と接続点d4の電位Vd4との差(Vd4−Va4)に等しく、且つ、接続点b4の電位Vb4と接続点c4の電位Vc4との差(Vc4−Vb4)に等しくなる。本例においても、
Vd4−Va4=Vc4−Vb4=Vin
であるから、
Ve1−Ve2=Vin
である。したがって、出力電圧Voutは上記式(14)で表されることになる。
【0117】
このように、図12に示す増幅段350を用いれば、より少ない素子数にて増幅段340と同様の機能を実現することが可能となる。但し、増幅段350では、増幅段340とは異なり、
Va4>Vb4
Vd4>Vc4
に固定されることから、増幅可能な入力電圧Vinの範囲が増幅段340よりも狭くなる。
【0118】
次に、本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路について説明する。本実施形態による可変利得回路は、上述した可変利得回路100の機能に加え、増幅段の温度依存性を補正する機能を付加し、さらに、電源電位Vccの低電圧化を可能とした例である。図13は、本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路400の回路図であり、上述した可変利得回路300に含まれる制御電流生成段110の代わりに、温度特性補償機能付き制御電流生成段210を用いた構成を有している。その他の構成は上述した可変利得回路300と同様である。本実施形態による可変利得回路400によれば、既に説明した可変利得回路100による効果のみならず、可変利得回路200による効果並びに可変利得回路300による効果を全て得ることが可能となる。つまり、良好なリニアリティを実現しつつ、温度依存性が小さくさらに低電圧動作を行うことが可能となる。
【0119】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては補正段を用いることによって、外部制御信号Vgcに基づき生成される制御電圧Vctrl又は制御電流Ictrlを補正していることから、従来の可変利得回路に比べ、制御電圧Vctrl又は制御電流Ictrlに対する電圧利得の変化が直線的である範囲を広げることが可能となる。これにより、良好なリニアリティを有する可変利得回路及びこれに用いる制御信号生成回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による可変利得回路100の回路図である。
【図2】可変利得回路100の効果を説明するためのグラフである。
【図3】可変利得回路100における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を示すグラフである。
【図4】可変利得回路100の変形例である可変利得回路101の回路図である。
【図5】可変利得回路100の他の変形例である可変利得回路102の回路図である。
【図6】可変利得回路100のさらに他の変形例である可変利得回路103の回路図である。
【図7】可変利得回路100のさらに他の変形例である可変利得回路104の回路図である。
【図8】本発明の好ましい他の実施形態による可変利得回路200の回路図である。
【図9】可変利得回路200における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を温度ごとに示すグラフである。
【図10】可変利得回路100における外部制御信号Vgcと電圧利得との関係を温度ごとに示すグラフである。
【図11】本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路300の回路図である。
【図12】可変利得回路300に含まれる増幅段340の代わりに用いることが可能な増幅段350の回路図である。
【図13】本発明の好ましいさらに他の実施形態による可変利得回路400の回路図である。
【図14】従来の可変利得回路の回路図である。
【符号の説明】
1,2 入力端子
3,4 出力端子
5,6 制御端子
10−1,10−2 差動増幅器
11,12 定電流源
100,101〜104,200,300,400 可変利得回路
110,210 制御電流生成段
111,211 制御端子
112,212 オペアンプ
113,115,131,132,134,213〜215,321,341定電流源
114,322,323,342 配線
120 制御電圧生成段
130,133,135〜137 補正段
140,340 増幅段
320 電流変換段
Q1〜Q6,Q11〜Q18,Q21〜Q29、Q31,Q32,Q41〜Q51,Q61〜Q64 トランジスタ
R11〜〜R24,R31,R32,R41〜R51,RC1,RC2,RE抵抗
Claims (15)
