以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、流路内の気流が層流速度分布の場合に粒子が凝集する様子を模式的に示す図である。
図2に示すように、流路1内には矢印の方向に気体Pが流入する。流路1内の気流Qが層流である場合、流路1の壁2の内面の摩擦と内部を流通する気体の粘性の影響で、気流Q内に速度差が生じ、境界層の速度勾配4が発達する。気体Pとともに流路1内に流入した塵埃5aと、塵埃5aよりも遅れて流路1内に流入した塵埃5bは、気流Q内に生じた速度差によって、塵埃5aと塵埃5bが二点鎖線で示すように近付いて、粒子同士が接触し、凝集する。
流路1内の流れが乱流である場合には、乱流の不均一な速度分布に加えて、乱流速度の時間的変動に対する粒子の追従性が粒子の慣性力により異なるために粒子が凝集する。乱流の不均一な速度分布は、層流の場合と同様の現象が部分的に起きることによって生じているものと考えられる。
いずれの場合においても、塵埃中の粒子どうしの接触確率増大のメカニズムにおいては、流れのせん断が支配的であるため、気流に速度分布を積極的に与えることで粒子同士の凝集を促進させることができる。
しかしながら、流路の流れが層流である場合、粒子径の大きさによって、速度分布が粒子に及ぼす力の大きさと向きとが異なる。そのため、流路内には様々な大きさの粒子が均一に分布せず、粒子の径によって分布に偏りができる。このような流路中での粒子径分布は、粒子どうしの接触確率に影響を及ぼす。このことを以下に説明する。
図3は、流路内の気流が層流速度分布の場合に、径の大きい粒子が速度勾配より受ける影響を示した模式図である。
図3に示すように、流路1の中央部付近では気流Qの速度が大きいため、粒子5に生じる抗力も大きい。一方、流路1の壁2に近付くほど気流Qの速度が小さくなるため、粒子5に生じる抗力も小さい。流路1内に気体Pとともに流入した塵埃中の粒子5の径が大きい場合、粒子5は流路1内に生成された速度勾配4の影響を強く受ける。すなわち、粒子5の中央部側に働く抗力が大きく、粒子5の壁側に働く抗力が小さいため、粒子5において中央部と壁側に生じる抗力の差によって、粒子5には、流路1の中央から壁面方向に向かう回転力が加わる。その結果、粒子5が方向Vの向き、すなわち、流路1の壁2の方向に移動する。その結果、流路1の壁2側には径の大きい粒子が集まる。
図4は、流路内の気流が層流速度分布の場合に、径の小さい粒子が速度勾配より受ける影響を示した模式図である。
図4に示すように、粒子5の径が小さい場合、粒子5の周囲の気流Qには速度の差があまりない。そのため、粒子5に働く流路1内に生成された速度勾配4の影響が弱く、粒子5は、流路1に流入した時の位置を大きく変えずに、方向Vの向きにそのまま直進する。そのため、流路1の中央部には、相対的に径の小さい粒子が集まる。
その結果、流路1の中央部における径の小さい粒子同士が接触する確率は低くなる。さらに、流路1の中央部には径の小さい粒子、流路1の壁2の付近には径の大きい粒子、というように、径の異なる粒子がそれぞれ分離しているため、表面積の大きい径の大きい粒子に径の小さい粒子が接触する確率も低くなり、全体的に粒子同士の接触確率が低下する。
以上のことから、粒子どうしの凝集効率向上のためには、以下の3点が重要であるといえる。
(1)乱流速度場を形成する。
(2)速度分布を積極的に与える。
(3)粒子径の分布を均一にする。
これらを全て同時に満足するためには、気流に乱れを発生させる手段、すなわち渦発生手段を流路内に設けることが考えられる。
一方、粒子どうしが衝突すると、衝突した粒子は、粒子間に生じる力により凝集するものと考えられる。この力は一般的に粒子間距離の累乗に反比例するため、粒子間の距離が小さくなるとその値は非常に大きくなるものと考えられる。そのため一度接触した粒子の凝集を分散するためには粒子の衝突時に生じた力以上の外力が必要となるものと考えられるため、凝集状態を保持し続けるものと考えられる。
さらに、上記の力は、粒子が巨大化するほど、より大きな引力として働くため、径の大きい粒子と接触した径の小さい粒子の分散はさらに生じにくい。
また、粒子どうしの凝集が生じると、見かけ上、径の大きな粒子が増加するため、さらに粒子同士の接触確率が増加する。
このような考察に基づいて、以下に本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
塵埃を、塵埃に対し十分大きい接触電位をもつ材質により構成された摩擦帯電経路または塵埃に対し十分小さい接触電位をもつ材質により構成された摩擦帯電経路の中を、気流により上流側から下流側へ搬送する。
これにより、摩擦帯電経路の壁面が、塵埃に対して十分大きい接触電位を持つ材質で構成されていれば、摩擦帯電経路に衝突接触した塵埃は、より接触電位の高い摩擦帯電経路により電子を奪われ、正の電荷を持ち、故に正に帯電する。また、摩擦帯電経路の壁面が、塵埃に対して十分小さい接触電位を持つ材質で構成されていれば、摩擦帯電経路に衝突接触した塵埃は、より接触電位の低い摩擦帯電経路から電子を奪い、負の電荷を持ち、故に負に帯電する。
なお、摩擦帯電経路に突起が備えられる場合、摩擦帯電経路の表面積が増加し、より塵埃と摩擦帯電経路との衝突が促進されるとともに、突起の下流側に流れの乱れや渦が生じ、その流れの乱れや渦にのった塵埃は、ますます摩擦帯電経路の壁面への衝突が促進され、塵埃の摩擦帯電が促進される。
この正に帯電した塵埃と、負に帯電した塵埃は、帯電していない塵埃を吸着しながら、塵埃塊(小クラスタ)に成長し、さらに、相対する電荷を持つ塵埃塊(小クラスタ)同士が、クーロン力(引力)により衝突接触し、さらに大きな塵埃塊(大クラスタ)へと成長する。
これが、上記構成により得られる、塵埃の凝集効果である。これにより、より大きな塵埃塊にクラスタ化して成長した塵埃は、クラスタ化していない塵埃に比べ、例えば流路のさらに下流に設けられる遠心分離機やフィルタにより、より効率よく分離または集塵される。
このとき、摩擦帯電経路の壁面が、塵埃に対して十分大きい接触電位を持つ材質で構成されていれば、摩擦帯電経路は、塵埃の衝突により、塵埃から次々と電子を奪い、負の電荷が次第に蓄積していく。摩擦帯電経路の壁面が、塵埃に対して十分大きい接触電位を持つ材質で構成されていれば、摩擦帯電経路は、塵埃の衝突により、塵埃に次々と電子を奪われ、正の電荷が次第に蓄積していく。
摩擦帯電経路に電荷が蓄積し、その蓄積した電荷の量があるレベルを超えると、摩擦帯電部のある箇所において、絶縁破壊を起こし、空気中に放電して蓄積した電荷を逃がす現象が生ずる。
放電現象が生ずれば、そのとき、摩擦帯電経路における、放電の基点となる箇所は、放電の際に破壊されて欠落し、穴が生ずる。
そして、放電の基点となる突起の先端が放電の際に破壊されて欠落するため、突起の高さが徐々に損なわれる。
突起の高さが損なわれると、上述の突起の塵埃凝集効果が損なわれ、塵埃凝集路としての性能が徐々に劣化していくという不具合を招く。
ところで、どのような箇所が放電の起点になりやすいかというと、面が荒れている箇所、つまり、面から微小な尖端が隆起しているような箇所が放電の起点になりやすいことが知られている。故に、例えば、摩擦帯電経路が突起をもつ場合、突起の先端から放電現象が生ずる。例えば、特開2004−101411号公報によれば、突起の先端のアール部の半径を0.1mm以下にすると、電界が集中し、放電現象が生じやすいことが開示されている。
また、放電現象が生ずれば、その放電の基点となる箇所は、放電の際に破壊されて欠落することも良く知られている。
そこで、摩擦帯電経路に設けられる突起の先端の形状を、放電が生じないように、尖端部をあらかじめ除去し、アール部を構成する。このようにすることで、摩擦帯電経路に電荷が蓄積した場合においても、摩擦帯電経路の突起からの放電が抑制されるので、塵埃凝集路としての性能が徐々に劣化していくという不具合を未然に防止することができる。
なお、摩擦帯電経路に電荷が蓄積されない工夫(例えば、アースを取る、家電を中和させる、といったもの)が施されている場合には、上記の工夫は必要なくなるが、一般に、そのような工夫は、構成が複雑となり、コストがかかるか、使用者にコスト面でのデメリットを与える場合がある。
(実施形態1−1)
図5は、実施形態1−1の塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図6は実施形態1−1の塵埃凝集路の要部を示す正面図、図7は、実施形態1−1の塵埃凝集路の要部の側断面を示す図である。
図5から図7に示すように、実施形態1−1の塵埃凝集路90においては、複数の突起93が流路91の壁92の内面上に設けられている。それぞれの突起93は、三角錐突起により形成されており、上流側から投影すると、複数の突起93は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起93は、ある一定分だけ重なり合うように配置されている。また、流れ方向に垂直な方向の面内には、なるべく多くの突起93が配置されず、かつ、流れ方向に垂直な方向の同一面内に配置された複数の突起93は、なるべく互いを遠い距離に配置するように設定される。
この発明の実施形態1−1の塵埃凝集路90によると、突起93により、双子渦が生ずる。また、上流側から投影すると、複数の突起93は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起93は、ある一定分だけ重なり合うように配置されているので、流路91の壁92に沿って流通する流れは、必ず突起93を通過する。
実施形態1−1の突起93は、次のような利点がある。すなわち、実施形態1−1の塵埃凝集路90においては、流れ方向に垂直な方向の面内に、なるべく多くの突起93が配置されず、かつ、流れ方向に垂直な方向の同一面内に配置された複数の突起93は、なるべく互いを遠い距離に配置するように設定されているので、突起93が配置されている位置における流路面積の減少が小さく、その分、塵埃凝集路90の圧力損失も小さくなる。
従って、実施形態1−1の塵埃凝集路90を用いれば、大きな圧力損失の低減効果が得られる。例えば、長さを3倍に設定した塵埃凝集路90を用いれば、被凝集粒子同士の衝突による凝集性能を損なわず、圧力損失を低減できるので、流路91の内部を流通する流れを発生させる駆動源(例えば、ファンやブロアなど)の出力や静圧上昇が小さい場合、駆動源が圧力損失に弱い場合などには、塵埃凝集路90と駆動源を含むシステム全体のパフォーマンスが向上する。
図8は、この発明の実施形態1−1として、摩擦帯電経路に設けられた突起の形状を示す図である。図8の(A)において、箇所Bを図8の(B)にて拡大して示す。
気流により塵埃を上流側から下流側へ搬送する過程において、塵埃を帯電させ、帯電した塵埃と、他の塵埃を衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる摩擦帯電経路を備えた塵埃凝集路において、例えば、1種類の材料(例えばABS樹脂)にて形成されたφ40mmの塵埃凝集路に風速v=25m/秒の風を流通させ、塵埃を継続的に流通させた場合、塵埃凝集路の内壁に約20kVの表面電位が観測された。
図8に示すように、塵埃凝集路90の流路91の壁92の内面上に突起93(例えば、高さ1/8D=5mm)が配置される場合、その突起93の先端には電界が集中する。この電界集中の強度は、突起93の先端の曲率によって変化する。
図9は、塵埃凝集路の内壁が同一の表面電位を示す場合における、突起先端の曲率半径(mm)と、突起先端に集中した電界の強度(V/mm)の関係を調べて示した図である。縦軸および横軸は、対数表記されている。
図9によれば、突起の先端の曲率半径を小さくするにつれ、突起先端に電界が集中する様子がうかがえる。ここで、空気の絶縁破壊は、3550V/mmである(この値は、気温や湿度によって変化する)。図9には、その値にて破線を示した。
ここで、電界強度が空気の絶縁破壊の値に達すると、その電界が集中している位置が基点となり、放電現象が生ずる。上記のように、放電が生ずると、突起の先端が欠落して突起の高さが損なわれ、やがて塵埃凝集効果が損なわれるため、放電現象が生じないようにする必要がある。図9から、突起先端に集中する電界強度が、空気の絶縁破壊3550V/mmを超えない突起先端の曲率半径の大きさは0.2mm程度と読み取ることができる。
故に、突起先端の曲率半径は、0.2mm以上にすべきである。但し、気温や湿度による空気の絶縁破壊の変動を考えると、余裕度を考慮し、更に大きな曲率半径、例えば1mmを選べば、0.2mmの場合の電界強度を、図9より、約1/5に弱めることができるため、望ましい。
このように、塵埃凝集路90は、塵埃を含む気体が流通する流路91と、流路91を流れる塵埃を帯電させ、帯電した塵埃と他の塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進するための摩擦帯電経路とを備え、摩擦帯電経路は、摩擦帯電経路を形成する壁92を有し、壁92の内面には突出した角部を有する突起93が配置され、突起93の角部には、その端面が丸められたアール部94が形成されており、アール部94の半径が0.2mm以上である。
このようにすることにより、摩擦帯電経路に電荷が蓄積した場合においても、摩擦帯電経路の突起93の角部への電界の集中を防止することができる。故に、角部からの放電を防止することができるため、角部の欠落を防止でき、従って、突起93の高さが徐々に損なわれ、突起93の塵埃凝集効果が損なわれ、塵埃凝集路としての性能が徐々に劣化していくという不具合を、未然に防止することができる。
あわせて、突起93を樹脂の成型品にて構成する場合には、角部を0.2mm以上に設定しておけば、容易に成型することができるため、摩擦帯電経路を備えた塵埃凝集路90の製作コストを抑制することもできる。
このようにして、簡単な構造で、塵埃中の粒子どうしの衝突回数を増加させて凝集を促し、粒子数を低減させるとともに見かけ上の粒子径を大きくすることが可能な塵埃凝集路90を提供することができる。
(実施形態1−2)
この発明の実施形態1−2が実施形態1−1と異なる点としては、塵埃凝集路は、流路の気体が流れる方向に垂直な断面において径の最も短い部分の長さをDとし、角部の端面に形成されるアール部の半径をRとすると、R≦0.25Dである。
このようにすることにより、突起と塵埃凝集路を流通する気流に搬送される塵埃との衝突が生じやすくなる。
なお、R>0.25Dの場合、気流が滑らかに突起のR面に沿うため、気流に搬送された塵埃と突起の衝突が生じにくくなり、塵埃凝集路の塵埃凝集効果が低下する。
(実施形態1−3)
この発明の実施形態1−3が実施形態1−1と異なる点としては、塵埃凝集路は、流路の気体が流れる方向に垂直な断面において径の最も短い部分の長さをDとし、角部の端面に形成されるアール部の半径をRとすると、R≦0.05Dであることが好ましい。
このようにすることにより、突起の下流側に渦を効率よく生成することができるため、塵埃凝集路を流通する気流に搬送された塵埃と、摩擦帯電経路の壁面との衝突をより促進することができ、塵埃の帯電量を増加させ、より、塵埃凝集路の塵埃凝集効果を向上することができる。
気流により塵埃を上流側から下流側へ搬送する過程において、塵埃を帯電させ、帯電した塵埃と、他の塵埃を衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる摩擦帯電経路を備えた塵埃凝集路において、例えば、図8に示すように、φ40mmの塵埃凝集路の内壁に、高さ5mm(1/8D)の突起を設け、風速v=25m/sの風を流通させると、突起の後方の流れは突起により乱される。この乱れの強度は、突起先端の曲率によって変化する。
図10は、塵埃凝集路を流通する風速が同一の場合における、突起先端の曲率半径r(mm)を管の直径D(mm)で無次元化した、突起先端の無次元曲率半径(r/D)と、塵埃凝集路の内壁に、突起先端の無次元曲率半径がr/Dである突起を備えた塵埃凝集路の凝集効果を、塵埃凝集路の内壁に突起が無いときの塵埃凝集路の凝集効果で除した、無次元凝集効果(倍)の関係を調べて示した図である。縦軸は、対数表記されている。
図10によれば、突起の先端の曲率半径を大きくするにつれ、凝集効果が損なわれていく様子がうかがえる。また、傾向として、3つの領域に大別されることがうかがえる。
まず、r/Dが0.3以上の位置においては、突起の高さに対して突起先端の曲率半径が大きすぎ、流れが突起先端に沿って流れ、突起の後方に乱れが生じにくく、故に、塵埃同士の衝突確率が小さく、得られる塵埃の凝集効果も小さい。
次に、r/Dが0.25の付近において、急激に塵埃の凝集効果が大きくなる。この曲率半径において、壁面に沿う流れが突起先端にて剥離し、突起後方に乱れが生じるため、故に、塵埃同士の衝突確率が飛躍的に増加し、得られる塵埃の凝集効果も飛躍的に増加する。
r/Dが0.05〜0.25の領域においては、r/Dが小さくなるにつれて、突起先端にて生ずる剥離が徐々に大きくなり、故に、塵埃同士の衝突確率が徐々に増加し、得られる塵埃の凝集効果も徐々に増加する。
さらに、r/Dが0.05の付近において、さらに急激に塵埃の凝集効果が大きくなる。この曲率半径において、壁面に沿う流れが突起先端にて左右にせん断され、突起後方に強い渦流が生じるため、故に、塵埃同士の衝突確率がさらに飛躍的に増加し、得られる塵埃の凝集効果もさらに飛躍的に増加する。
r/Dが0.05以下の領域においては、r/Dの大小に関わらず、常に突起後方に強い渦流が生じるため、高い塵埃同士の衝突確率が得られ、高い塵埃の凝集効果が得られる。
(実施形態1−4)
この発明の実施形態1−4が実施形態1−1と異なる点としては、塵埃凝集路においては、摩擦帯電経路は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を帯電させやすい材質によって形成されている。
このようにすることにより、塵埃を効率よく帯電させることができるため、塵埃同士を凝集してクラスタ化させて塵埃塊をより効率よく生成することができる。したがって、塵埃凝集路の塵埃凝集効果をさらに向上することができる。
(実施形態1−5)
この発明の実施形態1−5が実施形態1−1と異なる点としては、塵埃凝集路においては、摩擦帯電経路は、流路を流通する所定の塵埃の接触電位よりも高い接触電位を持つ第1摩擦帯電部と、流路を流通する所定の塵埃の接触電位よりも低い接触電位を持つ第2摩擦帯電部とを有し、第1摩擦帯電部と第2摩擦帯電部とが対向するように配置されていることが好ましい。
このようにすることにより、塵埃を効率よく帯電させることができるとともに、正に帯電した塵埃と、負に帯電した塵埃とを、クーロン力により凝集し、さらに大きな塵埃塊をより効率よく生成することができる。したがって、塵埃凝集路の塵埃凝集効果をより一層向上することができる。
以上の実施形態1−1から実施形態1−5は、以下の実施形態1−Aから実施形態1−Jに適用される。
(実施形態1−A)
図11は、この発明の実施形態1−Aの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図12は、実施形態1−Aの塵埃凝集路の要部を示す正面図である。
図11と図12に示すように、この発明の実施形態1−Aの塵埃凝集路70においては、流路71の壁72の内面に、複数の突起73aと突起73bが設けられている。突起73aと突起73bは、底面が三角形の突起である。
図13は、実施形態1−Aの突起を示す図である。図13(A)は、突起の底面図、図13(B)は、突起の側面図、図13(C)は、突起の正面図である。流路の上流側を正面とする。
図13に示すように、突起73aの底面部△EFGの各辺の長さがEF:FG:GE=1:2:√3となる直角三角形を成し、直角三角形の各頂角のうち、30°を成す角Gが、流れの上流側に配置され、60°と90°の角に挟まれる辺EFは、流れ方向に対して垂直になるように配置されて、突起73aの底面部△EFGが流路71の壁72の内面と接合されている。突起73aの残りの一つの頂点Iは、壁72から流路71内に突出するように形成されている。
突起73aは、流路71の流れ方向に垂直な面における流路幅の代表長さ(正方形流路の場合は一辺の長さ、円形流路の場合は直径)をDとすると、流れ方向の長さGE=(3/8)D、流れ方向と斜辺のなす角が、上流側から下流側に見て時計回りに30°、突起73aの高さhがh=(1/8)Dである形状をなしている。突起73aに隣り合う突起73bにおいては、流れ方向と斜辺のなす角は上流側から下流側に見て反時計回りに30°である。流路71の壁72上では、4つの突起73aが等間隔に配置され、4つの突起73aのそれぞれの間に突起73bが4つ配置されて、突起73aと突起73bがいわゆる互い違いの方向を向けて配置されている。
図14は、実施形態1−Aの突起の周囲の気流の様子を模式的に示す図である。
図14に示すように、突起73aの斜辺GIに沿う流れの流速V9は、突起73aの流れの衝突のため、せき止められて、流路71内を流通する流体の流速Pに対しやや遅くなる。一方、突起73aの流れ方向の辺GEに沿う流れの流速V10は、流路71内を流通する流体の流速Pと略同等となる。そのため、突起73aの周りの、流路71内を流通する流体の流速を基準とした相対速度を考えると、流れ方向の辺GE上においては流路71の上流側から下流側へ、斜辺FG上においては流路71の下流側から上流側へ、突起73aの周りを回転する循環が生ずる。この循環により、三角錐状を呈する突起73aの頂点から馬蹄渦V11が発生し、その馬蹄渦V11は突起73aの下流側の流路71の壁72に沿って下流へ移動する。この馬蹄渦11は突起73aの下流を流通する流れに旋回を与える。突起73bにおいても、突起73aと同様に馬蹄渦が形成されるが、馬蹄渦の回転の向きは逆向きである。
実施形態1−Aにおいては、突起73aと突起73bの高さhはh=(1/8)Dであるので、馬蹄渦発生直後の馬蹄渦V11の直径は、流路71の内部を流通する流体の流速にもよるが、(1/8)Dか、またそれよりもやや大きいサイズになる。前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路71の壁72からの距離が(1/8)Dまでの位置において、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるので、実施形態1−Aの突起73aと突起73bは、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路71の壁72から(1/8)Dまでの位置を通過する気体を、馬蹄渦を発生させることによって積極的に攪拌する。
このように、塵埃凝集路70においては、突起73aと突起73bは、壁72からの高さが、流路71の気体が流れる方向に垂直な断面の代表長さの1/8であることにより、異物が突起73aと突起73bに引っかかりにくくなる。
図15は、本発明の実施形態1−Aの突起により発生する渦の様子を模式的に示した図である。図15(A)は、流路を正面から見た図であり、図15(B)は、流路を側面から見たときの図である。
図15に示すように、流路71の壁72の近傍に、隣合う渦同士はそれぞれ逆方向に回転する、8本の馬蹄渦V11が生ずる。なお、隣合う渦同士はそれぞれ逆方向に回転しているため、渦と渦の接面における流れは、流れ方向に垂直な面における流線ベクトルを考えると、一方が流路中央部から壁面部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなり、一方が流路壁面部から中央部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなるので、スムーズに合流する方向となるため、流れの粘性による摩擦抵抗が減少し、そのため、実施形態1−Aの塵埃凝集路70においては、渦による圧力損失が低減する。
流路71を流通する流体に、長さD、太さ0.05Dといった棒状の異物その他が混入していた場合、例えば、塵埃凝集路の突起の形状が湾曲構造を成していると、棒状の異物の一端が1つの突起に引っ掛かり、棒状の異物の他端が他の突起に引っ掛かった場合、塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性がある。一方、実施形態1−Aの塵埃凝集路70においては、突起73aに凹部は無く、突起73aと突起73bにおいては斜辺面が形成されているため、前述のような棒状の異物その他は突起に引っ掛かりにくい。
このように、塵埃凝集路70においては、気体の流れる方向に垂直な方向の突起73aと突起73bの断面積は、上流側で小さく下流側で大きい。このようにすることにより、異物が突起73aと突起73bに引っかかりにくくなる。
従って、実施形態1−Aの塵埃凝集路70を用いれば、例えば、流れに棒状の異物その他が混入する可能性のある場合には、棒状の異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができるため、信頼性の高い塵埃凝集路を得ることができる。
なお、実施形態1−Aの塵埃凝集路70の突起の形状は、図16〜図18に示す突起の形状であってもよい。
図16は、本発明の実施形態1−Aの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路70の要部を透視した斜視図であり、図17は、本発明の実施形態1−Aの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路の要部を示す正面図であり、図18は、本発明の実施形態1−Aの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図16から図18に示すように、塵埃凝集路120の流路121内においては、流路121の壁122の内面上に突起123を配置している。
(実施形態1−B)
図19は、この発明の実施形態1−Bの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図20は実施形態1−Bの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図21は、実施形態1−Bの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図19から図21に示すように、実施形態1−Bは、実施形態1−Aの突起73aと突起73bに替えて、複数の突起83が設けられている。突起83は、三角錐状の突起である。
図22は、実施形態1−Bの突起を上から見た形状(A)と横から見た形状(B)を示す図である。
図22に示すように、突起83の形状は、三角錐の底面部△JKLの底辺KL:高さJM=1:2となる二等辺三角形を成し、底面部二等辺三角形の最小の角Jが流れの上流側に配置され、底辺KLが流れ方向に対して垂直になるように配置され、底面部にて流路壁面と接合されている。また、三角錐状突起の頂角をNとして、頂角Nから底面部二等辺三角形に下ろした垂線はMを通過する、つまり、NMは、JM、KLに対してそれぞれ垂直になるように構成されている。そして、流路81の流れ方向に垂直な面における流路幅の代表長さ(正方形流路の場合は一辺の長さ、円形流路の場合は直径)をDとして、流れ方向の長さJM=(1/2)D、三角錐高さNM=(1/8)Dである形状をなしている。
また、流路81の壁82の内面には、多数の突起83が規則的に配置されている。塵埃凝集路80においては、複数の突起83を、流れ方向に(3/2)JM、流れに垂直な方向に(3/2)KLおきに配置するとともに、1つの突起83に対して、流れ方向に(3/4)JM、流れに垂直な方向に(3/4)KLずれた位置にさらに配置し、またそれに対して複数の突起83を、流れ方向に(3/2)JM、流れに垂直な方向に(3/2)KLおきにさらに配置するといった配列に設定されている。つまり、流れ方向の1ピッチを(3/2)JM、流れに垂直な方向の1ピッチを(3/2)KLとすると、流れ方向、流れに垂直な方向ともに、半ピッチずつずらした位置された、いわゆる千鳥配置に複数かつ多段に配置される。
これらの突起83を上流側から投影すると、複数の突起83は互いに完全には重なり合わず、かつ、隣同士の突起83は、ある一定分だけ重なり合うように配置されている。
実施形態1−Bの塵埃凝集路80によると、流路81の壁82の内面近傍を流通する流れは、三角錐突起を成す突起83の面JNKおよび面JNLの傾斜により三角錐底面部に対して頂角N側に持ち上げられ、流路中央側に巻き上げられるとともに、頂角Nの下流側に弱い双子渦を発生させる。実施形態1−Bの塵埃凝集路80を流通する流れは、最初に出会う突起83の作る弱い双子渦により攪乱され、下流に流通して、次に出会う突起83の作る弱い双子渦によりまた攪乱され、更に下流に流通して、更に次に出会う突起83の作る弱い双子渦によりまた更に攪乱され、といった具合に、次々と攪乱される。このような攪乱が、複数の突起83の箇所にてそれぞれ生ずる。前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路であれば、流路81の壁82から(1/8)Dの距離までの位置において特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるので、実施形態1−Bの複数かつ多段に配置された突起83は、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路の壁面から(1/8)Dまで距離の位置を、複数の双子渦にて積極的に攪乱する。
このように、塵埃凝集路80においては、突起83は、壁82からの高さが、流路81の気体が流れる方向に垂直な断面の代表長さの1/8以下であることにより、異物が突起83に引っかかりにくくなる。
また、上流側から投影すると、複数の突起83は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起83は、ある一定分だけ重なり合うように配置されているので、流路81の壁82に沿って流通する流れは、必ず突起83に出会う。その後、流路81の壁82に沿って流通する流れは、下流に流通するに従い、何度も何度も突起83に出会いながら、塵埃凝集路80内を通過する。
このように、塵埃凝集路80においては、突起83は、流路81内において気体が流れる方向に沿って複数配置され、それぞれの突起83は、流路81の上流側から下流側に向かって突起83を投影したときにそれぞれの突起83の一部が重なり合うように配置されている。このようにすることにより、流路81に沿って流れる気体が突起83の周囲を通過しやすくなり、効率よく渦を発生させることができる。
したがって、実施形態1−Bの塵埃凝集路80においては、流路81の壁82から(1/8)Dの距離までの位置を流通する気流に対して最も効率的に攪乱できるとともに、発生する双子渦の数を多くすることができる。
このように、塵埃凝集路80において、突起83は、流路81内において気体が流れる方向に沿って複数配置され、それぞれの突起83は、流路81の上流側から下流側に向かって突起83を投影したときにそれぞれの突起の一部が重なり合うように配置されていることにより、流路81に沿って流れる気体が突起83の周囲を通過しやすくなり、効率よく渦を発生させることができる。
また、塵埃凝集路80を流通する流体に、例えば柔軟な素材でできた布状のものであって流路81の径と同程度の大きさの異物(例えば布状や網目状の素材、例えばハンカチやパンティーストッキングといったもの)その他が混入していた場合、塵埃凝集路の突起の形状が湾曲構造または矩形を成していると、布状の異物が突起に引っ掛かりやすく、そのため塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性があるが、実施形態1−Bにおいては、突起83は流れの上流側に滑らかな三角錐突起を成しているため、前述の布状の異物その他は引っ掛かりにくい。
従って、実施形態1−Bの塵埃凝集路80を用いれば、多数の双子渦の攪乱により、十分な凝集性能を得ながら、第1実施形態から実施形態1−Aの塵埃凝集路よりも、例えば、流れに布状の異物その他が混入する可能性のある場合には、布状の異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができるため、信頼性の高い塵埃凝集路80を得ることができる。
(実施形態1−C)
図23は、実施形態1−Cの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図24は実施形態1−Cの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図25は、実施形態1−Cの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図23から図25に示すように、実施形態1−Cの塵埃凝集路100においては、複数の突起103が流路101の壁102の内面上に設けられている。それぞれの突起103は、実施形態1−Bの突起83と同一形状の三角錐状突起により形成されており、その配列または配置が異なる。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されている。また、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列でもよい。その他の部分は実施形態1−Bと同様である。
実施形態1−Cの塵埃凝集路100によると、突起103により、実施形態1−Bの突起83によって生じる渦と略同一の双子渦が生ずる。但し、実施形態1−Bの突起83に対して、個数が少なく、また、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わない配列になっているため、流路101の壁102に沿って流通する流れの多くは突起103に一度だけ出会い、突起103と突起103の間を流通する流れは、突起103に一度も出会わない。故に、実施形態1−Cの塵埃凝集路100においては、流れに与えることができる攪乱は実施形態1−Bの塵埃凝集路80に比べ、大幅に低下する。
しかしながら、実施形態1−Cの塵埃凝集路100は、成型方法が極めて容易となる利点がある。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されているため、例えば、塵埃凝集路100を樹脂成型する場合、塵埃凝集路100の上流側を金型の可動側に設定し、塵埃凝集路100の下流側を金型の固定側に設定し、金型を構成すれば、複雑な金型構成を必要とせず、塵埃凝集路100を一体で成型することができる。
また、塵埃凝集路100内を流通する流体に、例えば流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物(例えば牛乳キャップといったもの)その他が混入していた場合、例えば、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の乱れ発生部が配置しているため、流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物の端部が同時に複数の突起に引っ掛かる可能性が高く、そのため塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性があるが、実施形態1−Cにおいては、突起103は流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列に設定されるため、流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他は引っ掛かりにくい。