- 利得調整のための外部制御信号(Vgc)を増幅段に供給する内部制御信号(Vctrl)に変換する制御信号生成回路であって、前記外部制御信号Vgcが入力され、入力された前記外部制御信号Vgcに対してリニアな制御電流Ictrlを生成する制御電流生成手段110と、前記制御電流Ictrlに基づいて、制御電圧Vctrlを生成する制御電圧生成手段120と、前記制御電圧生成手段に補正電流(Ia)を出力して、前記内部制御信号(Vctrl)を補正する補正手段130とを備え、
前記制御電流生成手段110が、非反転入力端子(+)が制御端子に接続されたオペアンプ112と、ベースが前記オペアンプ112の出力端に接続され、エミッタが前記オペアンプ112の反転入力端子(−)に接続されたトランジスタQ11と、前記トランジスタQ11のエミッタと接地電位GNDとの間に設けられた抵抗R11と、電源電位Vccと前記トランジスタQ11のコレクタとの間に設けられた定電流源113を備え、前記定電流源113と前記トランジスタQ11との接続点から分岐する配線114へ制御電流Ictrlを供給するように構成され、
前記制御電圧生成手段120が、前記配線114と前記接地電位GNDとの間に直列接続されたトランジスタQ12および抵抗R12と、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R13、トランジスタQ13及び抵抗R14と、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R15および定電流源115を備え、前記トランジスタQ12のベースとコレクタの間および前記トランジスタQ12のベースと前記トランジスタQ13のベースの間が短絡されており、
前記補正手段130が、一対の入力端子を有する第1の差動回路を備え、前記第1の差動回路の入力端子間に前記外部制御信号(Vgc)に対してリニアな電位差(Vc1−Vd1)を与え、前記第1の差動回路の出力電流また前記第1の差動回路の出力電流に比例した電流を前記補正電流(Ia)として、前記制御電圧生成手段に出力するように構成されたことを特徴とする制御信号生成回路。 - 前記補正手段130が、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R16と、ベースが前記制御電圧生成手段の前記トランジスタQ12のベースに接続されたトランジスタQ14と、抵抗R17と、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R18及び定電流源131と、エミッタが共通接続されたトランジスタQ15,Q16と、前記トランジスタQ15,Q16の前記共通エミッタと前記接地電位GNDとの間に設けられた定電流源132と、前記電源電位Vccと、前記制御電圧生成手段の前記抵抗R13と前記トランジスタQ13の接続点a1との間に接続されたMOSトランジスタQ17及び前記電源電位Vccと、前記トランジスタQ15のコレクタとの間に接続されたMOSトランジスタQ18からなる第1のカレントミラー回路とを備え、前記トランジスタQ15のコレクタが前記第1のカレントミラー回路の入力側に接続されるとともに、前記トランジスタQ15のベースが前記抵抗R16と前記トランジスタQ14の接続点c1に接続され、前記トランジスタQ16のコレクタが前記電源電位Vccに接続されるとともに、前記トランジスタQ16のベースが前記抵抗R18と前記定電流源131の接続点d1に接続され、前記MOSトランジスタ18のゲートとドレインの間および前記MOSトランジスタ18のゲートと前記MOSトランジスタQ17のゲートとの間が短絡されていることを特徴とする請求項1に記載の制御信号生成回路。
- 前記補正手段130が、さらに、入力端が前記第1のカレントミラー回路の出力端に接続され、出力端が前記抵抗R15と前記定電流源115との接続点b1接続されたトランジスタQ63およびQ64からなる第2のカレントミラー回路を備えていることを特徴とする請求項2に記載の制御信号生成回路。
- 前記補正手段130が、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R16と、ベースが前記制御電圧生成手段の前記トランジスタQ12のベースに接続されたトランジスタQ14と、抵抗R17と、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R18及び定電流源131と、エミッタが共通接続されたバイポーラトランジスタQ61、Q62と、前記電源電位Vccと前記トランジスタQ61、Q62の共通エミッタ接続点との間に接続された定電流源134とを備え、前記トランジスタQ61のコレクタが接地電位GNDに接続されるとともに、前記トランジスタQ62のコレクタが前記制御電圧生成手段の前記抵抗R13と前記トランジスタQ13の接続点a1に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の制御信号生成回路。