従って、実施形態1−Cの塵埃凝集路100を用いれば、極めて成形性が良いとともに、例えば、流れに流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他が混入する可能性のある場合には、異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができる。このようにして、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に有する塵埃凝集路を得ることができる。
図26から図30は、実施形態1−Cにかかる突起の他の配列を模式的に示す図である。(A)流路方向に垂直な方向に見た図と、(B)その流れの上流側から投影した模式図である。
図26に示すように、流れ方向に垂直な方向の面の周上に、複数の突起103が配置されるが、それぞれの突起は互いに近い箇所、円筒状の流路の場合には、望ましくは90°程度の範囲に、流れ方向に垂直な方向の面内に配置された複数の突起103が集まっていれば、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に得られる。
図27に示すように、隣り合う突起103が互いに重ならないように多少ずらして配置し、突起によって生じる異物のつまりを防止したものや、さらに同様の効果を得るものとして、図28のように、突起をいくつかグループに分けて、そのグループを互いに流路方向にずらして配置したものや、図29と図30のように鋸歯状配列が例示できる。これらはいずれも極めて高い成形性が得られる。
図31は、実施形態1−Cの塵埃凝集路における隣接した突起の配置を示す図である。
図31に示すように、流れ方向と平行な方向から見た投影面内に突起103が重ならないように配置したとき、隣り合う突起103の距離を距離Wとすると、次の式によりWを表すことができる。
W=2α+γtanβ (ただしα、β、γは任意の正の整数)
突起103においてα、βをそれぞれ3mm以上、γ(mm)を任意の数とする。
気流に平行な方向Sに分離した金型を用いて塵埃凝集路100を作製すると、流路101と突起103を一度に成型することができる。このようにすることにより、成型コストを大幅に削減することができる。突起103間の距離については、最低限W(mm)確保することによって、気流に垂直となる投影面内に突起が互いに重なり合わないように配置し、また、突起と突起の間に入る金型の強度を確保することができる。
(実施形態1−D)
図32は実施形態1−Dの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図33は実施形態1−Dの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図34は、実施形態1−Dの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図32から図34に示すように、本発明の実施形態1−Dにおいては、実施形態1−Bの突起83に替えて、複数の突起113が流路111の壁112の内面上に設けられている。突起113は、実施形態1−Bの突起83と比べて、大きさが1/2(流れ方向の長さ:JM=(1/4)D、三角錐高さ:NM=(1/16)D)の相似形の三角錐状突起により形成されており、設置に関しても1/2の相似で配置される。なお、三角錐状突起の個数は実施形態1−Bの約4倍に設定されている。その他の部分は実施形態1−Bと同様である。
実施形態1−Dの塵埃凝集路110によると、突起113により、実施形態1−Bの突起83に対してスケールが1/2の略相似形の双子渦が生ずる。1つの突起113により生ずる双子渦は、実施形態1−Bの突起83により生ずる双子渦と比較して、強度は弱くなるが、その分突起113の個数を多く設定しているため、略同様の攪乱を流れに与えることができる。
但し、前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路111の壁面から(1/8)Dまでの位置において特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるが、実施形態1−Dの複数かつ多段に配置された突起113は、高さが(1/16)Dに設定されているため、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路111の壁112から(1/8)Dまでの距離の位置のうち、積極的に攪乱を与えることができるのは約半分の領域のみに限られる。
しかしながら、実施形態1−Dの突起113には、次のような利点がある。即ち、実施形態1−Dの突起113の高さは、(1/16)Dに設定されており、実施形態1−Bの突起83の高さに比べて1/2のため、流れ方向に垂直な方向における同一面内に配置された突起113による流路面積の減少幅が1/4になるので、その分、塵埃凝集路110の圧力損失は実施形態1−Bの塵埃凝集路80に比べて格段に小さくなる。
さらに、実施形態1−Dの突起113の高さは、(1/16)Dに設定されているため、突起113により発生する双子渦が塵埃凝集路110の流路111の壁112に発達する速度の境界層に影響を与え、境界層厚みを薄くする効果が得られる。
一般に、流路の壁面部近傍には、流路内部を流通する流体の粘性により、速度の境界層ができる。境界層内部の流速は、流路中央部に比べて風速が遅く、その領域は流れに対する抵抗が大きい。即ち、境界層が発達して境界層の厚みが厚くなると、それだけ流れやすい領域の面積が減少し、見かけ上、流路の断面積が小さくなったような挙動を示す。従って、境界層が発達して境界層の厚みが厚くなると、その流路の圧力損失は増大する。
実施形態1−Dの突起113により発生する双子渦は、渦のスケールが小さく、また、より壁面部近傍に発生するため、突起113により発生する双子渦が上記の境界層の発達を抑制し、そのため、流路壁面の流れに対する抵抗が小さくなり、流路111の圧力損失が大幅に低下する。
例えば、流路111の径DがD=40mm、流れの代表流速が25m/秒、常温常圧の場合、実験結果によると、(乱れ発生部による圧力損失)<(乱れ発生部による境界層の発達抑制効果)となり、多数の突起113が存在するにもかかわらず、突起のない流路よりも圧力損失が小さい塵埃凝集路110が得られた。
また、塵埃凝集路110を流通する流体に、異物その他が混入していた場合においても、突起113は、実施形態1−Bの突起83に対して高さが1/2のため、突起113は、実施形態1−Bの突起83に対して異物がより一層引っ掛かりにくい。
従って、実施形態1−Dの塵埃凝集路110を用いれば、多数の双子渦の攪乱により、十分な凝集性能を得ながら、さらに、管路摩擦抵抗を低減することができるため、圧力損失を大幅に低減した塵埃凝集路110を得ることができる。また、例えば、流れに異物その他が混入する可能性のある場合においても、異物が突起113に引っ掛かってつまるといった不具合を略完全に防止することができるため、極めて信頼性の高い塵埃凝集路110を得ることができる。
(実施形態1−E)
図35は、この発明の実施形態1−Eの塵埃凝集路の要部を示す斜視図、図36は実施形態1−Eの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図37は、実施形態1−Eの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図35から図37に示すように、塵埃凝集路40は、流路41と、壁42と、渦発生手段として複数の突起43とを備える。流路41は、円筒状の壁42によって形成されている。突起43は、翼形状の突起である。突起43の形状は、流路41の流れ方向に垂直な面における流路幅の代表長さ(正方形流路の場合は一辺の長さ、円形流路の場合は直径)をDとして、翼弦長C=(3/8)D、食違角(翼弦と流れ方向の成す角)が上流側から下流側に見て反時計回りに22.5°、最大そり位置が前縁より0.65C位置、下流側に凸、高さh=(1/8)Dの形状をなす。突起43の配置は、流れ方向に垂直な方向の同一面に、等間隔で6個、つまり、円管状の流路41の壁42の内面に60°おきに設置されている。
図38は、実施形態1−Eの塵埃凝集路における突起の周囲の気体の流れを模式的に示す図である。
図38(A)に示すように、翼形状を呈する突起43の凹側面に沿う流れの流速V1は、突起43への流れの衝突のため、せき止められて、流路41内を流通する流体の流速に対しやや遅くなる。逆に、突起43の凸側面に沿う流れの流速V2は、流路内を流通する流体の流速に対しやや速くなる。そのため、図38(B)に示すように、突起43の周囲において、流路41内を流通する流体の流速を基準とした相対速度を考えると、凸側面においては流路41の上流側から下流側へ、凹側面においては流路41の下流側から上流側へ、突起43の周りを回転する循環V3が生ずる。
図39は、突起の周囲に生じる渦を模式的に示す図である。
図39に示すように、図38(B)に示す突起43の周囲の循環V3により、翼形状を呈する突起43の翼端部から強い馬蹄渦V4が発生し、その馬蹄渦V4は突起43の下流側の流路41の壁42に沿って下流へ移動する。この馬蹄渦V4は突起43の下流を流通する流れに強い旋回を与える。
実施形態1−Eの塵埃凝集路40においては、突起43の翼高さhは、h=(1/8)Dであるので、馬蹄渦V4の発生直後の馬蹄渦V4の直径は、流路41内を流通する流体の流速にもよるが、(1/8)Dか、またはそれよりもやや大きいサイズになる。前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーに集中しているような場合、径がDの流路41の壁42の内面からの距離が(1/8)Dまでの位置において特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるので、突起43は、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路41の壁42から(1/8)Dまでの位置を、馬蹄渦V4によって積極的に攪拌するように設定されている。
このように、塵埃凝集路40においては、突起43は、壁42からの高さが、流路41の気体が流れる方向に垂直な断面の代表長さの八分の一であることにより、異物が突起43に引っかかりにくくなる。
図40は、本発明の実施形態1−Eの突起により発生する渦の様子を模式的に示した図である。図40(A)は、流路を正面から見た図であり、図40(B)は、流路を側面から見たときの図である。
図40に示すように、塵埃凝集路40においては、気体Pが流路41内に流入すると、流路41の壁42の内面に、6か所に突起43を等間隔に設置しているので、流路41の壁42の内面近傍に6本の同一回転方向の馬蹄渦V4が略等間隔に生ずる。また、隣合う渦同士は同一方向に回転しているため、渦と渦の接面における流れは、流れ方向に垂直な面における流線ベクトルを考えると、一方は流路中央部から壁面部へ向かう方向、他方は流路壁面部から中央部へ向かう方向となり、衝突しあう方向となるため、それぞれの渦の流れに運ばれる微細塵は、より衝突確率が高められる。
このように、塵埃凝集路40においては、突起43が複数配置されていることにより、流路41内に多数の渦を発生させて、塵埃凝集の効果を高めることができる。
従って、実施形態1−Eの塵埃凝集路40を用いれば、第3実施形態の塵埃凝集路30よりも、流れにより運ばれる微細塵の衝突確率がより高められるので、塵埃の凝集能力は大幅に高められる。
このように、塵埃凝集路40においては、渦発生手段は突起43を含み、突起43は、突起43の周囲を通過する気体の速度を不均一にするように壁42の内面から突出して形成されている。
このようにすることにより、塵埃凝集路40を流通する塵埃は、塵埃が気流によって流路41内に導かれる段階と、塵埃が直進する気流によって流路41内部を搬送される段階と、塵埃が流路41の壁42から突出した突起43の下流に生ずる渦流に巻き込まれて流通する段階と、複数の塵埃が渦流により互いに衝突する段階と、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成する段階と、塵埃塊が気流によって流路41内部を搬送される段階を順次経る。
このようにすることにより、簡単な構造で、塵埃中の粒子どうしの衝突回数を増加させて凝集を促し、粒子数を低減させるとともに見かけ上の粒子径を大きくすることが可能な塵埃凝集路40を提供することができる。
(実施形態1−F)
図41は、この発明の実施形態1−Fの塵埃凝集路の要部を示す斜視図、図42は実施形態1−Fの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図43は、実施形態1−Fの塵埃凝集路を示す側断面図である。
図41から図43に示すように、実施形態1−Fの塵埃凝集路50においては、実施形態1−Eの突起43に替えて、突起53が設けられている。1つの突起53は、実施形態1−Eの突起43と同一形状の翼形状突起により形成されているが、配置が異なる。
塵埃凝集路50においては、流路方向に隣り合う2つの突起53が、流れの上流側から下流側に向かって、階段状に配置される。階段状に配置された2つの突起53は、上流側から見て一部が重なって配置される、すなわち、上流側に配置された突起53の終端から下流に気流の仮想線を描くと、仮想線が下流側に配置された突起53に交差するように配置される。実施形態1−Fの塵埃凝集路50のその他の部分は、実施形態1−Eの塵埃凝集路40と同様である。
実施形態1−Fの塵埃凝集路50においては、上流側に配置された突起53において発生した馬蹄渦V5を、下流側に配置された突起53において、さらに増強することにより、より強い馬蹄渦V6が生成される。渦は下流に移動するに従って徐々に減衰するが、塵埃凝集路50において生成する渦は、塵埃凝集路40において生成する渦よりも渦の強度が強いので、渦が減衰するまでの距離(到達距離)が長く、より下流にまで渦の影響を及ぼすことができる。流路51の壁52の内面近傍には、6本の同一回転方向の馬蹄渦が略等間隔に生ずる。
図44は、実施形態1−Fの塵埃凝集路における突起の周囲の気体の流れを模式的に示す図である。
図44に示すように、2つの突起53を階段状に配置しているため、上流側で発生した馬蹄渦V5は、下流側の突起53によって生じる渦に取り込まれて、効果的に強い馬蹄渦V6を生成できる。
さらに、隣合う渦同士は同一方向に回転しているため、渦と渦の接面における流れは、流れ方向に垂直な面における流線ベクトルを考えると、一方は流路中央部から壁面部へ向かう方向、他方は流路壁面部から中央部へ向かう方向となる。このように、流れどうしが衝突しあう方向となるため、それらの流れに運ばれる微細塵は、より衝突確率が高められる。
従って、実施形態1−Fの塵埃凝集路50を用いれば、より強い渦を生成できるので、渦の到達距離が長く、その分、流れにより運ばれる微細塵の衝突確率がより高められるので、塵埃の凝集能力は大幅に高められる。また、実施形態1−Eの塵埃凝集路40よりも、流れの摩擦が低減されるので、より圧力損失を低減することができる。
なお、実施形態1−Fの塵埃凝集路50によれば、圧力損失は実施形態1−Eの塵埃凝集路40と同等でありながら、微細塵の衝突確率は実施形態1−Eの塵埃凝集路40に対して約30%向上するため、塵埃凝集路50によると、さらに高性能の塵埃凝集路を得ることができる。
(実施形態1−G)
図45は、この発明の実施形態1−Gの塵埃凝集路の要部を示す斜視図、図46は実施形態1−Gの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図47は、実施形態1−Gの塵埃凝集路を示す側断面図である。
図45から図47に示すように、実施形態1−Gの塵埃凝集路60においては、実施形態1−Fの突起53に替えて、突起63a、突起63b、突起63c、突起63dが設けられている。突起(63a、63b、63c、63d)は、突起53と同一形状の翼形状突起により形成されており、設置個数も同一であるが、隣合う突起63aと突起63c、突起63bと突起63dは、食違角(翼弦と流れ方向の成す角)が互いに逆になるように配置されている。すなわち、突起(63a、63b、63c、63d)は、凹部を形成するように湾曲した形状を有し、気体の流れる方向に交差する方向において隣り合う二つの突起は、それぞれ二つの凹部が互いに対向するように配置されている。流路61内の壁62においては、気流の方向と垂直に交差する断面の周の方向には、3つの突起63aを、食違角が上流側から下流側に見て時計回りに22.5°になるように等間隔に配置し、その3つの突起63aのそれぞれの間に、3つの突起63cを、食違角が上流側から下流側に見て反時計回りに22.5°になるように配置する。また、突起63aと突起63cの下流側に、気流の方向と垂直に交差する断面の周の方向に、3つの突起63bを、食違角が上流側から下流側に見て時計回りに22.5°になるように等間隔に配置し、その3つの突起63bのそれぞれの間に、3つの突起63dを、食違角が上流側から下流側に見て反時計回りに22.5°になるように配置する。気流の流れる方向に沿っては、突起63aの下流側に突起63bを配置し、突起63cの下流側に突起63dを配置する。4つの突起は、突起63aと突起63cの凹部どうしの間の距離が、突起63bと突起63dの凹部どうしの間の距離よりも大きくなるように配置されている。
実施形態1−Gの塵埃凝集路60においては、それぞれの突起(63a、63b、63c、63d)においては、実施形態1−Eの突起43と同様の馬蹄渦が発生し、馬蹄渦がその下流側の流路61の壁62に沿って下流へ移動するため、突起の下流を流通する流れに強い旋回を与える。
図48は、実施形態1−Gの塵埃凝集路の突起の周囲に発生する渦の様子を模式的に示す図である。
図48に示すように、実施形態1−Gの塵埃凝集路60の流路61内においては、12個の突起を、それぞれが互い違いの方向を向くように配置している。そのため、流路61の壁62の内面近傍において、隣合う渦同士がそれぞれ逆方向に回転する、6本の馬蹄渦V7が生ずる。上流側の突起63aと突起63cで発生した馬蹄渦V7は、下流側の突起63bと突起63dの間を流れる気流に取り込まれ、強い馬蹄渦V8を生成する。さらに、突起63bと突起63dを互い違いに配置しているため、下流側の突起63bと突起63dで生成された渦がそれぞれ強めあうように働くため、より強い馬蹄渦V8を生成することができる。
また、隣合う渦同士はそれぞれ逆方向に回転しているため、渦と渦の接面における流れは、流れ方向に垂直な面における流線ベクトルを考えると、一方が流路中央部から壁面部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなり、一方が流路壁面部から中央部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなるので、スムーズに合流する方向となり、流れの粘性による摩擦抵抗が減少する。そのため、実施形態1−Gの流路61においては、実施形態1−Fの流路51に比べて、渦による圧力損失が低減する。
このように、塵埃凝集路60においては、突起(63a、63b、63c、63d)は、凹部を形成するように湾曲した形状を有し、気体の流れる方向に交差する方向において隣り合う二つの突起は、それぞれ二つの凹部が互いに対向するように配置されている。このようにすることにより、隣り合う突起で生成された渦は、互いに逆方向に回転しながら下流に進む。そのため、隣り合う渦と渦との接面においては、これらの渦を形成している気流は、同じ方向に進む流れとなる。したがって、隣り合う突起で生成された渦は、スムーズに合流し、流れの粘性による摩擦抵抗が減少する。このようにして、流路61内の圧力損失を減少することができる。
従って、実施形態1−Gの塵埃凝集路60を用いれば、実施形態1−Eの塵埃凝集路40よりも、流れの摩擦が低減されるので、より圧力損失を低減することができる。なお、流れの摩擦による微細塵の衝突確率は実施形態1−Eの塵埃凝集路40に対して約5%低下するが、圧力損失は実施形態1−Eの塵埃凝集路40に対して約10%低下するため、実施形態1−Gによると、実施形態1−Eの塵埃凝集路40よりもさらに高いパフォーマンスの塵埃凝集路60を得ることができる。
(実施形態1−H)
この発明の実施形態1−Hの塵埃凝集路は、流路の上流側の一部分に実施形態1−A〜実施形態1−Gのいずれかの突起を有し、かつ流路の下流側の一部分または突起が、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2帯電部とを有し、第1帯電部と第2帯電部とが対向するように配置されている。
このようにすることにより、実施形態1−Hの塵埃凝集路に流入する気体は、以下の段階を経ながら塵埃凝集路を通過する。すなわち、塵埃が気流によって流路内に導かれる段階と、塵埃が直進する気流によって流路内部を搬送される段階と、塵埃が流路の壁面に沿って流通する段階と、塵埃が流路の壁面から突出した突起に衝突する段階と、塵埃が突起の下流に生ずる渦流に巻き込まれて流通する段階と、塵埃が渦流により複数回にわたって流路の壁面に衝突する段階と、複数の塵埃が渦流により互いに衝突する段階と、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成する段階と、塵埃塊が気流によって流路内部を搬送される段階とを順次経る。
このとき、第1帯電部および第2帯電部を流通する気流は、以下に示すように制御される。すなわち、塵埃が気流によって流路内部を搬送されるときに、塵埃を壁面および突起に衝突させて帯電させたのち、塵埃同士を衝突させる気流制御を行うとともに、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成させる期間が設けられている。
このようにすることにより、第1帯電部に衝突して正に帯電された塵埃と、第1帯電部に衝突していない塵埃との衝突が促進される。それらの塵埃が衝突すると、前者の塵埃の電荷により後者の塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した第1の塵埃塊が生ずる。第1の塵埃塊は、全体として正に帯電している。また、第1の塵埃塊と同様のメカニズムにより、第2帯電部により全体として負に帯電している第2の塵埃塊が生ずる。
そして、さらに、第1帯電部により生成した正に帯電されている第1の塵埃塊と、第2帯電部により生成した負に帯電されている第2の塵埃塊とを衝突させるように気流制御を行うとともに、衝突した第1の塵埃塊と第2の塵埃塊が静電気力により結合してさらに大きな塵埃塊(大クラスタ)を形成させる期間が設けられている。
このように気流制御を行うことにより、全体として正に帯電している第1の塵埃塊と、全体として負に帯電している第2の塵埃塊との衝突が促進される。
第1の塵埃塊と第2の塵埃塊とが衝突すると、前者の塵埃塊のもつ正の電荷と、後者の塵埃塊のもつ負の電荷とから生ずる強い静電気力により前者の塵埃塊と後者の塵埃塊との間にさらに強い結合力が生ずる。この結合力により複数の塵埃塊がさらに凝集した大塵埃塊が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集を繰り返し、大きな塵埃塊(大クラスタ)となる。
このように、塵埃凝集路においては、壁および/または渦発生手段は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2帯電部とを有し、第1帯電部と第2帯電部とが対向するように配置されていることにより、塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、塵埃を負に接触帯電する第2帯電部により、塵埃が気流によって流路を搬送されるとき、塵埃が第1帯電部もしくは第2帯電部と接触して異なる極性に帯電され、正もしくは負に帯電された塵埃に塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。これにより正もしくは負に帯電した塵埃を静電気作用で相互に吸着させることにより、塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。
なお、突起は流路の壁の内面に複数設けられ、その配列は、塵埃凝集路を上流側から投影したときに、複数の突起は互いに一部分だけ重なり合うように配置されていると、塵埃が壁面または突起により衝突しやすくなる。
このように、渦発生手段と、帯電部とを併せ持つ塵埃凝集路においては、渦発生手段が流路内に突出しているため、粒子が内壁に接触しやすい。さらに、渦発生手段による壁面の面積増大により壁面と粒子の衝突確率を増加できる。渦発生手段により生成された渦により粒子と壁面との衝突確率を増大することができるので、粒子と内壁の接触回数を増加させることができる。このようにすることにより、塵埃中の粒子がより帯電しやすくなるために、さらに凝集しやすくなり、塵埃塊の生成が促進される。
実施形態1−Hのさらに別の形態として、実施形態1−Aから実施形態1−Gの塵埃凝集路を帯電部材を用いて形成する場合には、突起は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1突起部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2突起部とを有し、第1突起部と第2突起部とが対向するように配置されていてもよい。
例えば、実施形態1−Gの突起63aと突起63dを第1突起部とし、突起63cと突起63dを第2突起部とする。
このように、塵埃を正に接触帯電する突起63aと突起63dと、塵埃を負に接触帯電する突起63cと突起63dにより、塵埃が気流によって流路を搬送されるとき、塵埃が第1突起部もしくは第2突起部と接触して異なる極性に帯電され、正もしくは負に帯電された塵埃に塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。これにより正もしくは負に帯電した塵埃を静電気作用で相互に吸着させることにより、塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。
また、実施形態1−Hの塵埃凝集路においては、突起は、壁と同一の材質で形成されていることが好ましい。
このようにすることにより、流路内を流通する気体に含まれる塵埃中の粒子は、壁と突起のどちらに衝突しても帯電するので、凝集の効果を高めることができる。
(実施形態1−I)
この発明の実施形態1−Iの塵埃凝集路は、流路の上流側の一部分に実施形態1−A〜実施形態1−Gのいずれかの突起を有し、かつ流路の下流側の一部分または突起が、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正または負に接触帯電することが可能な材質で形成されている。
上記構成の塵埃凝集路において、塵埃が気流によって流路内に導かれる段階と、塵埃が直進する気流によって流路内部を搬送される段階と、塵埃が流路の壁面に沿って流通する段階と、塵埃が流路の壁面から突出した突起に衝突する段階と、塵埃が突起の下流に生ずる渦流に巻き込まれて流通する段階と、塵埃が渦流により複数回にわたって流路の壁面に衝突する段階と、複数の塵埃が渦流により互いに衝突する段階と、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成する段階と、塵埃塊が気流によって流路内部を搬送される段階と、を順次経る。
このとき、塵埃凝集路を流通する気流は、以下に示すように制御される。即ち、塵埃が気流によって流路内部を搬送されるときに、塵埃を壁面および突起に衝突させて帯電させたのち、塵埃同士を衝突させる気流制御を行うとともに、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成させる期間を設ける。
このようにすることにより、塵埃凝集路に衝突して正または負に帯電された塵埃と、塵埃凝集路に衝突していない塵埃との衝突が促進される。それらの塵埃が衝突すると、前者の塵埃の電荷により後者の塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した塵埃塊(クラスタ)が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集し、塵埃塊(クラスタ)となる。
実施形態1−Iのさらに別の形態としては、実施形態1−Aから実施形態1−Gの塵埃凝集路を帯電部材で形成する場合に、突起は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正または負に接触帯電することが可能な材質で形成されていてもよい。
例えば、実施形態1−Eの突起43を、流路41を流通する気体に含まれる塵埃を正または負に接触帯電することが可能な材質で形成する。
このようにすることにより、塵埃凝集路40の突起43に衝突して正または負に帯電された塵埃と、塵埃凝集路40の突起43に衝突していない塵埃との衝突が促進される。これらの塵埃が衝突すると、塵埃凝集路40の突起に衝突して正または負に帯電された塵埃の電荷により、塵埃凝集路40の突起43に衝突していない塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した塵埃塊(クラスタ)が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集しやすくなり、塵埃塊(クラスタ)が形成されやすくなる。
また、実施形態1−Iの塵埃凝集路においては、突起は、壁と同一の材質で形成されていることが好ましい。
このようにすることにより、流路内を流通する気体に含まれる塵埃中の粒子は、壁と突起のどちらに衝突しても帯電するので、凝集の効果を高めることができる。
以上のように、本発明は、微粒子を凝集する機構に関するものである。本機構を利用して微粒子の捕集効率を向上させる事が可能となるため、本発明の塵埃凝集路を掃除機、空気清浄機、空気調和機等へ適用することができる。
(実施形態1−J)
突起の高さによる異物の引っかかりやすさの違いを調べる実験を行った。円管の直径D=40mm、流れの代表流速=20m/秒、常温常圧とする。表中の○印は3回とも異物の引っかかりはなかったことを示し、×印は3回とも三角錐に引っかかったことを示す。△印は3回測定の内1回は異物が乱れ発生部に引っかかったことを示す。ここで表1に、三角錐の底面の形状は同一で、突起として三角錐の高さhをh=D/αとして、αの値を2、4、8、16と変えて、流路として円管内に表1に示す合計10種類について異物が流入した場合に乱れ発生部に異物が引っかかるかどうか各3回吸引測定を行った結果を示す。また、参考として実施形態1−Gに示す塵埃凝集路の測定結果を同様に示す。
表1に示す結果より、三角錐高さh=5mm((1/8)D)とした場合で、ほとんどの異物が引っかかることなく通過することが分かった。 また、三角錐の底面部から各辺をそのまま高さ方向を流れに垂直な方向に配置した三角柱のような形状とした場合、本実施形態のように流れに対して斜辺ではないために異物が引っかかりやすい。表2に、三角錐を形成する各辺にアール部を形成した場合の同様の測定結果を示す。
表4に示すように、三角錐高さh=10mm((1/4)D)の場合でも、三角錐を形成する各辺にアール部を形成することで異物が引っかかりにくくなった。
(第2実施形態)
図23は、第2実施形態の塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図24は第2実施形態の塵埃凝集路の要部を示す正面図、図25は、第2実施形態の塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図23から図25に示すように、第2実施形態の塵埃凝集路100においては、複数の突起103が流路101の壁102の内面上に設けられている。それぞれの突起103は、三角錐状突起により形成されており、その配列または配置が異なる。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されている。また、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列でもよい。
第2実施形態の塵埃凝集路100によると、突起103により、双子渦が生ずる。また、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わない配列になっているため、流路101の壁102に沿って流通する流れの多くは突起103に一度だけ出会い、突起103と突起103の間を流通する流れは、突起103に一度も出会わない。
第2実施形態の塵埃凝集路100は、成型方法が極めて容易となる利点がある。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されているため、例えば、塵埃凝集路100を樹脂成型する場合、塵埃凝集路100の上流側を金型の可動側に設定し、塵埃凝集路100の下流側を金型の固定側に設定し、金型を構成すれば、複雑な金型構成を必要とせず、塵埃凝集路100を一体で成型することができる。
また、塵埃凝集路100内を流通する流体に、例えば流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物(例えば牛乳キャップといったもの)その他が混入していた場合、例えば、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の乱れ発生部が配置しているため、流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物の端部が同時に複数の突起に引っ掛かる可能性が高く、そのため塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性があるが、第2実施形態においては、突起103は流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列に設定されるため、流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他は引っ掛かりにくい。
従って、第2実施形態の塵埃凝集路100を用いれば、極めて成形性が良いとともに、例えば、流れに流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他が混入する可能性のある場合には、異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができる。このようにして、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に有する塵埃凝集路を得ることができる。