- 前記補正手段130が、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R16と、ベースが前記制御電圧生成手段の前記トランジスタQ12のベースに接続されたトランジスタQ14と、抵抗R17と、前記電源電位Vccと前記接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R18及び定電流源131と、エミッタが共通接続されたトランジスタQ15,Q16と、前記トランジスタQ15,Q16の前記共通エミッタと前記接地電位GNDとの間に設けられた定電流源132とを備え、前記トランジスタQ15のコレクタが前記抵抗R15と前記定電流源115との接続点b1接続されるとともに、前記トランジスタQ15のベースが前記抵抗R16と前記トランジスタQ14の接続点c1に接続され、前記トランジスタQ16のコレクタが前記電源電位Vccに接続されるとともに、前記トランジスタQ16のベースが前記抵抗R18と前記定電流源131の接続点d1に接続されることを特徴とする請求項1に記載の制御信号生成回路。
- 前記制御電圧生成段120が、前記制御電流(Ictrl)と前記補正電流(Ia)との差分電流に基づいて、前記内部制御信号(Vctrl)を生成するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の制御信号生成回路。
- 前記制御電圧生成段120が、前記接続点a1又は前記接続点b1に前記補正電流(Ia)を加えるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の制御信号生成回路。
- 前記制御電圧生成段120が、前記接続点a1又は前記接続点b1から前記補正電流(Ia)を差し引くように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の制御信号生成回路。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御信号生成回路と、前記内部制御信号によって利得を調整可能な増幅段とを備える可変利得回路。
- 前記増幅段は、入力信号と前記内部制御信号とを合成する1段目回路と、前記1段目回路の後段に設けられ出力信号を生成する2段目回路とを含むことを特徴とする請求項9に記載の可変利得回路。
- 前記2段目回路は、それぞれ一対の入力端子を有する第4及び第5の差動回路を含み、前記1段目回路は、前記第4の差動回路の入力端子間及び前記第5の差動回路の入力端子間にいずれも前記内部制御信号に応じた電位差を与えるとともに、前記第4の差動回路の一方の入力端子とこれに対応する前記第5の差動回路の一方の入力端子との間及び前記第4の差動回路の他方の入力端子と前記第5の差動回路の他方の入力端子との間に、いずれも前記入力信号に応じた電位差を与えることを特徴とする請求項10に記載の可変利得回路。
- 前記1段目回路は、前記入力信号が供給される第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のトランジスタに前記内部制御信号に基づく電流を流す手段と、前記第1のトランジスタに接続された少なくとも一つの第1の抵抗と、前記第2のトランジスタに接続された少なくとも一つの第2の抵抗とを含み、前記第1の抵抗の一端に現れる電圧を前記第4の差動回路の一方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一端に現れる電圧を前記第5の差動回路の一方の入力端子に供給することを特徴とする請求項11に記載の可変利得回路。
- 前記第1の抵抗の一端及び他端に現れる電圧をそれぞれ前記第4の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一端及び他端に現れる電圧をそれぞれ前記第5の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給することを特徴とする請求項12に記載の可変利得回路。
- 前記第1及び第2の抵抗は少なくとも2つの抵抗を含み、前記第1の抵抗の一方及び他方の一端に現れる電圧をそれぞれ前記第4の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給し、前記第2の抵抗の一方及び他方の一端に現れる電圧をそれぞれ前記第5の差動回路の一方及び他方の入力端子に供給することを特徴とする請求項12に記載の可変利得回路。
- 前記第1の抵抗の前記一方に流れる電流と前記第2の抵抗の前記一方に流れる電流とが等しく、前記第1の抵抗の前記他方に流れる電流と前記第2の抵抗の前記他方に流れる電流とが等しいことを特徴とする請求項14に記載の可変利得回路。
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