図26から図30は、第2実施形態にかかる突起の他の配列を模式的に示す図である。(A)流路方向に垂直な方向に見た図と、(B)その流れの上流側から投影した模式図である。
図26に示すように、流れ方向に垂直な方向の面の周上に、複数の突起103が配置されるが、それぞれの突起は互いに近い箇所、円筒状の流路の場合には、望ましくは90°程度の範囲に、流れ方向に垂直な方向の面内に配置された複数の突起103が集まっていれば、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に得られる。
図27に示すように、隣り合う突起103が互いに重ならないように多少ずらして配置し、突起によって生じる異物のつまりを防止したものや、さらに同様の効果を得るものとして、図28のように、突起をいくつかグループに分けて、そのグループを互いに流路方向にずらして配置したものや、図29と図30のように鋸歯状配列が例示できる。これらはいずれも極めて高い成形性が得られる。
図31は、第2実施形態の塵埃凝集路における隣接した突起の配置を示す図である。
図31に示すように、流れ方向と平行な方向から見た投影面内に突起103が重ならないように配置したとき、隣り合う突起103の距離を距離Wとすると、次の式によりWを表すことができる。
W=2α+γtanβ (ただしα、β、γは任意の正の整数)
突起103においてα、βをそれぞれ3mm以上、γ(mm)を任意の数とする。
気流に平行な方向Sに分離した金型を用いて塵埃凝集路100を作製すると、流路101と突起103を一度に成型することができる。このようにすることにより、成型コストを大幅に削減することができる。突起103間の距離については、最低限W(mm)確保することによって、気流に垂直となる投影面内に突起が互いに重なり合わないように配置し、また、突起と突起の間に入る金型の強度を確保することができる。
塵埃を、気流により上流側から下流側へ搬送する過程において、壁面に突起を形成し、その突起により気流を乱し、それにより塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる。
そういった機能を持つ攪拌凝集経路を備えた塵埃凝集路を設けることにより、塵埃塊にクラスタ化して成長した塵埃は、クラスタ化していない塵埃に比べ、例えば流路のさらに下流に設けられる遠心分離機やフィルタにより、より効率よく分離または集塵される。
突起は、単に気流を乱すものよりも、下流側に強い渦を発生させるものである方が、塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成をより促進させることができる。
管路の壁面に突起を備え、下流側に強い渦を発生させる攪拌凝集経路を備える場合、攪拌凝集経路の入口の中心と、出口の中心と、を結ぶ管状経路の軸芯に平行な方向に複数の突起を、安易に近接して形成すると、上流側に配された突起により生じた渦が、流れの下流側に配された突起により、渦強度を減衰させられてしまう場合がある。このような場合、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれる。
また、1つの突起に対し、軸芯に垂直な方向に、他の突起を配置する場合も、安易に近接して形成すると、突起により生じた渦が、軸芯に垂直な方向の隣に配された突起により、渦強度を減衰させられてしまう場合がある。このような場合においても、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれる。
また、突起のある管路を成型する場合、軸芯に平行な方向に2分割して成型すると、容易に成型できるが、このようにすると、壁面に分割部品の合わせ面の位置に軸芯に平行な方向の筋が2本生ずる。この筋は、安易に成型すると、段差になり、その場合には、突起により生じた渦が、渦強度を減衰させられてしまう場合がある。このような場合においても、やはり、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれる。
攪拌凝集経路の突起により生成される渦が、突起に近接して配置された他の突起や、壁面に生ずる段差により、渦の強度を減衰させないようにし、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれるのを未然に防止するためには、次のような構成が望ましい。
(実施形態2−1)
上述した攪拌凝集経路100は、成型時に分割されて成型されず、一体成型にて管状に形成されるべきである。
この構成によると、分割部品の合わせ面が壁面に生じるといったことがなく、そのため攪拌凝集経路の壁面に筋や段差が生じず、突起により生じた渦が、渦強度を減衰させられてしまうようなこともなく、塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれるといった不具合を未然に防止できる。
(実施形態2−2)
実施形態2−2においては、攪拌凝集経路に設けられた突起は、入口の中心と、出口の中心と、を結ぶ管状経路の軸芯に平行な方向に1つだけ設けられるべきである。
この構成によると、1つの突起に対し、軸芯に平行な方向に複数の突起を設けないので、上流側に配された突起により生じた渦が、流れの下流側に配された突起により、渦強度を減衰させられることもなく、故に、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれることもない。
図49は、実施形態2−2として、軸芯に垂直な方向の間隔を説明する図である。
図49に示すように、塵埃凝集経路に設けられた突起103は、軸芯に垂直な方向には複数配列されるが、軸芯に垂直な方向に配列された複数の突起103の、軸芯に垂直な方向の間隔sは、塵埃凝集経路の幅(円管ならば直径、長辺と短辺をもつ矩形管ならば短辺)をDとして、s≧0.05Dに構成されるべきである。
この構成によると、1つの突起に対し、軸芯に垂直な方向に複数の突起がもうせられた場合においても、0.05D以上の間隔が設けられているため、突起により生じた渦が、軸芯に垂直な方向の隣に配された突起により、渦強度を減衰させられることもなく、故に、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれることもない。
(実施形態2−3)
実施形態2−3として、塵埃凝集経路が成型される成型用金型は、塵埃凝集経路の入口側と出口側とに分割されて移動するように形成されるべきである。
この構成によると、塵埃凝集経路を、分割せずに一体成型にて管状に形成できるので、塵埃凝集経路の壁面に、筋や段差も生じず、突起により生じた渦が、渦強度を減衰させられてしまうようなこともなく、塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれるといった不具合を未然に防止することが可能な塵埃凝集経路を、容易に成型することができる成型金型が得られる。
なお、1つの突起に対し、軸芯に平行な方向に複数の突起を近接しても、上流側に配された突起により生じた渦が、流れの下流側に配された突起により、渦強度を減衰させられないか、または、更に増強するような配置が有り得る。
また、1つの突起に対し、軸芯に垂直な方向に複数の突起を近接しても、突起により生じた渦が、軸芯に垂直な方向の隣に配された突起により、渦強度を減衰させられないか、または、更に増強するような配置が有り得る。
このような場合においては、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なわれることはない。
しかし、このようにするには、攪拌凝集経路の突起の配列を緻密に計算する必要があるため、設計に時間とコストがかかってしまうというデメリットが新たに生ずる。
さらに、また、突起のある管路を成型する場合、軸芯に平行な方向に2分割して成型するとともに、分割部品の成型精度を厳しく管理した場合には、合わせ面の位置に軸芯に平行な方向の筋や段差は生じない。
このような場合においても、渦によって生まれる塵埃同士の衝突による凝集効果が損なれることはない。
しかし、このようにするには、攪拌凝集経路の成型精度を厳しく管理する必要があるため、設計は成型管理に時間とコストがかかってしまうというデメリットが新たに生ずる。
なお、塵埃凝集路の第2実施形態を要約すると、以下のとおりである。
(1)塵埃凝集路は、気流により塵埃を上流側から下流側へ搬送する過程において、塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる攪拌凝集経路を備えた塵埃凝集路において、攪拌凝集経路は、入口と出口を連通する管状経路を成し、壁面と、壁面に形成された突起にて構成され、成型時に分割されて成型されず、一体成型にて管状に形成されることを特徴とする。
(2)塵埃凝集路においては、攪拌凝集経路に設けられた突起は、入口の中心と、出口の中心と、を結ぶ管状経路の軸芯に平行な方向に1つだけ設けられるとともに、軸芯に垂直な方向には複数配列され、軸芯に垂直な方向に配列された複数の突起の、軸芯に垂直な方向の間隔sは、攪拌凝集経路の幅(円管ならば直径、長辺と短辺をもつ矩形管ならば短辺)をDとして、s≧0.05Dであることを特徴とする。
(3)成型用金型は、攪拌凝集経路が成型される成型用金型であって、攪拌凝集経路の入口側と出口側とに分割されて移動することを特徴とする。
(第3実施形態)
塵埃を、気流により上流側から下流側へ搬送する過程において、壁面に突起を形成し、その突起により気流を乱し、それにより塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる。
そういった機能を持つ攪拌凝集経路を備えた塵埃凝集路を設けることにより、塵埃塊にクラスタ化して成長した塵埃は、クラスタ化していない塵埃に比べ、例えば流路のさらに下流に設けられる遠心分離機やフィルタにより、より効率よく分離または集塵される。
突起は、単に気流を乱すものよりも、下流側に強い渦を発生させるものである方が、塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成をより促進させることができる。
下流側に強い渦を発生させることが可能な突起の形状の1例としては、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、三角形状をなすものが挙げられ、中でも、その三角形状は、頂角と底辺の両端とを結ぶ両辺が、等しい二等辺三角形にて成る突起よりも、長さが異なる左右非対称の三角形状をもつ突起の方が、より下流側に強い渦を発生させることができる。
但し、下流側に強い渦を発生させることができる突起は、流れに対して抵抗が大きく、塵埃凝集路の圧力損失を上昇させてしまうデメリットがある。
つまり、突起断面の三角形状が二等辺三角形にて成る突起の方が、左右非対称の三角形にて成る突起に比べ、流れに対して抵抗が小さく、塵埃凝集路の圧力損失を低下することができる。
例えば、圧力損失は大きくなるが、より攪拌凝集の効果を高めたいときには、左右非対称の三角形状をもつ突起が望ましく、攪拌凝集の効果を十分に確保しつつ、圧力損失を抑えたい場合には、二等辺三角形の形状をもつ突起が望ましい。
あるいは、1つの攪拌凝集経路において、ある領域は、より攪拌凝集の効果を高めたい要望があり、他の領域は、攪拌凝集の効果を十分に確保しつつ、圧力損失を抑えたい要望があるといった様に、1つの攪拌凝集経路において、領域によって要望が異なる場合もある。
例えば、前者の領域には、左右非対称の三角形状をもつ突起を配置し、後者の領域には、二等辺三角形の形状をもつ突起を配置すると、両方の要望にこたえることが可能である。
1つの攪拌凝集経路において、領域によって要望が異なる事例としては、例えば次の3つの場合が挙げられる。
1つ目は、塵埃凝集路に流通させる気流の駆動源である、ファンまたはブロアの能力が、十分でないような場合である。
その場合、攪拌凝集経路の圧力損失が大きいと、塵埃を吸引して流通させるための気流の風量が大幅に低下し、塵埃の吸引量が低下するため、攪拌凝集の効果は高いとしても、全体としての塵埃の除去効果はむしろ低下する場合がある。
このような場合、例えば、後述する実施形態3−3または実施形態3−5または実施形態3−6に記載の突起の配置を実施することにより、圧力損失をある程度抑えながら、攪拌凝集の効果をある程度高めることができる。
なお、左右非対称の三角形状をもつ突起の個数と、二等辺三角形の形状をもつ突起の個数と、の比率を、ファンまたはブロアの能力を鑑みて、適宜調整することにより、より全体最適を高めることができる。
なお、塵埃凝集路に流通させる気流の駆動源である、ファンまたはブロアの能力が十分高い場合であって、より高い攪拌凝集の効果を望む場合には、後述する実施形態3−2に記載のように突起の配置を実施することにより、攪拌凝集の効果を最大限に高めることができる。
2つ目は、塵埃凝集路が、曲がり流路になっているような場合である。
その場合、遠心力のため、攪拌凝集経路を流通する流通する気流および塵埃は、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面に押し付けられるとともに、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面から剥離する場合がある。
このような場合、攪拌凝集経路を流通する流通する気流および塵埃は、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面の近傍を流通する気流は、壁面との摩擦が強くなって壁面の摩擦損失による圧力損失が大きくなり、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面の近傍を流通する気流は、気流の運動エネルギーが弱くなり、管壁から剥離し、その部分で縮流がおきて圧力損失が大幅に高まる場合がある。
故に、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面には、なるべく圧力損失を抑えたいという要望が生じ、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面には、気流が剥離するのを防止するために、より強い渦を発生させたいという要望が生ずる。
攪拌凝集経路の圧力損失が大きいと、塵埃を吸引して流通させるための気流の風量が大幅に低下し、塵埃の吸引量が低下するため、攪拌凝集の効果は高いとしても、全体としての塵埃の除去効果はむしろ低下する場合がある。
このような場合、例えば、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面には、二等辺三角形の形状をもつ突起を配置し、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面には、左右非対称の三角形状をもつ突起を配置する。
これにより、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面は、圧力損失をある程度抑制しつつ十分な攪拌凝集の効果を得ることができるとともに、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面には、より強い渦を生じさせることにより、より高い攪拌凝集の効果を得るとともに、強い渦を生じさせることにより、気流の運動エネルギーが高まり、壁面からの気流の剥離が抑制され、その部分で縮流がおきて圧力損失が大幅に高まるのを未然に防止することができる。
3つ目は、塵埃凝集路が、接触摩擦により正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片と、接触摩擦により負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片とを隣接して設けて成るような場合である。
その場合、全ての領域である程度以上の攪拌凝集の効果を得つつ、正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片と負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片とに近接する領域においては、より高い攪拌凝集の効果を得たいという要望が生ずる。
その理由を以下に述べる。
まず、全ての領域である程度以上の攪拌凝集の効果を得たいという要望は、次の目的から生ずる。
即ち、気流により運ばれた塵埃を、接触摩擦により正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片、または、接触摩擦により負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片に衝突させて、塵埃を帯電させ、そのクーロン力により塵埃同士を凝集させる目的がある。
故に、攪拌凝集経路にある程度の強度を持つ渦を発生させて、その渦に塵埃をのせることで、塵埃の攪拌凝集経路片への衝突回数をより多くし、それにより、塵埃の帯電の強度を高める。
但し、例えば、接触摩擦により正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片に接触し続けた塵埃は、負に帯電するものの、その強度には限界があり、ある程度以上攪拌凝集経路片に衝突させても、それ以上帯電の強度は増すことなく、むしろ渦強度の上昇による圧力損失が大きくなり、悪影響がある可能性があるので、発生させるべき渦の強度には最適点がある。故に、圧力損失の増大を招いてまで最大の渦強度を得るといったことを必要としない場合が多い。
次に、正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片と負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片とに近接する領域では、より高い攪拌凝集の効果を得たいという要望は、次の目的から生ずる。
即ち、上述したように、渦を発生させることにより、正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片に近接する領域を流通する塵埃は、負に帯電し、また、負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片に近接する領域を流通する塵埃は、正に帯電する。
つまり、正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片と負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片との両方に近接する領域では、正に帯電した塵埃と負に帯電した塵埃が近接している。
これらを互いに衝突させてクーロン力により凝集させるため、塵埃を十分に帯電させて、さらに、他の塵埃と衝突させるだけのエネルギーを、渦にもたせる必要がある。
故に、正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片と負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片とに近接する領域では、片方のみに近接する領域に対し、より強い渦を必要とする。
このような場合、例えば、後述する実施形態3−5かつ実施形態3−7、または、実施形態3−6かつ実施形態3−7に記載の突起の配置を実施することにより、所望の効果を得ることができる。
但し、後述する実施形態3−3から実施形態3−5に記載の突起を円管状の攪拌凝集経路片の壁面に安易に設けると、金型成型上、アンダーカットが生じ、成型できない場合が生ずる。
このような場合には、後述する実施形態3−6に記載の突起の配置を実施すれば、金型成型上のアンダーカットは生じない。故に、十分な攪拌凝集の効果を得ながら、圧力損失もある程度抑えられるとともに、成形性も十分に確保される。従って、高い性能の塵埃凝集路を、金型に複雑な細工を施すことなく、安価に成型することができる。
(実施形態3−1)
図50から図52は、実施形態3−1として、塵埃凝集路の要部の正面断面を示す図である。
図50から図52に示すように、攪拌凝集経路310は、気流により塵埃を上流側から下流側へ搬送する過程において、塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる塵埃凝集路に用いられ、入口と出口を連通する管状経路を成し、円管状の壁312面と、壁312面に形成された複数の突起313にて構成され、入口の中心と、出口の中心と、を結ぶ管状経路の軸芯を通過する面にて複数に分割されて成型される攪拌凝集経路において、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、突起313は頂角をT、底角をそれぞれP、Q、底辺をPQとする三角形状を成すとともに攪拌凝集経路310の壁312面に底辺PQの一部を埋没させて設けられ、また、軸芯をO、複数に分割して形成された攪拌凝集経路310の1片の両端をそれぞれA、B、それらを結ぶ直線を直線ABとし、軸芯Oを通過し直線ABに垂直に交わる垂線と攪拌凝集経路310の壁面との交点をHとすると、TP//OHかつ弧HP<弧HQとなる三角形状断面を持つ突起TPQが、少なくとも攪拌凝集経路310の壁312面の一部に設けられていることを特徴としている。
この構成によると、三角突起313(三角形TPQ)に沿う流れのうち、TPに沿う流れと、TQに沿う流れと、の流速、動圧、静圧の差を大きくできるため、突起の周りに強い循環を生じさせることができ、その結果、突起の下流側に強い馬蹄渦を発生させることができる。
なお、この攪拌凝集経路310片を樹脂成型にて形成する場合には、TPが厳密にOHと平行にすると、金型成型上の抜き勾配を設定できなくなるため、別途傾斜を付加してもよい。
(実施形態3−2)
実施形態3−2が実施形態3−1と異なる点としては、攪拌凝集経路310においては、突起313が攪拌凝集経路310の壁312面の全ての領域に設けられることを特徴としている。
この構成によると、突起313の1つ1つから強い渦を発生することができるため、管内を流通する塵埃同士の衝突確率を大幅に高めることができる。
また、管壁312が帯電しやすい材質にて構成されている場合には、塵埃が強い渦により旋回し、何度も壁面に衝突させることができるため、塵埃をより強く帯電させることができる。
故に、攪拌凝集経路310をこの構成にすれば、攪拌凝集の効果を最大限に高めることができるため、極めて攪拌凝集効果の高い攪拌凝集経路310を得ることができる。
(実施形態3−3)
図53と図54は、実施形態3−3として、塵埃凝集路の要部の正面断面を示す図である。
図53と図54に示すように、攪拌凝集経路330が実施形態3−1の攪拌凝集経路310と異なる点としては、攪拌凝集経路330の軸芯に垂直な面での断面形状において、頂角をS、底角をそれぞれM、N、底辺をMNとする二等辺三角形状を成すとともに攪拌凝集経路330の壁面332に底辺MNの一部を埋没させて設けられた、第2形状の突起333群がさらに設けられていることを特徴としている。
この構成によると、二等辺三角形状の突起333(三角形SMN)に沿う流れのうち、SM=SNのため、SMに沿う流れと、SNに沿う流れと、の流速、動圧、静圧の差は小さい。故に、突起の周りに強い循環が生じず、その結果、突起の下流側に生ずる渦は、比較的弱い。但し、その分、圧力損失は大幅に低減される。
例えば、塵埃凝集路330に流通させる気流の駆動源である、ファンまたはブロアの能力が、十分でないような場合、攪拌凝集経路330の圧力損失が大きいと、塵埃を吸引して流通させるための気流の風量が大幅に低下し、塵埃の吸引量が低下するため、攪拌凝集の効果は高いとしても、全体としての塵埃の除去効果はむしろ低下する場合があるが、このような場合、この構成にすることにより、圧力損失をある程度抑えながら、攪拌凝集の効果をある程度高めることができる。
なお、左右非対称の三角形状をもつ突起の個数と、二等辺三角形の形状をもつ突起の個数と、の比率を、ファンまたはブロアの能力を鑑みて、適宜調整することにより、より全体最適を高めることができる。
(実施形態3−4)
図55は、実施形態3−4として、塵埃凝集路の要部の断面を示す図である。
図55に示すように、攪拌凝集経路340は、曲がり流路にて形成される塵埃凝集路に用いられ、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁342a面には、三角形TPQにて成る第1形状の突起313群が設けられ、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁342b面には、三角形SMNにて成る第2形状の突起333群が設けられたことを特徴としている。
図56は、曲がり流路の壁面に突起を設けない塵埃凝集路の要部の断面を示す図である。
図56に示すように、塵埃凝集路が曲がり流路になっているような場合、遠心力のため、攪拌凝集経路340aを流通する流通する気流および塵埃は、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁342a面に押し付けられるとともに、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁342b面から剥離する場合がある。
このような場合、攪拌凝集経路を流通する流通する気流および塵埃は、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁342a面の近傍を流通する気流は、壁342a面との摩擦が強くなって壁面の摩擦損失による圧力損失が大きくなり、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁342b面の近傍を流通する気流は、気流の運動エネルギーが弱くなり、管壁から剥離し、その部分で縮流344がおきて圧力損失が大幅に高まる場合がある。
しかしながら、図56に示す実施形態3−4の構成によると、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁342a面には、二等辺三角形の形状をもつ突起を配置し、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁342b面には、左右非対称の三角形状をもつ突起を配置するので、これにより、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面は、圧力損失をある程度抑制しつつ十分な攪拌凝集の効果を得ることができるとともに、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面には、より強い渦を生じさせることにより、より高い攪拌凝集の効果を得るとともに、強い渦を生じさせることにより、気流の運動エネルギーが高まり、壁面からの気流の剥離が抑制され、その部分で縮流がおきて圧力損失が大幅に高まるのを未然に防止することができる。
(実施形態3−5)
図57は、実施形態3−5として、塵埃凝集路の要部の正面断面を示す図である。
図57に示すように、攪拌凝集経路350は、攪拌凝集経路350の軸芯に垂直な面での断面形状において、攪拌凝集経路350の1片の壁面である、弧AHBの、弧AHの間にX、弧BHの間にY、を設け、攪拌凝集経路350の1片の壁352面を、弧AXHYBとし、攪拌凝集経路350の1片の両端部である、弧AXおよび弧BYには、三角形TPQにて成る第1形状の突起313群が設けられ、弧AXHYBの中央部である、弧XHYには、三角形SMNにて成る第2形状の突起333群が設けられたことを特徴としている。
この構成によると、弧AXHYBを壁面とする攪拌凝集経路片において、両端部の壁352面近傍、即ち弧AX近傍および弧BY近傍には、強い渦が生じ、中央部の壁352面近傍、即ち弧XHY近傍には、上記よりもやや弱い渦が生ずる。
これにより、両端部の壁352面近傍、即ち弧AX近傍および弧BY近傍の領域における、攪拌凝集の効果を最大限に高めることができるとともに、中央部の壁面近傍、即ち弧XHY近傍の領域において、ある程度の攪拌凝集の効果を得ながら、圧力損失を抑えることができる。
(実施形態3−6)
図58は、実施形態3−6として、塵埃凝集路の要部の正面断面を示す図である。
図58に示すように、攪拌凝集経路360は、攪拌凝集経路360の軸芯に垂直な面での断面形状において、攪拌凝集経路360の1片の両端A、Bと、軸芯Oをと結ぶ2線AO、BOの成す角である∠AOBの大きさをθとし、第2形状の突起333の頂角∠MSNの大きさを2αとしたとき、第2形状の突起333はθ>2αに設定するとともに、弧AXおよび弧BYの、軸芯Oに対する中心角∠AOX、∠BOYは∠AOX≧0.5θ−α、∠BOY≧0.5θ−αに設置することを特徴としている。
この構成によると、金型成型上のアンダーカットは生じないので、十分な攪拌凝集の効果を得ながら、圧力損失もある程度抑えられるとともに、成形性も十分に確保された突起を管壁に形成できるので、高い性能の塵埃凝集路を、金型に複雑な細工を施すことなく、安価に成型することができる。
(実施形態3−7)
実施形態3−7として、塵埃凝集路は、上記の攪拌凝集経路の1片を、複数個組合せて成す攪拌凝集経路であって、複数の攪拌凝集経路の1片のうち、少なくとも1つは、接触摩擦により正に帯電しやすい材質にて形成された、第1の攪拌凝集経路片と、複数の攪拌凝集経路の1片のうち、を除くもののうち、少なくとも1つは、接触摩擦により負に帯電しやすい材質にて形成された、第2の攪拌凝集経路片と、が、隣接して設けられることを特徴としている。
この構成によると、気流により運ばれた塵埃は、突起の後方に発生する渦により、塵埃の攪拌凝集経路片への衝突回数が多くなる。いま、攪拌凝集経路の壁面を、接触摩擦により正に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片、または、接触摩擦により負に帯電しやすい材質で成る攪拌凝集経路片にて構成するため、これらの壁面に塵埃を衝突させることにより、塵埃を帯電させることができ、これにより、塵埃同士を帯電によるクーロン力により凝集させることができる。
望ましくは、この構成に加えて、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、攪拌凝集経路の1片の壁面である、弧AHBの、弧AHの間にX、
弧BHの間にY、を設け、攪拌凝集経路の1片の壁面を、弧AXHYBとし、攪拌凝集経路の1片の両端部である、弧AXおよび弧BYには、三角形TPQにて成る第1形状の突起群を設け、弧AXHYBの中央部である、弧XHYには、三角形SMNにて成る第2形状の突起群を設けると、より高い効果を得ることができる。
即ち、この構成によると、攪拌凝集経路の中央部である弧XHYの近傍の領域において、ある程度以上の攪拌凝集の効果を得つつ、圧力損失を抑えることができるとともに、攪拌凝集経路の1片の両端部である弧AXおよび弧BYの近傍の領域において、高い攪拌凝集の効果を得ることができる。
これにより、塵埃の帯電にのみ寄与する領域での圧力損失を極力抑え、異なる極性に帯電した塵埃同士の衝突に寄与する領域の攪拌凝集の効果を高めることができるので、圧力損失を抑えながら、極めて高い摩擦帯電凝集効果をもつ塵埃凝集路を得ることができる。
(実施形態3−8)
実施形態3−8として、成型用金型は、上記の攪拌凝集経路を成型することができる成形用金型である。極めて攪拌凝集効果の高い攪拌凝集経路を成型することができる。
以上の実施形態3−1から実施形態3−8は、以下の実施形態3−Aから実施形態3−Fに適用することができる。
(実施形態3−A)
図5は、実施形態3−Aの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図6は実施形態3−Aの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図7は、実施形態3−Aの塵埃凝集路の要部の側断面を示す図である。
図5から図7に示すように、実施形態3−Aの塵埃凝集路90においては、複数の突起93が流路91の壁92の内面上に設けられている。それぞれの突起93は、三角錐突起により形成されており、上流側から投影すると、複数の突起93は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起93は、ある一定分だけ重なり合うように配置されている。また、流れ方向に垂直な方向の面内には、なるべく多くの突起93が配置されず、かつ、流れ方向に垂直な方向の同一面内に配置された複数の突起93は、なるべく互いを遠い距離に配置するように設定される。
実施形態3−Aの塵埃凝集路90によると、突起93により、双子渦が生ずる。また、上流側から投影すると、複数の突起93は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起93は、ある一定分だけ重なり合うように配置されているので、流路91の壁92に沿って流通する流れは、必ず突起93を通過する。
実施形態3−Aの突起93は、次のような利点がある。すなわち、実施形態3−Aの塵埃凝集路90においては、流れ方向に垂直な方向の面内に、なるべく多くの突起93が配置されず、かつ、流れ方向に垂直な方向の同一面内に配置された複数の突起93は、なるべく互いを遠い距離に配置するように設定されているので、突起93が配置されている位置における流路面積の減少が小さく、その分、塵埃凝集路90の圧力損失も小さくなる。
従って、実施形態3−Aの塵埃凝集路90を用いれば、大きな圧力損失の低減効果が得られる。例えば、長さを3倍に設定した塵埃凝集路90を用いれば、被凝集粒子同士の衝突による凝集性能を損なわず、圧力損失を低減できるので、流路91の内部を流通する流れを発生させる駆動源(例えば、ファンやブロアなど)の出力や静圧上昇が小さい場合、駆動源が圧力損失に弱い場合などには、塵埃凝集路90と駆動源を含むシステム全体のパフォーマンスが向上する。
(実施形態3−B)
図11は、実施形態3−Bの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図12は、実施形態3−Bの塵埃凝集路の要部を示す正面図である。
図11と図12に示すように、実施形態3−Bの塵埃凝集路70においては、流路71の壁72の内面に、複数の突起73aと突起73bが設けられている。突起73aと突起73bは、底面が三角形の突起である。
図13は、実施形態3−Bの突起を示す図である。図13(A)は、突起の底面図、図13(B)は、突起の側面図、図13(C)は、突起の正面図である。流路の上流側を正面とする。
図13に示すように、突起73aの底面部△EFGの各辺の長さがEF:FG:GE=1:2:√3となる直角三角形を成し、直角三角形の各頂角のうち、30°を成す角Gが、流れの上流側に配置され、60°と90°の角に挟まれる辺EFは、流れ方向に対して垂直になるように配置されて、突起73aの底面部△EFGが流路71の壁72の内面と接合されている。突起73aの残りの一つの頂点Iは、壁72から流路71内に突出するように形成されている。
突起73aは、流路71の流れ方向に垂直な面における流路幅の代表長さ(正方形流路の場合は一辺の長さ、円形流路の場合は直径)をDとすると、流れ方向の長さGE=(3/8)D、流れ方向と斜辺のなす角が、上流側から下流側に見て時計回りに30°、突起73aの高さhがh=(1/8)Dである形状をなしている。突起73aに隣り合う突起73bにおいては、流れ方向と斜辺のなす角は上流側から下流側に見て反時計回りに30°である。流路71の壁72上では、4つの突起73aが等間隔に配置され、4つの突起73aのそれぞれの間に突起73bが4つ配置されて、突起73aと突起73bがいわゆる互い違いの方向を向けて配置されている。
図14は、実施形態3−Bの突起の周囲の気流の様子を模式的に示す図である。
図14に示すように、突起73aの斜辺GIに沿う流れの流速V9は、突起73aの流れの衝突のため、せき止められて、流路71内を流通する流体の流速Pに対しやや遅くなる。一方、突起73aの流れ方向の辺GEに沿う流れの流速V10は、流路71内を流通する流体の流速Pと略同等となる。そのため、突起73aの周りの、流路71内を流通する流体の流速を基準とした相対速度を考えると、流れ方向の辺GE上においては流路71の上流側から下流側へ、斜辺FG上においては流路71の下流側から上流側へ、突起73aの周りを回転する循環が生ずる。この循環により、三角錐状を呈する突起73aの頂点から馬蹄渦V11が発生し、その馬蹄渦V11は突起73aの下流側の流路71の壁72に沿って下流へ移動する。この馬蹄渦11は突起73aの下流を流通する流れに旋回を与える。突起73bにおいても、突起73aと同様に馬蹄渦が形成されるが、馬蹄渦の回転の向きは逆向きである。
実施形態3−Bにおいては、突起73aと突起73bの高さhはh=(1/8)Dであるので、馬蹄渦発生直後の馬蹄渦V11の直径は、流路71の内部を流通する流体の流速にもよるが、(1/8)Dか、またそれよりもやや大きいサイズになる。被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路71の壁72からの距離が(1/8)Dまでの位置において、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるので、実施形態3−Bの突起73aと突起73bは、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路71の壁72から(1/8)Dまでの位置を通過する気体を、馬蹄渦を発生させることによって積極的に攪拌する。
このように、塵埃凝集路70においては、突起73aと突起73bは、壁72からの高さが、流路71の気体が流れる方向に垂直な断面の代表長さの1/8であることにより、異物が突起73aと突起73bに引っかかりにくくなる。
図15は、実施形態3−Bの突起により発生する渦の様子を模式的に示した図である。図15(A)は、流路を正面から見た図であり、図15(B)は、流路を側面から見たときの図である。
図15に示すように、流路71の壁72の近傍に、隣合う渦同士はそれぞれ逆方向に回転する、8本の馬蹄渦V11が生ずる。なお、隣合う渦同士はそれぞれ逆方向に回転しているため、渦と渦の接面における流れは、流れ方向に垂直な面における流線ベクトルを考えると、一方が流路中央部から壁面部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなり、一方が流路壁面部から中央部へ向かう方向ならば他方も同方向の流れとなるので、スムーズに合流する方向となるため、流れの粘性による摩擦抵抗が減少し、そのため、実施形態3−Bの塵埃凝集路70においては、渦による圧力損失が低減する。
流路71を流通する流体に、長さD、太さ0.05Dといった棒状の異物その他が混入していた場合、突起の形状が湾曲構造を成していると、棒状の異物の一端が1つの突起に引っ掛かり、棒状の異物の他端が他の突起に引っ掛かった場合、塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性がある。一方、実施形態3−Bの塵埃凝集路70においては、突起73aに凹部は無く、突起73aと突起73bにおいては斜辺面が形成されているため、前述のような棒状の異物その他は突起に引っ掛かりにくい。
このように、塵埃凝集路70においては、気体の流れる方向に垂直な方向の突起73aと突起73bの断面積は、上流側で小さく下流側で大きい。このようにすることにより、異物が突起73aと突起73bに引っかかりにくくなる。
従って、実施形態3−Bの塵埃凝集路70を用いれば、例えば、流れに棒状の異物その他が混入する可能性のある場合には、棒状の異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができるため、信頼性の高い塵埃凝集路を得ることができる。
なお、実施形態3−Bの塵埃凝集路70の突起の形状は、図16〜図18に示す突起の形状であってもよい。
図16は、実施形態3−Bの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路70の要部を透視した斜視図であり、図17は、実施形態3−Bの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路の要部を示す正面図であり、図18は、実施形態3−Bの別の形状の突起が配置された塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図16から図18に示すように、塵埃凝集路120の流路121内においては、流路121の壁122の内面上に突起123を配置している。
(実施形態3−C)
図19は、実施形態3−Cの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図20は実施形態3−Cの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図21は、実施形態3−Cの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図19から図21に示すように、実施形態3−Cは、実施形態3−Bの突起73aと突起73bに替えて、複数の突起83が設けられている。突起83は、三角錐状の突起である。
図22は、実施形態3−Cの突起を上から見た形状(A)と横から見た形状(B)を示す図である。
図22に示すように、突起83の形状は、三角錐の底面部△JKLの底辺KL:高さJM=1:2となる二等辺三角形を成し、底面部二等辺三角形の最小の角Jが流れの上流側に配置され、底辺KLが流れ方向に対して垂直になるように配置され、底面部にて流路壁面と接合されている。また、三角錐状突起の頂角をNとして、頂角Nから底面部二等辺三角形に下ろした垂線はMを通過する、つまり、NMは、JM、KLに対してそれぞれ垂直になるように構成されている。そして、流路81の流れ方向に垂直な面における流路幅の代表長さ(正方形流路の場合は一辺の長さ、円形流路の場合は直径)をDとして、流れ方向の長さJM=(1/2)D、三角錐高さNM=(1/8)Dである形状をなしている。
また、流路81の壁82の内面には、多数の突起83が規則的に配置されている。塵埃凝集路80においては、複数の突起83を、流れ方向に(3/2)JM、流れに垂直な方向に(3/2)KLおきに配置するとともに、1つの突起83に対して、流れ方向に(3/4)JM、流れに垂直な方向に(3/4)KLずれた位置にさらに配置し、またそれに対して複数の突起83を、流れ方向に(3/2)JM、流れに垂直な方向に(3/2)KLおきにさらに配置するといった配列に設定されている。つまり、流れ方向の1ピッチを(3/2)JM、流れに垂直な方向の1ピッチを(3/2)KLとすると、流れ方向、流れに垂直な方向ともに、半ピッチずつずらした位置された、いわゆる千鳥配置に複数かつ多段に配置される。
これらの突起83を上流側から投影すると、複数の突起83は互いに完全には重なり合わず、かつ、隣同士の突起83は、ある一定分だけ重なり合うように配置されている。
実施形態3−Cの塵埃凝集路80によると、流路81の壁82の内面近傍を流通する流れは、三角錐突起を成す突起83の面JNKおよび面JNLの傾斜により三角錐底面部に対して頂角N側に持ち上げられ、流路中央側に巻き上げられるとともに、頂角Nの下流側に弱い双子渦を発生させる。実施形態1−Bの塵埃凝集路80を流通する流れは、最初に出会う突起83の作る弱い双子渦により攪乱され、下流に流通して、次に出会う突起83の作る弱い双子渦によりまた攪乱され、更に下流に流通して、更に次に出会う突起83の作る弱い双子渦によりまた更に攪乱され、といった具合に、次々と攪乱される。このような攪乱が、複数の突起83の箇所にてそれぞれ生ずる。前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路であれば、流路81の壁82から(1/8)Dの距離までの位置において特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるので、実施形態3−Cの複数かつ多段に配置された突起83は、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路の壁面から(1/8)Dまで距離の位置を、複数の双子渦にて積極的に攪乱する。
このように、塵埃凝集路80においては、突起83は、壁82からの高さが、流路81の気体が流れる方向に垂直な断面の代表長さの1/8以下であることにより、異物が突起83に引っかかりにくくなる。
また、上流側から投影すると、複数の突起83は互いに完全には重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起83は、ある一定分だけ重なり合うように配置されているので、流路81の壁82に沿って流通する流れは、必ず突起83に出会う。その後、流路81の壁82に沿って流通する流れは、下流に流通するに従い、何度も何度も突起83に出会いながら、塵埃凝集路80内を通過する。
このように、塵埃凝集路80においては、突起83は、流路81内において気体が流れる方向に沿って複数配置され、それぞれの突起83は、流路81の上流側から下流側に向かって突起83を投影したときにそれぞれの突起83の一部が重なり合うように配置されている。このようにすることにより、流路81に沿って流れる気体が突起83の周囲を通過しやすくなり、効率よく渦を発生させることができる。
したがって、実施形態3−Cの塵埃凝集路80においては、流路81の壁82から(1/8)Dの距離までの位置を流通する気流に対して最も効率的に攪乱できるとともに、発生する双子渦の数を多くすることができる。
このように、塵埃凝集路80において、突起83は、流路81内において気体が流れる方向に沿って複数配置され、それぞれの突起83は、流路81の上流側から下流側に向かって突起83を投影したときにそれぞれの突起の一部が重なり合うように配置されていることにより、流路81に沿って流れる気体が突起83の周囲を通過しやすくなり、効率よく渦を発生させることができる。
また、塵埃凝集路80を流通する流体に、例えば柔軟な素材でできた布状のものであって流路81の径と同程度の大きさの異物(例えば布状や網目状の素材、例えばハンカチやパンティーストッキングといったもの)その他が混入していた場合、突起の形状が湾曲構造または矩形を成していると、布状の異物が突起に引っ掛かりやすく、そのため塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性があるが、実施形態3−Cにおいては、突起83は流れの上流側に滑らかな三角錐突起を成しているため、前述の布状の異物その他は引っ掛かりにくい。
従って、実施形態3−Cの塵埃凝集路80を用いれば、多数の双子渦の攪乱により、十分な凝集性能を得ながら、第1実施形態から実施形態3−Bの塵埃凝集路よりも、例えば、流れに布状の異物その他が混入する可能性のある場合には、布状の異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができるため、信頼性の高い塵埃凝集路80を得ることができる。
(実施形態3−D)
図23は、実施形態3−Dの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図24は実施形態3−Dの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図25は、実施形態3−Dの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図23から図25に示すように、実施形態3−Dの塵埃凝集路100においては、複数の突起103が流路101の壁102の内面上に設けられている。それぞれの突起103は、実施形態3−Cの突起83と同一形状の三角錐状突起により形成されており、その配列または配置が異なる。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されている。また、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列でもよい。その他の部分は実施形態1−Bと同様である。
実施形態3−Dの塵埃凝集路100によると、突起103により、実施形態3−Cの突起83によって生じる渦と略同一の双子渦が生ずる。但し、実施形態1−Bの突起83に対して、個数が少なく、また、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わない配列になっているため、流路101の壁102に沿って流通する流れの多くは突起103に一度だけ出会い、突起103と突起103の間を流通する流れは、突起103に一度も出会わない。故に、実施形態3−Dの塵埃凝集路100においては、流れに与えることができる攪乱は実施形態3−Cの塵埃凝集路80に比べ、大幅に低下する。
しかしながら、実施形態3−Dの塵埃凝集路100は、成型方法が極めて容易となる利点がある。すなわち、上流側から投影すると、複数の突起103は互いに重なり合わず、かつ、上流側から投影すると、隣同士の突起103は、一定の間隔をあけられて配置されているため、例えば、塵埃凝集路100を樹脂成型する場合、塵埃凝集路100の上流側を金型の可動側に設定し、塵埃凝集路100の下流側を金型の固定側に設定し、金型を構成すれば、複雑な金型構成を必要とせず、塵埃凝集路100を一体で成型することができる。
また、塵埃凝集路100内を流通する流体に、例えば流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物(例えば牛乳キャップといったもの)その他が混入していた場合、例えば、流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の乱れ発生部が配置しているため、流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物の端部が同時に複数の突起に引っ掛かる可能性が高く、そのため塵埃凝集路の内部に異物がつまってしまうといった不具合が生ずる可能性があるが、実施形態1−Cにおいては、突起103は流れ方向に垂直な方向の面内に、複数の突起103が配置されない配列に設定されるため、流路101の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他は引っ掛かりにくい。
従って、実施形態3−Dの塵埃凝集路100を用いれば、極めて成形性が良いとともに、例えば、流れに流路の断面と同程度の面積を持つ板状の異物その他が混入する可能性のある場合には、異物が乱れ発生部に引っ掛かってつまるといった不具合を未然に防止することができる。このようにして、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に有する塵埃凝集路を得ることができる。
図26から図30は、実施形態3−Dにかかる突起の他の配列を模式的に示す図である。(A)流路方向に垂直な方向に見た図と、(B)その流れの上流側から投影した模式図である。
図26に示すように、流れ方向に垂直な方向の面の周上に、複数の突起103が配置されるが、それぞれの突起は互いに近い箇所、円筒状の流路の場合には、望ましくは90°程度の範囲に、流れ方向に垂直な方向の面内に配置された複数の突起103が集まっていれば、極めて高い成形性と極めて高い信頼性の両方を同時に得られる。
図27に示すように、隣り合う突起103が互いに重ならないように多少ずらして配置し、突起によって生じる異物のつまりを防止したものや、さらに同様の効果を得るものとして、図28のように、突起をいくつかグループに分けて、そのグループを互いに流路方向にずらして配置したものや、図29と図30のように鋸歯状配列が例示できる。これらはいずれも極めて高い成形性が得られる。
図31は、実施形態3−Dの塵埃凝集路における隣接した突起の配置を示す図である。
図31に示すように、流れ方向と平行な方向から見た投影面内に突起103が重ならないように配置したとき、隣り合う突起103の距離を距離Wとすると、次の式によりWを表すことができる。
W=2α+γtanβ (ただしα、β、γは任意の正の整数)
突起103においてα、βをそれぞれ3mm以上、γ(mm)を任意の数とする。
気流に平行な方向Sに分離した金型を用いて塵埃凝集路100を作製すると、流路101と突起103を一度に成型することができる。このようにすることにより、成型コストを大幅に削減することができる。突起103間の距離については、最低限W(mm)確保することによって、気流に垂直となる投影面内に突起が互いに重なり合わないように配置し、また、突起と突起の間に入る金型の強度を確保することができる。
(実施形態3−E)
図32は実施形態3−Eの塵埃凝集路の要部を透視した斜視図であり、図33は実施形態3−Eの塵埃凝集路の要部を示す正面図、図34は、実施形態3−Eの塵埃凝集路の側断面を示す図である。
図32から図34に示すように、実施形態3−Eにおいては、実施形態3−Cの突起83に替えて、複数の突起113が流路111の壁112の内面上に設けられている。突起113は、実施形態3−Cの突起83と比べて、大きさが1/2(流れ方向の長さ:JM=(1/4)D、三角錐高さ:NM=(1/16)D)の相似形の三角錐状突起により形成されており、設置に関しても1/2の相似で配置される。なお、三角錐状突起の個数は実施形態3−Cの約4倍に設定されている。その他の部分は実施形態3−Cと同様である。
実施形態3−Eの塵埃凝集路110によると、突起113により、実施形態3−Cの突起83に対してスケールが1/2の略相似形の双子渦が生ずる。1つの突起113により生ずる双子渦は、実施形態3−Cの突起83により生ずる双子渦と比較して、強度は弱くなるが、その分突起113の個数を多く設定しているため、略同様の攪乱を流れに与えることができる。
但し、前述のように被凝集粒子の大きさがミクロンオーダーのものに集中しているような場合、径がDの流路111の壁面から(1/8)Dまでの位置において特に被凝集粒子の分布密度が高くなる現象が見られるが、実施形態1−Dの複数かつ多段に配置された突起113は、高さが(1/16)Dに設定されているため、特に被凝集粒子の分布密度が高くなる流路111の壁112から(1/8)Dまでの距離の位置のうち、積極的に攪乱を与えることができるのは約半分の領域のみに限られる。
しかしながら、実施形態3−Eの突起113には、次のような利点がある。即ち、実施形態3−Eの突起113の高さは、(1/16)Dに設定されており、実施形態3−Cの突起83の高さに比べて1/2のため、流れ方向に垂直な方向における同一面内に配置された突起113による流路面積の減少幅が1/4になるので、その分、塵埃凝集路110の圧力損失は実施形態1−Bの塵埃凝集路80に比べて格段に小さくなる。
さらに、実施形態3−Eの突起113の高さは、(1/16)Dに設定されているため、突起113により発生する双子渦が塵埃凝集路110の流路111の壁112に発達する速度の境界層に影響を与え、境界層厚みを薄くする効果が得られる。
一般に、流路の壁面部近傍には、流路内部を流通する流体の粘性により、速度の境界層ができる。境界層内部の流速は、流路中央部に比べて風速が遅く、その領域は流れに対する抵抗が大きい。即ち、境界層が発達して境界層の厚みが厚くなると、それだけ流れやすい領域の面積が減少し、見かけ上、流路の断面積が小さくなったような挙動を示す。従って、境界層が発達して境界層の厚みが厚くなると、その流路の圧力損失は増大する。
実施形態3−Eの突起113により発生する双子渦は、渦のスケールが小さく、また、より壁面部近傍に発生するため、突起113により発生する双子渦が上記の境界層の発達を抑制し、そのため、流路壁面の流れに対する抵抗が小さくなり、流路111の圧力損失が大幅に低下する。
例えば、流路111の径DがD=40mm、流れの代表流速が25m/秒、常温常圧の場合、実験結果によると、(乱れ発生部による圧力損失)<(乱れ発生部による境界層の発達抑制効果)となり、多数の突起113が存在するにもかかわらず、突起のない流路よりも圧力損失が小さい塵埃凝集路110が得られた。
また、塵埃凝集路110を流通する流体に、異物その他が混入していた場合においても、突起113は、実施形態3−Cの突起83に対して高さが1/2のため、突起113は、実施形態3−Cの突起83に対して異物がより一層引っ掛かりにくい。
従って、実施形態3−Eの塵埃凝集路110を用いれば、多数の双子渦の攪乱により、十分な凝集性能を得ながら、さらに、管路摩擦抵抗を低減することができるため、圧力損失を大幅に低減した塵埃凝集路110を得ることができる。また、例えば、流れに異物その他が混入する可能性のある場合においても、異物が突起113に引っ掛かってつまるといった不具合を略完全に防止することができるため、極めて信頼性の高い塵埃凝集路110を得ることができる。
(実施形態3−F)
実施形態3−Fの塵埃凝集路は、流路の上流側の一部分に実施形態3−A〜実施形態3−Eのいずれかの突起を有し、かつ流路の下流側の一部分または突起が、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2帯電部とを有し、第1帯電部と第2帯電部とが対向するように配置されている。
このようにすることにより、実施形態3−Fの塵埃凝集路に流入する気体は、以下の段階を経ながら塵埃凝集路を通過する。すなわち、塵埃が気流によって流路内に導かれる段階と、塵埃が直進する気流によって流路内部を搬送される段階と、塵埃が流路の壁面に沿って流通する段階と、塵埃が流路の壁面から突出した突起に衝突する段階と、塵埃が突起の下流に生ずる渦流に巻き込まれて流通する段階と、塵埃が渦流により複数回にわたって流路の壁面に衝突する段階と、複数の塵埃が渦流により互いに衝突する段階と、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成する段階と、塵埃塊が気流によって流路内部を搬送される段階とを順次経る。
このとき、第1帯電部および第2帯電部を流通する気流は、以下に示すように制御される。すなわち、塵埃が気流によって流路内部を搬送されるときに、塵埃を壁面および突起に衝突させて帯電させたのち、塵埃同士を衝突させる気流制御を行うとともに、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成させる期間が設けられている。
このようにすることにより、第1帯電部に衝突して正に帯電された塵埃と、第1帯電部に衝突していない塵埃との衝突が促進される。それらの塵埃が衝突すると、前者の塵埃の電荷により後者の塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した第1の塵埃塊が生ずる。第1の塵埃塊は、全体として正に帯電している。また、第1の塵埃塊と同様のメカニズムにより、第2帯電部により全体として負に帯電している第2の塵埃塊が生ずる。
そして、さらに、第1帯電部により生成した正に帯電されている第1の塵埃塊と、第2帯電部により生成した負に帯電されている第2の塵埃塊とを衝突させるように気流制御を行うとともに、衝突した第1の塵埃塊と第2の塵埃塊が静電気力により結合してさらに大きな塵埃塊(大クラスタ)を形成させる期間が設けられている。
このように気流制御を行うことにより、全体として正に帯電している第1の塵埃塊と、全体として負に帯電している第2の塵埃塊との衝突が促進される。
第1の塵埃塊と第2の塵埃塊とが衝突すると、前者の塵埃塊のもつ正の電荷と、後者の塵埃塊のもつ負の電荷とから生ずる強い静電気力により前者の塵埃塊と後者の塵埃塊との間にさらに強い結合力が生ずる。この結合力により複数の塵埃塊がさらに凝集した大塵埃塊が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集を繰り返し、大きな塵埃塊(大クラスタ)となる。
このように、塵埃凝集路においては、壁および/または渦発生手段は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2帯電部とを有し、第1帯電部と第2帯電部とが対向するように配置されていることにより、塵埃を正に接触帯電する第1帯電部と、塵埃を負に接触帯電する第2帯電部により、塵埃が気流によって流路を搬送されるとき、塵埃が第1帯電部もしくは第2帯電部と接触して異なる極性に帯電され、正もしくは負に帯電された塵埃に塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。これにより正もしくは負に帯電した塵埃を静電気作用で相互に吸着させることにより、塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。
なお、突起は流路の壁の内面に複数設けられ、その配列は、塵埃凝集路を上流側から投影したときに、複数の突起は互いに一部分だけ重なり合うように配置されていると、塵埃が壁面または突起により衝突しやすくなる。
このように、渦発生手段と、帯電部とを併せ持つ塵埃凝集路においては、渦発生手段が流路内に突出しているため、粒子が内壁に接触しやすい。さらに、渦発生手段による壁面の面積増大により壁面と粒子の衝突確率を増加できる。渦発生手段により生成された渦により粒子と壁面との衝突確率を増大することができるので、粒子と内壁の接触回数を増加させることができる。このようにすることにより、塵埃中の粒子がより帯電しやすくなるために、さらに凝集しやすくなり、塵埃塊の生成が促進される。
実施形態3−Fのさらに別の形態として、実施形態3−Aから実施形態3−Eの塵埃凝集路を帯電部材を用いて形成する場合には、突起は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正に接触帯電する第1突起部と、流路を流通する気体に含まれる塵埃を負に帯電する第2突起部とを有し、第1突起部と第2突起部とが対向するように配置されていてもよい。
このようにすることにより、塵埃が気流によって流路を搬送されるとき、塵埃が第1突起部もしくは第2突起部と接触して異なる極性に帯電され、正もしくは負に帯電された塵埃に塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。これにより正もしくは負に帯電した塵埃を静電気作用で相互に吸着させることにより、塵埃塊(クラスタ)を形成させることができる。
また、実施形態3−Fの塵埃凝集路においては、突起は、壁と同一の材質で形成されていることが好ましい。
このようにすることにより、流路内を流通する気体に含まれる塵埃中の粒子は、壁と突起のどちらに衝突しても帯電するので、凝集の効果を高めることができる。
(実施形態3−G)
実施形態3−Gの塵埃凝集路は、流路の上流側の一部分に実施形態3−A〜実施形態3−Eのいずれかの突起を有し、かつ流路の下流側の一部分または突起が、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正または負に接触帯電することが可能な材質で形成されている。
上記構成の塵埃凝集路において、塵埃が気流によって流路内に導かれる段階と、塵埃が直進する気流によって流路内部を搬送される段階と、塵埃が流路の壁面に沿って流通する段階と、塵埃が流路の壁面から突出した突起に衝突する段階と、塵埃が突起の下流に生ずる渦流に巻き込まれて流通する段階と、塵埃が渦流により複数回にわたって流路の壁面に衝突する段階と、複数の塵埃が渦流により互いに衝突する段階と、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成する段階と、塵埃塊が気流によって流路内部を搬送される段階と、を順次経る。
このとき、塵埃凝集路を流通する気流は、以下に示すように制御される。即ち、塵埃が気流によって流路内部を搬送されるときに、塵埃を壁面および突起に衝突させて帯電させたのち、塵埃同士を衝突させる気流制御を行うとともに、衝突した複数の塵埃が塵埃塊(クラスタ)を形成させる期間を設ける。
このようにすることにより、塵埃凝集路に衝突して正または負に帯電された塵埃と、塵埃凝集路に衝突していない塵埃との衝突が促進される。それらの塵埃が衝突すると、前者の塵埃の電荷により後者の塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した塵埃塊(クラスタ)が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集し、塵埃塊(クラスタ)となる。
実施形態3−Gのさらに別の形態としては、実施形態3−Aから実施形態3−Eの塵埃凝集路を帯電部材で形成する場合に、突起は、流路を流通する気体に含まれる塵埃を正または負に接触帯電することが可能な材質で形成されていてもよい。
このようにすることにより、塵埃凝集路の突起に衝突して正または負に帯電された塵埃と、塵埃凝集路の突起に衝突していない塵埃との衝突が促進される。これらの塵埃が衝突すると、塵埃凝集路の突起に衝突して正または負に帯電された塵埃の電荷により、塵埃凝集路の突起に衝突していない塵埃の表面に誘電分極が生じ、静電気力により前者の塵埃と後者の塵埃との間に強い結合力が生ずる。この結合力により、複数の塵埃が凝集した塵埃塊(クラスタ)が生ずる。
このような気流制御を行うことにより、微細な塵埃が衝突により凝集しやすくなり、塵埃塊(クラスタ)が形成されやすくなる。
また、実施形態3−Gの塵埃凝集路においては、突起は、壁と同一の材質で形成されていることが好ましい。
このようにすることにより、流路内を流通する気体に含まれる塵埃中の粒子は、壁と突起のどちらに衝突しても帯電するので、凝集の効果を高めることができる。
以上のように、第3実施形態は、微粒子を凝集する機構に関するものである。本機構を利用して微粒子の捕集効率を向上させる事が可能となるため、塵埃凝集路を掃除機、空気清浄機、空気調和機等へ適用することができる。
なお、塵埃凝集路の第3実施形態を要約すると、以下のとおりである。
(1)塵埃凝集路は、気流により塵埃を上流側から下流側へ搬送する過程において、塵埃と塵埃とを衝突させて塵埃塊(クラスタ)の形成を促進させる塵埃凝集路に用いられ、入口と出口を連通する管状経路を成し、円管状の壁面と、壁面に形成された複数の突起にて構成され、入口の中心と、出口の中心と、を結ぶ管状経路の軸芯を通過する面にて複数に分割されて成型される攪拌凝集経路において、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、突起は頂角をT、底角をそれぞれP、Q、底辺をPQとする三角形状を成すとともに攪拌凝集経路の壁面と一体となるように設けられ、また、軸芯をO、複数に分割して形成された攪拌凝集経路の1片の両端をそれぞれA、B、それらを結ぶ直線を直線ABとし、軸芯Oを通過し直線ABに垂直に交わる垂線と攪拌凝集経路の壁面との交点をHとすると、TP//OH かつ 弧HP<弧HQとなる三角形状断面を持つ突起TPQが、少なくとも攪拌凝集経路の壁面の一部に設けられていることを特徴とする。
(2)上記(1)の塵埃凝集路においては、突起が攪拌凝集経路の壁面の全ての領域に設けられることを特徴とする。
(3)塵埃凝集路は、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、頂角をS、底角をそれぞれM、N、底辺をMNとする二等辺三角形状を成すとともに攪拌凝集経路の壁面に底辺MNの一部を埋没させて設けられた、第2形状の突起群がさらに設けられていることを特徴とする。
(4)塵埃凝集路は、曲がり流路にて形成される塵埃凝集路に用いられ、曲がり流路の曲率中心に対して外側の壁面には、三角形TPQにて成る第1形状の突起群が設けられ、曲がり流路の曲率中心に対して内側の壁面には、三角形SMNにて成る第2形状の突起群が設けられたことを特徴とする。
(5)塵埃凝集路は、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、攪拌凝集経路の1片の壁面である、弧AHBの、弧AHの間にX、弧BHの間にY、を設け、攪拌凝集経路の1片の壁面を、弧AXHYBとし、攪拌凝集経路の1片の両端部である、弧AXおよび弧BYには、三角形TPQにて成る第1形状の突起群が設けられ、弧AXHYBの中央部である、弧XHYには、三角形SMNにて成る第2形状の突起群が設けられたことを特徴とする。
(6)塵埃凝集路は、攪拌凝集経路の軸芯に垂直な面での断面形状において、攪拌凝集経路の1片の両端A、Bと、軸芯Oをと結ぶ2線AO、BOの成す角である∠AOBの大きさをθとし、第2形状の突起の頂角∠MSNの大きさを2αとしたとき、第2形状の突起はθ>2αに設定するとともに、弧AXおよび弧BYの、軸芯Oに対する中心角∠AOX、∠BOYは∠AOX≧0.5θ−α、∠BOY≧0.5θ−αに設置することを特徴とする。
(7)塵埃凝集路は、上記(1)から(6)のいずれかに記載の攪拌凝集経路の1片を、複数個組合せて成す攪拌凝集経路であって、複数の攪拌凝集経路の1片のうち、少なくとも1つは、接触摩擦により正に帯電しやすい材質にて形成された、第1の攪拌凝集経路片と、複数の攪拌凝集経路の1片のうち、を除くものうち、少なくとも1つは、接触摩擦により負に帯電しやすい材質にて形成された、第2の攪拌凝集経路片と、が、隣接して設けられることを特徴とする攪拌凝集経路を備える。
(8)成型用金型は、上記(1)から(7)のいずれかの攪拌凝集経路を成型することができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
40,50,60,70,80,90,100,110,120:塵埃凝集路、41,51,61,71,81,91,101,111,121:流路、42,52,62,72,82,92,102,112,122:壁、43,53,63a,63b,63c,63d,73a,73b,83,93,103,113,123:突起、94:アール部。